JP2016152099A - 接合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の電解質膜を接続して連続処理する膜電極接合体の製造方法において、電解質膜と塗工ノズルとの間の間隔を狭くする。【解決手段】接合体の製造方法は、電解質膜の第1の面にフィルムがそれぞれ積層された第1の積層体と、第2の積層体とを準備する工程と、第1の積層体の末端と、第2の積層体の先端と、の幅方向の少なくとも一部を、フィルムの側から接続部材によって接続する工程と、接続された第1の積層体および第2の積層体の電解質膜に対して、第1の面とは反対側の第2の面に触媒材料を塗工し、触媒層を形成する工程と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、接合体を製造する技術に関する。
固体高分子形燃料電池(以下、単に「燃料電池」とも呼ぶ。)は、発電体として膜電極接合体を備える。膜電極接合体は、電解質膜と、その両面に配置される触媒層と、を備える接合体である。電解質膜はイオン交換樹脂の薄膜によって構成される。触媒層は、触媒担持粒子の分散液(以下、単に「触媒インク」とも呼ぶ。)の塗膜として構成される。
従来から、膜電極接合体の製造方法として、帯状の電解質膜を長尺方向に沿って搬送しつつ、触媒層を構成する電極部材をホットプレスによって連続的に接合(転写)する方法が知られている。特許文献1には、このような製造方法において、第1の電解質膜と第2の電解質膜との上下の面を接続部材によって接続することで、連続処理する技術が記載されている。
特開2014−216108号公報 特開2010−225463号公報
ホットプレスによって触媒層を形成する方法は、触媒インクの塗膜をフィルム上に形成した電極部材を必要とする。このフィルムは使い捨てのため、ホットプレスによって触媒層を形成する方法によれば、膜電極接合体の製造コストが高くなるという課題があった。一方、触媒層を形成する他の方法として、電解質膜に対して触媒インクを直接塗工する方法が知られている。直接塗工により触媒層を形成する方法によれば、電極部材用のフィルムを必要としないため、膜電極接合体の製造コストを低減することができる。
しかし、特許文献1に記載の技術では、第1の電解質膜と第2の電解質膜との上下の面に接続部材が存在する。このため、特許文献1に記載の技術において直接塗工により触媒層を形成する方法を採用し、かつ、第1の電解質膜と第2の電解質膜とを連続処理する場合、電解質膜における触媒インクの塗工面と、触媒インク塗工のためのノズルとの間に接続部材が位置してしまう。従って、特許文献1に記載の技術では、電解質膜と塗工ノズルとの間の間隔を狭くする(例えば、接続部材の厚み以下とする)ことができないという課題があった。特許文献2に記載の技術では、電解質膜と塗工ノズルとの間の間隔を調整する点については考慮されていない。
このため、複数の電解質膜を接続して連続処理する膜電極接合体の製造方法において、電解質膜と塗工ノズルとの間の間隔を狭くすることが望まれていた。また、このような課題は、膜電極接合体の製造方法に限らず、膜状の部材同士を積層して得られる接合体の製造方法において共通する課題であった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、接合体の製造方法が提供される。この接合体の製造方法は;電解質膜の第1の面にフィルムがそれぞれ積層された第1の積層体と、第2の積層体とを準備する工程と;前記第1の積層体の末端と、前記第2の積層体の先端と、の幅方向の少なくとも一部を、前記フィルムの側から接続部材によって接続する工程と;接続された前記第1の積層体および前記第2の積層体の前記電解質膜に対して、前記第1の面とは反対側の第2の面に触媒材料を塗工し、触媒層を形成する工程と、を備える。
この形態の接合体の製造方法によれば、第1の積層体の末端と第2の積層体の先端とを接続部材によって接続するため、複数の電解質膜を接続して連続処理することができる。また、第1の積層体と第2の積層体とを接続するための接続部材は、電解質膜の第1の面に積層されているフィルムの側に配置され、電解質膜の第2の面には配置されない。このため、第1の積層体の電解質膜から第2の積層体の電解質膜にかけて、連続して触媒材料を塗工する場合において、電解質膜の第2の面と塗工ノズルとの間の間隔を狭くする(例えば、接続部材の厚み以下とする)ことができる。この結果、複数の電解質膜を接続して連続処理する接合体の製造方法において、電解質膜と塗工ノズルとの間の間隔を狭くすることができる。
