JP2016153586A - 新川倉様式水制・締切工及びその構築方法 - Google Patents

新川倉様式水制・締切工及びその構築方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伝統的水制構築物の代表である「川倉」様式を継承しつつ、現代技術との結合を通して、水制工法を再生させることができる新川倉様式水制及び締切工とその構築方法を提供する。【解決手段】一般構造用炭素鋼管を組み合わせて略三角錐状に構築される川倉本体と、この本体の底部側に設置される玉石詰袋と石詰めする際に袋口を一杯に開口した状態を保持して吊り上げておくための玉石詰袋吊用具及び満杯になった玉石詰袋を結束するための結束ワイヤー3から構成され、これら諸資材が一組のセット製品として工業的に大量生産されて常備保管され、重機を用いて極く短時間で施工構築を完了する水制及び締切工とその構築方法。【選択図】図2

Description

本発明は、河川・治水工事において三百年に亘って比類なき威力を発揮してきた川倉を、その様式において継承しつつ、伝統的な手工設営方式から機械化施工方式への改良を通じて、現代における最も効果的な水制及び締切工構造物として再生させることに関するものである。
「川倉」は「聖牛」とも呼ばれ、武田信玄の時代より江戸藩政〜明治〜昭和前半に至るまで、約3百年前から現存し非常に効果的・有力な水制及び締切工法として機能してきた。三角錐状のシンプルで安定性のある構造.物を堤防の内側傍に、群として連続的に設置しておくことによって、洪水の際は堤防の根元に土砂を堆積させ、荒れ狂う水流の勢いが直接堤防にぶつからず、堤防を決壊から護ってくれる。川中央寄りの急流側の砂は下流へ流し河積を確保し、締切工でも使われてきた。昭和30年代以降、次第に護岸と異形ブロックに取って替わられ、水制工法・水制思想自体が廃れてきた。近年、コンクリート護岸工事による水質の悪化、河川景観や生態環境の保全の観点から批判の声が高まり、古来の工法を用いた水制構造物が再び注目されるようになった。
従来の川倉は、太く重たい木材丸太を用いて、合掌様式三角錐の構造物を組み合わせ、なまし鉄線、ステップル、カスガイ等で組立て構築し、それとは別に多大な手間暇かけて鉄線蛇籠を組立て、その中にたくさんの石を詰め、それを構造物に載せ設置するというやり方であった。こうした作業のほとんど全てが、専ら直接の人的労力に依存するものであった。
なお、陸地側から水流の中に突き出る形で構築される水制工の先行技術として、平板状底板に壁体を立設させたブロックを、その上から覆いかぶさるように積み上げられた石積みの骨格として、全体を石積み内部に埋設するという河川構築物用埋設ブロック及び河川構築物の構築方法(特許文献1参照)や、土嚢袋をT字型の一種の土手状に設置し、それを中心部として、その周囲を縁取るようにネット状袋材を設置する形を構築し、袋・ネットの中詰材として石や解体構造物のコンクリート殻・掘削した土砂等の建設副産物即ち廃材を利用するという水制工及びその構築方法(特許文献2参照)等が知られている。
特開平10−195840号 公報 特開2010−180637号 公報
今の時代、木材丸太は入手自体が容易なことではなく、且つ大量に、となると一層困難であり、また高価でもある。災害時、緊急を要する時に一度に大量の入手自体が事実上不可能である。蛇籠組立てや石塊を詰める作業自体が直接の人力を前提としたものであり、重機による石詰め作業には全く不向きでもある。また、『水制』という思想そのものの衰退は、水制の河岸浸食防止に対する直接的効果の分かりにくさもさることながら、設置や設計の標準化の困難さによるところ大であることも明白であった。必要な物資材の工業的大量生産、施工における機械化を可能ならしめ、試し抜かれた古来の優れた工法を現代技術との結合によって蘇らせ、地震と共に世界有数の急流河川に特徴づけられる日本国土の防災・水制における時代の要請に応えねばならない。
文献1に示される先行技術は、洪水時における水制工構築物が、それに用いられる大岩石の確保そのものが難しくなってきた時代状況に鑑み、河川内に敷設される岩石の集積体がさほど大きくない岩石から成らざるを得ず、水流による岩石の移動・安定性の欠如から構築物が崩壊する可能性が増している事に着目し、構築物の内部に骨格として逆T字型ブロック材を埋設して補強しようという方法であるが、ブロックの貫通孔や切り欠きや脚等の構造的特徴に示される「配慮」は、魚巣空間の確保や構築物下流側に生じやすい滞留水(死水)の防止等にかなりの比重が置かれており、氾濫の危険が切迫した状況が長時間継続する事態への対処というより、穏やかな日常平時の水流を前提した「多自然型」河川づくり工法としてアピールしていると言える。あるいは、多少とも大きな河川の場合、通常平時においては、水制工が構築される河岸の内側は、河原や河川敷であり、魚巣や死水は問題になりようがないエリアであることを考えれば、猛濁流による河岸決壊を予防する役割を担う水制工の最重要機能としては、かなり中途半端な手段方法だと評価せざるを得ない。生態環境の悪化・破壊という問題は、本来的には河岸そのものを出来るだけ真っすぐに・且つ出来るだけ大規模にコンクリート一色で構築し、水を「生かし尽くす」代わりに、海に出来るだけ速やかに「捨てる」という思想的転換によってもたらされたものであり、何百年にも亘って偉大な功績を証明し続けて来た「治水」という最も保持発展されるべき「思想」を、最近僅か数十年の間に一挙に捨て去った我が国の時代思潮の帰結であったと見るならば、「自然型河川づくり」という時代的課題に立ち向かう際に、水制工の受け持ち得る機能の「限界」を十分に認識した上で、水制工の本分を十ニ分に発揮実現させていくべきではなかろうか。
