JP2018002916A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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寛人 赤池
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Abstract

【課題】組成物状態の保存安定性に優れ、塗膜にしたときの導電性、充填密度及び応力緩和性に優れた導電性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】導電性樹脂組成物は、導電性フィラーとして2種類の球状の銀被覆樹脂粒子A及びフレーク状の銀被覆樹脂粒子Bとバインダ樹脂Cとを含む。銀被覆樹脂粒子Aの質量(W)と銀被覆樹脂粒子Bの質量(W)の比(W/W)が0.2〜5.0の範囲にあり、銀被覆樹脂粒子Aの密度(ρ)及び銀被覆樹脂粒子Bの密度(ρ)がそれぞれ1.3〜5.5g/cmの範囲にあり、銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径をDとするとき、Dが0.5〜40μmの範囲にあり、銀被覆樹脂粒子Bの平均長径をX、平均厚さをZとするとき、Xが0.5〜40μm、ZがXより小さい0.3〜5.0μmの範囲にある。
【選択図】なし

Description

本発明は、組成物状態の保存安定性に優れ、塗膜にしたときの導電性、充填密度及び応力緩和性に優れた導電性樹脂組成物に関する。
従来、応力の緩和に優れた外部電極が得られる外部電極用導電性ペーストが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この導電性ペーストは、(A)金属粒子と、(B)熱硬化性樹脂と、(C)シリコーンゴム粒子及びフッ素ゴム粒子からなる群より選択されるゴム粒子とを含み、(B)成分の全熱硬化性樹脂の少なくとも70重量%がエポキシ当量200〜1500の2官能エポキシ樹脂であることが記載されている。また(C)成分の平均粒子径が1.0〜6.0μmであること、(A)成分が、銀粒子であること、及び(A)成分が、球状銀粒子とフレーク状銀粒子からなり、球状銀粒子とフレーク状銀粒子の比率が30:70〜70:30であることが記載されている。
特開2015−111576号公報(要約、請求項1〜4)
特許文献1の導電性ペーストは、金属粒子とバインダーである熱硬化性樹脂とシリコーンゴム粒子及びフッ素ゴム粒子からなる群より選択されるゴム粒子とを含む。この金属粒子の密度は通常8.9〜21.5g/cmであり、熱硬化性樹脂の密度は通常0.9〜1.8g/cmであり、ゴム粒子は通常0.9〜1.8g/cmである。特許文献1の導電性ペーストを調製した後で放置すると、金属粒子の密度と、熱硬化性樹脂及びゴム粒子の密度の差が7.1〜20.6g/cm程度大きいため、金属粒子とゴム粒子の分散バランスが崩れやすく、ペーストの保存安定性が損なわれ易い問題があった。また特許文献1の導電性ペーストは、弾性率を低下させ、応力を緩和させるために、絶縁性粒子であるゴム粒子をフィラーとしてペースト中に含有させているため、ペースト中の金属粒子の含有割合が相対的に低下し、金属粒子を球状銀粒子とフレーク状銀粒子の混合粒子にしてペースト中の金属粒子の充填密度を上げても、このペーストで電極を形成したときには導電性が高くならず、未だ改善すべき余地があった。
本発明の目的は、組成物状態の保存安定性に優れ、塗膜にしたときの導電性、充填密度及び応力緩和性に優れた導電性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第1の観点は、導電性フィラーとしての2種類の球状の銀被覆樹脂粒子A及びフレーク状の銀被覆樹脂粒子Bと、バインダ樹脂Cとを含み、前記銀被覆樹脂粒子Aの質量(W)と前記銀被覆樹脂粒子Bの質量(W)の比(W/W)が0.2〜5.0の範囲にあり、前記銀被覆樹脂粒子Aの密度(ρ)及び前記銀被覆樹脂粒子Bの密度(ρ)がそれぞれ1.3〜5.5g/cmの範囲にあり、前記銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径をDとするとき、Dが0.5〜40μmの範囲にあり、前記銀被覆樹脂粒子Bの平均長径をX、平均厚さをZとするとき、Xが0.5〜40μm、ZがXより小さい0.3〜5.0μmの範囲にある導電性樹脂組成物である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく導電性樹脂組成物を基材に塗布して導電性塗膜を形成する方法である。
本発明の第1の観点の導電性樹脂組成物では、銀被覆樹脂粒子Aの密度(ρ)及び銀被覆樹脂粒子Bの密度(ρ)がそれぞれ1.3〜5.5g/cmの範囲にある。フィラーとして銀被覆樹脂粒子のみを用いているため、組成物中のフィラーの分散性に優れる。また両粒子A、Bの密度の差が小さく、組成物状態では両粒子A、Bは自重による沈降差はなく、均一に存在し、保存安定性に優れる。また球状の銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径(D)が0.5〜40μmの範囲にあって、フレーク状の銀被覆樹脂粒子Bの平均長径Xが0.5〜40μm、ZがXより小さい0.3〜5.0μmの範囲にある。このため、球状の粒子Aとフレーク状の粒子Bとの間に生じる間隙が小さく両粒子A、Bの充填密度が高い。またフィラーとして銀被覆樹脂粒子のみを用いている。この結果、導電性に優れた塗膜が得られる。更に銀被覆樹脂粒子Aも銀被覆樹脂粒子Bもコアが樹脂粒子であるため、弾性率が低く応力緩和性の高い塗膜が得られる。
