クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・バラティイ(Clostridium baratii)、及びクロストリジウム・ブチリクム(Clostridium butyricum)により産生されるクロストリジウム毒素が、ヒト及び他の哺乳動物の治療的及び化粧的処置に最も広く使用されている。C.ボツリヌスの菌株は、7つの抗原的に異なるタイプのボツリヌス毒素(BoNT)を産生し、それらは、ヒト(BoNT/A、/B、/E、及び/F)、動物(BoNT/C1及び/D)のボツリヌス中毒発生を研究することにより同定されているか、又は土壌から単離されている(BoNT/G)。BoNTは、互いにおよそ35%のアミノ酸同一性を有し、同じ機能的ドメイン構成及び全体的構造様式を共有する。各タイプのクロストリジウム毒素内には、それらのアミノ酸配列、及びまたそれらタンパク質をコードする核酸が多少異なるサブタイプが存在し得ることが、当業者により認識されている。例えば、現在、4つのBoNT/Aサブタイプ、すなわちBoNT/A1、BoNT/A2、BoNT/A3、及びBoNT/A4があり、特定のサブタイプは、別のBoNT/Aサブタイプと比較して、およそ89%のアミノ酸同一性を示す。7つのBoNT血清型は全て、同様の構造及び薬理学的特性を有するが、各々は異なる細菌学的特徴も示す。対照的に、破傷風毒素(TeNT)は、C.テタニの均一な群により産出される。2つの他のクロストリジウム種である、C.バラティイ及びC.ブチリクムは、毒素BaNT及びBuNTを産生し、それらは、それぞれBoNT/F及びBoNT/Eに類似している。
各成熟二鎖分子は、以下の3つの機能的に別個のドメインを含む:1)神経伝達物質放出装置のコア成分を特異的に標的とする亜鉛依存性エンドペプチダーゼ活性を含むメタロプロテアーゼ領域を含むLCに位置する酵素ドメイン;2)細胞内小胞から標的細胞の細胞質へのLCの放出を容易にするHCのアミノ末端半分内に含まれる移行ドメイン(HN);及び3)標的細胞の表面に位置する受容体複合体に対する毒素の結合活性及び結合特異性を決定するHCのカルボキシル末端半分内に見出される結合ドメイン(HC)。HCドメインは、機能を示し、HCN及びHCCサブドメインと称されるほぼ等しいサイズの2つの別個の構造的特徴を含む。表1は、例示的なクロストリジウム毒素に見出される各ドメインのおおよその境界領域を示す。
これら3つの機能的ドメインの結合、移行、及び酵素活性は、全て毒性に必要である。このプロセスの全詳細はまだ正確には知られていないが、それによりクロストリジウム毒素がニューロンに進入し、神経伝達物質放出を阻害する全体的な細胞中毒機序は、血清型又はサブタイプに関わらず類似している。本出願人らは、以下の記述により制限されることは望まないが、中毒機序は、少なくとも4つのステップを含むと説明することができる:1)受容体結合、2)複合体内部移行、3)軽鎖移行、及び4)酵素的標的修飾(図3)。このプロセスは、クロストリジウム毒素のHCドメインが、標的細胞の原形質膜表面に位置する毒素特異的受容体系に結合すると、開始される。受容体複合体の結合特異性は、部分的には、ガングリオシドと、各クロストリジウム毒素受容体複合体を個別に含むと考えられるタンパク質受容体との特定の組み合わせにより達成されると考えられている。毒素/受容体複合体は、結合すると、エンドサイトーシスにより内部移行化され、内部移行化された小胞は、特定の細胞内経路に区分けされる。移行ステップは、小胞区画の酸性化が引き金となって起きると考えられる。このプロセスは、疎水性を増加させ、二鎖形態の毒素の形成を容易にする2つの重要なpH依存性構造的再編成を開始させると考えられる。毒素の軽鎖エンドペプチダーゼは、活性化されると、細胞内小胞からサイトゾルに放出され、神経伝達物質放出装置の3つの既知のコア成分のうちの1つを特異的に標的とすると考えられる。これらコアタンパク質である、小胞結合型膜タンパク質(VAMP)/シナプトブレビン、25kDaのシナプトソーム結合タンパク質(SNAP−25)、及びシンタキシンは、神経終末でのシナプス小胞ドッキング及び融合に必要であり、可溶性N−エチルマレイミド感受性因子結合タンパク質受容体(SNARE)ファミリーのメンバーを構成する。BoNT/A及びBoNT/Eは、SNAP−25をカルボキシル末端領域で切断して、それぞれ9個又は26個アミノ酸のセグメントを放出し、BoNT/C1も、カルボキシル末端付近でSNAP−25を切断する。ボツリヌス血清型BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、及びBoNT/G、及び破傷風毒素は、VAMPの保存された中央部分に作用し、VAMPのアミノ末端部分をサイトゾルに放出する。BoNT/C1は、サイトゾル膜表面付近の単一部位でシンタキシンを切断する。シナプスSNAREの選択的タンパク質分解は、クロストリジウム毒素によりin vivoで引き起こされる神経伝達物質放出の阻止を説明する。クロストリジウム毒素のSNAREタンパク質標的は、様々な非ニューロン型でのエキソサイトーシスに共通しており、これら細胞では、ニューロンでのように、軽鎖ペプチダーゼ活性はエキソサイトーシスを阻害する。例えば、Yann Humeau et al., How Botulinum and Tetanus Neurotoxins Block Neurotransmitter Release, 82(5) Biochimie. 427-446 (2000);Kathryn Turton et al., Botulinum and Tetanus Neurotoxins: Structure, Function and Therapeutic Utility, 27(11) Trends Biochem. Sci. 552-558. (2002);Giovanna Lalli et al., The Journey of Tetanus and Botulinum Neurotoxins in Neurons, 11(9) Trends Microbiol. 431-437, (2003)を参照されたい。
本発明の態様では、修飾クロストリジウム毒素は、部分的には、単鎖修飾クロストリジウム毒素及び二鎖修飾クロストリジウム毒素を含む。上で考察されているように、クロストリジウム毒素は、天然か又は非天然かに関わらず、まず単鎖ポリペプチドとして合成される。この単鎖形態は、その後、ジスルフィド架橋を形成する2つのシステイン残基間に生成される個別の二鎖ループ領域内に位置するプロテアーゼ切断部位で、プロテアーゼにより切断される。この翻訳後プロセシングにより、軽鎖(LC)及び重鎖を含む二鎖分子が産出される。本明細書で使用される場合、用語「二鎖ループ領域」は、LCドメイン及びHCドメイン間に位置するジスルフィド架橋により形成された天然又は非天然クロストリジウム毒素のループ領域を指す。本明細書で使用される場合、用語「単鎖修飾クロストリジウム毒素」は、その単鎖形態にある、つまり毒素が、その同族プロテアーゼにより、二鎖ループ領域内に位置するプロテアーゼ切断部位で切断されていない、本明細書で開示される任意の修飾クロストリジウム毒素を指す。本明細書で使用される場合、用語「二鎖修飾クロストリジウム毒素」は、その二鎖形態にある、つまり毒素が、その同族プロテアーゼにより、二鎖ループ領域内に位置するプロテアーゼ切断部位で切断されている、本明細書で開示される任意の修飾クロストリジウム毒素を指す。
本発明の態様は、部分的には、ポリヌクレオチド分子を提供する。本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド分子」は、「核酸分子」と同義であり、例えば、任意の長さのリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチド等の、ヌクレオチドのポリマー形態を意味する。有用なポリヌクレオチド分子には、限定ではないが、天然及び非天然DNA分子並びに天然及び非天然RNA分子が含まれる。天然及び非天然DNA分子の非限定的な例には、一本鎖DNA分子、二本鎖DNA分子、ゲノムDNA分子、cDNA分子、例えばプラスミド構築体、ファージミド構築体、バクテリオファージ構築体、レトロウイルス構築体、及び人工染色体構築体等のベクター構築体が含まれる。天然及び非天然RNA分子の非限定的な例には、一本鎖RNA、二本鎖RNA、及びmRNAが含まれる。
本明細書で開示される修飾クロストリジウム毒素をコードするポリヌクレオチド分子を製作するために必要である場合がある十分に確立された分子生物学的技術には、これらに限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、制限酵素反応、アガロースゲル電気泳動、核酸ライゲーション、細菌形質転換、核酸精製、核酸配列決定、及び組換えに基づく技術を含む手順が含まれ、それらは日常的であり、当業者の範囲内にある、本明細書の教示に由来する。修飾クロストリジウム毒素をコードするポリヌクレオチド分子を製作するために必要な特定のプロトコールの非限定的な例は、例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual、上記(2001年);及びCurrent Protocols in Molecular Biology(Frederick M Ausubel et al., eds. John Wiley & Sons, 2004)に記載されている。加えて、修飾クロストリジウム毒素をコードするポリヌクレオチド分子を製作するために有用な様々な市販製品が、広く入手可能である。これらプロトコールは、十分に当業者の範囲内にある、本明細書の教示に照らして日常的な手順である。
本明細書で開示される方法は、部分的には、オープンリーディングフレームを含む。本明細書で使用される場合、用語「オープンリーディングフレーム」は、「ORF」と同義であり、タンパク質又はタンパク質の部分をコードする任意のポリヌクレオチド分子を意味する。オープンリーディングフレームは、通常、開始コドン(例えば、標準的コードでは、RNA分子の場合はAUGであり、DNA分子ではATGである)から始まり、フレームが終止コドン(例えば、標準的コードでは、RNA分子の場合はUAA、UGA、又はUAGであり、DNA分子ではTAA、TGA、又はTAGである)で終わるまで、コドントリプレットで解読される。本明細書で使用される場合、用語「コドン」は、タンパク質合成中に特定のアミノ酸を指定するポリヌクレオチド分子中の3個のヌクレオチドの配列を意味し、トリプレット又はコドントリプレットとも呼ばれる。
本明細書で開示される方法は、部分的には、発現構築体を含む。発現構築体は、細胞又は無細胞抽出物中でポリヌクレオチド分子を発現するのに有用な発現ベクターに作用可能に結合された、本明細書中で開示されたオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド分子を含む。多種多様な発現ベクターを、本明細書中で開示されたポリヌクレオチド分子の発現に使用することができ、それらには、限定ではないが、ウイルス発現ベクター;原核生物発現ベクター;例えば酵母発現ベクター、昆虫発現ベクター、及び哺乳動物発現ベクター等の真核生物発現ベクター;及び無細胞(in vitro)発現ベクターが含まれる。これら方法の態様を実施するのに有用な発現ベクターは、構成的な、組織特異的な、細胞特異的な、又は誘導可能なプロモーターエレメント、エンハンサーエレメント、又はその両方の制御下でポリヌクレオチド分子を発現するものが含まれていてもよいことが更に理解される。発現ベクターの非限定的な例は、そのような発現ベクターから発現構築体を製作及び使用するための十分に確立された試薬及び条件と共に、限定ではないが、BD Biosciences−Clontech社、パロアルト、カリフォルニア州;BD Biosciences Pharmingen社、サンディエゴ、カリフォルニア州;Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州;EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州;QIAGEN,Inc.社、バレンシア、カリフォルニア州;及びStratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州を含む商業的販売業者から容易に入手可能である。適切な発現ベクターの選択、製作、及び使用は、十分に当業者の範囲内にある、本明細書の教示に照らして日常的な手順である。
本明細書中で開示された発現構築体は、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含んでいてもよく、外来性プロテアーゼ切断部位の切断により、単鎖タンパク質がその二鎖形態に変換される。この実施形態の態様では、ウイルス発現ベクターは、二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されており、原核生物発現ベクターは、二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されており、酵母発現ベクターは、二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に連結されており、昆虫発現ベクターは、二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されており、哺乳動物発現ベクターは、二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されている。この実施形態の他の態様では、本明細書中で開示されたポリヌクレオチド分子を発現するために好適な発現構築体は、無細胞抽出物を使用して発現することができる。この実施形態の一態様では、無細胞発現ベクターは、二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されている。
一実施形態では、本明細書で開示される発現構築体は、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むクロストリジウム毒素をコードするオープンリーディングフレームを含むことができる。この実施形態の態様では、本明細書で開示される発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロストリジウム毒素結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むクロストリジウム毒素をコードするオープンリーディングフレームを含むことができる。この実施形態の態様では、単鎖クロストリジウム毒素は、線形のアミノからカルボキシルの順序の以下のものを含む:(1)クロストリジウムの酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及びクロストリジウム毒素結合ドメイン;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;3)クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン;4)クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;5)クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及びクロストリジウム毒素結合ドメイン;又は6)クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)BoNT/A毒素酵素ドメイン、BoNT/A移行ドメイン、BoNT/A結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)BoNT/B酵素ドメイン、BoNT/B移行ドメイン、BoNT/B結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)BoNT/C1酵素ドメイン、BoNT/C1移行ドメイン、BoNT/C1結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)BoNT/D酵素ドメイン、BoNT/D移行ドメイン、BoNT/D結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)BoNT/E酵素ドメイン、BoNT/E移行ドメイン、BoNT/E結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;6)BoNT/F酵素ドメイン、BoNT/F移行ドメイン、BoNT/F結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;7)BoNT/G酵素ドメイン、BoNT/G移行ドメイン、BoNT/G結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;8)TeNT酵素ドメイン、TeNT移行ドメイン、TeNT結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;9)BaNT酵素ドメイン、BaNT移行ドメイン、BaNT結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;10)BuNT酵素ドメイン、BuNT移行ドメイン、BuNT結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の更なる他の態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)BoNT/A毒素酵素ドメイン、BoNT/A移行ドメイン、BoNT/A結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)BoNT/B酵素ドメイン、BoNT/B移行ドメイン、BoNT/B結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)BoNT/C1酵素ドメイン、BoNT/C1移行ドメイン、BoNT/C1結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)BoNT/D酵素ドメイン、BoNT/D移行ドメイン、BoNT/D結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)BoNT/E酵素ドメイン、BoNT/E移行ドメイン、BoNT/E結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;6)BoNT/F酵素ドメイン、BoNT/F移行ドメイン、BoNT/F結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;7)BoNT/G酵素ドメイン、BoNT/G移行ドメイン、BoNT/G結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;8)TeNT酵素ドメイン、TeNT移行ドメイン、TeNT結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;9)BaNT酵素ドメイン、BaNT移行ドメイン、BaNT結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;10)BuNT酵素ドメイン、BuNT移行ドメイン、BuNT結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むそのようなクロストリジウム毒素の例は、例えば、J. Oliver Dolly, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許第7,132,529号;J. Oliver Dolly, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許第7,419,676号;Lance Steward, et al., Leucine-Based Motifs and Clostridial Neurotoxins、米国特許第6,903,187号;Lance Steward, et al., Leucine-Based Motifs and Clostridial Neurotoxins、米国特許第7,393,925号;Wei-Jen Lin, et al., Neurotoxins with Enhanced Target Specificity、米国特許第7,273,722号;Lance Steward, et al., Modified Botulinum Neurotoxins、米国特許第7,491,799号;Lance E. Steward, et al., Optimized Expression of Active Botulinum Toxin Type E、米国特許出願公開第2008/0138893号;Ester Fernandez-Salas, et al., Optimized Expression of Active Botulinum Toxin Type A、米国特許出願公開第2008/0057575号に記載されており、これらの文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、本明細書で開示される発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むことができる。この実施形態の態様では、単鎖タンパク質は、線形のアミノからカルボキシルの順序の以下のものを含む:(1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び非クロストリジウム毒素結合ドメイン;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;3)非クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン;4)非クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;5)クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及び非クロストリジウム毒素結合ドメイン;又は6)クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、オピオイド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、エンケファリン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ウシ副腎髄質−22(BAM22)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、エンドモルフィン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、エンドルフィン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ダイノルフィン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ノシセプチン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;7)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、へモルフィン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は8)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、リモルフィン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、メラノコルチンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、メラニン細胞刺激ホルモン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、副腎皮質刺激ホルモン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、リポトロピン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ガラニンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ガラニン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ガラニンメッセージ関連ペプチド(GMAP)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、グラニンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロモグラニンA結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロモグラニンB結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロモグラニンC結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、タキキニンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、サブスタンスP結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、神経ペプチドK結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、神経ペプチドガンマ結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ニューロキニンA結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ヘモキニン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、エンドキニン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、神経ペプチドY関連ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、神経ペプチドY(NPY)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ペプチドYY(PYY)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、膵臓ペプチド(PP)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、脾臓イコサペプチド(PIP)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、神経ホルモンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CCRH)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、副甲状腺ホルモン(PTH)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ソマトスタチン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、サイトカインペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、毛様体神経栄養因子(CNTF)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、グリコホリンA(GPA)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、白血病抑制因子(LIF)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、インターロイキン(IL)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、オノスタチン(onostatin)M結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、カルジオトロフィン−1(CT−1)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;7)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、カルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は8)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ニューロロイキン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、キニンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ブラジキニン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、カリジン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、desArg9ブラジキニン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、desArg10ブラジキニン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、FGF−1結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、FGF−2結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、FGF−4結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、FGF−8結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、FGF−9結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、FGF−17結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、FGF−18結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ニューロトロフィンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、神経成長因子(NGF)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、脳由来神経栄養因子(BDNF)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ニューロトロフィン3(NT−3)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ニューロトロフィン4/5(NT−4/5)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、頭部活性化因子ペプチド(HA、head