JP2010257574A - 電池用正極集電体及びその製造方法 - Google Patents

電池用正極集電体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010257574A
JP2010257574A JP2009102540A JP2009102540A JP2010257574A JP 2010257574 A JP2010257574 A JP 2010257574A JP 2009102540 A JP2009102540 A JP 2009102540A JP 2009102540 A JP2009102540 A JP 2009102540A JP 2010257574 A JP2010257574 A JP 2010257574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
current collector
dlc film
boron
electrode current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2009102540A
Other languages
English (en)
Inventor
Yozo Uchida
陽三 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2009102540A priority Critical patent/JP2010257574A/ja
Publication of JP2010257574A publication Critical patent/JP2010257574A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)

Abstract

【課題】正極合材層に対して優れた集電性能を有するDLC膜付き電池用正極集電体を提供する。
【解決手段】本発明によって提供される電池用の正極集電体10は、正極集電体10の本体部分を構成する金属基材12と、基材12上に設けられ、ホウ素をドープしたDLC膜14とを備える。典型的には、該正極集電体10は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。また、好ましくは、金属基材の表面には該金属の酸化膜が予め形成されており、該ホウ素ドープDLC膜を形成する前に、該金属酸化膜を除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池の構成要素として用いられる正極集電体及び該正極集電体の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、或いはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。
リチウムイオン電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)の上に形成された構成の電極を備える。例えば、正極に用いられる正極活物質としては、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物が挙げられる。また、正極に用いられる電極集電体(以下、正極集電体ともいう。)としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金を主体とするシート状または箔状の部材が挙げられる。
かかるアルミニウムからなる正極集電体は腐食(例えば酸化)により変質し易い性質がある。例えば、アルミニウムからなる正極集電体は大気にさらせば即酸化されるため、表面に常時酸化膜を有する。集電体表面に酸化膜が存在すると、該酸化膜は絶縁膜であるため、集電体界面の接触抵抗が大きくなり、該集電体の正極合材層(正極活物質を含む層)に対する集電性能が低下する虞がある。このような集電体表面の腐食(例えば酸化)防止を目的として、集電体表面に炭素等の保護被膜(カーボン膜)を設けることが検討されている。この種の従来技術文献としては、例えば特許文献1〜特許文献6が挙げられる。
特開2003−157852号公報 特開2008−160053号公報 特開2006−179431号公報 特開2005−006469号公報 特開2004−207117号公報 特開2003−249223号公報
しかしながら、一般的な成膜法(例えばスパッタ法)を用いて集電体表面に炭素被膜を形成しようとすると、形成される炭素被膜は、典型的には非晶系無機物であるダイヤモンドライクカーボンから成る被膜(以下、DLC膜ともいう。)となる。このDLC膜は電気伝導度が非常に低いため、集電体表面にDLC膜が存在すると、正極集電体と正極合材層間の電気抵抗が反って増大する。正極集電体と正極合材層間の電気抵抗が増大すると電池内部抵抗が大きくなるので、かかるDLC膜付き正極集電体を用いて構築されたリチウム二次電池の電池性能(特にハイレート特性)は、当該DLC膜が形成されてないものと比較して低下する虞がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、正極合材層に対して優れた集電性能を有するDLC膜付き電池用正極集電体を提供することである。また、本発明の他の目的は、かかる性能を有する正極集電体を生産効率性よく製造することのできる正極集電体の製造方法および製造装置を提供することである。
本発明によって提供される電池用正極集電体は、正極集電体の本体部分を構成する金属基材と、上記基材上に設けられ、ホウ素をドープしたDLC膜とを備える。
本発明の構成によれば、DLC膜が金属基材の保護層としての役割を果たすため、金属基材に腐食が生じるのを防止することができる。また、DLC膜にホウ素がドープされているので、DLC膜に電気伝導性を付与することができる。これにより、集電体界面の接触抵抗を小さくなるので、該集電体の正極合材層(正極活物質を含む層)に対する集電性能を向上させることができる。すなわち、本発明によれば、正極合材層に対して優れた集電性能を有するDLC膜付き正極集電体を提供することができる。
ここに開示される正極集電体の好ましい一態様では、上記基材と上記ホウ素ドープDLC膜との界面に接合層(例えばステンレスからなる金属層)を備える。金属基材とDLC膜との間の密着性が低いと、基材表面からDLC膜が剥離(例えば滑落)する場合があるが、金属基材とDLC膜との界面に接合層を設けることにより、基材表面からDLC膜が剥離することを回避することができる。したがって、かかる構成によれば、基材表面からDLC膜が剥離する事象を回避し得、品質安定性に優れた正極集電体を提供することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記金属基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。アルミニウムまたはアルミニウム合金は、腐食(例えば酸化)により変質しやすい性質を示す。そのため、上記金属基材がアルミニウムまたはアルミニウム合金製の場合、金属基材の表面にホウ素ドープDLC膜を形成して該金属基材に腐食が生じるのを防止するという本発明の効果が特によく発揮され得る。