本発明の第2の観点の導電性塗膜の形成方法では、スクリーン印刷などの塗布工程において、導電性樹脂組成物の優れたチクソトロピック性により、導電性樹脂組成物を精細に印刷することが可能となる。導電性樹脂組成物を塗布した後の乾燥前で、その形状が保持され、所定の形状の塗膜を形成することができる。また塗膜にしたときに銀被覆樹脂粒子A、Bの充填密度が高く体積抵抗率の低い導電性に優れた塗膜を形成することができる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
〔銀被覆樹脂粒子〕
本実施形態の銀被覆樹脂粒子は、2種類の球状の銀被覆樹脂粒子A及びフレーク状の銀被覆樹脂粒子Bからなる。球状の銀被覆樹脂粒子Aのコア粒子の平均粒径は0.3〜39.5μmの範囲にあることが好ましく、0.5〜19.5μmの範囲にあることが更に好ましい。銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径を後述する範囲にするためである。
フレーク状の銀被覆樹脂粒子Bのコア粒子の平均長径は0.3〜39.5μmの範囲にあることが好ましく、0.5〜19.5μmの範囲にあることが更に好ましい。更にその平均厚さは0.1〜3.0μmの範囲にあることが好ましく、0.2〜1.0μmの範囲にあることが更に好ましい。銀被覆樹脂粒子Bの平均長径、平均厚さを後述する範囲にするためである。球状の銀被覆樹脂粒子Aのコア粒子もフレーク状の銀被覆樹脂粒子Bのコア粒子も、凝集のない単一粒子が好ましい。粒子Aのコア粒子の平均粒径は、粒子Bのコア粒子の平均長径に対して大きくても小さくても或いは同一でもよい。
フレーク状の銀被覆樹脂粒子Bのコア粒子は、例えば、球状の樹脂粒子をロールミル、ハンマーミル等の乾式粉砕法、ビーズミル、ボールミル又はアトライタ等のメディアを使用して粉砕する方法で作られる。これ以外にも、バルクの樹脂塊を同様にロールミル、ハンマーミル等で粉砕することでも入手することができる。また、特異な界面活性剤を用いた湿式合成法により異方成長させた樹脂粒子も使用できる。この中でも特にメディアを使用して粉砕する方法が好ましい。その理由は、球状の樹脂粒子は粉砕機の羽など本体、あるいはメディア間に挟まれ、せん断力を受けることにより一方向に伸びてフレーク形状になるが、メディアを使用すると接触面積が増えることによりせん断力を受ける確率が大幅に向上し、また、メディア径や充填率を調整することにより、意図したフレークの扁平度に調整することが比較的容易だからである。更に、メディアを使用して粉砕する方法では、球状の樹脂粒子の表面に微細な凹凸を形成することができ、これによりアンカー効果を増大させ、めっきの密着性を向上させることができる。
メディアを使用して粉砕する方法は、具体的には、先ず、平均粒径が、好ましくは0.3〜35μmの範囲にある球状の樹脂粒子を用意する。そして、平均粒径が好ましくは0.3〜2.0mmの範囲にあるジルコニアビーズに用いた循環式ビーズミルにより、上記球状の樹脂粒子に対して、水中にて好ましくは1〜5時間湿式粉砕処理を施す。このときのフレークの扁平度(アスペクト比)は、メディアの充填量、樹脂粒子のスラリー濃度、スラリーの循環量、粉砕時間の調整により行うことができる。
球状の銀被覆樹脂粒子A及びフレーク状の銀被覆樹脂粒子Bは、それぞれコア粒子とこのコア粒子の表面に形成された銀被覆層とを備える。このコア粒子は樹脂粒子である。樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、メラミン樹脂粒子、フッ素ゴム粒子、ポリアミド樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、又はそれらの複層化粒子や共重合体等が挙げられる。アクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)、アクリル酸化合物及びその誘導体の重合体などが挙げられ、スチレン系樹脂としては、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)などが挙げられ、フェノール樹脂としては、フェノール類及びその誘導体―ホルマリン縮合物(ノボラック又はレゾール硬化物)が挙げられる。シリコーン樹脂としては、オルガノシロキサン重合体の中で比較的硬度の高いものが用いられ、ポリシルセスキオキサンなどが挙げられる。シリコーンゴムとしてはオルガノシロキサン重合体の中で比較的硬度の小さいものが用いられ、ジアルコキシジアルキルシロキサン重合体、及びそれらにトリアルコキシアルキルシロキサンやモノアルコキシトリアルキルシロキサンを導入したもの、及び有機過酸化物やシリケートによって上記重合体を架橋したものが挙げられる。メラミン樹脂としてはメラミン及びその誘導体とホルムアルデヒド重合体などが挙げられる。フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン、フルオロビニルエーテル、フッ化プロピレン又はフッ化エチレンの重合体及び共重合体などが挙げられる。ポリアミドとしては、ナイロン、アラミドなどが挙げられる。ポリイミドとしては芳香族ポリイミド、脂肪族ポリイミドなどが挙げられる。