(2)上記形態の接合体の製造方法では、さらに;形成された前記触媒層に対して拡散層を配置する工程であって、前記第1の積層体と前記第2の積層体とが接続された部分を跨いで前記拡散層を配置する工程と;接続された前記第1の積層体および前記第2の積層体から前記フィルムを剥離する工程と、を備えていてもよい。
この形態の接合体の製造方法によれば、第1の積層体と第2の積層体とが接続された部分を跨いで拡散層を配置し、拡散層の配置後において、第1の積層体および第2の積層体からフィルムを剥離する。すなわち、電解質膜は触媒層によって保持され、触媒層は拡散層によって保持されているため、フィルム剥離時における電解質膜の共剥がれを抑制することができる。また、拡散層は、触媒層と比較して厚みが大きいため、引っ張り強度が高い。このため、フィルム剥離時に掛かる力によって、触媒層が破断することを抑制することができる。
(3)上記形態の接合体の製造方法では、さらに;接続された前記第1の積層体および前記第2の積層体の前記電解質膜に対して、前記フィルムの剥離後に現れる前記第1の面に触媒材料を塗工し、触媒層を形成する工程と;形成された前記触媒層に対して拡散層を配置する工程と、を備えていてもよい。
この形態の接合体の製造方法によれば、第1の積層体および第2の積層体からフィルムを剥離する際に、フィルムと共に接続部材が剥離される。このため、フィルムの剥離後に現れる電解質膜の第1の面には、接続部材が配置されていない。従って、第1の積層体の電解質膜から第2の積層体の電解質膜にかけて、連続して触媒材料を塗工する場合において、電解質膜の第1の面と塗工ノズルとの間の間隔を狭くする(例えば、接続部材の厚み以下とする)ことができる。
(4)上記形態の接合体の製造方法において;前記接続する工程は、前記第1の積層体の末端と前記第2の積層体の先端との幅方向の全体に亘って、前記接続部材によって接続してもよい。
この形態の接合体の製造方法によれば、第1の積層体の末端と第2の積層体の先端との幅方向の全体に亘って接続部材により接続するため、第1の積層体と第2の積層体とを強固に接続することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現できる。例えば、燃料電池の製造方法、接合体の製造装置、燃料電池の製造装置、それら装置の制御方法、その制御方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体の形態で実現することができる。また、本発明の一形態としての接合体の製造方法は、複数の電解質膜を接続して連続処理する接合体の製造方法において、電解質膜と塗工ノズルとの間の間隔を狭くすることを課題としている。しかし、この製造方法には、他にも、製造コストの低減、製造工程数の低減、製造方法の簡略化、製造方法の共通化、省資源化、製造方法を実現するための製造装置の小型化、製造装置の使い勝手の向上、等が望まれている。
本発明の一実施形態としての膜電極接合体の製造方法において実行される各工程を示すフローチャートである。 膜電極接合体の製造方法の工程P10〜工程14を説明するための図である。 膜電極接合体の製造方法の工程P16を説明するための図である。 膜電極接合体の製造方法の工程P18を説明するための図である。 膜電極接合体の製造方法の工程P20を説明するための図である。 膜電極接合体の製造方法の工程P22を説明するための図である。 膜電極接合体の製造方法の工程P24を説明するための図である。 比較例について説明するための図である。
A.実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としての膜電極接合体の製造方法において実行される各工程を示すフローチャートである。本実施形態の製造方法によれば、ロール状にされた複数の電解質膜を接続して連続処理することによって、帯状の膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を製造することができる。帯状の膜電極接合体は、後工程において複数枚に切断され、燃料電池の製造に用いられる。
図2は、膜電極接合体の製造方法の工程P10〜工程14を説明するための図である。図2以降の各図では、平面状に展開された状態の電解質膜の断面を図示する。工程P10では、第1の積層体10aと、第2の積層体10bとを準備する。第1の積層体10aは、電解質膜11aと、フィルム12aとが積層されて構成される。同様に、第2の積層体10bは、電解質膜11bと、フィルム12bとが積層されて構成される。以降、第1の積層体10aと第2の積層体10bとを区別せず説明するときは、両者を総称して単に「積層体10」とも呼ぶ。同様に、電解質膜11aと電解質膜11bとを区別せず説明するときは、両者を総称して単に「電解質膜11」とも呼び、フィルム12aとフィルム12bとを区別せず説明するときは、両者を総称して単に「フィルム12」とも呼ぶ。
