JP2006224427A - レトルト用積層体 - Google Patents

レトルト用積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2006224427A
JP2006224427A JP2005040223A JP2005040223A JP2006224427A JP 2006224427 A JP2006224427 A JP 2006224427A JP 2005040223 A JP2005040223 A JP 2005040223A JP 2005040223 A JP2005040223 A JP 2005040223A JP 2006224427 A JP2006224427 A JP 2006224427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laminate
retort
vapor deposition
layer
inorganic filler
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005040223A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4626329B2 (ja
Inventor
Hiroshi Suzuki
浩 鈴木
Yoshisue Fukugami
美季 福上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2005040223A priority Critical patent/JP4626329B2/ja
Publication of JP2006224427A publication Critical patent/JP2006224427A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4626329B2 publication Critical patent/JP4626329B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】蒸着膜の密着を強化し、また蒸着膜へのレトルト・インパクトを緩和することで、レトルト処理などの殺菌処理時によっても性能が劣化しない透明ガスバリア積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】プラスチック基材上に、無機フィラーを5〜60重量%含む樹脂アンダーコーティング層を塗布し、更にその上に厚さ5〜100nmの無機蒸着層を設けることを特徴とするレトルト用積層体とすることにより、高温高圧水(121℃,2.45×105Pa(ゲージ圧)に30分間維持)での加熱処理(レトルト処理)によっても、ガスバリア性を損ねることの無いレトルト用積層体を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、食品、医薬品等の高温高圧水での加熱処理(レトルト処理)を必要とする分野に用いられる耐熱水性を有する透明バリア材に関するものである。
近年、食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度などの影響が少ないアルミ等の金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
ところが、アルミ等の金属箔を用いた包装材料は、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性に優れるが、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならないなどの欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段によりアルミニウムなどの金属、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成したフィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは、酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、包装材料として好適とされている。
また、食品及び医薬品等には、レトルト処理を始めとする殺菌処理の必要性が増しており、高温高圧下で性能を維持しうる包装材料が望まれている。
また安全面、利便性などを考慮すると、透明な耐熱水バリア包装材料が強く要望されている。
しかしながら、上記包装材料を従来の透明蒸着フィルムを用いて実現しようとすると、レトルト殺菌後の密着性、ガスバリア性を維持できない。この原因として、透明蒸着膜と基材の密着性が乏しいこと、透明蒸着膜の耐熱水性が低く、バリア性を維持しきれないことなどが考えられている。
密着性の劣化は、基材最表面に偏在する表面弱結合層(Weak Boundary Layer(WBL))やPETであれば加水分解層などの上に、酸化アルミニウム蒸着がなされているため、この界面にて耐水性十分な化学的結合が得られていないことが考えられる。
ガスバリア性の劣化は、レトルト処理により誘引される酸化アルミニウム蒸着膜に対する負荷(レトルト・インパクト)により、蒸着膜中にクラックを導入することに由来するものと考えられる。
密着性問題を解決するために、従来からプラズマを用いることによって、インライン前処理によりプラスチック基材上の金属酸化物蒸着の密着性を改善するという試みはなされていたが、従来はインラインでプラズマ処理を行おうとすると、プラズマ発生のための電圧を印加する電極は基材のあるドラム側でなく、反対側に設置されている。この装置の場合、基材はアノード側に設置されることになるため、高い自己バイアスは得られず、結果として高い処理効果を発揮できなかった。
高い自己バイアスを得るために、直流放電方式を用いることも出来るが、この方法で高いバイアスの電圧を得ようとすると、プラズマのモードがグローからアークへと変化するため、大面積に均一な処理を行うことは出来ない。
特許文献は以下の通りである。
特開2003−246000公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、蒸着膜の密着を強化し、また蒸着膜へのレトルト・インパクトを緩和することで、レトルト処理などの殺菌処理時によっても性能が劣化しない透明ガスバリア積層体を提供することにある。
請求項1に係る発明では、プラスチック基材上に、無機フィラーを5〜60重量%含む樹脂アンダーコーティング層を塗布し、更にその上に厚さ5〜300nmの無機蒸着層を設けることを特徴とするレトルト用積層体とすることにより、高温高圧水(121℃,2.45×105Pa(ゲージ圧)に30分間維持)での加熱処理(レトルト処理)によっても、ガスバリア性を損ねることの無いレトルト用積層体を提供するものである。
