JP2016146232A - 電池用リチウム薄膜積層体 - Google Patents

電池用リチウム薄膜積層体 Download PDF

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康隆 古結
紀幸 内田
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紀幸 内田
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Sadayuki Okazaki
禎之 岡崎
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Kunihiko Bessho
邦彦 別所
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Takashi Shimada
隆司 島田
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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の充放電効率を高めるのに適した厚みのリチウム薄膜を提供するとともに、リチウム薄膜を生産設備において安定して走行させることを目的とする。
【解決手段】電池用リチウム薄膜積層体であって、樹脂フィルムと、樹脂フィルムの表面に担持されたリチウム薄膜とを備え、リチウム薄膜が担持された面の樹脂フィルムの表面粗さRaが0.1μm以上2μm以下であり、リチウム薄膜の厚みが1μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、電池に用いるリチウム薄膜積層体に関する。
従来、携帯電話などの電子デバイスに、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が広く使用されている。非水電解質二次電池の負極活物質としては、黒鉛材料が広く使用されている。また、近年では、リチウムイオン二次電池の高容量化などを目的として、ケイ素等のリチウムと合金化する材料を負極活物質として用いることが検討されている。
黒鉛材料は、リチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能であるが、密度が比較的小さく、体積当たりの容量が低いという欠点を有する。一方、リチウムと合金化する材料は、初回の充電によって吸蔵したリチウムをその後の放電時に放出しにくいため、初回の充放電効率及びサイクル特性が低下するという欠点を有する。
このような問題を解決するためには、初回充電の際に、負極活物質に予めリチウムイオンを補填(供給)することが望ましい。リチウム薄膜を負極上に形成された負極活物質に貼り付けて補填するためには、リチウム薄膜の厚みが20μm以下であることが望まれている。
例えば、特許文献1には、リチウム箔を100μm以下の厚みに圧延して樹脂フィルムに貼り付ける技術が開示されている。リチウム箔に潤滑油を付着させロールプレスで圧延後、安定走行させるために樹脂フィルムと貼り付ける。
また、特許文献2には、2枚のフィルムの間にリチウム箔を挟み圧延する技術が開示されている。フィルムとリチウムをリチウムイオン二次電池の負極に貼り合わせた後にフィルムをリチウムから剥離するために、剥離性に優れたフィルムが用いられている。
特開2011−11250号公報 特開平10−289708号公報
しかし、従来の技術では、リチウム箔の厚みが厚く、20μm以下の厚みのリチウム薄膜を得るには至っていない。またリチウム箔と貼り合わせた樹脂フィルムとの間の密着強度が十分でないために、生産設備においてリチウム箔が樹脂から離脱しやすくなり、リチウム箔を安定して走行させることができない。
そこで、本発明の目的は、リチウムイオン二次電池の充放電効率を高めるために適した厚みである1〜20μmのリチウム薄膜を提供することである。また、生産設備においてリチウム薄膜を安定して走行させ、かつ、リチウム薄膜から樹脂フィルムを剥離することができるように、リチウム薄膜と樹脂との間が適切な密着強度で張り合わされたリチウム薄膜積層体を提供することである。
本発明は、樹脂フィルムと、樹脂フィルムの表面に担持されたリチウム薄膜とを備え、
リチウム薄膜が担持された面の樹脂フィルムの表面粗さRaが0.1μm以上2μm以下であり、リチウム薄膜の厚みが1μm以上20μm以下である電池用リチウム薄膜積層体である。
本発明によれば、20μm以下のリチウム薄膜を圧延工程によって提供することができるとともに、高容量の非水電解質二次電池を提供することができる。
また、生産設備においてリチウム薄膜を安定して走行させることができ、長尺のリチウム薄膜積層体を形成し、リチウム薄膜積層体をロールを介して搬送する時や、コイルに巻き取る時に、リチウム薄膜が剥離したり、破断したりすることを防止できる。
さらに、リチウムイオン二次電池の負極上に形成された負極活物質とリチウム薄膜とを接触させた後、リチウム薄膜を破壊することなくリチウム薄膜から樹脂フィルムを安定して剥離することができる。
