JP2014028602A - ワイパーブレードゴム - Google Patents

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利昭 増井
Tomihiko Yanagiguchi
富彦 柳口
Tsuyoshi Inaba
剛志 稲葉
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Abstract

【課題】優れた低摩擦性及び払拭性を有するワイパーブレードゴムを提供する。
【解決手段】被払拭面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、リップ部が、ゴム部(A)と、ゴム部(A)上に設けられたフッ素樹脂層(B)とを含み、フッ素樹脂層(B)はリップ部の表面に設けられており、ゴム部(A)は、加硫用ゴム組成物から形成されるものであり、フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成され、厚みが50μm以下である層であり、フッ素ポリマー組成物は、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有し、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されたものであることを特徴とするワイパーブレードゴム。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両等に使用するワイパーのブレードゴムに関するものである。
ワイパーは、雨、泥などによりフロントウィンドウ、リアウィンドウ等の視界を確保できるように、雨や汚れを払拭するためのものであり、ワイパーブレードゴムは、自動車、電車、航空機、船舶などの乗物のワイパーブレードに使用されている。
ワイパーブレードゴムには、天然ゴム、合成ゴム等がその柔軟性や払拭性能から用いられていたが、従来のワイパーブレードゴムでは、払拭時にガラスとゴムとの摺動抵抗が大きいという問題があり、ゴム表面の低摩擦化が試みられている。
例えば、特許文献1には、少なくともガラス面を払拭する部分が、シリコーンゴムとの接着性がJIS K 5400の碁盤目テープ法に準拠した方法で評価した場合、評価点数が少なくとも6点以上となるようにする樹脂成分を配合したフッ素樹脂の皮膜で被覆され、加硫後の硬度がJIS K 6253のAタイプ・デュロメーターによる硬度で50〜90°であるシリコーンゴムからなることを特徴とするワイパーブレードが記載されている。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(TFE/HFP)あるいはテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体等のテトラフルオロエチレン重合体が好適であることが記載されている。
特開平10−138879号公報
本発明は、優れた低摩擦性及び払拭性を有するワイパーブレードゴムを提供することを目的とする。
本発明者等が、払拭時のガラスとの低摩擦性に優れ、かつ払拭性に優れるワイパーブレードゴムについて鋭意検討したところ、ワイパーブレードゴムのリップ部にクロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマーを含む特定厚みのフッ素樹脂層を設けることにより、払拭時のガラスとの低摩擦性に優れ、かつ払拭性に優れるワイパーブレードとすることができることを見出した。
しかしながら、リップ部を構成するゴムと、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマーとは容易に接着させることができない。この問題を解決するため鋭意検討したところ、リップ部を構成するゴム部を形成するための加硫用ゴム組成物を特定の構成にし、リップ部にフッ素樹脂層を加硫接着させることによって、ゴム部とフッ素樹脂層とを強固に接着させることができることを見出し、上記のゴムとフッ素樹脂層との接着との問題をも解決することによって、本発明は完成したものである。
すなわち、本発明は、被払拭面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、少なくともリップ部が、ゴム部(A)と、ゴム部(A)上に設けられたフッ素樹脂層(B)とを含み、フッ素樹脂層(B)はリップ部の表面に設けられており、ゴム部(A)は、加硫用ゴム組成物から形成されるものであり、加硫用ゴム組成物は、未加硫ゴム(a1)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、酸化マグネシウム(a3)、並びに、シリカ(a4)を含有し、未加硫ゴム(a1)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物であり、化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して1.0質量部を超え、5.0質量部以下であり、フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成され、厚みが50μm以下である層であり、フッ素ポリマー組成物は、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有し、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されたものであることを特徴とするワイパーブレードゴムである。
フッ素ポリマー組成物は、フッ素ポリマー組成物の全質量に対して、フッ素ポリマー(b1)が90質量%以上であることが好ましい。
加硫用ゴム組成物は、更に、硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の加硫剤(a5)を含有することが好ましい。
加硫用ゴム組成物は、更に、カルバミン酸金属塩及びチアゾール系金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩(a6)を含有することが好ましい。
化合物(a2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
フッ素ポリマー(b1)は、クロロトリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体であることが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムは、上記構成を有することから、優れた低摩擦性及び払拭性を有する。
本発明のワイパーブレードゴムの一例を示す断面模式図である。
本発明のワイパーブレードゴムは、被払拭面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、少なくともリップ部が、ゴム部(A)と、ゴム部(A)上に設けられたフッ素樹脂層(B)とを含み、フッ素樹脂層(B)はリップ部の表面に設けられており、ゴム部(A)は、加硫用ゴム組成物から形成されるものであり、加硫用ゴム組成物は、未加硫ゴム(a1)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、酸化マグネシウム(a3)、並びに、シリカ(a4)を含有し、未加硫ゴム(a1)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物であり、化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して1.0質量部を超え、5.0質量部以下であり、フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成され、厚みが50μm以下である層であり、フッ素ポリマー組成物は、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有し、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されたものである。