文献2に示される先行技術は、従来の水制工の中で、特に粗朶を用いて組み合わせる場合の施工性の悪さと用材料としての粗朶そのものの確保が難しくなってきている事情、及び重機使用が出来ないという点に着目し、且つ天然素材故の劣化し易い粗朶に代えて、重機使用できるコンクリートブロックを用いた場合の「河床洗堀」の大きな危険性を問題にしている。そして、「調達しやすい」建設現場のコンクリート殻や土砂・石等を詰めた「土嚢袋」を大きなT字状に敷設し、その外周りを、流失しやすい土を除く石・コンクリート殻等を中詰めした「ネット状袋材」で取り囲むように構築するという解決方法である。粗朶よりも耐久性があり、河床洗堀された部分を自ずと埋め戻す柔軟性においてブロック材よりも優位なのは確かであろう。しかしながら、これも文献1と同様、想定されている「状況」が、河川氾濫・水害が切迫しているというより、水量や流勢の激しさが、個別ばらばらの石ころやコンクリー殻がネット状袋材にまとめられた分だけ押し流されにくいという程度の「状況」を前提しているとしか思えない。数メートルもの無数の大岩石が大地を揺さぶる地響き轟音を立てて木の葉のように押し流されて河岸を越えんばかりに荒れ狂うのが、大陸と全く異なる日本列島特有の河川なのである。平時から非常時への変貌は一気に激烈に進行する。そのような「状況」を本当に見たり体験したりしたことがある人の対処策とは到底思えない「解決手段」だと言わざるを得ない。「土嚢」も「ネット状袋材」も、T字型であろうと他の型であろうと、河岸の内側に集積敷設されただけの構築物では、「ネット状袋材」の一個一個が木の葉以上であることは無理であろうし、河岸の決定的な浸食を濁流から護る「親衛隊」の役割はとても果たせないであろう。
本発明は、以上の様な問題点を解決しようするものである。
課題を実現するための手段
一般構造用炭素鋼管(以下、鋼管と略称する)を組み合わせて略三角錐状に構築される川倉本体と、この本体の底部側(床に相当する箇所)に設置される玉石詰袋・それに石詰めする際に袋口を一杯に開口した状態を保持して吊り上げておくための玉石詰袋吊用具、及び満杯になった玉石詰袋を結束するための結束ワイヤーから構成され、これら諸資材が一組のセット製品として工業的に大量生産されて常備保管され、重機を用いて極く短時間で施工構築を完了するところの新川倉様式水制及び締切工とその構築方法である。
川倉本体は、従来の木材丸太でなく鋼管材を用いる。鋼管の径は、軽くて組み立て易い60.5mm又は101.6mmを主要に想定し、確固たる効果が確かめられている合掌組みの伝統様式を継承する。川倉1基当たり、用意される鋼管は、特殊な場合を除き、一般に21本である。
以下、これらの鋼管によって川倉本体がどのように構築されていくかを説明する。鋼管の長さや径のサイズは、川倉の伝統様式を成立させるバランスを崩さぬ範囲で、河川の規模や設置場所の特殊条件によって様々であり得るが、以下に示されるのは、経験から割り出された・最も広く適用可能なモデル数値である。
水流の来る上流方向に立ち向かって仁王立ちのように、3.7m長さの2本の鋼管を上部端手前の位置で自在クランプで結束固定し、合掌を組んで前合掌を立ち上げ、三角錐状の裾広がりに地面に食い込む2本の前合掌脚の根元近くの位置に、3.2m長さの鋼管を左右に橋渡し結合し、前合掌の根元部を横方向に対して固定し安定させるところの砂払いを設ける。前合掌の頭の二股・即ち2つの前合掌頭片から成る前合 掌頭に4.8mの鋼管の一端を載せ掛け、他端は後方斜め下に降り下って着地させ、下流側から前合掌後背部を強力に突っ張り支える背骨となるところの棟を設ける。前合掌の前合掌脚の左右の外側から、其々4.6mの鋼管の一端を砂払いの上に載せ、他端を後部へ伸ばし、共に水平の高さで棟の後端を挟む形で結合し、結果的に後方から前方へ二股に開き伸びる形となるところの桁を設ける。これによって、前合掌と棟とは上下に置いて堅く結合され、全体の安定を支える強固な基本骨格を得る。
