以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は実施例の燃料電池10を構成する単セル15を断面視して概略的に示す説明図、図2はMEAの構成部材の接合の様子をその寸法状態と合わせて模式的に示す説明図である。本実施例の燃料電池10は、図1に示す構成の単セル15を対向するセパレーター25、26で挟持して、この単セル15を複数積層したスタック構造の固体高分子型燃料電池である。
単セル15は、電解質膜20の両側にアノード21とカソード22の両電極を備える。電解質膜20は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。アノード21およびカソード22は、例えば白金、あるいは白金合金等の触媒を担持した導電性の担体、例えばカーボン粒子(以下、触媒担持カーボン粒子と称する)を、プロトン伝導性を有するアイオノマーで被覆して形成された電極触媒層であり、電解質膜20の両膜面に接合され電解質膜20と共に膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)を形成する。通常、アイオノマーは、電解質膜20と同質の固体高分子材料である高分子電解質樹脂(例えばフッ素系樹脂)であり、その有するイオン交換基によりプロトン伝導性を有する。
この他、単セル15は、電極形成済みの電解質膜20を両側から挟持するアノード側ガス拡散層23とカソード側ガス拡散層24とセパレーター25,26を備え、両ガス拡散層は、対応する電極(アノード21またはカソード22)に接合されている。アノード側ガス拡散層23とカソード側ガス拡散層24は、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパやカーボンクロス等のカーボン多孔質体や、金属メッシュや発泡金属等の金属多孔質体によって形成される。本実施例では、電解質膜20とアノード21およびカソード22で形成されるMEAを、アノード側ガス拡散層23とカソード側ガス拡散層24で挟持した状態で単セル15の基幹部位を製造する。よって、MEAに上記の両ガス拡散層を含めた物をMEGA(Membrane-Electrode&Gas. Diffusion Layer Assembly)と、適宜、称することとする。
図2に示すように、アノード21は、電解質膜20とほぼ同寸法の矩形形状とされ、カソード22は、アノード21より縦横とも短くされている。アノード側ガス拡散層23とカソード側ガス拡散層24は、ほぼ同寸法の矩形形状とされ、アノード側ガス拡散層23は、アノード21より縦横とも同寸もしくはやや短くされている。カソード側ガス拡散層24は、アノード側ガス拡散層23とほぼ同寸法とされている。なお、アノード21、アノード側ガス拡散層23等は上記のようにその寸法が相違するが、単セル15としての組み付け状態では、これらはその周囲において図示しないシール部材にて気密にシールされる。
セパレーター25は、アノード側ガス拡散層23の側に、水素を含有する燃料ガスを流すセル内燃料ガス流路47を備える。セパレーター26は、カソード側ガス拡散層24の側に、酸素を含有する酸化ガス(本実施例では、空気)を流すセル内酸化ガス流路48を備える。なお、図には記載していないが、隣り合う単セル15間には、例えば、冷媒が流れるセル間冷媒流路を形成することができる。これらセパレーター25,26は、ガス不透過な導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、焼成カーボン、あるいはステンレス鋼などの金属材料により形成されている。
図1では図示していないが、セパレーター25,26の外周近傍の所定の位置には、複数の孔部が形成されている。これらの複数の孔部は、セパレーター25,26が他の部材と共に積層されて燃料電池10が組み立てられたときに互いに重なって、燃料電池10内を積層方向に貫通する流路を形成する。すなわち、上記したセル内燃料ガス流路47やセル内酸化ガス流路48、あるいはセル間冷媒流路に対して、燃料ガスや酸化ガス、あるいは冷媒を給排するためのマニホールドを形成する。
本実施例の燃料電池10は、セパレーター25のセル内燃料ガス流路47からの水素ガスを、アノード側ガス拡散層23で拡散ししつつ、アノード21に供給する。空気については、セパレーター26のセル内酸化ガス流路48からの空気を、カソード側ガス拡散層24で拡散ししつつカソード22に供給する。こうしたガス供給を受けて、燃料電池10は、発電し、その発電電力を外部の負荷に与える。
次に、燃料電池10の製造方法について説明する。図3は燃料電池10の製造手順を示す説明図である。図示するように、燃料電池10を製造するに当たっては、まず、その構成単位である単セル15を作製する。