また、本発明によると、上記正極集電体を製造する正極集電体製造方法が提供される。この方法は、正極集電体の本体部分を構成する金属基材上に、ホウ素をドープしたDLC膜を形成することを特徴とする。本発明の方法によれば、正極合材層に対して優れた集電性能を有する電池用正極集電体を製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記金属基材の表面には該金属の酸化膜が予め形成されている。そして、上記ホウ素ドープDLC膜を形成する前に、上記基材の表面に形成された金属酸化膜を除去する。かかる方法によれば、金属酸化膜を除去した後の下地の無垢な金属表面にホウ素ドープDLC膜が形成されるので、集電体界面の接触抵抗をさらに小さくすることができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記金属酸化膜の除去と、上記ホウ素ドープDLC膜の形成とを、ハロゲン化ホウ素ガス(例えばBCl)が導入された同一のチャンバ内で実行する。
この場合、上記金属酸化膜の除去は、上記チャンバ内にて上記基材の表面をドライエッチングすることにより行うとよい。かかる方法によれば、チャンバ内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスが反応性ガスとして働くため、金属酸化膜の除去を高速度(高いエッチングレート)で行うことができる。また、上記ホウ素ドープDLC膜は、上記チャンバ内にて上記基材にカーボンを物理蒸着することにより形成するとよい。かかる方法によれば、チャンバ内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分がDLC膜の内部にドープされるので、ホウ素ドープDLC膜を効率よく形成することができる。
すなわち、本発明の方法によれば、ハロゲン化ホウ素ガスを用いて金属酸化膜の除去速度を高めつつ、ハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分をDLC膜にドープして該DLC膜に電気伝導性を付与することができる。したがって、正極合材層に対して優れた集電性能を有するホウ素ドープDLC膜付き正極集電体を効率よく製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記金属基材は、箔状の長尺な金属シートである。そして、上記長尺な金属シートの長手方向に上記金属酸化膜の除去と上記ホウ素ドープDLC膜の形成とが連続的に行われる。かかる方法によれば、長尺な金属シートの表面において、金属酸化膜の除去とホウ素ドープDLC膜の形成とを効率よく(生産効率性よく)行うことができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、上記基材と上記ホウ素ドープDLC膜との界面に接合層(例えばステンレスからなる金属層)を形成する。かかる方法によれば、製造工程において基材表面からDLC膜が剥離(例えば滑落)する事象を回避し得、正極集電体を安定して(生産安定性よく)製造することができる。
また、本発明によると、上記正極集電体を製造する正極集電体製造装置が提供される。この装置は、内部を減圧可能に構成されたチャンバと、上記チャンバ内に配置され、正極集電体の本体部分を構成する金属基材を保持する基材保持部と、上記チャンバ内にハロゲン化ホウ素(例えばBCl)を含むガスを導入するガス導入部とを備える。また、上記チャンバの内部には、上記基材の表面をドライエッチングするエッチング処理部と、該エッチングした基材上にホウ素をドープしたDLC膜を形成するDLC成膜処理部とが設けられている。
本発明の装置構成によれば、金属酸化膜の除去と、ホウ素ドープDLC膜の形成とを、ハロゲン化ホウ素ガスが導入された同一のチャンバ内で実行しているので、ホウ素ドープDLC膜付き正極集電体を効率よく製造することができる。すなわち、チャンバ内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスが反応性ガスとして働くため、エッチング処理部による金属酸化膜の除去を高速度で行うことができる。また、DLC成膜処理部によりDLC膜を形成するときに、ハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分がDLC膜の内部にドープされるため、ホウ素ドープDLC膜を効率よく形成することができる。したがって、本発明の構成によれば、ハロゲン化ホウ素ガスを用いて金属酸化膜の除去速度を高めつつ、ハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分をDLC膜にドープして該DLC膜に電気伝導性を付与することができ、正極合材層に対して優れた集電性能を有するホウ素ドープDLC膜付き正極集電体を効率よく製造することができる。
ここに開示される装置の好ましい一態様では、上記DLC成膜処理部は、上記基材にカーボンを物理蒸着し得るように構成されている。物理蒸着法を採用することによりホウ素ドープDLC膜を効率よく形成することができる。
ここに開示される装置の好ましい一態様では、上記金属基材は、箔状の長尺な金属シートである。そして、上記基材保持部は、上記エッチング処理部を経て上記DLC成膜処理部へと長尺な金属シートを長手方向に連続的に流通させるように構成されている。かかる構成によれば、長尺な金属シートの表面において、金属酸化膜の除去とホウ素ドープDLC膜の形成とを効率よく(生産効率性よく)行うことができる。
ここに開示される装置の好ましい一態様では、上記チャンバの内部には、上記基材と上記ホウ素ドープDLC膜との界面に接合層(例えばステンレスからなる金属層)を形成する接合層形成部が設けられている。かかる構成によれば、製造工程において基材表面からDLC膜が剥離(例えば滑落)する事象を回避し得、正極集電体を安定して(生産安定性よく)製造することができる。