本実施形態に係る電池用リチウム薄膜積層体の構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る電池用リチウム薄膜積層体を製造する前駆体の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る非水電解質二次電池の構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る電池用リチウム薄膜積層体の断面観察SEM写真である。
本発明の実施の形態について以下に説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る電池用リチウム薄膜積層体の一例を示す模式断面図である。リチウム薄膜積層体20は、樹脂フィルム12にリチウム薄膜11が積層されている。リチウム薄膜11は、リチウム金属を含み、さらに酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、窒化リチウム、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、鉄を含んでいてもよい。
リチウム薄膜11は、リチウムイオン二次電池の初回充放電効率を向上させるために、初回充放電前に負極に形成された負極活物質にリチウムを補填するために用いる。リチウム薄膜の厚みは負極に補填する必要な容量に依存する。
リチウム薄膜11の厚みは、1μm以上20μm以下が好ましい。さらに3μm以上10μm以下が好ましい。リチウム薄膜11の厚みが1μm以上20μm以下であれば、リチウムイオン二次電池の初回充放電効率を適切に高めることができる。
ここで、リチウム薄膜11の厚みが1μm未満ではリチウムの補填量が少ないため負極設計に制約があり、十分な高容量化の効果が得られない。また、リチウム薄膜11の厚みが20μmより大きい場合、リチウム薄膜と負極とが反応せずリチウム薄膜が残存して、電池反応が不均一となり容量劣化する可能性がある。
樹脂フィルム12の表面12Sの表面粗さRaは0.1μm以上、2.0μm以下であることが好ましい。表面粗さRaは、JISB0601に基づき、市販のレーザー顕微鏡等で、測定することができる。樹脂フィルム12の表面粗さがこの範囲にあれば、樹脂フィルム12とリチウム薄膜11との間の密着強度を適度に保持することができるため、リ
チウム薄膜積層体20を安定して取り扱うことができる。長尺のリチウム薄膜積層体20を形成し、ロールを介して搬送する時や、コイルに巻き取る時に、リチウム薄膜11が剥離したり、破断したりすることがない。
さらにリチウムイオン二次電池の負極上に形成された負極活物質とリチウム薄膜11とを接触させたのち、リチウム薄膜を破壊することなくリチウム薄膜11から樹脂フィルム12を安定して剥離することができる。
樹脂フィルム12の表面粗さRaが0.1未満では、樹脂フィルム12とリチウム薄膜11との密着強度が弱く、リチウム薄膜11が樹脂フィルム12から容易に離脱するため、生産設備での走行時において、安定に取り扱うことができない。一方、樹脂フィルム12の表面粗さRaが2.0以上では、樹脂フィルム12とリチウム薄膜11との密着強度が強すぎて、負極にリチウムを補填するときに、リチウム薄膜11から樹脂フィルム12を剥離することができない。
樹脂フィルム12の材質は、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。これらの材料はリチウム薄膜11と化学反応することがないため、これらを積層しても樹脂フィルム12は安定して存在することができる。
リチウム薄膜11は、薄板状のリチウム金属を圧延前の樹脂フィルムである樹脂フィルム前駆体22で挟み、ロールプレス機で樹脂フィルムとリチウム金属を同時に圧延することで所定の厚みに加工することができる。薄板状のリチウム金属は、塊状や板状等のリチウム金属を用いて加工する。リチウム金属を薄板状に加工する方法としては、例えば、押し出し形成法、圧延法等がある。押し出し形成法は、例えば、塊状のリチウム金属を加工したいサイズの穴があいた容器に挿入し、塊状のリチウム金属に荷重をかけて穴の形状に沿って塑性加工し、薄板状にする方法である。圧延法は、例えば、対向するロールを用いて板状のリチウムに荷重をかけて薄板状に加工する方法である。押し出し形成法では、例えば、板厚が0.1mm以上、4mm以下のリチウム金属箔を形成するのに好適であり、圧延法では、例えば、板厚が0.02mm以上0.1mm以下のリチウム金属箔を形成するのに好適である。リチウム金属板の厚みは、製造の歩留まり等を考慮して、例えば、0.02mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。