本発明のワイパーブレードゴムは、上記構成を有することによって、フッ素ポリマー(b1)に起因する優れた低摩擦性を備えるとともに、ゴム本来の柔軟性も損なわれないため、優れた払拭性を発揮することができる。
また、使用されるフッ素ポリマー(b1)の特性に起因して、優れた耐摩耗性を有するため、砂、塵、泥等に含まれる硬質粉によって生じる欠損等を抑制することができる。欠損等を抑制することができるため、長期的に優れた払拭性を維持することができる。
更に、使用されるフッ素ポリマー(b1)の特性に起因して、優れた非粘着性を有し、払拭されるガラス面と長期間接触していた場合にも、ガラス面に貼りつくことを抑制することができる。
また、本発明のワイパーブレードゴムは、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されたものであるので、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが強固に接着したものであり、耐久性にも優れている。
通常、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)とゴムとは容易に接着しない。本発明のワイパーブレードゴムは、ゴム部(A)を形成するための加硫用ゴム組成物を上記特定の構成にして、未加硫のゴム部(a)とフッ素樹脂層(B)とを加硫接着させることによって、加硫後のゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが強固に接着したワイパーブレードゴムを得ることができる。
以下に、本発明のワイパーブレードゴムを構成する各要素について説明する。
本発明のワイパーブレードゴムは、被払拭面を払拭するリップ部を有する。リップ部は、窓ガラスの表面を払拭するために被払拭面と接触する部分である。
被払拭面としては、自動車、電車、航空機、船舶などの乗物や、各種工作機械用のワイパーブレードが使用されるガラスやミラー等の表面が挙げられる。
本発明のワイパーブレードゴムの形状は、一般的な形状でよく、用いられる用途に応じて適宜決定すればよい。
通常、ワイパーブレードゴムは、ヘッド部とリップ部とを有し、ヘッド部とリップ部とがブリッジ部で連結された形状を有する。
図1は、本発明のワイパーブレードゴムの一例を示す断面模式図である。ワイパーブレードゴム10は、ヘッド部11とリップ部13を有しており、ヘッド部11とリップ部13とはブリッジ部12を介して連結されている。
リップ部13は、加硫用ゴム組成物から形成されるゴム部15とゴム部15上に設けられたフッ素樹脂層16とを含むものである。リップ部13は、ヘッド部11側から払拭されるガラス17と接触するワイパーエッジ14に向かって幅が狭くなった形状を有している。
リップ部13において、ガラス面と接触するワイパーエッジ14の表面にフッ素樹脂層16が設けられていると、ワイパーエッジ14の表面が低摩擦性であるため、払拭されるガラス17の表面との摩擦が低くなる。また、ワイパーブレードゴム10は全体としてゴム本来の柔軟性が損なわれることもなく、払拭されるガラス17の表面に密着するため、優れた払拭性能が発揮される。
なお、上記ヘッド部11及びブリッジ部12は、通常、リップ部13を構成するゴム部と同様に加硫用ゴム組成物から形成される。
リップ部は、ゴム部(A)と、ゴム部(A)上に積層されたフッ素樹脂層(B)とを含む。本発明のワイパーブレードゴムは、払拭される被払拭面に接触するリップ部のエッジ(ワイパーエッジ)の表面にフッ素樹脂層(B)が設けられていれば本発明の効果は充分に奏される。例えば、リップ部の表面全体がフッ素樹脂層(B)に覆われていてもよいし、ワイパーエッジのみにフッ素樹脂層(B)が設けられていてもよい。また、本発明のワイパーブレードゴムは、リップ部のみではなく、ワイパーブレードゴムの表面全体がフッ素樹脂層(B)に覆われていてもよい。
(A)ゴム部
ゴム部(A)は、加硫用ゴム組成物から形成されるものである。
加硫用ゴム組成物は、必須成分として未加硫ゴム(a1)、化合物(a2)、酸化マグネシウム(a3)、並びに、シリカ(a4)を含み、更に、任意成分として加硫剤(a5)及び金属塩(a6)の少なくともいずれかを含んでもよい。特に、加硫用ゴム組成物が加硫剤(a5)及び金属塩(a6)を含むものであると、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とをより大きな接着強度で接着できる。
未加硫ゴム(a1)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はその水素化物(HNBR)である。未加硫ゴム(a1)が、NBR又はHNBRであることによって、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが強固に接着する。そのため、本発明のワイパーブレードゴムは、優れた低摩擦性及び払拭性を有するとともに、優れた耐久性をも備える。また、耐熱性、耐油性、耐候性、押出成形性が優れる。
加硫用ゴム組成物は、ゴム部(A)に未加硫ゴム(a1)とは別の特性を付与するために、樹脂を含有してもよい。樹脂としては、例えばPVC、塩素化ポリスチレン、クロロスルホン化ポリスチレンエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。例えば、加硫用ゴム組成物がNBRとPVCとを含有する場合、耐オゾン性を向上させることができる。この場合、PVCの配合量は、NBR100質量部に対し10〜70質量部が好ましい。
化合物(a2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩(DBU塩)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩(DBN塩)、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5(DBN)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。化合物(a2)を含むことによって、加硫用ゴム組成物の加硫特性を改善できる。
DBU塩及びDBN塩としては、DBU又はDBNの炭酸塩、長鎖脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、オルトフタル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フェノール塩、フェノール樹脂塩、ナフトエ酸塩、オクチル酸塩、オレイン酸塩、ギ酸塩、フェノールノボラック樹脂塩などがあげられ、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)、ナフトエ酸塩、オルトフタル酸塩、フェノール塩、及び、ギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
より具体的には、化合物(a2)は、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
化合物(a2)としては、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。更に好ましくは、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド(DBU−B)、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。化合物(a2)としてDBUのナフトエ酸塩を単独で使用する場合、優れた接着性を得るためには化合物(a2)を比較的多量に必要とする場合がある。しかしながら、DBU−B、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩を用いる場合には配合量をより少なくすることができる。
