JP4594039B2 - 積層フィルム被覆リチウム箔 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム電池のリチウム負極、リチウム合金負極、あるいはリチウムを可逆的に吸蔵する炭素負極、リチウム吸蔵合金負極等に用いられる、いわゆるリチウム箔に関するものである。
高容量、高出力を必要とするカメラ用の円筒型リチウム1次電池などの負極として従来使用されているリチウム箔の厚みは、およそ100μmから数100ミクロンの範囲にある。このように、100μm以上の厚みを有するリチウム箔は、箔自身がもつ機械的強度が反映して、その製造時におけるリチウム箔のリールへの巻き取り工程や電池製造時におけるリチウム箔巻き取りリールから電池集電体上への送り出し工程など、箔自身の製造から電池製品への組み込みまでの全工程において、リチウム箔の毀損を生じるような問題は発生しないか、発生しても比較的容易に解決されており、ハンドリング上の問題はほとんど生じない。
ところが、近年、リチウム電池の形状やリチウム箔の用途の多様化によって、リチウム箔のさらなる薄膜化が要求され、その結果、100μm以下の厚みを有するリチウム箔の製造技術や加工技術と共にその使用、輸送、保管に際して、リチウム箔製品の化学的、機械的な安定性や取り扱い上の利便性の向上が要求されるようになった。
このような安定性や利便性の向上のための方策として、リチウム箔製造時においてリチウム箔にリチウムとの反応性のきわめて低いポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルムを被覆して、リチウム箔の機械的強度を補い、その後の電池製造時にはこのフィルムを剥がしながら電池部材への装着をする方法が考案されている。
一方、極めて薄いリチウム箔がロール間で冷間圧延される製造工程においては、ロール表面に炭素数8以上の鎖式飽和炭化水素を塗布することが生産性の向上や品質の維持に極めて有効であることが明らかにされ(例えば、特許文献1参照)実施されている。
しかし、前記飽和炭化水素を塗布して製造されたリチウム箔に対し(若しくは該飽和炭化水素の塗布のないリチウム箔に対し)、前記安定性などの向上を図る観点から、前記ポリプロピレンフィルムを被覆する方法を採用しても、その保管期間が長くなるにつれて、ポリプロピレンフィルムにフレア(波打ち状の形状)がしばしば発生し、さらに、このフレアは、当該フィルムを剥がした後のリチウム箔に転写され、その結果、リチウム箔にもフレアが形成されることになり、このリチウム箔は高度な平滑性、厳格な寸法の制御が要求されるリチウム電池用負極部材としての用途には不適となって、リチウム電池負極製造における歩留まりの向上を阻害する要因となった。
特開10−58007(段落0006)
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、リチウム箔の使用、輸送、保管等の取り扱いに際して、フレアの発生を防止すると共に、リチウム箔に化学的、機械的な安定性をもたらし、その取り扱いを容易にする、被覆フィルムを備えたリチウム箔を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、リチウム箔とその被覆フィルムとの組み合わせに着目し鋭意研究した結果、リチウム箔をポリプロピレン等の基材フィルムと特定の表層材フィルムとの積層フィルムにより被覆すると、該フィルムはリチウムに化学的に安定で、適当な密着性をもつことを見出し、また、この積層フィルムは電池製造工程などでの使用の際にリチウム箔から容易に剥離し、除去できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のうち第1の発明は、プラスチックフィルム基材の少なくとも片面にポリ塩化ビニリデンフィルム又は塩化ビニリデンを主成分とするポリマーフィルムからなる表面材を積層してなる積層フィルムの表面材側を、厚みは1μm以上100μm以下のリチウム箔の少なくとも片面に接触させたことを特徴とする積層フィルム被覆リチウム箔である。
ここで、「塩化ビニリデンを主成分とするポリマー」とは、塩化ビニリデンの含有量が50重量パーセント以上のポリマーをいい、塩化ビニリデンの含有量が50重量パーセント以上であれば、塩化ビニリデンと他のモノマーとの交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれらの混合物、さらにはポリ塩化ビニリデンと他のポリマーとの混合物などを含む概念である。他のモノマーとしては、オレフィンやそのハロゲン化物が例示され、他のポリマーとしてはポリオレフィンやそのハロゲン置換体が例示される。他のモノマーとしては中でも、塩化ビニルや1,2−ジクロロエチレンを用いるのが好ましく、他のポリマーとしてはポリ塩化ビニルやポリ1,2−ジクロロエチレンを用いるのが好ましい。汎用性や安価な点を考慮すれば、塩化ビニリデンと塩化ビニルとの共重合体とするのが好ましい(第2発明)。