本発明によると、電池の製造方法が提供される。この方法は、正極集電体として、上記何れかに記載の製造方法、若しくは上記何れかに記載の製造装置により製造された正極集電体を使用することを特徴とする。このようにして構築された電池は、基材表面がホウ素ドープDLC膜によって保護されるとともに、正極合材層に対して優れた集電性能を有する正極集電体を備えているため、より優れた電池性能を示すものである。例えば、上記正極集電体を用いて電池を構築することにより、ハイレート特性(大電流における充放電特性)に優れる、耐久性に優れる、生産効率性に優れる、の少なくとも一つを満たす電池を提供することができる。
このような電池は、上記のとおり電池性能に優れることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、かかる電池(複数直列接続してなる組電池であってもよい。)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)を提供する。
本発明の一実施形態に係る正極を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る正極集電体の製造工程を模式的に示す工程断面図である。 本発明の一実施形態に係る正極集電体の製造工程を模式的に示す工程断面図である。 本発明の一実施形態に係る正極集電体の製造工程を模式的に示す工程断面図である。 本発明の一実施形態に係る正極集電体の製造工程を模式的に示す工程断面図である。 本発明の一実施形態に係る正極集電体の製造装置を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を模式的に示す図である。 実施例及び比較例の正極集電体の接触抵抗の測定結果を示す図。 本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を搭載した車両を模式的に示す側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、電極活物質の製造方法、電極合材層形成用組成物の調製方法、セパレータや電解質の構成および製法、リチウム二次電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
特に限定することを意図したものではないが、以下では主としてリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)用の正極集電体および該正極集電体を備えた電池用正極を例として、図1の断面模式図を参照しつつ、本実施形態に係る正極集電体の構成について説明する。
図1に示すように、ここに開示されるリチウム二次電池用正極100は、正極集電体10と、該正極集電体10に保持される正極合材層20とから構成されている。正極集電体10は、該集電体の本体部分を構成する金属基材12と、該基材12上に設けられ、ホウ素をドープしたDLC膜14とを備えている。
金属基材12は、導電性金属を主体として構成されており、アルミニウムその他のリチウム二次電池用正極に適する金属が好適に使用される。この実施形態では、厚さ10μm〜30μm程度のアルミニウム箔である。
DLC膜14は、金属基材12の上に設けられ、該基材12の表面を覆うように形成されている。本明細書においてDLC膜14は、非晶系無機物のダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like-Carbon)から成る被膜の略称であり、当該技術分野において通常用いられる技術用語の意義であって特別な限定はない。すなわち、ダイヤモンドライクカーボン膜とは、炭化水素や炭素の同素体からなるダイヤモンド結合(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方が混在している非晶質の硬質炭素質膜であることが一般によく知られているところ、ダイヤモンド結合とグラファイト結合との混在比率や水素含有の多少は特に制限されない。DLC膜14の厚さ(膜厚)は特に制限されないが、3nm〜30nm程度とすることができ、通常は概ね5nm程度の厚さとすることが好ましい。
かかるDLC膜14は、一般に、電気伝導度が低いため、基材表面にDLC膜14が存在すると、集電体界面の接触抵抗が大きくなり、該集電体10の正極合材層(正極活物質を含む層)20に対する集電性能が低下する虞がある。これに対し、本実施形態では、DLC膜14にホウ素(B)がドープされている。DLC膜14にホウ素をドープすることにより、DLC膜14に電気伝導性を付与することができる。これにより、集電体界面の接触抵抗を小さくして、該集電体10の正極合材層20に対する集電性能を向上させることができる。
上記DLC膜14にドープしたホウ素濃度は特に制限されないが、DLC膜中のホウ素濃度が小さすぎると、DLC膜に十分な伝導性を付与できない場合がある。したがって、DLC膜に伝導性を付与する観点からは、上記ホウ素濃度は、例えば3at%〜20at%程度であればよく、通常は概ね6at%〜12at%程度とすることが好ましい。上記DLC膜中のホウ素濃度は、例えばEDX等の電子線マイクロアナライザ(EPMA)、オージェ電子分光分析(AES)、X線光電子分光分析(XPS)等に基づく測定により得ることができる。
本実施形態に係る正極集電体10によれば、DLC膜14が金属基材12の保護層としての役割を果たすため、金属基材12に腐食が生じるのを防止することができる。また、DLC膜14にホウ素がドープされているので、DLC膜14に電気伝導性を付与することができる。これにより、集電体10界面の接触抵抗を小さくなるので、該集電体10の正極合材層20に対する集電性能を向上させることができる。すなわち、本実施形態の構成によれば、金属基材12の保護を図りつつ、正極合材層20に対して優れた集電性能を有するDLC膜14付き正極集電体10を提供することができる。
なお、必要に応じて接合層16を形成してもよい。この実施形態では、正極集電体10は、基材12とホウ素ドープDLC膜14との界面に接合層16を備える。金属基材12とDLC膜14との間の密着性が低いと基材12の表面からDLC膜14が剥離(例えば滑落)する場合があり得るが、図1に示すように、金属基材12とDLC膜14との界面に接合層16を設けることにより、基材12の表面からDLC膜14が剥離することを回避することができる。したがって、かかる構成によれば、基材表面からDLC膜14が剥離する事象を回避し得、品質安定性に優れた正極集電体10を提供することができる。
接合層16を構成する材料は、基材12とDLC膜14の両方に対して優れた接着性を有する材料が好ましい。また、接合層16の材料は高い電気伝導度を有する材料が好ましい。このような材料として例えばステンレス(SUS)等の金属材料が挙げられる。この実施形態では、接合層16としてステンレス層を備える。ステンレス層16の厚みは特に制限されないが、概ね30nm程度にするとよい。
続いて、図2A〜図2Dを加えて、上記正極集電体10の製造方法について説明する。
