JP2016164293A - 導電性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な導電性を有し、かつ微細な線幅の電極又は電気配線等の低コストでの形成が可能な極狭ピッチ対応の導電性ペーストを提供する。
【解決手段】樹脂の表面が銀で被覆された球状の銀被覆樹脂と扁平状の銀粒子とを導電性フィラーとして含み、銀被覆樹脂と銀粒子の質量比が95:5〜5:95の範囲であり、導電性フィラーの含有割合が70〜90質量%であり、銀被覆樹脂の平均粒径が0.6〜6.0μmの範囲であり、銀粒子の平均粒径が5.5μm以下であり、銀被覆樹脂の比重が1.4〜6.0の範囲であり、銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合が20〜90質量%である導電性ペーストである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極又は電気配線等の形成に用いられる導電性ペーストに関する。更に詳しくは、良好な導電性を有し、かつ微細な線幅の電極又は電気配線等の低コストでの形成が可能な極狭ピッチ対応の導電性ペーストに関するものである。
導電性ペーストは、例えば半導体素子、電子機器又は電子表示装置等が備える電子部品(電極又は電気配線等)の形成に用いられる。導電性ペーストには、導電性フィラーとして主に銀粉が使用されており、この導電性ペーストは、上記導電性フィラーと、更にバインダー成分としての樹脂や、溶剤等の他の成分を混合してペースト状に調製される。導電性ペーストを用いて電極等を形成するには、先ず、導電性ペーストを基板等の表面に、スクリーン印刷法やオフセット印刷法等の塗工法により塗布して印刷パターンを形成する。次いで、形成した印刷パターンを所望の温度で乾燥又は焼成することにより電極等を形成する。このような導電性ペーストを用いた電極等の形成方法では、スパッタリング法等の乾式の方法で使用されるような多大な装置を必要としないこと等から、コスト面や材料の使用効率等の面で優れる。
一方、導電性ペーストを用いた形成方法においても、細線ピッチにおける導電性の更なる向上や信頼性の向上等、未だに多くの課題が残されており、例えば使用される導電性ペーストについては、これまでに多くの研究がなされ、様々な改良等が検討されている。例えば、特許文献1には、銀粒子(A)と、25℃において固体である樹脂(B)と、引火点50〜200℃の有機環状エーテル化合物(C)とを必須成分として含有し、かつ質量換算で、前記銀粒子(A)100部当たり前記有機環状エーテル化合物(C)15〜30部である導電性銀ペーストが開示されている。この導電性銀ペーストでは、グラビアオフセット印刷法等を用いて、高精細な導電性パターンを低温、かつ短時間で形成できるとされている。
また、バインダー成分に塩素化ポリエステル及び活性エネルギー線重合性化合物を利用した活性エネルギー線硬化型導電性インキ等も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この導電性インキでは、バインダー成分として、上記塩素化ポリエステル及び活性エネルギー線重合性化合物を含むことで、流動性が良好で低抵抗の回路が形成できるとされている。
また、導電性フィラーとして、球状粉と、所望の平均粒径を有するリン片状銀粉を所定の割合で混合させた銀粉等を用いた導電性ペースト等も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この導電性ペーストでは、球状粉以外に、形状の異なるリン片状銀粉を併用することにより、電気特性を向上させることができるとされている(例えば、特許文献3参照。)。また、導電性フィラーとして最適な導電性粉末であって、緻密性や密着性等を向上させることができる銀被覆球状樹脂等も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2012−38615号公報(請求項1、請求項8、段落[0009]) 特許第5212108号(請求項1、段落[0017]) 特許第5134352号(請求項10、段落[0013]) 国際公開第2012/023566号パンフレット(請求項1、請求項9、段落[0010])
しかしながら、上記従来の特許文献1に示された導電性銀ペーストは、特にグラビアオフセット印刷法に適したペーストとされているが、この印刷法に用いられる装置は、例えばスクリーン印刷法等に用いられるものに比べて大きいため、トータルコストが高くなる等の問題がある。
また、上記特許文献2に示された導電性インキでは、特定のバインダー成分を使用することにより、流動性や低抵抗化は達成されるものの、銀粉は比重が大きいことから、アスペクト比の高い(線幅が細くて高さがある)細線印刷が非常に困難であるという面等で課題がある。また、上記特許文献3に示された導電性ペーストでは、リン片状銀粉を併用することで、電気特性を向上させることができるが、上記特許文献2と同様、銀粉の比重が大きいため、アスペクト比の高い細線印刷が困難であるという課題等がある。また、上記特許文献4に示された銀被覆球状樹脂を、導電性フィラーとして用いた導電性ペーストでは、銀被覆状樹脂粉末のみを導電性フィラーとして使用していることから、配線材として必要な導電性が十分に得られないという問題がある。
