JP3641325B2 - ラミネート用共押出複合フイルム - Google Patents

ラミネート用共押出複合フイルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラミネート用共押出複合フイルムに係り、特に、印刷を施した二軸延伸フイルムとドライラミネートする際、印刷ピッチが安定したラミネート適性に優れた共押出複合フイルムに関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
従来、印刷を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムや二軸延伸ポリプロピレンフイルム等の二軸延伸フイルムと共押出複合フイルムをドライラミネートしてなる積層フイルムが各種の蓋材、ピロー包装用フイルムとして使用されている。
【0003】
しかしながら、上記各フイルムをドライラミネートにより積層する際、ラミネート時にかかるテンションにより二軸延伸フイルムはほとんど伸びないが、共押出複合フイルムは、若干伸ばされた状態でラミネートが行われ、その歪みのために、経時的に印刷ピッチが狂うという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解消した、ラミネート用共押出複合フイルムを見出したものであり、その要旨とするところは、
エチレンービニルアルコール樹脂層をガスバリア層とする複合フイルムにおいて、引張弾性率(ASTM D882による)が7,000kgf/cm2 〜12,000kgf/cm2 の範囲の高弾性ポリアミド樹脂層をシール層以外に配し、高弾性ポリアミド樹脂層の厚みがフイルム総厚みの10%〜50%であるとともに、フイルム全体の引張弾性率が90kgf/cm2 〜5,000kgf/cm2 の範囲であることを特徴とするラミネート用共押出複合フイルムにある。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の共押出複合フイルムでは、エチレンービニルアルコール樹脂層をガスバリア層とするが、エチレンービニルアルコール共重合体としては、エチレン含有率が29〜47モル%で、けん化度が95%以上のものが、成形性やガスバリア性の点から好ましく、さらにはエチレン含有率が低いものが、弾性率が高くできるため好ましい。
【0006】
本発明複合フイルムでは、シール層以外に特定の引張弾性率を有する高弾性ポリアミド樹脂層を設ける必要があり、高弾性ポリアミド樹脂としては、MXD−6ナイロンとその混合物や、層状の粘土成分の存在下でナイロンモノマーを重合し、ナノコンポジット成形させたポリアミド樹脂が挙げられるが、ナノコンポジットタイプは、エチレンービニルアルコール樹脂層との共押出しも比較的容易に行なえるという利点がある。
【0007】
この高弾性ポリアミド樹脂は引張弾性率が7,000kgf/cm2 〜12,000kgf/cm2 の範囲のものを使用する必要がある。ASTM D882による測定ではTダイ法、キャスティング温度70℃で製膜した厚み30μmのフイルムを用いた。
【0008】
上記引張弾性率が、7,000kgf/cm2 未満では、フイルムが伸び易くラミネート適性に劣り、12,000kgf/cm2 を越えるものでは、フイルムが硬すぎて、衝撃強度に劣るという問題がある。
【0009】
高弾性ポリアミド樹脂層は通常のナイロン6、ナイロン6−66、ナイロン12、ナイロン6−12等に比較すると腰が強くなるため厚みは総厚みの10〜50%の範囲とする必要がある。10%未満ではラミネート適性に対する効果が少なく、50%を越えるものでは、耐ピンホール性が悪くなるとともに、共押出しにくいという問題がある。
【0010】
本発明複合フイルムのシール層には、例えば、アイオノマー、エチレンーアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンーアクリル酸エステル共重合体(EEA)、エチレンーメタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。さらに低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)も使用できる。またイージーピールタイプについては、凝集破壊、層間剥離タイプの両者が使用できる。
【0011】
上記のガスバリア層、高弾性ポリアミド樹脂層及び、シール層以外の層としては、通常のポリアミド樹脂層、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−66、ナイロン6T−6I等が好適に使用でき、高弾性ポリアミド樹脂層のみではフイルムが割れ易くなることを防止できる。
【0012】
また、層間の接着力を向上させるためにポリオレフィン系接着樹脂層を設けてもよく、使用するポリオレフィン系接着樹脂としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれた少なくとも一種のモノマーをグラフトした酸変性ポリオレフィン樹脂が好適に使用でき、層間を強固に接着できる。ポリオレフィン系接着樹脂層の厚みは5μm〜20μmの範囲のものが好適に使用できる。
【0013】