電解質膜11は、フッ素系のイオン交換樹脂によって形成される。フッ素系のイオン交換樹脂は、湿潤状態において良好なプロトン伝導性を示す。電解質膜11の厚みL1は、例えば約10μmである。フィルム12は、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)のフィルムに、フッ素系または炭化水素系の離型コーティングを施すことで得られる。PETに代えて、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を使用してもよい。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)を使用することもできる。以降、電解質膜11の面のうち、フィルム12が積層されている側の面(図2において鉛直方向下側の面)を「第1の面」とも呼ぶ。電解質膜11の面のうち、第1の面とは反対側の面、換言すれば、フィルム12が積層されていない側の面(図2において鉛直方向上側の面)を「第2の面」とも呼ぶ。
工程P12では、第1の積層体10aの末端と、第2の積層体10bの先端とが隣り合うように2つの積層体10を配置する。この際、電解質膜11とフィルム12との上下関係を合わせた状態で、2つの積層体10を配置する。「上下関係を合わせる」とは、第1の積層体10aについて、例えば、電解質膜11aが鉛直方向上側に位置し、フィルム12aが鉛直方向下側に位置するような配置となっている場合に、積層体10bについても同様に、電解質膜11bが鉛直方向上側に位置し、フィルム12bが鉛直方向下側に位置するような配置とすることを意味する。なお、工程P12では、第1の積層体10aの末端と、第2の積層体10bの先端との間に、任意の間隔SPが設けられてもよい。間隔SPは、接続部材50による接続強度および膜電極接合体の製造コストの観点から、なるべく小さいことが好ましい。
工程P14では、工程P12で配置した第1の積層体10aと、第2の積層体10bとを接続する。具体的には、第1の積層体10aの末端と、第2の積層体10bの先端との幅方向(図2に矢印で示す厚み方向および搬送方向にそれぞれ直交する方向)の少なくとも一部に対して、接続部材50を接着することで、両者を接続する。この際、接続部材50は、フィルム12の側に接着する。接続部材50は、例えば、ポリイミドのテープに、アクリル系接着剤を用いることで得られる。ポリイミドに代えて、PET、PEN、PP等を使用してもよい。接続部材50の厚みL2は、例えば約35μmである。
工程P10〜P14の結果、図2に示すように、第1の積層体10aと第2の積層体10bとが接続部材50によって接続される。このため、以降の工程P16〜P24において、第1の積層体10aと第2の積層体10bとを連続処理し、触媒層の形成と拡散層の形成とを行うことができる。
図3は、膜電極接合体の製造方法の工程P16を説明するための図である。工程P16では、接続された2つの積層体10に対して、一方の触媒層を形成する。具体的には、接続された第1の積層体10aと第2の積層体10bとの電解質膜11の第2の面に対して、コーター91によって触媒インクを塗工する。コーター91としては、例えばダイコーダーを使用することができる。触媒インクは、例えば、触媒担持粒子と、水と、親水性の触媒と、アイオノマーとを加えて混合した混合物を、超音波ホモジナイザーやビーズミル等を用いて分散することで作製する。触媒インクは「触媒材料」として機能する。工程P16の塗工の際、フィルム12側の面はローラー92によって支持されている。触媒インクを塗工後、例えば乾燥炉(図示省略)を使用して塗工層21cを乾燥させて、触媒層21を形成する。触媒層21の厚みL3は、例えば約3μmである。
工程P16の結果、第1の積層体10aと第2の積層体10bとの電解質膜11の第2の面には、触媒層21が形成される。
このように、第1の積層体10aと第2の積層体10bとを接続するための接続部材50は、電解質膜11の第1の面に積層されているフィルム12の側に配置され、電解質膜11の第2の面には配置されない。このため、工程P16において、第1の積層体10aの電解質膜11aから第2の積層体10bの電解質膜11bにかけて、連続して触媒インク(触媒材料)を塗工する場合において、電解質膜11の第2の面とコーター91の塗工ノズルとの間の間隔CLを狭くする(例えば、接続部材50の厚みL2以下とする)ことができる。間隔CLを狭くすることができれば、触媒インクの目付量を低くすることができるため、より薄い触媒層21を形成することができる。