球状の銀被覆樹脂粒子A及びフレーク状の銀被覆樹脂粒子Bは、同一の組成で構成される方が製造上好ましいが、互いに異なる組成でもよい。銀被覆層に含まれる銀の量は、両粒子A、Bとも銀被覆粒子100質量部に対して45〜90質量部の範囲にあることが好ましい。また銀被覆層の厚さは、両粒子A、Bとも0.05〜0.70μmの範囲にあることが好ましい。上記銀被覆層に含まれる銀の量及び銀被覆層の厚さに応じて、銀被覆樹脂粒子Aの密度ρ及び銀被覆樹脂粒子Bの密度ρともに、1.0〜5.5g/cmの範囲にある。2.0〜4.5g/cmの範囲にあることが好ましい。これらの密度は乾式密度計(島津製作所社製、型番:アキュビック1330)を用いて測定される。
銀の被覆量(含有量)は樹脂の平均粒径と必要とされる導電性により決められる。銀被覆層に含まれる銀の量が下限値の45質量部未満では、また銀被覆層の厚さが0.05μm未満では、導電性フィラーとして銀被覆粒子が分散したときに、銀同士の接点が取り難く十分な導電性を付与できない。一方、銀の含有量が90質量部を超えると、また銀被覆層の厚さが0.70μmを超えると、銀被覆粒子の密度が大きくなりコストも高くなるとともに導電性が飽和してしまう。この銀の含有量は更に好ましくは50〜88質量部の範囲にある。銀の被覆量については、例えば銀被覆粒子を酸分解した後、ICP発光分光測定により求める。
銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径Dは、コア粒子の粒径に銀被覆層の厚さを加えて、0.5〜40μmの範囲にある。この平均粒径Dは1〜20μmの範囲にあることが好ましい。平均粒径Dが0.5μm未満では粒子Aが凝集し易く、また粒子Aの表面積が大きくなり、導電性フィラーとして必要な導電性を得るための銀の量を多くする必要があり、また良好な銀被覆層を形成しにくい。また40μmを超えると、導電性樹脂組成物を塗布硬化させて形成される電極皮膜の表面平滑性が低下したり、導電粒子の接触割合が減少し抵抗値が増大するなどの不具合を生じる。
フレーク状の銀被覆樹脂粒子Bの平均長径Xは、コア粒子の粒径に銀被覆層の厚さを加えて、0.5〜40μmの範囲にある。この平均長径は1〜20μmの範囲にあることが好ましい。平均長径が0.5μm未満では粒子Bが凝集し易く、また粒子Bの表面積が大きくなり、導電性フィラーとして必要な導電性を得るための銀の量を多くする必要があり、柔軟性や応力緩和性が損なわれ易く、また良好な銀被覆層を形成しにくい。また40μmを超えると、導電性樹脂組成物を塗布硬化させて形成される電極皮膜の表面平滑性が低下したり、導電粒子の接触割合が減少し抵抗値が増大するなどの不具合を生じる。更にその平均厚さZはXより小さい0.3〜5.0μmの範囲にある。この平均厚さZは0.4〜1.5μmの範囲にあることが好ましい。平均厚さが0.3μm未満では樹脂層の厚さが不十分のため、柔軟性や応力緩和性が損なわれ、5.0μmを超えると、粒子側面の粗さの影響が顕著になることで、導電性樹脂組成物を塗布硬化させて形成される電極皮膜の充填性が損なわれる。なお、粒子Bの平均短径をYとするとき、X≧Y>Zの関係式を満たす。なお、一般的に異方的な形状を持つ粒子は板状粒子、燐片状粒子及び棒状粒子などの呼称が存在するが、本明細書中においては上述の定義に当てはまるものはフレーク状粒子と見なすこととする。また、粒子Aの平均粒径Dは、粒子Bの平均長径Xに対して大きくても小さくても或いは同一でもよい。
なお、銀被覆樹脂粒子Aのコア粒子及び粒子Aの平均粒径D及び銀被覆樹脂粒子Bのコア粒子及び粒子Bの平均長径X、平均短径Y、平均厚さZは、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式名:S−4300SE)を用いて、ソフトウェア(品名:PC SEM)により測定される。倍率5000倍で、300個の粒子を測定し、それぞれの平均を算出することで平均値を得る。銀被覆樹脂粒子Aのコア粒子及び粒子Aの平均粒径Dについては、また銀被覆樹脂粒子Bのコア粒子及び粒子Bの平均長径X、平均短径Yについては、カーボンテープなどに固定された粒子を上面から観察、測定を行う。このとき、銀被覆樹脂粒子Bのコア粒子及び粒子Bのうち、上面から観察された平面又は平面に近しい面の長軸部の長さを長径X、短軸部の長さを短径Yとして測定する。銀被覆樹脂粒子Bのコア粒子及び粒子Bの平均厚みZは、当該粒子をエポキシ樹脂等で型埋めし、イオンスライサーなどの研磨を施すことで当該粒子の断面を露出させる。この断面像を走査型電子顕微鏡にて観察、測定を行う。
〔銀被覆粒子の製造方法〕
本実施形態の銀被覆樹脂粒子A及びBは、それぞれ次の方法により製造される。先ずコア粒子を25〜45℃に保温された錫化合物の水溶液に添加してこのコア粒子の表面に錫吸着層を形成する。次いでこのコア粒子の表面に形成された錫吸着層に還元剤を含まない無電解銀めっき液を接触させて、コア粒子の表面に形成された錫吸着層と無電解めっき液中の銀との置換反応によりコア粒子の表面に銀置換層を形成する。次に無電解銀めっき液に還元剤を添加することにより、コア粒子の銀置換層の表面に銀被覆層を形成する。