activator peptide)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、腫瘍壊死因子(TNF)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、グリア由来増殖因子(GDNF)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ニュールツリン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、パーセフリン(persephrin)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、アルテミン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、形質転換増殖因子β(TGFβ)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、TGFβ1結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、TGFβ2結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、TGFβ3結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、TGFβ4結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、骨形成タンパク質β(BMP)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP2結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP3結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP4結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP5結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP6結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP7結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;7)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP8結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は8)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、BMP10結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、増殖分化因子β(GDF)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む;1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF1結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF2結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF3結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF5結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF6結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF7結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;7)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF8結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;8)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF10結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;9)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF11結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は10)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、GDF15結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、アクチビンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、アクチビンA結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、アクチビンB結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、アクチビンC結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、アクチビンE結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、インヒビンA結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、血管内皮増殖因子(VEGF)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、インスリン増殖因子(IGF)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、IGF−1結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、IGF−2結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、上皮細胞増殖因子(EGF)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、グルカゴン様ホルモンペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、セクレチン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、グルカゴン様ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、血管作用性小腸ペプチド(VIP)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、VIP1結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、VIP2結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、胃抑制ポリペプチド(GIP)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、カルシトニン関連ペプチド内臓腸ペプチド(Calcitonin-related peptidesvisceral gut peptide)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ガストリン結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、ガストリン放出ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、コレシストキニン(CCK)結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、プロテアーゼ活性化受容体(PAR)ペプチド結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、PAR1結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、PAR2結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、PAR3結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域;又は4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、PAR3結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域。
外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むそのようなタンパク質の例は、例えば、J. Oliver Dolly, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許第7,132,529号;J. Oliver Dolly, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許第7,419,676号;Lance E. Steward et al., Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use、米国特許第7,514,088号;Keith A. Foster et al., Re-targeted Toxin Conjugates, 国際公開第2005/023309号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2008/0032930号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2008/0032931号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2008/0161226号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2008/0221012号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2009/0004224号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2009/0005313号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2009/0018081号;Lance E. Steward, et al., Activatable Recombinant Neurotoxins、米国特許出願公開第2009/0069238号;及びLance E. Steward et al., Multivalent Clostridial Toxin Derivatives and Methods of Their Use、米国特許出願公開第2009/0048431号に記載されており、これらの文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメインを含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の態様では、単鎖タンパク質は、線形のアミノからカルボキシルの順序の以下のものを含む:(1)統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン;2)統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;4)クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン;5)クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及び統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメイン;並びに6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメイン。
この実施形態の他の態様では、発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメインをコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の更なる態様では、発現構築体は、以下のものをコードするオープンリーディングフレームを含む:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−エンケファリン結合ドメイン;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ウシ副腎髄質−22(BAM22)結合ドメイン;3)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−エンドモルフィン結合ドメイン;4)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−エンドルフィン結合ドメイン;5)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ダイノルフィン結合ドメイン;6)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ノシセプチン結合ドメイン;7)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−へモルフィン結合ドメイン;又は8)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−リモルフィン結合ドメイン。
統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメインを含むそのようなタンパク質の例は、例えば、併願特許出願Sanjiv Ghanshani, et al., Modified Clostridial Toxins Comprising an Integrated Protease Cleavage Site-Binding Domainに記載されており、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で開示される発現構築体は、プロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含むことができる。この実施形態の態様では、ウイルス発現ベクターが、プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されており;原核生物発現ベクターが、プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されており;酵母発現ベクターが、プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されており;昆虫発現ベクターが、プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されており;及び哺乳動物発現ベクターが、プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されている。この実施形態の他の態様では、発現構築体は、本明細書中で開示されたポリヌクレオチド分子を発現するのに好適であり、無細胞抽出物を使用して発現することができる。この実施形態の一態様では、無細胞抽出物発現ベクターが、プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド分子に作用可能に結合されている。
この実施形態の態様では、オープンリーディングフレームを含む発現構築体は、エンテロキナーゼ、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、タバコ葉脈斑紋ウイルス(TVMV)プロテアーゼ、サブチリシンプロテアーゼ、又はカスパーゼ3プロテアーゼをコードする。エンテロキナーゼプロテアーゼ及びそれらをコードするポリヌクレオチド分子の例は、例えば、Edward R. LaVallie, Cloning of Enterokinase and Method of Use、米国特許第5,665,566号;Edward R. LaVallie, Cloning of Enterokinase and Method of Use、米国特許第6,746,859号に記載されており、これら文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。サブチリシンプロテアーゼ及びそれらをコードするポリヌクレオチド分子の例は、例えば、Donn N. Rubingh, et al., Subtillisin Protease Variants having Amino Acid Deletions and Substitutions in Defined Epitope Regions、米国特許第6,586,224号に記載されており、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
この実施形態の別の態様では、エンテロキナーゼは、配列番号11である。この実施形態の別の態様では、エンテロキナーゼは、配列番号11のアミノ酸239〜1035を含む。この実施形態の更に別の態様では、エンテロキナーゼは、例えばエンテロキナーゼアイソフォーム等の天然エンテロキナーゼ変異体である。この実施形態のなお別の態様では、エンテロキナーゼは、例えば、保存的エンテロキナーゼ変異体、非保存的エンテロキナーゼ変異体、エンテロキナーゼキメラ、活性エンテロキナーゼ断片、又はそれらの任意の組み合わせ等の非天然エンテロキナーゼ変異体である。この実施形態の別の態様では、エンテロキナーゼは、米国特許第5,665,566号又は米国特許第6,746,859号に開示されているものである。この実施形態の別の態様では、エンテロキナーゼ、天然エンテロキナーゼ変異体、又は非天然エンテロキナーゼ変異体は、例えば、ヒト、ウシ、又はげっ歯動物等の哺乳動物の種から得られる。
この実施形態の他の態様では、エンテロキナーゼは、配列番号11に対して、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のアミノ酸同一性;又は配列番号11に対して、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、又は最大で95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、エンテロキナーゼは、例えば、配列番号11に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号11に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、エンテロキナーゼは、例えば、配列番号11に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号11に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。
この実施形態の別の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼは、配列番号12である。この実施形態の更に別の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼは、例えばヒトライノウイルス3Cプロテアーゼアイソフォーム等の、天然ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ変異体である。この実施形態の更に別の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼは、例えば、保存的ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ変異体、非保存的ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ変異体、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼキメラ、活性ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ断片、又はそれらの任意の組み合わせ等の、非天然ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ変異体である。この実施形態の別の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ、天然ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ変異体、又は非天然ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ変異体は、ライノウイルスの種から得られる。
この実施形態の他の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼは、配列番号12に対して、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のアミノ酸同一性;又は配列番号12に対して、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、又は最大で95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼは、例えば、配列番号12に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号12に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼは、例えば、配列番号12に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号12に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。
この実施形態の別の態様では、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼは、配列番号13である。この実施形態の更に別の態様では、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼは、例えばヒトエンテロウイルスウイルス3Cプロテアーゼアイソフォーム等の天然ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ変異体である。この実施形態の更に別の態様では、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼは、例えば、保存的ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ変異体、非保存的ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ変異体、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼキメラ、活性ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ断片、又はそれらの任意の組み合わせ等の、非天然ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ変異体である。この実施形態の別の態様では、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ、天然ヒトエンテロウイルスウイルス3Cプロテアーゼ変異体、又は非天然ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ変異体は、エンテロウイルスの種から得られる。
この実施形態の他の態様では、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼは、配列番号13に対して、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のアミノ酸同一性;又は配列番号13に対して、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、又は最大で95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼは、例えば、配列番号13に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号13に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼは、例えば、配列番号13に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号13に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。
この実施形態の別の態様では、TEVプロテアーゼは、配列番号14である。この実施形態の別の態様では、TEVプロテアーゼは、配列番号14のアミノ酸2038〜2270を含む。この実施形態の別の態様では、TEVプロテアーゼは、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、又は配列番号23を含む。この実施形態の更に別の態様では、TEVプロテアーゼは、例えばTEVプロテアーゼアイソフォーム等の天然TEVプロテアーゼ変異体である。この実施形態の更に別の態様では、TEVプロテアーゼは、例えば、保存的TEVプロテアーゼ変異体、非保存的TEVプロテアーゼ変異体、TEVプロテアーゼキメラ、活性TEVプロテアーゼ断片、又はそれらの任意の組み合わせ等の、非天然TEVプロテアーゼ変異体である。この実施形態の別の態様では、TEVプロテアーゼ、天然TEVプロテアーゼ変異体、又は非天然TEVプロテアーゼ変異体は、ポティウイルスの種から得られる。