単セル15の作製に当たり、その構成部材を準備する(ステップS100)。図4は準備する電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFの準備の形態を模式的に示す説明図である。図示するように、電解質膜フィルム20Fについては、電解質膜20の上記の高分子電解質樹脂を用いてフィルム状に電解質膜フィルム20Fを形成し、その一方のフィルム面に、アノード21を点在させて形成する。電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面には、剥離可能なバックフィルムBFを貼り付ける。このバックフィルムBFについては、これを、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル系、ポリスチレン等の高分子フィルムによって形成することができる。こうして、電解質膜フィルム20Fをロール状に巻き取った電解質膜フィルムロール20Rを準備する。アノード21は、触媒担持カーボン粒子とアイオノマーとを分散させた触媒インクを適宜な塗工機器にて電解質膜フィルム20Fに間欠的に塗工し、その後の乾燥を経て形成される。アノード21は、図中の側面断面視に示すように、電解質膜フィルム20Fのフィルム幅より狭くされ、上記した寸法関係で形成される。以下、アノード21が形成済みでバックフィルムBFが貼り付け済みの電解質膜フィルム20F、およびバックフィルムBFの剥離済みの電解質膜フィルム20Fを、積層済み電解質膜フィルム20Fと称する。
カソード支持フィルムDFは、一方のフィルム面に、カソード22を点在させて形成する。カソード支持フィルムDFは、点在形成済みのカソード22に対して剥離可能であり、カソード22の点在形成済みの状態でロール状に巻き取られ、カソード支持フィルムロールDRとして準備される。このカソード支持フィルムDFは、PETやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の高分子フィルムによって形成される。カソード22は、上記の触媒インクを適宜な塗工機器にて電解質膜フィルム20Fに間欠的に塗工し、その後の乾燥を経て形成される。カソード22の点在形成に当たっては、図示するようにマスクMを用いて、カソード22の矩形形状を確定する。この場合、アノード21についても矩形形状を確定するようマスクMを用いることも可能ではあるが、アノード形成対象である電解質膜フィルム20Fの表面損傷回避のためマスクMは使用せず、塗工機器からの間欠塗工でアノード21を形成する。なお、カソード22の形成対象は、後の剥離除去されるカソード支持フィルムDFであることから、マスクMの使用に伴う表面損傷はMEAに影響を与えない。カソード22にあっても、図中の側面断面視に示すように、カソード支持フィルムDFのフィルム幅より狭くされ、上記した寸法関係で形成される。以下、カソード22が形成済みのカソード支持フィルムDFを、積層済みカソード支持フィルムDFと称する。
このように電極触媒層を形成しながら上記の両フィルムロールを準備するほか、電極触媒層が形成済みでロール状に巻き取られた電解質膜フィルムロール20Rやカソード支持フィルムロールDRを購入準備することもできる。なお、アノード側およびカソード側の拡散層については、導電性で多孔質の基材、例えばカーボンクロスを上記の矩形サイズで一枚ずつ準備される(図示略)。セパレーター25、26については、それぞれセル内燃料ガス流路47、48を有する形態で準備される(図示略)。
上記のステップS100に続いて、積層済み電解質膜フィルム20Fと積層済みカソード支持フィルムDFとからMEAを作製する(ステップS110)。図5はステップS110で得られるフィルム状のMEAのアノード21等の積層の様子をフィルム長手方向の断面とフィルム表裏面から見て示す説明図である。
図5に示すように、MEAは、電解質膜フィルム20Fを挟んでアノード21とカソード22とが向かい合う領域とされ、電解質膜フィルム20Fの長手方向に点在する。MEAの点在の様子は、アノード21およびカソード22の点在の様子と同じである。この場合、アノード21は、塗工機器から電解質膜フィルム20Fへの間欠塗工で形成されることから、塗工開始時と塗工停止時とではエッジ形状が僅かな塗工ムラとなり、この塗工ムラはアノード21の未塗工領域Nsの前後に残る。カソード22は、マスクMを用いる都合上、ほぼ同一形状で点在する。そして、MEAは、カソード22を全て含み、アノード21については塗工ムラを含まないように、カッティングされて(図2参照)、単セル15を構成する。なお、図5に示すように、カソード支持フィルムDFは、電解質膜フィルム20Fと共に存在するが、後述のMEA製造装置100において剥離される、もしくはカッティングの後に剥離される。
本実施形態では、図5に示すようにしてフィルム状のMEAを作製すべく、MEA製造装置100を用いた。図6はMEA製造装置100の概略構成を各搬送箇所でのフィルムの形態と共に模式的に示す説明図である。このMEA製造装置100は、第1搬送系110と、第2搬送系120と、フィルム接合部130と、フィルム転写圧着部140と、フィルム剥離部150と、半製品回収部160と、切込形成部170と、制御装置200とを備えている。なお、この図6は、フィルム搬送とフィルム接合、並びにフィルム形態の様子を模式的に示しており、実際の電解質膜フィルム20Fやカソード支持フィルムDF、アノード21およびカソード22の厚みや縦横サイズを反映したものではない。
