JP5257933B2 - 抄紙用凝集剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抄紙用凝集剤とそれを用いた抄紙方法に関する。
特許文献1は、微結晶セルロースを含有するコーティング剤と、それを基材に塗布した積層材料に関する発明である。原料となる微結晶セルロース粉末は、平均粒径が100μm以下のものが好ましいことが記載され、実施例では、平均粒径が3μmと100μmのものが使用されているだけであり、抄紙用凝集剤の用途についての記載は全くない。
特許文献2には微細セルロース繊維に関する発明が開示されており、コーティング材として使用できる可能性が記載されているだけであり、抄紙用凝集剤についての記載は全くない。また、非特許文献1にも、抄紙用凝集剤の用途についての記載は全くない。
特開2002−348522号公報 特開2008−1728号公報 Bio MACROMOLECULES Volume7, Number6,2006年6月,Published by the American Chemical Society
本発明は、高い凝集力を発揮することから、歩留まり向上剤として使用できる、抄紙用凝集剤を提供することを課題とする。
本願発明は、課題の解決手段として、下記の各発明を提供する。
(1)セルロース繊維を含む抄紙用凝集剤であり、
前記セルロース繊維が、平均繊維径が200nm以下のものを含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのものである、抄紙用凝集剤。
(2)平均アスペクト比が10〜1000である、請求項1記載の抄紙用凝集剤。
(3)パルプスラリーの固形分100質量部に対して0.05〜10質量部を添加する、請求項1又は2記載の抄紙用凝集剤。
(4)抄造時に歩留り向上剤として使用する、請求項1〜3のいずれか1項記載の抄紙用凝集剤。
(5)抄造時に紙力増強剤として使用する、請求項1〜3のいずれか1項記載の抄紙用凝集剤。
(6)抄造時において、請求項1〜5のいずれか1項記載の抄紙用凝集剤とカチオン系凝集剤を併用する、抄紙方法。
本発明の抄紙用凝集剤は、抄造時に使用したとき、少量で高い凝集力を発揮できるので、抄紙用の歩留まり向上剤や紙力増強剤として適用することができる。
<抄紙用凝集剤>
本発明の抄紙用凝集剤は、セルロース繊維を含むものであり、前記セルロース繊維は、平均繊維径が200nm以下のものを含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのものである。
本発明で用いるセルロース繊維は、平均繊維径が200nm以下のものであり、好ましくは1〜200nm、より好ましくは1〜100nm、更に好ましくは1〜50nmのものである。平均繊維径は、実施例に記載の測定方法により、求められるものである。
本発明で用いるセルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量は、高いガスバリア性を得ることができる観点で、0.1〜2mmol/gであり、好ましくは0.4〜2mmol/g、より好ましくは0.6〜1.8mmol/gであり、更に好ましくは0.6〜1.6mmol/gである。カルボキシル基含有量は、実施例に記載の測定方法により、求められるものである。カルボキシル基含有量が0.1mmol/g未満であると、後述の繊維の微細化処理を行っても、セルロース繊維の平均繊維径が200nm以下に微細化されない。
なお、本発明で用いるセルロース繊維は、セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が上記範囲のものであるが、実際の製造過程における酸化処理等の制御状態によっては、酸化処理後のセルロース繊維中に前記範囲を超えるものが不純物として含まれることもあり得る。
本発明で用いるセルロース繊維は、平均アスペクト比が10〜1,000、より好ましくは10〜500、さらに好ましくは100〜350のものである。平均アスペクト比は、実施例に記載の測定方法により、求められるものである。
本発明で用いるセルロース繊維は、例えば、次の方法により製造することができる。まず、原料となる天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、約10〜1000倍量(質量基準)の水を加え、ミキサー等で処理して、スラリーにする。
原料となる天然繊維としては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、コットン、バクテリアセルロース等を用いることができる。
次に、触媒として2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMP
O)を使用して、前記天然繊維を酸化処理する。触媒としては他に、TEMPOの誘導体である4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、及び4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。
TEMPOの使用量は、原料として用いた天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、0.1〜10質量%となる範囲である。
酸化処理時には、TEMPOと共に、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤、臭化ナトリウム等の臭化物を共酸化剤として併用する。
酸化剤は次亜ハロゲン酸又はその塩、亜ハロゲン酸又はその塩、過ハロゲン酸又はその塩、過酸化水素、及び過有機酸などが使用可能であるが、好ましくは次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウムなどのアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩である。酸化剤の使用量は、原料として用いた天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、約1〜100質量%となる範囲である。
共酸化剤としては、臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウムを使用することが好ましい。共酸化剤の使用量は、原料として用いた天然繊維(絶対乾燥基準)に対して、約1〜30質量%となる範囲である。
スラリーのpHは、酸化反応を効率良く進行させる点から9〜12の範囲で維持されることが望ましい。
酸化処理の温度(前記スラリーの温度)は、1〜50℃において任意であるが、室温で反応可能であり、特に温度制御は必要としない。また反応時間は1〜240分間が望ましい。
酸化処理後に、使用した触媒等を水洗等により除去する。この段階では反応物繊維は微細化されていないので、水洗とろ過を繰り返す精製法で行うことができる。必要に応じて乾燥処理した繊維状や粉末状のガスバリア用材料の中間体(後述の微細化処理前のガスバリア用材料)を得ることができる。
その後、該中間体を水等の溶媒中に分散し、微細化処理をする。微細化処理は、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサーで所望の繊維幅や長さに調整することができる。この工程での固形分濃度は50質量%以下が好ましい。それを超えると分散にきわめて高いエネルギーを必要とすることから好ましくない。
このような微細化処理により、平均繊維径が200nm以下のセルロース繊維を得ることができ、更に平均アスペクト比が10〜1,000、より好ましくは10〜500、さらに好ましくは100〜350のものであるセルロース繊維を得ることができる。
その後、必要に応じて固形分濃度を調整した懸濁液状(目視的に無色透明又は不透明な液)又は必要に応じて乾燥処理した粉末状(但し、セルロース繊維が凝集した粉末状物であり、セルロース粒子を意味するものではない)を得ることができる。なお、懸濁液にするときは、水のみを使用したものでもよいし、水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用したものでもよい。
このような酸化処理及び微細化処理により、セルロース構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシル基へと選択的に酸化され、前記カルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのセルロースからなる、平均繊維径が200nm以下の微細化された高結晶性セルロース繊維を得ることができる。
この高結晶性セルロース繊維はセルロースI型結晶構造を有している。これは、このセルロース繊維は、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料が表面酸化されて、微細化された繊維であることを意味する。すなわち、天然セルロース繊維はその生合成の過程において生産されるミクロフィブリルと呼ばれる微細な繊維が多束化して高次な固体構造が構築されているが、そのミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、アルデヒド基あるいはカルボキシル基の導入によって弱め、さらに微細化処理を経ることで微細セルロース繊維が得られる。
そして、酸化処理条件を調整することにより、前記のカルボキシル基含有量を所定範囲内にて増減させて、極性を変化させ、該カルボキシル基の静電反発や前述の微細化処理により、セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