また、近年、ディスプレイの狭額縁化等が進んでおり、回路配線等の線幅はL/S(ライン幅/ラインスペース幅)=50/50μm以下に形成することが求められている。また、塗布法としては、生産コストの面から、比較的低コストで形成可能なスクリーン印刷法等が特に望ましい。しかし、これまでに知られている従来の導電性ペースト等を用いて、スクリーン印刷法により微細な電極又は電気配線等の形成を行っても、印刷後の印刷パターンに滲みやかすれが生じ、直線性が悪化して、断線等の不具合も発生する場合があった。そのため、近年求められている微細な電極又は電気配線等の形成が可能であり、かつスクリーン印刷法等の低コストな印刷法に適した導電性ペーストの改良、開発が求められていた。
本発明の目的は、良好な導電性を有し、かつ微細な線幅の電極又は電気配線等の低コストでの形成が可能な導電性ペーストを提供することにある。
本発明の第1の観点は、樹脂の表面が銀で被覆された球状の銀被覆樹脂と扁平状の銀粒子とを導電性フィラーとして含み、銀被覆樹脂と銀粒子の質量比が95:5〜5:95の範囲であり、導電性フィラーの含有割合が70〜90質量%であり、銀被覆樹脂の平均粒径が0.6〜6.0μmの範囲であり、銀粒子の平均粒径が5.5μm以下であり、銀被覆樹脂の比重が1.4〜6.0の範囲であり、銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合が20〜90質量%である導電性ペーストである。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に銀被覆樹脂と銀粒子の質量比が85:15〜20:80であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に銀被覆樹脂の樹脂材質が、アクリル、フェノール、ポリスチレン、シリコーン、ポリアミド及びPTFEからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点に基づく発明であって、更に導電性フィラー以外に、エポキシ樹脂と、硬化剤と、溶剤とを更に含むことを特徴とする。
本発明の第1の観点の導電性ペーストは、樹脂の表面が銀で被覆された球状の銀被覆樹脂と扁平状の銀粒子とを導電性フィラーとして含み、銀被覆樹脂と銀粒子の質量比、組成物中に占める導電性フィラーの含有割合、銀被覆樹脂の平均粒径、銀粒子の平均粒径、銀被覆樹脂の比重、銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合が、それぞれ所望の範囲又は所定値以下に制御される。これまで、銀被覆樹脂と銀粒子の比重の違い等から、これらを単に混合しても不均一となり、これが導電性や成形性のばらつきを発生させる要因となっていたが、本発明の導電性ペーストでは、このような不具合を回避できる。即ち、この導電性ペーストは、導電性フィラーとして銀粒子以外に、比重等が所望の範囲に制御された銀被覆樹脂を含み、これらが均一に分散されるため、銀粒子が単独で含まれる導電性ペーストよりも、導電性フィラーの自重による印刷後のペースト(印刷パターン)形状が崩れにくく、印刷時の形状を比較的長時間保持できる。そのため、印刷後にペースト形状が崩れてにじんだり、線幅が広がることなく、微細な線幅に形成できる。また、高価な銀粒子を単独で含む導電性ペーストよりも銀使用量を減量でき、低コストで製造できるため、生産コストの面にも優れる。また、銀被覆樹脂以外に、所望の銀粒子を導電性フィラーとして含んでいるため、導電性フィラーとして銀被覆樹脂が単独で含まれる導電性ペーストよりも高い導電性が得られる点で優れる。
本発明の第2の観点の導電性ペーストでは、更に銀被覆樹脂と銀粒子の質量比が所望の範囲に制御されるため、上述の細線印刷時の精度向上や導電性向上の面で優れた効果が得られる。
本発明の第3の観点の導電性ペーストでは、銀被覆樹脂を構成する樹脂材質が、アクリル、フェノール、ポリスチレン、シリコーン、ポリアミド及びPTFEからなる群より選ばれた1種又は2種以上であるため、例えばポリエチレンやポリプロピレン等を樹脂として用いたものに比べて耐熱性の面で優れた効果が得られる。
本発明の第4の観点の導電性ペーストでは、導電性フィラー以外に、エポキシ樹脂と、硬化剤と、溶剤とを更に含む。導電性フィラー以外にこれらの成分を含むことでペーストとしての良好な塗布性や基板等との良好な密着性等の面での優れた効果が得られる。
次に本発明を実施するための形態について説明する。
この導電性ペーストは、樹脂の表面が銀で被覆された球状の銀被覆樹脂と扁平状の銀粒子とを導電性フィラーとして含む。
ペースト中に導電性フィラーとして含まれる銀被覆樹脂(銀被覆樹脂粒子)は、樹脂(樹脂粒子)と、樹脂表面を被覆する銀(銀被覆層)から構成される。なお、銀を被覆する前の樹脂表面に、予め錫吸着層等が設けられたものであっても良い。本発明において、導電性フィラーとして使用する銀被覆樹脂を球状のものに限定したのは、銀被覆樹脂が、例えば板状であると充填率が不足して細線印刷が非常に困難になるという不具合が生じるためである。なお、球状とは、完全な真球に限られず、楕円のような球形に近い形状や、表面に若干の凹凸がある形状等も含まれる。銀被覆樹脂は、長辺/短辺が好ましくは0.9〜1.1、更に好ましくは0.95〜1.05のものである。