棟の前後ほぼ中間点において、2.7mの2本の鋼管によって合掌組みされた二股に、棟を挟み載せる形で直立する後合掌を設ける。前合掌の前合掌頭から前方に突き出る棟前端と砂払いの中央後ろ側との2つの接点において結合される1本の3.2mの鋼管を直立させて、前立ちを設ける。前合掌と結合している桁の前端部・前合掌の後ろ側において、左右の桁の上に3.6mの鋼管を橋渡しして結合されるという形で、前梁を設ける。それとほぼ同様に、後合掌と結合している桁の中央部・後合掌の側において、3.0mの鋼管を橋渡しして結合されるという形で、後梁を設ける。この前梁と後梁とを一定の間隔をおいて橋渡しする合計10本の2.4の鋼管を、前合掌の左右の外側に各2本、2つの前合掌片に挟まれて・真ん中の前立ちの左右に各3本が配設される形で 前梁と結合され、そこから後方へ並行的に伸びて後合掌の左右外側に各3本、2つの後合掌片に挟まれて4本が配設される形で後梁に結合され、その様にして10本から成る敷成りを設ける。
ここまでの構築作業工程において、前合掌・砂払い・棟・桁・後合掌・前立ち・梁・敷成りに用いられる鋼管は、軽くて強靭で扱いやすく、どこであろう と鋼管同士が交差する部位は、全て瞬時に自在クランプで留め固定され、作業員は終始スパナ一つで次々とスピーディーに組み立てを進め、約15分で本体構築が完了される。
全体としてこのように構築形成された川倉本体において、一定の間隔で隙間を有する床とでも言うべき敷成りの上に、1個約1.5t相当の玉石詰袋を2個隣接して設置される。玉石詰袋は、大きな玉石・岩石・雑石・現場に残されているような場合の大きなコンクリートブロック殻等を中に詰め込まれるが、旧っての蛇籠に一杯になるまで手作業で多大の労力・時間を費やしていた作業と異なり、詰め込み作業時には、袋口を玉石詰袋吊用具のフックに掛け留め、その玉石詰袋吊用具をクレーンで吊上げて袋口を大きく開口した状態を保ちつつ、他方の重機で一気に詰め込まれる。玉石詰袋は、そうした大きくゴツゴツした岩石塊が無造作にどんどん詰め込まれても破損しないような丈夫なプラスチック樹脂製の網目を有し、機械による大量生産を前提する。満杯にされた玉石詰袋は、玉石詰袋吊用具のフックから外して袋口を結束ワイヤーで結束しておかれる。これを川倉本体に設置する時は、重機で吊り上げ、敷成りの上に2個隣接して設置され、其々袋胴体部を相互に一つの結束ワイヤーで一体的に結合され、更にそれぞれの袋口結束部を結束ワイヤーで、前合掌頭に掛け留め固定される。
玉石詰袋吊用具は、4本の鋼管を四方形に組んで吊掛け枠を形成し、吊掛け枠の一組の対向し合う2つの枠辺において、其々の両端の角・即ちもう一組の対向し合う枠辺との交差部に固定されて、半円ループ状を成してクレーンに吊掛ける吊掛けロープを設け、4本の枠辺の下方側に、玉石詰袋の袋口に掛け止めるフックを其々複数設ける。結束ワイヤーは、締めつけや長さ調節を素早く行なうハンドル式調節機構を有する。
斯くして、床・壁・屋根のどこにも「面」がなく、謂わば骨組体状構築物として形成された川倉本体は、急激濁流の想像を絶する衝撃圧力を「面」でもろに受けとめることなく受け流しつつ、玉石詰袋2t程の重量で、全体がしっかりと河床接地面に踏ん張り、前合掌・前立ち・後合掌・棟を成すそれぞれの鋼管パイプの下端は地面にガッチリ食い込み、材木丸太のように川床や石の上を 滑る事も無く、また水の浮力で浮かび易かったりすることもなく、襲いかかる水流の暴力に立ち向かって雄々しく抗し立ち続け、河岸堤防への最終的破壊作用が及ぶのを防ぐのである。
その時、個々の玉石が激流にさらわれていかないのは、玉石詰袋によって1個約1.5tの石の如く一体化され・それがもう一つの玉石詰袋と一つに結束され・更に玉石詰袋毎に川倉本体の二つの合掌頭に掛け留められ、川倉本体から決して引き離されることなく、川倉本体の重石の役割を果たし続け、川倉本体の前後の合掌脚と棟の後端が地面への強固な踏ん張りをもたらし、ひるがえって玉石全体が川倉本体によって流失から護られるという、川倉様式そのものに内在する弁証法の自然な帰結であって、その他の水制及び締切工が形態を問わず決して持つことの出来ない力なのである。
新川倉様式が河岸堤防や沢等の危急存亡の箇所一帯の内側沿いに、均等または不均等な間隔をおいて、必要な基数を短時間で連続的に施工設置できるためには、普段において必要資材が充分にストック保管されておかれねばならず、緊急必要時に資材の入手困難などの事情が生じてはならないのであって、使用される全ての資材が大量機械生産によって常時潤沢な量が保証され、且ついつでも直ちに施工設置現場に運び、時を移さず作業に取り掛かり、短時間で構築完成させねばならない。この任務を滞りなく実現するために、「60.5mm径や101.6mm径の鋼管21本と、玉石詰袋2個及びそれに要する結束ワイヤー、そして重機使用用の玉石詰袋吊用具、スパナ」をワンセットとして、セット毎に区分した形で、充分な量が一定場所に保管される。
なお、玉石詰め袋の代用として、1個約1t相当コンクリートブロックを大量生産で用意しておき、設置箇所の特殊条件に見合って合計2〜5t相当に組合せて利用する。その場合、敷成りの上に設置された複数のコンクリートブロックは下段2個・中段2個・上段1個に積み重ねられ、各々のコンクリートブロックに取付けてある吊金具で段重ねし、上下に貫通して左右2箇所に設けられた差込孔に、それぞれ相当する長さの差込ボートを差し込んで、強固に連結一体化され、更に最下段のコンクリートブロックの底面には、対面する敷成りの鋼管に嵌合する溝が設けてあり、全て重機による施工設置ができ、玉石詰め袋に負けず劣らず流失の心配もなく、同様の効果が得られる。