リチウム金属箔を挟む二枚の樹脂フィルム前駆体22は、樹脂フィルム12と同一材料のポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。樹脂フィルム前駆体22は、リチウム金属板と同時に圧延されるため、圧延によって変形する寸法倍率(以下、圧延倍率)が高いことが好ましい。圧延倍率は、JIS−C−2151に準ずる試験方法によって測定される破断伸度と相関がある。樹脂フィルム前駆体22の破断伸度は150%以上が好ましい。樹脂フィルム前駆体22の破断伸度を高めるためには、ポリエチレンまたはポリプロピレンを押し出し成型法で形成することが好ましい。
さらに、高分子の重合度の低減、結晶化度の低減、結晶の配向性の低減により、圧延倍率を高めることができると考えられる。ここで、圧延倍率を高めるほど、リチウム薄膜の厚みを薄く加工することができる。また、樹脂フィルム前駆体の破断伸度が150%以上であれば、本発明のリチウム薄膜の厚みが1μmから20μmに加工することができる。樹脂フィルム前駆体22の圧延倍率が低いと、リチウム金属箔の圧延倍率も低くなり、所定の厚みのリチウム薄膜11を得ることができない。樹脂フィルム前駆体22とリチウム金属箔とは同時圧延されるため、リチウム金属箔の圧延倍率は、樹脂フィルム前駆体22の圧延倍率と同等以下となる。このため、樹脂フィルム前駆体22の破断伸度が150%より小さい場合は、リチウム金属箔の圧延倍率も低く、20μm以下のリチウム薄膜を加工することができない。
リチウム金属箔の両側に樹脂フィルム前駆体22で挟むように積層した後、荷重をかけた対向する一対のロールを用いて、積層体を全て同時に圧延する。対向する一対のロールの直径は、例えば、50mm以上600mm以下の範囲であることが好ましい。
ロールにかける荷重は、負極活物質層の幅1cmあたりの荷重が100kgf/cm以上2000kgf/cm以下の範囲となるように設定されることが好ましく、荷重が大きいほど、圧延倍率が高まる。圧延1回あたりの圧延倍率は1.1倍以上3倍以下が好ましい。
圧延倍率と圧延回数は、リチウム金属箔の厚みとリチウム薄膜11の厚みの比率で決定される。所定の厚みに圧延した後、どちらか一方の樹脂フィルムをリチウム薄膜11から剥離することで、リチウム薄膜積層体20が得られる。
一般的に、樹脂フィルムは二軸延伸法で加工したポリプロピレンのフィルムや、PETフィルムなどが使われており、これらの表面粗さRaは0.1μm未満である。表面粗さRaを0.1μm以上に加工するには、一般的に樹脂表面の美観性を高めるために用いる公知の方法で加工することができる。例えば、押し出し成型法においてカレンダーロールの表面粗さを0.1μm以上にすればよい。このような表面粗さを変える方法は、一般的にシボ加工と呼ばれ、任意の表面粗さに設定することが可能である。樹脂フィルム前駆体22はこのように公知の方法で任意の表面粗さに加工したものを用いる。
一方、樹脂フィルム12の表面粗さは、本発明の特定の圧延工程によって適切に形成される。そして、樹脂フィルム12とリチウム薄膜11の密着強度は、樹脂フィルム前駆体22が圧延された後に得られる表面粗さに依存する。
樹脂フィルム前駆体22を特定の工程で圧延した後に、加工された樹脂フィルム12の表面粗さを0.1μm以上2.0μm以下とすることが好ましい。
また、樹脂フィルム前駆体22の表面22Sの表面粗さRaは、0.2μm以上10μm以下が好ましい。最適な表面粗さは、圧延倍率と樹脂フィルム前駆体22の厚みに依存する。樹脂フィルム前駆体の表面粗さRaが0.2μm以上であれば、リチウム金属箔と同時に圧延するときに、リチウム金属箔と樹脂フィルム前駆体22との間の摩擦力が働き、樹脂フィルム前駆体22が圧延されるのと同時にリチウム金属箔を効率よく圧延することができる。一方、樹脂フィルム前駆体の表面粗さRaが10μmよりも大きいと、表面の凹凸が大きすぎて、リチウム金属箔21が樹脂フィルム前駆体22の表面凹凸に応じて変形し、薄膜化に形状が適さない。
図3は、本実施形態に係る非水電解質二次電池の構成の一例を示す模式断面図である。図3に示すリチウムイオン二次電池30は、負極1と、正極2と、負極1と正極2との間に介在するセパレータ3と、非水電解質(不図示)と、円筒型の電池ケース4と、封口板5とを備える。非水電解質は電池ケース4内に注入されている。負極1と正極2とは、セパレータ3を介在させた状態で巻回され、セパレータ3と共に捲回型電極群を構成している。この捲回型電極群の長手方向の両端部には、上部絶縁板6及び下部絶縁板7が装着され、電池ケース4内に収容されている。正極2には正極リード8の一端が接続され、封口板5に設けられた正極端子10には正極リード8の他端が接続されている。負極1には負極リード9の一端が接続され、電池ケース4の内底には負極リード9の他端が接続されている。リードと部材との接続は溶接等により行われる。電池ケース4の開口端部は、封口板5にかしめ付けられ、電池ケース4が封口されている。
負極1は負極集電体と負極活物質層を備える。負極活物質層にリチウムを補填するために、リチウム薄膜積層体を用いて、負極活物質層の上にリチウム薄膜を転写する。負極集電体は、例えば、リチウムイオン電池に使用される公知の導電性材料により構成され、無孔の導電性基板等が挙げられる。負極集電体の形態としては、特に制限されるものではないが、箔、シート、フィルムなどが挙げられる。