さらにフイルムの打ち抜き性やカット性を改良するために、最外層に非晶性ポリエステル樹脂層を設けてもよく、非晶性ポリエステル樹脂としては、酸成分としてテレフタール酸、アルコール成分としてエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる非晶性ポリエステル樹脂が好適に使用できる。
【0014】
以下、本発明を実施例により説明する。
【0015】
【実施例】
実施例1
層構成:
最外層(第1層):非晶質ポリエステル樹脂(PETG)、第2層:カルボン酸変性エチレンー酢酸ビニル共重合体(AD)、第3層:エチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH:エチレン含有率30mol%)、第4層:高弾性ポリアミド樹脂(高弾性Ny 引張弾性率 8,800kgf/cm2 ウベナイロン1022C2 宇部興産(株)製)、第5層:カルボン酸変性エチレンー酢酸ビニル共重合体(AD)、シール層(第6層):エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)からなり下記層構成の複合シートを共押出法により製膜した。
【0016】
PETG/ AD /EVOH/高弾性Ny/ AD / EVA
10 μm/ 5μm/ 10 μm/ 10 μm / 5μm/ 30μm
得られた共押出複合フイルムの引張弾性率は102kgf/cm2 であった。この共押出複合フイルムとピッチ印刷を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム(12μm ダイアホイルH500 ダイアホイルヘキスト(株)製)をドライラミネートした。その結果、ピッチずれは±0.07%以下と印刷柄のずれがなく、ラミネート適性に優れていた。
【0017】
実施例2
層構成:
最外層(第1層):高弾性ポリアミド樹脂(高弾性Ny 引張弾性率 8,800kgf/cm2 ウベナイロン1022C2 宇部興産(株)製)、第2層:カルボン酸変性エチレンー酢酸ビニル共重合体(AD)、第3層:ナイロン6(Ny6 引張弾性率 4,700kgf/cm2 )、第4層:エチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH:エチレン含有率30mol%)、第5層:カルボン酸変性エチレンー酢酸ビニル共重合体(AD)、シール層(第6層):エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)からなり下記層構成の複合シートを共押出法により製膜した。
【0018】
高弾性Ny/ AD /6Ny /EVOH / AD /EVA
10 μm/ 5μm/ 10 μm/ 10 μm / 5μm/ 30μm
得られた共押出複合フイルムの引張弾性率は97kgf/cm2 であった。この共押出複合フイルム用いて、実施例1と同様にドライラミネートした。その結果、ピッチずれは±0.07%以下と印刷柄のずれがなく、ラミネート適性に優れていた。
【0019】
実施例3
使用する樹脂の内容が実施例2と同一で層構成が下記内容の複合シートを共押出法により製膜した。
【0020】
6Ny / AD/ 高弾性Ny/EVOH / AD /EVA
10 μm/ 5μm/ 20 μm / 10 μm / 5μm/ 20μm
得られた共押出複合フイルムの引張弾性率は97kgf/cm2 であった。この共押出複合フイルム用いて、実施例1と同様にドライラミネートした。その結果、ピッチずれは±0.07%以下と印刷柄のずれがなく、ラミネート適性に優れていた。
【0021】
比較例1
層構成及び厚み:
PETG/ AD /EVOH/ 6Ny / AD / EVA
10 μm/ 5μm/ 10 μm / 10 μm / 5μm/ 30μm
得られた共押出複合フイルムの引張弾性率は68kgf/cm2 であった。この共押出複合フイルム用いて、実施例1と同様にドライラミネートした。その結果、ピッチずれは±0.1%以上と印刷柄のずれが大きく、ラミネート適性に劣っていた。
【0022】
比較例2
層構成及び厚み:
PETG/ AD /EVOH/ 高弾性Ny/ AD /EVA
10 μm/ 5μm/ 10 μm / 5 μm / 5μm/ 35μm
得られた共押出複合フイルムの引張弾性率は79kgf/cm2 であった。この共押出複合フイルム用いて、実施例1と同様にドライラミネートした。実施例1と同一層構成で高弾性Nyの厚みが薄いため、フイルムが伸びてピッチずれは±0.1%以上と印刷柄のずれが大きく、ラミネート適性に劣っていた。
【0023】
【発明の効果】
上述したように、本発明の共押出複合フイルムは、印刷を施した二軸延伸フイルムとドライラミネートする際、印刷ピッチが安定したラミネートが可能となり、各種の蓋材、ピロー包装用フイルムとしての利用性が大きい。

Claims (1)

  1. エチレンービニルアルコール樹脂層をガスバリア層とする複合フイルムにおいて、引張弾性率(ASTM D882による)が7,000kgf/cm2 〜12,000kgf/cm2 の範囲の高弾性ポリアミド樹脂層をシール層以外に配し、高弾性ポリアミド樹脂層の厚みがフイルム総厚みの10%〜50%であるとともに、フイルム全体の引張弾性率が90kgf/cm2 〜5,000kgf/cm2 の範囲であることを特徴とするラミネート用共押出複合フイルム。
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