JP2016219129A - 金属被覆導電性粒子及び該粒子を含有する導電性材料 - Google Patents

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Hiroto Akaike
寛人 赤池
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Abstract

【課題】耐エレクトロケミカルマイグレーション性及び耐酸化性に優れ、導電性ペースト等の導電性材料に含まれる導電性フィラーとして好適な金属被覆導電性粒子及びこの金属被覆導電性粒子を含有する導電性材料を提供する。【解決手段】金属被覆導電性粒子は、非金属粒子を母粒子とし、この母粒子の表面が銅層で被覆され、この銅層の表面が銀層で被覆され、この銀層の表面が有機物撥水層で被覆された構造を有する。有機物撥水層がスルフィド化合物又はチオール化合物を主成分とする硫黄含有化合物、ベンゾトリアゾール化合物又はポリオキシエチレンエーテル類界面活性剤のいずれかを用いて形成された被覆層であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、耐エレクトロケミカルマイグレーション性及び耐酸化性に優れ、導電性ペースト等の導電性材料に含まれる導電性フィラーとして好適な金属被覆導電性粒子及びこの金属被覆導電性粒子を含有する導電性材料に関する。
従来、導電性ペースト等の導電性材料に含まれる導電性フィラーとして、アクリル系樹脂等の球状樹脂粒子表面に、錫層を介して銀を被覆させた銀被覆球状樹脂粒子が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この銀被覆球状樹脂粒子によれば、銀よりも低比重の樹脂を使用し、その表面に銀を被覆する構造とすることにより、低比重で、しかも銀と同等の導電性が得られる。また、銀粉を導電性フィラーとして使用した導電性ペーストに比べて、コストの高い銀使用量が抑えられるため、生産コストの面等でも優れる。また、この銀被覆球状樹脂粒子は、アクリル系樹脂等の弾性を持つ母粒子表面を金属で被覆する構造になっており、フィラーの潰れ方や回復率が適度であることから、異方性導電材料や導電スペーサに使用される導電性フィラーとしても好適に使用される。
また、樹脂微粒子の表面に銅層が形成され、この銅層の厚み方向の切断面におけるボイドに相当する領域の面積比が5%以下であって、銅層を構成する銅の平均結晶子径が40nm以上であることを特徴とする導電性微粒子が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この導電性微粒子は、初期接続抵抗が低く、かつ長期間保存しても接続抵抗が上昇しにくい特長がある。また特許文献2には、銅層の表面に、更にリフロー工程により溶融して電極に接合し、面接触での高い導通を実現させるために、低融点金属層を有する導電性微粒子が開示され、低融点金属層を構成する低融点金属としては、電極に対する濡れ性や接合部の強度が良好であることから、錫−銀合金が好ましい旨が記載されている。
特許第5497183号公報(請求項1、段落[0009]、段落[0010]、段落[0012]) 特許第4352097号公報(請求項1、段落[0006]、段落[0021]、段落[0022])
しかし、上記従来の特許文献1に示された銀被覆球状樹脂粒子では、樹脂粒子の最外層が銀単層で構成されていることから、また上記従来の特許文献2に示された導電性微粒子では、導電性微粒子の最外層が銅層又は低融点金属層で構成されていることから、それぞれこれらの粒子を含む導電性ペーストを調製し、電極や電気配線等を作製した場合、エレクトロケミカルマイグレーションが起こる場合がある。エレクトロケミカルマイグレーションとは、電極や電気配線等の電子部品に使用している金属成分(導電性フィラー等)が電気化学的な要因により、付着水分中にイオンとして溶出及び還元を繰り返すことで絶縁物の表面や内部を移動する現象をいい、銀、鉛、錫、銅等の金属(以下、易マイグレーション金属)でこの現象が確認されており、特に銀において最もこの現象が生じやすい。この現象が起きると電子部品等において、配線間にて短絡するおそれがある。また、上記従来の特許文献2に示される、微粒子表面が銅層と低融点金属層の2層の金属層で被覆された導電性微粒子は、最外層に銀を含む場合では耐マイグレーション性が十分でなく、その他の金属を用いている場合においては十分な導電性が得られなかった。
本発明の目的は、耐エレクトロケミカルマイグレーション性及び耐酸化性に優れ、導電性ペースト等の導電性材料に含まれる導電性フィラーとして好適な金属被覆導電性粒子及びこの粒子を含有する導電性材料を提供することにある。