本発明における「ポリ塩化ビニリデン又は塩化ビニリデンを主成分とするポリマーフィルム」は、この素材に極性があり、鎖状炭化水素を吸収しにくいため、鎖状炭化水素が表面に残存するリチウム箔と接触させても、鎖状炭化水素を透過させない役割を果たしていると考えられる。つまり、リチウム箔に付着している鎖状炭化水素が基材フィルムに吸収されることを防止する役目を負っていると考えられる。したがって、ポリ塩化ビニリデン等の表面材フィルムの厚みは、いくら厚くても本発明の効果が減じることはないと考えられる。しかしながら、汎用性やコストを考慮すれば、上限の厚みとしては、100μm以下のものが望ましい。一方、還元力の強いリチウムに対するポリ塩化ビニリデンの劣化による損失が考慮されなければならないので、下限の厚みとしては10μm以上とするのが好ましい。
本発明において「リチウム箔」はリチウムを含む箔を意味し、純粋なリチウムの箔はもちろん、リチウムと他の金属との合金箔、もしくはリチウム又はリチウム合金の薄膜が他の金属箔(例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔)上に形成された複層の箔(第3発明)などであってもよい。また、このリチウム又はリチウム合金の薄膜は物理蒸着法又は化学蒸着法によって形成されていてもよい(第4発明)。このような複層の箔を用いる場合、積層フィルムで被覆するのはリチウム層の存在する側であるのはもちろんである。なお、リチウム合金としては、リチウムがリッチな合金であれば特に限定されないが、リチウムを90重量パーセント以上含有する合金を用いるのが好ましい。
本発明において「積層フィルム」は少なくともプラスチックフィルム基材の片面に表面材があればよいのであるから、表面材はプラスチックフィルム基材の両面にあってもよいのはもちろんである。また必ずしも、二層や三層構造である必要はなく、これらをさらに積層した4層や5層のものであってもよい。積層フィルム最外層の片面にのみ表面材が存在する場合、表面材の存在する側を金属リチウム箔に接触させる必要があるが、最外層の両面に表面材が存在する場合はどちらの側をリチウム箔に接触させてもよいのももちろんである。
これらの積層フィルムの間は接着されていてもよい。例えば、これらの積層フィルムの間に第三の層として接着性樹脂層を設けることもできるし、フィルム同士の融着層を設けることもできる。このような接着によって、前記基材フィルムと前記表面材フィルム間の密着性を高めたり、前記表面材フィルムに対する前記基材フィルムの選択の幅を広げることができる。例えば、エチレンエチルアクリレート樹脂等の接着剤を接着性樹脂層として用いると、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の下記汎用樹脂で構成されるフィルム基材等以外のフィルムも本発明の効果を減ずることなく基材フィルムとして用いることができ、基材フィルムの選択の幅を広げることができる。
「プラスチックフィルム基材」としては、前記リチウム箔の保護フィルムとして機能する程度の機械的強度を有するフィルム(腰のあるフィルム)であれば、特に限定されないが、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンーポリプロピレン共重合体等の汎用樹脂(第5発明)のフィルム他、エンジニアリングプラスチック等のフィルムが例示される。
プラスチックフィルム基材の厚みは、リチウム箔の幅、厚み、そのリールへの巻き取り速度などの作業状況に合わせて適宜最適なものを選択して用いればよい。前記第6の発明の汎用樹脂を用いる場合、腰のある強度を保つためには最低でも5μm以上好ましくは10μm以上の厚さが必要であり、上限はいくらでも構わないが、好ましくは3mm以下、より好ましくは、積層フィルム被覆リチウム箔としてリールに連続的に巻き取る工程を想定して、100μm以下とするのがよい(第6発明)。一方、リールに巻き取るのではなく、例えば、1辺15cm 以上の薄板として加工する場合は、厚み1mm程度以上の基材フィルムを用いその表面に表面材フィルムを積層して用いることもできる。
本発明の積層フィルム被覆リチウム箔によれば、リチウム箔は、アルゴンガス雰囲気中での長期間にわたる保存後においてもフレアを発生せず、被覆積層フィルムとの反応を示すような変色を示すこともない。また、被覆フィルムとリチウム箔との密着性も良好で、一度被覆により接触させると、保存期間を通して自然に剥離することもない。一方、保管後に被覆積層フィルムをリチウム箔から除去するに際しては、リチウム箔表面の平滑性を失わせることなく、容易にリチウム箔から引き剥がすことができ、リチウム箔が破損するようなこともない。