〔無電解銀めっきによる銀被覆層の形成方法〕
コア粒子の表面には、銀被覆層が設けられる。一般に、有機質材料や無機質材料などの不導体の表面に無電解めっきを実施する際には、予め不導体の表面に対して触媒化処理を行う必要がある。本実施形態では、触媒化処理としてコア粒子の表面に錫吸着層が設ける処理を行い、その後で無電解銀めっき処理を行って銀被覆層を形成する。具体的には、本実施形態の銀被覆層は、次の方法により製造される。先ずコア粒子を25〜45℃に保温された錫化合物の水溶液に添加してこのコア粒子の表面に錫吸着層を形成する。次いでこの錫吸着層に含まない無電解銀めっき液を接触させて、コア粒子の表面に形成された錫吸着層と無電解めっき液中の銀との置換反応によりコア粒子の表面に銀置換層を形成する。次に無電解銀めっき液に還元剤を添加することにより、コア粒子の銀置換層の表面に銀被覆層を形成する。
上記錫吸着層を形成するためには、錫化合物の水溶液にコア粒子を添加し攪拌した後、コア粒子を濾別、又は遠心分離して水洗する。攪拌時間は、以下の錫化合物の水溶液の温度及び錫化合物の含有量によって適宜決定されるが、好ましくは、0.5〜24時間の範囲にある。錫化合物の水溶液の温度は、25〜45℃の範囲にあり、好ましくは25〜35℃の範囲にあり、更に好ましくは27〜35℃の範囲にある。錫化合物の水溶液の温度が25℃未満であると、温度が低く過ぎて水溶液の活性が低くなり、コア粒子に錫化合物が十分に付着しない。一方、錫化合物の水溶液の温度が45℃を超えると、錫化合物が酸化するため、水溶液が不安定となり、コア粒子に錫化合物が十分に付着しない。この処理を25〜45℃の水溶液で実施すると、錫の2価イオンがコア粒子の表面に付着し錫吸着層が形成される。
上記錫化合物としては、塩化第一錫、フッ化第一錫、臭化第一錫、ヨウ化第一錫等が挙げられる。塩化第一錫を用いる場合、錫化合物の水溶液中の塩化第一錫の含有量は、30〜100g/dmの範囲にあることが好ましい。塩化第一錫の含有量が30g/dm以上であれば、均一な錫吸着層を形成することができる。また塩化第一錫の含有量が100g/dm以下であると、塩化第一錫中の不可避不純物の量を抑制する。なお、塩化第一錫は、飽和になるまで錫化合物の水溶液に含有させることができる。
コア粒子の表面に錫吸着層を形成した後、この錫吸着層に還元剤を含まない無電解めっき液を接触させて、錫と銀の置換反応により、コア粒子の表面に銀置換層を生成し、引き続いて還元剤を無電解銀めっき液に添加して無電解めっきを行うことによりコア粒子の表面に銀被覆層を形成して銀被覆粒子を作製する。無電解銀めっき法としては、(1)錯化剤、還元剤等を含む水溶液中に、表面に銀置換層を形成したコア粒子を浸漬し、銀塩水溶液を滴下する方法、(2)銀塩、錯化剤を含む水溶液中に、表面に銀置換層を形成したコア粒子を浸漬し、還元剤水溶液を滴下する方法、(3)銀塩、錯化剤、還元剤等を含む水溶液に、表面に銀置換層を形成したコア粒子を浸漬し、苛性アルカリ水溶液を滴下する方法が挙げられる。
銀塩としては、硝酸銀或いは銀を硝酸に溶解したもの等を用いることができる。錯化剤としては、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、ニトロ三酢酸、トリエチレンテトラアンミン六酢酸、チオ硫酸ナトリウム、コハク酸塩、コハク酸イミド、クエン酸塩又はヨウ化物塩等の塩類を用いることができる。還元剤としては、ホルマリン、ブドウ糖、イミダゾール、ロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム)、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキノン、L−アスコルビン酸又はギ酸等を用いることができる。還元剤としては、還元力の強さから、ホルムアルデヒドが好ましく、少なくともホルムアルデヒドを含む2種以上の還元剤の混合物がより好ましく、ホルムアルデヒドとブドウ糖を含む還元剤の混合物が最も好ましい。
無電解銀めっき処理工程の前段の工程において、錫吸着層の錫は溶液中の銀イオンと接触することにより電子を放出して溶出し、一方、銀イオンは錫から電子を受け取り、金属としてコア粒子の錫が吸着していた部分に置換析出する。その後、すべての錫が水溶液中に溶解すると錫と銀の置換反応は終了する。引き続いて還元剤を無電解めっき液に添加し、還元剤による還元反応によって、コア粒子の表面に銀の被覆層が形成され、銀被覆粒子が作製される。
〔導電性樹脂組成物〕
本実施形態の導電性樹脂組成物は、導電性フィラーとしての平均粒径の異なる2種類の銀被覆樹脂粒子A及び銀被覆樹脂粒子Bと、バインダ樹脂Cとを含む。これらの組成比は、銀被覆樹脂粒子Aの質量をWとし、銀被覆樹脂粒子Bの質量をWとし、バインダ樹脂Cの質量をWとするとき、W/Wは0.2〜5.0の範囲にあり、0.5〜2.0の範囲にあるのが好ましい。上記W/Wの範囲は、上述した粒子Aの平均粒径、粒子Bの平均長径、平均厚さ、及び粒子A、Bの密度の各範囲により決められる。(W+W)/Wは2〜9の範囲にあることが好ましい。2未満である場合、バインダ樹脂が多すぎるために粒子の接触が阻害され、導電性が低下し易い。また9を超える場合、バインダ樹脂が少なすぎ、組成物の基材への塗工性及び密着性に劣り易い。
〔導電性樹脂組成物の製造方法〕