銀被覆樹脂の平均粒径は、0.6〜6.0μmの範囲である。銀被覆樹脂の平均粒径を上記範囲に限定したのは、銀被覆樹脂の平均粒径が下限値未満では、凝集等の不具合が生じることから、被覆性の面で、良好な銀被覆樹脂が得られないからである。また、銀被覆樹脂の平均粒径が上限値を超えると、微細な線幅の電極又は配線等を形成することができない。このうち、銀被覆樹脂の平均粒径は、1.0〜3.0μmの範囲とするのが好ましい。なお、本明細書において、銀被覆樹脂の平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式名:SU−1500)を用いて、ソフトウェア(品名:PC SEM)により、倍率5000倍で、300個の銀被覆樹脂の直径を測定し、算出された平均値をいう。真球以外は長辺を平均した値をいう。また、銀被覆樹脂の平均粒径は、印刷パターンの形状保持性や、銀使用量の削減等の理由から、銀粒子の平均粒径よりも大きいものを使用することが望ましい。
また、銀被覆樹脂の比重は、1.4〜6.0の範囲である。銀被覆樹脂の比重を上記範囲に限定したのは、銀被覆樹脂の比重が下限値未満では、抵抗値が上がり、導電性に優れた電極又は配線等を形成することができないからである。また、銀被覆樹脂の比重が上限値を超えると、良好な流動性を持ったペーストが得られず、印刷時にかすれが生じる等、印刷性等の面で不具合が生じるため、良好な電極又は配線等を形成することができない。また、銀の使用量が増えるため、生産コストが上がる。このうち、銀被覆樹脂の比重は、2.5〜4.5の範囲とするのが好ましい。なお、銀の比重は、約10.49程度である。なお、銀被覆樹脂の比重とは、乾式測定法(測定装置:島津製作所社製 AccuPyc 1330)により測定された真比重をいう。
また、銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合は、20〜90質量%の範囲である。銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合を上記範囲に限定したのは、銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合が下限値未満では、抵抗値が上がり、導電性に優れた電極又は配線等を形成することができないからである。また、銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合が上限値を超えると、印刷時にかすれが生じる等、印刷性等の面で不具合が生じるため、良好な電極又は配線等を形成することができない。また、銀の使用量が増えるため、生産コストが上がる。このうち、銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合は、70〜90質量%の範囲とするのが好ましい。
銀によって被覆される銀被覆樹脂を構成する樹脂材質は、耐薬品性、耐熱性の理由から、アクリル、フェノール、ポリスチレン、シリコーン、ポリアミド及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる群より選ばれた1種又は2種以上であるのが好ましい。
この銀被覆樹脂を構成する樹脂には、平均粒径が、好ましくは0.5〜5μmの球状樹脂を用いるのが好ましい。それは、銀被覆樹脂を上述のような球状に形成するため、また、所望の比重、平均粒径を有する銀被覆樹脂を得るため等の理由からである。なお、ここでいう球状も、完全な真球に限られず、好ましくは長辺/短辺が1〜1.5、更に好ましくは1〜1.1のものが含まれる。また、球状樹脂の平均粒径は、上述の走査型電子顕微鏡にて、ソフトウェア(品名:PC SEM)により倍率5000倍で、300個の樹脂の直径を測定し、算出された平均値をいう。真球以外は長辺を平均した値をいう。更に、球状樹脂を使用する場合、球状樹脂の粒径の変動係数は、好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下であり、粒径が揃っているものを使用するのが好ましい。変動係数(CV値、単位:%)は、上記300個の球状粒子の粒子径から、式〔(標準偏差/平均粒径)×100〕により求める。
なお、銀を被覆する前の樹脂表面には、後述する前処理により、錫吸着層が設けられる。一般に、有機質材料や無機質材料などの不導体の表面に無電解めっきを実施する際、予め不導体の表面に対して触媒化処理を行う必要がある。前処理として、この触媒化処理を実施して、樹脂表面に錫吸着層を設けることで、後述する無電解めっきにより、銀(銀被覆層)が形成される。錫吸着層は、前処理で使用される錫化合物中の錫の2価イオンが、樹脂表面に付着することによって形成されたものである。銀被覆樹脂を構成する銀は、無電解めっきによって樹脂表面を被覆することにより形成される。
銀被覆樹脂は、以下の方法により、製造することができる。先ず、樹脂に、錫化合物の水溶液による前処理を行い(錫吸着層の形成工程)、次いで、前処理を行った樹脂に、還元剤を用いて無電解銀めっきを行う(銀被覆層の形成工程)。
前処理では、例えば、錫化合物の水溶液に樹脂を添加し、攪拌する。そして、球状樹脂を濾別して水洗する。攪拌時間は、以下の錫化合物の水溶液の温度及び錫化合物の含有量によって適宜決定されるが、好ましくは、0.5〜24時間である。