化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して1.0質量部を超え、5.0質量部以下である。化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、1.5質量部以上であることが好ましい。化合物(a2)が少なすぎると接着力が充分でないおそれがある。また、化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、3.1質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましく、2.0質量部以下であることが更に好ましい。
加硫剤(a5)は、加硫用ゴム組成物の加硫系に合わせて、従来公知のものが使用できる。未加硫ゴム(a1)を加硫することにより、得られるゴム部(A)の硬度が向上し、良好な弾性も獲得できる。
本発明で用いられ得る未加硫ゴム(a1)の加硫系としては、硫黄加硫系、ポリアミン加硫系、ポリオール加硫系、パーオキサイド加硫系、イミダゾール加硫系、トリアジン加硫系、オキサゾール加硫系、チアゾール加硫系のいずれも採用できるが、未加硫ゴム(a1)に加硫性基(キュアサイト)が含まれる場合はキュアサイトの種類によって、又はワイパーブレードゴムに付与する特性や用途により適宜選択すればよい。
加硫剤(a5)としては、加硫系に合わせて硫黄加硫系加硫剤、ポリアミン加硫系加硫剤、ポリオール加硫系加硫剤、パーオキサイド加硫系加硫剤、イミダゾール加硫系加硫剤、トリアジン加硫系加硫剤、オキサゾール加硫系加硫剤、チアゾール加硫系加硫剤のいずれも採用でき、単独で使用又は併用してもよい。
NBR又はHNBRの場合は硫黄加硫系及びパーオキサイド加硫系が通常採用されるので、加硫剤(a5)は、硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
硫黄加硫系加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、ポリスルフィド化合物などが例示できる。
硫黄加硫系加硫剤の配合量は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、1.0〜10.0質量部が好ましい。少なすぎると接着性が不充分となり、多すぎると硬くなりすぎる傾向にある。
パーオキサイド加硫系加硫剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生する有機過酸化物が好ましいものとしてあげられる。
有機過酸化物としては、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどを例示することができる。そのなかでも好ましいものはジアルキル化合物である。一般に活性−O=O−の量、分解温度などから種類ならびに配合量が選ばれる。配合量は通常、未加硫ゴム100質量部に対して0.1〜15.0質量部、好ましくは0.3〜5.0質量部である。
加硫剤(a5)としては、硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、硫黄加硫系加硫剤がより好ましく、その添加量は未加硫ゴム(a1)100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることが好ましく、特に好ましくは1.0〜3.0質量部である。
金属塩(a6)は、カルバミン酸金属塩及びチアゾール系金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記カルバミン酸金属塩としては、例えば、ジメチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEDC)、ジブチルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnBDC)、ジメチルジチオカルバメートの鉄塩(FeMDC)、エチルフェニルジチオカルバメートの亜鉛塩(ZnEPDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバメートの亜鉛塩、ジベンジルジチオカルバメートの亜鉛塩、ジメチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaMDC)、ジエチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaEDC)、ジブチルジチオカルバメートのナトリウム塩(NaBDC)、ジメチルジチオカルバメートの銅塩(CuMDC)、ジエチルジチオカルバメートのテルリウム塩(TeEDC)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用して用いられる。これらのなかでも、接着性、ゴム物性の点で、ZnMDC、ZnEDC、又は、ZnBDCが好適に用いられる。
上記チアゾール系金属塩としては、メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(ZnMBT)が好適に用いられる。
金属塩(a6)の配合量は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して0.01〜3.0質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましく、特に好ましくは0.05〜0.3質量部である。金属塩(a6)の配合量が少なすぎると加硫ゴム物性が悪くなる傾向がみられ、多すぎると未加硫物性が悪くなる傾向がみられる。
加硫用ゴム組成物は、酸化マグネシウム(a3)を含む。酸化マグネシウム(a3)の配合量は、接着性、ゴム物性の点から、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して3〜20質量部が好ましく、特に好ましくは5〜15質量部である。本発明の特定の構造を有するワイパーブレードゴムは、酸化マグネシウム(a3)を必須とすることによって優れた接着性を有するものとなる。
加硫用ゴム組成物は、シリカ(a4)を含む。シリカ(a4)としては、塩基性シリカ、酸性シリカを用いることができ、接着性の観点から、塩基性シリカを用いる方が好ましい。塩基性シリカとしては、カープレックス1120(DSLジャパン(株)製)が挙げられる。また、接着性、ゴム物性の観点から、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して10〜40質量部が好ましく、特に好ましくは15〜25質量部である。本発明の特定の構造を有するワイパーブレードゴムは、シリカ(a4)を必須とすることによって優れた接着性を有するものとなる。
加硫用ゴム組成物は、加硫特性を阻害したりゴムの物性を損なったりするため、アミン化合物を、含有しないことが好ましい。
また本発明においては、目的又は必要に応じて、一般の加硫用ゴム組成物に配合する通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、着色剤、安定剤、接着助剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、粘着付与剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤、紫外線吸収剤、耐油性向上剤、発泡剤、スコーチ防止剤、滑剤、エポキシ樹脂などの各種添加剤を配合することができる。また、前記のものとは異なる常用の加硫剤や加硫促進剤を1種又は2種以上配合してもよい。ただし、これらの添加剤は、本発明の目的であるフッ素樹脂層(B)との接着力を損なわない範囲の量で配合する。