ここに開示される正極集電体製造方法では、図2Aに示すように、金属基材12を用意(製造、購入等)する。この実施形態では、金属基材12として例えば厚さ10μm〜30μm程度の箔状のアルミニウム(アルミニウム箔)を用意する。
ここで、アルミニウム箔(基材)12は大気にさらせば即酸化されるため、表面に常時酸化膜(典型的には酸化アルミニウム膜)18を有する。例えば、基材12の表面には、厚さ5nm〜10nm程度の金属酸化膜18が形成される。基材表面に酸化膜18が存在すると、該酸化膜は絶縁膜であるため、集電体界面の接触抵抗が大きくなり、該集電体の正極合材層20に対する集電性能が低下する虞がある。
本実施形態では、図2Bに示すように、ホウ素ドープDLC膜14を形成する前に、基材12の表面に形成された金属酸化膜18を除去して下地のアルミニウムから成る無垢な金属表面を露出させ、しかる後に、図2Dに示すように、ホウ素ドープDLC膜14を形成する。このことによって、金属酸化膜18を除去した後の下地の無垢なアルミニウム表面にホウ素ドープDLC膜14が形成されるので、集電体10界面の接触抵抗をさらに小さくすることができる。
基材12の表面に形成された金属酸化膜18を除去する方法は特に限定されないが、例えば、基材12の表面をドライエッチングすることにより行うとよい。この場合、金属酸化膜18のドライエッチングは、ハロゲン化ホウ素ガス(BCl、BF等)が導入されたチャンバ内で実行するとよい。かかる方法によれば、チャンバ内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスが反応性ガスとして働くため、金属酸化膜18の除去を高速度(高いエッチングレート)で行うことができる。
金属酸化膜18を除去したら、次に、図2Cに示すように、基材表面に接合層16を形成する。この実施形態では、接合層16としてステンレス層を形成する。ステンレス層16の形成方法としては、公知の成膜法、例えば物理蒸着法(PVD法)や化学蒸着法(CVD法)が用いられる。ここに開示される技術において基材表面にステンレス層16を形成する方法として、例えば、ステンレス(SUS316等)から成るターゲットを用いたスパッタリング法を採用することができる。このようにステンレスを用いたスパッタリングを行うことにより、基材表面にステンレス層16を効率よく形成することができる。
基材表面に接合層16を形成したら、次に、図2Dに示すように、基材12上にホウ素ドープDLC膜14を形成する。この実施形態では、ホウ素ドープDLC膜14は、接合層16を介して基材12の上に形成される。このように、基材12とホウ素ドープDLC膜14との界面に接合層16を形成することにより、製造工程において基材表面からDLC膜14が剥離(例えば滑落)する事象を回避し得、正極集電体10を安定して(生産安定性よく)製造することができる。
基材12上にDLC膜14を形成する方法は特に限定されないが、例えば、基材12上にカーボンを物理蒸着することにより行うとよい。この場合、カーボンの物理蒸着は、ハロゲン化ホウ素ガス(BCl、BF等)が導入されたチャンバ内で実行するとよい。かかる方法によれば、チャンバ内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分がDLC膜14の内部にドープされるので、ホウ素ドープDLC膜14を効率よく形成することができる。
ここに開示される技術において基材上にDLC膜14を形成する方法として、カーボンから成る蒸着材を用いたアークイオンプレーティウング(AIP)法を好ましく採用することができる。AIP法を用いると、グラファイト結合の混合比率が高いDLC膜14が得られるので、DLC膜14の電気伝導性がさらに向上する。
上記DLC膜14は、基材12の表面のうち、少なくとも正極合材層20(図1)が形成される範囲を包含するように設けられることが好ましい。例えば、基材12の片面のみ(該片面の一部であってもよく全範囲であってもよい。)に正極合材層20が形成される場合には該片面の全範囲に亘ってDLC膜14を形成する態様を、また該基材12の両面に上記正極合材層20が形成される場合には該片面の全範囲に亘って上記DLC膜14を設ける態様を好ましく採用することができる。
このように基材12上に接合層16を介してホウ素ドープDLC膜14を形成することにより、基材12の表面がホウ素ドープDLC膜14で被覆された正極集電体10が製造される。したがって、以上のステップは、正極集電体10の製造方法あるいは正極集電体を用意(製造)する工程として把握され得る。このようにして、金属基材12の表面がホウ素ドープDLC膜14によって保護されるとともに、正極合材層20に対して優れた集電性能を有するホウ素ドープDLC膜14付き正極集電体10を製造することができる。
次に、図3を加えて上記正極集電体10を製造する製造装置200について説明する。本実施形態の製造装置200は、図3に示すように、内部を減圧可能に構成されたチャンバ210と、上記チャンバ210内に配置された基材保持部220と、上記チャンバ210内にガスを導入するガス導入部230とを備える。また、チャンバ210の内部には、エッチング処理部240と、接合層形成処理部250と、DLC成膜処理部260とが設けられている。
チャンバ210は、上記正極集電体10を製造するための処理室であり、内部を減圧可能に構成されている。基材保持部220は、チャンバ内210に配置され、該チャンバ内210にて基材12を保持する。この実施形態では、金属基材12は、アルミニウムから成る箔状の長尺な金属シート12である。基材保持部220は、エッチング処理部240を経てDLC成膜処理部260へと長尺な金属シート12を長手方向に連続的に流通させるようになっている。
ガス導入部230は、チャンバ210の外面に取り付けられ、該チャンバ210内にハロゲン化ホウ素ガスを含むガスを導入する。この実施形態では、ガス導入部230は、ハロゲン化ホウ素ガス(例えばBCl)と不活性ガス(例えばArガス)との混合ガスをチャンバ210内に導入し、該混合ガス雰囲気をチャンバ210内に形成し得るように構成されている。
エッチング処理部240は、上記基材保持部220で搬送されている基材12の表面をドライエッチングする。このエッチング処理部240によるドライエッチングによって、基材表面の金属酸化膜18(図2B)が除去される。ドライエッチングの条件は、基材表面の金属酸化膜18の厚みや材質に応じて適宜調整すればよい。本実施形態では、ガス導入部230によりハロゲン化ホウ素ガス(例えばBCl)がチャンバ210内に導入される。このチャンバ210内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスが反応性ガスとして働くため、上記エッチング処理部240による金属酸化膜の除去を高速度(例えば一般的なArエッチングに比べて30倍以上のエッチングレート)で行うことができる。そのため、上記エッチング処理部240によるエッチング時間を大幅に短縮することができる。