本発明の抄紙用凝集剤は、抄造時においてパルプスラリーに添加されるものであるが、その添加量は、パルプスラリーの固形分100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.3〜1質量部が更に好ましい。
本発明の抄紙用凝集剤は、抄造時においてパルプスラリーに添加したとき、パルプ繊維に対して吸着したり、絡み合ったりして、凝集作用が発揮され、高い強度のフロックを形成できることから、特に抄造時の歩留り向上剤や紙力増強剤として好適である。また、従来から用いられているポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、デンプン等の水溶性高分子と比較すると、本発明の抄紙用凝集剤は水不溶性であるため、離水性が高く、その結果、抄紙時の水切れが良好で乾燥効率に優れる。さらにパルプ繊維に対しては、荷電密度が低く、繊維状でアスペクト比が大きいため、物理的吸着に優れており、例えば界面活性剤が混じっているような水中においても優れた凝集作用を発揮する。
<抄紙方法>
本発明の抄紙用凝集剤を用いた抄紙方法は、例えば、特開2005−344274号公報に記載の方法(実施例1等)により、パルプスラリーを得た後、周知の抄紙機を用いた抄紙方法にて抄紙することができる。具体的には、次の第1又は第2の抄紙方法を適用することができる。なお、公知の填料、着色剤、薬剤も適宜添加することができる。
(第1の抄紙方法)
パルプスラリーに対して、被酸化性金属、保水剤を添加する工程、
次に、カチオン系凝集剤を添加する工程、
次に、本発明の抄紙用凝集剤を添加する工程、
抄紙工程。
(第2の抄紙方法)
パルプスラリーに対して、本発明の抄紙用凝集剤を添加する工程、
次に、被酸化性金属、保水剤を添加する工程、
次に、カチオン系凝集剤を添加する工程、
抄紙工程。
カチオン系の凝集剤としては、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄等の金属塩からなる無機凝集剤、ポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステル系、キトサン系、デンプン系、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドエピクロヒドリン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド系若しくはエチレンイミン系のアルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物等の高分子凝集剤等を挙げることができる。また、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の一価金属塩及び多価金属塩から選ばれるものを上げることができ、これらの中でも2価の金属塩が好ましい。
(1)セルロース繊維の平均繊維径、平均アスペクト比
セルロース繊維の平均繊維径は、0.0001質量%に希釈した懸濁液をマイカ上に滴下して乾燥したものを観察試料として、原子間力顕微鏡(Nanoscope III Tapping mode AFM、Digital instrument社製,プローブはナノセンサーズ社製Point Probe(NCH)使用)で繊維高さを測定した。セルロース繊維が確認できる画像において、5本以上抽出し、その繊維高さから平均繊維径を求めた。
平均アスペクト比は、セルロース繊維を水で希釈した希薄懸濁液(0.005〜0.04質量%)の粘度から算出した。粘度の測定には、レオメーター(MCR300、DG42(二重円筒)、PHYSICA社製)を用いて、20℃で測定した。セルロース繊維の質量濃度とセルロース繊維懸濁液の水に対する比粘度の関係から、次式でセルロース繊維のアスペクト比を逆算し、セルロース繊維の平均アスペクト比とした。
Figure 0005257933
(The Theory of Polymer Dynamics, M.DOI and D.F.EDWARDS, CLARENDON PRESS・OXFORD,1986,P312に記載の剛直棒状分子の粘度式(8.138)を利用した(ここでは、剛直棒状分子=セルロース繊維とした)。(8.138)式とLb2×ρ0=M/NAの関係から数式1が導出される。ここで、ηspは比粘度、πは円周率、lnは自然対数、Pはアスペクト比(L/b)、γ=0.8、ρsは分散媒の密度(kg/m3)、ρ0はセルロース結晶の密度(kg/m3)、Cはセルロースの質量濃度(C=ρ/ρs)、Lは繊維長、bは繊維幅(セルロース繊維断面は正方形とする)、ρはセルロース繊維の濃度(kg/m3)、Mは分子量、NAはアボガドロ数を表す)。
(2)セルロース繊維のカルボキシル基含有量(mmol/g)
