JP2016163953A - ゴム積層体およびホース - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明によれば、
(2) 前記アクリルゴム組成物は、フッ素ゴム(a2)をさらに含有する(1)記載のゴム積層体、
(3) (1)または(2)に記載のゴム積層体を用いてなるホース
が提供される。
アクリルゴム層(A)は、フェノール性水酸基を架橋点として有するアクリルゴム(a1)(以下、「フェノール性水酸基含有アクリルゴム(a1)」ということがある。)を含有するアクリルゴム組成物からなる。また、アクリルゴム組成物は、フッ素ゴム(a2)をさらに含有することが好ましい。
本発明に用いるフェノール性水酸基を架橋点として有するアクリルゴム(a1)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有し、(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分として含有するものが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を意味する。
フッ素ゴム(a2)としては、後述するフッ素ゴム層(B)に含有されるフッ素ゴム(b1)において例示するものを使用することができる。
本発明に用いるアクリルゴム組成物は、上記フェノール性水酸基含有アクリルゴム(a1)と配合剤とを含んでなる。本発明のアクリルゴム組成物は、配合剤としてフッ素ゴム(a2)を含む架橋性アクリルゴム組成物であることが好ましい。また、配合剤として、フッ素ゴム(a2)に加えて、さらに受酸剤及び架橋促進剤等を含んでいてもよい。
アクリルゴム組成物に用いる受酸剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、珪酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらのなかでも、アクリルゴム組成物の貯蔵安定性が良好である観点から、受酸剤として珪酸カルシウムを用いることが好ましい。受酸剤の配合量は、特に限定されないが、アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは2〜14重量部、特に好ましくは6〜12重量部である。受酸剤の量が少なすぎると十分な架橋速度が得られない傾向となる。また、受酸剤の量が多すぎるとゴム架橋物の硬度が高くなりすぎる場合がある。
ゴム架橋物は、適切な架橋速度を呈する観点から、架橋促進剤を含有することが好ましい。架橋促進剤としては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニム塩が挙げられる。
アクリルゴム組成物は、上述した配合剤の成分以外に通常のアクリルゴム組成物に添加される各種副資材を目的に応じて含有してもよい。このような副資材としては、特に限定されないが、補強材、充填剤、老化防止剤、滑剤、可塑剤、安定剤、顔料などが挙げられる。
充填剤としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルクケイソウ土などが挙げられる。
一般式(1)記載の化合物は、国際公開第2011/093443号に記載の方法により合成することができる。
老化防止剤の配合量は、特に限定されないが、アクリルゴム100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
滑剤としては、オルガノシリコーン化合物、パラフィン、炭化水素樹脂、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコールなどが挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、ポリエーテルエステル誘導体などが挙げられる。
安定剤としては、無水フタル酸、安息香酸、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド、スルホンアミド誘導体等が挙げられる。
フッ素ゴム層(B)は、フッ素ゴム(b1)及びポリオール架橋剤(b2)を含有するフッ素ゴム組成物からなる。
フッ素ゴム(b1)としては、含フッ素不飽和単量体の単独重合体ゴム、含フッ素不飽和単量体の共重合体ゴムまたは含フッ素不飽和単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体ゴムが挙げられる。フッ素ゴム(b1)を形成するための含フッ素不飽和単量体としては、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ビニルフルオライド、パーフルオロメチルビニルエーテル、およびパーフルオロエチルビニルエーテルなどが挙げられる。また、含フッ素不飽和単量体と共重合可能な他の単量体としては、エチレン、プロピレン、および架橋性単量体である臭化オレフィンなどが挙げられる。
本発明に用いるポリオール架橋剤(b2)としては、アクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)とがより強固に接着する点、加硫後のフッ素ゴム(b1)の耐圧縮永久歪み性および成形性に優れる点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適である。
また、フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム(b1)およびポリオール架橋剤(b2)に加えて、架橋促進剤を含んでいてもよい。架橋促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の生成と、生成した二重結合へのポリヒドロキシ化合物の付加を促進することにより架橋反応を促進することができる。架橋促進剤としては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニム塩が挙げられる。
本発明に用いるフッ素ゴム組成物は、耐酸性向上の観点から、受酸剤として、金属酸化物、金属水酸化物、アルカリ金属の弱酸塩、及び、アルカリ土類金属の弱酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
