JP7508252B2 - ラミネートフィルム - Google Patents

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本発明は、延伸フィルムとシーラントフィルムとが貼り合わされたラミネートフィルムに関する。
スタンドパウチに用いられるフィルムや、真空断熱材において芯材を包装するフィルム等には様々な機能が求められており、延伸フィルムとシーラントフィルムとを接着剤を介して積層してなるラミネートフィルムが採用されている。
特許文献1はシーラント層と補強層とを有するリサイクル性積層体に関する発明である。特許文献1には、全シーラント層中の該相溶化剤の含有量が5質量%以上、20質量%以下であり、補強層がエチレン-ビニルアルコール共重合体またはポリアミド樹脂を含有し、該補強層の厚みが該リサイクル性積層体の全厚みの、5%以上、20%以下であるリサイクル性積層体が提案されている(特許文献1[請求項1])。また該フィルムに基材層(延伸フィルムに相当)を積層することが開示されている(特許文献1[請求項5])。
特許文献2は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする組成物からなる表裏層(A)と、接着性樹脂からなる接着層(B)と、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物からなるガスバリア層(C)とが、(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の順に積層された少なくとも5層からなる2軸延伸積層フィルム(特許文献2[請求項1])に関する発明である。また該フィルムの少なくとも片面上に易ヒートシール性樹脂層からなるシール層(シーラントフィルムに相当)を設けることが開示されている(特許文献2[請求項4])。特許文献2記載のフィルムは、酸素透過度が低く、貫孔強度、耐ピンホール性、及びシール適性にも優れる(特許文献2[0008])。
特許文献3は、少なくとも基材とヒートシール層とを備える積層体(ラミネートフィルムに相当)に関する発明である。該積層体は、基材およびヒートシール層が、同一の材料により構成され、基材は延伸処理が施され、前記同一の材料がポリエチレンであることを特徴とする積層体(特許文献3[請求項1])が開示される。また基材がアルミニウム蒸着膜を備えること(特許文献3[請求項4])が開示されている。
特許文献4は、ラミネートフィルムにも使用可能な二軸配向多層ポリマーバリアフィルムに関する発明である。特許文献4には、ポリオレフィンコア層と、前記コア層の少なくとも一方側上の少なくとも1つのエチレンビニルアルコール(EVOH)のバリア表面層とを含む、二軸配向多層ポリマーバリアフィルムであって、前記EVOHのバリア層は1.5μm未満の厚さであり、36モル%以下のエチレン含量を有し、前記フィルムは、24時間、23℃、50%RHで10cm3/m2/1day/1atm未満の酸素透過(OTR)を有する、二軸配向多層ポリマーバリアフィルムが開示されている(特許文献4[請求項1])。またEVOHバリア表面層とは反対であるポリオレフィンコア層の側上に、エチレンホモポリマーやコポリマー等の、ヒートシール可能なポリオレフィン組成物を主に含むラミネーション層を設け得ることが開示されている(特許文献4[0067])
特開2020-11415号公報 特開2006-1011号公報 WO2019-189092号公報 特表2014-531341号公報
特許文献1のリサイクル積層体は、実施例1~4を見ると、共押出し空冷インフレーション製膜機によって作製されており、延伸処理は施されていない。よって、当該フィルムは引張強度や弾性率、ガスバリア性等に劣る。実施例5では、基材層としてPETフィルムを選択し、これと積層してフィルムを作製しているが、ラミネート後のフィルムはエチレン-ビニルアルコール共重合体やPET等の樹脂を多分に含んでおり、リサイクル適性に劣る。該フィルムは、使用後、フィルムを溶かして、再度、フィルム状に成形すると、外観の悪化(ヘイズ値が高い)フィルムとなる恐れがある。
特許文献2記載の2軸延伸積層フィルムは、ポリプロピレン、接着性樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物等、多様な樹脂から成るため、該フィルムを溶かして、再度、フィルム状に成形すると外観の悪いフィルムとなる。これは、ポリプロピレンと、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物等との相溶性の悪さに起因するものと思われる。
一方、特許文献3記載の積層体は、基材とヒートシール層とが同一材料(ポリエチレン)からなる為、使用後に溶かして、再度、フィルム状に成形しても、比較的外観が良好である。しかしながら、該フィルムは酸素バリア性に劣るという問題があった。特許文献3では、バリア性を高める方法としてアルミニウム蒸着膜を設ける方法が開示されているが、該方法には高価な設備が必要である。