充填剤としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、カーボンブラック、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、亜鉛華、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤などがあげられる。
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの高級脂肪族アミン;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、(ハロゲン化)ジアルキルスルフォン、界面活性剤などがあげられる。
可塑剤としては、例えばフタル酸誘導体やセバシン酸誘導体、軟化剤としては、例えば潤滑油、プロセスオイル、コールタール、ヒマシ油、ステアリン酸カルシウム、老化防止剤としては、例えばフェニレンジアミン類、フォスフェート類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類、ジチオカルバメート金属塩などがあげられる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂などがあげられる。これらのうちビスフェノールA型エポキシ樹脂が耐薬品性、接着性が良好な点から好ましく、さらに式(1):
Figure 2014028602
で表わされるエポキシ樹脂が特に好ましくあげられる。ここで、式(1)において、nは平均値であり、0.1〜3が好ましく、0.1〜0.5がより好ましく、0.1〜0.3がさらに好ましい。nが0.1未満であると、フッ素樹脂層(B)との接着力が低下する傾向がある。一方、nが3をこえると、エポキシ樹脂自体の粘度が高くなり、加硫用ゴム組成物中での均一な分散が困難になる傾向がある。
エポキシ樹脂を配合する場合の含有量は、フッ素樹脂層(B)との接着力をより向上させる点から、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上が特に好ましい。ゴム層が硬くなりすぎないようにする点から、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して、25質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
加硫用ゴム組成物は、未加硫ゴム(a1)、化合物(a2)、酸化マグネシウム(a3)、及び、シリカ(a4)、さらに要すれば加硫剤(a5)、金属塩(a6)並びにその他の添加剤を混練することにより調製される。
混練は、例えば100℃以下の温度でオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダーなどを用いて行うことができる。
加硫用ゴム組成物は、最適加硫時間(T90)が18分以下であることが好ましい。より好ましくは15分以下であり、更に好ましくは13分以下であり、特に好ましくは、11分以下である。T90の下限は特に限定されないが、例えば、1分以上である。上記加硫用ゴム組成物は、上記構成であることによって、加硫時間を短くし、生産性を向上させることができる。T90は、160℃にて最大トルク値(M)と最小トルク値(M)を測定することにより得られる値であり、{(M)−(M)}×0.9+Mで求める値である。M及びMは、JIS K 6300−2に準じて測定した値である。
つぎに、本発明の積層体におけるフッ素樹脂層(B)について説明する。
(B)フッ素樹脂層
フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成される層である。フッ素樹脂層(B)は、少なくとも払拭される被払拭面に接触するリップ部の表面に設けられていればよい。
フッ素樹脂層(B)は、厚みが50μm以下である層である。厚みが50μm以下であることによって、本発明のワイパーブレードゴムは、優れた低摩擦性及び払拭性を有する。
フッ素樹脂層(B)の厚みは、対候性、耐久性の観点から、10μm以上であることが好ましい。
フッ素ポリマー組成物は、少なくともクロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有する。
フッ素ポリマー組成物は、フッ素ポリマー組成物の全質量に対して、フッ素ポリマー(b1)が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることが更に好ましい。
フッ素ポリマー組成物のフッ素ポリマー(b1)の含有量を上記範囲のように多くすることによって、フッ素樹脂層(B)中のフッ素ポリマー(b1)の含有量を多くすることができる。そのため、より優れた低摩擦性及び払拭性を有するワイパーブレードゴムが得られる。
例えば、ゴムとフッ素樹脂の皮膜とを接着させるために、フッ素樹脂の皮膜に樹脂成分が配合されていると、低摩擦性に優れるフッ素ポリマー(b1)の含有量が少なくなるため、低摩擦性、払拭性が充分でなくなるおそれがある。
本発明のワイパーブレードゴムは、ゴム部(A)を形成するための加硫用ゴム組成物が上述の特定の構成を有するものであるため、フッ素樹脂層(B)におけるフッ素ポリマー(b1)の割合が多い場合であっても、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが強固に接着する。
フッ素ポリマー(b1)としては、フッ素樹脂であることが好ましく、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)及びCTFE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
CTFE共重合体としては、CTFEに由来する共重合単位(CTFE単位)と、テトラフルオロエチレン(TFE)、へキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、へキサフルオロイソブテン、式:
CH=CX(CF
(式中、XはH又はF、XはH、F又はCl、nは1〜10の整数である)
で示される単量体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、及び、塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことが好ましい。
CTFE共重合体としては、CTFE単位と、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の単量体に由来する共重合単位と、を含むことがより好ましく、実質的にこれらの共重合単位のみからなることが更に好ましい。パーハロポリマーはゴムとの接着が通常困難であるが、本発明の構成によれば、フッ素樹脂層(B)がパーハロポリマーからなる層であっても、フッ素樹脂層(B)とゴム部(A)との層間の接着は強固である。
CTFE共重合体は、全単量体単位の10〜90モル%のCTFE単位を有することが好ましい。
CTFE共重合体としては、CTFE単位、TFE単位及びこれらと共重合可能な単量体(α)に由来する単量体(α)単位を含むものが特に好ましい。
前記「CTFE単位」及び「TFE単位」は、CTFE共重合体の分子構造上、それぞれ、CTFEに由来する部分(−CFCl−CF−)、TFEに由来する部分(−CF−CF−)であり、前記「単量体(α)単位」は、同様に、CTFE系共重合体の分子構造上、単量体(α)が付加してなる部分である。