導電性樹脂組成物に含まれるバインダ樹脂Cとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、又はポリイミド樹脂のいずれかである。導電性樹脂組成物は、銀被覆樹脂粒子A、銀被覆樹脂粒子B及びバインダ樹脂C以外に、硬化剤及び溶剤を含む。
〔導電性樹脂組成物中の銀被覆粒子の割合〕
導電性樹脂組成物中の銀被覆樹脂粒子A及びBの合計した割合は、導電性樹脂組成物100質量%中、70〜90質量%の割合とするのが好ましく、75〜85質量%の割合にするのが更に好ましい。70質量%未満では、導電性樹脂組成物を塗布硬化させて形成される電極又は配線等の抵抗値が上がり、導電性に優れた電極又は配線等を形成することが困難になる。一方、90質量%を超えると、良好な流動性を持つ組成物が得られない傾向がみられることから、印刷性等の面で、良好な電極等を形成しにくくなる。
〔導電性樹脂組成物中のバインダ樹脂〕
導電性樹脂組成物に含ませるバインダ樹脂としてのエポキシ樹脂は、例えばビスフェノール型、ビフェニル型、ビフェニル混合型、ナフタレン型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型、トリスフェノールエタン型、テトラフェノールエタン型のエポキシ樹脂が挙げられる。上記エポキシ樹脂の硬化剤としては、一般的に用いられるイミダゾール類、第3級アミン類又はフッ化ホウ素を含むルイス酸、或いはその化合物、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド等の潜在性硬化剤が好適である。イミダゾール類には、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。第3級アミン類には、ピペリジン、ベンジルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。フッ化ホウ素を含むルイス酸には、フッ化ホウ素モノエチルアミン等のフッ化ホウ素のアミン錯体が挙げられる。
フェノール系硬化剤には、フェノールノボラック樹脂、パラキシリレンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂等が挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。また、必要に応じて硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びその塩類、1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン等の3級アミン及びその塩類、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物及びその塩類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、アルコキシチタン等の有機金属塩、白金、パラジウム等の貴金属類等が挙げられる。
導電性樹脂組成物に含ませるバインダ樹脂としてのフェノール樹脂は、熱硬化性型フェノール樹脂は、熱硬化型であればいかなる構造のものでも差し支えないが、ホルムアルデヒド/フェノールのモル比が1〜2の範囲にあることが好ましい。該熱硬化型フェノール樹脂の重量平均分子量は300〜5000の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1000〜4000の範囲にある。300未満の場合、加熱硬化時に発生する水蒸気が多く膜中にボイドができ易く、充分な膜強度が得られ難い。5000より大の場合は、可溶性が不充分であり、ペースト化が困難となる。本発明に用いる熱硬化型フェノール成分の一部を他のフェノール性水酸基を持つ化合物に置き換えても差し支えない。
導電性樹脂組成物に含ませるバインダ樹脂としてのウレタン樹脂は、一般に接着用として用いられているものが使用できる。具体的には、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカプロラクタム系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等が挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。 また、必要に応じてイソシアネート、ブロックイソシアネート等の硬化剤を添加することができる。
導電性樹脂組成物に含ませるバインダ樹脂としてのシリコーン樹脂は、一般に接着用として用いられているものならば、付加型及び縮合型のいずれの構造のものも使用可能である。このシリコーン樹脂としては、具体的には各種オルガノポリシロキサン、変性ポリシロキサン、エラストマー変性ポリシロキサン、室温硬化型シリコーンゴム等が挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。
導電性樹脂組成物に含ませるバインダ樹脂としてのアクリル樹脂は、一般に用いられている熱硬化型、光重合型、溶媒蒸発型のものが使用可能である。例えば、アクリル―メラミド樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリルースチレン共重合体、シリコン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂などが挙げられ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。また必要に応じて、イソシアネート等の熱硬化剤、アルキルフェノン系光重合開始剤などを硬化剤として使用できる。