錫化合物の水溶液の温度は、好ましくは30〜45℃であり、より好ましくは35〜40℃である。錫化合物の水溶液の温度が30℃未満であると、温度低下により、水溶液の活性が低くなり、樹脂に錫化合物が十分に付着しない。一方、錫化合物の水溶液の温度が45℃より高い場合は、錫化合物が酸化するため、水溶液が不安定となり、樹脂に錫化合物が十分に付着しない。この前処理を30〜45℃の水溶液で実施することによって、適切な結晶子径の銀の結晶粒子を析出させることができる。このため、密着性、緻密性に優れた銀めっき層(銀被覆層)を形成できる。
前処理で使用する錫化合物としては、塩化第一錫、フッ化第一錫、臭化第一錫、ヨウ化第一錫等が挙げられる。塩化第一錫を用いる場合、錫化合物の水溶液中の塩化第一錫の含有量は、30〜100g/dm3が好ましい。塩化第一錫の含有量が30g/dm3以上であれば、均一な錫吸着層を形成しやすい。また、塩化第一錫の含有量が100g/dm3以下であると、塩化第一錫中の不可避不純物の量を抑制しやすい。なお、塩化第一錫は、飽和になるまで錫化合物の水溶液に含有させることができる。
錫化合物の水溶液は、塩化第一錫1gに対して、塩酸0.5〜2cm3を含有することが好ましい。塩酸の量が0.5cm3以上であると、塩化第一錫の溶解性が向上し、かつ錫の加水分解を抑制することができる。塩酸の量が2cm3以下であると、錫化合物の水溶液のpHが低くなり過ぎず、錫を樹脂に効率よく吸着させることができる。
無電解めっき法としては、(1)錯化剤、還元剤等を含む水溶液中に、前処理をした樹脂を浸漬し、銀塩水溶液を滴下する方法、(2)銀塩、錯化剤を含む水溶液中に、前処理をした樹脂を浸漬し、還元剤水溶液を滴下する方法、(3)銀塩、錯化剤、還元剤等を含む水溶液に、前処理をした樹脂を浸漬し、苛性アルカリ水溶液を滴下する方法が挙げられ、いずれの方法でも適用してもよい。
銀塩としては、硝酸銀或いは銀を硝酸に溶解したもの等を用いることができる。錯化剤としては、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、ニトロ三酢酸、トリエチレンテトラアンミン六酢酸等の塩類を用いることができる。還元剤としては、ホルマリン、ブドウ糖、ロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム)、ヒドラジン及びその誘導体等を用いることができる。還元剤としては、ホルムアルデヒドが好ましく、少なくともホルムアルデヒドを含む2種以上の還元剤の混合物がより好ましく、ホルムアルデヒドとブドウ糖を含む還元剤の混合物が最も好ましい。
ペースト中に導電性フィラーとして含まれる銀粒子は、扁平状の銀粒子である。扁平状の銀粒子に限定したのは、より高い導電性を得るためである。例えば、導電性フィラーとして球状の銀粒子を使用した場合、フィラー同士の接点が不足し、導電性が得られない等の不具合が生じる。銀粒子の平均粒径は5.5μm以下である。銀粒子の平均粒径が5.5μmを超えると、微細な線幅の電極又は配線等を形成することができない。なお、扁平状とは、アスペクト比(長辺/短辺)が2.0以上のものをいう。また、銀粒子の平均粒径とは、上述の走査型電子顕微鏡にて5000倍の倍率で観察し、観察された粒子の長辺と短辺の平均値を、更に観察した粒子300個の個数で平均した値をいう。導電性フィラーとして、銀被覆樹脂以外に、この扁平状の銀粒子を含ませることにより、銀被覆樹脂を単独で含ませた場合に比べて、より高い導電性が得られる点で優れる。
導電性ペーストには、上述の銀被覆樹脂と銀粒子を所定の割合で混合した導電性フィラーを使用する。銀被覆樹脂と銀粒子の質量比は95:5〜5:95の範囲とする。銀粒子の割合が上限値を超えると、銀被覆樹脂を添加することによる上述の効果が得られなくなる。一方、銀被覆樹脂の割合が上限値を超えると、抵抗値が上がり、導電性に優れた電極又は配線等を形成することができない。このうち、銀被覆樹脂と銀粒子の質量比(銀被覆樹脂:銀粒子)は、85:15〜20:80の範囲とするのが好ましい。
導電性ペーストに含ませる導電性フィラーの割合は、70〜90質量%である。導電性フィラーの割合が下限値未満では、抵抗値が上がり、導電性に優れた電極又は配線等を形成することができない。一方、導電性フィラーの割合が上限値を超えると、良好な流動性を持つペーストが得られないことから、印刷性の面で、良好な電極又は配線等を形成することができない。このうち、導電性ペーストに含ませる導電性フィラーの割合は、75〜85質量%とするのが好ましい。
導電性ペーストに含ませる導電性フィラー以外の他の成分には、一般的な導電性ペーストに用いられるものを使用でき、例えば樹脂成分、硬化剤、溶剤等が挙げられる。