単量体(α)としては、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、エチレン(Et)、ビニリデンフルオライド(VdF)、CF=CF−ORf(式中、Rfは、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、CX=CX(CF(式中、X、X及びXは同一もしくは異なって、水素原子又はフッ素原子;Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子;nは、1〜10の整数)で表されるビニル単量体、CF=CF−OCH−Rf(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体などがあげられ、なかでも、PAVE、上記ビニル単量体、及び、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、PAVE及びHFPからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体としては、Rfが炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であるものが好ましく、CF=CF−OCH−CFCFがより好ましい。
CTFE共重合体における、CTFE単位とTFE単位との比率は、CTFE単位が15〜90モル%に対し、TFE単位が85〜10モル%であり、より好ましくは、CTFE単位が20〜90モル%であり、TFE単位が80〜10モル%である。
また、CTFE単位15〜25モル%と、TFE単位85〜75モル%とから構成されるものも好ましい。
CTFE共重合体は、CTFE単位とTFE単位との合計が90〜99.9モル%であり、単量体(α)単位が0.1〜10モル%であるものが好ましい。単量体(α)単位が0.1モル%未満であると、成形性、及び、耐環境応力割れ性に劣りやすく、10モル%を超えると、耐熱性、機械特性に劣る傾向にある。
フッ素ポリマー(b1)は、PCTFE又はCTFE−TFE−PAVE共重合体であることが更に好ましく、CTFE−TFE−PAVE共重合体が特に好ましい。上記CTFE−TFE−PAVE共重合体とは、実質的にCTFE、TFE及びPAVEのみからなる共重合体である。PCTFE及びCTFE−TFE−PAVE共重合体は、主鎖を構成する炭素原子に直接結合した水素原子が存在せず、脱フッ化水素化反応が進行しない。従って、脱フッ化水素化反応によってフッ素ポリマー中に形成される不飽和結合を利用した従来の接着性改善方法は適用できない。本発明は、ゴム部(A)が限定された組成を有する加硫用フッ素ゴム組成物から形成される層であるため、フッ素樹脂層(B)がCTFE−TFE−PAVE共重合体であっても、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)との接着は強固である。
前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)などがあげられ、なかでもPMVE、PEVE及びPPVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
PAVE単位は、全単量体単位の0.5モル%以上であることが好ましく、5モル%以下であることが好ましい。
CTFE単位などの構成単位は、19F−NMR分析を行うことにより得られる値である。
フッ素ポリマー(b1)は、ポリマーの主鎖末端及び/又は側鎖に、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基、及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の反応性官能基を導入したものであってもよい。
本明細書において、「カルボニル基」は、炭素−酸素二重結合から構成される炭素2価の基であり、−C(=O)−で表されるものに代表される。前記カルボニル基を含む反応性官能基としては特に限定されず、例えばカーボネート基、カルボン酸ハライド基(ハロゲノホルミル基)、ホルミル基、カルボキシル基、エステル結合(−C(=O)O−)、酸無水物結合(−C(=O)O−C(=O)−)、イソシアネート基、アミド基、イミド基(−C(=O)−NH−C(=O)−)、ウレタン結合(−NH−C(=O)O−)、カルバモイル基(NH−C(=O)−)、カルバモイルオキシ基(NH−C(=O)O−)、ウレイド基(NH−C(=O)−NH−)、オキサモイル基(NH−C(=O)−C(=O)−)など、化学構造上の一部としてカルボニル基を含むものがあげられる。
アミド基、イミド基、ウレタン結合、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ウレイド基、オキサモイル基などにおいては、その窒素原子に結合する水素原子は、例えばアルキル基などの炭化水素基で置換されていてもよい。
前記反応性官能基は、導入が容易である点、フッ素ポリマー(b1)が適度な耐熱性と比較的低温での良好な接着性とを有する点から、アミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましく、さらにはアミド基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、カーボネート基、カルボン酸ハライド基、酸無水物結合が好ましい。
なかでも、国際公開第99/45044号パンフレットに記載のカーボネート基及び/又はカルボン酸ハライド基を有するものが特に好ましい。
フッ素ポリマー(b1)は、ポリマーの主鎖末端又は側鎖のいずれかに反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよいし、主鎖末端及び側鎖の両方に反応性官能基を有する重合体からなるものであってもよい。主鎖末端に反応性官能基を有する場合、主鎖の両方の末端に有していてもよいし、いずれか一方の末端にのみ有していてもよい。前記反応性官能基は、エーテル結合も有する場合、該反応性官能基をさらに主鎖中に有するものであってもよい。
フッ素ポリマー(b1)は、主鎖末端に反応性官能基を有する重合体からなるものが、機械特性、耐薬品性を著しく低下させない理由で、又は、生産性、コスト面で有利である理由で好ましい。
前記反応性官能基の数は、ゴム部の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力と隣接するフッ素樹脂層との接着方法などの違いにより適宜選択すればよい。
主鎖末端及び/又は側鎖末端にある反応性官能基の数としては、主鎖炭素数1×10個あたり3〜800個であることが好ましい。主鎖炭素数1×10個あたり3個未満であると、接着性が低下することがある。より好ましい下限は15個、さらに好ましい下限は30個、特に好ましい下限は120個である。末端の反応性官能基数の上限は、生産性の観点から例えば200個とすることが好ましい。
前記末端の反応性官能基の数は、フッ素ポリマー(b1)の粉末をその融点より50℃高い成形温度、5MPaの成形圧力にて圧縮成形することにより得られる厚み0.25〜0.30mmのフィルムシートを、赤外分光光度計を用いて赤外吸収スペクトル分析し、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して反応性官能基の特性吸収の種類を決定し、各差スペクトルから次式により算出する個数である。
末端基の個数(前記炭素数1×10個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚(mm)
対象となる末端反応性官能基の補正係数を表1に示す。
Figure 2014028602
表1の補正係数は、主鎖炭素数1×10個あたりの末端基を計算するためにモデル化合物の赤外吸収スペクトルから決定された値である。