第1搬送系110は、電解質膜フィルムロール20Rに巻き取られた電解質膜フィルム20Fをフィルム接合部130に送り出す。送り出された電解質膜フィルム20Fは、搬送ポイントP1のフィルム形態に示すように、バックフィルムBFと電解質膜フィルム20Fとが積層し(図4参照)、電解質膜フィルム20Fのフィルム面(上面)にアノード21が点在形成されている。この第1搬送系110は、搬送下流側にフィルム剥離ローラー112を備え、当該ローラーを回転させつつ電解質膜フィルム20FからバックフィルムBFを剥離し、当該剥離したバックフィルムBFを回収ローラー114に巻き取り回収する。よって、第1搬送系110は、積層済み電解質膜フィルム20Fを、バックフィルムBFの側のフィルム面を露出させて、フィルム接合部130に送り出す。また、この第1搬送系110は、後述するフィルム転写圧着部140での第2転写ローラー142の前進と退避タイミングを定めるために用いるアノードセンサー116を備える。このアノードセンサー116は、光反射型の光センサーとして構成され、第1搬送系110から搬送されつつある積層済み電解質膜フィルム20Fにおいて隣り合うアノード21の間の未塗工領域Nsの搬送方向に沿った先端部位と末端部位を、或いは、隣り合う個々のアノード21の搬送方向に沿った先端部位と末端部位を検知し、その信号を制御装置200に出力する。第2搬送系120は、カソード支持フィルムロールDRに巻き取り済みのカソード支持フィルムDF(図4参照)をフィルム接合部130に送り出す。カソード支持フィルムDFは、搬送ポイントP2のフィルム形態に示すように、カソード22が上記の電解質膜フィルム20Fの露出フィルム面に向くようにして、送り出される。MEA製造装置100は、こうして送り出された積層済み電解質膜フィルム20Fと積層済みカソード支持フィルムDFとをフィルム接合部130にて接合させる。
フィルム接合部130は、積層済み電解質膜フィルム20Fにおけるアノード21の露出面(上面)にローラー表面を接触させる接合ローラー131と、積層済みカソード支持フィルムDFの露出面(下面)の側に位置する接合案内ローラー132とを備える。接合ローラー131と接合案内ローラー132の両ローラーは、回転しながら積層済み電解質膜フィルム20Fと積層済みカソード支持フィルムDFをフィルム転写圧着部140に向けて送り出すと共に、この電解質膜フィルム20Fを積層済みカソード支持フィルムDFのカソード22に押し付ける。これにより、積層済み電解質膜フィルム20Fと積層済みカソード支持フィルムDFとは、電解質膜フィルム20Fの露出面にカソード22が密着するようにして、接合する。この接合の様子は、図5および搬送ポイントP3のフィルム形態で示されており、電解質膜フィルム20Fの下面にカソード22が接合し、電解質膜フィルム20Fを挟んで、アノード21とカソード22が対向する。カソード支持フィルムDFにあっては、カソード22に接合したままである。こうしたフィルム接合に関与する第1搬送系110と第2搬送系120およびフィルム接合部130は、積層済み電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFとを搬送しつつ、既述したようにアノード21とカソード22が電解質膜フィルム20Fに接合した状態とし(以下、電極接合済み電解質膜フィルム20Fと称する)、両フィルムを、フィルム転写圧着部140における第1転写ローラー141と第2転写ローラー142の間の転写圧着位置に搬送案内する。この場合、図5に示すようにカソード22がアノード21のほぼ中央位置となるよう電解質膜フィルム20Fを挟んでアノード21に対向するよう、第1搬送系110によるフィルム搬送開始と第2搬送系120によるフィルム搬送開始、および搬送過程のローラー回転速度が、アノードセンサー116のセンサー信号を入力する制御装置200により制御される。
フィルム転写圧着部140は、対向して回転する一対の転写ローラー対を備え、当該ローラー対を、第1転写ローラー141と第2転写ローラー142とで構成する。第1転写ローラー141は、ゴム製のローラー或いは表面がゴムとされたローラーであり、第2転写ローラー142は、金属製のローラーである。この両ローラーは、その対向間隔を電極接合済み電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFの厚みの和よりやや狭くし、この対向箇所をフィルム転写圧着箇所とする。第2転写ローラー142は、図における紙面手前側と紙面奥側のローラー軸両端にて、図示しないし支持腕に回転自在に支持されており、この支持腕ごとフィルム転写圧着箇所から退避可能とされている。このローラー退避については、後述する。この場合、第2転写ローラー142を、ヒーター内蔵の加熱ローラーとすることもでき、制御装置200は、ヒーター制御と回転制御を行って、第2転写ローラー142を、回転させながらローラー表面をフィルムの加熱圧着に適した温度とする。