本発明の第1の観点は、非金属粒子を母粒子とし、この母粒子の表面が銅層で被覆され、この銅層の表面が銀層で被覆され、この銀層の表面が有機物撥水層で被覆された構造を有する金属被覆導電性粒子である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記有機物撥水層がスルフィド化合物又はチオール化合物を主成分とする硫黄含有化合物、ベンゾトリアゾール化合物又はポリオキシエチレンエーテル類界面活性剤のいずれかを用いて形成された被覆層であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の金属被覆導電性粒子を含有する導電性材料である。
本発明の第1の観点の金属被覆導電性粒子では、非金属粒子である母粒子の表面が銅層で被覆され、またこの銅層の表面が銀層で被覆され、更に銀層の表面が有機物撥水層によって更に被覆されている構造を持つため、有機物撥水層による撥水性により銀層への水分付着を防止することでエレクトロケミカルマイグレーションを抑制することができるとともに、銅層が露出したときでも、露出した銅層の酸化を抑制することができる。
本発明の第2の観点の金属被覆導電性粒子では、有機物撥水層がスルフィド化合物又はチオール化合物を主成分とする硫黄含有化合物、ベンゾトリアゾール化合物又はポリオキシエチレンエーテル類界面活性剤のいずれかを用いて形成されている。スルフィド化合物やチオール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ポリオキシエチレンエーテル類は、特に銀への結合力が強いことから、これらを主成分とする有機物撥水層を形成することにより有機物撥水層を形成するその他の化合物と比較して、より銀層への密着性が高められる。例えば、脂肪族カルボン酸や脂肪族アミンといった吸着性の化合物等を主成分として有機物撥水層を形成したものに比べ、加熱時や有機溶媒中での保存性が高められ、耐エレクトロケミカルマイグレーション性が向上する。
本発明の第3の観点の導電性材料は、本発明の金属被覆導電性粒子を導電性フィラーとして含有するため、形成した電気配線又は電極等において、或いは電子部品の接合等に際して良好な導電性が得られるとともに、エレクトロケミカルマイグレーションに起因する絶縁不良等の不具合を抑制することができるという優れた効果が得られる。
実施例1で得られた金属被覆導電性粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したときの写真図である。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
〔金属被覆導電性粒子〕
本発明の金属被覆導電性粒子は、非金属粒子を母粒子とし、この母粒子の表面が銅層で被覆され、この銅層の表面が銀層で被覆され、更にこの銀層の表面が有機物撥水層で被覆された構造を有する。このため、母粒子の表面を銅層だけで被覆した場合、銅層は酸化され易いが、この銅層を銀で被覆することにより銅層の酸化が抑制される。また銀層を最外層のみで構成した場合、銀のエレクトロケミカルマイグレーションが生じやすいが、有機物撥水層で銀層を被覆するためエレクトロケミカルマイグレーションの原因となる水分の吸着を抑えることができる。またこの金属被覆導電性粒子では、仮に粒子表面に水分が吸着した際にはよりイオン化傾向の大きく、マイグレーション速度が銀より大幅に遅い金属である銅が先に溶出するため、銀のエレクトロケミカルマイグレーションを抑制するとともに、最外層に有機物撥水層を被覆することで、銀が銅より先に溶出することを防ぎ、エレクトロケミカルマイグレーション防止の信頼性を向上させることができる。
本発明の金属被覆導電性粒子の平均粒径は、微細配線中の導電フィラーに応用するため、0.5〜40μmであることが好ましく、1.5〜10μmであることが更に好ましい。また、粒径が揃っていないと、導電性フィラーとして用いるときの導電性付与の再現性等を損ねる原因になり得る。このため、金属被覆導電性粒子の粒径の変動係数が5.0%以下であり、粒径が揃っていることがより好ましい。金属被覆導電性粒子の形状は、球状に限らず、扁平状、棒状のものであっても良いが、異方性導電材料中の導電フィラーとして用いられる場合は球状であることが好ましい。その理由は、粒径の揃った球状の粒子でないと、配線間の均一な導通接続が確保できないためである。また、導電性ペーストにおいても、球状の方が導電性フィラーの体積充填率を算出しやすいといった利点がある。なお、球状とは、完全な真球に限られず、楕円のような球形に近い形状や、表面に若干の凹凸がある形状等も含まれる。