負極集電体の厚みは、1μm以上500μm以下程度の範囲であることが好ましく、1μm以上50μm以下程度の範囲であることがより好ましく、6μm以上40μm以下程度の範囲であることがさらに好ましく、6μm以上30μm以下程度の範囲であることが特に好ましい。負極集電体の厚みが上記範囲を満たすことにより、リチウムイオン二次電池30の充放電容量がより高められる。
負極活物質層は、負極集電体の両面に配置されることが好ましいが、負極集電体の片面側にのみ配置されてもよい。負極活物質は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池に使用される公知の負極活物質であり、カーボン系活物質、合金系活物質、カーボン系活物質と合金系活物質との混合物などが挙げられる。カーボン系活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化性炭素などが挙げられる。合金系活物質としては、負極電位下で、充電時にリチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵し、かつ放電時にリチウムを放出するものであり、ケイ素を含むケイ素系活物質等が挙げられる。好ましいケイ素系活物質としては、ケイ素、ケイ素化合物、これらの部分置換体及び固溶体などが挙げられる。ケイ素化合物としては、SiO(0.05<a<1.95)で表される酸化ケイ素などが好ましい。非水電解質二次電池30の充放電容量をより高める観点等から、負極活物質層は、合金系活物質を含むことが好ましく、ケイ素を含むことがより好ましい。負極活物質層は、1種類の負極活物質を含むものであってもよいし、複数種類の負極活物質を含むものであってもよい。
負極活物質の平均粒子径は、1μm以上100μm以下程度の範囲であることが好ましい。負極活物質層は、負極活物質に加え、結着剤や導電剤などをさらに含むことが好ましい。好ましい結着剤の具体例としては、例えば、カルボキシメチルセルロースやスチレンブタジエンゴムなどが挙げられる。
正極2は、正極集電体と、正極活物質層とを備える。正極活物質層は、正極集電体の両面に配置されることが好ましいが、正極集電体の片面側にのみ配置されていてもよい。好ましい正極活物質としては、リチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リン酸リチウムなどが挙げられる。正極集電体の厚みは、特に制限されないが、1μm以上500μm以下程度の範囲にあることが好ましい。正極集電体は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池に使用される公知の導電性材料により構成され、無孔の導電性基板等が挙げられる。
セパレータ3は、所定のイオン透過度、機械的強度、絶縁性などを併せ持つ樹脂のシート等が用いられる。セパレータ3の厚みは、10μm以上300μm以下程度の範囲であることが好ましい。また、セパレータ3の空孔率は、30%以上70%以下程度の範囲であることが好ましい。なお、空孔率とは、セパレータ3の体積に対するセパレータ3が有する細孔の総容積の百分率である。
非水電解質には、リチウム塩を溶解した非水溶媒を用いることが好ましい。リチウム塩には、LiPF6、LiBF4などを用いることができる。非水溶媒には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などを用いることができる。これらは複数種を組み合わせて用いることが好ましい。
なお、図3に示されるリチウムイオン二次電池30は、捲回型電極群を含む円筒形電池であるが、電池形状は、特に限定されるものではなく、角形電池、扁平電池、コイン電池、ラミネートフィルムパック電池などであってもよい。
以下に、本実施形態のリチウムイオン二次電池30に組み込まれる前の負極1について説明する。ここでは、リチウムイオン二次電池30に組み込まれる前の負極をリチウムイオン二次電池用負極前駆体と称する。
まず、負極集電体の両面に負極活物質層を形成する。負極集電体の両面に負極活物質層を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、負極活物質、結着剤、及び溶媒等を含む負極合剤スラリーを用意し、その負極合剤スラリーを負極集電体の両面上に(間欠的に)塗布し、乾燥、圧延することにより形成する方法が挙げられる。
次に、負極活物質層の表面上に、前述のリチウム薄膜積層体のリチウム側と負極活物質とが相対するように貼り付ける。リチウム薄膜積層体を貼り付けた後に、荷重をかけた対向する一対のロールを用いて、リチウム薄膜積層体と負極活物質層とを密着させることが好ましい。対向する一対のロールの直径は、例えば、50mm以上600mm以下の範囲であることが好ましい。ロールにかける荷重は、負極活物質層の幅1cmあたりの荷重が10kgf/cm以上300kgf/cm以下の範囲となるように設定されることが好ましい。荷重が適性であれば、リチウム薄膜11と負極活物質とが強固に密着する。荷重が300kgf/cmを超えると、負極活物質層が負極集電体から剥離したり、負極活物質層が割れたりする不具合が発生する場合がある。その後、樹脂フィルム12を剥離することでリチウム薄膜11が転写された負極1が形成される。