フィルム転写圧着部140は、接合ローラー131と接合案内ローラー132の下流から案内された電極接合済み電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDF(以下、これらフィルムを一体として接合済みフィルムSFと適宜称する)を、上記の両転写ローラーのフィルム転写圧着に案内する。この案内に際しては、図示するように、カソード支持フィルムDFを第1転写ローラー141のローラー表面に接触させる。よって、第1転写ローラー141は、接合済みの電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFのうちのカソード支持フィルムDFを第1転写ローラー141のローラー表面に接触させて、上記接合済みの電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFを上記のフィルム転写圧着箇所に案内する経路を、接合ローラー131と接合案内ローラー132と協働して形成する。そして、第1転写ローラー141と第2転写ローラー142とは、電極接合済み電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFを両面から押圧することによって、電解質膜フィルム20Fにカソード支持フィルムDFのカソード22を転写圧着し、転写圧着済みの両フィルムを、テンションローラー143にてテンションを掛けつつ下流のフィルム剥離部150に搬送する。この場合、第2転写ローラー142を加熱ローラーとすれば、電解質膜フィルム20Fにカソード支持フィルムDFのカソード22を加熱圧着できる。
フィルム転写圧着部140の下流側に位置する切込形成部170は、カッター172とストッパローラー173とを備える。図7は切込形成部170の概略構成を示す説明図、図8は図7におけるA方向矢視の要部の概略構成とカッター172の刃先による切り込み形成の様子を示す説明図である。図示するように、切込形成部170は、カッター172を、電極接合済み電解質膜フィルム20Fにおけるアノード21の側に位置させ、このカッター172を等間隔で多列に第1プレート174に備える。第1プレート174は、第2プレート175に対して着脱自在であり、個々のカッター172は、個別に第1プレート174に着脱される。つまり、カッター172は、個々に交換可能であるほか、第1プレート174ごと一括にも交換可能とされている。切込形成部170は、シリンダー176にて第2プレート175を前後退することで、個々のカッター172を、アノード21の表面から離れた原位置と、刃先がアノード21の側に入り込んだ切り込み位置との間で前後退させる。この切り込みは、図8に示すように、接合状態のカソード支持フィルムDFと電極接合済み電解質膜フィルム20Fに対して、アノード21の側から、電解質膜フィルム20Fとカソード22の接合面に到るようにされている。そして、カッター172がこの切り込み位置まで前進することで、アノード21と電解質膜フィルム20Fには切刃痕Ksが残ることになり、この切刃痕Ksは、アノード21の側から電解質膜フィルム20Fとカソード22の接合面に達する。ストッパローラー173は、電極接合済み電解質膜フィルム20Fに重なったカソード支持フィルムDFの側に位置し、アノード21の側に上記のように前進するカッター172のストッパーとして機能する。切込形成部170によるカッター172の前後退のタイミングおよび切り込み形成箇所については後述する。
切込形成部170より下流側のフィルム剥離部150は、剥離ローラー151と、搬送ローラー152と、テンションローラー153とを備えている。剥離ローラー151は、搬送ローラー152と対向配置され、テンションローラー153にて搬送経路が変更されたカソード支持フィルムDFを、アノード21から剥離する。剥離後のフィルムの様子は、搬送ポイントP4のフィルム形態に示すように、カソード支持フィルムDFがない状態で、電解質膜フィルム20Fの下面にアノード21が接合し、電解質膜フィルム20Fを挟んで、アノード21とカソード22が向き合う。つまり、フィルム状のMEAフィルムMFが得られることになり、このMEAフィルムMFは半製品回収部160に搬送される。剥離されたカソード支持フィルムDFは、回収ローラー154に巻き取り回収される。