また、金属被覆導電性粒子の撥水性は、水に対する接触角で特定することができる。具体的には、多数の金属被覆導電性粒子を型内に充填して、14.7MPa(150kg/cm)の圧力で印加することによりペレット状の成型体を形成し、その成型体の表面に水滴を滴下して、その水滴の接触角を求める。水接触角は125度以上であることが好ましい。その接触角が125度未満であると、環境雰囲気から水分を吸着してイオンの溶出が起き、エレクトロケミカルマイグレーションが生じ易い。また、金属被覆導電性粒子の導電性は、上記構成により、粉体体積抵抗率が好ましくは1×10−2Ω・cm以下、更には好ましくは3×10−3Ω・cm以下を示す。粉体体積抵抗率が1×10−2Ω・cmよりも高いと、抵抗値が高いため、導電性材料として不適である。ここで、粉体体積抵抗率は、金属被覆導電性粒子を圧力容器に入れて9.8MPaで圧縮して圧粉体とし、この圧粉体の抵抗値をデジタルマルチメーターによって測定される値である。
〔母粒子〕
母粒子は、実質的に球状の粒子であればよく、例えば、完全な球形の粒子、楕円のような球形に近い形状の粒子、表面に若干の凹凸がある粒子が含まれる。母粒子の形状は球形に近いほど好ましい。母粒子の形状が鋭利な突片を呈する場合、めっき被膜の密着性を損ねたり、分散性を減退させたりする場合がある。また、金属被覆導電性粒子を導電性フィラーとして用いるときの導電性付与の再現性等を損ねる原因になる。
母粒子には、非金属製の粒子が用いられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリカ、アルミナからなる粒子を使用することができる。この金属被覆導電性粒子を異方性導電接着剤や異方性導電フィルム等の用途で使用する場合は、これら異方性導電接着剤や異方性導電フィルム等に要求される特性(フィラーに荷重による負荷を与えたときのフィラーの潰れ方及び荷重を除荷したときの回復率等)の観点から、母粒子は、アクリル系樹脂又はスチレン系樹脂からなることが好ましい。アクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)等が挙げられる。
母粒子の平均粒径は0.3〜39.5μmであることが好ましく、1.0〜9.5μmであることが更に好ましい。母粒子の粒径の変動係数は、5.0%以下であり、粒径が揃っていることが好ましい。母粒子の平均粒径が0.3μm未満であると、母粒子の表面積が大きくなり、導電性フィラーとして必要な導電性を得るために銀の含有量を多くする必要があるため、銀粒子を用いる場合と比較してコストメリットが小さくなる。また、粒子同士が架橋凝集しやすくなり、所望の粒子径を持った金属被覆粒子が得られにくくなるといった問題も生じる。母粒子の平均粒径が39.5μmを超えると、金属被覆導電性粒子を微細なパターンへ応用することが難しくなる。また、粒径が揃っていないと、導電性フィラーとして用いるときの導電性付与の再現性等を損ねる原因になり得る。このため、金属被覆導電性粒子の粒径の変動係数が5.0%以下であり、粒径が揃っていることがより好ましい。
ここで、本明細書中、母粒子又は金属被覆導電性粒子等の粒子の平均粒径とは、株式会社日立ハイテクノロジーズ製走査型電子顕微鏡(型番:S−4300SE)を用いて、ソフトウェア(品名:PC SEM)により、倍率:2000倍で、300個の粒子の直径を測定し、この測定値から算出した平均値をいう。また、変動係数(CV値、単位:%)とは、上記300個の粒子の粒子径から、式:〔(標準偏差/平均粒径)×100〕により求めた値である。
〔銅層〕
金属被覆導電性粒子における銅層の厚さは所望する導電性及び銀層との質量比率により決められ、銀層100質量部に対して銅層30〜500質量部であることが好ましく、50〜150質量部が更に好ましい。銅層が銀層100質量部に対して30質量部未満であると、銀のエレクトロマイグレーションの抑制効果が不十分になり易い。一方、銅層が銀層100質量部に対して500質量部を超えると、銅の表面積が大きくなり、銀層被覆の際に銀めっき液が銅層を十分にカバーできず、未被覆の部位が生じ易くなる。
〔銀層〕
金属被覆導電性粒子における銀層の厚さは所望する導電性により決められ、5〜1000nmの範囲にあることが好ましい、銀層の厚さが5nmよりも小さいと、銀層の下層である銅層の酸化を防止しにくくなり、また導電性フィラーとして金属被覆導電性粒子が分散したときに、銀同士の接点が取り難く、十分な導電性を付与しにくい。一方、銀層の厚さが1000nmより大きいと、比重が大きくなり、コストも高くなるにも拘わらず、導電性が飽和し易くなる。
〔有機物撥水層〕