特許文献4のフィルムは、ポリオレフィンコア層と、エチレンビニルアルコールのバリア表面層とからなる。実施例に開示されたフィルムは、蒸着膜を使用することなく低い酸素透過性を示すが、ポリオレフィンコア層としてポリプロピレンを採用しており、特許文献2と同様にリサイクル適性に劣る。
本発明は、リサイクル適性とガスバリア性の双方に優れるラミネートフィルムの提供を課題とする。詳しくは、(1)生産過程において排出されるフィルムロスを、再度、フィルムの原料としてマテリアルリサイクルできるフィルムであって、(2)ガスバリア性に優れ、(3)蒸着設備等がなくても製造できるラミネートフィルムの提供を課題とする。
本発明によると上記課題を解決する為の手段として、延伸フィルムとシーラントフィルムとが貼合されたラミネートフィルムであって、前記延伸フィルムが、MD方向及びTD方向の熱水収縮率が共に-10%~10%であって、ポリエチレン系樹脂を主成分とする表層と、エチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分とするバリア層とを備え、前記シーラントフィルムが、ポリエチレン系樹脂を主成分とし、前記ラミネートフィルムに占める前記エチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が0.1重量%以上10.0重量%以下、前記ラミネートフィルムに占めるエチレンモノマー成分の重量割合が80.0重量%以上99.9重量%以下であることを特徴とするラミネートフィルムが提供される。
また、前記表層における主成分であるポリエチレン系樹脂が、密度940~955kg/mのポリエチレンであることを特徴とする前記ラミネートフィルムが提供される。
更に、前記シーラントフィルムにおける主成分であるポリエチレン系樹脂が、低密度ポリエチレン系樹脂及び/又は直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする前記ラミネートフィルムが提供される。
また、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体に占めるエチレンモノマー成分の重量割合が、30.0重量%以上50.0重量%以下であることを特徴とする前記ラミネートフィルムが提供される。
更に、前記表層と前記バリア層との間に、変性されたポリエチレン系樹脂を主成分とする接着層を備えることを特徴とする前記ラミネートフィルムが提供される。
更に、前記延伸フィルムが、前記表層、前記接着層、前記バリア層、前記接着層、前記表層を順に備えることを特徴とする前記ラミネートフィルムが提供される。
更に、前記表層上に、ガスバリア性コーティング層を備えることを特徴とする前記ラミネートフィルムが提供される。
本発明のラミネートフィルムは、ラミネートフィルムに占めるエチレンモノマー成分の重量割合が80.0重量%以上であり、ラミネートフィルムに占める前記エチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が0.1重量%以上10.0重量%以下である為、リサイクル適性とガスバリア性の双方に優れる。また、ラミネートフィルムに占めるエチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が5重量%以下であると、ラミネートフィルムは「モノマテリアル」と認定され得る為、製造工程において発生したロスフィルムや使用後のフィルムをマテリアルリサイクル可能なフィルムとして市場に流通させることができる。
特に、表層を構成する主成分が、密度940~955kg/mのポリエチレンであると、エチレン-ビニルアルコール共重合体の持つバリア性を最大限に発揮させることができる。
またシーラントフィルムが、低密度ポリエチレン系樹脂及び/又は直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂を主成分とする場合、ラミネートフィルムのヒートシール特性が向上する。
更にエチレン-ビニルアルコール共重合体に占めるエチレンモノマー成分の割合が30~50重量%であると、延伸処理における延伸フィルムの破断等を防止することができる。
また、表層とバリア層との間に、変性されたポリエチレン系樹脂を主成分とする接着層を備えると、リサイクル適性は維持されたまま、表層とバリア層との接着性が高まる。
また表層上にガスバリア性コーティング層を備えるラミネートフィルムは、特にガスバリア性が良好である。
本発明のラミネートフィルムの一実施例を表す模式的断面図である。 本発明のラミネートフィルムの一実施例を表す模式的断面図である。
以下、本発明について詳説するが、本発明はこれに限定されるものではなく、同様の効果を奏する範囲において種々の実施形態をとることができる。また、本明細書において「主成分とする」とは、当該層に占める重量割合が50重量%を超えることを意味する。
<ラミネートフィルム>
図1は、本発明のラミネートフィルムの一実施例を表す模式的断面図である。図1のラミネートフィルム10は、延伸フィルム11とシーラントフィルム12とが、接着剤層13を介して積層されてなる。本発明のラミネートフィルムは必要に応じ接着剤層を有する。また、本発明は延伸フィルムとシーラントフィルムとの間に、他のフィルムが積層されることを妨げない。