接合層形成処理部250は、上記エッチングした基材12の表面に接合層16を形成する。この実施形態では、接合層形成処理部250は、ステンレス(SUS316)から成るターゲットを用いたスパッタリングにより、上記エッチングした基材12の表面にステンレス層16を形成し得るように構成されている。
DLC成膜処理部260は、上記エッチングした基材12(ここでは接合層16を介して基材12)の上に、ホウ素ドープDLC膜14を成膜する。この実施形態では、DLC成膜処理部260は、基材12にカーボンを物理蒸着し得るように構成されている。かかるDLC成膜処理部260によりDLC膜14を形成するときに、チャンバ210内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分がDLC膜14の内部にドープされる。そのため、ホウ素ドープDLC膜14を効率よく形成することができる。
このように接合層16を介して基材12の上にホウ素ドープDLC膜14を形成することにより、基材12の表面がホウ素ドープDLC膜14で被覆された正極集電体10を製造することができる。得られた正極集電体10は、その後、ロール状に巻き取られ、後述する正極合材層20の製造工程に適宜供され得る。
本実施形態の製造装置200では、金属酸化膜18の除去と、ホウ素ドープDLC膜14の形成とを、ハロゲン化ホウ素ガスが導入された同一のチャンバ210内で実行しているので、ホウ素ドープDLC膜付き正極集電体を効率よく製造することができる。すなわち、チャンバ210内に導入されたハロゲン化ホウ素ガスが反応性ガスとして働くため、エッチング処理部240による金属酸化膜18の除去を高速度で行うことができる。また、DLC成膜処理部260によりDLC膜14を形成するときに、ハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分がDLC膜の内部にドープされるため、ホウ素ドープDLC膜を効率よく形成することができる。
すなわち、本実施形態の製造装置200によれば、ハロゲン化ホウ素ガスを用いて金属酸化膜18の除去速度を高めつつ、ハロゲン化ホウ素ガスに由来するホウ素成分をDLC膜14にドープして該DLC膜14に電気伝導性を付与することができ、正極合材層20に対して優れた集電性能を有するホウ素ドープDLC膜付き正極集電体を効率よく製造することができる。
続いて、正極合材層20の製造工程について説明する。図1に示すように、正極合材層20については、リチウム二次電池用正極活物質を含む層であればよい。この実施形態では、正極合材層20は、正極活物質と、必要に応じて使用される他の正極合材層形成成分(例えば導電助剤やバインダ等)とから構成される。正極活物質としては、例えばリチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物を主成分とするものが好ましく用いられる。好適例として、LiMn、LiCoO、LiNiO等が挙げられる。
正極合材層20の形成は、例えば、ペースト状正極合材組成物をホウ素ドープDLC膜14の上から塗工して乾燥することにより行えばよい。ペースト状正極合材組成物の調製は、正極活物質の粉末と、必要に応じて使用される他の正極合材層形成成分(例えば導電材やバインダ等)とを適当な分散媒体に分散して混練して行えばよい。かかる分散媒体は、水または水を主体とする混合溶媒であってもよいし、非水系媒体の有機系媒体(例えばN−メチルピロリドン)であってもよい。
水または水を主体とする混合溶媒を用いる場合、リチウム遷移金属複合酸化物(正極活物質)を構成するリチウムイオンが水系媒体中に溶出することによりペースト状正極合材組成物がアルカリ性を呈する場合がある。ペースト状正極合材組成物がアルカリ性を呈すると、該組成物と基材12の反応(典型的にはアルカリによる腐食反応)が進行し、基材12に腐食が生じる虞があるが、本実施形態では、ホウ素ドープDLC膜14の上からペースト状正極合材組成物を付与しているので、ホウ素ドープDLC膜14が保護層としての役割を果たすことにより、基材12に腐食が生じることを防止することができる。
このようにして、本実施形態に係る正極集電体10を備えた正極100を得ることができる。なお、ペースト状正極合材組成物をホウ素ドープDLC膜14の上から塗工して乾燥した後、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、正極合材層20の厚みや密度を調整することができる。
以下、上述した方法を適用して製造された正極(正極シート)100を用いて構築されるリチウム二次電池の一実施形態につき、図4に示す模式図を参照しつつ説明する。このリチウム二次電池300は、正極集電体10として、アルミニウム箔からなる基材12上にホウ素ドープDLC膜14を有する正極集電体が用いられている。
図示するように、本実施形態に係るリチウム二次電池300は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)のケース310を備える。このケース(外容器)310は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体320と、その開口部を塞ぐ蓋体330とを備える。ケース310の上面(すなわち蓋体330)には、捲回電極体380の正極100と電気的に接続する正極端子390および該電極体の負極と電気的に接続する負極端子392が設けられている。ケース310の内部には、例えば長尺シート状の正極(正極シート)100および長尺シート状の負極(負極シート)340を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)360とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体380が収容される。
正極シート100は、上述したように、長尺シート状の正極集電体10の両面に正極活物質を主成分とする正極合材層20が設けられた構成を有する(図1参照)。また、負極シート340も正極シートと同様に、長尺シート状の負極集電体の両面に負極活物質を主成分とする負極合材層が設けられた構成を有する。これらの電極シート100、340の幅方向の一端には、いずれの面にも上記電極合材層が設けられていない電極合材層非形成部分が形成されている。