有機物撥水層は、スルフィド化合物又はチオール化合物を主成分とする硫黄含有化合物、ベンゾトリアゾール化合物又はポリオキシエチレンエーテル類界面活性剤のいずれかを用いて形成された層であることが好ましい。この有機物撥水層は、後述するように、パラジウム層又は金層を形成した粒子を、上記スルフィド化合物等の有機化合物が含まれる溶液に浸漬して撹拌混合し、乾燥することにより形成される。最外金属層である銀層の表面上にこの有機物撥水層が形成されることで、有機物撥水層が有する撥水性により、エレクトロケミカルマイグレーションの抑制効果がより高められる。また、この有機物撥水層は単層で、均一に銀層の表面を被覆していることが好ましい。しかし所定の撥水性が得られていれば、多層の形態で被覆しても、或いは未被覆の部分が多少存在してもよい。有機物撥水層は十分な撥水性を有し、かつ金属層の導電性を阻害しない程度の分子量であることが望まれることから、炭素数4〜40の有機化合物により形成されるのが特に好ましい。なお、有機物撥水層が形成されているか否かを評価する方法としては、後述のような接触角を測定する方法の他に、熱分解GC/MSにより有機物撥水層の熱分解物を観測する方法が挙げられる。
〔金属被覆導電性粒子の製造方法〕
続いて、本発明の金属被覆導電性粒子を製造する方法について説明する。本発明の金属被覆導電性粒子の製造方法は、母粒子表面に触媒を付与する工程と、触媒を付与した母粒子を銅イオン及び還元剤を含む無電解銅めっき液で処理する銅めっき工程と、銅めっきした母粒子を銀イオン、錯化剤及び安定剤を含む無電解銀めっき液で処理する銀めっき工程と、粒子表面に銅層と銀層が形成された母粒子を、撥水層を形成するスルフィド化合物等の有機化合物や撥水層形成を補助する添加物を含む溶液に浸漬して撹拌混合し、乾燥する工程とを含む。
〔触媒付与工程〕
この触媒付与工程では、母粒子表面にパラジウム又はパラジウム−錫触媒を付着させ、この触媒を塩酸、硫酸等を用いて母粒子表面を活性化させる。この触媒を母粒子に付着させるには、母粒子をイオン交換水等の純水に分散してスラリーを調製する。このスラリーを攪拌しながら、例えばスラリーに塩化パラジウムの塩酸酸性溶液、又は塩化パラジウム、塩化錫の塩酸酸性溶液を添加し、20〜40℃の温度で10〜60分間保持する。保持した後、スラリーを水洗して、イオン置換により母粒子表面にパラジウム又はパラジウム−錫が析出した母粒子、即ち触媒が付与された母粒子を得る。母粒子表面にパラジウム又はパラジウム−錫触媒を付着し易くするための母粒子に対してクロム酸カリウム溶液、過マンガン酸カリウム溶液又は過硫酸ナトリウム溶液等を用いた親水化及びエッチング等の前処理を行ってもよい。
〔銅めっき工程〕
銅塩、錯化剤及び安定化剤をイオン交換水等の純水に溶解した銅めっき液を調製する。一方、触媒が付与された母粒子をイオン交換水等の純水に分散してスラリーを調製し、このスラリーに還元剤、界面活性剤を添加し、これを攪拌しながら50〜80℃まで昇温する。この昇温したスラリーを攪拌しながら、このスラリーに上記銅めっき液を滴下して、母粒子表面に銅が析出した母粒子、即ち母粒子表面が銅層で被覆された母粒子を得る。ここで、銅塩としては、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、水酸化銅、スルファミン酸銅、炭酸銅、酸化銅等が挙げられる。これらの中で硫酸銅、塩化銅が好ましい。錯化剤としては、ロッシェル塩、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、トリエチレンテトラアンミン六酢酸、イミダゾール、イミダゾール誘導体等が挙げられる。還元剤としては、ホルムアルデヒド、ヒドラジン及びその誘導体、二価コバルト塩、二価クロム塩等が挙げられる。還元剤としては、還元力の強さから、ホルムアルデヒドが好ましい。また安定化剤としては、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、チオシアン化カリウム、2,2’-ビピリジル、2,2’−ジピリジン、グルコン酸ナトリウム、2,2’−ビキノリン、ジチゾン、ジフェニルカルバジド、ニコチン酸、チオ尿素等が挙げられる。更に界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
〔銀めっき工程〕
銀塩、錯化剤及び安定化剤をイオン交換水等の純水に溶解した銀めっき液を調製する。一方、銅層で被覆された母粒子をイオン交換水等の純水に分散してスラリーを調製し、このスラリーに安定化剤、界面活性剤を添加し、これを攪拌し、15〜30℃の温度に調整する。この昇温したスラリーを攪拌しながら、このスラリーに上記銀めっき液を滴下して、母粒子表面の銅層に銀が析出した母粒子を得る。即ち銅層の表面が銀層で被覆された母粒子を得る。ここで、銀塩としては、硝酸銀或いは銀を硝酸に溶解したもの、酢酸銀、アセチルアセトナト銀、メタンスルホン酸銀、ハロゲン化銀、酸化銀等が挙げられる。錯化剤としては、ヨウ化カリウム、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、チオ硫酸ナトリウム、コハク酸塩、コハク酸イミド、クエン酸塩等が挙げられる。また安定化剤としては、メタンスルホン酸、ロッシェル塩、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。更に界面活性剤としては、エチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