通常、フィルムは製造工程において両端がカットされ、一定幅に切り揃えられて出荷される。この時カットされた両端部(以下、「耳ロス」と称す)は、フィルムが単層構成の場合は、原料と混合され、再度、同じフィルムに成形される(以下、「上位還元」と称す)。しかしながらフィルムが多層構成の場合、耳ロスを上位還元すると、フィルムの透明性が低下したり、フィッシュアイとよばれる欠陥を発生させたりする原因になる。そこで、多層構成のフィルムは、透明性を求められないプラスチック成型品の原料としてリサイクルされたり、サーマルリサイクルされたりすることが多い。
本発明のラミネートフィルムは、多層構成ではあるが、該フィルムに占めるエチレンモノマー成分の重量割合が80.0重量%以上である為、上位還元することが可能である。エチレンモノマー成分の重量割合は85.0重量%以上であることが好ましく、特に90.0重量%以上、更には95.0重量%以上であることが好ましい。エチレンモノマー成分の重量割合が80.0重量%未満であると、耳ロスを上位還元して得られるフィルムの透明性が低下する恐れがある。尚、耳ロスの上位還元は、延伸フィルムの表層、バリア層、接着層や、シーラントフィルムのいずれに行ってもよいが、バリア性を担保するためには、バリア層には行わず、表層及び/又は接着層、あるいはシーラントフィルムに行うことが好ましい。
[延伸フィルム]
本発明のラミネートフィルムにおいて用いられる延伸フィルムとは、延伸処理後、熱処理などにより収縮応力が緩和されたフィルムであって、熱により収縮させて使用する「熱収縮性フィルム」とは異なる。具体的には、フィルムのMD方向(=長さ方向)の熱水収縮率、TD方向(=幅方向)の熱水収縮率が、共に-10%~10%のフィルムである。尚、熱水収縮率は、100℃の熱水に5秒間浸漬した際の寸法変化により求められる値であり、浸漬前のフィルム長さをA、浸漬後のフィルム長さをBとしたとき、((A-B)/A)×100にて求められる。
本発明の延伸フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、3~150μm、特に5~70μm、更には10~60μmであることが好ましい。当該延伸フィルムの厚さが3μm未満では、得られるラミネートフィルムの引張強度や弾性率、ガスバリア性等が不十分である。一方、150μmを超えると、得られるラミネートフィルムが固くなりすぎてハンドリング性に欠ける。
(表層)
本発明の延伸フィルムは、表層とバリア層とを少なくとも1層ずつ備える。好ましくは、図1に示すように、バリア層112の両側に表層111を一層ずつ、合計二層備える。
該表層は、高密度ポリエチレン(密度941kg/m~)、中密度ポリエチレン(密度925~941kg/m)、低密度ポリエチレン(~925kg/m)、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂を主成分とする。リサイクル適性を考慮すると、エチレンモノマーの単独重合体である高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンを主成分とすることが好ましい。
またバリア層を構成するエチレン-ビニルアルコール共重合体は、相対湿度が高くなると酸素バリア性が低下することが知られている。しかしながら表層として中密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンを採用すると、表層から水蒸気が透過することを抑制できる為、バリア層の酸素バリア性の低下を抑えることができる。尚、水蒸気バリア性と成形性の観点から、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの中でも、密度が940~955kg/m、特に945~950kg/mのものが好ましい。
表層に占めるポリエチレン系樹脂は、表層の樹脂成分の85重量%以上であることが好ましく、特に90重量%以上、更には95重量%以上、99重量%以上であることが好ましい。表層に占めるポリエチレン系樹脂の割合が高い程、ラミネートフィルムに占めるエチレンモノマー成分の重量割合が高くなるため、該フィルムのリサイクル適性が向上する。
表層の厚さは特に限定されるものではないが1~100μm、特に3~50μm、更には5~20μm程度であることが、成形性、ガスバリア性の観点から好ましい。
(バリア層)
バリア層112は、延伸フィルム11に酸素バリア性をもたらす層であり、エチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分とする。バリア層に占めるエチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合は、バリア層の樹脂成分の85重量%以上であることが好ましく、特に90重量%以上、更には95重量%以上であることが好ましく、樹脂成分の全てがエチレン-ビニルアルコール共重合体であることが特に好ましい。バリア層におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が高い程、該フィルムの酸素バリア性が向上する。