上記積層の際には、正極シート100の正極合材層非形成部分と負極シート340の負極合材層非形成部分とがセパレータシート360の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート100と負極シート340とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体380の捲回方向に対する横方向において、正極シート100および負極シート340の電極合材層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート100の正極合材層形成部分と負極シート340の負極活物質層形成部分と二枚のセパレータシート360とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極合材層の非形成部分)100Aおよび負極側はみ出し部分(すなわち負極活物質層の非形成部分)340Aには、正極リード端子350および負極リード端子352がそれぞれ付設されており、上述の正極端子390および負極端子392とそれぞれ電気的に接続される。
なお、捲回電極体380を構成する正極シート100以外の構成要素は、従来のリチウム二次電池の電極体と同様でよく、特に制限はない。例えば、負極シート340は、長尺状の負極集電体の上にリチウム二次電池用負極活物質を主成分とする負極合材層が付与されて形成され得る。負極集電体には銅箔その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。負極活物質は従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料が挙げられる。
また、正負極シート100、340間に使用されるセパレータシート360の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、厚さ5〜30μm(例えば25μm)程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
そして、ケース本体320の上端開口部から該本体320内に捲回電極体380を収容するとともに適当な電解質を含む電解液をケース本体320内に配置(注液)する。電解質は例えばLiPF等のリチウム塩である。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)のような非水電解液に溶解して電解液として使用することができる。
その後、上記開口部を蓋体330との溶接等により封止し、本実施形態に係るリチウム二次電池300の組み立てが完成する。ケース310の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウム二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。このようにして本実施形態に係るリチウム二次電池300の構築が完成する。
このようにして構築されたリチウム二次電池300は、基材12の表面がホウ素ドープDLC膜14によって保護されるとともに、正極合材層20に対して優れた集電性能を有する正極集電体10を備えているため、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記正極集電体を用いて電池を構築することにより、例えば、ハイレート特性(大電流における充放電特性)に優れる、耐久性に優れる、生産効率性に優れる、の少なくとも一つを満たすリチウム二次電池を提供することができる。
次に、本実施形態に係る正極集電体10が正極合材層20に対して優れた集電性能を有することを確認するため、実施例として以下の実験を行った。
すなわち、基材としてアルミニウム箔を用意して、その表面に形成された酸化アルミニウム膜をドライエッチングにより除去した後、該エッチング面に膜厚30nmのステンレス層を形成し、該形成したステンレス層の上に、さらに膜厚5nmのホウ素ドープDLC膜を形成して正極集電体を作製した。ステンレス層の形成は、一般的なスパッタ装置(ターゲット:SUS316)を用いて行った。また、ホウ素ドープDLC膜の形成は、一般的なAIP装置を用いて行った。ホウ素ドープDLC膜の形成条件としては、BClとArとを2:1の体積比(モル比)で含む混合ガス(ガス流量11.5sccm)をチャンバ内に導入し、出力200W、到達圧力3×10−3Pa、蒸着圧力6.7×10−1Pa、成膜時間20sの条件で固体カーボンを蒸着材に用いた。
このようにして作製した実施例の正極集電体の接触抵抗を測定した。具体的には、上記正極集電体を2枚用意し、ホウ素ドープDLC膜が形成された面同士が互いに接触するように重ね合わせ、該重ね合わせた接触部分を積層方向に加圧(1MPa/cm程度)しつつ、2枚の正極集電体間に電流を流して単位面積あたりの電気抵抗率(Ω・cm)を測定した。
比較例1として、自然酸化膜を表面に有するアルミニウム箔を未処理のまま正極集電体として用意し、かかる正極集電体(自然酸化膜を有するアルミニウム箔)の接触抵抗を測定した。
比較例2として、アルミニウム箔の表面にホウ素をドープしていないDLC膜を形成した正極集電体を作製し、かかる正極集電体の接触抵抗を測定した。DLC膜にホウ素をドープしていないこと以外は実施例と同様の条件とした。
その結果を図5に示す。図5に示した結果によれば、アルミニウム箔の表面にホウ素をドープしたDLC膜を形成した実施例の正極集電体は、比較例1、2の正極集電体に比べて、接触抵抗が小さくなることが分かった。このことから、アルミニウム箔の表面にホウ素ドープDLC膜を形成することにより、正極合材層に対して優れた集電性能を有する正極集電体を提供できることが確認された。
本発明に係るリチウム二次電池は、上記のとおり電池性能に優れることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図6に模式的に示すように、かかるリチウム二次電池(複数直列接続してなる組電池であってもよい。)300を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供する。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、電池の種類は上述したリチウムイオン電池に限られず、電極体構成材料や電解質が異なる種々の内容の電池、例えばリチウム金属やリチウム合金を負極とするリチウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池であってもよい。
10 正極集電体
12 金属基材
14 ホウ素ドープDLC膜
16 接合層
18 金属酸化膜
20 正極合材層
100 正極
200 製造装置
210 チャンバ
220 基材保持部
230 ガス導入部
240 エッチング処理部
250 接合層形成処理部
260 DLC成膜処理部