この実施形態の他の態様では、TEVプロテアーゼは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、又は配列番号23に対して、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のアミノ酸同一性;又は配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、又は配列番号23に対して、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、又は最大で95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、TEVプロテアーゼは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、又は配列番号23に関して、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、又は配列番号23に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、TEVプロテアーゼは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、又は配列番号23に関して、例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、又は配列番号23に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。
この実施形態の別の態様では、TVMVプロテアーゼは、配列番号24である。この実施形態の別の態様では、TEVプロテアーゼは、配列番号24のアミノ酸2002〜2236を含む。この実施形態の更に別の態様では、TVMVプロテアーゼは、例えばTVMVプロテアーゼアイソフォーム等の天然TVMVプロテアーゼ変異体である。この実施形態の更に別の態様では、TVMVプロテアーゼは、例えば、保存的TVMVプロテアーゼ変異体、非保存的TVMVプロテアーゼ変異体、TVMVプロテアーゼキメラ、活性TVMVプロテアーゼ断片、又はそれらの任意の組み合わせ等の、非天然TVMVプロテアーゼ変異体である。この実施形態の別の態様では、TVMVプロテアーゼ、天然TVMVプロテアーゼ変異体、又は非天然TVMVプロテアーゼ変異体は、ポティウイルスの種から得られる。
この実施形態の他の態様では、TVMVプロテアーゼは、配列番号24又は配列番号24のアミノ酸2002〜2236に対して、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のアミノ酸同一性;又は配列番号24若しくは配列番号24のアミノ酸2002〜2236に対して、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、又は最大で95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、TVMVプロテアーゼは、例えば、配列番号24又は配列番号24の2002〜2236に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号24若しくは配列番号24の2002〜2236に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、TVMVプロテアーゼは、例えば、配列番号24又は配列番号24の2002〜2236に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号24若しくは配列番号24の2002〜2236に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。
この実施形態の別の態様では、スブチリシンプロテアーゼは、配列番号25である。この実施形態の別の態様では、スブチリシンプロテアーゼは、配列番号25のアミノ酸107〜365を含む。この実施形態の更に別の態様では、スブチリシンプロテアーゼは、例えばスブチリシンプロテアーゼアイソフォーム等の天然スブチリシンプロテアーゼ変異体である。この実施形態の更に別の態様では、サブチリシンプロテアーゼは、例えば、保存的サブチリシンプロテアーゼ変異体、非保存的サブチリシンプロテアーゼ変異体、サブチリシンプロテアーゼキメラ、活性サブチリシンプロテアーゼ断片、又はそれらの任意の組に合わせ等の、非天然サブチリシンプロテアーゼ変異体である。この実施形態の別の態様では、サブチリシンプロテアーゼ、天然サブチリシンプロテアーゼ変異体、又は非天然サブチリシンプロテアーゼ変異体は、バチルスの種から得られる。
この実施形態の他の態様では、スブチリシンプロテアーゼは、配列番号25又は配列番号25のアミノ酸107〜365に対して、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のアミノ酸同一性;又は配列番号25若しくは配列番号25のアミノ酸107〜365に対して、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、又は最大で95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、スブチリシンプロテアーゼは、例えば、配列番号25又は配列番号25のアミノ酸107〜365に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号25若しくは配列番号25のアミノ酸107〜365に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、スブチリシンプロテアーゼは、例えば、配列番号25又は配列番号25のアミノ酸107〜365に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号25若しくは配列番号25のアミノ酸107〜365に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。
この実施形態の別の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼは、配列番号26である。この実施形態の更に別の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼは、例えばカスパーゼ3プロテアーゼアイソフォーム等の天然カスパーゼ3プロテアーゼ変異体である。この実施形態の更に別の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼは、例えば、保存的カスパーゼ3プロテアーゼ変異体、非保存的カスパーゼ3プロテアーゼ変異体、カスパーゼ3プロテアーゼキメラ、活性カスパーゼ3プロテアーゼ断片、又はそれらの任意の組み合わせ等の、非天然カスパーゼ3プロテアーゼ変異体である。この実施形態の別の態様では、カスパーゼ3キナーゼ、天然カスパーゼ3キナーゼ変異体、又は非天然カスパーゼ3キナーゼ変異体は、例えば、ヒト、ウシ、又はげっ歯動物等の哺乳動物の種から得られる。
この実施形態の他の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼは、配列番号26に対して、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のアミノ酸同一性;又は配列番号26に対して、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、又は最大で95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼは、例えば、配列番号26に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号26に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の非隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。この実施形態の更に他の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼは、例えば、配列番号26に関して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換;又は配列番号26に関して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、又は100個の隣接アミノ酸の欠失、付加、及び/又は置換を有するポリペプチドを含む。
本明細書で開示される方法は、部分的には、二重発現構築体を含む。二重発現構築体は、2つのポリヌクレオチド分子を含み、その各々は、細胞又は無細胞抽出物中で両ポリヌクレオチド分子を発現するのに有用な発現ベクターに作用可能に結合された、本明細書中で開示されたオープンリーディングフレームを含む。多種多様な二重発現ベクターを、本明細書中で開示されるポリヌクレオチド分子の発現に使用することができ、それらには、限定ではないが、ウイルス二重発現ベクター ;原核生物二重発現ベクター;例えば酵母二重発現ベクター、昆虫二重発現ベクター、及び哺乳動物二重発現ベクター等の真核生物二重発現ベクター;及び無細胞抽出物二重発現ベクターが含まれる。これら方法の態様を実施するのに有用な二重発現ベクターは、構成的な、組織特異的な、細胞特異的な、又は誘導可能なプロモーターエレメント、エンハンサーエレメント、又はその両方の制御下でポリヌクレオチド分子を発現するものが含まれていてもよいことが更に理解される。二重発現ベクターの非限定的な例は、そのような発現ベクターから発現構築体を製作及び使用するための十分に確立された試薬及び条件と共に、限定ではないが、EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州を含む商業的販売業者から容易に入手可能である。適切な二重発現ベクターの選択、製作、及び使用は、十分に当業者の範囲内にある、本明細書の教示に照らして日常的な手順である。
本明細書で開示される二重発現構築体は、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム、及び二鎖ループ領域内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を切断し、それにより単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換するすることができるプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。
したがって、一実施形態では、二重発現構築体は、本明細書に開示の外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム、及び本明細書に開示の二鎖ループ領域内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を切断することができるプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含む。
この実施形態の一態様では、二重発現構築体は、TEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むクロストリジウム毒素をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。この実施形態の別の態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むクロストリジウム毒素をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。この実施形態の更に別の態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロストリジウム毒素結合ドメイン、及び二鎖ループ領域、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含み、TEVプロテアーゼ切断部位が二鎖ループ領域内に位置するクロストリジウム毒素をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。
この実施形態の一態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むたんぱく質をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及び二鎖ループ領域内に位置する外来性プロテアーゼを切断することができるプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。この実施形態の別の態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。この実施形態の更に別の態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、二鎖ループ領域、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含み、TEVプロテアーゼ切断部位が二鎖ループ領域内に位置するタンパク質をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。
この実施形態の一態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型プロテアーゼ切断部位−結合ドメインを含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む。この実施形態の別の態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−結合ドメインを含むタンパク質をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。この実施形態の更に別の態様では、二重発現構築体は、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型TEVプロテアーゼ切断部位−結合ドメインを含み、TEVプロテアーゼ切断部位が二鎖ループ領域内に位置するタンパク質をコードする1つのオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードする別のオープンリーディングフレームを含んでいてもよい。
二重発現構築体内に含まれているオープンリーディングフレームのうちの1つの位置は、両オープンリーディングフレームからの転写が依然として生じ得る限り、他方のオープンリーディングフレームの位置に対して任意の順序であってもよい。二重発現構築体を製作する場合、第1のプロモーター領域からの転写開始は、典型的には両オープンリーディングフレームを転写するが、第2のプロモーター領域からの転写開始は、典型的にはオープンリーディングフレームのうちの1つのみを転写する。したがって、第1及び第2のプロモーター領域に対するオープンリーディングフレームの位置に応じて、オープンリーディングフレームのうちの1つからは、2倍の転写物を製作することができる。
したがって、1つの実施形態では、プロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。この実施形態の一態様では、TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、二鎖ループ領域内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位を含むクロストリジウム毒素をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。この実施形態の別の態様では、TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。この実施形態の更に別の態様では、TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型TEVプロテアーゼ切断部位−結合ドメインを含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。
別の実施形態では、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、プロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。この実施形態の一態様では、TEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むクロストリジウム毒素をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。この実施形態の別の態様では、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。この実施形態の更に別の態様では、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型TEVプロテアーゼ切断部位−結合ドメインを含むタンパク質をコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター領域の制御下にあるが、TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームは、第1のプロモーター及び第2のプロモーター領域の両方の制御下にある。
二重発現構築体内に含まれているオープンリーディングフレームのうちの1つの5’−3’方向性は、両オープンリーディングフレームからの転写が依然として生じ得る限り、他方のオープンリーディングフレームの5’−3’方向性に対して任意の方向であってもよい。1つの実施形態では、オープンリーディングフレームのうちの1つの5’−3’方向性は、他方のオープンリーディングフレームの5’−3’方向性と同じ方向である。別の実施形態では、オープンリーディングフレームのうちの1つの5’−3’方向性は、他方のオープンリーディングフレームの5’−3’方向性と反対の方向である。この実施形態の一態様では、オープンリーディングフレームのうちの1つの5’−3’方向性は、他方のオープンリーディングフレームの5’−3’方向性に対して収束性である。この実施形態の別の態様では、オープンリーディングフレームのうちの1つの5’−3’方向性は、他方のオープンリーディングフレームの5’−3’方向性に対して分散性である。
本明細書で開示される方法は、部分的には、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、用語「二鎖ループ領域」は、単鎖形態のクロストリジウム毒素を二鎖形態に変換するのに使用されるプロテアーゼ切断部位を含むクロストリジウム毒素のアミノ酸配列を意味する。クロストリジウム毒素二鎖ループ領域の非限定的な例には、以下のものが含まれる:配列番号1のアミノ酸430〜454を含むBoNT/Aの二鎖ループ領域;配列番号2のアミノ酸437〜446を含むBoNT/Bの二鎖ループ領域;配列番号3のアミノ酸437〜453を含むBoNT/C1の二鎖ループ領域;配列番号4のアミノ酸437〜450を含むBoNT/Dの二鎖ループ領域;配列番号5のアミノ酸412〜426を含むBoNT/Eの二鎖ループ領域;配列番号6のアミノ酸429〜445を含むBoNT/Fの二鎖ループ領域;配列番号7のアミノ酸436〜450を含むBoNT/Gの二鎖ループ領域;配列番号8のアミノ酸439〜467を含むTeNTの二鎖ループ領域;配列番号9のアミノ酸421〜435を含むBaNTの二鎖ループ領域;及び配列番号10のアミノ酸412〜426を含むBuNTの二鎖ループ領域(表2)。
上で言及されているように、クロストリジウム毒素は、およそ150kDaの単鎖ポリペプチドとして翻訳され、これは、その後天然プロテアーゼによるジスルフィドループ内でのタンパク質分解的切断により切断される(図1)。この翻訳後プロセシングにより、単一ジスルフィド結合及び非共有結合性相互作用により一緒に保持される、およそ50kDaの軽鎖(LC)及びおよそ100kDaの重鎖(HC)を含む二鎖分子が産出される。どんなプロテアーゼかは、現在のところ知られていないが、多くのクロストリジウム毒素の二鎖ループプロテアーゼ切断部位が決定されている。BoNTでは、K448−A449での切断は、単一ポリペプチド形態のBoNT/Aを二鎖形態に変換し、K441−A442での切断は、単一ポリペプチド形態のBoNT/Bを二鎖形態に変換し、K449−T450での切断は、単一ポリペプチド形態のBoNT/C1を二鎖形態に変換し、R445−D446での切断は、単一ポリペプチド形態のBoNT/Dを二鎖形態に変換し、R422−K423での切断は、単一ポリペプチド形態のBoNT/Eを二鎖形態に変換し、K439−A440での切断は、単一ポリペプチド形態のBoNT/Fを二鎖形態に変換し、及びK446−S447での切断は、単一ポリペプチド形態のBoNT/Gを二鎖形態に変換する。単一ポリペプチド形態のTeNTが、A457−S458でタンパク質分解的に切断されると、二鎖形態がもたらされる。単一ポリペプチド形態のBaNTが、K431−N432でタンパク質分解的に切断されると、二鎖形態がもたらされる。単一ポリペプチド形態のBuNTが、R422−K423でタンパク質分解的に切断されると、二鎖形態がもたらされる。そのような二鎖ループプロテアーゼ切断部位は、融合タンパク質として修飾クロストリジウム毒素にインフレームで作用可能に結合されている。しかしながら、二鎖ループ内の追加の切断部位も切断され、小ペプチド断片喪失の発生がもたらされると考えられることにも留意べきである。非限定的な例として、BoNT/A単鎖ポリペプチドの切断により、二鎖ループ内の10個アミノ酸の断片の喪失が最終的にもたらされる。
二鎖ループ領域を含む任意の分子を、本開示の方法に有用な外来性プロテアーゼ切断部位を含むように修飾することができることが想定される。本開示の方法に有用な外来性プロテアーゼ切断部位を含むように修飾された二鎖ループを有することができる分子の例には、以下のものが含まれる:例えば、Keith A. Foster et al., Clostridial Toxin Derivatives Able To Modify Peripheral Sensory Afferent Functions、米国特許第5,989,545号;Clifford C. Shone et al., Recombinant Toxin Fragments、米国特許第6,461,617号;Conrad P. Quinn et al., Methods and Compounds for the Treatment of Mucus Hypersecretion、米国特許第6,632,440号;Lance E. Steward et al., Methods And Compositions For The Treatment Of Pancreatitis、米国特許第6,843,998号;Stephan Donovan, Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain、米国特許第7,244,437号;Stephan Donovan, Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain、米国特許第7,413,742号;Stephan Donovan, Clostridial Toxin Derivatives and Methods For Treating Pain、米国特許第7,425,338号。これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
二鎖ループ領域は、外来性プロテアーゼ切断部位の付加により修飾される。本明細書で使用される場合、用語「外来性プロテアーゼ切断部位」は、「天然には存在しないプロテアーゼ切断部位」又は「非天然プロテアーゼ切断部位」と同義であり、天然クロストリジウム毒素に由来する二鎖ループ領域に通常は存在しないプロテアーゼ切断部位を指す。単鎖ポリペプチド形態のクロストリジウム毒素を二鎖形態に変換するために使用することができるありとあらゆる外来性プロテアーゼ切断部位が、本発明の態様を実施するのに有用であることが想定される。外来性プロテアーゼ切断部位の非限定的な例には、以下のものが含まれる:例えば、エンテロキナーゼプロテアーゼ切断部位、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ切断部位、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位、タバコ葉脈斑紋ウイルス(TVMV)プロテアーゼ切断部位、サブチリシンプロテアーゼ切断部位、又はカスパーゼ3プロテアーゼ切断部位。
外来性プロテアーゼ切断部位が、そのそれぞれのプロテアーゼにより切断可能である限り、ありとあらゆる長さの外来性プロテアーゼ切断部位が、本発明の態様に有用であると想定される。したがって、この実施形態の態様では、外来性プロテアーゼ切断部位は、例えば、少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、又は60個のアミノ酸;又は最大で6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、又は60個のアミノ酸の長さを有していてもよい
一実施形態では、二鎖ループ領域は、外来性プロテアーゼ切断部位を含む。この実施形態の態様では、二鎖ループ領域は、以下のものを含むように修飾される:例えば、エンテロキナーゼプロテアーゼ切断部位、タバコエッチウイルスプロテアーゼ切断部位、タバコ葉脈斑紋ウイルスプロテアーゼ切断部位、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ切断部位、サブチリシン切断部位、及びカスパーゼ3切断部位。この実施形態の他の態様では、外来性プロテアーゼ切断部位は、例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、TeNT、BaNT、又はBuNTの二鎖ループ内に位置する。この実施形態の他の態様では、外来性プロテアーゼ切断部位は、以下の文献に開示されているタンパク質の二鎖ループ内に位置する:例えば、米国特許第5,989,545号;米国特許第6,461,617号;米国特許第6,632,440号;米国特許第6,843,998号;米国特許第7,244,437号;米国特許第7,413,742号;及び米国特許第7,425,338号。
この実施形態の一態様では、二鎖ループ領域は、コンセンサス配列E−P5−P4−Y−P2−Q*−G(配列番号27)又はE−P5−P4−Y−P2−Q*−S(配列番号28)を有するタバコエッチウイルスプロテアーゼ切断部位を含み、P2、P4、及びP5は、任意のアミノ酸であってもよい。この実施形態の他の態様では、二鎖ループ領域は、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、又は配列番号38を含むタバコエッチウイルスプロテアーゼ切断部位を含む。この実施形態の更に他の態様では、タバコエッチウイルスプロテアーゼ切断部位は、例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、TeNT、BaNT、又はBuNTの二鎖ループ内に位置する。この実施形態の他の態様では、タバコエッチウイルスプロテアーゼ切断部位は、以下の文献に開示されているタンパク質の二鎖ループ内に位置する:例えば、米国特許第5,989,545号;米国特許第6,461,617号;米国特許第6,632,440号;米国特許第6,843,998号;米国特許第7,244,437号;米国特許第7,413,742号;及び米国特許第7,425,338号。
この実施形態の別の態様では、二鎖ループ領域は、コンセンサス配列P6−P5−V−R−F−Q*−G(配列番号39)又はP6−P5−V−R−F−Q*−S(配列番号40)を有するタバコ葉脈斑紋ウイルスプロテアーゼ切断部位を含み、P5及びP6は、任意のアミノ酸であってもよい。この実施形態の他の態様では、二鎖ループ領域は、配列番号41、配列番号42、配列番号43、又は配列番号44を含むタバコ葉脈斑紋ウイルスプロテアーゼ切断部位を含む。この実施形態の更に他の態様では、タバコ葉脈斑紋ウイルスプロテアーゼ切断部位は、例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、TeNT、BaNT、又はBuNTの二鎖ループ内に位置する。この実施形態の他の態様では、タバコ葉脈斑紋ウイルスプロテアーゼ切断部位は、以下の文献に開示されているタンパク質の二鎖ループ内に位置する:例えば、米国特許第5,989,545号;米国特許第6,461,617号;米国特許第6,632,440号;米国特許第6,843,998号;米国特許第7,244,437号;米国特許第7,413,742号;及び米国特許第7,425,338号。
この実施形態の更に別の態様では、二鎖ループ領域は、コンセンサス配列P5−P4−L−F−Q*−G−P(配列番号45)を有するヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位を含み、P4は、G、A、V、L、I、M、S、又はTであり、P5は、任意のアミノ酸であってもよく、D又はEが好ましい。この実施形態の他の態様では、二鎖ループ領域は、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、又は配列番号51を含むヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位を含む。この実施形態の更に他の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位は、例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、TeNT、BaNT、又はBuNTの二鎖ループ内に位置する。この実施形態の他の態様では、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位は、以下の文献に開示されているタンパク質の二鎖ループ内に位置する:例えば、米国特許第5,989,545号;米国特許第6,461,617号;米国特許第6,632,440号;米国特許第6,843,998号;米国特許第7,244,437号;米国特許第7,413,742号;及び米国特許第7,425,338号。