本発明のラミネートフィルムに占めるエチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合は、0.1重量%以上10.0重量%以下である。エチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が0.1重量%未満ではフィルムに酸素バリア性を付与することができない。逆に該重量割合が10.0重量%を超えると、使用後のラミネートフィルムや、耳ロス等をマテリアルリサイクルして得られるフィルムが、透明性の悪いものとなったり、フィッシュアイ欠陥の多いものとなったりする恐れがある。ラミネートフィルムに占めるエチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合は0.5~8.0重量%であることが好ましく、特に1.0~7.0重量%であることが好ましく、中でも2.0~5.0重量%、更には2.5~4.5重量%であることが好ましい。
尚、ラミネートフィルムに占めるエチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が5重量%未満であると、ラミネートフィルムが「モノマテリアル」と認定され得る。「モノマテリアル」がプラスチック資源循環に適したフィルムであることは、既に当業者に広く知れ渡っているため、「モノマテリアル」として市場に流通させることができれば、自社だけでなく、他社も安心してマテリアルリサイクルすることができる。
バリア層の厚さは、ラミネートフィルムに占めるエチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が0.1重量%以上10.0重量%以下となるように、適宜、設計すればよい。しかしながら、バリア層の厚さが0.1μm未満ではバリア性を担保できない恐れがあり、30μmを超えると延伸フィルムの厚さが厚くなりすぎ、硬くなる恐れがある。よってバリア層の厚さは0.1μm~30.0μmであることが好ましく、特に1.0~20.0μm、更には2.0~15.0μm、2.5~10.0であることが好ましい。
エチレン-ビニルアルコール共重合体は、エチレン-酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる樹脂である。該共重合体に占めるエチレンモノマー成分の重量割合は30.0~50.0重量%であることが好ましく、特に35.0~45.0重量%、更には37.5~42.5重量%であることが好ましい。エチレンモノマー成分の割合が低下し、ビニルアルコール成分の重量割合が高くなるほど、ラミネートフィルムの酸素バリア性は良好となるが、延伸処理適性が低下する。延伸処理時に、延伸フィルムが破断したり、「樹脂切れ」と呼ばれる、延伸フィルムにバリア層の無い部分ができたりする恐れがある。バリア層の「樹脂切れ」は、エチレン-ビニルアルコール共重合体の中でも「延伸グレード」と呼ばれる樹脂を採用することにより、ある程度は抑制できる。
(接着層)
図2もまた、本発明のラミネートフィルムの一実施形態を表す模式的断面図である。上述した表層とバリア層とは接着性が良好でない為、図1に示す延伸フィルム10は、表層111とバリア層112との界面で層間剥離する恐れがある。そこで、図2に示すように、延伸フィルム21が、表層211とバリア層212との間に接着層213を有することが望ましい。接着層213は、ラミネートフィルム20に溶融する際に、ポリエチレン系樹脂とエチレン-ビニルアルコール共重合体の混ざりを改善する相溶加剤としても機能するため、該ラミネートフィルム20のリサイクル適性を高める。
表層211とバリア層212との双方に接着性に優れる樹脂であれば、特に限定なく、接着層213として用いることができる。しかしながらラミネートフィルム20のリサイクル適性を高めるためには、エチレンモノマー成分の割合が高い樹脂を接着層213に用いることが望ましい。具体的には、接着層213は変性されたポリエチレン系樹脂を主成分とすることが望ましい。
エチレンモノマー成分の重量割合の低下を最小限に留めながら接着性を担保するためには、接着層を成す変性されたポリエチレン系樹脂が、不飽和カルボン酸、その無水物または誘導体をグラフト重合したポリエチレンであることが望ましい。
ポリエチレン系樹脂にグラフト重合させる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、酢酸ビニル、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸またはこれらの無水物や誘導体等が挙げられる。これらグラフト変性させる官能基含有モノマーの中では、カルボン酸基または酸無水基含有モノマーであるマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸またはこれらの無水物が好ましく、特に無水マレイン酸(MAH)が基材との接着強度、樹脂との相溶性、経済性等の観点から好ましく使用される。グラフト重合する該α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体の量は、接着性と成形性の観点から、変性ポリオレフィン樹脂全量に対して0.02~5.0重量%に相当するのが好ましい。