有機物撥水層を形成する方法としては、パラジウム層又は金層を形成した粒子を、撥水層を形成するスルフィド化合物等の有機化合物や撥水層形成を補助する添加物を含む溶液に浸漬して撹拌混合し、乾燥する方法等が挙げられる。
有機物撥水層の形成に用いられる硫黄含有高分子には、例えばジオクタデシルスルフィド等のスルフィド化合物やドデカンチオール等のチオール(メルカプタン)化合物、オクタデシルジスルフィド等のジスルフィド化合物等が挙げられるが、表面占有率の高い有機物撥水層を形成できるという理由からスルフィド化合物及びチオール化合物が好ましい。硫黄含有高分子を含む溶液は、硫黄含有高分子の水溶液にポリエチレングリコール等の添加剤を更に添加して調製され、質量%で硫黄含有高分子が2〜4%、添加剤が1〜2%含まれるように調製するのが好ましい。また、硫黄含有高分子を含む溶液への浸漬時間は5〜60分とし、このときの液温は20〜60℃とするのが好ましい。
スルフィド化合物としては、ジヘキシルスルフィド(沸点260℃)、ジヘプチルスルフィド(沸点298℃)、ジオクチルスルフィド(沸点309℃)、ジデシルスルフィド(沸点217℃/8mmHg)、ジドデシルスルフィド、ジテトラデシルスルフィド、ジヘキサデシルスルフィド、ジオクタデシルスルフィド等の炭素数6〜40程度(好ましくは炭素数10〜40程度)の直鎖状又は分岐鎖状のジアルキルスルフィド(アルキルスルフィド);ジフェニルスルフィド(沸点296℃)、フェニル−p−トリルスルフィド(沸点312℃)、4,4−チオビスベンゼンチオール(沸点148℃/12mmHg)等の炭素数12〜30程度の芳香族スルフィド;3,3′−チオジプロピオン酸(沸点409℃)、4,4′−チオジブタン酸等のチオジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、ジアルキルスルフィドが特に好ましい。
チオール化合物としては、2−メチル−2−プロパンチオールやオクタデシルチオール等の炭素数4〜40程度(より好ましくは6〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルチオール(アルキルメルカプタン)等が挙げられる。また、これらの化合物の炭素基に結合している水素原子がフッ素に置換された化合物等も好適に使用できる。添加剤は、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
一方、ベンゾトリアゾールを含む溶液は、質量%でベンゾトリアゾールが0.5〜5%、添加剤が1〜2%含まれる水溶液とするのが好ましい。また、ベンゾトリアゾール化合物を含む溶液への浸漬時間は5〜60分とし、このときの液温は20〜60℃とするのが好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール塩、メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾール誘導体等が挙げられる。また、添加剤としては、上述のポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
また、界面活性剤を含む溶液としては、防錆機能を有する界面活性剤の水溶液に添加剤を加えたものが用いられる。質量%で界面活性剤が2〜4%、添加剤が1〜2%の水溶液とされ、浸漬時間としては5〜60分、水溶液の温度は20〜60℃が好ましい。
界面活性剤の種類は特に限定されないが、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、これらの組み合わせ等が挙げられる。添加剤には、上述のポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
また、上記硫黄含有高分子化合物、防錆機能を有する界面活性剤以外でも、例えばシランカップリング剤、フッ素含有高分子化合物、脂肪酸塩等、Agへの吸着性に優れ、かつ撥水性を付与できるものであれば適用可能である。
〔導電性材料〕
以上の工程により、本発明の金属被覆導電性粒子が得られる。この金属被覆導電性粒子は、導電性ペーストや異方性導電材料、導電スペーサといった導電性材料に含まれる導電部フィラーとして使用することができる。電極等の形成に用いる導電性ペーストを調製するには、例えば、上述の金属被覆導電性粒子を、熱硬化性樹脂等の一般的に用いられているバインダー成分に分散させることにより得られる。その他、用途等に応じて、硬化剤や溶剤等の他の成分を添加、混合して調製することもできる。電極等の形成に用いる導電性ペーストを調製する際の金属被覆導電性粒子の割合は、用途によって異なり、質量割合で50〜90%とするのが好ましい。また、本発明の金属被覆導電性粒子を用いて異方性導電接着剤を調製する方法、異方性導電フィルムを形成する方法、導電スペーサとして使用する方法について以下に説明する。