樹脂成分としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等使用可能だが、本用途ではエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、例えばビフェニル型、ビフェニル混合型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂等が挙げられる。ビフェニル型、ビフェニル混合型では、日本化薬社製のNC3100、NC3000、NC3000L、CER−1020、CER−3000L、ジャパンエポキシレジン社製のYX4000、YX4000H、YL6121H等が挙げられる。また、クレゾールノボラック型では、大日本インキ化学工業社製のN−665−EXP−S等が挙げられる。また、ナフタレン型では、大日本インキ化学工業社製のHP4032等が挙げられる。更に、ジシクロペンタジエン型では、大日本インキ化学工業社製のHP7200L、HP7200等が挙げられる。また、これら以外に、ビスフェノールF型、ビスフェノールA型等のエポキシ樹脂も使用できる。ビスフェノールF型では、日本化薬社製のRE−303S、ジャパンエポキシレジン社製の806、806L、807、大日本インキ化学工業社製の830、830S、830−LVP、835、835−LV等が挙げられる。また、ビスフェノールA型では、ジャパンエポキシレジン社製のEPON825、827、大日本インキ化学工業社製の850−CRP等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用しても良い。
硬化剤としては、一般的に用いられるイミダゾール類、第3級アミン類又はフッ化ホウ素を含むルイス酸、或いはその化合物が好適である。イミダゾール類には、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。第3級アミン類には、ピペリジン、ベンジルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。フッ化ホウ素を含むルイス酸には、フッ化ホウ素モノエチルアミン等のフッ化ホウ素のアミン錯体が挙げられる。また、DICY(ジシアンジアミド)のような潜在性の高い硬化剤を用い、その促進剤として上記硬化剤を組み合わせて用いてもよい。
溶剤としては、ジオキサン、ヘキサン、トルエン、メチルセロソルブ、シクロヘキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルセルソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルセルソルブ、α−テルピネオール等が挙げられる。
導電性ペーストの調製方法は、先ず、好ましくは温度10〜30℃、更に好ましくは20℃の条件で、上記溶剤に上記エポキシ樹脂を混合する。このとき、エポキシ樹脂の割合は、溶剤100質量部に対して5〜85質量部とするのが好ましく、10〜70質量部とするのが特に好ましい。次に、上記硬化剤を適量混合し、更に上記導電性フィラーを添加して、例えば3本ロールミル等の混練機を用いて、導電性フィラーの分散状態を確認しながら混練し、ペースト化することにより導電性ペーストが調製される。このとき、調製される導電性ペーストに適性な粘度及び必要な流動性を持たせるため、また、上述の理由から、ペースト中に占める導電性フィラーが70〜90質量%となるように混合する。
また、導電性ペースト中に含まれるエポキシ樹脂と、導電性フィラーの割合は、質量比で5〜30:70〜95(樹脂:導電性フィラー)であることが好ましい。樹脂成分の割合を上記範囲内としたのは、樹脂成分が少なすぎると、印刷後の膜強度が不足して剥がれやすくなる等の不具合が生じる場合がある。一方、樹脂組成分が多すぎると、所望の導電性が得られにくくなる場合がある。
調整後の導電性ペーストは、粘度が好ましくは1〜600Pa・sに調製される。粘度がこの範囲に調整されることで印刷性や、印刷パターンの形状保持性の面で優れる。
このように調製された導電性ペーストは、例えば半導体素子、電子機器、電子表示装置等が備える電子部品(電極や配線等)の形成に好適に用いられる。これらの電極又は配線を形成するには、先ず、導電性ペーストを好ましくはスクリーン印刷等の塗布法により塗布して、所望の印刷パターンを形成する。この導電性ペーストでは、比重が小さい銀被覆樹脂を導電性フィラーとして含有することにより、比重が大きい銀粒子のみを導電性フィラーとして用いた導電性ペースト等に比べて、導電性フィラーの自重による印刷パターン(印刷後のペースト)の形状崩れが起こりにくく、印刷パターンの形状保持性の面で非常に優れる。一方、印刷時の印刷性は、かすれや剥がれ等の不具合を起こすことなく、良好に保たれる。印刷パターン形成後は、所望の温度で乾燥、焼成等を行う。焼成は、例えば、熱風循環炉等の装置を用いて、好ましくは150〜250℃の温度で0.5〜1時間保持することにより行う。
本発明の導電性ペーストが、上述の点で優れる理由は、導電性フィラーを同じ質量割合で含むペースト同士を比較した場合、比重が小さい銀被覆樹脂を導電性フィラーとして含む導電性ペーストは、例えば、導電性フィラーとして比重が大きい銀粒子を単独で含む導電性ペーストよりも、ペースト中における導電性フィラーの体積分率が高くなる。そのため、銀被覆樹脂を導電性フィラーとして含む導電性ペーストでは、ペースト中で、導電性フィラー同士が繋がった大きなクラスター又は凝集構造が形成される。導電性フィラー同士が結合力で繋がっているため、流動性を失いゲル化する。一方、強い結合力ではないため、せん断応力が加わると結合が切れ、クラスター又は凝集構造が崩れて適度な流動性が得られる。