(延伸フィルムの製造方法)
本発明の延伸フィルムは、従来公知の製造方法にて製造することができる。例えば、(1)ポリエチレン系樹脂とエチレン-ビニルアルコール共重合体とを別々の押出機から共押し、インフレーション共押出法、あるいはTダイ共押出法等により多層フィルムを製造した後、(2)これらを一軸あるいは二軸に延伸すればよい。本発明の延伸フィルムは、延伸処理が施されているため、引張強度や弾性率、寸法安定性が高く、また水蒸気や酸素、その他のガス等の透過率が低い。
以下に具体的な延伸フィルムの製法を例示するが、これに限定されるものではない。
1)インフレーション共押法によりチューブ状のフィルムを製膜した後、チューブラー延伸法にて二軸延伸する方法
2)インフレーション共押出法にてチューブ状のフィルムを製膜したのち、これを切り開いてフラットなフィルムにした後、ロール延伸法やテンター延伸法等により一軸あるいは二軸に延伸する方法
3)インフレーション共押出法にてチューブ状のフィルムを製膜したのち、これを扁平に折り畳み、ロール延伸法やテンター延伸法等により一軸あるいは二軸に延伸し、両サイドを切断して2枚のフィルムとする方法
4)Tダイ共押出法にてフラットなフィルムを製膜し、これをロール延伸法やテンター延伸法等により一軸あるいは二軸に延伸する方法
[ガスバリア性コーティング層]
図2の延伸フィルム21は、一方の表層211上にガスバリア性コーティング層24を備える。当該コーティング層24は、塗工機により塗工液を塗布することにより形成される厚さ0.1~10μm(大部分は1~5μm程度)の層であって、蒸着設備により形成される数nmの蒸着膜とは異なる。当該塗工液は、ラミネートフィルム20のガスバリア性を高めるものであれば特に限定されず、従来公知の塗工液を採用することができる。以下、無機層状化合物と樹脂とを含む塗工液であって、水、アルコールまたは水-アルコール混合物等の溶媒により希釈される塗工液について詳説する。
(無機層状化合物)
無機層状化合物とは、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成している無機化合物であり、塗工性や水蒸気バリア性の観点から、無機層状化合物の中でも粘土鉱物を用いることが好ましい。特に液体媒体への膨潤性、劈開性の点からモンモリロナイトを用いることがより好ましいく、劈開性の点からは膨潤性マイカが好ましく用いられる。
無機層状化合物のアスペクト比は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、バリア性と外観を両立する観点から80以上2,500以下であることが好ましい。無機層状化合物のアスペクト比が80以上であることにより、バリア層中の迷路効果が向上しガスバリア性が向上する。同様の観点から、アスペクト比は450以上がより好ましい。一方、無機層状化合物のアスペクト比が2,500以下であることにより、塗剤の高粘度化を抑制し、塗工時のレベリング性を高めることができる。そのため、バリア層の厚みムラ、及びそれに伴う外観悪化を軽減することができる。同様の観点から、アスペクト比は1,500以下であることがより好ましい。
なお、無機層状化合物のアスペクト比(Z)は、無機層状化合物の平均粒径Lと、無機層状化合物の単位厚みa(無機層状化合物の単位結晶層の厚みに相当)より、計算式「Z=L/a」により算出することができる。
(樹脂)
ガスバリア性コーティング層に含まれる樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において適宜選択することができ、また、1種類であっても複数種類を混合したものであってもよい。該樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ポリメタアクリル酸およびそのエステル類、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、一分子中に2種類以上の官能基を有する樹脂、ポリウレタン系樹脂が挙げられるが、水、アルコールまたは水-アルコール混合物に溶解または分散する樹脂が好ましい。またバリア性を向上させる観点から、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂から選ばれる成分を主成分とすることが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とすることがより好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、凝集力が高いために水蒸気を遮断する効果が高い。また、ポリビニルアルコール系樹脂は、後述する無機層状化合物との親和性が高いことから、無機層状化合物の分散性が良好である。ポリビニルアルコール系樹脂に無機層状化合物を分散させることにより、水蒸気がガスバリア性コーティング層を通過する際の透過経路を長くすることができる。