請求項2記載の発明は、上記蒸着層の上に、更に無機フィラーを5〜60重量%含む樹脂コーティング層を塗布し、無機フィラー含有層による蒸着層のサンドイッチ構造を形成することを特徴とするレトルト用積層体を提供するものである。
請求項3記載の発明は、上記蒸着工程の前に、プラスチック基材面に、リアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマを利用した前処理を施す特徴とするレトルト用積層体を提供するものである。
請求項4記載の発明は、該無機フィラーが、酸化チタン,硝酸バリウムなどの無機顔料であることを特徴とするレトルト用積層体を提供するものである。
請求項5記載の発明は、該プラスチック材料がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つことを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体を提供するものである。
請求項6記載の発明は、RIEによる前処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、またはこれらの混合ガスを用いて行う、もしくは引き続きこれらのガスまたは混合ガスを連続して用いて行う処理であることを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体を提供するものである。
請求項7記載の発明は、RIEによる前処理が、その自己バイアス値を200V以上2000V以下とし、またEd=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100V・s・m-2以上10000V・s・m-2以下である低温プラズマによる処理であることを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体を提供するものである。
請求項8記載の発明は、前記RIEによる前処理と蒸着が、同一製膜機(インライン製膜機)にて行われることを特徴とする請求項1記載のレトルト用積層体を提供するものである。
請求項9記載の発明は、該蒸着層の上に水溶性高分子化合物、金属アルコキシドおよびまたはその加水分解物およびまたはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたことを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体を提供するものである。
請求項10記載の発明は、該水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはセルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体を提供するものである。
請求項11記載の発明は、該金属アルコキシドが、シランアルコキシドであることを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体を提供するものである。
上記発明に依れば、基材と蒸着膜の密着を強化し、また無機フィラーの入ったコーティング層により、蒸着膜をレトルトインパクトから護ることで、レトルト処理などの加熱処理時によっても性能が劣化しない透明ガスバリア積層体を提供することが出来る。
密着性の劣化を抑える作用としては、RIEプラズマによる樹脂表面弱結合層(Weak Boundary Layer(WBL))などの、耐水劣化を起こしやすい層の除去による効果と考えられる。これによりフレッシュな被蒸着表面が提供され、酸化アルミニウム蒸着との密着性が向上すると同時に、耐水劣化を起こさない界面を形成すると考えられる。ガスバリア性のレトルト処理による劣化を抑えるメカニズムとしては、熱水処理時に誘起される蒸着膜への衝撃(レトルト・インパクト)を、無機フィラー部分で吸収緩和し、蒸着膜への負荷を低減させ、蒸着膜へのクラック導入を阻止し、バリア性を維持することが考えられる。
従って、本発明のレトルト用積層体は、無機フィラー含有層を塗布した基材上に、RIEによる前処理を行った酸化アルミニウム蒸着層を形成し、さらにその上に無機フィラー含有層を塗布することで、無機フィラー含有層による蒸着層のサンドイッチ構造を形成させ、レトルト処理時の収縮による圧縮クラックを防止し、かつ樹脂層/酸化アルミニウム蒸着層の密着性を維持したレトルト用積層体を提供することが出来る。
またこの積層体は、食品及び医薬品等の包装に用いられる実用範囲の広い包装材料を提供する事が可能である。
以下に、本発明の実施の形態について、説明する。
図1は本発明の強密着蒸着フィルムを説明する断面図である。プラスチック基材1表面上に、無機フィラー含有被膜層2、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施した酸化アルミニウム層3、複合被膜層4、無機フィラー含有被膜層5が形成されている構造である。無機フィラー含有被膜層2、酸化アルミニウム層3、複合被膜層4、無機フィラー含有被膜層5は基材の両面に形成しても、また複合被膜層4と無機フィラー含有被膜層5の成分を混合した層を構成してもよく、また多層にしてもよい。
上述した基材1はプラスチック材料であり、蒸着薄膜層の透明性を生かすために可能であれば透明なフィルム基材であることが好ましい。基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。さらに、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類が挙げられる。以上の材料の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つ材料も挙げられる。基材は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。またこの基材の蒸着層が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。
基材の厚さはとくに制限を受けるものではなく、また包装材料としての適性を考慮して単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。尚プライマー層、無機酸化物からなる蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることが好ましい。