これらのなかでも、フッ素ゴム組成物は、酸化マグネシウム、水酸化カルシウムを含むことがより好ましい。
フッ素ゴム組成物は、カーボンブラック、シリカ等の充填剤を含有することが好ましい。充填剤としてはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム積層体は、上述したアクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層(A)と、フッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層(B)とを架橋接着してなるゴムの積層体である。
実施例および比較例で得られたアクリルゴム組成物を、ホットプレスを用いて、一次架橋(架橋条件:170℃、20分)した後、二次架橋(架橋条件:170℃、4時間)することによりゴム架橋物を得た。得られたゴム架橋物を3号型ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。次に、この試験片を用いて、常態物性を測定した。なお、硬さは、JIS K6253(2006)に従いデュロメーター硬さ試験機(タイプA)を用いて測定した。また、引張強さおよび伸びは、JIS K6251(2010)に従い測定した。
上記常態物性の測定で得られたゴム架橋物について、耐熱老化性として、空気加熱老化性を測定した。空気加熱老化性は、JIS K6257(2010)に準拠して、175℃で、72時間の試験条件で行い、引張強さ、伸び及び硬さを測定した。引張強さ及び伸びの評価は、空気加熱老化性の測定で得られた引張強さ及び伸びの、上記常態物性の測定で得られた引張強さ及び伸びに対する変化率をそれぞれ求めることにより行った。また、硬さの評価は、空気加熱老化性の測定で得られた硬さの、上記常態物性の測定で得られた硬さに対する変化量を求めることにより行った。
実施例及び比較例で得られたゴム積層体を用いて、JIS K6256に従って剥離試験を行うことで、ゴム積層体を構成するアクリルゴム層(A)及びフッ素ゴム層(B)間の架橋接着性の評価を行った。具体的には、得られたゴム積層体を、幅10mm、長さ100mmの短冊状に打ち抜き、この両端を引張り試験機のエアーチャックで掴んで、50mm/分の速さで、180°剥離試験を行い、剥離時の荷重を引張り試験機のロードセルで読み取り、剥離強さTF(N/mm)で求めた。
剥離強さTFの値が大きい程、また、接着界面の状況が「ゴム破壊」である場合に、架橋接着性に優れるゴム積層体であることを意味する。
実施例および各比較例で得られたアクリルゴム組成物及びフッ素ゴム組成物を、層押出法により積層チューブに成形した後、加硫缶を用いて加圧加熱架橋させることによりゴム積層体を得た。得られたゴム積層体のアクリルゴム層(A)とフッ素ゴム層(B)とが接着しているか否かを判定し、接着した場合を「可」、接着しなかった場合を「不可」として、結果を表1に示した。
[フェノール性水酸基含有アクリルゴムの重合]
重合反応器に、アニオン性乳化剤であるジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩5部を脱イオン水1250部に溶解したものに、アクリル酸エチル148.2部、アクリル酸ブチル148.2部、p−ヒドロキシ安息香酸ビニル3.6部を加え、攪拌して乳化させた。次に、窒素気流下で70℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウムの10%水溶液10部を添加して重合を開始させた。重合開始後、重合温度を徐々に80℃まで上昇させ、さらに80〜82℃の範囲で2時間重合反応を継続した。重合転化率はほぼ100%であった。得られたラテックスと、塩析剤としての食塩(水溶液の状態)とを混合して、クラム状のアクリルゴムを得た。その後、クラム状のアクリルゴムを水洗、乾燥させて、アクリルゴムを得た。
バンバリーミキサーを用いて上記フェノール性水酸基含有アクリルゴム100部に、FEF カーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、充填剤)60部、珪酸カルシウム(AD850H200M、富田製薬社製、受酸剤)8部、オルガノシリコーン化合物(ストラクトールWS280、エスアンドエスジャパン社製、滑剤)3部、老化防止剤1部を50℃ で5分間混練した。次いで、得られた混練物を50℃のオープンロールに移して、フッ素ゴム(ダイエルG−101、ダイキン工業社製、架橋剤)1.5部、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(TBAHS、広栄化学社製、架橋促進剤)0.25部を混練して、アクリルゴム組成物を調製した。なお、老化防止剤としては下記式(2)で表される化合物を用いた。
ポリオール架橋剤を含有するフッ素ゴム(商品名「VITON B−601C」、デュポンエラストマー社製、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの三元共重合体ゴム、ポリオール架橋剤としてビスフェノールAFを約2.0重量%の割合で含有)100部に、MTカーボンブラック(商品名「サーマックスMT」、Cancard社製、充填剤)20部、MgO(商品名「キョーワマグ150」、協和化学工業社製、受酸剤)3部、およびCa(OH)2(商品名「カルディック#1000」、近江化学工業社製、受酸剤)6部を添加し、オープンロールで混練することで、フッ素ゴム組成物を得た。
上記にて得られたアクリルゴム組成物とフッ素ゴム組成物とを、それぞれ、オープンロールで混練して、約2mmの均一な厚みのシートに分出し、6cm×10cm角に成型することで、シート状の成形体を得た。次いで、得られたシート状の各成形体を張り合わせ、縦6cm、横10cm、深さ0.4cmの金型に入れ、プレス圧50kg/cm2で加圧しながら、170℃で20分間架橋接着させ、さらに二次架橋(架橋条件:170℃、4時間)おこなうことにより、ゴム積層体を作製した。なお、この際において、上述した剥離試験を行うために、剥離試験時にエアーチャックでつかむ部分に予めセロファン紙を挟むことで、両シートが接着していない部分を形成しておいた。