導電性樹脂組成物に含ませるバインダ樹脂としてのポリエステル樹脂は、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、及びこれらポリエステル樹脂とイソシアネート系硬化剤との混合物などを挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。
導電性樹脂組成物に含ませるバインダ樹脂としてのポリイミド樹脂は、一般に用いられているものが使用可能である。例えば、芳香族ポリイミド、脂環式ポリイミド、ポリイミドシロキサン、エポキシ変性ポリイミド、感光性ポリイミド等を挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて使用することができる。
上述したエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又はポリイミド樹脂は、導電性樹脂組成物の経時変化による品質劣化を抑制できると同時に、主鎖に剛直な骨格を持ち、硬化物が耐熱性や耐湿性に優れていることから、形成する電極等の耐久性を向上させることができる。バインダ樹脂の割合が下限値未満では、密着性不良のような不具合が生じる。上限値を超えると、導電性が低下する等の不具合が生じる。
〔導電性樹脂組成物中の溶剤〕
溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤及びそれらの酢酸エステル系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、テルピネオール、ミネラルスピリット、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤、ドデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤、ジメチルホルムアミド、N−メチル―2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらはバインダ樹脂との相溶性によって選択され、シリコーン樹脂においてはミネラルスピリットやトルエン、ポリイミド樹脂においてはN−メチル2−ピロリドン、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂ではジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、α―テルピネオールが特に好ましい。これらの溶媒は単独でも複数種の組み合わせでも用いることができる。
バインダ樹脂及びその混合物に対しては、導電性、密着性、形状保持性を阻害しない範囲で添加物を混合することができる。添加物としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、銀ナノ粒子、増粘剤、分散剤、難燃剤、消泡剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
〔導電性樹脂組成物の調製方法〕
導電性樹脂組成物の調製方法は、先ず、好ましくは温度50〜70℃の範囲で、更に好ましくは60℃の条件で、上記溶剤に上記バインダ樹脂を混合する。このとき、バインダ樹脂の割合は、溶剤100質量部に対して5〜50質量部の範囲とするのが好ましく、20〜40質量部の範囲とするのが更に好ましい。次に、必要に応じて上記硬化剤を適量混合し、更に上記導電性フィラーを添加して、例えば3本ロールミル又はライカイ機等の混練機を用いて、好ましくは0.1〜1時間の範囲に混練し、ペースト化することにより導電性樹脂組成物が調製される。このとき、調製される導電性樹脂組成物に適性な粘度及び必要な流動性を持たせるため、また、上述の理由から、導電性樹脂組成物によって形成された塗膜中に占める導電性フィラーが75〜89質量%の範囲となるように混合する。また、バインダ樹脂の使用量は、上述の理由から、導電性フィラーとの質量比が上述の割合になるよう調整する。その結果、粘度が好ましくは0.5〜3.0Pa・sの範囲に調整される。粘度がこの範囲に調整されることで導電性樹脂組成物の印刷性が向上するとともに、印刷後の印刷パターン形状も良好に保たれる。
このように調製された導電性樹脂組成物は、例えば基材である4×4cmのアルミナ基板上に塗布され、所定の温度で乾燥、焼成等を行うことにより塗布膜となる。焼成は、例えば、熱風循環炉等の装置を用いて、好ましくは100〜250℃の範囲の温度で0.5〜1時間の範囲に保持することにより行われる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、塩化第一錫15gと、濃度が35%の塩酸15cmを、容量1dmのメスフラスコを用いて水で1dmに希釈(メスアップ)し、30℃に保温した。この水溶液に、母体となるコア粒子として2.0μmの平均粒径を有する球状のシリコーン樹脂からなるコア粒子Aを5.0g添加して、1時間撹拌し、その後、これらのコア粒子Aを濾別して水洗することにより前処理を行った。