この実施形態の更に別の態様では、二鎖ループ領域は、コンセンサス配列P6−P5−P4−P3−H*−Y(配列番号52)又はP6−P5−P4−P3−Y−H*(配列番号53)を有するサブチリシンプロテアーゼ切断部位を含み、P3、P4、及びP5、及びP6は、任意のアミノ酸であってもよい。この実施形態の他の態様では、二鎖ループ領域は、配列番号54、配列番号55、又は配列番号56を含むスブチリシンプロテアーゼ切断部位を含む。この実施形態の更に他の態様では、スブチリシンプロテアーゼ切断部位は、例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、TeNT、BaNT、又はBuNTの二鎖ループ内に位置する。この実施形態の他の態様では、スブチリシンプロテアーゼ切断部位は、以下の文献に開示されているタンパク質の二鎖ループ内に位置する:例えば、米国特許第5,989,545号;米国特許第6,461,617号;米国特許第6,632,440号;米国特許第6,843,998号;米国特許第7,244,437号;米国特許第7,413,742号;及び米国特許第7,425,338号。
この実施形態の更なる態様では、二鎖ループ領域は、コンセンサス配列D−P3−P2−D*P1’(配列番号57)を有するカスパーゼ3プロテアーゼ切断部位を含み、P3は任意のアミノ酸であってもよく、Eが好ましく、P2は任意のアミノ酸であってもよく、P1’は任意のアミノ酸であってもよく、G又はSが好ましい。この実施形態の他の態様では、二鎖ループ領域は、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、又は配列番号63を含むカスパーゼ3プロテアーゼ切断部位を含む。この実施形態の更に他の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼ切断部位は、例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、TeNT、BaNT、又はBuNTの二鎖ループ内に位置する。この実施形態の他の態様では、カスパーゼ3プロテアーゼ切断部位は、以下の文献に開示されているタンパク質の二鎖ループ内に位置する:例えば、米国特許第5,989,545号;米国特許第6,461,617号;米国特許第6,632,440号;米国特許第6,843,998号;米国特許第7,244,437号;米国特許第7,413,742号;及び米国特許第7,425,338号。
この実施形態の更に別の態様では、二鎖ループ領域は、コンセンサス配列DDDDK(配列番号64)を有するエンテロキナーゼプロテアーゼ切断部位を含む。この実施形態の他の態様では、エンテロキナーゼプロテアーゼ切断部位は、例えば、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、BoNT/G、TeNT、BaNT、又はBuNTの二鎖ループ内に位置する。この実施形態の更に他の態様では、エンテロキナーゼプロテアーゼ切断部位は、以下の文献に開示されているタンパク質の二鎖ループ内に位置する:例えば、米国特許第5,989,545号;米国特許第6,461,617号;米国特許第6,632,440号;米国特許第6,843,998号;米国特許第7,244,437号;米国特許第7,413,742号;及び米国特許第7,425,338号。
二鎖ループ領域は、天然二鎖ループプロテアーゼ切断部位を外来性プロテアーゼ切断部位に置換するように修飾される。この修飾では、天然二鎖ループプロテアーゼ切断部位は、作用不能にされており、したがってそのプロテアーゼにより切断され得ない。外来性プロテアーゼ切断部位は、その対応する外来性プロテアーゼによってのみ切断することができる。この種の修飾では、外来性プロテアーゼ部位は、融合タンパク質として修飾クロストリジウム毒素にインフレームで作用可能に結合されており、この部位は、そのそれぞれの外来性プロテアーゼにより切断することができる。外来性プロテアーゼ切断部位による内因性二鎖ループプロテアーゼ切断部位の置換は、外来性部位が内因性部位の切断部位位置とほぼ同じ位置に操作される、部位の置換であってもよい。外来性プロテアーゼ切断部位による内因性二鎖ループプロテアーゼ切断部位の置換は、外来性部位が内因性部位の切断部位位置とは異なる位置に操作されており、内因性部位が作用不能に操作される、外来性部位の付加であってもよい。
二鎖ループ領域内に含まれる天然プロテアーゼ切断部位は、天然二鎖ループプロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する少なくとも2個のアミノ酸を変更することにより作用不能にすることができる。二鎖ループ領域の2個のシステイン残基の完全性が保たれ、この領域が依然としてジスルフィド架橋を形成することができる限り、より広範な変更を行ってもよい。アミノ酸変更の非限定的な例には、アミノ酸の欠失、又は異なるアミノ酸による元のアミノ酸の置換が含まれる。したがって、1つの実施形態では、二鎖ループ領域内に含まれる天然プロテアーゼ切断部位は、天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を変更することにより作用不能にされる。この実施形態の他の態様では、二鎖ループ領域内に含まれる天然プロテアーゼ切断部位は、以下のものを変更することにより作用不能にされる:例えば、天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも3個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも4個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも5個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも6個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも7個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも8個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも9個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも10個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも15個のアミノ酸;又は天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む少なくとも20個のアミノ酸。
この実施形態の更に他の態様では、二鎖ループ領域内に含まれる天然二鎖プロテアーゼ切断部位は、以下のものを変更することにより作用不能にされる:例えば、天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で3個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で4個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で5個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で6個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で7個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で8個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で9個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で10個のアミノ酸;天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で15個のアミノ酸;又は天然プロテアーゼにより切断されるペプチド結合に隣接する2個のアミノ酸を含む最大で20個のアミノ酸。
本明細書で開示される方法は、部分的には、細胞を含む。ありとあらゆる細胞を使用することができることが想定される。したがって、この実施形態の態様には、限定ではないが、以下のものが含まれる:限定ではないが、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridia perfringens)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridia difficile)、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、メチロバクテリウム・エキストロクエンス(Methylobacterium extorquens)、ナイセリア・メニンギルス(Neisseria meningirulls)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、及びサルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)に由来するもの等の、好気性、微好気性、好二酸化炭素性、通性、嫌気性、グラム陰性、及びグラム陽性の細菌細胞の菌株を含む原核細胞;及び限定ではないが、例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、及びヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)に由来するもの等の酵母菌株を含む真核細胞;例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、及びタバコスズメガ(Manduca sexta)に由来するもの等の昆虫に由来する昆虫細胞及び細胞系;及び例えばマウス、ラット、ハムスター、ブタ、ウシ、ウマ、霊長類、及びヒトに由来するもの等の哺乳動物細胞に由来する哺乳動物細胞及び細胞系。細胞系は、アメリカ培養細胞系統保存機関、欧州細胞カルチャーコレクション(European Collection of Cell Cultures)、及びドイツ微生物及び細胞カルチャーコレクション(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)から取得することができる。適切な細胞系を選択、製作、使用するための特定のプロトコールの非限定的な例は、例えば、以下の文献に記載されている:例えば、Insect Cell Culture Engineering (Mattheus F. A. Goosen et al. eds., Marcel Dekker, 1993);Insect Cell Cultures: Fundamental and Applied Aspects (J. M. Vlak et al. eds., Kluwer Academic Publishers, 1996);Maureen A. Harrison & Ian F. Rae, General Techniques of Cell Culture (Cambridge University Press, 1997);Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (Alan Doyle et al eds., John Wiley and Sons, 1998);R. Ian Freshney, Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique (Wiley-Liss, 4th ed. 2000);Animal Cell Culture: A Practical Approach (John R. W. Masters ed., Oxford University Press, 3rd ed. 2000);Molecular Cloning A Laboratory Manual, supra, (2001);Basic Cell Culture: A Practical Approach (John M. Davis, Oxford Press, 2nd ed. 2002);and Current Protocols in Molecular Biology,supra,(2004)。これらプロトコールは、十分に当業者の範囲内にある、本明細書の教示に照らして日常的な手順である。
本明細書で開示される方法は、部分的には、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入することを含む。細胞に導入された発現構築体又は二重発現構築体は、その細胞により一過性に又は安定的に維持することができる。安定的に維持された発現構築体又は二重発現構築体は、染色体外にあり、自律的に複製することができるか、又はそれらは細胞の染色体物質に組み込まれ、非自律的に複製することができる。本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入するためのありとあらゆる方法を使用することができることが想定される。発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入するのに有用な方法には、限定ではないが、以下のものが含まれる:例えば、リン酸カルシウム媒介性、ジエチルアミノエチル(DEAE)デキストラン媒介性、脂質媒介性、ポリエチレンイミン(PEI)媒介性、ポリリシン媒介性、及びポリブレン媒介性等の、化学物質媒介性の形質移入;例えば、微粒子銃粒子送達、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合、及びエレクトロポレーション等の、物理的媒介性の形質移入(tranfection);及び例えばレトロウイルス媒介性形質移入等のウイルス媒介性形質移入。例えば、Introducing Cloned Genes into Cultured Mammalian Cells, pp. 16.1-16.62(Sambrook & Russell, eds., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Vol. 3, 3rd ed. 2001)を参照されたい。当業者であれば、発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入する特定の方法の選択は、部分的には、細胞が、発現構築体又は二重発現構築体を一過性に含有することになるか否か、又は細胞が、発現構築体又は二重発現構築体を安定的に含有することになるか否かに依存することになることを理解する。これらプロトコールは、十分に当業者の範囲内にある、本明細書の教示に照らして日常的な手順である。
この実施形態の一態様では、形質移入と称される、化学物質を媒介とする方法を使用して、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入する。化学物質を媒介とする形質移入法では、化学試薬が、発現構築体又は二重発現構築体と、細胞へのその取り込みを容易にする複合体を形成する。そのような化学試薬には、限定ではないが、以下のものが含まれる:リン酸カルシウム媒介性、例えば、Martin Jordan & Florian Worm, Transfection of adherent and suspended cells by calcium phosphate, 33(2) Methods 136-143 (2004)を参照されたい;ジエチルアミノエチル(DEAE)デキストラン媒介性、脂質媒介性、ポリエチレンイミン(PEI)媒介性及びポリリシン媒介性及びポリブレン媒介性等の陽イオン性ポリマー媒介性、例えば, Chun Zhang et al., Polyethylenimine strategies for plasmid delivery to brain-derived cells, 33(2) Methods 144-150 (2004)を参照されたい。そのような化学物質を媒介とする送達系は、標準的方法により調製することができ、市販されている。例えば、CellPhect形質移入キット(Amersham Biosciences社製、ピスカタウエイ、ニュージャージー州);哺乳動物形質移入キット、リン酸カルシウム及びDEAEデキストラン(Stratagene,Inc.社製、ラホーヤ、カリフォルニア州);Lipofectamine(商標)形質移入試薬(Invitrogen,Inc.社製、カールズバッド、カリフォルニア州);ExGen500形質移入キット (Fermentas,Inc.社製、ハノーバー、メリーランド州)、及びSuperFect及びEffectene形質移入キット(Qiagen,Inc.社製、バレンシア、カリフォルニア州)を参照されたい。
この実施形態の別の態様では、物理的媒介性の方法を使用して、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入する。物理的技術には、限定ではないが、エレクトロポレーション、微粒子銃、及びマイクロインジェクションが含まれる。微粒子銃及びマイクロインジェクション技術は、発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入するために細胞壁に孔を開ける。例えば、Jeike E. Biewenga et al., Plasmid-mediated gene transfer in neurons using the biolistics technique, 71(1) J. Neurosci. Methods. 67-75 (1997);及びJohn O'Brien & Sarah C. R. Lummis, Biolistic and diolistic transfection: using the gene gun to deliver DNA and lipophilic dyes into mammalian cells, 33(2) Methods 121-125 (2004)を参照されたい。電気透過処理とも呼ばれるエレクトロポレーションは、短い高電圧の電気パルスを使用して、ポリヌクレオチド分子が進入する一過性の孔を膜に生成し、全ての細胞タイプを安定的及び一過性に形質移入するために有効に使用することができる。例えば、M. Golzio et al., In vitro and in vivo electric field-mediated permeabilization, gene transfer, and expression, 33(2) Methods 126-135 (2004);及びOliver Greschet al., New non-viral method for gene transfer into primary cells, 33(2) Methods 151-163 (2004)を参照されたい。
この実施形態の別の態様では、形質導入と呼ばれるウイルス媒介性の方法を使用して、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入する。一過性形質導入のウイルス媒介性の方法では、ウイルス粒子が宿主細胞に感染し複製するプロセスが、この機序を使用して発現構築体又は二重発現構築体を細胞に導入するために操作されている。ウイルス媒介性の方法は、限定ではないが、以下のものを含む多種多様なウイルスから開発されている:レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウィルス、ピコルナウイルス、アルファウイルス、及びバキュロウイルス、例えば、Armin Blesch, Lentiviral and MLV based retroviral vectors for ex vivo and in vivo gene transfer, 33(2) Methods 164-172 (2004);及びMaurizio Federico, From lentiviruses to lentivirus vectors, 229 Methods Mol. Biol. 3-15 (2003);E. M. Poeschla, Non-primate lentiviral vectors, 5(5) Curr. Opin. Mol. Ther. 529-540 (2003);Karim Benihoud et al, Adenovirus vectors for gene delivery, 10(5) Curr. Opin. Biotechnol. 440-447 (1999);H. Bueler, Adeno-associated viral vectors for gene transfer and gene therapy, 380(6) Biol. Chem. 613-622 (1999);Chooi M. Lai et al., Adenovirus and adeno-associated virus vectors, 21(12) DNA Cell Biol. 895-913 (2002);Edward A. Burton et al., Gene delivery using herpes simplex virus vectors, 21(12) DNA Cell Biol. 915-936 (2002);Paola Grandi et al., Targeting HSV amplicon vectors, 33(2) Methods 179-186 (2004);Ilya Frolov et al., Alphavirus-based expression vectors: strategies and applications, 93(21) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 11371-11377 (1996);Markus U. Ehrengruber, Alphaviral gene transfer in neurobiology, 59(1) Brain Res. Bull. 13-22 (2002);Thomas A. Kost & J. Patrick Condreay, Recombinant baculoviruses as mammalian cell gene-delivery vectors, 20(4) Trends Biotechnol. 173-180 (2002);及びA. Huser & C. Hofmann, Baculovirus vectors: novel mammalian cell gene-delivery vehicles and their applications, 3(1) Am. J. Pharmacogenomics 53-63 (2003)を参照されたい。
アデノウイルスは、非エンベロープ性の二本鎖DNAウィルスであり、約36kbの比較的大きなポリヌクレオチド分子を操作し、高い力価で産生され、多種多様な分裂及び非分裂細胞の両方に効率的に感染することができるため、哺乳動物細胞の形質導入に選択されることが多い。例えばWim T. J. M. C. Hermens et al., Transient gene transfer to neurons and glia: analysis of adenoviral vector performance in the CNS and PNS, 71(1) J. Neurosci. Methods 85-98 (1997);及び Hiroyuki Mizuguchi et al., Approaches for generating recombinant adenovirus vectors, 52(3) Adv. Drug Deliv. Rev. 165-176 (2001)を参照されたい。アデノウイルスに基づく系を使用する形質導入は、核酸分子が、宿主細胞染色体に組み込まれるのではなく、細胞核のエピソームにより保持されるため、持続的なタンパク質発現を支援しない。アデノウイルスベクター系及びそのようなベクターの使用法の特定のプロトコールは、例えば、以下のものに開示されている:VIRAPOWER(商標)アデノウイルス発現系(Invitrogen,Inc.社製、カールズバッド、カリフォルニア州)及びVIRAPOWER(商標)アデノウイルス発現系の使用説明書25−0543 バージョンA、Invitrogen,Inc.社(2002年7月15日);及びADEASY(商標)アデノウイルスベクター系(Stratagene,Inc.社製、ラホーヤ、Ca)及びADEASY(商標)アデノウイルスベクター系の使用説明書064004f、Stratagene,Inc.社。
また、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体の細胞への導入は、例えば、オンコレトロウイルス及びレンチウイルス等の、一本鎖RNAレトロウイルスを使用して達成することができる。レトロウイルス媒介性の形質導入は、多くの場合、100%に近い形質導入効率をもたらし、感染多重度(MOI)を変更することによりプロウイルスのコピー数を容易に制御することができ、一過性又は安定的のいずれかで細胞を形質導入するために使用することができる。例えば、Tiziana Tonini et al., Transient production of retroviral- and lentiviral-based vectors for the transduction of Mammalian cells, 285 Methods Mol. Biol. 141-148 (2004);Armin Blesch, Lentiviral and MLV based retroviral vectors for ex vivo and in vivo gene transfer, 33(2) Methods 164-172 (2004);FelixRecillas-Targa, Gene transfer and expression in mammalian cell lines and transgenic animals, 267 Methods Mol. Biol. 417-433 (2004);及びRoland Wolkowicz et al., Lentiviral vectors for the delivery of DNA into mammalian cells, 246 Methods Mol. Biol. 391-411 (2004)を参照されたい。レトロウイルス粒子は、脂質エンベロープで囲まれているタンパク質カプシドに包み込まれているRNAゲノムで構成される。レトロウイルスは、そのRNAを逆転写酵素酵素と共に細胞質に注入することにより宿主細胞に感染する。その後、RNAテンプレートは、線形の二本鎖cDNAに逆転写され、それを宿主細胞ゲノムに組み込むことによりそれ自体を複製する。ウイルス粒子は、垂直に(プロウイルスにより、親細胞から娘細胞に)並びに水平に(ビリオンにより、細胞から細胞に)蔓延する。目的の核酸分子が宿主細胞の染色体に安定的に組み込まれ、それによりタンパク質の長期的な発現が可能になるため、この複製戦略は、長期的に一貫した発現を可能にする。例えば、動物研究により、様々な組織に注入されたレンチウイルスベクターが、1年間を超えて持続的なタンパク質発現をもたらしたことが示されている。例えば、Luigi Naldini et al., In vivo gene delivery and stable transduction of non-dividing cells by a lentiviral vector, 272(5259) Science 263-267 (1996)を参照されたい。例えば、モロニーマウス白血病ウィルス(MoMLV)等のオンコレトロウイルス由来ベクター系が広く使用されており、多数の異なる非分裂細胞を感染させる。レンチウイルスも、分裂及び非分裂細胞を含む多数の異なる細胞タイプを感染させ、高度に特異的な細胞標的化を可能にする複雑なエンベロープタンパク質を有することができる。