以上を特徴とする一般構造用炭素鋼管による新川倉様式水制及び締切工とその構築方法である。
発明の効果
(イ) 伝統的川倉の主要素である木材丸太に替えて鋼管パイプを用いるので、資材調達の困難不安がなく、細く強靭で且つ軽量なので、作業における取扱いが極めて容易で迅速な作業進行が保証される。
(ロ) 丸太は水流に浮き易く、また根固め等の石の上では接地部が滑って流されるが、鋼管の接地部は逆に噛み込んでいく。
(ハ) 丸太を組み合わせながら固定結束する作業は、なまし鉄線を丸太に打ち込む・捲く・捲いた鉄線を「しの」で締め、ハンマーで打って調整しながらステップルで止める・緩まぬように締めながら捲く・ステップルの他かすがいや小杭等も巧みに使って鉄線を緩まぬようにしながら幾重にも巻きつけて組立てを固定していくのだが、全て直接の人力によるので、ペンチ・カッター・しの・ハンマー・のこぎり・掛矢・マニラロープ等、非常にたくさんの道具を要したが、鋼管を用いる新川倉では、全ての手作業はスパナ一つで瞬く間に組み上げる事ができる。
(ニ) 膨大な時間と労力を費やし・熟練の技能を要して組立てられていた蛇篭に替えて、機械的に大量生産できるプラスチック樹脂製の玉石詰め袋や定型化された専用のコンクリートブロックを用いるので、工業的大量生産を前提に施工の大半を最新の重機使用によって、予め計算された計画通りに、必要な規模の水制工群を速やかに、事前又は緊急に構築する事ができる。
(ホ) 資材が安価・軽量であるので、大河川の場合も、工区毎にさ程のスペースも要しない一定した保管場所を設けて、常時潤沢な量の資材を確保し、突然の危急事態に、万端備えておく事ができる。
(ヘ) 新川倉1基当たりの資材の種類と量は決まっているので、一基分ワンセット毎に区分して保管され、セットを保持したままの形で出庫され、現場にセット毎に直ちに作業開始可能な状態で荷降ろしする事ができる。
(ト) その他の水制工が、土嚢・石・コンクリートブロックを用いて、L型やT字型やらの構築物に形成されようとも、河川の護岸堤防が危急存亡の事態に直面するような荒れ狂う豪濁流に対しては抗するすべはなく、簡単に押し流されて構築物自体が流失してしまう可能性が非常に高いといわざるを得ないが、まさにその点に於いて「川倉」様式の継承されるべき価値を初めてクローズアップし、具体的な構築物として新たな水成及び締切工が、本発明を通して実現を見たのであり、今後の河川防災行政の方向性にも寄与する事ができる。
本発明の一部である川倉本体の斜視図 本発明が設置された状態を示す正面図 本発明が設置された状態を示す側面図 本発明の一部である玉石詰袋の実施諸例を示す斜視図 本発明の一部である玉石詰袋吊用具の斜視図 本発明の一部である結束ワイヤーの斜視図 本発明の実施におけるコンクリートブロックを使用した例を示す正面図 本発明の実施におけるコンクリートブロックを使用した例を示す側面図 本発明の一部である玉石詰袋の詰め作業を重機を用いて行なっている様子を示したイメージ図 本発明の一部である玉石詰袋やコンクリートブロック等の諸資材を、所定の場所に整然と保管されている様子、及びそれらを搬出している状況を示したイメージ図 本発明の一部である川倉本体において、鋼管を組み立てる時に自在クランプでしっかりと留め固定している状況を分かりやすく示した部分斜視図 本発明の施工設置において、その一部である川倉本体が組み立て終わって、クレーンで吊り上げて速やかに川床に設置する作業の状況を示したイメージ図 本発明構築設置完了下状態を示したイメージ斜視図 本発明の設置において、その構成要素の主要な一部である玉石詰袋の代わりに、コンクリートブロックを利用した場合の形を分かりやすく示したイメージ側面図 川や沢等の危険個所に、本発明を事前に施工設置した様子を、遠景描写的に示したイメージ図 河川や崩壊危険個所に本発明を事前に施工設置した様子を、遠景描写的に示したイメージ図
以下、本発明の実施の形態を説明する。
一般構造用炭素鋼管を組み合わせて略三角錐状に構築される川倉本体(1)と、この本体の底部側(床に相当する箇所)に設置される玉石詰袋(2)それに石詰めする際に袋口を一杯に開口した状態を保持して吊り上げておくための玉石詰袋吊用具(4)及び満杯になった玉石詰袋(2)を結束するための結束ワイヤー(3)から構成され、これら諸資材が一組のセット製品として工業的に大量生産されて常備保管され、重機を用いて極く短時間で施工構築を完了するところの新川倉様式水制及び締切工とその構築方法である。
川倉本体(1)は、従来の木材丸太でなく鋼管材を用いる。鋼管の径は、軽くて組み立て易い60.5mm又は101.6mmを主要に想定し、確固たる効果が確かめられている合掌組みの伝統様式を継承する。川倉1基当たり、用意される鋼管は、特殊な場合を除き、一般に21本である。