半製品回収部160は、バックフィルム補給ローラーBFRと、搬送ローラー161と、テンションローラー162と、半製品回収ローラー163とを備えている。搬送ローラー161は、MEAフィルムMFを搬送しつつ、バックフィルム補給ローラーBFRから送り出されたバックフィルムBFを、MEAフィルムMFのカソード22に重ね合わせ、この状態で、バックフィルムBFおよびMEAフィルムMFをテンションローラー162に搬送する。テンションローラー162は、経路を屈曲させつつテンションを掛けることで、搬送ポイントP4のフィルム形態のカソード22にバックフィルムBFを接合する。バックフィルムBFの接合済みのMEAフィルムMFは、単セル15(図2参照)に組み込まれる矩形形状ではないので、MEA半製品として半製品回収ローラー163に巻き取り回収される。回収されたMEAフィルムMFは、図示しないフィルム切断装置にて矩形形状に切断されてMEAとしてMEGAの作製に用いられるほか、フィルム形態のままMEGAの作製に用いることもできる。また、半製品回収ローラー163に巻き取った半製品のMEAフィルムMFとして、燃料電池製造ラインに出荷することもできる。なお、フィルム剥離部150と半製品回収部160を省略して、カソード支持フィルムDFが電極接合済み電解質膜フィルム20Fに接合した形態で、テンションローラー143の下流にて巻き取って、MEA半製品とすることもできる。
制御装置200は、図示しない各種スイッチやセンサーの入力を受けつつ、既述した各ローラーの回転速度を調整制御するほか、第2転写ローラー142の前後退、および切込形成部170におけるカッター172の前後退についてもこれを制御する。なお、第2転写ローラー142を加熱ローラーとする場合には、制御装置200は、第2転写ローラー142の温度についても、これを制御する。
既述したように、MEAフィルムMFが得られると、図3のステップS120にて、フィルム状のMEGAを作製する。つまり、上記のMEAフィルムMFの表裏面にアノード側ガス拡散層23とカソード側ガス拡散層24を、ホットプレス等の手法にて接合し、ガス拡散層接合済みのMEAフィルムMFを切断して、MEAをその両側でアノード側ガス拡散層23とカソード側ガス拡散層24で挟持した矩形状のMEGAを得る。MEAフィルムMFを予め矩形形状に切断しておいて、上記の両ガス拡散層を接合するようにすることもできる。また、切断しないまま、或いは切断した状態のMEGAを、燃料電池製造ラインに出荷することもできる。
次いで、このMEGAをセパレーター25とセパレーター26とで挟持して単セル15を作製し(ステップS130)、所定数の単セル15を積層してスタック状に組み立て、これを積層方向に締結する(ステップS140)。これにより、図1に示した燃料電池10が得られる。
次に、既述したステップS110でのMEA作製の際の第2転写ローラー142の退避と切込形成部170による切り込み形成について説明する。図9は第2転写ローラー142の前後退の様子を模式的に示す説明図、図10は第2転写ローラー142の前後退およびカッター172の前後退を電極接合済み電解質膜フィルム20Fの搬送状態と合わせて示す説明図である。なお、図10では、第2転写ローラー142やテンションローラー143のローラー前後において、電極接合済み電解質膜フィルム20Fの搬送経路を、便宜上、上下としているが、実際の搬送経路は図6に示す通りであり、電極接合済み電解質膜フィルム20Fは、テンションローラー143にてテンションを受ける。後述の図11も同様である。
図5および図6に示すように、第1転写ローラー141と第2転写ローラー142の間の転写圧着位置には、アノード21と電解質膜フィルム20F、カソード22およびカソード支持フィルムDFが重なった接合箇所とアノード21の未塗工の未塗工領域Nsとが交互に到着する。制御装置200は、搬送されつつあるアノード21の先端・後端をアノードセンサー116(図6参照)からのセンサー信号により把握した上で、センサー検知箇所から転写圧着位置までの搬送経路長とローラーによる電極接合済み電解質膜フィルム20Fの搬送速度とを勘案して、第2転写ローラー142を進退駆動する。この様子は、図9〜図10に示されており、制御装置200は、アノード21の塗工形成領域が転写圧着位置を通過する間は、ローラー移動機構145を前進駆動して、支持腕146により第2転写ローラー142を転写圧着位置まで前進させる。また、アノード21の未塗工領域Nsが転写圧着位置を通過する間は、ローラー移動機構145を後退駆動して、支持腕146により第2転写ローラー142を転写圧着位置から退避させる。制御装置200は、この第2転写ローラー142の前進退避を、繰り返す。その詳細は、図10に示すように、制御装置200は、転写圧着位置まで前進させて駆動制御している第2転写ローラー142(図10(A))を、アノード21の末端箇所即ち未塗工領域Nsの先端箇所が転写圧着位置に到達する前に、転写圧着位置から退避駆動する(図10(B))。次いで、未塗工領域Nsが転写圧着位置を通過して、未塗工領域Nsに続くアノード21の先端箇所即ち未塗工領域Nsの末端箇所が転写圧着位置に到達すると、その直前に、制御装置200は第2転写ローラー142を転写圧着位置に前進駆動する(図10(C))。これにより、電極接合済み電解質膜フィルム20Fは、未塗工領域Nsが転写圧着位置を通過する間において、第2転写ローラー142からの転写圧着を受けない。