レトロウイルスベクター、およびそのようなベクターの使用法の特定のプロトコールは、以下の文献に開示されている。例えば、Manfred Gossen & Hermann Bujard, Tight control of gene expression in eukaryotic cells by tetracycline-responsive promoters、米国特許第5,464,758号;Hermann Bujard & Manfred Gossen, Methods for regulating gene expression、米国特許第5,814,618号;David S. Hogness, Polynucleotides encoding insect steroid hormone receptor polypeptides and cells transformed with same、米国特許第5,514,578号;及びDavid S. Hogness, Polynucleotide encoding insect ecdysone receptor、米国特許第6,245,531号;Elisabetta Vegeto et al., Progesterone receptor having C. terminal hormone binding domain truncations、米国特許第5,364,791号;Elisabetta Vegeto et al., Mutated steroid hormone receptors, methods for their use and molecular switch for gene therapy、米国特許第5,874,534号;Elisabetta Vegeto et al., Mutated steroid hormone receptors, methods for their use and molecular switch for gene therapy、米国特許第5,935,934号。更に、そのようなウイルス送達系は、標準的方法により調製することができ、市販されている。例えば、以下を参照されたい:BD(商標)Tet−Off及びTet−On遺伝子発現系(BD Biosciences−Clonetech社製、パロアルト、カリフォルニア州)及びBD(商標)Tet−Off及びTet−On遺伝子発現系のユーザーマニュアル、PT3001−1、BD Biosciences Clonetech社(2003年3月14日)、GENESWITCH(商標)系(Invitrogen,Inc.社製、カールズバッド、カリフォルニア州)及びGENESWITCH(商標)系 哺乳動物細胞用ミフェプリストン制御発現系 バージョンD、25−0313、Invitrogen,Inc.社(2002年11月4日);VIRAPOWER(商標)レンチウイルス発現系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、Invitrogen,Inc.社及びVIRAPOWER(商標)レンチウイルス発現系の使用説明書25−0501 バージョンE、Invitrogen,Inc.社(2003年12月8日);及びCOMPLETE CONTROL(登録商標)レトロウイルス誘導可能哺乳動物発現系(Stratagene社製、ラホーヤ、カリフォルニア州)及びCOMPLETE CONTROL(登録商標)レトロウイルス誘導可能哺乳動物発現系の使用説明書、064005e。
本明細書で開示される方法は、部分的には、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体を発現させることを含む。限定ではないが、細胞に基づく系及び無細胞発現系を含む様々な発現系はいずれも、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体の発現に有用であり得ることが想定される。細胞に基づく系には、限定ではないが、ウイルス発現系、原核生物発現系、酵母発現系、バキュロウイルス発現系、昆虫発現系、及び哺乳動物発現系が含まれる。無細胞系には、限定ではないが、コムギ麦芽抽出物、ウサギ網状赤血球抽出物、及び大腸菌抽出物が含まれ、一般的に、本明細書で開示される方法に相当する。発現系を使用した発現構築体又は二重発現構築体の発現には、限定ではないが、誘導可能発現、非誘導可能発現、構成的発現、ウイルス媒介性発現、安定的に組み込まれた発現、及び一過性発現を含む様々な特徴のいずれが含まれていてもよい。十分に特徴付けられたベクター、試薬、条件、及び細胞を含む発現系は、十分に確立しており、限定ではないが、Ambion,Inc.社、オースティン、テキサス州;BD Biosciences−Clontech社、パロアルト、カリフォルニア州;BD Biosciences Pharmingen社、サンディエゴ、カリフォルニア州;Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州;QIAGEN,Inc.社、バレンシア、カリフォルニア州;Roche Applied Science社、インディアナポリス、インディアナ州;及びStratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州を含む商業的販売業者から容易に入手可能である。適切な異種性発現系の選択及び使用の非限定的な例には、例えば、以下の文献に記載されている:Protein Expression. A Practical Approach (S. J. Higgins and B. David Hames eds., Oxford University Press, 1999);Joseph M. Fernandez & James P. Hoeffler, Gene Expression Systems. Using Nature for the Art of Expression(Academic Press, 1999);及びMeena Rai & Harish Padh, Expression Systems for Production of Heterologous Proteins, 80(9) Current Science 1121-1128, (2001)。これらプロトコールは、十分に当業者の範囲内にある、本明細書の教示に照らして日常的な手順である。
細胞に基づく様々な発現手順が、本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体の発現に有用である。例には、限定ではないが、ウイルス発現系、原核生物発現系、酵母発現系、バキュロウイルス発現系、昆虫発現系、及び哺乳動物発現系が含まれる。ウイルス発現系には、限定ではないが、以下のものが含まれる:VIRAPOWER(商標)レンチウイルス(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、アデノウイルス発現系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、ADEASY(商標)XLアデノウイルスベクター系(Stratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州)、及びVIRAPORT(登録商標)レトロウイルス遺伝子発現系(Stratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州)。原核生物発現系の非限定的な例には、以下のものが含まれる:CHAMPION(商標)pET発現系(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)、TRIEX(商標)細菌発現系(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)、QIAEXPRESS(登録商標)発現系(QIAGEN,Inc.社)、及びAFFINITY(登録商標)タンパク質発現及び精製系(Stratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州)。酵母発現系には、限定ではないが、以下のものが含まれる:EASYSELECT(商標)ピキア発現キット(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、YES−ECHO(商標)発現ベクターキット(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、及びSPECTRA(商標)S.ポンベ発現系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)。バキュロウイルス発現系の非限定的な例には、以下のものが含まれる:BACULODIRECT(商標)(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、BAC−TO−BAC(登録商標)(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、及びBD BACULOGOLD(商標)(BD Biosciences−Pharmigen社、サンディエゴ、カリフォルニア州)。昆虫発現系には、限定ではないが、以下のものが含まれる:ショウジョウバエ発現系(DES(登録商標))(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、INSECTSELECT(商標)系(Invitrogen,Inc社、カールズバッド、カリフォルニア州)、及びINSECTDIRECT(商標)系(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)。哺乳動物発現系の非限定的な例には、以下のものが含まれる:T−REX(商標)(テトラサイクリン制御発現)系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、FLP−IN(商標)T−REX(商標)系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、pcDNA(商標)系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、pSecTag2系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)、EXCHANGER(登録商標)系、INTERPLAY(商標)哺乳動物TAP系(Stratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州)、COMPLETE CONTROL(登録商標)誘導可能哺乳動物発現系(Stratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州)、及びLACSWITCH(登録商標)II誘導可能哺乳動物発現系(Stratagene社、ラホーヤ、カリフォルニア州)。
本明細書で開示される発現構築体又は二重発現構築体を発現する別の手順では、限定ではないが、原核生物抽出物及び真核生物抽出物等の無細胞発現系が使用される。原核細胞抽出物の非限定的な例には、以下のものが含まれる:RTS100大腸菌HYキット(Roche Applied Science社、インディアナポリス、インディアナ州)、ACTIVEPRO(商標))In Vitro翻訳キット(Ambion,Inc.社、オースティン、テキサス州)、ECOPRO(商標)系(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)、及びExpressway(商標)Plus発現系(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)。真核細胞抽出物には、限定ではないが、以下のものが含まれる:RTS100コムギ麦芽CECFキット(Roche Applied Science社、インディアナポリス、インディアナ州)、TNT(登録商標)Coupledコムギ麦芽抽出物系(Promega Corp.社、マディソン、米国ウィスコンシン州)、コムギ麦芽IVT(商標)キット(Ambion,Inc.社、オースティン、テキサス州)、Retic Lysate IVT(商標)キット(Ambion,Inc.社、オースティン、テキサス州)、PROTEINSCRIPT(登録商標)II系(Ambion,Inc.社、オースティン、テキサス州)、及びTNT(登録商標)Coupled網状赤血球抽出物系(Promega Corp.社、マディソン、ウィスコンシン州)。
本明細書で開示される方法は、部分的には、細胞を第1の温度である期間増殖させ、その後細胞を第2の温度である期間増殖させることを含む。第1及び第2の温度並びに第1及び第2の温度で細胞を増殖させる期間は、細胞により発現されるタンパク質の所望量、及び単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換するための二鎖ループ領域内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位での所望の切断効率に基づいて決定される。
1つの実施形態では、細胞は、最大細胞密度を達成するために、ある期間、第1の温度で増殖される。この実施形態の態様では、細胞は、約37℃で、約0.5時間、約1.0時間、約1.5時間約2.0時間、約3.0時間、約3.5時間、約4.0時間、約5.0時間、約6.0時間、約7.0時間、約8.0時間、約9.0時間、又は約10時間増殖される。この実施形態の他の態様では、細胞は、約42℃で、約0.5時間、約1.0時間、約1.5時間約2.0時間、約3.0時間、約3.5時間、約4.0時間、約5.0時間増殖される。この実施形態の態様では、細胞は、約30℃で、約0.5時間、約1.0時間、約1.5時間約2.0時間、約3.0時間、約3.5時間、約4.0時間、又は約5.0時間増殖される。この実施形態の更に他の態様では、細胞は、約12℃で約2時間〜約8時間、約16℃で約2時間〜約8時間、約20℃で約2時間〜約8時間、又は約24℃で約2時間〜約8時間増殖される。この実施形態の更に他の態様では、細胞は、約12℃〜約16℃で約2時間〜約8時間、又は約20℃〜約24℃で約2時間〜約8時間増殖される。
別の実施形態では、細胞は、タンパク質発現の最大誘導を達成するために、ある期間、第2の温度で増殖される。この実施形態の態様では、細胞は、約37℃で、約1.5時間、約2.5時間、約3.5時間、約4.5時間、約5.5時間、約6.5時間、約7.5時間、約8.5時間、約9.5時間、約10.5時間、約11.5時間、約12.5時間、約13.5時間、約14.5時間、約15.5時間、約16.5時間、又は約24.5時間増殖される。この実施形態の他の態様では、細胞は、約30℃で、約1.5時間、約2.5時間、約3.5時間、約4.5時間、約5.5時間、約6.5時間、約7.5時間、約8.5時間、約9.5時間、約10.5時間、約11.5時間、約12.5時間、約13.5時間、約14.5時間、約15.5時間、約16.5時間、又は約24.5時間増殖される。この実施形態の更に他の態様では、細胞は、約25℃で、約1.5時間、約2.5時間、約3.5時間、約4.5時間、約5.5時間、約6.5時間、約7.5時間、約8.5時間、約9.5時間、約10.5時間、約11.5時間、約12.5時間、約13.5時間、約14.5時間、約15.5時間、約16.5時間、又は約24.5時間増殖される。この実施形態の更に他の態様では、細胞は、約22℃で、約1.5時間、約2.5時間、約3.5時間、約4.5時間、約5.5時間、約6.5時間、約7.5時間、約8.5時間、約9.5時間、約10.5時間、約11.5時間、約12.5時間、約13.5時間、約14.5時間、約15.5時間、約16.5時間、又は約24.5時間増殖される。この実施形態の更なる態様では、細胞は、約16℃で、約1.5時間、約2.5時間、約3.5時間、約4.5時間、約5.5時間、約6.5時間、約7.5時間、約8.5時間、約9.5時間、約10.5時間、約11.5時間、約12.5時間、約13.5時間、約14.5時間、約15.5時間、約16.5時間、又は約24.5時間増殖される。この実施形態のなお更なる態様では、細胞は、約12℃で、約1.5時間、約2.5時間、約3.5時間、約4.5時間、約5.5時間、約6.5時間、約7.5時間、約8.5時間、約9.5時間、約10.5時間、約11.5時間、約12.5時間、約13.5時間、約14.5時間、約15.5時間、約16.5時間、又は約24.5時間増殖される。
また、本発明の態様は、以下のように記述することができる:
1.単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換する細胞内方法であって、
a)最大細胞密度を達成するために、二重発現構築体を含む細胞を、第1の温度である期間増殖させ、二重発現構築体が、
i)外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含む単鎖タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム、及び
ii)二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を切断することができるプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含むステップ、
b)単鎖タンパク質をコードするオープンリーディングフレームからのタンパク質発現の最大誘導を達成するために、細胞を第2の温度である期間増殖させるステップを含み、
ステップ(b)の増殖が、二重発現構築体からの単鎖タンパク質及びプロテアーゼの発現を誘導し、
産生されたプロテアーゼが、二鎖ループ領域内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位で単鎖タンパク質を切断し、それにより単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換する方法。
2.単鎖クロストリジウム毒素をその二鎖形態に変換する細胞内方法であって、
a)二重発現構築体を含む細胞を、37℃で約3.5時間増殖させ、二重発現構築体が、
i)酵素ドメイン、移行ドメイン、結合ドメイン、及び外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含む単鎖クロストリジウム毒素をコードするオープンリーディングフレーム、及び
ii)二鎖ループ内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位を切断することができるプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含むステップ、
b)細胞を22℃で約16〜約18時間増殖させるステップを含み、
ステップ(b)の増殖が、二重発現構築体からの単鎖クロストリジウム毒素及びプロテアーゼの発現を誘導し、
産生されたプロテアーゼが、二鎖ループ領域内に位置する外来性プロテアーゼ切断部位で単鎖クロストリジウム毒素を切断し、それにより単鎖クロストリジウム毒素をその二鎖形態に変換する方法。
3.単鎖クロストリジウム毒素が、以下の線形のアミノからカルボキシルの単一ポリペプチド順序を含む、2に記載の細胞内方法:(1)クロストリジウムの酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及びクロストリジウム毒素結合ドメイン;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;3)クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン;4)クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;5)クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及びクロストリジウム毒素結合ドメイン;又は6)クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン。
4.クロストリジウム毒素酵素ドメインが、BoNT/A酵素ドメイン、BoNT/B酵素ドメイン、BoNT/C1酵素ドメイン、BoNT/D酵素ドメイン、BoNT/E酵素ドメイン、BoNT/Fの酵素ドメイン、BoNT/G酵素ドメイン、TeNT酵素ドメイン、BaNT酵素ドメイン、又はBuNT酵素ドメインである、2に記載の細胞内方法。
5. クロストリジウム毒素移行ドメインが、BoNT/A移行ドメイン、BoNT/B移行ドメイン、BoNT/C1移行ドメイン、BoNT/D移行ドメイン、BoNT/E移行ドメイン、BoNT/F移行ドメイン、BoNT/G移行ドメイン、TeNT移行ドメイン、BaNT移行ドメイン、又はBuNT移行ドメインである、2に記載の細胞内方法。
6.クロストリジウム毒素結合ドメインが、BoNT/A結合ドメイン、BoNT/B結合ドメイン、BoNT/C1結合ドメイン、BoNT/D結合ドメイン、BoNT/E結合ドメイン、BoNT/F結合ドメイン、BoNT/G結合ドメイン、TeNT結合ドメイン、BaNT結合ドメイン、又はBuNT結合ドメインである、2に記載の細胞内方法。
7.外来性プロテアーゼ切断部位が、エンテロキナーゼプロテアーゼ切断部位、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ切断部位、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ切断部位、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位、タバコ葉脈斑紋ウイルス(TVMV)プロテアーゼ切断部位、サブチリシンプロテアーゼ切断部位、又はカスパーゼ3プロテアーゼ切断部位である、2に記載の細胞内方法。
8.プロテアーゼが、エンテロキナーゼプロテアーゼ、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ、ヒトエンテロウイルス3Cプロテアーゼ、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ、タバコ葉脈斑紋ウイルス(TVMV)プロテアーゼ、サブチリシンプロテアーゼ、又はカスパーゼ3プロテアーゼである、2に記載の細胞内方法。
9.単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換する細胞内方法であって、
a)二重発現構築体を含む細胞を、37℃で約8時間増殖させ、二重発現構築体が、
i)酵素ドメイン、移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメインを含む単鎖タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム、及び
ii)TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含むステップ、
b)細胞を、約12〜16℃で約16〜約18時間増殖させるステップを含み、
ステップ(b)の増殖が、二重発現構築体からの単鎖タンパク質及びTEVプロテアーゼの発現を誘導し、
産生されたTEVプロテアーゼが、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメインに位置するTEVプロテアーゼ切断部位で単鎖タンパク質を切断し、それにより単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換する方法。
10.タンパク質が、以下の線形のアミノからカルボキシルの単一ポリペプチド順序を含む、9に記載の細胞内方法:1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン、2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン、3)統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン、4)統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン、5)クロストリジウム毒素移行ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン、又は6)クロストリジウム毒素移行ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及び統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン。
11.クロストリジウム毒素酵素ドメインが、BoNT/A酵素ドメイン、BoNT/B酵素ドメイン、BoNT/C1酵素ドメイン、BoNT/D酵素ドメイン、BoNT/E酵素ドメイン、BoNT/Fの酵素ドメイン、BoNT/G酵素ドメイン、TeNT酵素ドメイン、BaNT酵素ドメイン、又はBuNT酵素ドメインである、9に記載の細胞内方法。
12.クロストリジウム毒素移行ドメインが、BoNT/A移行ドメイン、BoNT/B移行ドメイン、BoNT/C1移行ドメイン、BoNT/D移行ドメイン、BoNT/E移行ドメイン、BoNT/F移行ドメイン、BoNT/G移行ドメイン、TeNT移行ドメイン、BaNT移行ドメイン、又はBuNT移行ドメインである、9に記載の細胞内方法。
13.統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオド(opiod)結合ドメインが、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ノシセプチン結合ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ダイノルフィン結合ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−エンケファリン結合ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−BAM22結合ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−エンドモルフィン結合ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−エンドルフィン結合ドメイン、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−へモルフィン結合ドメイン、又は統合型TEVプロテアーゼ切断部位−リモルフィン結合ドメインである、9に記載の細胞内方法。
14.単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換する細胞内方法であって、
a)二重発現構築体を含む細胞を、37℃で約8時間増殖させ、二重発現構築体が、
i)酵素ドメイン、移行ドメイン、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びTEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含む単鎖タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム、及び
ii)TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含むステップ、
b)細胞を、約12〜16℃で約16〜約18時間増殖させるステップを含み、
ステップ(b)の増殖が、二重発現構築体からの単鎖タンパク質及びTEVプロテアーゼの発現を誘導し、
産生されたTEVプロテアーゼが、二鎖ループ領域内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位で単鎖タンパク質を切断し、それにより単鎖タンパク質をその二鎖形態に変換する方法。
15.単鎖クロストリジウム毒素が、以下の線形のアミノからカルボキシルの単一ポリペプチド順序を含む、14に記載の細胞内方法:(1)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、TEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素移行ドメイン、及び非クロストリジウム毒素結合ドメイン;2)クロストリジウム毒素酵素ドメイン、TEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;3)非クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素移行ドメイン、TEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン;4)非クロストリジウム毒素結合ドメイン、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、TEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、及びクロストリジウム毒素移行ドメイン;5)クロストリジウム毒素移行ドメイン、TEVプロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、クロストリジウム毒素酵素ドメイン、及び非クロストリジウム毒素結合ドメイン;又は6)クロストリジウム毒素移行ドメイン、外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域、非クロストリジウム毒素結合ドメイン、及びクロストリジウム毒素酵素ドメイン。
16.クロストリジウム毒素酵素ドメインが、BoNT/A酵素ドメイン、BoNT/B酵素ドメイン、BoNT/C1酵素ドメイン、BoNT/D酵素ドメイン、BoNT/E酵素ドメイン、BoNT/Fの酵素ドメイン、BoNT/G酵素ドメイン、TeNT酵素ドメイン、BaNT酵素ドメイン、又はBuNT酵素ドメインである、14に記載の細胞内方法。
17.クロストリジウム毒素移行ドメインが、BoNT/A移行ドメイン、BoNT/B移行ドメイン、BoNT/C1移行ドメイン、BoNT/D移行ドメイン、BoNT/E移行ドメイン、BoNT/F移行ドメイン、BoNT/G移行ドメイン、TeNT移行ドメイン、BaNT移行ドメイン、又はBuNT移行ドメインである、14に記載の細胞内方法。