以下に、非水電解質二次電池の製造方法について説明する。
まず、負極リード9を負極活物質層が形成されていない未塗工部である負極集電体に接続し、正極リード8を同様に正極活物質層が形成されていない未塗工部である正極集電体に接続する。負極リード9及び正極リード8を構成する材料は、導電性を有する材料であれば、特に限定されない。
次いで、負極1と正極2とをセパレータ3を介在させた状態で巻回し、捲回型電極群を作製する。捲回型電極群を作製する前あるいは捲回型電極群を作製した後に、非水電解質二次電池用負極(または捲回型電極群)を熱処理し、リチウム薄膜11と負極活物質層とを固相反応させて、リチウム薄膜11中の一部のリチウム金属を負極活物質中に補填しても良い。熱処理は、乾燥空気中、または窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で温度を60℃以上100℃以下の条件で加熱することが好ましい。熱処理を施さない場合は、後述するように、電池を形成したときに非水電解質を経由して網状のリチウム金属体18の少なくとも一部のリチウム金属が負極活物質中に補填される。
そして、捲回型電極群の長手方向の両端部に上部絶縁板6及び下部絶縁板7を装着し、円筒型の電池ケース4内に収容する。正極集電体から延出する正極リード8を正極端子10に接続し、負極集電体12から延出する負極リード9を電池ケース4の内底に接続する。非水電解質を電池ケース4内に注入した後、電池ケース4の開口部分と封口板5とをかしめ、電池ケース4を封口する。このようにして作製された非水電解質二次電池30では、網状のリチウム金属体18のリチウム金属の少なくとも一部が負極活物質に吸蔵される。このように、予め負極活物質にリチウムを吸蔵しておくことにより、負極1の初回充放電効率を高めることができるため、リチウムイオン二次電池の初回放電容量を高めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
押し出し成型法で加工した厚み100μmのPP(ポリプロピレン)フィルム(オージェイケイ株式会社製)を、50mm×200mmのサイズに切断した。オージェイケイ株式会社のカタログ値からPPフィルムの破断伸度は700%であった。また、PPフィルムの圧延前の表面粗さをレーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製)で測定した結果、Ra=1.2μmであった。
次に厚み30μmのリチウム金属箔(本城金属株式会社製)を50mm×100mmに切断し、二枚のPPフィルムの間の長手方向中央部にリチウム金属箔を配置して挟み三層を重ねた。これらを対向する直径50mmの一対のロール間に挟み、線圧500kgf/cmを印加して圧延した。その後、同様の条件で3回圧延して寸法を測定した結果、リチウム金属箔の寸法は50mm×500mmであった。
そして、一方のPPフィルムを剥がして、リチウム薄膜積層体を得た。ダイヤルゲージ(株式会社ミツトヨ製)で膜厚を測定した結果、リチウム薄膜の厚みは6μm、PPフィルムの厚みは40μmであった。また、PPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、Ra=0.2μmであった。
図4に、リチウム薄膜積層体をFIB(Focused Ion Beam )加工機(株式会社日立ハイテクサイエンス製)で断面が観察できるように加工後、電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて観察したSEM写真を示す。リチウム薄膜11は、厚みが約6μmであった。また、PPフィルム12は、リチウム薄膜11と密着した積層体を形成していることが明らかとなった。
<比較例1>
二軸延伸法で加工した厚み50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(帝人株式会社製)を50mm×200mmのサイズに切断した。帝人株式会社のカタログ値から、破断伸度は130%であった。また、PETフィルムの圧延前の表面粗さをレーザー顕微鏡で測定した結果、Ra=0.07μmであった。
次に厚み30μmのリチウム金属箔を50mm×100mmに切断した。二枚のPETフィルムに長手方向中央部にリチウム金属箔を配置して挟み三層を重ねた。これを、対向する直径50mmの一対のロール間に挟み、線圧500kg/cmを印加して圧延した。その後、同様の条件で5回圧延して寸法を測定した結果、リチウム金属箔は50mm×112mmであった。
そして、一方のPETフィルムを剥がすと、同時に他方のPETフィルムからリチウム金属箔が剥離した。これは、PETフィルムとリチウム金属箔との密着力が弱く、リチウム金属箔が容易に樹脂フィルムから剥離したと考えられる。これは、PETフィルムの圧延後の表面粗さがRa=0.07μmであり、リチウム金属との密着力が弱いためと推定される。また、リチウム金属箔の厚みは27μmであり、初期の厚みと変化が少なく圧延されにくいことがわかった。このように破断伸度の小さいPETフィルムでは、PETフィルム自体が圧延されにくいため、リチウム金属箔の圧延倍率が小さくなり20μm以下に加工することができない。