[アクリルゴム組成物の調製]
バンバリーミキサーを用いて、エポキシ基含有アクリルゴム(商品名「Nipol AR42W」、日本ゼオン社製)100部に、ステアリン酸2部、FEFカーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、充填剤)60部、老化防止剤(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学工業社製)2部を50℃で5分間混練した。次いで、得られた混練物を50℃のオープンロールに移して、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート( 商品名「Zeonet PB」、日本ゼオン社製、ホスホニウム塩)0.5部、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛( 商品名「ノクセラーPZ」、大内新興化学社製、ジチオカルバミン酸金属塩、架橋剤)2.5部、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄(商品名「ノクセラーTTFE」、大内新興化学社製、架橋促進剤)0.5部、およびスルホンアミド誘導体(商品名「バルカレントE/C」、ランクセス社製、スコーチ防止剤)0.5部を添加して、混練することによりアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を用いてアクリルゴム架橋物を得て、常態物性の測定及び耐熱老化性の測定を行った。
このアクリルゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にゴム積層体の製造をお行い、得られたゴム積層体について剥離試験を行った。
アクリルゴム組成物を調製する際に、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレートを添加しなかった以外は比較例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物からアクリルゴム架橋物を得て、常態物性の測定及び耐熱老化性の測定を行った。
このアクリルゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にゴム積層体の製造をお行い、得られたゴム積層体について剥離試験を行った。
比較例1においてバンバリーミキサーを用いて得られたアクリルゴム組成物(即ちエポキシ基含有アクリルゴム(商品名「Nipol AR42W」、日本ゼオン社製100部に、ステアリン酸2部、FEFカーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、充填剤)60部および老化防止剤(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学工業社製)2部を混練して得られたアクリルゴム組成物)に対して、安息香酸アンモニウム(商品名「バルノックAB」、大内新興化学社製、架橋剤)を1.5部添加して、アクリルゴム組成物とした。得られたアクリルゴム組成物からアクリルゴム架橋物を得て、常態物性の測定及び耐熱老化性の測定を行った。
上記にて得られたアクリルゴム組成物と実施例1と同様にして得られたフッ素ゴム組成物とを、それぞれ、オープンロールで混練して、約2mmの均一な厚みのシートに分出し、6cm× 10cm 角に成型することで、シート状の成形体を得た。次いで、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレートのメチルエチルケトン溶液(10重量%)をアクリルゴム組成物およびフッ素ゴム組成物の両方に塗布したのち30分間風乾した。得られたシート状の各成形体を張り合わせ、縦6cm、横10cm、深さ0.4cmの金型に入れ、プレス圧50kg/cm2で加圧しながら、170℃で20分間架橋接着させ、さらに二次架橋(架橋条件:170℃、4時間)行うことにより、ゴム積層体を作製した。なお、この際において、上述した剥離試験を行うために、剥離試験時にエアーチャックでつかむ部分に予めセロファン紙を挟むことで、両シートが接着していない部分を形成しておいた。
バンバリーミキサーを用いて、活性塩素基含有アクリルゴム(商品名「Nipol AR72LS」、日本ゼオン社製)100部に、ステアリン酸2部、FEFカーボンブラック(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、充填剤)60部、老化防止剤(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学工業社製)2部を50℃で5分間混練した。次いで、得られた混練物を50℃ のオープンロールに移して、硫黄(架橋剤)0.3部、ステアリン酸ナトリウム( 商品名「NSソープ」、KAO社製、架橋剤促進剤)3部、ステアリン酸カリウム( 商品名「ノンサールSK−1」、日油社製、架橋剤促進剤)0.5部を添加して、混練することによりアクリルゴム組成物を得た。
得られたアクリルゴム組成物からアクリルゴム架橋物を得て、常態物性の測定及び耐熱老化性の測定を行った。
このアクリルゴム組成物を用いたこと以外は、比較例3と同様にゴム積層体の製造をお行い、得られたゴム積層体について剥離試験を行った。
Claims (3)
- フェノール性水酸基を架橋点として有するアクリルゴム(a1)を含有するアクリルゴム組成物からなるアクリルゴム層(A)と、
フッ素ゴム(b1)及びポリオール架橋剤(b2)を含有するフッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層(B)と
を架橋接着してなるゴム積層体。 - 前記アクリルゴム組成物は、フッ素ゴム(a2)をさらに含有する請求項1記載のゴム積層体。
- 請求項1または2に記載のゴム積層体を用いてなるホース。
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