JP2011008997A - リチウム箔積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延装置Aにおいて、一次箔10aを、3つの圧延ロール11a〜11cにより、順次薄くして、厚み100nm〜30μm程度のリチウム箔10を形成する。その際、揮発性物質からなる潤滑剤13を圧延ロール11a〜11c表面またはリチウム箔10表面の少なくとも一方に供給する。その後、積層装置Bにおいて、圧延されたリチウム箔10を基材フィルム30に積層する。その際、潤滑剤13は、リチウム箔10が圧延されてから、積層されるまでの領域Rcにおいて、ほぼ全てが揮発する。よって、リチウム箔10と基材フィルム30との間には、潤滑剤13がほとんど介在していない。基材フィルム30の材種の選択に際し、リチウム箔10との反応だけを避ければよいので、基材フィルム30の選択の幅が拡大する。
【選択図】図3
Description
このような極めて薄いリチウム箔がロール間で冷間圧延される製造工程においては、ロール表面に炭素数8以上の鎖式飽和炭化水素を潤滑剤として供給することが生産性の向上や品質の維持に極めて有効であることが明らかにされ(例えば、特許文献1参照)実施されている。
リチウム箔には、純リチウムからなるものだけでなく、リチウム−アルミニウム合金のようなリチウム合金からなるものも含まれる。リチウム合金としては、リチウムリッチな合金であれば特に限定されないが、リチウムを90重量パーセント以上含有する合金を用いるのが好ましい。
「リチウム箔積層体」は少なくとも基材フィルムの片面にリチウム箔が積層されていればよい。したがって、基材フィルムの両面にリチウム箔が積層されていてもよい。また、基材フィルムの片面側で、リチウム箔が複数層積層されていてもよい。
また、圧延されたリチウム箔をいったん巻き取ってから、基材フィルムと積層してもよいし、リチウム箔を巻き取ることなく圧延と積層とを連続して行なってもよい。
一般的には、リチウム箔積層体は、リールで巻き取られるが、巻き取らずに、例えば、1辺15cm以上の薄板として加工する場合は、厚み1mm程度以上の基材フィルムを用い、その表面にリチウム箔を積層することもできる。
リチウム箔を圧延する際には、潤滑剤をロール表面およびリチウム箔表面の少なくとも一方に供給することで、圧延を円滑に行うことができる。しかも、潤滑剤が揮発性物質であるので、リチウム箔と基材フィルムとを積層する際には、リチウム箔の表面にほとんど潤滑剤が残存しないようにすることが可能となる。
装置の大きさに制限がある場合には、装置の圧延後から積層時までにほぼ揮発する程度に揮発性の高い潤滑剤を用いればよい。コストや圧延時の性能から潤滑剤として用いたいものが限られる場合には、潤滑剤の揮発性に応じて、装置の圧延後から積層までの距離を設定すればよい。ただし、潤滑剤の全てが積層時に揮発して消失していなくても、基材フィルムにフレアが生じない程度に微量残存していてもよい。
したがって、潤滑剤と基材フィルムとの反応によるフレアの発生を抑制することができる。よって、特許文献2における基材フィルム上の表面材は不要となり、製造の手間や製造コストを削減することができる。
また、基材フィルム30の材種の選択に際しては、潤滑剤13との反応性を考慮する必要がなく、リチウム箔10との反応だけを避ければよいので、基材フィルム30の材質の選択の幅が拡大する。
また、基材フィルムとして金属フィルムを用い、金属フィルムを蓄電デバイス等の一部として利用する場合には、金属フィルムとリチウム箔との間に潤滑剤がほとんど残存しないので、リチウム箔と金属フィルムとの導通性が確保される。
そのうち、分子式がCnH2n+2-2mで表されるポリオレフィン,PET,ポリ塩化ビニリデン,塩化ビニリデンを主成分とするポリマーは、リチウム箔や潤滑剤との反応が生じにくいので、基材フィルムの材料として用いることにより、基材フィルムやリチウム箔のフレアの発生を抑制することができる。
ポリオレフィンの中でも、ポリエチレン及びポリプロピレンは、リチウム箔との反応性がほとんどなく、安価で入手も容易であることから、実用的に最適な材料である。
なお、プラスチックフィルムとリチウム箔との間に粘着材が介在していてもよい。その場合にも、潤滑剤が残存していないことで、潤滑剤と粘着材との反応を考慮する必要がなくなる。また、潤滑剤が残存していないので、基材フィルムとリチウム箔とが確実に貼り合わされることになる。
たとえば、圧延されたリチウム箔をいったん巻き取る場合には、巻き取るまでに潤滑剤が全て揮発することが好ましいが、多少潤滑剤が残存していても、巻き取られたリチウム箔が基材フィルムと積層されるまでに、潤滑剤が揮発すればよい。
図1は、本発明の実施の形態1に係る圧延装置Aの側面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る積層装置Bの側面である。
図1に示すように、実施の形態1に係る圧延装置Aは、第1〜第3圧延ロール11a〜11cと、ガイドロール14と、巻き取りリール17とを備えている。図1には、第1〜第3ロール11a〜11cしか表示されていないが、さらに多くの圧延ロールが設けられていてもよい。
各圧延ロール11a〜11cのクリアランスは、リチウム箔10のユーザー仕様にあった厚さを得るために所定のクリアランスに調整されている。
所定の厚みまで圧延されたリチウム箔10は、ガイドロール14を経て、リール17に巻き取られる。
ただし、潤滑剤13は、圧延を円滑に行わせるための潤滑機能を有し、かつ、圧延から積層するまでに、基材フィルムにフレアを生じさせない程度まで揮発する揮発性物質からなるものであればよく、必ずしも炭素数8以上の鎖式飽和炭化水素である必要はない。