<比較例2>
厚み30μmのリチウム金属箔を50mm×100mmに切断した。リチウム金属箔を流動パラフィンに浸したあと、一対のロール間に挟み線圧100kgf/cm、ロール間ギャップを15μmに設定して圧延した。リチウム金属箔は一部圧延されたが、圧延途中で破断した。ロールギャップを20μmに設定すると圧延はできたが、リチウム金属箔が極めて脆弱で搬送させることが困難であった。これより、リチウム金属箔だけを一対のロールで20μmより薄く圧延して安定して巻き取ることは困難であることがわかった。
<実施例2>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が0.2μmであるPPフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは6μmであった。また、リチウム薄膜積層体のPPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、0.1μmであった。
<実施例3>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が2.0μmであるPPフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは5μmであった。また、リチウム薄膜積層体のPPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、0.5μmであった。
<実施例4>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が4.0μmであるPPフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは5μmであった。また、リチウム薄膜積層体のPPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、0.8μmであった。
<実施例5>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が10.0μmであるPPフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは5μmであった。また、リチウム薄膜積層体のPPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、2.0μmであった。
<実施例6>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が1.0μmであるLDPE(低密度ポリエチレン)フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは10μmであった。また、リチウム薄膜積層体のLDPEフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、0.3μmであった。
<実施例7>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が1.0μmであるHDPE(高密度ポリエチレン)フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは3μmであった。また、リチウム薄膜積層体のLDPEフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、0.1μmであった。
<実施例8>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が4.0μmであるPPフィルムと、厚み40μmのリチウム箔を用いて、圧延回数を4回とした以外は実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム
薄膜の厚みは5.7μmであった。また、リチウム薄膜積層体のPPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、0.4μmであった。
<実施例9>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が4.0μmであるPPフィルムと、厚み30μmのリチウム箔を用いて、圧延回数を2回とした以外は実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは10μmであった。また、リチウム薄膜積層体のPPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、1.4μmであった。
<実施例10>