図5および図6に示すように、フィルム転写圧着部140の下流の切込形成部170におけるカッター172の刃先前方には、アノード21と電解質膜フィルム20F、カソード22およびカソード支持フィルムDFが重なった接合箇所とアノード21の未塗工の未塗工領域Nsとが交互に到着する。制御装置200は、第2転写ローラー142の進退駆動制御と同様に、アノードセンサー116のセンサー信号と搬送経路長および搬送速度に基づいて、カッター172を進退駆動する。図11はカッター172により切刃痕Ksが形成される様子とエアー放出の様子を示す説明図である。図10および図11に示すように、制御装置200は、カッター172の刃先位置に電極接合済み電解質膜フィルム20Fの未塗工領域Nsの末端が近づくと、シリンダー176(図7参照)を前進駆動して、カッター172を切り込み位置まで前進させる。次いで、未塗工領域Nsの末端がカッター172の刃先位置を通過し未塗工領域Nsに続くアノード21の先端箇所がカッター172の刃先位置に達する前で、カッター172を切り込み位置まで前進させたままとする。その後、カッター172をアノード21から離れるよう退避駆動する。こうしたカッター172の進退駆動とその間の電極接合済み電解質膜フィルム20Fの搬送により、電極接合済み電解質膜フィルム20Fには、未塗工領域Nsでは電解質膜フィルム20Fに、未塗工領域Nsの末端からこれに続くアノード21の先端に欠けては、アノード21と電解質膜フィルム20Fに、複数筋の切刃痕Ksがフィルム搬送方向に沿って形成され、この切刃痕Ksは、未塗工領域Nsの末端を跨いで形成される。本実施形態のMEA製造装置100では、切刃痕Ksがカソード22の先端箇所にまで達しないよう、カッター172の進退駆動制御がなされている。
以上説明したように、本実施形態のMEA製造装置100は、フィルム転写圧着部140においてアノード21と向かい合う第2転写ローラー142を、電極接合済み電解質膜フィルム20Fにおける未塗工領域Nsが転写圧着箇所を通過する間に亘って、この転写圧着箇所から離間する側に退避させる(図9〜図10参照)。このため、本実施形態のMEA製造装置100は、第2転写ローラー142の退避により、この第2転写ローラー142を、アノード21が未形成の未塗工領域Nsにおいて電解質膜フィルム20Fに接触させないようにする。第2転写ローラー142と電解質膜フィルム20Fとが接触して両者の張り付きが起きると、その張り付き解消が必要となるが、本実施形態のMEA製造装置100によれば、こうした張り付き解消が不要となり、簡便である。
また、本実施形態のMEA製造装置100では、アノード21を繰り返し形成した電解質膜フィルム20Fと、カソード22を繰り返し形成したカソード支持フィルムDFとを重ねて、電解質膜フィルム20Fを挟んでアノード21とカソード22とが対向するよう、カソード22を電解質膜フィルム20Fに接合させる。こうした接合を、第1転写ローラー141と第2転写ローラー142の転写圧着位置で行い、カソード22が転写圧着済みの電極接合済み電解質膜フィルム20Fに対して、アノード21の側からカッター172にて切刃痕Ksを複数筋形成する(図10〜図11参照)。そして、本実施形態のMEA製造装置100は、この切刃痕Ksを、電解質膜フィルム20Fに形成済みのアノード21の側から電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面に到る切り込みとして、フィルム搬送方向に沿って未塗工領域Nsを跨ぐように形成し、電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面、即ちカソード22の接合面にまで到達させる。このため、電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面へのカソード22の接合に際して、未塗工領域Nsと重なる範囲における電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面とカソード22の形成済みカソード支持フィルムDFとの間に仮にエアーが入り込んでいても、このエアーは、その後のテンションローラー143によるテンションを受けて、未塗工領域Nsの末端の切刃痕Ksから、図11に点線で示すように、アノード21の側に大気放出される。よって、本実施形態のMEA製造装置100によれば、アノード21の形成済み電解質膜フィルム20Fとカソード22の形成済みカソード支持フィルムDFとの間にエアー溜まりを残さないようにできるので、電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面へのカソード22の接合不良を抑制できる。しかも、切刃痕Ksの形成に当たっては、電極接合済み電解質膜フィルム20Fおよびカソード支持フィルムDFを搬送させつつカッター172の進退駆動を行えば良いことから、簡便となる。換言すれば、カッター172の進退構成という簡便な構成で、電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面へのカソード22の接合不良を抑制できる。