18.非クロストリジウム毒素結合ドメインが、オピオイドペプチド結合ドメイン、メラノコルチンペプチド結合ドメイン、ガラニンペプチド結合ドメイン、グラニンペプチド結合ドメイン、タキキニンペプチド結合ドメイン、神経ペプチドY関連ペプチド結合ドメイン、神経ホルモンペプチド結合ドメイン、サイトカインペプチド結合ドメイン、キニンペプチド結合ドメイン、線維芽細胞増殖因子ペプチド結合ドメイン、ニューロトロフィンペプチド結合ドメイン、腫瘍壊死因子ペプチド結合ドメイン、グリア由来神経栄養因子ペプチド結合ドメイン、形質転換増殖因子βペプチド結合ドメイン、骨形態形成タンパク質ペプチド結合ドメイン、増殖及び分化因子ペプチド結合ドメイン、アクチビンペプチド結合ドメイン、血管内皮増殖因子ペプチド結合ドメイン、インスリン増殖因子ペプチド結合ドメイン、上皮細胞(epidermial)増殖因子ペプチド結合ドメイン、グルカゴン様ホルモンペプチド結合ドメイン、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド結合ドメイン、成長ホルモン放出ホルモンペプチド結合ドメイン、血管作用性小腸ペプチド結合ドメイン、胃抑制ポリペプチドペプチド結合ドメイン、カルシトニン関連ペプチド内臓腸ペプチド結合ドメイン、又はプロテアーゼ活性化受容体ペプチド結合ドメインである、14に記載の細胞内方法。
実施例1
TEVプロテアーゼ変異体
以下の例は、安定性及び/又は溶解度が増加されたTEVプロテアーゼ変異体を製作及び使用する方法を示す。
A. pET29/TEV発現構築体の構築。
TEVプロテアーゼを組換え的に産生するために、所望のTEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームを、標準的手順(BlueHeron Biotechnology社製、ボセル、ワシントン州)を使用して合成した。オープンリーディングフレーム全体に及ぶ、長さが20〜50塩基の相補的オリゴヌクレオチドを、標準的ホスホラミダイト合成を使用して合成した。これらオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて二本鎖二重構造体にし、その後それを一緒にライゲーションして、全長ポリヌクレオチド分子を組立てた。このポリヌクレオチド分子を、標準的分子生物学的方法を使用して、PUCBHB1担体ベクターのSmaI部位にクローニングし、pUCBHB1/TEVプラスミドを生成した。合成したポリヌクレオチド分子は、BIG DYE TERMINATOR(商標)Chemistry 3.1(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)及びABI3100型配列決定装置(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)を使用して配列決定することにより確認した。
TEV変異体をコードするオープンリーディングフレームを、大腸菌発現用にコドン最適化した。全ては、N末端又はC末端ポリ−ヒスチジン親和性精製タグ化のいずれかに融合された、全長TEVポリタンパク質の残基2038〜2279に対応する、およそ27.5kDaのおよそ250個アミノ酸のタンパク質分解断片をコードする。野生型TEVプロテアーゼを組換え発現すると、セリン219でそれ自体を切断し、タンパク質分解活性が大きく低減した切断型プロテアーゼを生成する傾向を有するタンパク質がもたらされる。したがって、自己タンパク分解及びその後のこの切断型産物産生の大部分を排除するために、セリン219をアスパラギン(S219N)又はバリン(S219V)のいずれかに変更したTEV変異体を合成した。加えて、組換え野生型TEVプロテアーゼは、大腸菌で非常に高レベルで発現されるが、ほとんど完全に不溶性であることがよく知られている(Kapust et al., 2001)。したがって、発現されたTEVの溶解度を向上させるために、幾つかのアミノ酸変異体を製作及び試験して、変更がタンパク質溶解度の増加をもたらしたか否かを決定した。合成したTEV変異体は、表3に示されている。変異体1は、C末端His−タグ及びS219N突然変異を有するように操作されたコドン最適化TEV構築体を表していた。変異体11は、N末端タグ及びS219N突然変異を有するように操作されたTEVプロテアーゼの天然DNA配列を有する構築体だった。
pET29/TEV変異体発現構築体を構築するために、pUCBHB1/TEV構築体を、1)TEVをコードするオープンリーディングフレームを含むインサートを切除し、及び2)このインサートが、pET29ベクター(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。T4DNAリガーゼ手順を使用して、このインサートを、多重クローニング部位が同じ制限エンドヌクレアーゼで消化されたpET29ベクターに、方向的に正しくライゲーションした。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mLのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、TEV遺伝子インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、カルボキシル末端又はアミノ末端ポリヒスチジン親和性精製ペプチドのいずれかに作用可能に結合されたTEV変異体をコードするポリヌクレオチド分子を含むpET29発現構築体が得られた。
B.様々な誘導条件下におけるTEV発現の分析。
使用する最良の増殖及びタンパク質誘導条件を決定するために、pET29/TEV変異体9及び10(表3)を、IPTG誘導培地及び自己誘導培地中で増殖及び誘導した。加えて、誘導の長さを試験した。
IPTGで発現を誘導するために、TEV発現構築体を内包する細胞を、まず一晩培養して、開始培養を生成した。新しいLB培地に、一晩培養物を1:1000で播種し、37℃で振とうしながらOD600が0.7に達するまで増殖させ、その時点でIPTGを0.6mMの終濃度になるように添加した。誘導の4時間後に細胞を回収し、総細胞溶解産物を評価して標的発現を検出した。
自己誘導条件下で構築体を発現させるために、50μg/mlカナマイシンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、適切な発現構築体を内包するBL21(DE3)細胞の単一コロニーを播種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。1.0μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLカナマイシンを含有する1.0mLのZYP−5052自己誘導培地に播種した。37℃で振とうしながら細胞を増殖させ、5、8、12、20、及び28時間の時点で等量を取り出した。
総TEVプロテアーゼ発現を決定するために、各時点の40μLの誘導細胞培養を、等容積の2×Laemmi試料緩衝液と混合し、95℃で10分間インキュベートした。2μLの1M MgSO4中1単位/μL Benzonaseをこの混合物に添加し、95℃で5分間インキュベートした。15μL等量を、変性、還元条件下で、NuPAGE(登録商標)Novex 4〜12% Bis−Trisプレキャストポリアクリルアミドゲル(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)を使用して、MOPSポリアクリルアミドゲル電気泳動により負荷及び分離した。ゲルを洗浄し、10%メタノール、7%酢酸を含む固定溶液で30分間固定した。固定した後、固定溶液を取り除き、ゲルを、SYPRO Rubyタンパク質ゲル染色液と共に室温で3時間インキュベートした。その後、ゲルを、10%メタノール、7%酢酸を含む脱染溶液で室温にて3時間脱染した。画像は、Typhoon9410型Variable Mode Imager及びImager解析ソフトウェアを用いて視覚化した(GE Healthcare社製、Amersham Biosciences社製、ピスカタウエイ、ニュージャージー州)。
可溶性TEVプロテアーゼ発現を決定するために、1×FASTBREAK(商標)細胞溶解試薬(Promega Corp.社、マディソン、ウィスコンシン州)、500mM NaCl、250単位/mL benzonaseヌクレアーゼ(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)、及び1×プロテアーゼ阻害剤カクテルIII(EMD Biosciences−Calbiochem社、ギブスタウン、ニュージャージー州)を含む100μLの細胞溶解溶液を添加し、常にボルテックスしながら室温で25分間インキュベートすることにより、1.0mLの誘導細胞培養を溶解した。溶解産物を4300rpmで15分間遠心分離して、残屑をペレットにした。800μLの上清をきれいなチューブに移し、それに、30μLのMagneHis磁気ビーズを添加し、混合物を、常に回転させながら5分間インキュベートした。インキュベーション後、磁気ビーズを磁気スタンドで隔離し、溶液を除去し、ビーズを、500mM NaClを含む150μLの洗浄緩衝液で3回洗浄した。タンパク質を80μLの溶出緩衝液で溶出し、等容積の2×Laemmli試料緩衝液を添加し、混合物を、95℃で10分間インキュベートした。15μL等量を、変性、還元条件下で、NuPAGE(登録商標)Novex 4〜12% Bis−Trisプレキャストポリアクリルアミドゲル(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)を使用して、MOPSポリアクリルアミドゲル電気泳動により負荷及び分離した。
誘導実験の結果は、自己誘導条件が、IPTG誘導と比べて、5〜10倍多くのTEVプロテアーゼ発現をもたらしたことを示した。自己誘導培地での総TEVプロテアーゼ発現及び可溶性TEVプロテアーゼ発現を比較すると、より長い誘導時間が、より多くの総タンパク質をもたらしたが、回収可能な可溶性TEVプロテアーゼの量は減少したことが明らかになった。実際、37℃で約8時間の発現が、最大量の可溶性タンパク質を産出した。最後に、TEV S219N及びTEV S219V変異体は両方とも、著しくより少ない自己タンパク分解を示したが、TEV S219V変異体は、誘導時間が長いと、より多くの切断型産物を示し、TEV S219V変異体が自己タンパク分解をより起こし易いことが示唆された。
pET29/TEV変異体9及び10を使用して、増殖及び誘導条件を最適化した後、11個のpET29/TEV変異体全ての発現を、これら条件下で並行して試験した。結果は、可溶性TEVプロテアーゼ収量増加の順序が、5つの最も高い発現体のうちの最大から最少の順で、pET29/TEV変異体5、10、7、3、及び6だったことを示した。それに比べて、TEV変異体11は、全ての中で最も低いレベルで発現された。
C.大規模発現及び精製。
対照としての変異体11に加えて、上位5つのpET29/TEV変異体からのTEVプロテアーゼ発現レベルを、大規模条件下で厳密に比較するために、50μg/mLカナマイシンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、適切な発現構築体を内包するBL21(DE3)細胞の単一コロニーを播種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLカナマイシンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら8時間増殖させた。細胞を、遠心分離でペレットにした。
細胞を溶解するために、細胞ペレットを、BUGBUSTER(商標)タンパク質抽出試薬(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルセットIII(EMD Biosciences−Calbiochem社、ギブスタウン、ニュージャージー州)、25単位/mLのBenzonaseヌクレアーゼ、及び1K単位/mLのrLysozyme(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)を含む、細胞ペレット1グラム当たり5.0mLの溶解溶液に再懸濁した。細胞懸濁物を、室温にて揺動台上で20分間インキュベーションし、その後氷上で15分間インキュベートした。懸濁物を、4℃にて30分間30,350rcfで遠心分離して残屑をペレットにし、上清をきれいなチューブに移した。SDS−PAGE分析用の不溶性細胞抽出ペレットを調製するために、ペレットを、1×BUGBUSTER(商標)タンパク質抽出試薬で再懸濁して元の容積にした。
IMAC精製によりTEVプロテアーゼ変異体を精製するために、清澄化された溶解産物を、25mMリン酸ナトリウム、pH7.0、500mM NaCl、10%グリセロール、及び35mMイミダゾールを含むIMAC洗浄溶液で平衡化されたTALON(商標)SuperFlow金属親和性コバルト樹脂と混合した。溶解産物−樹脂混合物を、4℃にて1時間、揺動台上でインキュベートし、その後真空マニホールドに取り付けられた20mLの使い捨てカラム支持体に移した。カラムを、5カラム容積のIMAC洗浄溶液で2回洗浄した。25mMリン酸ナトリウム、pH7.8、500mM NaCl、10%グリセロール、及び500mMイミダゾールを含む2カラム容積のIMAC溶出溶液で、TEVプロテアーゼを樹脂から溶出し、1.0mL画分で収集した。タンパク質を含有する各画分は、10μL等量を、200μLのQUICKSTART(商標)ブラッドフォード染料試薬と混合することにより特定した。ピーク溶出画分を貯溜し、二次のイオン交換クロマトグラフィー精製用に透析した。
IMACで精製したTEVプロテアーゼ変異体を透析するために、ピーク溶出画分を含む貯溜試料を、25kD MWCO膜を取付けたFASTDIALYZER(登録商標)で、常に撹拌しながら1L脱塩緩衝液中で4℃にて一晩透析した。陽イオン交換クロマトグラフィーでは、脱塩緩衝液(緩衝液A)は、50mM Tris−HCl、pH8.0を含んでいた。
陽イオン交換クロマトグラフィーによりTEVプロテアーゼ変異体を精製するために、脱塩したタンパク質溶液を、あらかじめ緩衝液Aで平衡化された1mL UNO−S1陽イオン交換カラムに、0.5mL/分の流速で負荷した。25mMリン酸ナトリウムpH7.0、1M NaClを含む緩衝液Bを1.0mL/分の流速で以下のように用いたNaCl勾配により、結合したタンパク質を溶出した:5%緩衝液Bを3mL、20%緩衝液Bを10mL、10mLにわたって20%から100%の緩衝液B。カラムからのタンパク質の溶出は、UV可視検出器を用いて214nm、260nm、及び280nmで検出し、ピーク画分を全て貯溜し、タンパク濃度を決定した。等量を液体窒素で瞬間凍結し、−80℃で保存した。TEV変異体7は、最も高い可溶性プロテアーゼ収量(約35mg/L)を示し、変異体3(約24mg/L)及び変異体10(約23mg/L)がその後に続いた。残りの2つの変異体5及び6は、それぞれ18及び8mg/Lの収量を示した。TEV変異体11の収量は、約0.6mg/Lだった。したがって、溶解度増強アミノ酸変更を含有する上位5つのTEV変異体は全て、自己タンパク分解排除アミノ酸変更(S219N)のみを含んでいたTEV変異体11と比べて、精製された可溶性TEVプロテアーゼの少なくとも10倍の増加をもたらした。小規模発現及び大規模発現研究でのTEVプロテアーゼ収量の順位序列を比較すると、変異体5は、小規模発現で最も高い収量を示した(実施例1C)。しかしながら、大規模発現で最も高い収量を示したのは、変異体7だった。大規模バッチからの収量を繰り返して比較すると、変異体7が最高発現変異体であることが、一貫して明らかにされた。その結果、変異体7が、リードTEVプロテアーゼ構築体であり、本明細書に記載されているこの後の研究全てにこれを使用した。
TEVプロテアーゼ変異体のタンパク質分解活性を決定するために、TEVプロテアーゼ変異体又は陽性対照としてのAcTEVプロテアーゼを、50mM Tris−HCl、pH8.0、1mM DTT、及び2.5μgのTEV基質を含む30μLの反応溶液に添加し、30℃で30分間、60分間、及び120分間インキュベートした。2×Laemmi試料緩衝液を添加することにより、反応物を反応停止させ、試料を95℃で10分間インキュベートした。15μL等量を、変性、還元条件下で、NuPAGE(登録商標)Novex 4〜12% Bis−Trisプレキャストポリアクリルアミドゲル(Invitrogen,Inc.社、カールズバッド、カリフォルニア州)を使用して、MOPSポリアクリルアミドゲル電気泳動により負荷及び分離した。ゲルを洗浄し、10%メタノール、7%酢酸を含む固定溶液で30分間固定した。固定した後、固定溶液を取り除き、ゲルを、SYPRO Rubyタンパク質ゲル染色液と共に室温で3時間インキュベートした。その後、ゲルを、10%メタノール、7%酢酸を含む脱染溶液で3時間室温にて脱染した。画像は、Typhoon9410型Variable Mode Imagerを用いて視覚化し、ImageQuantTL画像解析ソフトウェア(GE Healthcare社製、Amersham Biosciences社製、ピスカタウエイ、ニュージャージー州)で分析した。非切断基質及び切断産物の強度比率を使用して、切断TEV基質のパーセントを計算した。TEVプロテアーゼ活性アッセイの結果は、表4に示されている。
実施例2
2つの異なる発現構築体を使用した、TEVプロテアーゼ切断部位を有するクロストリジウム毒素の細胞内活性化
以下の例は、本明細書で開示される外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むクロストリジウム毒素を細胞内で発現させるのに有用な手順を示す。
A. pET29/BoNT/A−TEV発現構築体の構築。
二鎖ループ領域内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位を含むBoNT/Aを産生するために、所望のBoNT/A−TEV(配列番号88)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号87)を、標準的手順(BlueHeron Biotechnology社、ボセル、ワシントン州)を使用して合成した。BoNT/A−TEVのオープンリーディングフレーム全体に及ぶ、長さが20〜50塩基の相補的オリゴヌクレオチドを、標準的ホスホラミダイト合成を使用して合成した。これらオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて二本鎖二重構造体にし、その後それを一緒にライゲーションして、全長ポリヌクレオチド分子を組立てた。このポリヌクレオチド分子を、標準的分子生物学的方法を使用して、PUCBHB1担体ベクターのSmaI部位にクローニングし、pUCBHB1/BoNT/A−TEV構築体を生成した。合成したポリヌクレオチド分子は、BIG DYE TERMINATOR(商標)Chemistry 3.1(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)及びABI3100型配列決定装置(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)を使用して配列決定することにより確認した。
pET29/BoNT/A−TEV発現構築体を生成するために、pUCBHB1/BoNT/A−TEVを、1)BoNT/A−TEVをコードするオープンリーディングフレームを含むインサートを切除し、及び2)このインサートが、pET29ベクター(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。このインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、類似の制限エンドヌクレアーゼで消化されたpET29ベクターにサブクローニングして、適切なpET29/BoNT/A−TEV発現構築体を得た。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mLカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、カルボキシル末端ポリヒスチジン親和性精製ペプチドに作用可能に結合されたBoNT/A−TEVをコードするポリヌクレオチド分子を含むpET29発現構築体が得られた。
B. pET22/TEV発現構築体の構築。
pET22/TEV変異体発現構築体を生成するために、pET29/TEV変異体7発現構築体を、1)TEVプロテアーゼ(配列番号78)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号77)を含むインサートを切除し、及び2)このインサートが、pET22ベクター(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。このインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、類似の制限エンドヌクレアーゼで消化されたpET22ベクターにサブクローニングして、適切なpET22/TEV発現構築体を得た。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mLアンピシリンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、アンピシリン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、アミノ末端ポリヒスチジン親和性精製ペプチドに作用可能に結合されたTEV変異体7をコードするポリヌクレオチド分子を含むpET22発現構築体が得られた。
C. pET29/BoNT/A−TEV及びpET22/TEV発現構築体を含む細胞の構築。
pET29/BoNT/A−TEV及びpET22/TEV発現構築体を含む細胞を製作するために、pET29/BoNT/A−TEV発現構築体を、エレクトロポレーションを使用して、pET22/TEV変異体7発現構築体を内包するエレクトロコンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に形質転換し、50μg/mLアンピシリン及び50μg/mLカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。両発現構築体を含有する細菌を、アンピシリン−カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両構築体の存在を確認した。このクローニング戦略により、pET29/BoNT/A−TEV及びpET22/TEV発現構築体を含む細胞が得られた。
D. BoNT/A−TEVのin situ活性化。
自己誘導条件下で二鎖形態のBoNT/A−TEVを産生するために、50μg/mLカナマイシン及び50μg/mLアンピシリンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pET29/BoNT/A−TEV及びpET22/TEV発現構築体を内包するBL21(DE3)細胞の単一コロニーを接種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。約1.0μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLカナマイシン及び50μg/mLアンピシリンを含有する1.0mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら3.5時間増殖させ、その後22℃で振とうしながら18.5時間増殖させた。対照として、pET29/BoNT/A−TEVのみを内包するBL21(DE3)細胞を、50μg/mLカナマイシンのみを選択剤として使用した以外は、上述のように増殖及び誘導した。
増殖及び誘導の後、実施例1Bの記載と本質的に同様に、細胞を溶解し、IMAC精製した。IMACで精製した試料を、実施例1Bの記載と本質的に同様に、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。
結果は、pET29/BoNT/A−TEVが単独で発現される場合、BoNT/A−TEVの単鎖に対応するおよそ150kDaのバンドが、還元及び非還元条件下の両方で検出されたことを示す。対照的に、BoNT/A−TEVがTEVプロテアーゼと同時発現された場合、2つのバンドが還元条件下で観察され、その一方はおよそ50kDaであり、他方はおよそ100kDaだった。更に、同じ試料を非還元条件下で流した場合、およそ50kDa及びおよそ100kDaのバンドは消失し、およそ150kDaの新しいバンドが観察された。まとめると、これらの観察は、還元条件下で見られたおよそ50kDa及びおよそ100kDaのバンドは、BoNT/A−TEVの軽鎖及び重鎖に対応し、これらの2つのバンドの存在は、BoNT/A−TEVが二鎖を形成したことを示していたことを示す。したがって、これら細胞中でBoNT/A−TEV及びTEVプロテアーゼが同時発現されると、二鎖ループ内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位でのBoNT/A−TEV切断、及びその後の二鎖形態のBoNT/A−TEVの形成がもたらされる。
これら結果を確認するため、pET29/BoNT/A−TEV及びpET22/TEV発現構築体を内包するBL21(DE3)細胞の大規模発現を行った。 50μg/mLのカナマイシン及び50μg/mLのアンピシリンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pET29/BoNT/A−TEV及びpET22/TEV発現構築体を含むBL21(DE3)細胞の単一コロニーを播種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。約250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLのカナマイシン及び50μg/mLのアンピシリンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら3.5時間増殖させ、その後22℃で振とうしながら18.5時間増殖させた。細胞を、遠心分離でペレットにした。実施例1Cに記載のように、細胞を溶解し、IMAC精製した。
IMACで精製したBoNT/A−TEVを、二次のイオン交換クロマトグラフィー用に透析するために、ピーク溶出画分を含む貯溜試料を、25kD MWCO膜を取付けたFASTDIALYZER(登録商標)で、撹拌しながら1L脱塩緩衝液中で4℃にて一晩透析した。陰イオン交換クロマトグラフィーでは、脱塩緩衝液(緩衝液A)は、50mM Tris−HCl、pH8.0を含んでいた。
陰イオン交換クロマトグラフィーによりBoNT/A−TEVを精製するために、脱塩したタンパク質溶液を、あらかじめ緩衝液Aで平衡化された1mL UNO−Q1陰イオン交換カラムに、0.5mL/分の流速で負荷した。50mM Tris−HCl、pH8.0、1M NaClを含む緩衝液Bを0.5ml/分の流速で以下のように用いたNaCl勾配により、結合したタンパク質を溶出した:3%緩衝液Bを3mL、7%緩衝液Bを10mL、10mLにわたって7%から100%の緩衝液B。カラムからのタンパク質の溶出は、UV可視検出器を用いて214nm、260nm、及び280nmで検出し、ピーク画分を全て貯溜し、タンパク濃度を決定した。等量を液体窒素で瞬間凍結し、−80℃で保存した。精製したBoNT/A−TEVタンパク質を、実施例1Bの記載と本質的に同様に、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。結果は、最初の小規模実験を裏付けし、単鎖BoNT/A−TEVが、100%に近い効率でその二鎖形態に変換されることを示す。
BoNT/A−TEV二鎖の活性を評価するために、これら毒素を、細胞に基づくアッセイ及び動物に基づくアッセイで評価した。
細胞に基づくアッセイを使用して、BoNT/A−TEV二鎖の活性を試験するために、多重ECLサンドイッチELISAを使用した免疫に基づくBoNT/A活性アッセイを、特許出願Fernandez-Salas, et al., Immuno-Based BoNT/A Activity Assays、代理人整理番号第18383号(BOT)の記載と本質的に同様に実施した。この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
BoNT/A−TEV処理細胞溶解産物を分析用に取得するために、SiMa細胞系の保存培養に由来するおよそ50,000個の細胞を、最少必須培地、アール塩を有する2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPES、及び25μg/mLのGTb1を含有する無血清培地を含有するポリ−D−リジン96ウエルプレートに接種した。成長停止及び神経突起伸張等の標準的及び日常的な形態学的基準で評価して、細胞が区別されるようになるまで(およそ3日間)、これらの細胞を、5%二酸化炭素下にて37℃のインキュベーター中でインキュベートした。各ウエルから培地を吸引し、0(未処理試料)、0.01nM、0.04nM、0.12nM、0.37nM、1.11nM、3.33nM、及び10.0nMのBoNT/A−TEVを含有する新しい培地と交換した。24時間処理した後、細胞を洗浄し、毒素なしで更に2日間インキュベートした。細胞を回収するために、培地を吸引し、1×PBSで洗浄し、50mM HEPES、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、1%Triton X−100を含む30μLの溶解緩衝を各ウエルに添加することにより溶解し、プレートを、500rpmで回転する振とう器で30分間4℃にてインキュベートした。プレートを4℃にて20分間4000rpmで遠心分離して、細胞残屑をペレットにし、捕捉抗体でコーティングされた96ウエルプレートに上清を移して、検出ステップを実施した。