次いで無機フィラー含有皮膜層2を説明する。無機フィラー含有皮膜層は、無機フィラーを包含しながら造膜するために適当な配合のコーティング剤を用いて形成される。例えば、無機フィラーをウレタンなどからなる樹脂成分と混練し、塗工に適した粘度を持たせるために有機溶剤と混合する。この溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層にコーティング後、加熱乾燥し形成される。コーティング剤に含まれる無機フィラー成分について更に詳細に説明する。
本発明で用いられる無機フィラーは、無機顔料が好ましく用いられ、特に酸化チタン,硫酸カルシウム,炭酸カルシウム,硫酸バリウムなどが好適である。塗工溶液に良く分散するように、微粉末化される。溶液に占める重量%は、5〜60%が好ましく、10〜25%がより好ましい。フィラー濃度が、5%以下であると、レトルトインパクトを緩衝する効果が不十分であり、60%以上では、均一な分散が出来ず、またフィラーにより塗膜自身が着色されてしまう。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
無機フィラー含有層の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件異なり特に限定しない。但し乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
この無機フィラー含有層2と金属または無機酸化物層との密着を強化するために、表面にプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施すことが有効である。このRIEによる処理を行うことで、発生したラジカルやイオンを利用して樹脂層の表面に官能基を持たせるなどの化学的効果と、表面をイオンエッチングして不純物等を飛ばしたり平滑化するといった物理的効果の2つの効果を同時に得ることが可能である。このような表面処理を行うことで、後に行う蒸着の際に無機酸化物の緻密な薄膜
を形成させることができる。その結果、樹脂層と金属または無機酸化物層との密着性を強化させることができ、ガスバリア性向上やクラック発生防止につながるだけでなく、デラミネーションが起こることがない。
RIEによる前処理を行うためのガス種としては、アルゴン、酸素、窒素、水素を使用することが出来る。これらのガスは単独で用いても、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。また、2基の処理器を用いて、連続して処理を行ってもよい。
加工速度、エネルギーレベルなどで示される処理条件は、基材種類、用途、放電装置特性などに応じ、適宜設定するべきである。ただし、プラズマの自己バイアス値は200V以上2000V以下、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100V・s・m-2以上10000V・s・m-2以下にすることが必要であり、これより若干低い値でも、ある程度の密着性を発現するが、未処理品に比べて優位性が低い。また、高い値であると、強い処理がかかりすぎて基材表面が劣化し、密着性が下がる原因になる。プラズマ用の気体及びその混合比などに関してはポンプ性能や取り付け位置などによって、導入分と実効分とでは流量が異なるので、用途、基材、装置特性に応じて適宜設定するべきである。
蒸着薄膜層の厚さは、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあることである。
酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層をプラスチック基材上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。
RIEによる前処理と蒸着が、同一成膜機(インライン成膜機)にて行っても良い。インライン成膜により、工程を短縮し、安価なフィルムを提供することが出来る。
次いで複合被膜層3を説明する。複合被膜層はガスバリア性を持った被膜層であり、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合したものを溶液とする。この溶液を金属または無機化酸化物からなる蒸着薄膜層にコーティング後、加熱乾燥し形成される。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいう
PVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等用いることができ、これ以外のものを用いても一向に構わない。
また金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C25等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC254〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C373〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
なお、金属アルコキシドと水溶性高分子の混合からなる複合皮膜層は、水素結合からなるため、水に膨潤し溶解する恐れがある。これを防ぐために、金属アルコキシドにシランカップリング剤を添加することが好ましい。
この溶液中にガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
複合被膜層の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件異なり特に限定しない。但し乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られなく十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
次いで無機フィラー含有皮膜層4を説明する。無機フィラー含有皮膜層4は、基本的に上記無機フィラー含有皮膜層2と同様である。
無機フィラー含有層4の上に印刷層、介在フィルム、シーラント層等を積層させて、包装材料とすることが出来る。
介在フィルムは、袋状包装材料時の破袋強度や突き刺し強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの内から選ばれる一種である必要がある。厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範囲である。
更にシーラント層は袋状包装体などを形成する際に接着層として設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。
基材1の反対面にも、必要に応じて印刷層、介在フィルム、シーラント層等を積層させることも可能である。