異方性導電接着剤及び異方性導電フィルム等の異方性導電性材料には、バインダー成分としての絶縁性のバインダー樹脂と、この絶縁性のバインダー樹脂中に分散された導電性微粒子(導電性フィラー)が導電性成分として含まれ、本発明の金属被覆導電性粒子は該導電性微粒子として使用することができる。金属被覆導電性粒子の含有量は、特に限定されず、用途等に応じて適宜決定されるが、体積割合で0.5%〜10%程度とするのが好ましい。
異方性導電接着剤としては、例えば異方性導電ペースト、異方性導電インキ等が挙げられる。異方性導電接着剤の場合、絶縁性のバインダー樹脂は、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂のほか、硬化性樹脂組成物等の熱や光によって硬化する組成物を使用できる。熱可塑性樹脂としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、アクリレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、グリシジル基を有するモノマーやオリゴマーと、イソシアネート等の硬化剤とを含有する樹脂組成物が挙げられる。
異方性導電フィルムは、フィルム状に成形された異方性導電膜であり、例えば以下の方法によって製造される。導電性微粒子が絶縁性の樹脂中に分散する組成物を作製し、この組成物をPET等の支持フィルムの表面に塗布する。これによって、異方性導電フィルムが得られる。異方性導電フィルムの場合、絶縁性の樹脂には、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分として含む樹脂組成物を使用できる。
導電スペーサとは、液晶表示装置等において、液晶物質を挟む上下2枚の基板の配線部分を電気的に上下に接続し、かつ基板の間隙を所定の寸法に保持するものである。本発明の金属被覆導電性粒子を導電スペーサに使用するには、例えば、金属被覆導電性粒子を熱硬化性樹脂や紫外光硬化型接着剤等に添加して樹脂組成物を作製する。そして、上下2枚の基板の配線部分に、上記樹脂組成物を塗布して2枚の基板を貼り合わせる。樹脂組成物中の金属被覆導電性粒子の含有量は、特に限定されず、用途等に応じて適宜決定されるが、体積割合で2%〜10%程度とするのが好ましい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
〔触媒付与工程〕
先ず、母粒子としての平均粒径3μmのアクリル樹脂粒子30gをイオン交換水2L中に分散し、スラリーを調製した。このスラリーを500rpmの回転速度にて攪拌しながら、このスラリーに塩化パラジウム0.3g、塩化錫20g及び塩酸(濃度35質量%)200gを添加し、ウォーターバスにて30℃で15分保持した。保持した後、このスラリーを水洗し、触媒が付与されたアクリル樹脂粒子を得た。
〔銅めっき工程〕
次いで、触媒が付与されたアクリル樹脂粒子をイオン交換水に分散してスラリーを調製した。このスラリーに還元剤としてホルムアルデヒド(濃度37質量%)200mL、界面活性剤としてポリエチレングリコール100mgを添加し、攪拌しながら、ウォーターバスにて50℃まで昇温した。また銅塩として硫酸銅五水和物230g、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム500g、安定化剤としてシアン化ナトリウム50mgをイオン交換水600gに攪拌溶解し、銅めっき液を調製した。上記昇温したスラリーに上記銅めっき液を滴下し、アクリル樹脂粒子に銅めっきを施した。
〔銀めっき工程〕
次に、銅めっきを施したアクリル樹脂粒子をイオン交換水に分散してスラリーを調製した。一方、銀塩として硝酸銀50g、錯化剤としてヨウ化カリウム 500g、安定化剤としてメタンスルホン酸を30g、ロッシェル塩80gをイオン交換水800gに攪拌溶解し、置換銀めっき液を調製した。上記銅めっきを施したアクリル樹脂粒子のスラリーを300rpmの回転速度にて攪拌しながら、置換銀めっき液を滴下し、銅の一部を溶出させることによる置換銀めっきを施した。これを水洗し、銅層の上に銀がめっきされたアクリル樹脂粒子を得た。
〔有機物撥水層被覆工程〕