α−SNAP−25捕捉抗体溶液を調製するために、ハイブリドーマ細胞系2E2A6に由来する、腹水に含有されたα−SNAP−25モノクローナル抗体を、標準的プロテインA精製プロトコールを使用して精製した。α−SNAP−25検出抗体溶液を調製するために、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体S9684(Sigma社製、セントルイス、ミズーリ州)に、製造業者(Meso Scale Discovery社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)の説明書に従って、ルテニウム(II)−Tris−ビピリジン−(4−メチスルホナート)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery社製、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)を結合させた。SNAP−25切断産物に特異的だった捕捉抗体を含む固相支持体を調製するために、およそ5μLのα−SNAP−25モノクローナル抗体2E2A6溶液(1×PBS中20μg/mL)を、96ウエルMSD高結合プレートの各ウエルに添加し、溶液を液体蒸発させるために、生物学的安全キャビネット中で溶液を2〜3時間空気乾燥させた。その後、捕捉抗体結合ウエルをブロッキングし、BoNT/A活性を検出するために直接使用した。
ECLサンドイッチELISA分析により、切断SNAP−25産物の存在を検出するために、保管したプレートからブロッキング緩衝液を吸引し、BoNT/Aで処理された細胞に由来する25μLの溶解産物を、各ウエルに添加し、プレートを4℃で2時間インキュベートした。細胞溶解産物を吸引し、各ウエルを200μLの1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)モノラウレアート(monolaureate))で3回すすぐことにより、プレートウエルを3回洗浄した。洗浄した後、1×PBS中2%のAmersham社製ブロッキング試薬、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)を含む、25μLの5μg/mL α−SNAP−25検出抗体溶液を各ウエルに添加し、プレートを密閉し、密封したプレートを、振とうしながらで室温で1時間インキュベートした。α−SNAP−25検出抗体インキュベーションの後、ウエルを、200μLの1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)で3回洗浄した。その後、ECL画像化装置から得られた生データを、SigmaPlotバージョン9.0に移し、4パラメーターロジスティックフィッティングを使用して、用量−反応曲線を定義した。データをプロットした際、4パラメーターロジスティック関数に使用された制約はなかった。グラフによる報告を、以下の分析を使用して生成した:R2(相関係数)、a(データセットの最大値)、b(傾き)、及びX0±SE(EC50値±標準誤差)。2つの独立実験からの結果は、二鎖の活性は両方ともほとんど同一であり、天然二鎖の2倍以内だったことを示す。
動物に基づくアッセイを使用してBoNT/A−TEV二鎖の活性を試験するために、in vivo指外転スコア(DAS、Digit Abduction Score)を実施した。CD−1 Feマウスを計量し、各個別のDASアッセイにつき、10匹の動物のサブセットに振り分けた。マウスは、以下の基準に基づいて特定のサブセットに含めた:1)健康が良好であること、2)ロバストな基線DAS応答が0であること、3)選択されたサブセットについて確立されたX±2gの中央値体重範囲内に含まれること、及び4)体重が17.0gを超えること。
各マウスに、5μLのBoNT/A−TEVの異なる7つの用量(0.01nM、0.04nM、0.12nM、0.37nM、1.11nM、3.33nM、及び10.0nM)のうちの1つを、30番ゲージ針を用いて右後肢の腓腹筋に注射した。対照として、左後肢の腓腹筋に、BoNT/A−TEVを一切含有しない5μLの溶液を注射した。マウスは、最初の4日間連続的にDAS応答を観察した。DASは、各マウスを尾部で持ち上げ、注射した後肢を正確に観察することにより測定した。後指が外転する又は外転しないことにより、筋肉に注射された試験毒素による麻痺の影響が明らかになる。注射された後肢の指外転を、注射されていない後肢の指外転と比較し、それに応じてスコア化した。DASデータは、u/kg及び/又はng/kgの単位で、ピーク平均DASスコア及びAUC(曲線下面積)に基づき、ED50用量を計算することにより分析した。これは、以下のようにして達成された:1)各研究における各用量の平均ピークDASを計算した;2)任意の試験において5匹を超える死亡を誘発したあらゆる用量を検討から除外した;3)所与の個々の試験で使用された最高用量は、4.0の平均ピークを誘発した最低用量だった;4)所与の個々の試験で使用された最低用量は、0の平均ピークを誘発した最高用量だった;5)個々の試験について、平均ピークDAS対log(用量)の曲線を構築した;6)幾つかの試験で、各10匹マウス群の複数群について、AUC値を計算した;7)個々の試験について、平均AUC対log(用量)の曲線を構築した;8)各試験毒素の複数の同一試験の各組について、x、y反復応答曲線を構築した;9)用量反応データを、以下の式を使用した3パラメーターロジスティック式を使用して(Sigma Plot v8.0;SPSS Science社、シカゴ、イリノイ州)非線形回帰(非荷重)により分析した:
y=a/(1+(x/x0)b)
式中、yは応答であり、aは漸近ymaxであり、bは傾きであり、xは用量であり、0はED50用量である。ピークED50を決定するために、Ymaxを4に設定した(尺度の最大DAS測定値)。平均(ピーク及び/又はAUC)ED50値を、実施した各8用量の試験毎に計算した。
2つの独立実験からの結果は、二鎖の活性レベルは両方ともほとんど同一であり、天然二鎖の2倍以内だったことを示す。まとめると、細胞に基づくアッセイ及びDASアッセイのデータは、細胞内活性化のプロセスが、in vitroでニックされた物質と構造的に同等であっただけでなく、機能的にも区別できない二鎖rBoNT/Aを産出することを示す。
実施例3
独立したプロモーターの制御下にある2つの異なる発現構築体を使用した、TEVプロテアーゼ切断部位を有するクロストリジウム毒素の細胞内活性化
以下の例は、本明細書で開示される外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループ領域を含むクロストリジウム毒素を細胞内で発現させるのに有用な手順を示す。この場合、二鎖形態の毒素の形成は、独立したプロモーターの制御下にあるTEVプロテアーゼにより制御される。
A. pBAD/TEV発現構築体の構築。
その発現がアラビノースプロモーター(PBAD)の制御下にあったTEVプロテアーゼを組換え的に産生するために、TEVプロテアーゼ変異体7(表3[130])をコードするオープンリーディングフレームを、N末端Hisタグを除いて、発現ベクターpBAD/Myc−HisAにクローニングして、pBAD/TEVを構築した。pBAD/TEVを構築するために、TEVプロテアーゼ変異体7(配列番号106)をコードするオープンリーディングフレームを、N末端ポリ−ヒスチジンタグを除いて、標準的手順(BlueHeron Biotechnology社、カールズバッド、カリフォルニア州)を使用して合成した。また、合成断片は、このインサートが、pBAD/Myc−HisAベクター(Life Technologies社、マディソン、ウィスコンシン州)に作用可能に結合されることを可能にする制限部位により隣接されていた。T4DNAリガーゼ手順を使用して、このインサートを、多重クローニング部位が同じ制限エンドヌクレアーゼで消化されたpBAD/Myc−HisAベクターに方向的に正しくライゲーションした。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mLのアンピシリンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、アンピシリン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、TEV遺伝子インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、ポリヒスチジン親和性精製ペプチドを含まないTEV変異体7をコードするポリヌクレオチド分子を含むpBAD/TEV発現構築体が得られた。
B. pET29/BoNT/A−TEV及びpBAD/TEV発現構築体を含む細胞の構築。
pET29/BoNT/A−TEV及びpBAD/TEV発現構築体を含む細胞を製作するために、pET29/BoNT/A−TEV発現構築体(実施例2Aに記載)を、エレクトロポレーションを使用して、pBAD/TEV変異体7発現構築体を内包するエレクトロコンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に形質転換し、50μg/mLのアンピシリン及び50μg/mLのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。両発現構築体を含有する細菌を、アンピシリン−カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両構築体の存在を決定した。このクローニング戦略により、pET29/BoNT/A−TEV及びpBAD/TEV発現構築体を含む細胞が得られた。
C. BoNT/A−TEVのin situ活性化。
自己誘導条件下で二鎖形態のBoNT/A−TEVを産生するために、50μg/mLのカナマイシン及び50μg/mLのアンピシリンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pET29/BoNT/A−TEV及びpBAD/TEV発現構築体を内包するBL21(DE3)細胞の単一コロニーを接種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLのカナマイシン及び100μg/mLのアンピシリンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら8時間増殖させ、その後22℃で振とうしながら14時間増殖させた。この時点で、TEV発現を0.2%L−アラビノースで誘導し、培養物を22℃で更に4時間増殖させた。対照として、pET29/BoNT/A−TEVのみを内包するBL21(DE3)細胞を、50μg/mLのカナマイシンのみを選択剤として使用した以外は、上述のように増殖及び誘導した。
増殖及び誘導の後、実施例1Cの記載と本質的に同様に、細胞を溶解し、IMAC精製した。IMACで精製したBoNT/A−TEVを、二次的イオン交換クロマトグラフィー用に透析するために、ピーク溶出画分を含む貯溜試料を、25kD MWCO膜を取付けたFASTDIALYZER(登録商標)で、撹拌しながら1L脱塩緩衝液中で4℃にて一晩透析した。陰イオン交換クロマトグラフィーでは、脱塩緩衝液(緩衝液A)は、50mMのTris−HCl、pH8.0を含んでいた。
陰イオン交換クロマトグラフィーによりBoNT/A−TEVを精製するために、脱塩したタンパク質溶液を、あらかじめ緩衝液Aで平衡化された1mL UNO−Q1陰イオン交換カラムに、0.5mL/分の流速で負荷した。50mM Tris−HCl、pH8.0、1M NaClを含む緩衝液Bを0.5ml/分の流速で以下のように用いたNaCl勾配により、結合したタンパク質を溶出した:3%緩衝液Bを3mL、7%緩衝液Bを10mL、10mLにわたって7%から100%の緩衝液B。カラムからのタンパク質の溶出は、UV可視検出器を用いて214nm、260nm、及び280nmで検出し、ピーク画分を全て貯溜し、タンパク濃度を決定した。
精製したBoNT/A−TEVタンパク質を、実施例1Bの記載と本質的に同様に、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。結果は、pET29/BoNT/A−TEVが単独で発現される場合、BoNT/A−TEVの単鎖に対応するおよそ150kDaのバンドが、還元及び非還元条件下の両方で検出されたことを示す。対照的に、BoNT/A−TEVが、PBADプロモーターの制御下でTEVプロテアーゼと同時発現された場合、2つのバンドが還元条件下で観察され、その一方はおよそ50kDaであり、他方はおよそ100kDaだった。更に、同じ試料を非還元条件下で流した場合、およそ50kDa及びおよそ100kDaのバンドは消失し、およそ150kDaの新しいバンドが観察された。まとめると、これらの観察は、還元条件下で見られたおよそ50kDa及びおよそ100kDaのバンドは、BoNT/A−TEVの軽鎖及び重鎖に対応し、これらの2つのバンドの存在は、BoNT/A−TEVが二鎖を形成したことを示していたことを示す。したがって、これら細胞中でBoNT/A−TEV及びTEVプロテアーゼが同時発現されると、二鎖ループ内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位でのBoNT/A−TEV切断、及びその後の二鎖形態のBoNT/A−TEVの形成がもたらされる。結果は、90〜95%の単鎖BoNT/A−TEVが、その二鎖形態に変換されることを示す。
実施例4
二重発現構築体を使用した、TEVプロテアーゼ切断部位を有するクロストリジウム毒素の細胞内活性化
以下の例は、本明細書で開示される外来性プロテアーゼ切断部位を含むクロストリジウム毒素を精製及び定量化するのに有用な手順を示す。
A. pET29/BoNT/A−TEV/2×TEV二重発現構築体の構築。
pET29/BoNT/A−TEV/2×TEV二重発現構築体を構築するために、BoNT/A−TEVの最後の37個アミノ酸、並びに大腸菌発現に必要な転写(T7プロモーター、lacオペレーター部位)及び翻訳(RBS)エレメント、並びにTEV変異体7のコード領域全体をコードする合成断片(配列番号89)を、標準的手順(BlueHeron Biotechnology、ボセル、ワシントン州)を使用して合成した。長さが20〜50塩基の相補的オリゴヌクレオチドを、標準的ホスホラミダイト合成を使用して合成した。これらオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて二本鎖二重構造体にし、その後それを一緒にライゲーションして、全長ポリヌクレオチド分子を組立てた。このポリヌクレオチド分子を、標準的分子生物学的方法を使用して、PUCBHB1担体ベクターのSmaI部位にクローニングし、pUCBHB1/BoNT/A−TEV_C−term/T7Prom/TEVプラスミドを生成した。合成したポリヌクレオチド分子は、BIG DYE TERMINATOR(商標)Chemistry 3.1(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)及びABI3100型配列決定装置(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)を使用して配列決定することにより確認した。
pET29/BoNT/A−TEV/2×TEV発現構築体を生成するために、pUCBHB1/BoNT/A−TEV_C−term/T7Prom/TEVを、1)BoNT/A−TEVのC末端、第2のオープンリーディングフレームの大腸菌発現に必要な転写及び翻訳モチーフ、及びTEV変異体7のコード領域全体を含むインサートを切除し、2)このインサートが、実施例1AのpET29/BoNT/A−TEVベクターのBoNT/A遺伝子の後ろに作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。このインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、類似の制限エンドヌクレアーゼで消化されたpET29/BoNT/A−TEVベクターにサブクローニングして、配列番号89の介在性転写及び翻訳エレメントを有するBoNT/A−TEV及びTEVプロテアーゼ変異体7オープンリーディングフレームを含む適切なpET29/BoNT/A−TEV/2×TEV二重発現構築体を得た。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mLのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、カルボキシル末端ポリヒスチジン親和性精製タグ及びTEVプロテアーゼに作用可能に結合されたBoNT/A−TEVをコードするポリヌクレオチド分子を含むpET29二重発現構築体が得られた。オープンリーディングフレームの構成は、第1のT7プロモーターからの転写開始が、BoNT/A−TEVをコードするオープンリーディングフレーム、及びTEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAを産出するような構成だった。加えて、第2のT7プロモーターからの転写開始は、TEVプロテアーゼのみをコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAを産出する。したがって、TEVプロテアーゼをコードする転写物は、BoNT/A−TEVより、2倍多く存在するだろう。
B. pET29/BoNT/A−TEV/2×TEVに由来するBoNT/A−TEVのin situ活性化。
自己誘導条件下で二鎖形態のBoNT/A−TEVを産生するために、50μg/mLのカナマイシンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pET29/BoNT/A−TEV/TEV二重発現構築体を含むBL21(DE3)細胞の単一コロニーを接種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。約250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLのカナマイシンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら3.5時間増殖させ、その後22℃で振とうしながら18.5時間増殖させた。細胞を、遠心分離でペレットにした。実施例2Dの記載と本質的に同様に、細胞を溶解し、IMAC精製し、脱塩し、陰イオン交換クロマトグラフィーで精製し、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。対照として、pET29/BoNT/A−TEVのみを内包するBL21(DE3)細胞を、50μg/mLのカナマイシンのみを選択剤として使用した以外は、上述のように増殖及び誘導した。
結果は、単独で発現された場合、BoNT/A−TEVの単鎖に対応するおよそ150kDaのバンドが、還元及び非還元条件下の両方で検出されたことを示す。対照的に、BoNT/A−TEVがTEVプロテアーゼと同時発現された場合、2つのバンドが還元条件下で観察され、その一方はおよそ50kDaであり、他方はおよそ100kDaだった。更に、同じ試料を非還元条件下で流した場合、およそ50kDa及びおよそ100kDaのバンドは消失し、およそ150kDaの新しいバンドが観察された。まとめると、これらの観察は、還元条件下で見られたおよそ50kDa及びおよそ100kDaのバンドは、BoNT/A−TEVの軽鎖及び重鎖に対応し、これらの2つのバンドの存在は、BoNT/A−TEVが二鎖を形成したことを示していたことを示す。結果は、単鎖BoNT/A−TEVが、95%を超える効率でその二鎖形態に変換されたことも示した。したがって、これら細胞中で二重発現構築体からBoNT/A−TEV及びTEVプロテアーゼが同時発現されると、二鎖ループ内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位でのBoNT/A−TEV切断、及びその後の二鎖形態のBoNT/A−TEVの形成がもたらされる。
C. pRSFduet/TEV/2×BoNT/A−TEV二重発現構築体の構築。
BoNT/A−TEV及びTEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングフレームの構成を逆にすることが、BoNT/A−TEVの収量及び切断効率に影響を及ぼすことになるか否かを決定するために、第1のT7プロモーターからの転写開始が、TEV及びBoNT/A−TEVをコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAを産出し、第2のT7プロモーターからの転写開始が、BoNT/A−TEVのみをコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAを産出する二重発現構築体を製作した。したがって、BoNT/A−TEVをコードするmRNAは、TEVプロテアーゼと比較して、2倍多く存在するだろう。
pRSFduet/TEV/2×BoNT/A−TEV二重発現構築体を構築するために、2つの連続するクローニング反応を実施した。まず、TEV変異体7(配列番号22)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号91)を、pET29/TEV変異体7発現構築体からPCRで増幅した。ポリ−ヒスチジン親和性タグをコードするオープンリーディングフレームの5’末端を増幅から除外して、タグの付いていないプロテアーゼをコードした。増幅した後、PCRプライマーによりPCR産物の末端に組み込まれた固有の制限部位で、PCR産物を消化し、T4DNAリガーゼ手順を使用して、二重発現プラスミドpRSFduet−1(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)のMCSI(多重クローニング部位)の対応する部位にクローニングした。この中間構築体を、pRSduet/TEVと称した。次に、pET29/BoNT−A/TEV発現構築体を、1)BoNT/A−TEV(配列番号88)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号87)を含むインサートを切除し、2)このインサートが、pRSFduet/TEVのMCS2に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。BoNT/A−TEVインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、pRSFduetベクターのMCS2にサブクローニングし、適切なpRSFduet/TEV/2×BoNT/A−TEV二重発現構築体を得た。このクローニング戦略により、第1のT7プロモーターからの転写が、TEV及びBoNT/A−TEVをコードするmRNAを産生することになり、第2のT7プロモーターからの転写が、BoNT/A−TEVのみをコードするmRNAを産生することになる、pRSFduet二重発現構築体が得られた。
このクローニング戦略により、第1のT7プロモーターが、BoNT/A−TEVをコードするオープンリーディングフレームを転写することになり、第2のT7プロモーターが、TEVプロテアーゼをコードするオープンリーディングを転写することになるpRSFduet二重発現構築体が得られるだろう。
D. pET29/BoNT/A−TEV/TEV二重発現構築体の構築。
それら自体の独立したmRNAからBoNT/A−TEV及びTEVのみを産生することができる転写単位構成からのBoNT/A−TEV収量及び二鎖への変換効率を決定するために、pET29/BoNT/A−TEV/TEVを構築した。pET29/BoNT/A−TEV/TEV二重発現構築体を生成するために、短鎖合成DNA断片を使用して、T7ターミネーター部位(配列番号92)を、二重発現構築体pET29/BoNT/A−TEV/2×TEV(上記の実施例3A)のBoNT/A−TEV及びTEVのオープンリーディングフレーム間の介在配列に組み込んだ。これは、本質的には、T4DNAリガーゼ手順を使用して、T7ターミネーター部位を欠如したpET29/BoNT/A−TEV/2×TEVの介在領域を、配列番号93のT7終止部位と共に介在性転写及び翻訳エレメントを内包する合成DNA断片と交換することにより達成した。pET29/BoNT/A−TEV/TEVと称する、その結果生じた二重発現構築体は、それぞれ第1及び第2のT7プロモーターから転写される、カルボキシル末端ポリヒスチジン親和性タグ及びTEVプロテアーゼに作用可能に結合されたBoNT/A−TEV変異体をコードするポリヌクレオチド分子を含む。
E. BoNT/A−TEVのin situ活性化。
pET29/BoNT/A−TEV/2×TEV二重発現構築体、pRSF/TEV/2×BoNT/A−TEV二重発現構築体、又はpET29/BoNT/A−TEV/TEV二重発現構築体を含むBL21(DE3)細胞を使用した以外は、本質的に実施例2Dの記載と同様に、自己誘導条件下での二鎖形態のBoNT/A−TEVの増殖及び誘導を実施し、これら細胞系の各々からの単一コロニーを使用して、4つの1.0mL培養に並行して播種した。増殖及び誘導した後、4つの1.0mLの複製物を、プロセシング用に一緒に貯溜した。実施例1Bの記載と本質的に同様に、細胞を溶解し、IMAC精製し、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。対照として、pET29/BoNT/A−TEVのみを内包するBL21(DE3)細胞を、50μg/mLのカナマイシンのみを選択剤として使用した以外は、上述のように増殖及び誘導した。結果は、BoNT/A−TEVが、3つの二重発現構築体のうちのいずれかを含有する細胞から全く同等なレベルで発現されたが、二鎖への変換の程度は様々であったことを示す。単鎖BoNT/A−TEVは、タンパク質が、pET29/BoNT/A−TEV/2×TEVから発現された場合は、約96%の効率で、タンパク質が、pET29/BoNT/A−TEV/TEVから発現された場合は、約81%の効率で、タンパク質が、pRSFduet/TEV/2×BoNT/A−TEVから発現された場合は、約99%を超える効率で、その二鎖形態に変換された。
実施例5
二重発現構築体を使用した、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメインを含むタンパク質の細胞内活性化
以下の例は、本明細書で開示される外来性プロテアーゼ切断部位を含む二鎖ループを含むあらゆるタンパク質を精製及び定量化するのに有用な手順を示す。
A. pRSFduet/TEV/2×NociLHN/A−TEV二重発現構築体の構築。
pRSFduet/TEV/2×NociLHN/A−TEV二重発現構築体を構築するために、pET29/NociLHN/A−TEV発現構築体を、1)NociLHN/A−TEV(配列番号95)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号94)を含むインサートを切除し、2)このインサートが、TEV変異体7をMCSIに内包するpRSFduet−1ベクターであるpRSFduet/TEV(実施例3Cに記載)のMCS2に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。NociLHN/A−TEVインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、pRSFduet/TEV構築体のMCS2にサブクローニングし、適切なpRSFduet/TEV/2×NociLHN/A−TEV二重発現構築体を得た。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、第1のT7プロモーターからの転写が、TEV及びNociLHN/A−TEVをコードするmRNAを産生することになり、第2のT7プロモーターからの転写が、NociLHN/A−TEVのみをコードするmRNAを産生することになる、pRSFduet二重発現構築体が得られた。
B. NociLHN/A−TEVのin situ活性化。
自己誘導条件下で二鎖形態のNociLHN/A−TEVを産生するために、50μg/mLのカナマイシンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pRSFduet/TEV/2×NociLHN/A−TEV二重発現構築体を含むBL21(DE3)細胞の単一コロニーを播種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLのカナマイシンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら8時間増殖させ、その後16℃で振とうしながら18時間増殖させた。細胞を、遠心分離でペレットにした。実施例2Dの記載と本質的に同様に、細胞を溶解し、IMAC精製し、脱塩し、陰イオン交換クロマトグラフィーで精製し、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。対照として、NociLHN/A−TEVのみを内包するBL21(DE3)細胞を、上述のように増殖及び誘導した。