そのため、印刷時において、せん断応力が加わった時には粘度が低下して適度な流動性が生じ、印刷性が良好に保たれ、一方、印刷後に、せん断応力が掛からなくなると粘度が増加して流動性を失い、印刷パターンの形状が保持される。即ち、せん断応力が加わった時には粘性優位となり、せん断応力が掛からなくなった時には弾性優位となることで、印刷時の印刷性と印刷後の保形性が両立される。
また、比重の範囲を所望の範囲に制御していることや銀粒子の形状等から、比重が大きい銀粒子が沈降して、塗布後のペースト中で、銀被覆樹脂と銀粒子が分離し、分布の偏りが生じることを防止できる。そのため、銀粒子を併用しても、印刷パターン形状の成形性を損なうことなく、良好に保たれ、また、形成後の電極等において導電性の偏りを生じさせない等の面でも優れる。このため、印刷後に、印刷パターンが滲んだり、線幅が広がってしまうといった不具合を生じさせることなく、微細な線幅の電極又は配線を形成することができる。また、銀被覆樹脂以外に銀粒子を含んでいるため、銀被覆樹脂のみを含む導電性ペーストのように、導電性が大幅に低下することもなく、低抵抗の電極等が得られる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、塩化第一錫20gと、濃度が35%の塩酸20cm3を、容量1dm3のメスフラスコを用いて水で1dm3に希釈(メスアップ)し、25℃に保温した。この水溶液に、平均粒径が2.0μmであり、かつ粒径の変動係数が2%のアクリル樹脂50gを添加して、5時間撹拌し、その後、アクリル樹脂を濾別して水洗することにより前処理を行った。
次に、上記前処理により表面に錫被覆層が形成されたアクリル樹脂に、無電解めっきにより銀被覆層を形成するため、水2dm3に、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)450g、水酸化ナトリウム172g、37%濃度のホルマリン(還元剤)168cm3を溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、硝酸銀183g、25%濃度のアンモニア水183cm3、水366cm3を混合し、硝酸銀を含む水溶液を作製した。
次に、上記調製した錯化剤及び還元剤を含む水溶液中に、上記前処理後のアクリル樹脂を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、硝酸銀を含む水溶液を滴下することにより、以下の表1に示す、平均粒径が2.2μmの球状の銀被覆樹脂を得た。銀被覆樹脂は、その後、水洗して乾燥させた。
続いて、上記球状の銀被覆樹脂と、以下の表1に示す銀粒子を所定の割合で混合させた導電性フィラーを用いて、導電性ペーストを調製した。なお、使用した銀粒子のアスペクト比(長辺/短辺)は4.5であった。具体的には、先ず、上記導電性フィラー以外に、樹脂成分としてビフェニル型エポキシ樹脂組成物(日本化薬社製、製品名:NC3100)及びビスフェノールF型エポキシ樹脂組成物(ジャパンエポキシレジン社製、製品名:807)を、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤の2−エチル−4−メチルイミダゾールを、また溶剤としてブチルカルビトールアセテートを用意した。
次に、温度30℃の条件で、溶剤100質量部に対し、ビフェニル型エポキシ樹脂40質量部を混合し、更にこの混合物に、溶剤100質量部に対してビスフェノールF型エポキシ樹脂10質量部を混合した。更に、この混合物に硬化剤を適量添加した。そして、この硬化剤添加後の混合物に、調製後のペースト中に含まれる導電性フィラーの割合が80質量%になるように、かつ導電性フィラーと樹脂成分の質量比が80:6(導電性フィラー:樹脂)になるように、上記導電性フィラーを添加して3本ロールミルにて混練し、ペースト化することにより導電性ペーストを調製した。
<実施例2,3>
以下の表1に示すように、銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例4>
平均粒径が5.0μm、粒径の変動係数が2.5%のフェノール樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が6.0μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例5>
平均粒径が5.0μm、粒径の変動係数が3%のポリスチレン樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が5.3μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例6>
平均粒径が2.0μm、粒径の変動係数が4.5%のシリコーン樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が2.3μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例7>
平均粒径が5.0μm、粒径の変動係数が3%のポリアミド樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が5.3μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例8>