以上のように、本発明によれば、従来取り扱うことの不可能な30μm以下の厚みしかないような大面積のリチウム箔を容易にハンドリングすることが可能になり、リールへの巻き取りや剥ぎ取りが高速で、効率よく行なえるようになる。また、その形状や化学的安定性も長期間、維持することが可能となる。
以下、発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明に係る積層フィルム被覆リチウム箔は次のようにして製造される。
ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンのプラスチック樹脂フィルムの両面にポリ塩化ビニリデンフィルムを定法により押し出して積層し作製した積層フィルムを、リチウム箔に次のようにして被覆すれば、本発明に係る積層フィルム被覆リチウム箔が製造できる。このようにして得られた積層フィルム被覆リチウム箔の各層間の関係を示す概略断面図を図1(a)に示す。
積層フィルムによるリチウム箔の被覆は、生産性を考えて、図2に示すように、炭素数8以上の鎖式飽和炭化水素を塗布したローラー(図示せず)を用いる冷間圧延機1によって圧延された直後のリチウム箔2と巻出し部3から送り出された積層フィルム4とを直ちに二つのローラー5、5の間を通して接触させ、送りローラー7を経由して巻取り部8で連続的に巻き取る方法が望ましい。
冷間圧延加工されたリボン状のリチウム箔の幅は、用途に応じて自由に設定することができる。また、そのリチウム箔の厚みにも特別な制限はないが、リチウム箔の機械的な強度を補強することが本発明の目的であることから、100μm以下のリチウム箔に適用するときに真価を発揮する。なお、プラスチックフィルム基材であるポリプロピレンフィルムなどは、2軸延伸法により製造されたフィルムでも、1軸延伸、無延伸のものを用いてもよい。
図1(b)〜(d)には本発明による積層フィルム被覆リチウム箔の積層構造の他の具体例を、各層間の関係を示す概略断面構造として示した。もちろん、これらは本発明における積層構造を限定するものではなく、基材樹脂フィルム、表面材としての塩化ビニリデン樹脂フィルムなどの役割を考慮して、他に考えられる様々な積層構造を用いてもよい。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明に係る積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))の作製について説明する。まず、積層フィルムは、プラスチックフィルム基材として厚み約12μm、巾7.5cmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(3)の両面に、表面材フィルムとして約12μmのポリ塩化ビニリデン(2)フィルムをTダイ押出成形により、合計厚みが約35μmのものを作製した。
次に、この積層フィルムを十分に乾燥後アルゴンガス雰囲気中で、図2に示すように、オクタンを塗布したローラー(図示せず)を用いる冷間圧延機1によって圧延された直後の厚さ約30μm、巾約6cmのリチウム箔2と巻出し部3から送り出された積層フィルム4とを直ちに二つのローラー5、5の間を通して接触させ、送りローラー7を経由して直径約16.5cmのリールを有する巻取り部8に連続的に巻き取り、50mの積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(実施例2)
プラスチックフィルム基材として、厚み約12μmポリエステル(PET)製のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(実施例3)
プラスチック基材として、厚み約12μmナイロン(ポリアミド6)製のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(実施例4)
プラスチック基材として、厚み約12μm2軸延伸ポリエチレン(OPE)製のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(実施例5)
実施例1において、リチウム箔の換わりに厚さ約30μmの1%アルミニウム含有リチウム合金箔を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(実施例6)
実施例4において、リチウム箔の換わりに厚さ約30μmの1%アルミニウム含有リチウム合金を用いた以外は、実施例4と同様にして積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(実施例7)