以下に本発明の実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、下記に示すA液を作成し、グラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ1μmの無機フィラー含有アンダーコート層を形成した。
A液:ウレタン樹脂と硫酸バリウムを混練し、有機溶剤(イソプロピルアルコール:メチルエチルケトン:トルエン=1:3:2)にて希釈した溶液。硫酸バリウム成分比を20wt%とした。
この無機フィラー含有層上に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、自己バイアス値は800V、Ed値は450V/s/m2とした。処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。この上に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムを20nmの厚みで成膜して、蒸着フィルムを作製した。
この蒸着フィルム上に、下記に示すB液とC液を配合比(wt%)で6/4に混合した溶液を作成し、グラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ0.4μmの複合被膜層を形成した。
B液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液とした。
C液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)とした。
さらにその複合皮膜上に、A液をグラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ1μmの無機フィラー含有層を形成した。
更に二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートにより、上記蒸着フィルム/延伸ナイロン(15μm)/未延伸ポリプロピレン(70μm)の積層サンプルを作成した。
<評価1>
レトルト処理後の酸素透過率…
上記積層サンプルを用いて4方パウチを作製し、内容物として水道水を充填したサンプルを、熱水回収方式のレトルト処理を施した。
レトルト処理は、熱水タンクと殺菌釜からなるレトルト処理器の、熱水タンクより130℃,2.45×105Paの熱水を、サンプルを並べた棚を入れた殺菌釜を9.81×104Paに保持した状態で殺菌釜の上方より注入し、圧力を1.96×105Pa,温度を121℃に調整し30分保持、保持後、圧力を保持したまま冷却水を、殺菌釜の下方から注入、熱水を上方より抜いて置換し冷却する。冷却水を排出後、減圧してサンプル取り出した。
この処理後、サンプルから水を抜き取り、積層サンプルのレトルト処理後の酸素透過度を、モダンコントロール社製(MOCON OXTRAN 10/50A)を用いて、30℃−70%RH雰囲気下で蒸着工程後のフィルムを、レトルト処理後24時間以内に測定した。結果を表1に示す。
<評価2>
レトルト処理後のラミネート強度…
上記レトルト処理後の積層サンプルの蒸着フィルム/延伸ナイロン間のラミネート強度を、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いて測定した(JIS
Z1707準拠)。但し、測定の際に測定部位を水で湿潤させながら行った。 結果を表1に示す。
Figure 2006224427
無機フィラー成分の含有比を10wt%としたこと以外は、実施例1と同様の方法でバリア基材を作製した。
<比較例1>
無機フィラー含有層を塗布しないこと以外は、実施例1と同様の方法でバリア基材を作製した。
本発明は、食品、医薬品等の高温高圧水での加熱処理(レトルト処理)を必要とする分野に用いられる耐熱水性を有する透明バリア材に関するものである。
本発明の強密着蒸着フィルムの断面図である。
符号の説明
1…プラスチック基材
2…無機フィラー含有層
3…無機酸化物蒸着層
4…複合被膜層
5…無機フィラー含有層
6…RIEによる前処理面

Claims (11)

  1. プラスチック基材上に、無機フィラーを5〜60重量%含む樹脂アンダーコーティング層を塗布し、更にその上に厚さ5〜300nmの無機蒸着層を設けることを特徴とするレトルト用積層体。
  2. 上記蒸着層の上に、更に無機フィラーを5〜60重量%含む樹脂オーバーコーティング層を塗布し、無機フィラー含有層による蒸着層のサンドイッチ構造を形成することを特徴とするレトルト用積層体。
  3. 上記蒸着工程の前に、上記樹脂アンダーコーティング面に、リアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマを利用した前処理を施す特徴とするレトルト用積層体。
  4. 該無機フィラーが、無機顔料であることを特徴とするレトルト用積層体。
  5. 該プラスチック材料がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つことを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体。
  6. RIEによる前処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、またはこれらの混合ガスを用いて行う、もしくは引き続きこれらのガスまたは混合ガスを連続して用いて行う処理であることを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体。
  7. RIEによる前処理が、その自己バイアス値を200V以上2000V以下とし、またEd=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100V・s・m-2以上10000V・s・m-2以下である低温プラズマによる処理であることを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体。
  8. 前記RIEによる前処理と蒸着が、同一製膜機(インライン製膜機)にて行われることを特徴とする請求項1記載のレトルト用積層体。
  9. 該蒸着層の上に水溶性高分子化合物、金属アルコキシドおよびまたはその加水分解物およびまたはその重合物の少なくとも1種類以上を成分に持つ複合被膜を設けたことを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体。
  10. 該水溶性高分子化合物が、ポリビニルアルコールまたはセルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体。
  11. 該金属アルコキシドが、シランアルコキシドであることを特徴とする、請求項1記載のレトルト用積層体。