300 リチウム二次電池
310 電池ケース
320 電池ケース本体
330 電池蓋体
340 負極シート
350 正極リード端子
352 負極リード端子
360 セパレータシート
380 捲回電極体
390 正極端子
392 負極端子

Claims (24)

  1. 電池用の正極集電体を製造する方法であって、
    正極集電体の本体部分を構成する金属基材上に、ホウ素をドープしたDLC膜を形成することを特徴とする、正極集電体の製造方法。
  2. 前記金属基材の表面には該金属の酸化膜が予め形成されており、
    前記ホウ素ドープDLC膜を形成する前に、前記基材の表面に形成された金属酸化膜を除去する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記金属酸化膜の除去と、前記ホウ素ドープDLC膜の形成とを、ハロゲン化ホウ素ガスが導入された同一のチャンバ内で実行する、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記金属酸化膜の除去は、前記チャンバ内にて前記基材の表面をドライエッチングすることにより行われる、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記ホウ素ドープDLC膜は、前記チャンバ内にて前記基材にカーボンを物理蒸着することにより形成される、請求項3に記載の製造方法。
  6. 前記金属基材は、箔状の長尺な金属シートであり、該長尺な金属シートの長手方向に前記金属酸化膜の除去と前記ホウ素ドープDLC膜の形成とが連続的に行われる、請求項3から5の何れか一つに記載の製造方法。
  7. 前記金属基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である、請求項1から6の何れか一つに記載の製造方法。
  8. 前記ハロゲン化ホウ素ガスは、BClである、請求項3から7の何れか一つに記載の製造方法。
  9. 前記基材と前記ホウ素ドープDLC膜との界面に接合層を形成する、請求項1から8の何れか一つに記載の製造方法。
  10. 前記接合層としてステンレス層を形成する、請求項9に記載の製造方法。
  11. 電池用の正極集電体を製造する装置であって、
    内部を減圧可能に構成されたチャンバと、
    前記チャンバ内に配置され、正極集電体の本体部分を構成する金属基材を保持する基材保持部と、
    前記チャンバ内にハロゲン化ホウ素を含むガスを導入するガス導入部と
    を備え、
    前記チャンバの内部には、前記基材の表面をドライエッチングするエッチング処理部と、該エッチングした基材上にホウ素をドープしたDLC膜を形成するDLC成膜処理部とが設けられている、電池用正極集電体の製造装置。
  12. 前記DLC成膜処理部は、前記基材にカーボンを物理蒸着し得るように構成されている、請求項11に記載の製造装置。
  13. 前記金属基材は、箔状の長尺な金属シートであり、
    前記基材保持部は、前記エッチング処理部を経て前記DLC成膜処理部へと長尺な金属シートを長手方向に連続的に流通させるように構成されている、請求項11または12に記載の製造装置。
  14. 前記ハロゲン化ホウ素ガスは、BClである、請求項11から13の何れか一つに記載の製造装置。
  15. 前記金属基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である、請求項11から14の何れか一つに記載の製造装置。
  16. 前記チャンバの内部には、前記基材と前記ホウ素ドープDLC膜との界面に接合層を形成する接合層形成部が設けられている、請求項11から15の何れか一つに記載の製造装置。
  17. 前記接合層形成部は、前記接合層としてステンレス層を形成する、請求項16に記載の製造装置。
  18. 電池の製造方法であって、
    正極集電体として、請求項1から10の何れか一つに記載の製造方法、若しくは請求項11から17の何れか一つに記載の製造装置により製造された正極集電体を使用することを特徴とする、電池製造方法。
  19. 電池用の正極集電体であって、
    正極集電体の本体部分を構成する金属基材と、
    前記基材上に設けられ、ホウ素をドープしたDLC膜と
    を備えた、電池用正極集電体。
  20. 前記基材と前記ホウ素ドープDLC膜との界面に接合層を備える、請求項19に記載の電池用正極集電体。
  21. 前記接合層としてステンレス層を備える、請求項20に記載の電池用正極集電体。
  22. 前記金属基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である、請求項19から21の何れか一つに記載の電池用正極集電体。
  23. 請求項19から22の何れか一つに記載の正極集電体を備えた電池。
  24. 請求項23に記載の電池を搭載した車両。





JP2009102540A 2009-04-21 2009-04-21 電池用正極集電体及びその製造方法 Withdrawn JP2010257574A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009102540A JP2010257574A (ja) 2009-04-21 2009-04-21 電池用正極集電体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009102540A JP2010257574A (ja) 2009-04-21 2009-04-21 電池用正極集電体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010257574A true JP2010257574A (ja) 2010-11-11

Family

ID=43318305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009102540A Withdrawn JP2010257574A (ja) 2009-04-21 2009-04-21 電池用正極集電体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010257574A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012184488A (ja) * 2011-03-08 2012-09-27 Nissan Motor Co Ltd ロールコーター装置