続いて、この水洗後の銅層の上に銀層が形成されたアクリル樹脂粒子をイオン交換水に分散してスラリーを調製した。このスラリーに、ジオクタデシルスルフィド3質量%、ポリエチレングリコール4質量%を含む水溶液を添加して、ウォーターバスにて40℃まで昇温させ、この温度で10分間攪拌保持した。これにより、上記銀層の表面に有機物撥水層を形成した。その後、スラリーをろ過により固液分離し、固形分を60℃で乾燥させることにより、アクリル樹脂粒子の表面が銅層で被覆され、銅層の表面が銀層で被覆され、最外層の銀層表面が有機物撥水層で被覆された金属被覆導電性粒子を得た。
上記得られた金属被覆導電性粒子の銅層、銀層、有機物撥水層の厚さ、金属被覆導電性粒子の平均粒径を、以下の表1に示す。なお、各層の厚さは収差補正型走査透過電子顕微鏡を用いて金属被覆導電性粒子の断面を観察し、粒子10個について各層の厚みを測定した平均値とした。また、金属被覆導電性粒子の平均粒径は、アクリル樹脂粒子(母粒子)の平均粒径と同様の方法で算出した値である。
<実施例2>
有機物撥水層を形成する際に、ジオクタデシルスルフィドの代わりにドデカンチオールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして金属被覆導電性粒子を得た。
<実施例3>
有機物撥水層を形成する際に、ジオクタデシルスルフィドの代わりにベンゾトリアゾールを使用したこと以外は、実施例1と同様にして金属被覆導電性粒子を得た。その際、ベンゾトリアゾールを2質量%、ポリエチレングリコールを1質量%含む水溶液を使用し、洗浄後のスラリーへ添加した後の撹拌保持温度は30℃、撹拌保持時間は15分間とした。
<実施例4>
有機物撥水層を形成する際、ジオクタデシルスルフィドの代わりにポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルを使用したこと以外は、実施例1と同様にして金属被覆導電性粒子を得た。その際、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルを3質量%、添加剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを1質量%含む水溶液を使用し、洗浄後のスラリーへ添加した後の撹拌保持温度は25℃、撹拌保持時間は10分間とした。
<実施例5>
母粒子として平均粒径が6.0μm、粒径の変動係数が4.5%のシリカ粒子を用いたこと、及び有機物撥水層を形成する際、添加剤にラウリル硫酸ナトリウムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして金属被覆導電性粒子を得た。
<比較例1>
母粒子の銅層の表面に銀層を形成した後、銀層の表面に有機物撥水層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして金属被覆導電性粒子を得た。
<比較例2>
銅層を形成した後、銀層を被覆せずに有機物撥水層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして金属被覆導電性粒子を得た。
<比較例3>
先ず、塩化第一錫20gと、濃度が35%の塩酸cmを、容量1dmのメスフラスコを用いて水で1dmに希釈(メスアップ)し、30℃に保温した。この水溶液に実施例1と同様のアクリル樹脂粉末を30gを添加して1時間撹拌して前処理を行い、その後、該アクリル系樹脂を濾別して水洗した。次に、上記前処理により表面に錫被覆層が形成された母粒子表面に、無電解めっきにより銀被覆層を形成した。具体的には、先ず、水3dmに、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム120g、pH調整剤として水酸化ナトリウム65g、還元剤としてホルマリン(ホルムアルデヒド濃度37質量%)50mlを添加し、これらを溶解させることにより、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を調製した。また、硝酸銀100g、25%濃度のアンモニア水100ml、水200mlを混合し、硝酸銀を含む水溶液を作製した。次に、上記調製した錯化剤及び還元剤を含む水溶液中に、上記前処理後の母粒子を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、硝酸銀を含む水溶液を60分間かけて滴下することにより、母粒子の表面に銀めっきを施した。これにより、母粒子の表面に厚さ0.2μmの銀層を形成した。銀めっき処理後の母粒子を水洗した後、該母粒子をイオン交換水中に分散させてスラリーとした。このスラリーに対して、実施例1と同様にして有機物撥水層を形成し、金属被覆球状樹脂を得た。
<比較試験及び評価>