実施例1において、リチウム箔の換わりに厚さ約7μmのリチウム蒸着箔(厚さ5μmの銅箔上に厚さ約2μm のリチウム箔を蒸着)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(実施例8)
実施例4において、リチウム箔の換わりに厚さ約7μmのリチウム蒸着箔(厚さ5μmの銅箔上に厚さ約2μm のリチウム箔を蒸着)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層フィルム被覆リチウム箔(図1(a))を作製した。
(比較例1)
厚さが40μm、巾7.5cmのポリプロピレンフィルムを被覆フィルムとして用い、このフィルムを十分に乾燥後、アルゴンガス雰囲気中で、オクタンを塗布したローラーを用いる冷間圧延機1によって圧延された直後の厚さ約30μm、巾約6cmのリチウム箔2と巻出し部3から送り出されたポリプロピレンフィルム4とを直ちに二つのローラー5、5の間を通して接触させ、送りローラー7を経由して直径約16.5cmのリールを有する巻取り部8に50mを連続的に巻き取り(図2参照)、ポリプロピレンフィルム被覆リチウム箔を作製した。
(比較例2)
厚さが30μm、巾7.5cmのポリ塩化ビニリデンフィルムを被覆フィルムとして用いた以外は、比較例1と同様にして、ポリ塩化ビニリデンフィルム被覆リチウム箔を作製した。
(比較例3)
厚さが12μm、巾7.5cmのポリエステル(PET)製フィルムを被覆フィルムとして用いた以外は、比較例1と同様にして、PET製フィルム被覆リチウム箔を作製した。
(比較例4)
厚さが15μm、巾7.5cmのナイロン製フィルムを被覆フィルムとして用いた以外は、比較例1と同様にして、ナイロン製フィルム被覆リチウム箔を作製した。
(比較例5)
厚さが70μm、巾7.5cmのポリエチレンフィルムを被覆フィルムとして用いた以外は、比較例1と同様にして、ポリエチレンフィルム被覆リチウム箔を作製した。
(経時変化評価試験)
実施例1〜8の積層フィルム被覆リチウム箔、比較例1〜5の単一フィルム被覆リチウム箔の中から、それぞれ約6cm四方の試験片をそれぞれ10枚切り出し、リールに巻かれた被覆リチウム箔と共に半年間にわたりアルゴンガス雰囲気下で保管し、それらの経時変化を観察した。すなわち、各リチウム箔の全サンプル(10枚の試験片とリールに巻かれた被覆リチウム箔)の外観と表面形状に対する目視観察と金属顕微鏡観察を行うことにより、フレア、剥離性及び反応性を下記の基準を用いて総合的に評価した。この場合において、被覆フィルムの剥離性はリールに巻かれたフィルム被覆リチウム箔から、リールを旋回させながら被覆フィルムを剥ぎ取り、取り出されたリチウムに破れ、毛羽立ち等の毀損がないか調べた。
◎:優れている、
○:実用上問題なし、
△:実用上難がある、
×:実用に適しない。
実施例1〜8の積層フィルム被覆リチウム箔、比較例1〜5の単一フィルム被覆リチウム箔について、これら被覆リチウム箔の経時変化の評価結果をまとめて表1に示す。
なお、表1において、PVDCはポリ塩化ビニリデン、OPPは2軸延伸ポリプロピレン、PETはポリエステル、OPEは2軸延伸ポリエチレンを示す。
表1に示すように、ポリプロピレンにポリ塩化ビニリデンを積層してなる積層フィルムを用いた実施例1のリチウム箔は、6ヵ月後においてもフレア(波打ちの形状)を発生せず、被覆フィルム及びリチウム箔表面に外観上の変化もみられなかった。また、保管後の被覆フィルムの引き剥がしも容易であり、被覆フィルム剥離後のリチウム箔の形状は十分な平坦性を維持していた。プラスチック基材フィルムは異なるが、同様にポリ塩化ビニリデンを積層してなる積層フィルムを用いた実施例2〜4のリチウム箔、実施例5,6のリチウム合金箔の場合も、実施例1と同じく良好な結果が得られた。
実施例7,8は、厚さ5μm の銅箔上に厚さ約2μm のリチウム箔を真空蒸着法で形成したリチウム箔膜への積層フィルムの適用例であり、このようなきわめて薄い銅箔上にリチウム薄膜を形成した場合、銅箔は支持体としては機械的強度が不十分で、本来取り扱いが極めて難しいものである。しかし、実施例1で示したものと同じ積層フィルム(厚さ35μm)を、リチウム薄膜を有する面にポリ塩化ビニリデンフィルムが接するように張り合わせることで、十分な強度をこのリチウム蒸着銅箔に付与することができ、保管後の被覆フィルムの剥離も容易に行える。
厚さが40μmのポリプロピレンフィルムを被覆フィルムとして用いて、リチウム箔を被覆した比較例1のポリプロピレンフィルム被覆リチウム箔は、1ヶ月の保管期間中にフレアが多く発生し、リチウム箔の形状も歪曲し、平坦性を失った。また、厚さが70μmのポリエチレンフィルムを被覆フィルムとしてリチウム箔を被覆した比較例5のポリエチレン被覆リチウム箔も、比較例1と同様に1ヶ月の保管期間中にフレアが多く発生し、リチウム箔の形状も歪曲し、平坦性を失った。これは、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムはともに、鎖状炭化水素(オクタン)を吸収、膨潤する性質を有するため、冷間圧延後のリチウム箔表面に残存しているオクタンと接触によって、フィルム内で徐々に不均一なオクタンの吸収やそれによる膨潤が進行したために生じたと考えられる。