図4は、膜電極接合体の製造方法の工程P18を説明するための図である。工程P18では、接続された2つの積層体10に対して、一方の拡散層を形成する。具体的には、工程P16で形成された触媒層21に対して拡散層31を配置する。拡散層31は、ガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)でもよいし、マイクロポーラス層(MPL:Micro-Porous Layer)付きガス拡散層でもよい。拡散層31の厚みL4は、例えば約200μmである。拡散層31を配置後、積層体10と触媒層21と拡散層31とを一体として、2つのホットローラー(図示省略)に繰り入れることによって、加熱・加圧し、触媒層21と拡散層31とを接合する。
工程P18の結果、第1の積層体10aと第2の積層体10bとの電解質膜11に形成された触媒層21に対して、さらに拡散層31が形成される。図4に示すように、拡散層31は、第1の積層体10aと第2の積層体10bとを跨ぐように形成される。
図5は、膜電極接合体の製造方法の工程P20を説明するための図である。工程P20では、フィルムを剥離する。具体的には、第1の積層体10aと第2の積層体10bとのうちのいずれか一方の端部であって、接続部材50によって接続されていない側の端部から、フィルム12を剥離する。図5の例では、第2の積層体10bの端部からフィルム12を剥離している。第1の積層体10aと第2の積層体10bとは接続部材50によって接続されているため、図5に示すように、第1の積層体10aのフィルム12aと、第2の積層体10bのフィルム12bとは、一体となって剥離される。
このように、第1の積層体10aと第2の積層体10bとが接続された部分を跨いで拡散層31を配置し、拡散層31の配置後において、第1の積層体10aおよび第2の積層体10bからフィルム12を剥離する。この際、電解質膜11は触媒層21によって保持され、触媒層21は拡散層31によって保持されているため、工程P20におけるフィルム12の剥離時において、フィルム12と共に電解質膜11が剥がれてしまうこと(電解質膜11の共剥がれ)を抑制することができる。また、拡散層31の厚みL4(約200μm)は、触媒層21の厚みL3(約3μm)と比較して大きいため、拡散層31は触媒層21と比較して引っ張り強度が高い。このため、フィルム12の剥離時に掛かる力によって、触媒層21が破断することを抑制することができる。
図6は、膜電極接合体の製造方法の工程P22を説明するための図である。工程P22では、接続された2つの積層体10に対して、他方の触媒層を形成する。詳細は工程P16と同様である。但し、工程P22では、接続された第1の積層体10aと第2の積層体10bとのうち、フィルム12の剥離後に現れる電解質膜11の第1の面に触媒インクを塗工する。
工程P22の結果、第1の積層体10aと第2の積層体10bとの電解質膜11の第1の面には、触媒層22が形成される。
このように、第1の積層体10aおよび第2の積層体10bからフィルム12を剥離する際に、フィルム12と共に接続部材50が剥離される。このため、フィルム12の剥離後に現れる電解質膜11の第1の面には、接続部材50が配置されていない。従って、工程P22において、第1の積層体10aの電解質膜11aから第2の積層体10bの電解質膜11bにかけて、連続して触媒インク(触媒材料)を塗工する場合において、電解質膜11の第1の面とコーター91の塗工ノズルとの間の間隔CLを狭くする(例えば、接続部材50の厚みL2以下とする)ことができる。
図7は、膜電極接合体の製造方法の工程P24を説明するための図である。工程P24では、接続された2つの積層体10に対して、他方の拡散層を形成する。詳細は工程P18と同様である。但し、工程P24では、工程P22で形成された触媒層22に対して拡散層32を配置し、接合する。
工程P24の結果、第1の積層体10aと第2の積層体10bとの電解質膜11に形成された触媒層22に対して、さらに拡散層32が形成され、帯状の膜電極接合体1を得ることができる。膜電極接合体1のうち、電解質膜11aと電解質膜11bとの間隔SP近傍は、後工程において切断され、燃料電池の製造には使用されない。なお、本実施形態では説明の便宜上、2枚の電解質膜11(すなわち、第1の積層体10aと第2の積層体10b)を連続処理して膜電極接合体1を製造する方法について述べた。しかし、工程P10〜P24を連続的に実行することによって、2枚以上の任意の複数枚の電解質膜11を連続処理して膜電極接合体1を製造することもできる。
以上のように、本実施形態によれば、複数の電解質膜(第1の積層体10aの電解質膜11a、第2の積層体10bの電解質膜11b)を接続して連続処理する接合体(膜電極接合体1)の製造方法において、電解質膜11と塗工ノズルとの間の間隔CLを狭くすることができる。このため、本実施形態は、以下のような利点がある。