押し出し成型法で加工した厚み200μm、圧延前の表面粗さRaの測定結果が4.0μmであるPPフィルムと、厚み30μmのリチウム箔を用いて、圧延回数を1回とした以外は実施例1と同様にリチウム薄膜積層体を作製した。リチウム薄膜積層体のリチウム薄膜の厚みは15μmであった。また、リチウム薄膜積層体のPPフィルムの圧延後の表面粗さを測定した結果、1.9μmであった。
ここで、実施例1〜実施例10で圧延したリチウム薄膜積層体から表面樹脂フィルムを剥離した時に、リチウム薄膜の破れの有無を目視確認した。具体的には、実施例1〜実施例10で作製したリチウム薄膜積層体を、直径30mmのロールに張力10Nで30回通過させたときのリチウム薄膜の破れの有無を目視観察した。これらの実施条件と目視観察結果とを表1に示す。
Figure 2016146232
実施例1〜実施例10の結果から、圧延後の樹脂フィルムの表面粗さが0.1μm以上2.0μm以下となるような条件であれば、リチウム薄膜が20μm以下に加工できることがわかった。さらに、上部の樹脂フィルムを剥離してもリチウム薄膜が破断せず剥離性が良好で、かつ、リチウム薄膜積層体がロールを通過してもリチウム薄膜が剥がれることなく良好な走行性を示すことがわかった。
圧延後の樹脂フィルムの表面粗さは、実施例4および実施例8〜実施例10の結果に示されるとおり、圧延条件によって変更することができる。また実施例1〜実施例7に示すとおり、圧延前の樹脂フィルム前駆体の表面粗さにも依存する。
このように、材料および圧延条件によって、圧延後の樹脂フィルムの表面粗さを適切に制御することで、剥離性と走行性に優れるリチウム薄膜積層体が得られる。本実施例では、ロール径とロール荷重を一定としたが、これらの条件を変えても樹脂フィルムの表面粗さを変えることができ、適正な条件に設定することができる。
次いで、実施例1で製作したリチウム薄膜積層体を用いてリチウムイオン二次電池を製作した。
[正極の作製]
NiSO水溶液に、Ni:Co=8.5:1.5(モル比)となるように硫酸コバルトを加えて、金属イオン濃度が2mol/lの水溶液を調製した。この水溶液に、撹拌下、2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に滴下して中和することにより、Ni0.85Co0.15(OH)で示される組成を有する三元系の沈殿物を共沈法により生成させた。得られた沈殿物をろ過することにより分離した後、水洗し、80℃で乾燥させることにより、複合水酸化物を得た。得られた複合水酸化物を、大気中にて900℃で10時間加熱し、Ni0.85Co0.15で示される組成を有する複合酸化物を得た。次に、この複合酸化物に対して、Ni及びCoの原子数の和とLiの原子数とが等量になるように水酸化リチウム1水和物を加え、大気中にて800℃で10時間加熱することにより、LiNi0.85Co0.15で示される組成を有するリチウムニッケル含有複合金属酸化物を得た。これを正極活物質として用いた。正極活物質の二次粒子の体積平均粒径は、10μmであった。
次いで、作製した正極活物質の粉末93質量部、アセチレンブラック(導電剤)3質量部、ポリフッ化ビニリデン粉末(結着剤)4質量部及びN−メチル−2−ピロリドン50質量部を混合して、正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面の上に塗布した。得られた塗膜を乾燥した後に、圧延することにより、片面あたりの厚さが50μmの正極活物質層を形成した。このようにして、56mm×205mmの正極を作製した。この正極の両面の正極活物質層の一部(56mm×5mm)を除去し、正極集電体が露出した部分を形成した。正極集電体が露出した部分にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接法により接続した。
[負極の作製]
天然黒鉛の粉末(平均粒径:20μm)80質量部、酸化ケイ素の粉末(平均粒径:20μm)20質量部、濃度が1重量%であるカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液100質量部及びスチレンブタジエンゴム(SBR)2質量部を混合して負極合剤スラリーを調製した。この負極合剤スラリーを厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の両面に26cmの長さで塗布した。その後、得られた塗膜を乾燥し、圧延することにより、片面あたりの厚みが60μmである負極活物質層を形成した。
次に、実施例10で作製したリチウム薄膜積層体を負極活物質層の両面の全領域に、リチウムと負極とが対向するように貼り付けた。これを対向する一対のロール間にはさみ、線圧100kgf/cmの荷重をかけた。その後、樹脂フィルムをリチウム薄膜から剥離した。これを58mm×260mmに切断し、非水電解質二次電池用負極とした。そして、負極リードを接続するために活物質層を5mm幅剥離して(58mm×5mm)、ニッケル製の負極リードを抵抗溶接法で接続した。
[リチウムイオン二次電池の作製]
上記で得られた正極と負極との間に厚さ20μmのポリエチレン微多孔膜(セパレータ、商品名:ハイポア、旭化成株式会社製)を介在させて積層し、得られた積層物を捲回し、捲回型電極群を作製した。正極リードの他端をステンレス鋼製正極端子に溶接し、負極