以下、これらの鋼管によって川倉本体(1)がどのように構築されていくかを説明する。鋼管の長さや径のサイズは、川倉の伝統様式を成立させるバランスを崩さぬ範囲で、河川の規模や設置場所の特殊条件によって様々であり得るが、以下に示されるのは、経験から割り出された・最も広く適用可能なモデル数値であると理解されたい。
水流方向(S)に立ち向かって仁王立ちのように、3.7m長さの2本の鋼管で、上端手前で交差させて合掌を組み、2つの合掌片(5a,5b)から成る前合掌(5)を立ち上げ、三角錐状の裾広がりに地面にがっちり食い込む前合掌脚(6a,6b)の根元から数十cm昇った位置に、3.2m長さの鋼管を左右に橋渡し結合し、前合掌(5)の根元部を横方向に対して固定し安定させるところの砂拂い(7)を設ける。前合掌(5)の頭の二股・即ち2つの前合掌頭片(8a,8b)から成る前合掌頭(8)に、4.8mの鋼管の一端を載せ掛け、他端は後方斜め下に降り下って着地させ、下流側から前合掌(5)後背部を強力に突っ張り支える背骨となるところの棟(9)を設ける。前合掌(5)の2つの合掌脚(6a,6b)の左右の外側から、其々4.6mの鋼管の一端を砂拂い(7)の上に載せ、他端を後部へ伸ばし、共に水平の高さで棟の後端を挟む形で結合し、結果的に後方から前方へ二股に開き伸びる形となるところの桁(10)を設ける。これによって、前合掌(5)と棟(9)とは上下に置いて堅く結合され、全体の安定を支える強固な基本骨格を得る。
棟(9)の前後ほぼ中間点において、2.7mの2本の鋼管によって合掌組みされた二股に棟(9)を挟み載せる形で直立するところの・2つの後合掌片(11a,11b)から成る後合掌(11)を設ける。前合掌(5)の合掌頭(8)から前方に突き出る棟(9)前端と砂拂い(7)の中央後ろ側との2つの接点において結合される1本の3.2mの鋼管を直立させて、前立ち(12)を設ける。前合掌(5)と結合している桁(10)の前端部・前合掌(5)の後ろ側において、左右の桁(10)の上に3.6mの鋼管を橋渡しして結合されるという形で、前梁(13)を設ける。それとほぼ同様に、後合掌(11)と結合している桁(10)の中央部・後合掌(11)の前側において、3.0mの鋼管を橋渡しして結合されるという形で、後梁(14)を設ける。この前梁(13)と後梁(14)とを一定の間隔をおいて橋渡しする合計10本の2.4mの鋼管を、前合掌(5)の左右の前合掌片(5a,5b)の外側に各2本、2つの前合掌片(5a,5b)に挟まれて・真ん中の前立ち(12)の左右に各3本が配設される形で前梁(13)と結合され、そこから後方へ並行的に伸びて後合掌(11)の左右外側に各3本、後合掌片(11a,11b)に挟まれて4本が配設される形で後梁(14)に結合され、その様にして10本から成る敷成りを設ける。
ここまでの構築作業工程において、前合掌(5)・砂拂い(7)・棟(9)・桁(10)・後合掌(11)・前立ち(12)・前梁(13)・後梁(14)・敷成り(15)に用いられる鋼管は、軽くて強靭で扱いやすく、どこであろうと鋼管同士が交差する部位は全て瞬時に自在クランプ(16)で留め固定され、作業員は終始スパナ一つで次々とスピーディーに組み立てを進め、約15分で川倉本体(1)の構築が完了する。
全体としてこのように構築形成された川倉本体(1)において、一定の間隔で隙間を有する床とでも言うべき敷成り(15)の上に、1個約1.5t相当の玉石詰袋(2a,2b)を2個隣接して設置される。玉石詰袋(2)は、大きな玉石・岩石・雑石・現場に残されているような場合の大きなコンクリートブロック殻等を中に詰め込まれるが、旧っての蛇籠に一杯になるまで手作業で多大の労力・時間を費やしていた作業と異なり、詰め込み作業時には、袋口を玉石詰袋吊用具(4)のフック(19)に掛け留め、その玉石詰袋吊用具(4)をクレーンで吊上げて袋口を大きく開口した状態を保ちつつ、他方の重機で一気に詰め込まれる。玉石詰袋(2)どんどん詰は、そうした大きくゴツゴツした岩石塊が無造作に詰め込まれても破損しないような丈夫なプラスチック樹脂製の網目を有し、機械による大量生産を前提する。満杯にされた玉石詰袋(2)は、玉石詰袋吊用具(4)のフック(19)から外して袋口を結束ワイヤー(3)で結束しておかれる。これを川倉本体(1)に設置する時は、重機で吊り上げ、敷成り(15)の上に2個隣接して設置され、其々袋胴体部を相互に一つの結束ワイヤー(3)で一体的に結合され、更にそれぞれの袋口結束部を結束ワイヤー(3)で、前合掌頭(8)に掛け留め固定され、後ろ合掌にも結束ワイヤー(3)を回して固定される。
玉石詰袋吊用具(4)は、4本の鋼管を四方形に組んで吊掛け枠(17)を形成し、吊掛け枠(17)の一組の対向し合う2つの枠辺において、其々の両端の角・即ちもう一組の対向し合う枠辺との交差部に固定されて、半円ループ状を成してクレーンに吊掛ける吊掛けロープ(18)を設け、4本の枠辺の下方側に、玉石詰袋(2)の袋口に掛け止めるフック(19)を其々複数設ける。結束ワイヤー(3)は、締めつけや長さ調節を素早く行なうハンドル式調節機構(20)を有する。