平均粒径が3.0μm、粒径の変動係数が3%のPTFE樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が3.3μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例9>
平均粒径が0.5μm、粒径の変動係数が6%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が0.6μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例10>
以下の表1に示す平均粒径の銀粒子を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。なお、使用した銀粒子のアスペクト比(長辺/短辺)は10.0であった。
<実施例11>
実施例1と同じ、平均粒径が2.0μm、粒径の変動係数が2%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が2.5μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例12>
実施例1と同じ、平均粒径が2.0μm、粒径の変動係数が2%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が2.3μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、以下の表1に示す平均粒径の銀粒子を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例13>
以下の表1に示すように、銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例11と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例14>
以下の表1に示すように、銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<実施例15>
平均粒径が5.9μm、粒径の変動係数が5%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が6.0μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、及び銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<比較例1,2>
以下の表1に示すように、銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<比較例3,4>
以下の表1に示すように、調製後のペースト中に含まれる導電性フィラーの割合を変更したこと以外は、実施例3と同様にして、導電性ペーストを調製した。なお、比較例3,4では、導電性ペーストを調製する際、上述の混合物中の成分比を変更するとともに、比較例3では、導電性フィラーと樹脂成分の質量比が69:10になるように、また比較例4では、91:3になるように調製した。
<比較例5>
平均粒径が0.40μm、粒径の変動係数が6%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が0.45μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと以外は、実施例3と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<比較例6>
平均粒径が6.0μm、粒径の変動係数が5%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が6.5μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと以外は、実施例3と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<比較例7>
以下の表1に示す平均粒径の銀粒子を導電性フィラーとして用いたこと以外は、実施例3と同様にして、導電性ペーストを調製した。なお、使用した銀粒子のアスペクト比(長辺/短辺)は3であった。
<比較例8>
平均粒径が5.9μm、粒径の変動係数が5%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が6.0μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと、銀被覆樹脂と銀粒子の割合を変更したこと及び調製後のペースト中に含まれる導電性フィラーの割合を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<比較例9>
平均粒径が2.0μm、粒径の変動係数が2%のアクリル樹脂を用い、かつ前処理、無電解めっきの際の条件を変更して得られた、以下の表1に示す平均粒径が2.6μmの球状の銀被覆樹脂を導電性フィラーとして用いたこと以外は、実施例3と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<比較例10,11>