リードの他端を有底円筒形の鉄製電池ケースの底部内面に接続した。捲回型電極群の長手方向の一端部及び他端部に、ポリエチレン製の上部絶縁板及び下部絶縁板を装着し、捲回型電極群を電池ケース内に収容した。
次に、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPFを1.0mol/lの濃度で溶解させた非水電解質を電池ケースに注液した。さらに、電池ケースの開口に、ポリエチレン製のガスケットを介して封口板を装着し、電池ケースの開口端部を内側にかしめて、電池ケースを封口し、円筒型リチウムイオン二次電池である試験セルA1を作製した。
また、実施例2〜10で作製したリチウム薄膜積層体を用いて、試験セルA1と同様に試験セルA2〜A10を作製した。全ての試験セルでほぼ同等のリチウム量を補填できるようにリチウム量を調整した。
具体的には、試験セルA6は負極に対して面積比7割となるように幅を調整してリチウム薄膜を貼り付けて作製した。また、試験セルA7はリチウム薄膜を2層積層して作製した。また、試験セルA9は負極に対して面積比7割となるように幅を調整してリチウム薄膜を貼り付けて作製した。さらに、試験セルA10は負極に対して面積比5割となるように幅を調整してリチウム薄膜を貼り付けて作製した。
また、リチウム薄膜を貼り付けない負極を用いた以外、試験セルA1と同様にして比較セルA2を作製した。
[初回充放電効率の評価]
試験セルA1〜A10および比較セルB1を、それぞれ20℃の恒温槽に収容し、以下の定電流方式で充放電した。
試験セルA1〜A10および比較セルB1を、電池電圧が4.2Vになるまで1Itレート(1Itとは1時間で全電池容量を使い切ることができる電流値)の定電流で充電し、その後、40℃の恒温槽に収容して3日間貯蔵した充電後の試験セルを、1Itレートの定電流で、電池電圧が2.5Vになるまで放電した。各試験セルの初回充電容量に対する初回放電容量の割合(百分率値で求めた値)を初回充放電効率として算出した。その結果を表1に示す。
[充放電サイクル特性の評価]
試験セルA1〜A10および比較セルB1を、それぞれ3個ずつ、20℃の恒温槽に収容し、以下の定電流定電圧方式で充放電した。試験セルA1〜A10および比較セルB1を、電池電圧が4.2Vになるまで1Itレート(1Itとは1時間で全電池容量を使い切ることができる電流値)の定電流で充電し、電池電圧が4.2Vに達した後は、電流値が0.05Itになるまで、各試験セルを4.2Vの定電圧で充電した。次に、20分間休止した後、充電後の試験セルを、Itレートのハイレートの定電流で、電池電圧が2.5Vになるまで放電した。このような充放電を100サイクル繰り返した。1サイクル目の全放電容量に対する100サイクル目の全放電容量の割合(百分率値で求めた値)の平均値を算出し、容量維持率として表2に示す。
Figure 2016146232
試験セルA1〜A10において、リチウム薄膜積層体を負極に貼り付けた後、安定して樹脂フィルムを剥離することができた。試験セルA1〜A10の結果から、リチウム薄膜積層体を用いてリチウム薄膜を負極に貼り付けてリチウムを補填することで、初回充放電効率が飛躍的に高まることがわかった。さらに、100サイクル後の容量維持率測定結果から、リチウムを補填した試験セルA1〜A10の容量維持率は、補填しない比較セルB1と比較して大幅に向上することがわかった。
このように、本発明のリチウム薄膜積層体を用いることによって、リチウムイオン電池の初回充放電効率を向上させ、容量を向上させることができる。本実施例では、負極の一つの設計条件のみで試験セルを作製したが、例えば面積あたりの容量や初回充放電効率に応じて、リチウム薄膜積層体の厚みを変えることで負極に補填するリチウム量を変えることができる。
1 負極
2 正極
3 セパレータ
4 電池ケース
5 封口板
6 上部絶縁板
7 下部絶縁板
8 正極リード
9 負極リード
10 正極端子
11 リチウム薄膜
12 樹脂フィルム
20 リチウム薄膜積層体
21 リチウム金属箔
22 樹脂フィルム前駆体

Claims (3)

  1. 樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの表面に担持されたリチウム薄膜とを備え、
    前記リチウム薄膜が担持された面の前記樹脂フィルムの表面粗さRaが0.1μm以上2μm以下であり、
    前記リチウム薄膜の厚みが1μm以上20μm以下である電池用リチウム薄膜積層体。
  2. 前記樹脂フィルムの材質がポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの複合材である請求項1に記載の電池用リチウム薄膜積層体。
  3. 前記樹脂フィルムの厚みが10μm以上100μm以下である請求項1または2に記載の電池リチウム薄膜積層体。
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