斯くして、床・壁・屋根のどこにも「面」がなく、謂わば骨組体状構築物として形成された川倉本体(1)は、急激濁流の想像を絶する衝撃圧力を「面」でもろに受けとめることなく受け流しつつ、玉石詰袋(2)2個2t程の重量で、全体がしっかりと河床接地面に踏ん張り、前合掌(5)・前立ち(12)・後合掌(11)・棟(9)を成すそれぞれの鋼管パイプの下端は地面にガッチリ食い込み、材木丸太のように川床や石の上を滑る事も無く、また水の浮力で浮かび易かったりすることもなく、襲いかかる濁流の暴力に立ち向かって雄々しく抗し立ち続け、河岸堤防への最終的破壊作用が及ぶのを防ぐのである。
その時、個々の玉石が激流にさらわれていかないのは、玉石詰袋(2a)によって1個約1.5tの岩石の如く一体化され・それがもう一つの玉石詰袋(2a)と一つに結束され・更に玉石詰袋(2)毎に川倉本体(1)の2つの前合掌頭片(8a,8b)に掛け留められ、川倉本体(1)から決して引き離されることなく、川倉本体(1)の重石の役割を果たし続け、川倉本体(1)の前後の合掌脚(6a,6b,6c,6d)と棟(9)の後端が地面への強固な踏ん張りをもたらし、ひるがえって玉石全体が川倉本体(1)によって流失から護られるという、川倉様式そのものに内在する弁証法の自然な帰結であって、その他の水制工が形態を問わず決して持つことの出来ない力なのである。
新川倉様式が河岸堤防や沢等の危急存亡の箇所一帯の内側沿いに、均等または不均等な間隔をおいて、必要な基数を短時間で連続的に施工設置できるためには、普段において必要資材が充分にストック保管されておかれねばならず、緊急必要時に資材の入手困難などの事情が生じてはならないのであって、使用される全ての資材が大量機械生産によって常時潤沢な量が保証され、且ついつでも直ちに施工設置現場に運び、時を移さず作業に取り掛かり、短時間で構築完成させねばならない。この任務を滞りなく実現するために、「60.5mm径や101.6mm径の鋼管21本と、玉石詰袋2個及びそれに要する結束ワイヤー、そして重機使用用の玉石詰袋吊上げ用具、スパナ」をワンセットとして、セット毎に区分した形で、充分な量が一定場所に保管される。
なお、玉石詰袋(2)の代用として、1個約1t相当コンクリートブロック(21)を大量生産で用意しておき、設置箇所の特殊条件に見合って合計2〜5t相当に組合せて利用する。その場合、敷成り(15)の上に設置された複数のコンクリートブロック(21)は下段2個・中段2個・上段1個に積み重ねられ、各々のコンクリートブロック(21a,21b,21c)に取付けてある吊金具(22)で段重ねし、上下に貫通して左右2箇所に設けられた差込孔(23)に、それぞれ相当する長さの差込ボート(24)を差し 込んで、強固に連結一体化され、更に最下段のコンクリートブロック(21a)の底面には、対面する敷成りの鋼管に嵌合する溝が設けてあり、全て重機による施工設置ができ、玉石詰め袋に負けず劣らず流失の心配もなく、同様の効果が得られる。
本発明は、以上の様な構成であり、以下、その具体的な実施の形態を図面に沿って説明する。
決壊の危険が感じられるような河岸堤防の危急存亡の切迫した事態において、一刻を争うスピードで新川倉様式の構築物を設置できるためには、普段平時において、いざという時の必要資材があらかじめ決められた場所に十分潤沢にストック保管させていなければならない。
川倉本体(1)の構築材である軽くて丈夫なパイプ・一般構造用炭素鋼管は保管倉庫に一基分ずつに分けられて整然と保管され、必要時に現場に搬送され荷下ろしされたら、施工作業員は終始スパナ一つの道具だけで鋼管を次々と自在クランプ(16)で留め固定し、一基当たり約15分で組立て完了する。その川倉本体(1)は図12で示されるようにクレーンで速やかに設置される。
川倉本体(1)の上に載置固定される一個約1.5t相当の玉石詰袋(2)は、普段平時において保管残量をチェックしながら、図9のようなやり方で重機を使って詰め作業されて作られ、結束ワイヤー(3)で袋口を結束しおかれる。玉石詰袋(2)と共に・もしくはその代用資材として使用される一個約1t相当のコンクリートブロック(21)は、保管残量チェックによって製造工場に随時発注されて、短期間で機械的に大量生産が可能である。それら重量物資材は共に図10に示される様な形で、鋼管資材と同じ場所に図10の様に随時補充保管される。それらは、危急の事態の切迫が判断され次第に、重機で短時間でトラックに積み込まれ、指定の場所に急送運搬され、予め設置された川倉本体(1)の上に重機クレーンで速やかに積み降ろし設置される。川倉本体(1)に設置された玉石詰袋(2)は、相互に袋胴体部を結束ワイヤー(3)で一体的に結合され、更にそれぞれの袋口結束部を結束ワイヤー(3)で前合掌頭(8)に掛け留め、後合掌(11)にも回して固定される。