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた金属被覆導電性粒子について、銅層と銀層の各厚さの測定、エレクトロケミカルマイグレーション試験、接触角の測定及び体積抵抗率の測定をそれぞれ行った。これらの結果を、以下の表1に示す。また、実施例1で得られた金属被覆導電性粒子の断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4300SE)を用いて倍率3000倍で観察したときの写真図を図1に示す。
(i) 各層の厚さ
銅層、銀層の各厚さは、金属被覆導電性粒子の断面を収差補正型透過電子顕微鏡を用いて測定した。
(ii) エレクトロケミカルマイグレーション試験
樹脂(バインダー成分)としてエポキシ樹脂(三菱化学 jER826)15gと、硬化剤として酸無水物硬化剤(新日本理化 リカシッドMH-700)10gと、硬化促進剤としてマイクロカプセル型硬化剤(旭化成イーマテリアルズ ノバキュアHX3932)1gと、溶剤としてシクロヘキサノン5gとを混合し、絶縁性接着剤(有機ビヒクル)を調製した。これに、金属被覆導電性粒子75gを配合して混合することにより導電性ペーストを調製した。この調製した導電性ペーストを用い、スクリーン印刷法により、ガラス基板上に、L&Sが0.3mmの櫛型電極を形成してエレクトロケミカルマイグレーションの評価を行った。具体的には、80℃、85%湿度雰囲気下にて、上記形成した電極の両端に5Vの電圧を印加した状態で保持し、エレクトロケミカルマイグレーションが発生するまでの時間を計測した。表1中、「優」は500時間経過後も絶縁性を維持し、電流値が0.1mA以下であった場合を示し、「良」は、500時間経過後も絶縁性を維持し、電流値が1mA以下であった場合を示し、「不可」は、エレクトロケミカルマイグレーションにより短絡が生じ、電流値が1mAを超過した場合を示す。
(iii) 接触角
金属被覆導電粒子をペレット成型機の型内に50g充填し、14.7MPa(150kg/cm)の圧力を印加し15分保持することで、ペレット状の成型体を形成した。このペレット成型体に対して、接触角計(協和界面科学 Drop Master)を用いて水滴を滴下し、接触角を測定した。
(iv)体積抵抗率
金属被覆導電性粒子5.0gを充填した圧力容器に9.8mPaの圧力を印加して圧粉体とし、このときの体積抵抗率を抵抗率計(三菱化学アナリテック社製 型式名:ロレスタGP MCP)により測定した。
(v)有機物撥水層の有無
熱分解GC/MSにより有機物撥水層を再確認した。具体的には、熱分解装置(Frontier Lab社製 型式名:PY-3030)により、500℃のHeガス雰囲気にて金属被覆導電性粒子の有機物成分を熱分解させ、この熱分解物について、ガスクロマトグラフ飛行時間質量分析計(日本電子社製 型式名:JMS−T100GCV)により質量分析を行った。検出されたマススペクトルに、有機物撥水層の形成に用いられるスルフィド化合物又はチオール化合物を主成分とする硫黄含有化合物、ベンゾトリアゾール化合物又はポリオキシエチレンエーテル類界面活性剤のいずれかのピークが生じたか否かにより有機物撥水層の有無を確認した。その結果を以下の表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5と比較例1〜3を比較すると、銀層の表面を有機物撥水層で被覆しなかった比較例1では、ペレット成型体の接触角が十分でなく、撥水性が不足したために耐エレクトロケミカルマイグレーション性に劣り、短絡を引き起こした。銅層の表面を銀層で被覆せず、有機物撥水層だけで被覆した比較例2では、十分な耐酸化性を保持することはできず、体積抵抗率が上昇した。また、銅層を設けず、銀層及び有機物撥水層だけで被覆した比較例3では、十分な耐エレクトロケミカルマイグレーション性を保持することはできず、短絡を引き起こした。これに対し、銅層の表面を銀層で被覆し、更に銀層の表面を有機撥水層で被覆した実施例1〜5では、十分に低い体積抵抗率を示すとともに、500時間以上も絶縁性を維持し、非常に優れた耐エレクトロケミカルマイグレーション性を示した。
本発明は、太陽電池パネル、液晶ディスプレイ、タッチパネル等の電子機器又は電子表示機器或いは半導体素子等の製造に好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 非金属粒子を母粒子とし、前記母粒子の表面が銅層で被覆され、前記銅層の表面が銀層で被覆され、前記銀層の表面が有機物撥水層で被覆された構造を有する金属被覆導電性粒子。
  2. 前記有機物撥水層がスルフィド化合物又はチオール化合物を主成分とする硫黄含有化合物、ベンゾトリアゾール化合物又はポリオキシエチレンエーテル類界面活性剤のいずれかを用いて形成された被覆層である請求項1記載の金属被覆導電性粒子。
  3. 請求項1又は2記載の金属被覆導電性粒子を含有する導電性材料。
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