前記反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に導入する方法としては、反応性官能基含有の単量体(β)を共重合して導入する方法、反応性官能基を有する又は生ずる化合物を重合開始剤として用いる方法、反応性官能基を有する又は生ずる化合物を連鎖移動剤として用いる方法、フッ素ポリマーに高分子反応で反応性官能基を導入する方法、これらの方法を併用する方法などが例示できる。
共重合で反応性官能基を導入する場合の反応性官能基含有の単量体(β)としては、フッ素ポリマー(b1)を与える単量体と共重合可能な単量体で上記反応性官能基を有するものであれば、特に制限されない。具体的には、例えばつぎのものが例示できる。
前記単量体(β)の第1としては、国際公開第2005/100420号パンフレットに記載の脂肪族不飽和カルボン酸類があげられる。不飽和カルボン酸類は、重合性の炭素−炭素不飽和結合を1分子中に少なくとも1個有し、かつ、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を1分子中に少なくとも1個有するものが好ましい。
前記脂肪族不飽和カルボン酸としては、脂肪族不飽和モノカルボン酸であってもよいし、カルボキシル基を2個以上有する脂肪族不飽和ポリカルボン酸であってもよい。脂肪族不飽和モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの炭素数3〜6の不飽和脂肪族モノカルボン酸類があげられる。
前記脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アコニット酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物又はシトラコン酸無水物などの炭素数3〜6の不飽和脂肪族ポリカルボン酸類があげられる。
前記単量体(β)の第2としては、式:
CX =CY−(Rf−Z
(式中、Zは、前記反応性官能基;X及びYは、同一又は異なって、水素原子もしくはフッ素原子;Rfは、炭素数1〜40のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素アルキレン基又はエーテル結合を有する炭素数2〜40の含フッ素オキシアルキレン基;nは、0又は1)で表される不飽和化合物があげられる。
共重合により導入される官能基含有単量体(β)単位の含有率は、0.05モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましい。多すぎると、加熱溶融時にゲル化や加硫反応が発生しやすいため、官能基含有単量体(β)の上限としては5モル%が好ましく、3モル%がさらに好ましい。
フッ素ポリマー(b1)は、ポリマーの主鎖末端又は側鎖末端にヘテロ環基又はアミノ基を有するものであってもよい。
ヘテロ環基とは、そのヘテロ環部位の環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであり、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよい。ヘテロ環基の中では、オキサゾリル基が好ましい。
アミノ基とは、アンモニア、第一級又は第二級アミンから水素を除去した1価の官能基である。具体的には、例えば、式:
−NR
及びRは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数1〜20の1価の有機基である。アミノ基の具体例としては、−NH、―NH(CH)、−N(CH、―NH(CHCH)、―N(C、―NH(C)などがあげられる。
フッ素ポリマー(b1)は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、従来公知の重合方法により得ることができる。前記重合において、温度、圧力などの各条件、重合開始剤やその他の添加剤は、フッ素ポリマー(b1)の組成や量に応じて適宜設定することができる。
フッ素ポリマー(b1)の融点は特に限定されないが、160〜270℃であることが好ましい。
フッ素ポリマー(b1)の融点は、DSC装置(セイコー社製)を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求める。MFRは、メルトインデクサー(東洋精機製作所(株)製)を用い、各温度、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)に流出するポリマーの重量(g)を測定する。
またフッ素ポリマー(b1)の分子量は、得られる成形体が良好な機械特性などを発現できるような範囲であることが好ましい。例えば、メルトフローレート(MFR)を分子量の指標とする場合、フッ素ポリマー一般の成形温度範囲である約230〜350℃の範囲の任意の温度(例えば、297℃)におけるMFRは、0.5〜100g/10分であることが好ましい。
本発明においてフッ素樹脂層(B)は、これらのフッ素ポリマー(b1)を1種含有するものであってもよいし、2種以上含有するものであってもよい。
本発明において、フッ素ポリマー(b1)が特定の反応性官能基を末端に有するものであると、ゴム部(A)との接着性が向上する。したがって、耐衝撃性や強度に優れた成形品を提供できる。
なお、フッ素ポリマー(b1)がパーハロポリマーである場合、耐薬品性がより優れたものとなる。パーハロポリマーとは、重合体の主鎖を構成する炭素原子の全部にハロゲン原子が結合している重合体である。
本発明のワイパーブレードゴムは、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されたものである。加硫接着は、未加硫のゴム部(a)上にフッ素樹脂層(B)を設け、未加硫のゴム部(a)を加硫処理することによって、未加硫のゴム部(a)を加硫させると共に、加硫して得られるゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とを接着させるものである。
下記に本発明のワイパーブレードゴムの製造方法について説明する。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とを加硫接着させる方法としては、例えば、
加硫用ゴム組成物とフッ素ポリマー組成物とを別々に成形し、未加硫のゴム部(a)とフッ素樹脂フィルムを別々に得た後、未加硫のゴム部(a)とフッ素樹脂フィルムを重ね合わせ、その後、圧着などの手段で加硫処理する方法、
加硫用ゴム組成物とフッ素ポリマー組成物とを重ね合わせて同時に成形することにより、未加硫のゴム部(a)上にフッ素樹脂層(B)を設け、その後、加硫処理する方法、
加硫用ゴム組成物を成形して未加硫のゴム部(a)を形成し、未加硫のゴム部(a)の表面にフッ素ポリマー組成物を塗布してフッ素樹脂層(B)を形成し、その後、加硫処理する方法
等が挙げられる。
加硫用ゴム組成物とフッ素ポリマー組成物とを別々に成形する方法では、フッ素ポリマー組成物と加硫用ゴム組成物とにおいて、それぞれ別の成形方法を採用することができる。
加硫用ゴム組成物とフッ素ポリマー組成物とを別々に成形する場合、未加硫のゴム部(a)は、加硫用ゴム組成物を加熱圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法などにより、ワイパーブレードゴムの形状に成形して得ることができる。
フッ素樹脂層(B)は、加熱圧縮成形、溶融押出成形、射出成形、塗装(粉体塗装を含む)などの方法により成形できる。成形には通常用いられるフッ素ポリマーの成形機、例えば射出成形機、ブロー成形機、押出成形機、各種塗装装置などが使用でき、シート状、フィルム状などの各種形状に成形することが可能である。これらのうち、生産性が優れている点から、溶融押出成形法が好ましい。