ところで、実施例1〜8の良好な結果が、ポリ塩化ビニリデンフィルムによると考えると、ポリ塩化ビニリデンフィルムのみをリチウム箔の被覆フィルムとして用いることも考えられる。しかし、一般的にこのフィルムには十分な腰がない、自己粘着性が強い、引き裂き強度が弱いなどの問題点があるため、リチウムの張り合わせ工程又はその後において形態安定性に問題が生じる。その結果、表1の比較例2に示すように、フレアや剥離性において、実用上難がある評価結果となった。
鎖状炭化水素を吸収しにくいポリエステル(PET)製フィルム(厚さ12μm)を被覆フィルムとして用いて、リチウム箔を被覆した比較例3のPET製フィルム被覆リチウム箔は、フレアが1ヶ月以上経過しても発生しなかった。しかしながら、PET製フィルムをそのまま用いた場合、PET製フィルムとリチウム箔が強固に密着するため、保管後にPET製フィルムをリチウム箔から剥離する際、リチウム箔が破れたり、表面の毛羽立ちなど箔の毀損が生じた。
鎖状炭化水素を吸収しにくいナイロン製フィルム(厚さ15μm)を被覆フィルムとして用いて、リチウム箔を被覆した比較例4のナイロンフィルム被覆リチウム箔は、フレアが1ヶ月以上経過しても発生しなかった。しかし、リチウムとの化学反応などによって、その接触表面が大きく変色した。したがって、PET製フィルム、ナイロンフィルムは、形態安定性は十分寄与するものの、そのままリチウム箔の被覆フィルムとして使用することは困難であった。
(a)は基材フィルムの両面に表面材フィルム(ポリ塩化ビニリデンフィルム)を積層した積層フィルムを用いる、本発明に係る積層フィルム被覆リチウム箔の一例について、各層間の関係を示す概略断面図である。
また、(b)は接着性樹脂層を基材樹脂フィルムとポリ塩化ビニリデンフィルムの間に設けた積層フィルム被覆リチウム箔の一例について、(c)はリチウム箔の両面に積層フィルムを用いた積層フィルム被覆リチウム箔の一例について、(d)は銅箔上に形成したリチウム箔に積層フィルムを被覆してなる積層フィルム被覆リチウム箔の一例について、それぞれ、各層間の関係を示す概略断面図である。
は、本発明の積層フィルム被覆リチウム箔の製造工程の一例を具体的に示す概略図である。
符号の説明
(1)リチウム箔、またはリチウム合金箔
(2)ポリ塩化ビニリデンフィルムなどの表面材フィルム
(3)ポリプロピレンフィルムなどの基材フィルム
(4)エチレンエチルアクリレート樹脂などの接着性樹脂
(5)銅箔などのリチウム以外の金属箔
1 冷間圧延装置
2 冷間圧延リチウム箔
3 積層フィルム巻出し部
4 積層フィルム
5 加圧ローラー
6 積層フィルム被覆リチウム箔部
7 送りローラー
8 積層フィルム被覆リチウム箔巻取り部、

Claims (6)

  1. プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に、ポリ塩化ビニリデンフィルム又は塩化ビニリデンを主成分とするポリマーフィルムからなる表面材を積層してなる積層フィルムの表面材側を、厚みが1μm以上100μm以下であるリチウム箔の少なくとも片面に接触させたことを特徴とする積層フィルム被覆リチウム箔。
  2. 前記塩化ビニリデンを主成分とするポリマーフィルムが塩化ビニリデンと塩化ビニルとの共重合体フィルムであることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム被覆リチウム箔。
  3. 前記リチウム箔がリチウムを除く金属箔とその上に形成されたリチウム薄膜とから成ることを特徴とする請求項1又は2記載の積層フィルム被覆リチウム箔。
  4. 前記リチウム薄膜が物理蒸着法又は化学蒸着法によって形成されていることを特徴とする請求項3記載の積層フィルム被覆リチウム箔
  5. 前記プラスチックフィルム基材が、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリプロピレン-ポリエチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム被覆リチウム箔部材。
  6. 前記プラスチックフィルム基材の厚みが5μm以上3mm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム被覆リチウム箔。
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