導電性フィラーとして銀被覆樹脂を使用せず、以下の表1に示す銀粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性ペーストを調製した。
<比較試験及び評価>
実施例1〜15及び比較例1〜11で調製した導電性ペーストについて、以下の方法により、スクリーン印刷性を評価した。また、実施例1〜15及び比較例1〜11で調製した導電性ペーストを用いて電極を形成し、導電性(比抵抗)についての評価を行った。これらの結果を、以下の表1に示す。
(i) スクリーン印刷性:スクリーン印刷法により100×100mm角の基板上に印刷されたパターンについて、パターン形状が確認できた場合を「良」とし、印刷時のかすれ等でパターン形状が僅かに乱れた場合を「可」とし、また印刷時にレオロジー特性の関係からパターンが全く印刷できなかったり、著しいかすれによりライン欠損が全体にわたってみられた場合を「不可」とした。なお、「−」は、評価ができなかった場合を示す。
(ii) 比抵抗:得られた導電性ペーストをスクリーン印刷法を用いて100×100mm角の基板上に印刷塗布した後、この基板を熱風循環炉に投入し、200℃の温度で30分間焼成して形成した電極について、四端子四探針方式の表面固有抵抗表面抵抗計(三菱化学社製、ローレスタ)を用いて測定した表面抵抗値と、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK−9600)を用いて測定した膜厚の値から、比抵抗を算出した。表1中、「優」は1.0×10-4Ω・cm以下であった場合を示し、「良」は1.0×10-4Ω・cmを超え6.0×10-4Ω・cm未満であった場合を示し、「不可」は6.0×10-4Ω・cm以上であった場合を示す。なお、「−」は評価ができなかった場合を示す。
Figure 2016164293
表1から明らかなように、実施例1〜15と比較例1〜11を比較すると、銀被覆樹脂の割合が下限値に満たない比較例1では、銀粒子の割合が多くなりすぎてペーストの流動性が悪化し、印刷性が「不可」となった。一方、銀粒子の割合が下限値に満たない比較例2では、導電性が大幅に低下した。
また、ペースト中に占める導電性フィラーの割合が下限値に満たない比較例3では、良好な導電性が得られなかった。一方、ペースト中に占める導電性フィラーの割合が上限値を超える比較例4では、良好な導電性は得られたものの、多少のにじみがみられ、印刷性が「可」の評価に留まった。
また、銀被覆樹脂の平均粒径が下限値に満たない比較例5では、銀被覆樹脂の銀被覆が不良となって評価ができなかった。一方、銀被覆樹脂の平均粒径が上限値を超える比較例6では、目標のライン幅より広くなり、印刷性が「不可」となった。また、銀粒子の平均粒径が上限値を超える比較例7でも、目標のライン幅より広くなり、印刷性が「不可」となった。
また、銀被覆樹脂の比重、銀被覆樹脂の銀の割合が下限値に満たない比較例8では、銀の不足により導電性が大幅に低下した。一方、銀被覆樹脂の銀の割合が上限値を超える比較例9では、均一なペーストが得られず、印刷性が「不可」となった。
また、導電性フィラーとして銀被覆樹脂を使用せず、銀粒子のみを使用した比較例10,11では、良好な印刷性は得られたが、銀粒子が沈降してライン幅が目標よりも広くなり、印刷性が「不可」となった。
これに対して、導電性フィラーとして銀被覆樹脂と銀粒子を所望の割合で含む実施例1〜15では、印刷性、導電性のいずれの評価においても「良」以上の優れた結果が得られた。
本発明の導電性ペーストは、特に、微細な線幅での形成が要求される半導体素子、電子機器又は電子表示機器等が備える電子部品(電極又は電気配線等)の形成に好適に利用できる。また、本技術を応用することにより、より微細な線幅の配線が期待される感光性銀ペーストへの展開も可能である。

Claims (4)

  1. 樹脂の表面が銀で被覆された球状の銀被覆樹脂と扁平状の銀粒子とを導電性フィラーとして含み、
    前記銀被覆樹脂と前記銀粒子の質量比が95:5〜5:95の範囲であり、
    前記導電性フィラーの含有割合が70〜90質量%であり、
    前記銀被覆樹脂の平均粒径が0.6〜6.0μmの範囲であり、
    前記銀粒子の平均粒径が5.5μm以下であり、
    前記銀被覆樹脂の比重が1.4〜6.0の範囲であり、
    前記銀被覆樹脂に占める銀被覆層の銀の割合が20〜90質量%である導電性ペースト。
  2. 前記銀被覆樹脂と前記銀粒子の質量比が85:15〜20:80である請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 前記銀被覆樹脂の樹脂材質が、アクリル、フェノール、ポリスチレン、シリコーン、ポリアミド及びPTFEからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項1又は2記載の導電性ペースト。
  4. 前記導電性フィラー以外に、エポキシ樹脂と、硬化剤と、溶剤とを更に含む請求項1ないし3いずれか1項に記載の導電性ペースト。
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