加硫用ゴム組成物とフッ素ポリマー組成物とを重ね合わせて同時に成形することにより、未加硫のゴム部(a)上にフッ素樹脂層(B)を設け、その後、加硫処理する方法としては、加硫用ゴム組成物及びフッ素ポリマー組成物を重ね合わせ、多層圧縮成形法、多層トランスファー成形法、多層押出成形法、多層射出成形法、ダブリング法などの方法によって、成形と同時に又は成形と連続して加硫処理する方法があげられる。
この方法では、未加硫のゴム部(a)とフッ素樹脂層(B)とを成形し、連続して加硫処理を行うことができるため、未加硫のゴム部(a)とフッ素樹脂層(B)とを密着させる工程が特に必要ではなく、また、加硫処理において強固な接着を得られるため好適である。
加硫処理は、従来公知の加硫用ゴム組成物の加硫方法と条件が採用できる。例えば、未加硫のワイパーブレードゴムを長時間加硫する方法、未加硫のワイパーブレードゴムを比較的単時間で前処理としての熱処理をし(加硫も生じている)、ついで長時間かけて加硫を行う方法がある。
未加硫のワイパーブレードゴムを比較的単時間で前処理としての熱処理をし、ついで長時間かけて加硫を行う方法は、前処理でゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)との密着性が容易に得られ、また、前処理で既にゴム部(A)が加硫しており形状が安定化しているので、その後の加硫処理におけるワイパーブレードゴムの保持方法をさまざまに選択することができる点で好適である。
加硫処理の条件は特に制限されるものではなく、通常の条件で行うことができるが、130〜260℃で、10分〜80時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。より好ましくは、160〜230℃で、20〜80時間かけて行う。
前処理の加熱条件も特に制限されないが、100〜170℃で、30秒〜1時間、スチーム、プレス、オーブン、エアーバス、赤外線、マイクロウェーブ、被鉛加硫などを用いて処理を行うことが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムは、未加硫ゴム(a1)、化合物(a2)、酸化マグネシウム(a3)、及び、シリカ(a4)、並びに、必要に応じて、加硫剤(a5)、金属塩(a6)等を混練して加硫用ゴム組成物を得る工程、
クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有するフッ素ポリマー組成物を得る工程、
加硫用ゴム組成物とフッ素ポリマー組成物を重ね合わせる工程、
重ね合わせられた加硫用ゴム組成物とフッ素ポリマー組成物とを成形して、未加硫のゴム部(a)と、未加硫のゴム部(a)上に設けられたフッ素樹脂層(B)を含むリップ部を有するワイパーブレードゴムの形状に成形して、未加硫のワイパーブレードゴムを得る工程、
未加硫のワイパーブレードゴムを加硫処理して、ゴム部(A)と、ゴム部(A)上に設けられたフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されたリップ部を有するワイパーブレードゴムを得る工程、
を含む製造方法により製造することができる。
上記製造方法により得られるワイパーブレードゴムは、ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)が加硫接着しており、強固な接着力が生じている。
上記製造方法は、加硫処理する前に、未加硫のワイパーブレードゴムに前処理の加熱を行う工程を含んでもよい。
上記製造方法において、混錬方法、加硫処理の条件、成形方法としては、上述した方法及び条件を採用することができる。
本発明のワイパーブレードゴムを得るためのより具体的な方法としては、下記方法が挙げられるが、下記方法に限られるものではない。
まず、未加硫ゴム(a1)、化合物(a2)、酸化マグネシウム(a3)、及び、シリカ(a4)、並びに、必要に応じて、加硫剤(a5)、金属塩(a6)等を、8インチオープンロールを用いて混練することにより、シート状の加硫用ゴム組成物を得る。
また、フッ素ポリマー(b1)を押出成型機を用いて成形し、フッ素ポリマー(b1)から形成されたフッ素樹脂フィルムを得る。
その後、得られたシート状の加硫用ゴム組成物とフッ素樹脂フィルムとを重ね合わせ、成型金型内でワイパーブレードゴムの形状に成形し、加硫処理することにより、加硫用ゴム組成物から形成されたゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着された本発明のワイパーブレードゴムを得ることができる。
本発明のワイパーブレードゴムは、例えば、自動車、電車、航空機、船舶などの乗物や、各種工作機械用のワイパーブレードに使用することができる。ワイパーブレードゴムが配設される場所についても、特に限定されず、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、各種ミラー等に用いることができる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるもの
ではない。
本明細書における各種の特性については、つぎの方法で試験した。その結果を表2に示した。
〔ワイパー性能の試験〕
成形されたワイパーブレードコムを車両のワイパーブレードに取付けて、ワイパー性能の試験を行った。ワイパーは毎分55回往復するように作動させ、ガラス表面は、乾燥状態、霧吹き状態(部分的に乾燥した状態が存在する)、放水状態(全体に水を散布し続ける)の3状態で払拭性、スティックスリップ現象の有無を観察した。さらに、ワイパーを100時間連続運転させた後の、スティックスリップ現象の有無を観察した。
(払拭性の評価)
○:払拭時の拭残しが全く認められなかった
△:わずかに拭残しが認められる
×:拭残しが認められる
(スティックスリップ現象の評価)
○:スティックスリップが全く起こらなかった
△:スティックスリップが時たま起こった
×:スティックスリップが頻繁に起こった
(フッ素樹脂フィルムの接着性)
表2に示す材料を8インチオープンロールを用いて30℃で混練して得られた厚さ約3mmの加硫用ゴム組成物のシートと、フッ素樹脂(B)をφ50押出成形機(池貝製FX押出機)を用いて溶融押出成形することにより得られた厚み50μmのフッ素樹脂フィルムを重ね合わせ、片方の端部に幅約10〜15mmのフッ素樹脂フィルム(厚さ10μm、ダイキン工業(株)製 商品名 ポリフロンPTFE M731スカイブフィルム)を両シートの間に挟んだ後、得られるシートが厚み2mmになるよう金属製スペーサーを入れた金型に挿入し、160℃で45分間プレスすることにより、シート状の積層体を得た。得られた積層体を幅10mm×長さ40mm×3セットの短冊状に切断し、フッ素樹脂シートを剥がして掴みしろとした試験片を作製した。この試験片について、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、JIS−K−6256(架橋ゴムの接着試験方法)に記載の方法に準拠し、25℃において50mm/minの引張速度で剥離試験を行い、接着強度を測定し、得られたN=3のデータの平均値を算出し、接着強度とした。また、剥離モードを観測し、以下の基準で評価した。得られた結果を表2に示す。
○…積層体の界面で加硫用ゴム組成物あるいはフッ素樹脂が材料破壊し、界面で剥離するのが不可能であった。
×…積層体の界面で容易に剥離した。
〔メルトフローレート(MFR)〕
MFRは、ASTM D1238に準拠し、温度297℃、荷重5kgで測定して得られる値である。
ゴムとしては下記ゴムを使用した。
NBR(A)
ニポールDN101(日本ゼオン株式会社製)
フッ素ポリマーとしては下記フッ素樹脂を使用した。
フッ素樹脂(B)
CTFE/TFE/PPVE共重合体 21.3/76.3/2.4(モル%)