次に、上記前処理により表面に錫吸着層が形成されたコア粒子Aの表面に、無電解めっきにより銀被覆層を形成した。具体的には、先ず、水2dmに、錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム40g、pH調整剤として水酸化ナトリウム20.0g、還元剤としてホルマリン(ホルムアルデヒド濃度37質量%)15cmを添加し、これらを溶解させることにより、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を調製した。次に、この水溶液に、上記前処理後のコア粒子Aを浸漬させることによりスラリーを調製した。
次いで、硝酸銀32g、25%アンモニア水40cm、水55cmを混合して硝酸銀含有水溶液を調製し、上記スラリーを攪拌しながら、この硝酸銀含有水溶液を滴下した。更に、硝酸銀含有水溶液滴下後のスラリーに、水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを12に調整し、25℃の温度に保持しながら撹拌することにより、コア粒子Aの表面に銀を析出させた。その後、洗浄、濾過を行い、最後に真空乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させて、銀被覆樹脂粒子Aを得た。
5.5μmの平均粒径を有する球状のシリコーン樹脂粒子を用意し、循環式ビーズミル(メディアに0.5mmのジルコニアビーズを使用)を用いて水中で6時間湿式粉砕処理を行い、その後、ろ過、乾燥することにより、平均長径が6.1μm、平均短径が5.0μm、平均厚さが0.5μmのフレーク状のシリコーン樹脂からなるコア粒子Bを作製した。このコア粒子Bを5.0g採取し、コア粒子Aと同様の操作を、銀被覆量を調整した別の系にて行い、銀被覆樹脂粒子Bを得た。表4に実施例1の銀被覆樹脂粒子A及びBの物性を、表5に実施例1の銀被覆樹脂粒子A及びBにおける銀の割合(質量%)、及びこれらの質量比(W/W)をそれぞれ示す。
バインダ樹脂として、表2に示される多官能型エポキシ樹脂(ADEKA社製 アデカレジンEP-3950S)6.0g、硬化剤としてジシアンジアミド型硬化剤(ADEKA社製 アデカハードナーEH-4351) 0.6g、添加剤としてカルボン酸系分散剤(クローダ・ジャパン社製 KD-12)を0.1g、溶剤としてジエチレングリコールブチルエーテル5.0gを加え、遊星攪拌機(泡取り練太郎、シンキー社)にて混合を行い、バインダー樹脂組成物を調製した。
表4に示される物性を有する実施例1の球状の銀被覆樹脂粒子A 11.0gとフレーク状の銀被覆樹脂粒子B 11.0gを導電性フィラーとしてそれぞれ上記調製したバインダ樹脂組成物に泡取り練太郎(シンキー社)を用いて混合した。この混合物を、三本ロールミル(EXAKT社)にて混練し、実施例1の導電性樹脂組成物を得た。
<実施例2〜17、比較例1〜10>
銀被覆樹脂粒子A及びBは、表1に示される種類のコア粒子A及びBを沈降法により分級することで表1に示される平均粒径とした後、表5に示されたような銀の割合(質量%)となるように硝酸銀、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ホルマリンの量を調整し、それ以外は実施例1と同様にして作製した。得られた銀被覆樹脂粒子A及びBを表2、表3に示される種類のバインダ樹脂を、表4に示される配合割合にて実施例1と同様な手法により混練し、実施例2〜17及び比較例1〜10の導電性樹脂組成物を得た。なお、実施例3及び実施例12のバインダ樹脂は不純物除去のために1,000 rpmの遠心分離を15分行ってから銀被覆樹脂粒子と混合した。
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<比較試験及び評価>
実施例1〜10及び比較例1〜12で得られた導電性樹脂組成物について、組成物状態の保存安定性と、塗膜にしたときの導電性(体積抵抗率)と、引張弾性率(応力緩和性)と、めっきバリア性(充填密度)を、以下に示す方法でそれぞれ評価した。これらの結果を表5に示す。
(1) 組成物状態の保存安定性
実施例1〜10及び比較例1〜12で得られた導電性樹脂組成物をメスシリンダーに投入し、5mLの標線に組成物上端が一致するよう内容量を調整した。メスシリンダー上部に封をした状態で25℃の環境で24時間静置した。静置した後で、導電粒子が沈降して4.9mLの標線を下回る場合を保存安定性が「不良」であると判定し、標線を上回る場合若しくは沈降が見られない場合を保存安定性が「良好」であると判定した。
(2) 塗膜にしたときの導電性(体積抵抗率)
実施例1〜10及び比較例1〜12で得られた導電性樹脂組成物をスクリーン印刷機にて10×10mmの□形状のパターン状にガラス基板に印刷し、大気雰囲気下、150℃で1時間焼成炉を用いて揮発成分を乾燥しかつバインダ樹脂を硬化させ、導電性塗膜を得た。この塗膜の表面抵抗をロレスタ抵抗計にて測定し、更にレーザー顕微鏡で求めた導電性塗膜の膜厚から体積抵抗率を算出した。体積抵抗率が1.0×10−3Ω・cm以下の場合を導電性ありと判断し、1.0×10−3Ω・cmを超える場合を導電性なしと判断した。
(3) 塗膜にしたときの引張弾性率(応力緩和性)