[シーラントフィルム]
本発明のシーラントフィルムはポリエチレン系樹脂を主成分とする。シーラントフィルムに占めるポリエチレン系樹脂の重量系樹脂は、シーラントフィルムの85重量%以上であることが好ましく、特に90重量%以上、更には95重量%以上であることが好ましい。シーラントフィルムの85重量%以上がポリエチレン系樹脂であると、リサイクル適正に優れる。シーラントフィルムは、ポリエチレン系樹脂の中でも、低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンであることが望ましい。ラミネート用基材フィルムの表層が密度940~955kg/mのポリエチレンを主成分とする場合、シーラントフィルムが低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンであると、表層の融点とシーラント層の融点との差が大きいため、ヒートシール可能な温度範囲が広くなる。
[接着剤]
図1に示すラミネートフィルム10は、延伸フィルム11とシーラントフィルム12とが接着剤層13により貼合されている。本発明における接着剤は、ドライラミネート用接着剤、アンカーコート剤、プライマー等を包含する。接着剤層を形成する接着剤は、従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤及びシリコーン系接着剤等を使用できる。
<ラミネートフィルムの製造方法>
本発明のラミネートフィルムは、例えば、延伸フィルムの片面にドライラミネート用接着剤を塗布後、接着剤中の溶媒を乾燥除去し、ここにシーラントフィルムを貼り合わせるドライラミネート法により製造することができる。また、延伸フィルムの片面にアンカーコート剤を塗布し、溶媒を乾燥除去した後に、シーラント層用樹脂組成物を溶融押出する押出ラミネート法により製造することができる。また接着剤層を設けることなく、ラミネート用延伸フィルム及び/又はシーラントフィルムを熱して、直接貼り合わせる熱ラミネート法により製造することもできる。但し、本発明の製造方法はこれに限定されるものではない。
また、ラミネートフィルムの製造に先立ち、延伸フィルム及び/又はシーラントフィルムの一方に印刷を施すことができる。この場合、印刷の剥がれを防止する為に、印刷面が貼り合わせ面となるように、延伸フィルムとシーラントフィルムとを貼り合わせることが望ましい。また、ラミネート用延伸フィルムの両面にシーラントフィルムを貼合してもよく、ヒートシール適性や水蒸気バリア性を高める目的で、ラミネート用延伸フィルムのシーラント層とは反対側の面に、更に、密度が940~955kg/mのポリエチレンフィルムを貼合することもできる。
本発明の延伸フィルムは、シーラント層と積層することにより、ガスバリア性の高いラミネートフィルムとなる為、外部からの湿気から保護する為の防湿性を必要とする菓子・生活用品・電子部品・医薬品等の包装用途や真空断熱材などの工業用途にも広く用いることができる。
10、20 ラミネートフィルム
111、211 表層
112、212 バリア層
213 接着層
12、22 シーラントフィルム
13 接着剤層
24 ガスバリア性コーティング層



Claims (5)

  1. 延伸フィルムとシーラントフィルムとが貼合されたラミネートフィルムであって、
    前記延伸フィルムが、MD方向及びTD方向の熱水収縮率が共に-10%~10%であって、密度が940~955kg/m ポリエチレンを主成分とする表層と、エチレン-ビニルアルコール共重合体を主成分とするバリア層とを備え、
    前記シーラントフィルムが、ポリエチレン系樹脂を主成分とし、
    前記ラミネートフィルムに占める前記エチレン-ビニルアルコール共重合体の重量割合が0.1重量%以上10.0重量%以下、前記ラミネートフィルムに占めるエチレンモノマー成分の重合割合が80.0重量%以上99.9重量%以下であり、
    前記エチレン-ビニルアルコール共重合体に占めるエチレンモノマー成分の重合割合が30.0重量%以上50.0重量%以下でり、
    前記延伸フィルムが一体となり一軸あるいは二軸に延伸されていることを特徴とするラミネートフィルム。
  2. 前記シーラントフィルムにおける主成分であるポリエチレン系樹脂が、低密度ポリエチレン系樹脂及び/又は直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載のラミネートフィルム。
  3. 前記表層と前記バリア層との間に、変性されたポリエチレン系樹脂を主成分とする接着層を備えることを特徴とする請求項1または2記載のラミネートフィルム。
  4. 前記延伸フィルムが、前記表層、前記接着層、前記バリア層、前記接着層、前記表層を順に備えることを特徴とする請求項記載のラミネートフィルム。
  5. 前記表層上に、ガスバリア性コーティング層を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のラミネートフィルム。
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