MFR:29.2g/10min(297℃測定)、融点:約246℃)
配合剤としては、以下を使用した。
ステアリン酸50S(新日本理化製)
酸化マグネシウム キョーワマグ#150(協和化学工業製)
DBU−B(和光純薬工業製)
SA−603 (サンアプロ製)
カーボンブラック シーストS(東海カーボン製)
シリカ カープレックス#1120(DSLジャパン製)
可塑剤 TP−95(中産業製)
硫黄微粉 (細井化学工業製)
チアゾール系加硫促進剤 ノクセラーMSA−G (大内新興化学工業製)
チアゾール系金属塩 ノクセラーMZ(大内新興化学工業製)
実施例1
加硫用ゴム組成物(A1)の調製
下記表2に示す材料を、8インチオープンロールを用いて30℃で混練することにより、約3mmの厚みのシート状の加硫用ゴム組成物(A1)(NBRコンパウンド)を得た。なお、表2の各数値は質量部を表す。
フッ素樹脂フィルム(B1)の調製
フッ素樹脂(B)をφ50押出成形機(池貝製FX押出機)を用いて溶融押出成形することにより、フッ素樹脂(B)からなる厚み50μmのフッ素樹脂フィルム(B1)を得た。
(ワイパーブレードゴムの製造)
シート状の加硫用ゴム組成物(A1)とフッ素樹脂フィルム(B1)とを重ね合わせ、成形金型内で、ヘッド部、ブリッジ部及びリップ部を有し、リップ部の表面にフッ素樹脂層が形成されるようにワイパーブレードの形状に成形し、160℃、45分間、40kg/cmの加圧下で加硫接着することにより、加硫用ゴム組成物(A1)からなるゴム部とゴム部上にフッ素樹脂層が設けられた図1で示される形状のワイパーブレードゴムを得た。
実施例2
表2に示す配合で、シート状の加硫用ゴム組成物(A2)を得た。その後は、加硫用ゴム組成物(A1)の代わりに加硫用ゴム組成物(A2)を用いた以外は実施例1と同様の方法でワイパーブレードゴムを得た。
比較例1
表2に示す配合で、シート状の加硫用ゴム組成物(A3)を得た。その後は、加硫用ゴム組成物(A1)の代わりに加硫用ゴム組成物(A3)を用いた以外は実施例1と同様の方法でワイパーブレードゴムを得た。
比較例2
フッ素樹脂フィルム(B2)の調製
フッ素樹脂(B)をφ50押出成形機(池貝製FX押出機)を用いて溶融押出成形することにより、フッ素樹脂(B)からなる厚み100μmのフッ素樹脂フィルム(B2)を得た。
フッ素樹脂フィルム(B1)の代わりにフッ素樹脂フィルム(B2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてワイパーブレードゴムを得た。
比較例3
フッ素樹脂フィルム(B2)を用いた以外は、実施例2と同様にしてワイパーブレードゴムを得た。
Figure 2014028602
実施例1及び2のワイパーブレードゴムは、フッ素樹脂フィルムとの接着性が強固であるのに対し、比較例1で得られたワイパーブレードゴムはフッ素樹脂との接着性が不充分であった。また、比較例1で得られたワイパーブレードゴムはフッ素樹脂との接着性が不充分であるため、払拭時、加硫用ゴム組成物が界面に露出することにより、払拭性能、スティックスリップ性等が充分でなかった。
本発明のワイパーブレードゴムは低摩擦性に優れ、かつ優れた払拭性を発揮するものであり、種々の乗物、工作機機械用のワイパーブレードとして利用可能である。
10:ワイパーブレードゴム
11:ヘッド部
12:ブリッジ部
13:リップ部
14:ワイパーエッジ
15:ゴム部
16:フッ素樹脂層
17:ガラス

Claims (6)

  1. 被払拭面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、
    少なくともリップ部が、ゴム部(A)と、ゴム部(A)上に設けられたフッ素樹脂層(B)とを含み、
    フッ素樹脂層(B)はリップ部の表面に設けられており、
    ゴム部(A)は、加硫用ゴム組成物から形成されるものであり、
    加硫用ゴム組成物は、未加硫ゴム(a1)、
    1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、及び、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)−ノネン−5からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(a2)、
    酸化マグネシウム(a3)、並びに、
    シリカ(a4)を含有し、
    未加硫ゴム(a1)は、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素化物であり、
    化合物(a2)は、未加硫ゴム(a1)100質量部に対して1.0質量部を超え、5.0質量部以下であり、
    フッ素樹脂層(B)は、フッ素ポリマー組成物から形成され、厚みが50μm以下である層であり、
    フッ素ポリマー組成物は、クロロトリフルオロエチレンに由来する共重合単位を有するフッ素ポリマー(b1)を含有し、
    ゴム部(A)とフッ素樹脂層(B)とが加硫接着されたものである
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
  2. フッ素ポリマー組成物は、フッ素ポリマー組成物の全質量に対して、フッ素ポリマー(b1)が90質量%以上である請求項1記載のワイパーブレードゴム。
  3. 加硫用ゴム組成物は、更に、
    硫黄加硫系加硫剤及びパーオキサイド加硫系加硫剤からなる群より選択される少なくとも1種の加硫剤(a5)を含有する請求項1又は2記載のワイパーブレードゴム。
  4. 加硫用ゴム組成物は、更に、
    カルバミン酸金属塩及びチアゾール系金属塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩(a6)を含有する請求項1、2又は3記載のワイパーブレードゴム。
  5. 化合物(a2)は、
    1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−7−ウンデセニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のナフトエ酸塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のフェノール塩、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のオルトフタル酸塩、及び、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7のギ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1、2、3又は4記載のワイパーブレードゴム。
  6. フッ素ポリマー(b1)は、クロロトリフルオロエチレン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体である請求項1、2、3、4又は5記載のワイパーブレードゴム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017071254A (ja) * 2015-10-06 2017-04-13 信越ポリマー株式会社 ワイパーラバー
JP2018501151A (ja) * 2014-12-18 2018-01-18 キムブレイド カンパニー リミテッド ワイパーブレード
DE102019200002A1 (de) 2019-01-02 2020-07-02 Robert Bosch Gmbh EP(D)M-EVM-Wischgummi mit verbesserter Kälteflexibilität

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