玉石詰袋(2)の代用としてコンクリートブロック(21)を使用する場合も、積み下ろし・設置作業は同様にすべて機械重機・クレーンによって速やかになされる。川倉本体(1)の上に降ろされて、3段に重ねられたコンクリートブロック(21)は、差込みボート(24)で上下に貫通して強固に一体的に結合され、最下段の底面は敷成り(15)を成す鋼管のデコボコ面に嵌合する溝が設計的に設けられており、数トンの重量が川倉本体(1)と堅固一体となり、斯くして、河岸堤防に対して破壊的な暴力として襲いかかる猛濁流に対し、その一歩手前の地点で激流に立ち向かう姿勢で立ちふさがる。この川倉本体(1)の独特の構造−即ち大きな木材の様に浮力に弱く、設置面に対し滑りやすい性質と対照的に、激流の勢いをもろに受け止める「面」を持たず受け流し、設置面に数トンの重石でがっちり食い込み、激流の方向に対抗して本体と重石とが強固な一体として突っ張り持ち堪える構築物−の故に、最も危険な一定領域に「群」として配置され、河岸堤防の重大な損壊を軽傷にとどめることができる。
ここに、数百年の伝統を持ちつつも時代思潮の変化変貌の中で、一旦捨て去られつつあった偉大な治水・水制思想が、現代の大量・機械生産の技術と結合し、新川倉様式水制及び締切工として偉大な力を甦らせ、今後の河川行政にも大きな貢献が期待される。
1 川倉本体, 2 玉石詰袋, 2a 玉石詰袋, 2b 玉石詰袋,
3 結束ワイヤー, 4 玉石詰袋吊用具, 5 前合掌,
5a 前合掌片, 5b 前合掌片, 6 合掌脚, 6a 合掌脚,
6b 合掌脚, 6c 合掌脚, 6d 合掌脚, 7 砂拂い,
8 前合掌頭, 8a 前合掌頭片, 8b 前合掌頭片, 9 棟,
10 桁, 10a 桁, 10b 桁, 11 後合掌,
11a 後合掌片, 11b 後合掌片, 12 前立ち, 13 前梁,
14 後梁, 15 敷成り, 16 自在クランプ, 17 吊掛け枠,
18 吊掛けロープ, 19 フック, 20 ハンドル式調節機構,
21 コンクリートブロック, 21a コンクリートブロック,
21b コンクリーブロック, 21c コンクリートブロック,
22 吊金具, 23 差込み孔, 24 差込みボート, S 水流方向

Claims (2)

  1. 一般構造用炭素鋼管(以下、鋼管と略称する)を組み合わせて略三角錐状に構築される川倉本体と、この本体の底部側(床に相当する箇所)に設置される玉石詰袋、それに石詰めする際に袋口を一杯に開口した状態を保持して吊り上げておくための玉石詰袋吊用具、及び満杯になった玉石詰袋を結束するための結束ワイヤーから構成され、これら諸資材が一組のセット製品として工業的に大量生産されて常備保管され、重機を用いて極く短時間で施工構築を完了するところの新川倉様式水制及び締切工とその構築方法であるが、川倉本体は、従来の木材丸太でなく鋼管材を用い、鋼管の径は、軽くて組み立て易い60.5mm又は101.6mmを主要に想定し、確固たる効果が確かめられている合掌組みの伝統様式を継承し、川倉1基当たり用意される鋼管は、特殊な場合を除き、一般に21本であるが、以下、これらの鋼管によって川倉本体がどのように構築されていくかを説明するにあたって、鋼管の長さや径のサイズは、川倉の伝統様式を成立させるバランスを崩さぬ範囲で、河川の規模や設置場所の特殊条件によって様々であり、以下に示されるのは、経験から割り出された・最も広く適用可能なモデル数値であるが、水流の来る上流方向に立ち向かって仁王立ちのように、3.7m長さの2本の鋼管を上部端手前の位置で自在クランプで結束固定し、合掌を組んで前合掌を立ち上げ、三角錐状の裾広がりに地面に食い込む2本の前合掌脚の根元近くの位置に、3.2m長さの鋼管を左右に橋渡し結合し、前合掌の根元部を横方向に対して固定し安定させるところの砂払いを設け、前合掌の頭の二股・即ち前合掌頭に4.8mの鋼管の一端を載せ掛け、他端は後方斜め下に降り下って着地させ、下流側から前合掌後背部を強力に突っ張り支える背骨となるところの棟を設け、前合掌脚の左右の外側から、其々4.6mの鋼管の一端を砂払いの上に載せ、他端を後部へ伸ばし、共に水平の高さで棟の後端を挟む形で結合し、結果的に後方から前方へ二股に開き伸びる形となるところの桁を設け、これによって、前合掌と棟とは上下において堅く結合され、全体の安定を支える強固な基本骨格を得るのであって、棟の前後ほぼ中間点において、2.7mの2本の鋼管によって合掌組みされた二股に棟を挟み載せる形で、直立する後合掌を設け、前合掌の前合掌頭から前方に突き出る棟前端と砂払いの中央後ろ側との2つの接点において結合される1本の3.2mの鋼管を直立させて、前立ちを設け、前合掌と結合している桁の前端部・前合掌の後ろ側において、左右の桁の上に3.6mの鋼管を橋渡しして結合されるという形で、前梁を設け、それとほぼ同様に、後合掌と結合している桁の中央部・後合掌の前側において、3.0mの鋼管を橋渡しして結合されるという形で、後梁を設け、この前梁と後梁とを一定の間隔をおいて橋渡しする合計10本の2.4mの鋼管を、前合掌の左右の外側に各2本、2つの前合掌片に挟まれて・真ん中の前立ちの左右に各3本が配設される形で前梁と結合され、そこから後方へ並行的に伸びて後合掌の左右外側に各3本、2つの後合掌片に挟まれて4本が配設される形で後梁に結合され、その様にして10本から成る敷成りを設けるのであるが、ここまでの構築作業工程において