なお、圧延装置Aを密閉空間内に設置し、密閉空間を減圧雰囲気にすることによって、潤滑剤13の揮発を促進させることもできる。
図2に示すように、リール17からリチウム箔10を巻き出す一方、基材フィルム30が巻かれたリール31から基材フィルム30を巻き出して、ピンチロール15により、リチウム箔10を基材フィルム30に積層し、リチウム箔積層体20を形成する。リチウム箔積層体20は、リール21に巻き取られ、缶詰又は袋詰めされる。
その後、次工程またはユーザにおいて、リチウム箔10は基材フィルム30から蓄電デバイス等の電子部品の一部に転写され、蓄電デバイス等の部材として用いられる。
プラスチックからなる基材フィルム30としては、リチウム箔の保護フィルムとして機能する程度の機械的強度を有するフィルム(腰のあるフィルム)であれば、特に限定されないが、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンーポリプロピレン共重合体等の汎用樹脂のフィルム他、エンジニアリングプラスチック等のフィルムなどがある。
なお、本件では、潤滑剤13を揮発させるので、潤滑剤13と基材フィルム30との反応性はあまり重要ではないが、微量の潤滑剤13が残存しているケースもあり得るので、基材フィルム30としては,潤滑剤13との反応性も低いものを用いることが好ましい。
ポリオレフィンの中でも、ポリエチレン及びポリプロピレンは、リチウム箔10や潤滑剤13との反応性が低く、リチウム箔10を基材フィルム30から剥離させるのが容易である。しかも、安価で入手も容易であることから、実用的に最適な材料である。
リチウム箔10の圧延工程においては、潤滑剤13を圧延ロール11a〜11c表面およびリチウム箔10表面の少なくとも一方に供給することで、圧延を円滑に行うことができる。しかも、潤滑剤13が揮発性物質であるので、リチウム箔10と基材フィルム30とを積層する際には、リチウム箔10の表面にほとんど潤滑剤30が残存しないようにすることが可能となる。したがって、潤滑剤10と基材フィルム30との反応によるフレアの発生を抑制することができる。
また、基材フィルム30の材種の選択に際しては、潤滑剤13との反応性を考慮する必要がなく、リチウム箔10との反応だけを避ければよいので、基材フィルム30の材質の選択の幅が拡大する。
図3は、本発明の実施の形態2に係る連続圧延・積層装置Cの側面図である。図3において、図1及び図2に示す部材と構成が同じ部材については、同じ符号を付して,説明を省略する。
本実施の形態では、圧延装置Aで薄く圧延されたリチウム箔10を、リールに巻き取ることなく、積層装置Bで基材フィルム30に積層している点が特徴である。圧延装置Aおよび積層装置Bの機能については、実施の形態で説明した通りである。
本実施の形態では、揮発性物質からなる潤滑剤13のほぼ全てが、第3圧延ロール11cとピンチロール15との間の領域Rc、つまり、リチウム箔10が圧延されてから積層されるまでの領域Rcにおいて、揮発するように構成されている。
すなわち、潤滑剤13として揮発性物質を用いることにより、圧延から積層までを連続的に行うことが可能になったといえる。
B 積層装置
C 連続圧延・積層装置
10 リチウム箔
10a 一次箔
11a 第1圧延ロール
11b 第2圧延ロール
11c 第3圧延ロール
13 潤滑剤
14 ガイドロール
15 ピンチロール
16 ガイドロール
17 リール
20 リチウム箔積層体
21 リール
30 基材フィルム
31 リール
Ra〜Rc 領域
Claims (7)
- リチウムまたはリチウム合金からなるリチウム箔を圧延する工程(a)と、
上記工程(a)で圧延されたリチウム箔を基材フィルムに積層してリチウム箔積層体を形成する工程(b)と、
を含み、
上記工程(a)では、揮発性物質からなる潤滑剤を、ロール表面およびリチウム箔表面の少なくとも一方に供給する、リチウム箔積層体の製造方法。 - 請求項1記載のリチウム箔積層体の製造方法において、
上記工程(a)では、上記基材フィルムとして、実質的にリチウムと反応しないプラスチックフィルムを用いる。 - 請求項1または2記載のリチウム積層体の製造方法において、
上記工程(a)では、上記基材フィルムの材料として、ポリエチレン,ポリプロピレン,あるいは、ポリエチレン及びポリプロピレンを除くポリオレフィン,PET,ポリ塩化ビニリデンおよび塩化ビニリデンを主成分とするポリマーから選ばれる少なくとも1つの樹脂を用いる。 - 請求項1記載のリチウム積層体の製造方法において、
上記工程(a)では、上記基材フィルムとして、実質的にリチウムと反応しない金属からなる金属フィルムを用いる。 - 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載のリチウム積層体の製造方法において、
上記潤滑剤は、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、およびヘプタデカンから選ばれる少なくとも1つの物質を含んでいる。 - 請求項1〜5のうちいずれか1つに記載のリチウム積層体の製造方法において、
上記工程(a)で圧延されたリチウム箔を巻き取ることなく、上記工程(b)で基材フィルムに積層する。 - 請求項1〜6のうちいずれか1つに記載のリチウム積層体の製造方法において、
上記工程(b)では、基材フィルムとして、少なくとも片面にポリ塩化ビニリデンフィルム又は塩化ビニリデンを主成分とするポリマーフィルムからなる表面材を積層してなる基材フィルムの表面材側を、リチウム箔の少なくとも片面に接触させる。
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