JP5304796B2 (ja) * 2010-01-08 2013-10-02 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用正極板、リチウムイオン二次電池、車両、電池搭載機器、及び、リチウムイオン二次電池用正極板の製造方法
JP2015165594A (ja) * 2015-05-18 2015-09-17 株式会社大木工藝 電気二重層キャパシタ
WO2017037618A1 (en) * 2015-08-31 2017-03-09 Leif Nyholm Substrate with doped diamond layer for lithium-based systems
JP2017059844A (ja) * 2016-11-18 2017-03-23 株式会社大木工藝 電気二重層キャパシタ
JP2018200784A (ja) * 2017-05-26 2018-12-20 トヨタ自動車株式会社 電極集電体および全固体電池
CN109845020A (zh) * 2016-07-11 2019-06-04 得克萨斯州大学系统董事会 基于金属镀覆的电能储存单元

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5304796B2 (ja) * 2010-01-08 2013-10-02 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用正極板、リチウムイオン二次電池、車両、電池搭載機器、及び、リチウムイオン二次電池用正極板の製造方法
JP2012184488A (ja) * 2011-03-08 2012-09-27 Nissan Motor Co Ltd ロールコーター装置
JP2015165594A (ja) * 2015-05-18 2015-09-17 株式会社大木工藝 電気二重層キャパシタ
WO2017037618A1 (en) * 2015-08-31 2017-03-09 Leif Nyholm Substrate with doped diamond layer for lithium-based systems
CN109845020A (zh) * 2016-07-11 2019-06-04 得克萨斯州大学系统董事会 基于金属镀覆的电能储存单元
JP2019526151A (ja) * 2016-07-11 2019-09-12 ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム 金属めっきベースの電気エネルギー貯蔵セル
JP2017059844A (ja) * 2016-11-18 2017-03-23 株式会社大木工藝 電気二重層キャパシタ
JP2018200784A (ja) * 2017-05-26 2018-12-20 トヨタ自動車株式会社 電極集電体および全固体電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5207026B2 (ja) 電池の電極集電体及び該電極集電体を備えた電池用電極の製造方法
US11355739B2 (en) Passivation of lithium metal by two-dimensional materials for rechargeable batteries
US8470468B2 (en) Lithium-ion batteries with coated separators
US9379387B2 (en) Cathode current collector coated with primer and magnesium secondary battery comprising the same
JP5304796B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極板、リチウムイオン二次電池、車両、電池搭載機器、及び、リチウムイオン二次電池用正極板の製造方法
KR101316191B1 (ko) 리튬 2차 전지용 음전극, 음전극을 준비하기 위한 방법, 음 전극을 갖는 리튬 2차 전지, 및 리튬 2차 전지를 갖는 차량
CN111048747A (zh) 制造用于锂基电池的含硅复合电极的方法
Lu et al. Lithium-ion batteries based on vertically-aligned carbon nanotube electrodes and ionic liquid electrolytes
JP4730405B2 (ja) リチウムイオン電池の正電極板に用いる電池用電極箔、リチウムイオン電池用の正電極板、リチウムイオン電池、車両、電池搭載機器、リチウムイオン電池の正電極板に用いる電池用電極箔の製造方法、及び、リチウムイオン電池用の正電極板の製造方法
US20130323595A1 (en) Lithium ion battery electrode materials and methods of making the same
JP5334156B2 (ja) 非水電解液二次電池の製造方法
US20120263993A1 (en) Electrochemical device
JP2008269972A (ja) 非水溶媒二次電池
US20120264022A1 (en) Electrode for electrochemical device and method for producing the same
JP2016510941A (ja) より厚い電極製造を可能にするための多層電池電極設計
JP7069612B2 (ja) 積層電極体、蓄電素子及び積層電極体の製造方法
JP2010257574A (ja) 電池用正極集電体及びその製造方法
KR101701785B1 (ko) 리튬 이온 이차전지용 집전체 및 리튬 이온 이차전지용 양극
JP6360022B2 (ja) 非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法、及び非水電解質二次電池の製造方法
JP2013165250A (ja) 集電体及び電極、これを用いた蓄電素子
JP2008243828A (ja) 負極および二次電池の製造方法
JP5058381B1 (ja) 集電体及び電極、これを用いた蓄電素子
JP2019016494A (ja) 積層電極体の製造方法及び蓄電素子の製造方法
JP5353423B2 (ja) 電池用電極箔、正電極板、電池、車両、電池搭載機器、及び、電池用電極箔の製造方法
JP4655104B2 (ja) 電池用電極箔、正電極板、電池、車両、電池搭載機器、電池用電極箔の製造方法、及び、正電極板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20120703