酸化したパルプの絶乾重量約0.5gを100mlビーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mlとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加えてパルプ懸濁液を調製し、パルプが十分に分散するまでスタラーにて攪拌した。そして、0.1M塩酸を加えてpH2.5〜3.0としてから、自動滴定装置(AUT−501、東亜デイーケーケー(株)製)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で注入し、パルプ懸濁液の1分ごとの電導度とpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続けた。そして、得られた電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、カルボキシル基含有量を算出した。
天然セルロース繊維は、セルロース分子約20〜1500本が集まって形成される高結晶性ミクロフィブリルの集合体として存在する。本発明で採用しているTEMPO酸化反応では、この結晶性ミクロフィブリル表面に選択的にカルボキシル基を導入することができる。したがって、現実には結晶表面にのみカルボキシル基が導入されているが、上記測定方法によって定義されるカルボキシル基含有量はセルロース重量あたりの平均値である。
(3)ピークトップ強度(フロック強度)
フロッキーテスターODA−10(コーエイ工業(株)製)を用い、固形分濃度7.5重量%の原料スラリーを120rpmで回転させながら、凝集剤を添加し、フロックを形成させ、その際生じるフロッキーテスターの電圧出力の変化により測定した。
(4)抄造歩留まりの評価
抄紙ワイヤー上に残った固形分重量を仕込み固形分重量で除することにより抄造歩留まりを求めた。
実施例1〜3、比較例1
〔セルロース繊維懸濁液の調製〕
(1)原料、触媒、酸化剤、共酸化剤
天然繊維:針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名 「Machenzie」、CSF650ml)
TEMPO:市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98%)
次亜塩素酸ナトリウム:市販品(製造会社:和光純薬工業(株) Cl:5%)
臭化ナトリウム:市販品(製造会社:和光純薬工業(株))。
(2)製造手順
まず、上記の針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分攪拌後、パルプ質量100に対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム28.4質量%、次亜塩素酸ナトリウム14.2質量%をこの順で添加し、pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムの滴下にてpHを10.5に保持し、酸化反応を行った。
次に、120分の酸化時間で滴下を停止し、酸化パルプを得た。該酸化パルプをイオン交換水にて十分洗浄し、脱水処理を行った。その後、酸化パルプ100gとイオン交換水9900gをミキサー(Vita−Mix−Blender ABSOLUTE、大阪ケミカル(株)製)にて表1に示す解繊時間だけ攪拌することにより、繊維の微細化処理を行い、懸濁液を得た。得られたセルロース繊維懸濁液中の固形分濃度は、1.0質量%であった。セルロース繊維(表中、「CSNF」と表示している)の詳細は、表1に示すとおりであった。
Figure 0005257933
実施例4(第1の抄紙方法)、比較例2
パルプスラリー(固形分2質量%)の固形部100質量部に対して、被酸化性金属として鉄粉1050質量部、保水剤として活性炭100質量部を添加した。
パルプスラリー:パルプ繊維(NBKP、製造者:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Mackenzie」、CSF500ml、電荷量−3.14×10-6eq/g) 被酸化性金属:鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」)
保水剤:活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)
15秒後にカチオン系凝集剤としてポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(PAE)(星光PMC(株)製、商品名「WS4020」)を、前工程で得られたスラリー固形分100質量部に対して0.8質量部添加した。
更に30秒後に本発明の抄紙用凝集剤(CSNF1、3)と比較例1の凝集剤(CMC−Na)を図1に示す量だけ添加した。
次に、図2に示す時間撹拌した後、次の条件にて抄紙・乾燥した。
<抄造条件>