実施例1〜10及び比較例1〜12で得られた導電性樹脂組成物を、100×100mmのテフロン(登録商標)基板上に、厚さ100μmのメタルマスクを用いて10×60mmの長方形状にスクリーン印刷した。この印刷塗膜を180℃で30分間乾燥加熱して硬化させた後、基板から剥離し、引張試験用フィルムとした。これらのフィルムを、オートグラフ(島津製作所製)を用いて1mm/分の条件で引張試験を行い、応力―歪み曲線を得た。この応力―歪み曲線の弾性領域のうち歪みが0.0005と0.0025の点を結んだ直線の傾きを引張弾性率(GPa)とした。引張弾性率は塗膜の柔軟性の指標であり、値が小さいほど塗膜は軟らかく、応力が緩和することを意味する。弾性率が3GPaよりも大きな値となる場合を応力緩和性なしと判断した。
(4) 塗膜にしたときのめっきバリア性(充填密度の評価)
実施例1〜10及び比較例1〜12で得られた導電性樹脂組成物から作られた、上記引張弾性率試験で用いた引張試験用フィルムに対して、電気ニッケルめっき浴(メルテックス社製 メルブライト NI-2226)を用いてニッケル層の厚みが10μmとなるよう通電し、ニッケルめっきを施した。このニッケルめっき付きフィルムの断面をSEM-EDSを用いて元素分析を行い、ニッケルめっき液の浸透度合いを観察した。導電性塗膜とニッケルめっき層の境界面から、導電性塗膜内部の方向へ、深さ5μm以上ニッケルめっき液が浸透している場合をめっきバリア性が「不良」であると判定し、浸透が深さ5μm未満又は浸透が観察されない場合をめっきバリア性が「良好」であると判定した。このめっきバリア性は導電性塗膜の充填密度の指標であり、めっきバリア性が不十分であると、充填密度が小さいためで、めっき液が導電性塗膜内部侵入し、ニッケルが析出する。
表4及び表5から明らかなように、導電性樹脂組成物中の前記銀被覆樹脂粒子Aの質量(W)と前記銀被覆樹脂粒子Bの質量(W)の比(W/W)が0.2未満又は5.0を超えた比較例1や比較例2においては、塗膜の充填性が損なわれ、めっきバリア性が低下した。また平均粒径Dが40μmを超えた比較例6、平均長径Xが40μmを超えた比較例8及びフレーク状銀被覆粒子の平均厚みZが5.0μmを超えたより大きくなった比較例10においては、やはり塗膜の充填性が損なわれ、めっきバリア性が低下した。これに対して、導電性樹脂組成物中の前記銀被覆樹脂粒子Aの質量(W)と前記銀被覆樹脂粒子Bの質量(W)の比(W/W)が0.2〜5.0の範囲に制御された実施例1〜17においては、得られた導電性塗膜の充填密度が十分なため、めっきバリア性に優れた膜となった。
また、銀被覆樹脂粒子Aの密度(ρ)が5.5g/cmを超えた比較例3及び銀被覆樹脂粒子Bの密度(ρ)が5.5g/cmを超えた比較例4においては、粒子の密度が大き過ぎたことで粒子が沈降し、保存安定性が損なわれていた。これに対して、銀被覆樹脂粒子Aの密度(ρ)及び銀被覆樹脂粒子Bの密度(ρ)がそれぞれ1.3〜5.5g/cmの範囲にある実施例1〜17においては、導電粒子の分散性が優れているため、保存安定性に優れていた。
また、銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径Dが0.5μm未満の比較例5、及び銀被覆樹脂粒子Bの平均長径Xが0.5μm未満の比較例7では、銀被覆樹脂粒子の柔軟性が抑制され、弾性率が3GPaよりも大きな値となり、応力緩和性が損なわれていた。更に、平均粒径Dが40μmを超えた比較例6、平均長径Xが40μmを超えた比較例8、フレーク状銀被覆粒子の平均厚みZが0.3μm未満の比較例9、及び平均厚みZが5.0μmを超えた比較例10においては、銀被覆層の平滑性が損なわれた結果、導電性塗膜の体積抵抗率が1×10−3Ω・cmを超えた、比較的高抵抗の塗膜となった。これに対して、銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径Dが0.5〜40μmの範囲にあり、銀被覆樹脂粒子Bの平均長径Xが0.5〜40μmの範囲に、平均厚さZが0.3〜3.0μmの範囲に制御されている実施例1〜17については、導電性塗膜の体積抵抗率も1×10−3Ω・cm以下の高導電性が得られ、銀被覆樹脂粒子の柔軟性により引張弾性率も3GPa以下の低い値に抑えられていた。
本発明の導電性樹脂組成物は、ペースト状、フィルム状、インク状の導電性接着剤、異方性又は等方性の導電性フィルム及び導電性スペーサに利用することができる。

Claims (2)

  1. 導電性フィラーとしての2種類の球状の銀被覆樹脂粒子A及びフレーク状の銀被覆樹脂粒子Bと、バインダ樹脂Cとを含み、
    前記銀被覆樹脂粒子Aの質量(W)と前記銀被覆樹脂粒子Bの質量(W)の比(W/W)が0.2〜5.0の範囲にあり、
    前記銀被覆樹脂粒子Aの密度(ρ)及び前記銀被覆樹脂粒子Bの密度(ρ)がそれぞれ1.3〜5.5g/cmの範囲にあり、
    前記銀被覆樹脂粒子Aの平均粒径をDとするとき、Dが0.5〜40μmの範囲にあり、
    前記銀被覆樹脂粒子Bの平均長径をX、平均厚さをZとするとき、Xが0.5〜40μm、ZがXより小さい0.3〜5.0μmの範囲にある導電性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の導電性樹脂組成物を基材に塗布して導電性塗膜を形成する方法。
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