・連続処理する電解質膜11の枚数を増やせば、それだけ膜電極接合体1の製造における稼働率を向上させることができる。
・間隔CLを狭くすることができるため、触媒インクの目付量を低くすることができる。
・低目付の触媒インクを使用して触媒層21の厚みL3をより薄くすることができるため、触媒インクの使用量と触媒インクの乾燥負荷とを低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、電解質膜11に対して触媒インク(触媒材料)を直接塗工する方法を利用して、膜電極接合体1を製造することができる。このため、本実施形態は、ホットプレスによって触媒層21,22を形成する方法を利用した膜電極接合体1の製造方法と比較して、以下のような利点がある。
・触媒インクの塗膜をフィルム上に形成した電極部材を予め準備する必要がないため、工定数を削減することができる。
・電極部材用のフィルムを必要としないため、製造コストを低減することができる。
B.比較例:
図8は、比較例について説明するための図である。比較例では、上記実施形態の膜電極接合体の製造方法における工程P16(触媒層21の形成)と、工程P18(拡散層31の形成)とを省略した場合について説明する。触媒層21と拡散層31とを形成せずに、第1の積層体10aおよび第2の積層体10bからフィルム12を剥離した場合、剥離を開始した側のフィルム12と電解質膜11(図の例ではフィルム12bと電解質膜11b)とは問題なく剥離できる。しかし、接続部材50によって接続された側のフィルム12と電解質膜11(図の例ではフィルム12aと電解質膜11a)とは剥離することができず、電解質膜11の共剥がれが生じてしまう。これは、電解質膜11aと電解質膜11bとが、触媒層21や拡散層31によって保持されていないためである。
上記実施形態の膜電極接合体の製造方法における工程P18(拡散層31の形成)だけを省略した場合についても同様に、接続部材50によって接続された側のフィルム12と電解質膜11(図の例ではフィルム12aと電解質膜11a)とは剥離することができず、触媒層21の破断と、電解質膜11の共剥がれが生じてしまう。これは、触媒層21の厚みL3(約3μm)が非常に薄いため、触媒層21が引っ張る力に耐えられないためである。
C.変形例:
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
例えば、工程P14では、第1の積層体10aの末端と第2の積層体10bの先端との幅方向の全体に亘って、接続部材50を接着することによって、第1の積層体10aと第2の積層体10bとを接続してもよい。こうすれば、第1の積層体と第2の積層体とを強固に接続することができる。
例えば、工程P18〜P24のうちの、少なくとも一部の工程は省略してもよい。また、工程P10〜P24に対してさらに他の工程を備えていてもよい。
1…膜電極接合体
10…積層体
10a…第1の積層体
10b…第2の積層体
11、11a、11b…電解質膜
12、12a、12b…フィルム
14…工程
21…触媒層
21c…塗工層
22…触媒層
31…拡散層
32…拡散層
50…接続部材
91…コーター
92…ローラー
CL…間隔
SP…間隔

Claims (3)

  1. 接合体の製造方法であって、
    電解質膜の第1の面にフィルムがそれぞれ積層された第1の積層体と、第2の積層体とを準備する工程と、
    前記第1の積層体の末端と、前記第2の積層体の先端と、の幅方向の少なくとも一部を、前記フィルムの側から接続部材によって接続する工程と、
    接続された前記第1の積層体および前記第2の積層体の前記電解質膜に対して、前記第1の面とは反対側の第2の面に触媒材料を塗工し、触媒層を形成する工程と、
    を備える、接合体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の接合体の製造方法であって、さらに、
    形成された前記触媒層に対して拡散層を配置する工程であって、前記第1の積層体と前記第2の積層体とが接続された部分を跨いで前記拡散層を配置する工程と、
    接続された前記第1の積層体および前記第2の積層体から前記フィルムを剥離する工程と、
    を備える、接合体の製造方法。
  3. 請求項2に記載の接合体の製造方法であって、さらに、
    接続された前記第1の積層体および前記第2の積層体の前記電解質膜に対して、前記フィルムの剥離後に現れる前記第1の面に触媒材料を塗工し、触媒層を形成する工程と、
    形成された前記触媒層に対して拡散層を配置する工程と、
    を備える、接合体の製造方法。
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