上記配合のスラリー組成物を用い、0.5質量%になるまで希釈し、JIS P8209に準じて幅250×250mmの角形シートマシーン(熊谷理機工業(株)製)を用いて、抄紙して湿潤状態のシート状の抄造成形体を作製した。
<乾燥条件>
KRK回転型乾燥機(熊谷理機工業(株)製)を用いて、含水率が1質量%以下となるように乾燥を行って抄造成形体を得た。なお、図1、図2の結果の一部を表2に示す。
図1、図2から明らかなとおり、CSNF−1、2、3を用いた実施例4は、CMC−Naを用いた比較例2と比べると、高い凝集力(フロック形成力)を示し、抄造時の歩留まりを向上させることができた。特に平均アスペクト比が高くなるほど高い凝集力(歩留まりの向上力)を示し、CSNF−3(平均アスペクト比が300を超える例)の場合は、少量にて高い歩留まり向上効果が認められた。
更に図1、図2で示される結果から、特に平均アスペクト比が大きな方が凝集力が高いという結果から、本発明の抄紙用凝集剤(CSNF−1、2、3)を用いた場合には、パルプ繊維へのCSNF−1、2、3の吸着乃至は絡み合いが生じているものと考えられることから、歩留まり向上剤としての使用に加えて、紙力増強剤としての使用もできるものと認められる。
Figure 0005257933
実施例5(第2の抄紙方法)、比較例3
パルプスラリー(固形分2質量%)の固形部100質量部に対して、被酸化性金属として鉄粉1050質量部、保水剤として活性炭100質量部を添加した。その原料スラリー(固形分7.5質量%)に対して、本発明の抄紙用凝集剤(CSNF1、3)を0.6質量部、また比較例1の凝集剤(CMC−Na)を0.72質量部添加した。
15秒後に、カチオン系凝集剤としてポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC(株)製、商品名「WS4020」)を、前工程で得られたスラリー固形分100質量部に対して0.8質量部添加した。
次に、図3に示す時間撹拌した後、実施例4と同様にして抄紙・乾燥した。なお、図3の結果の一部を表3に示す。
図3から明らかなとおり、CSNF−1、3を用いた実施例5は、CMC−Naを用いた比較例3と比べると、高い凝集力(フロック形成力)を示し、抄造時の歩留まりを向上させることができた。
Figure 0005257933
実施例4における凝集剤の添加量と抄造歩留まりの関係を示す図。 実施例4における凝集剤の撹拌時間と凝集時のフロック形成状態の関係を示す図。 実施例5における凝集剤の撹拌時間と凝集時のフロック形成状態の関係を示す図。

Claims (8)

  1. パルプスラリーを得た後の抄造時において、抄紙用凝集剤とカチオン系凝集剤を併用する抄紙方法であって、
    前記抄紙用凝集剤が、セルロース繊維を含む抄紙用凝集剤であり、前記セルロース繊維が、平均繊維径が200nm以下のものを含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのものである、抄紙方法
  2. パルプスラリーに対して、被酸化性金属、保水剤を添加する工程、
    次にカチオン系凝集剤を添加する工程、
    次に抄紙用凝集剤を添加する工程、および
    抄造工程を有している抄紙方法であって、
    前記抄紙用凝集剤が、セルロース繊維を含む抄紙用凝集剤であり、前記セルロース繊維が、平均繊維径が200nm以下のものを含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのものである、抄紙方法
  3. パルプスラリーに対して抄紙用凝集剤を添加する工程、
    次に被酸化性金属、保水剤を添加する工程、
    次にカチオン系凝集剤を添加する工程、および
    抄造工程を有している抄紙方法であって、
    前記抄紙用凝集剤が、セルロース繊維を含む抄紙用凝集剤であり、前記セルロース繊維が、平均繊維径が200nm以下のものを含み、前記セルロース繊維を構成するセルロースのカルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gのものである、抄紙方法
  4. 前記抄紙用凝集剤に含まれるセルロース繊維の平均アスペクト比が10〜1000である、請求項1〜3のいずれか1項記載の抄紙方法
  5. パルプスラリーの固形分100質量部に対して前記抄紙用凝集剤0.05〜10質量部を添加する、請求項1〜4のいずれか1項記載の抄紙方法
  6. 抄造時に歩留り向上剤として前記抄紙用凝集剤を使用する、請求項1〜のいずれか1項記載の抄紙方法
  7. 抄造時に紙力増強剤として前記抄紙用凝集剤を使用する、請求項1〜のいずれか1項記載の抄紙方法
  8. カチオン系凝集剤がポリアミドエピクロロヒドリン樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項記載の抄紙方法。
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