、前合掌・砂払い・棟・桁・後合掌・前立ち・梁・敷成りに用いられる鋼管は、軽くて強靭で扱いやすく、どこであろうと鋼管同士が交差する部位は、全て瞬時に自在クランプで留め固定され、作業員は終始スパナ一つで次々とスピーディーに組み立てを進め、約15分で本体構築が完了されるのであり、全体としてこのように構築形成された川倉本体において、一定の間隔で隙間を有する床とでも言うべき敷成りの上に、1個1.5t相当の玉石詰袋を2個隣接して設置され、玉石詰袋は、大きな玉石・岩石・雑石・現場に残されているような場合の大きなコンクリートブロック殻等を中に詰め込まれるが、旧っての蛇籠に一杯になるまで手作業で多大の労力・時間を費やしていた作業と異なり、詰め込み作業時には、袋口を玉石詰袋吊用具のフックに掛け留め、その玉石詰袋吊用具をクレーンで吊上げて袋口を大きく開口した状態を保ちつつ、他方の重機で一気に詰め込まれるのであって、玉石詰袋は、そうした大きくゴツゴツした岩石塊が無造作にどんどん詰め込まれても破損しないような丈夫なプラスチック樹脂製の網目を有し、機械による大量生産を前提するのであり、満杯にされた玉石詰袋は、玉石詰袋吊用具のフックから外して袋口を結束ワイヤーで結束しておかれ、これを川倉本体に設置する時は、重機で吊り上げ、敷成りの上に2個隣接して設置され、其々袋胴体部を相互に一つの結束ワイヤーで一体に結合され、更にそれぞれの袋口結束部を結束ワイヤーで前合掌頭に掛け留め、後ろ合掌にも回して固定されるのであるが、玉石詰袋吊用具は、4本の鋼管を四方形に組んで吊掛け枠を形成し、吊掛け枠の一組の対向し合う2つの枠辺において、其々の両端の角・即ちもう一組の対向し合う枠辺との交差部に固定されて、半円ループ状を成してクレーンに吊掛ける吊掛けロープを設け、4本の枠辺の下方側に、玉石詰袋の袋口に掛け止めるフックを其々複数設けるのであり、結束ワイヤーは、締めつけや長さ調節を素早く行なうハンドル式調節機構を有するのであって、斯くして、床・壁・屋根のどこにも「面」がなく、謂わば骨組体状構築物として形成された川倉本体は、急激濁流の想像を絶する衝撃圧力を「面」でもろに受けとめることなく受け流しつつ、玉石詰袋3t程の重量で、全体がしっかりと河床接地面に踏ん張り、前合掌・前立ち・後合掌・棟を成すそれぞれの鋼管パイプの下端は地面にガッチリ食い込み、材木丸太のように川や石の上を滑る事も無く、また水の浮力で浮かび易かったりすることもなく、襲いかかる水流の暴力に立ち向かって雄々しく抗し立ち続け、河岸堤防への最終的破壊作用が及ぶのを防ぐのであるが、その時、個々の玉石が激流にさらわれていかないのは、玉石詰袋によって1個約1.5tの石の如く一体化され・それがもう一つの玉石詰袋と一つに結束され・更に玉石詰袋毎に川倉本体の前合掌頭に掛け留められ、後ろ合掌にも回して固定され、川倉本体から決して引き離されることなく、川倉本体の重石の役割を果たし続け、川倉本体の前後の合掌脚と棟の後端が地面への強固な踏ん張りをもたらし、ひるがえって玉石全体が川倉本体によって流失から護られるという、川倉様式そのものに内在する弁証法の自然な帰結であって、その他の水制及び締切工が形態を問わず決して持つことの出来ない力なのであるが、新川倉様式が河岸堤防や沢等の危急存亡の箇所一帯の内側沿いに、均等または不均等な間隔をおいて、必要な基数を短時間で連続的に施工設置できるためには、普段において必要資材が充分にストック保管されておかれねばならず、緊急必要時に資材の入手困難などの事情が生じてはならないのであって、使用される全ての資材が大量機械生産によって常時潤沢な量が保証され、且ついつでも直ちに施工設置現場に運び、時を移さず作業に取り掛かり、短時間で構築完成させねばならず、この任務を滞りなく実現するために、「60.5mm径や101.6mm径の鋼管21本と、玉石詰袋2個及びそれに要する結束ワイヤー、そして重機使用用の玉石詰袋吊上げ用具、スパナ」をワンセットとして、セット毎に区分した形で、充分な量が一定場所に保管されることを特徴とする一般構造用炭素鋼管による新川倉様式水制及び締切工とその構築方法。
  2. 玉石詰め袋の代用として、1個約1t相当コンクリートブロックを大量生産で用意しておき、設置箇所の特殊条件に見合って合計2〜5t相当に組合せて利用するが、その場合、敷成りの上に設置された複数のコンクリートブロックは下段2個・中段2個・上段1個に積み重ねられ、上下に貫通して左右2箇所に設けられた差込孔に、それぞれ相当する長さの差込ボートを差し込んで、強固に連結一体化され、更に最下段のコンクリートブロックの底面には、対面する敷成りの鋼管に嵌合する溝が設けてあり、各々のコンクリートブロックには吊金具が取り付けてあり、それにクレーンのフックを掛けて持ち上げ・降ろし作業を行う形で、全て重機による施工設置ができ、玉石詰め袋に負けず劣らず流失の心配もなく、同様の効果が得られることを特徴とする請求項1における新川倉様式水制及び締切工とその構築方法。
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