このように切刃痕Ksを形成するに当たり、本実施形態のMEA製造装置100は、カッター172に向かい合うストッパローラー173をカソード支持フィルムDFに押し当てて、カッター172のストッパーとして機能させる。よって、カッター172の前進に際して、カソード支持フィルムDF、延いては電極接合済み電解質膜フィルム20Fが逃げないようにできるので、確実に切刃痕Ksを形成できる。この場合、カソード支持フィルムDFは、PETやPTFE等の高分子フィルムであって、ある程度の剛性を有するので、ストッパローラー173で支えられたカソード支持フィルムDFがいわゆるまな板として機能し、これによっても、切刃痕Ksを複数筋であっても確実に形成できる。
ところで、本実施形態のMEA製造装置100は、既述したように未塗工領域Nsが転写圧着箇所を通過する間に亘って第2転写ローラー142を退避して、第2転写ローラー142を電解質膜フィルム20Fに接触させないことから、未塗工領域Nsと重なる範囲における電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFとの間へのエアーの入り込みの機会が増す可能性がある。しかしながら、未塗工領域Nsの末端を跨いで形成した切刃痕Ksからのエアーの大気放出を図ることができるので、エアーの入り込みによる不具合は回避できる。つまり、本実施形態のMEA製造装置100によれば、電解質膜フィルム20Fへのローラー張り付き回避とエアーの大気放出とを両立した上で、製造工程の簡便化やコスト低下を図ることができる。
この他、本実施形態のMEA製造装置100では、切刃痕Ksを電解質膜フィルム20Fの幅方向において複数筋形成したので、エアーの大気放出機会が増し、カソード22の接合不良を高い実効性で抑制できる。
次に、変形例について説明する。図12は第1変形例のMEA製造装置100Aの概略構成を図6相当に示す説明図、図13はMEA製造装置100Aで得られる効果を説明するための説明図である。
このMEA製造装置100Aは、既述したMEA製造装置100の構成に加え、フィルム接合部130の接合案内ローラー132とフィルム転写圧着部140の第1転写ローラー141の間の搬送経路に、帯電機器210を備える。この帯電機器210は、制御装置200の制御を受けて放電して、電極接合済み電解質膜フィルム20Fをアノード21の側から帯電させる。制御装置200は、アノードセンサー116からのセンサー信号と帯電機器210までの搬送経路長および搬送速度とに基づいて、帯電機器210の放電対象領域を未塗工領域Nsが通過する間に亘って帯電機器210を放電制御する。アノード21は、触媒を担持した導電性の担体を含むことから、放電を受けても帯電しないのに対し、カソード支持フィルムDFと電解質膜フィルム20Fは、樹脂製であるため、図13に示すように、アノード21の形成領域を除いて帯電し、両フィルムの帯電状況は、樹脂の性状によりカソード支持フィルムDFが負極、電解質膜フィルム20Fが正極に別れる。このため、カソード支持フィルムDFと電解質膜フィルム20Fは、この両フィルムの間にあるカソード22を袋状に取り囲むよう、カソード22の周囲において密着するので、電解質膜フィルム20Fとカソード22との接合箇所へのエアーの入り込みを抑制する。従って、この実施形態のMEA製造装置100Aによれば、第1転写ローラー141と第2転写ローラー142による転写圧着の際に、残存エアーの抜けに伴う接合シワを抑制した上で、第2転写ローラー142による退避制御やカッター172による切刃痕Ksに基づいた上記の効果を奏することができる。
図14は第2変形例のMEA製造装置100Bの概略構成を図6相当に示す説明図、図15はMEA製造装置100Bで得られる効果を説明するための説明図である。
このMEA製造装置100Bは、上記のMEA製造装置100Aの構成に加え、フィルム接合部130の上流に、除電機器220を備える。この除電機器220は、制御装置200の制御を受けて、アノード21および電解質膜フィルム20Fを除電する。制御装置200は、アノードセンサー116からのセンサー信号と除電機器220までの搬送経路長および搬送速度とに基づいて、除電機器220の除電対象領域を未塗工領域Nsが通過する間に亘ってアノード21および電解質膜フィルム20Fを除電制御する。アノード21と電解質膜フィルム20Fは、除電後において帯電機器210による帯電を受けるので、図15に示すように、アノード21にあっても若干の帯電が起きることから、アノード21と電解質膜フィルム20Fを挟んで対向するカソード22を電解質膜フィルム20Fに帯電電荷により密着させる。これに加え、カソード支持フィルムDFと電解質膜フィルム20Fは、大きな電位差で正負に帯電して、カソード22を袋状に取り囲むよう、カソード22の周囲においてより確実に密着する。従って、この形態のMEA製造装置100Bによれば、電解質膜フィルム20Fとカソード22との接合箇所へのエアーの入り込みをより確実に抑制して、残存エアーの抜けに伴う接合シワを高い実効性で抑制した上で、第2転写ローラー142による退避制御やカッター172による切刃痕Ksに基づいた上記の効果を奏することができる。