結果は、単独で発現された場合、NociLHN/A−TEVの単鎖に対応するおよそ102kDaのバンドが、還元及び非還元条件下の両方で検出されたことを示す。対照的に、NociLHN/A−TEVがTEVプロテアーゼと同時発現された場合、2つのバンドが還元条件下で観察され、その一方はおよそ50.8kDaであり、他方はおよそ51.3kDaだった。更に、同じ試料を非還元条件下で流した場合、およそ50.8kDa及びおよそ51.3kDaのバンドは消失し、およそ102kDaの新しいバンドが観察された。まとめると、これらの観察は、還元条件下で見られたおよそ50.8kDa及びおよそ51.3kDaのバンドが、それぞれクロストリジウム毒素酵素ドメイン、及びノシセプチン標的化部分がそのアミノ末端に結合されたクロストリジウム毒素移行ドメインに対応することを示す。これら2つのバンドの存在は、NociLHN/A−TEVの二鎖が形成されたこと、及び単鎖NociLHN/A−TEVが、95%を超える効率でその二鎖形態に変換されたことを示した。したがって、これら細胞中で二重発現構築体からNociLHN/A−TEV及びTEVプロテアーゼが同時発現されると、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位でのNociLHN/A−TEV切断、及びその後の二鎖形態のNociLHN/A−TEVの形成がもたらされる。
C. pRSFduet/TEV/2×DynLHN/A−TEV二重発現構築体の構築。
pRSFduet/TEV/2×DynLHN/A−TEV二重発現構築体を、pRSFduet/TEV/2×NociLHN/A−TEVとほとんど同じように生成した。pET29/DynLHN/A−TEV発現構築体を、1)DynLHN/A−TEV(配列番号97)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号96)を含むインサートを切除し、2)このインサートが、pRSFduet/TEV(実施例3Cに記載)のMCS2に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。DynLHN/A−TEVインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、pRSFduet/TEV構築体のMCS2にサブクローニングし、適切なpRSFduet/TEV/2×DynLHN/A−TEV二重発現構築体を得た。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、第1のT7プロモーターからの転写が、TEV及びDynLHN/A−TEVをコードするmRNAを産生することになり、第2のT7プロモーターからの転写が、DynLHN/A−TEVのみをコードするmRNAを産生することになる、pRSFduet二重発現構築体が得られた。
D. DynLHN/A−TEVのin situ活性化。
自己誘導条件下で二鎖形態のNociLHN/A−TEVを産生するために、50μg/mLのカナマイシンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pRSFduet/TEV/2×DynLHN/A−TEV二重発現構築体を含むBL21(DE3)細胞の単一コロニーを播種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLのカナマイシンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら8時間増殖させ、その後16℃で振とうしながら18時間増殖させた。細胞を、遠心分離でペレットにした。実施例2Dの記載と本質的に同様に、細胞を溶解し、IMAC精製し、脱塩し、陰イオン交換クロマトグラフィーで精製し、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。対照として、DynLHN/A−TEVのみを内包するBL21(DE3)細胞を、上述のように増殖及び誘導した。
結果は、単独で発現された場合、DynLHN/A−TEVの単鎖に対応するおよそ102kDaのバンドが、還元及び非還元条件下の両方で検出されたことを示す。対照的に、DynLHN/A−TEVがTEVプロテアーゼと同時発現された場合、2つのバンドが還元条件下で観察され、その一方はおよそ50.8kDaであり、他方はおよそ52kDaだった。更に、同じ試料を非還元条件下で流した場合、およそ50.8kDa及びおよそ52kDaのバンドは消失し、およそ102kDaの新しいバンドが観察された。まとめると、これらの観察は、およそ50.8kDaのバンドが、クロストリジウム毒素酵素ドメインに対応し、およそ52kDaのバンドが、ダイノルフィン標的化部分がそのアミノ末端に結合されたクロストリジウム毒素移行ドメインに対応することを示す。これら2つのバンドの存在は、DynLHN/A−TEVの二鎖が形成されたこと、及び単鎖DynLHN/A−TEVが、95%を超える効率でその二鎖形態に変換されたことも示す。したがって、これら細胞中で二重発現構築体からDynLHN/A−TEV及びTEVプロテアーゼが同時発現されると、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメイン内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位でのDynLHN/A−TEV切断、及びその後の二鎖形態のDynLHN/A−TEVの形成がもたらされる。
実施例6
2つの異なる発現構築体を使用した、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ガラニン結合ドメインを含むタンパク質の細胞内活性化
以下の例は、目的タンパク質及びプロテアーゼが、別々のプラスミドから発現され、異なるプロモーターの制御下にある、本明細書で開示される統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメインを含む二鎖ループを含むあらゆるタンパク質を精製及び定量化するのに有用な方法を示す。
A. pET29/GalLHN/A−TEV発現構築体の構築。
pET29/GalLHN/A−TEV発現構築体を構築するために、まずpET29/DynLHN/A−TEV発現構築体を、制限エンドヌクレアーゼで消化して、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ダイノルフィン結合ドメインを含む二鎖ループをコードするDNAセグメントを切除した。その結果生じたpET29/LHn/Aフレームワーク断片を、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ガラニン結合ドメイン(配列番号99)を含む二鎖ループを含む、適合する制限部位で挟まれた合成DNA断片(配列番号98)とライゲーションした。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、GalLHN/A−TEVの発現がT7プロモーターの制御下にある、GalLHN/A−TEV(配列番号101)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号100)を含むpET29/GalLHN/A−TEV発現構築体を得た。
B. pColdIV/TEV発現構築体の構築。
TEVがコールドショックプロモーター(csp)の制御下にある発現構築体を生成するために、TEV変異体7(配列番号22)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号91)を、pET29/TEV変異体7発現構築体からPCRで増幅した。ポリ−ヒスチジン親和性タグをコードするオープンリーディングフレームの5’末端を増幅から除外して、タグの付いていないプロテアーゼをコードした。増幅した後、PCRプライマーによりPCR産物の末端に組み込まれた固有の制限部位で、PCR産物を消化し、T4DNAリガーゼ手順を使用して、発現プラスミドpColdIV(Clontech Laboratories,Inc.社、マディソン、ウィスコンシン州)の多重クローニング部位の対応する部位にクローニングした。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mLのアンピシリンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、アンピシリン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、コールドショックプロモーターの制御下にTEV変異体7をコードするポリヌクレオチド分子を含むpColdIV/TEV発現構築体を得た。
C. pET29/GalLHN/A−TEV及びpColdIV/TEV発現構築体を含む細胞の構築。
pET29/GalLHN/A−TEV及びpColdIV/TEV発現構築体を含む細胞を製作するために、pET29/GalLHN/A−TEV発現構築体を、エレクトロポレーションを使用して、pColdIV/TEVを内包するエレクトロコンピテントな大腸菌BL21(DE3)細胞に形質転換し、100μg/mLのアンピシリン及び50μg/mLのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。両発現構築体を含有する細菌を、アンピシリン−カナマイシン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両構築体の存在を確認した。このクローニング戦略により、pET29/GalLHN/A−TEV及びpColdIV/TEV発現構築体を含む細胞を得た。
D. pET29/GalLHN/Aのin situ活性化。
自己誘導条件下で二鎖形態のGalLHN/A−TEVを産生するために、50μg/mLのカナマイシン及び100μg/mLのアンピシリンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pET29/GalLHN/A−TEV及びpColdIV/TEV発現構築体を内包するBL21(DE3)細胞の単一コロニーを播種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させた。約250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLのカナマイシン及び100μg/mLのアンピシリンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振盪とうしながら8時間増殖させ、その後15℃で振盪とうしながら18時間増殖させた。細胞を溶解し、Magne−His樹脂を使用してIMAC精製した。
Magne−His精製により二鎖GalLHN/A−TEVを精製するために、250mL発現培養に由来する誘導された細胞を、100mM HEPES、pH7.5、10容積/容積%グリセロール、10mMイミダゾール、1M NaClで構成される16mLの冷却(4〜6℃)IMAC洗浄緩衝液に再懸濁した。細胞懸濁物を、密閉大気治処理チャンバー(#101−021−006、Branson Ultrasonics Corporation社製)に移し、パルス間に1分間の間隔をおいた15回のパルス(10秒間、30%振幅、0.5インチ破砕ホーン)で超音波処理した(Sonifier(登録商標)Digital 450型、Branson Ultrasonics Corporation社製)。超音波処理中、冷却水を循環水浴(3.5℃)からチャンバーの外部ジャケットに通すことにより、密閉大気治処理チャンバーを冷却した。超音波処理した物質を、処理チャンバーからきれいなOakridgeチューブに移し、4℃にて30分間、30,500RCFで遠心分離して(SL−50Tローター、Sorvall社製;FIBERLite(登録商標)F21S−8X50ローター、Piramoon Technologies Inc.社製)、不溶性細胞残屑を除去した。清澄化した溶解産物を、注射器で吸引し、まず0.8μm注射器フィルターで、その後0.45μm注射器フィルター(Sartorius社製)で連続してろ過して、きれいな50mLコニカルチューブに入れた。Magne−His(商標)タンパク質精製樹脂(Promega Corp.社、マディソン、ウィスコンシン州)をボルテックスして均一な懸濁物にし、4mLの懸濁物を、清澄化した溶解産物に移した。チューブを密閉し、数回逆さまにして、粒子を十分に混合した。混合物を穏やかに揺動させながら3分間インキュベートして、16℃で目的タンパク質に結合させた。チューブを、MagneSil磁気分離ユニット(Promega Corp.社、マディソン、ウィスコンシン州)に移し、約2分間、樹脂粒子を捕捉させた。上清溶液を除去し、チューブを分離ユニットから取り外した。その後、樹脂を、10mLのIMAC洗浄緩衝液に再懸濁し、磁気分離ユニットで捕捉し、洗浄緩衝液を除去した。洗浄ステップを、更に2回繰り返した。目的タンパク質を溶出するために、樹脂を、5mLのMagne−His(商標)溶出緩衝液(100mM HEPES、pH7.5、500mMイミダゾール)に再懸濁し、室温で2分間インキュベートし、樹脂を磁気分離ユニットで捕捉し、上清溶液を新しいチューブに移した。溶出ステップをもう一度繰り返した。
IMACで精製したGalLHN/A−TEVを、二次のイオン交換クロマトグラフィー用に透析するために、貯溜溶出画分を、25kD MWCO膜を取付けたFASTDIALYZER(登録商標)で、撹拌しながら1L脱塩緩衝液中で4℃にて一晩透析した。
陰イオン交換クロマトグラフィーにより二鎖GalLHN/A−TEVを精製するために、脱塩したタンパク質溶液を、あらかじめ緩衝液Aで平衡化された1mL UNO−Q1陰イオン交換カラムに、1mL/分の流速で負荷した。50mM Tris−HCl、pH8.0、1M NaClを含む緩衝液Bを1ml/分の流速で以下のように用いたNaCl勾配により、結合したタンパク質を溶出した:7%緩衝液Bを3mL、15%緩衝液Bを7mL、10mLにわたって10%から50%の緩衝液B。カラムからのタンパク質の溶出は、UV可視検出器を用いて214nm、260nm、及び280nmで検出し、ピーク画分を全て貯溜し、タンパク濃度を決定した。等量を液体窒素で瞬間凍結し、−80℃で保存した。精製したBoNT/A−TEVタンパク質を、実施例1Bの記載と本質的に同様に、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。
結果は、GalLHN/A−TEVがTEVプロテアーゼと同時発現された場合、2つのほとんど重なり合うバンドが、還元条件下で観察され、一方はおよそ51.1kDaであり、他方はおよそ52.1kDaだったことを示す。更に、同じ試料を非還元条件下で流した場合、およそ51.1kDa及び52.1kDaの2つのバンドは消失し、およそ103kDaの新しいバンドが観察された。まとめると、これらの観察は、およそ51.1kDaのバンドが、クロストリジウム毒素酵素ドメインに対応し、およそ52.1kDaのバンドが、ガラニン標的化部分がそのアミノ末端に結合されたクロストリジウム毒素移行ドメインに対応することを示す。これら2つのバンドの存在は、GalLHN/A−TEVの二鎖が形成されたこと、及び単鎖GalLHN/A−TEVが、およそ90%の効率でその二鎖形態に変換されたことも示す。したがって、これら細胞中で独立したプラスミドからGalLHN/A−TEV及びTEVプロテアーゼが同時発現されると、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ガラニン結合ドメイン内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位でのGalLHN/A−TEV切断、及びその後の二鎖形態のGalLHN/A−TEVの形成がもたらされる。
実施例7:
二重発現構築体を使用した、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ガラニン結合ドメインを含むタンパク質の予想される細胞内活性化
以下の例は、目的タンパク質及びプロテアーゼが、二重発現プラスミドから発現される、本明細書で開示される統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメインを含む二鎖ループを含むあらゆるタンパク質を精製及び定量化するのに有用な方法を示す。
A. pRSFduet/TEV/2×GalLHN/A−TEV二重発現構築体の構築。
以前に構築されたpRSFduet/TEV/2×NociLHN/A−TEV及びpRSFduet/TEV/2×DynLHN/A−TEV(実施例4を参照)と同様なpRSFduet/TEV/2×GalLHN/A−TEV二重発現構築体を構築するために、pET29/GalLHN/A−TEV発現構築体を、1)GalLHN/A−TEV(配列番号101)をコードするオープンリーディングフレーム(配列番号100)を含むインサートを切除し、2)このインサートが、MCSIにTEV変異体7を内包するpRSFduet−1ベクターであるpRSFduet/TEV(実施例3Cに記載)のMCS2に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化することになる。GalLHN/A−TEVインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、pRSFduet/TEV構築体のMCS2にサブクローニングし、適切なpRSFduet/TEV/2xGalLHN/A−TEV二重発現構築体を得ることになる。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、50μg/mlのカナマイシンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させることになる。発現構築体を含有する細菌を、カナマイシン耐性コロニーとして特定し、候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認することになる。このクローニング戦略により、第1のT7プロモーターからの転写が、TEV及びGalLHN/A−TEVをコードするmRNAを産生することになり、第2のT7プロモーターからの転写が、GalLHN/A−TEVのみをコードするmRNAを産生することになる、pRSFduet二重発現構築体が得られることになる。
B. GalLHN/A−TEVのin situ活性化。
自己誘導条件下で二鎖形態のGalLHN/A−TEVを産生するために、50μg/mLのカナマイシンを含有する3.0mLのPA−0.5G培地に、pRSFduet/TEV/2×GalLHN/A−TEV二重発現構築体を含むBL21(DE3)細胞の単一コロニーを接種し、37℃で振とうしながら一晩増殖させることになる。250μLのこの開始培養を使用して、50μg/mLのカナマイシンを含有する250mLのZYP−5052に播種し、37℃で振とうしながら8時間増殖させ、その後16℃で振とうしながら18時間増殖させることになる。実施例5Dに記載のように、細胞を遠心分離によりペレットにし、溶解し、IMAC精製し、脱塩し、陰イオン交換クロマトグラフィーで精製することになる。精製した目的タンパク質を、実施例1Bの記載と本質的に同様に、還元及び非還元条件下の両方でSDS−PAGEにより分析し、ゲルを染色して、発現レベル及びpRSFduet/TEV/2×GalLHN/A−TEV二重発現構築体から産生されるGalLHN/A−TEVがその二鎖形態に変換される程度を評価することになる。
実施例8
BEVS中の二重発現構築体を使用した、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ダイノルフィン結合ドメインを含むタンパク質の細胞内活性化
以下の例は、目的タンパク質及びプロテアーゼが、二重発現構築体で同時発現され、バキュロウイルス発現ベクター系(BEVS)の2つの異なるプロモーターの制御下にある、本明細書で開示される統合型TEVプロテアーゼ切断部位−オピオイド結合ドメインを含む二鎖ループを含むあらゆるタンパク質を精製及び定量化するのに有用な方法を示す。
A. pBAC−6/TEV/DynLHN/A−TEV二重発現構築体の構築。
pBAC−6/TEV/DynLHN/A−TEV二重発現構築体を構築するために、p10プロモーター配列の下流にある組換えTEV変異体7、及び反対の方向性でpolHプロモーター配列の下流にあるDynLHn/A−TEVをコードする合成断片(配列番号107)を、標準的手順(BlueHeron Biotechnology社、ボセル、ワシントン州)を使用して合成した。長さが20〜50塩基の相補的オリゴヌクレオチドを、標準的ホスホラミダイト合成を使用して合成した。これらオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて二本鎖二重構造体にし、その後それを一緒にライゲーションして、全長ポリヌクレオチド分子を組立てた。このポリヌクレオチド分子を、標準的分子生物学的方法を使用して、pUCBHB1担体ベクターのSmaI部位にクローニングし、pUCBHB1/p10−TEV/polH−DynLHN/A−TEVプラスミドを生成した。合成したポリヌクレオチド分子は、BIG DYE TERMINATOR(商標)Chemistry 3.1(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)及びABI3100型配列決定装置(Applied Biosystems社、フォスターシティ、カリフォルニア州)を使用して配列決定することにより確認した。
pBAC−6/TEV/DynLHN/A−TEV二重発現構築体を生成するために、pUCBHB1/p10−TEV/polH−DynLHN/A−TEVを、1)p10プロモーターの制御下にあるTEV変異体7、及びpolHプロモーターの制御下にある方向性が反対のDynLHN/A−TEVのコード領域全体を含むインサートを切除し、2)このインサートが、pBAC−6トランスファーベクター(EMD Biosciences−Novagen社、マディソン、ウィスコンシン州)に作用可能に結合されることを可能にする制限エンドヌクレアーゼで消化した。このインサートを、T4DNAリガーゼ手順を使用して、類似の制限エンドヌクレアーゼで消化されたpBAC−6トランスファーベクターにサブクローニングし、p10プロモーターの下流にTEVプロテアーゼ変異体7オープンリーディングフレーム、及びpolHプロモーターの下流にDynLHN/A−TEVの第2のオープンリーディングフレームを含む、操作されたpBAC−6二重発現構築体を得た。ライゲーション混合物を、エレクトロポレーションによりエレクトローコンピテントな大腸菌BL21(DE3)Acella細胞(Edge BioSystems社、ゲイサーズバーグ、メリーランド州)に形質転換し、100μg/mLのアンピシリンを含有する1.5%LB寒天プレート(pH7.0)に播種し、37℃のインキュベーターに置いて一晩増殖させた。発現構築体を含有する細菌を、アンピシリン耐性コロニーとして特定した。候補構築体を、アルカリ溶菌プラスミドミニプレップ手順を使用して単離し、制限エンドヌクレアーゼ消化マッピングにより分析し、両DNA鎖を配列決定して、インサートの存在及び完全性を確認した。このクローニング戦略により、カルボキシル末端ポリヒスチジン親和性精製タグ及びTEVプロテアーゼに作用可能に結合されたDynLH/A−TEVをコードするポリヌクレオチド分子を含むpBAC−6二重発現構築体が得られた。
B.高力価TEV/DynLHN/A−TEV組換えバキュロウイルスストックの生成。
二鎖形態のDynLHN/A−TEVを産生し得る前に、TEV/DynLHN/A−TEVを含む高力価組換えバキュロウイルスストックを生成した。およそ2×106個のSf9昆虫細胞を、35mm皿中の2mL容積の昆虫細胞培養培地ESF921に接種した。溶液A(2μgのpBAC−6/TEV/DynLHN/A−TEV、0.5μgの線形化flash BACバキュロウイルスDNA(Oxford Expression Technologies社製、オックスフォード、英国)、及び100μLの形質移入培地を含む)と溶液B(6μLのTRANSLT(登録商標)−2020形質移入試薬及び100μLの形質移入培地を含む)を混合し、室温で30分間インキュベートすることにより、形質移入溶液を調製した。次に、更なる800μLの形質移入培地を、溶液A/B混合物に添加し、穏やかに混合し、細胞に滴加した。細胞を28℃で5時間インキュベートし、その終了時に、3mLのESF921を添加して、各ウエルの最終容積を4mLにした。P0組換えウイルスを産生するために、インキュベーションを28℃で4〜5日間継続した。より高力価のP1組換えバキュロウイルス種ストックを生成するために、P0上清から単離したウイルスを、baculoQUANT(Oxford Expression Technologies社製、オックスフォード、英国)を使用して滴定し、振とうフラスコで更に増幅した。2×106細胞/mLの密度の約100〜200mLのSf9細胞を、MOI(感染多重度)<1pfu/細胞でP0ウイルスに感染させ、振とうさせながら4〜5日間インキュベートした。定量化した後、高力価P1ストックを使用して、高レベルタンパク質発現用のTni細胞に感染させた。
C. DynLHN/A−TEVのin situ活性化。
二鎖形態のDynHN/A−TEVを生成するために、1×106/mLの濃度の50mL Tni細胞を、5のMOIで、TEV/DynLHN/A−TEVを含む組換えP1ウイルスストックに感染させ、感染後(pi)3日目に回収した。細胞を溶解し、Magne−His樹脂を使用してIMAC精製した。
Magne−His精製により二鎖DynLHN/A−TEVを精製するために、細胞ペレットを、100μLのInsect PopCulture試薬及び20μL(10U)のBenzonaseヌクレアーゼの存在下で、Ca2+又はMg2+を含まない20mLのPBSに再懸濁し、穏やかに混合し、室温で15分間インキュベートした。4℃で15分間、16,000rpmで遠心分離することにより細胞溶解産物を清澄化した後、上清を、均一に懸濁された4mLのMagne−His(商標)タンパク質精製樹脂(Promega Corp.社、マディソン、ウィスコンシン州)と混合した。混合物を穏やかに揺動させながら室温で20分間インキュベートして、目的タンパク質に結合させた。チューブを、約2分間、MagneSil磁気分離ユニットに移し、樹脂粒子を捕捉した。上清を除去した後、チューブを分離ユニットから取り外し、樹脂を、10mLのIMAC洗浄緩衝液に再懸濁した。再び、樹脂を磁気分離ユニットで捕捉し、洗浄緩衝液を除去した。洗浄ステップを、更に2回繰り返した。目的タンパク質を溶出するために、樹脂を、2.5mLのMagne−His(商標)溶出緩衝液(100mM HEPES、pH7.5、500mMイミダゾール)に再懸濁し、室温で2分間インキュベートし、樹脂を磁気分離ユニットで捕捉し、上清溶液を新しいチューブに移した。溶出ステップを再び繰り返して、磁性樹脂からの標的回収を最大化した。
IMACで精製したDynLHN/A−TEVを、二次のイオン交換クロマトグラフィー用に透析するために、貯溜溶出画分を、25kD MWCO膜を取付けたFASTDIALYZER(登録商標)で、常に撹拌しながら1L脱塩緩衝液中(緩衝液A:50mM Tris−HCl、pH8.0)で4℃にて一晩透析した。
陰イオン交換クロマトグラフィーにより二鎖DynLHN/A−TEVを精製するために、脱塩したタンパク質溶液を、あらかじめ緩衝液Aで平衡化された1mL UNO−Q1陰イオン交換カラムに、1mL/分の流速で負荷した。50mM Tris−HCl、pH8.0、1M NaClを含む緩衝液Bを1mL/分の流速で以下のように用いたNaCl勾配により、結合したタンパク質を溶出した:7%緩衝液Bを3mL、15%緩衝液Bを7mL、10mLにわたって10%から50%緩衝液B。カラムからのタンパク質の溶出は、UV可視検出器を用いて214nm、260nm、及び280nmで検出し、ピーク画分を全て貯溜し、タンパク濃度を決定した。等量を−20℃で保存した。精製したDynLHN/A−TEVタンパク質を、実施例1Bの記載と本質的に同様に、SDS−PAGEで分析し、ゲルを染色した。
結果は、昆虫細胞中でDynLHN/A−TEVがTEVプロテアーゼと同時発現され、ほぼ同質性に精製される場合、2つのほとんど重なり合うバンドが、還元条件下で観察され、一方はおよそ51kDaであり、他方はおよそ52kDaだったことを示す。更に、同じ試料を非還元条件下で流した場合、およそ50kDa及び52kDaの2つのバンドは消失し、およそ102kDaの新しいバンドが観察された。まとめると、これらの観察は、およそ51kDaのバンドが、クロストリジウム毒素酵素ドメインに対応し、およそ52kDaのバンドが、ダイノルフィン標的化部分がそのアミノ末端に結合されたクロストリジウム毒素移行ドメインに対応することを示す。これら2つのバンドの存在は、DynLHN/A−TEVの二鎖が形成されたこと、及び単鎖DynLHN/A−TEVが、80〜90%の効率でその二鎖形態に変換されたことも示す。したがって、pBAC−6/TEV/DynLHN/A−TEV二重発現構築体から生成されたTEV/DynLHN/A−TEV組換えバキュロウイルスで感染された昆虫細胞中で、DynLHN/A−TEV及びTEVプロテアーゼが同時発現されると、統合型TEVプロテアーゼ切断部位−ダイノルフィン結合ドメイン内に位置するTEVプロテアーゼ切断部位でのDynLHN/A−TEV切断、及びその後の二鎖形態のDynLHN/A−TEVの形成がもたらされる。
本発明の態様は、開示された実施形態に関して記述されているが、当業者であれば、開示された特定の例は、これら態様の単なる例示に過ぎず、いかなる点においても本発明を制限するものではないことを容易に認識するだろう。本発明の趣旨から逸脱することなく、種々の改変をなすことができる。