本発明は、上述の実施形態とその変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
また、上記の実施形態とその変形例では、アノード21を形成済みの電解質膜フィルム20Fとカソード22を形成済みのカソード支持フィルムDFとを、電解質膜フィルム20Fのフィルム面にカソード22が接合するよう、両フィルムを転写圧着してMEAを製造したが、MEA以外のフィルム圧着に用いることもできる。この他、上記の実施形態とその変形例では、カッター172をフィルム転写圧着部140の下流側に配設して、第2転写ローラー142による転写圧着済みの電極接合済み電解質膜フィルム20Fに対して切刃痕Ksを形成したが、カッター172をフィルム転写圧着部140の上流側、例えば、第1転写ローラー141と接合案内ローラー132との間の搬送経路に切込形成部170を設け、フィルム転写圧着部140より上流側でカッター172により切刃痕Ksを形成することもできる。また、切刃痕Ksについては、カッター172を搬送されつつある電極接合済み電解質膜フィルム20Fに対して進退駆動させて形成したが、回転切り刃を有するローラーカッター等にて切刃痕Ksを未塗工領域Nsの末端の側や、未塗工領域Nsの末端を跨ぐよう形成することもできる。この場合、切刃痕Ksにあっては、電解質膜フィルム20Fの搬送方向に沿って形成するほか、電解質膜フィルム20Fを幅方向に亘って切断してしまわないよう、未塗工領域Nsの末端の側において、電解質膜フィルム20Fの幅方向に沿った一部領域の切刃痕Ksとして形成することもできる。こうしたフィルム幅方向の切刃痕Ksは、搬送方向に対して斜めにすることで、未塗工領域Nsの末端を跨ぐよう形成することもできる。
この他、上記の実施形態とその変形例では、電解質膜フィルム20Fにおけるアノード21の形成ピッチと、カソード支持フィルムDFにおけるカソード22の形成ピッチを揃えて、アノード21とカソード22が一体一で対応するようにしたが、これに限らない。図16はMEAの作製過程で複数のカソード22にアノード21を対応付けた形態を説明する説明図である。図示するように、この形態では、隣り合う二つのカソード22に対して、電解質膜フィルム20Fを挟んでアノード21が対向するよう、アノード21を電解質膜フィルム20Fに形成する。こうしてアノード21とカソード22とが接合した電極接合済み電解質膜フィルム20Fであっても、未塗工領域Nsの末端の側、或いはこの末端を挟んで切刃痕Ksを形成することで、未塗工領域Nsと重なる範囲における電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面とカソード22の形成済みカソード支持フィルムDFとの間に入り込んだエアーを切刃痕Ksから既述したように大気放出して、電解質膜フィルム20Fの他方のフィルム面へのカソード22の接合不良を抑制できる。この場合、図12や図14で説明したフィルムの帯電を併用すれば、一つのアノード21に対応して電解質膜フィルム20Fを挟んで隣り合う二つのカソード22の間における電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFとの間にエアーを入り込まないようにできる。つまり、隣り合う二つのカソード22の間における電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFとの間の残存エアーの抜けに伴う接合シワについても、これを抑制できる。
また、上記の実施形態とその変形例では、カソード22をマスクMを用いてほぼ同一の矩形形状で点在形成したが、カソード22を帯状にカソード支持フィルムDFに形成した形態とすることもできる。この形態でも、未塗工領域Nsでは、第2転写ローラー142の退避によりエアーが入り込む余地があるが、未塗工領域Nsの末端、或いはこの末端を跨いでアノード21の側から形成した切刃痕Ksにより、既述したエアーの大気放出を図ることができる。
この他、図12や図14で説明したフィルムの帯電を利用した形態(帯電利用形態)を、カッター172による切刃痕Ksの形成を図る形態に適用したが、この帯電利用形態にあっては、図12や図14から切込形成部170を除いたものとすることができる。つまり、帯電利用形態では、カソード22を袋状に取り囲むようにして、電解質膜フィルム20Fとカソード22との接合箇所および未塗工領域Nsに対応する箇所における電解質膜フィルム20Fとカソード支持フィルムDFの間へのエアーの入り込みを抑制するので、このエアーの入り込みの実効性が高まれば、カッター172による切刃痕Ksの形成を省くことが可能となる。勿論、カッター172による切刃痕Ksの形成を伴うことで、エアー入り込みに伴う不具合をより確実に回避できる。