JP2005040223A 2005-02-17 2005-02-17 レトルト用積層体 Expired - Fee Related JP4626329B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005040223A JP4626329B2 (ja) 2005-02-17 2005-02-17 レトルト用積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005040223A JP4626329B2 (ja) 2005-02-17 2005-02-17 レトルト用積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006224427A true JP2006224427A (ja) 2006-08-31
JP4626329B2 JP4626329B2 (ja) 2011-02-09

Family

ID=36986197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005040223A Expired - Fee Related JP4626329B2 (ja) 2005-02-17 2005-02-17 レトルト用積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4626329B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008066629A (ja) * 2006-09-11 2008-03-21 Toppan Printing Co Ltd 太陽電池用裏面保護シートおよび太陽電池モジュール
JP2008066631A (ja) * 2006-09-11 2008-03-21 Toppan Printing Co Ltd 太陽電池用裏面保護シートおよび太陽電池モジュール
JP2008230106A (ja) * 2007-03-22 2008-10-02 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア積層体
JPWO2014050951A1 (ja) * 2012-09-28 2016-08-22 大日本印刷株式会社 透明蒸着フィルム

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001105522A (ja) * 1999-10-08 2001-04-17 Toppan Printing Co Ltd 蒸着フィルム及びこの蒸着フィルムを用いた包装材料
JP2004106443A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Toppan Printing Co Ltd レトルト性を有するガスバリアフィルム積層体

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001105522A (ja) * 1999-10-08 2001-04-17 Toppan Printing Co Ltd 蒸着フィルム及びこの蒸着フィルムを用いた包装材料
JP2004106443A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Toppan Printing Co Ltd レトルト性を有するガスバリアフィルム積層体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008066629A (ja) * 2006-09-11 2008-03-21 Toppan Printing Co Ltd 太陽電池用裏面保護シートおよび太陽電池モジュール
JP2008066631A (ja) * 2006-09-11 2008-03-21 Toppan Printing Co Ltd 太陽電池用裏面保護シートおよび太陽電池モジュール
JP2008230106A (ja) * 2007-03-22 2008-10-02 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア積層体
JPWO2014050951A1 (ja) * 2012-09-28 2016-08-22 大日本印刷株式会社 透明蒸着フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP4626329B2 (ja) 2011-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4696675B2 (ja) レトルト用透明バリアフィルムおよびその製造方法
JPWO2008029733A1 (ja) 積層体
JP2000233478A (ja) 積層フィルム
JP2008073993A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2006056092A (ja) 強密着蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト用包装材料
JP4784040B2 (ja) 高性能バリアフィルム
JP2006248138A (ja) 透明ガスバリア性積層体
JP4629363B2 (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP2007196550A (ja) 加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体
JP4784039B2 (ja) 帯電防止性能を有する強密着蒸着フィルム
JP4626329B2 (ja) レトルト用積層体
JP2005335109A (ja) 耐熱透明バリアフィルム
JP2008073986A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP4734897B2 (ja) レトルト用積層体
JP2008143098A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP4629362B2 (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP2006256091A (ja) 加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体
JP2006205626A (ja) 包装材料
JP2006056036A (ja) ガスバリア性積層フィルムおよびそれを使用した積層材
JP4978066B2 (ja) ガスバリアフィルム積層体の製造条件の評価方法
JP2006062115A (ja) レトルト用透明バリアフィルム
JP2007160770A (ja) 透明ガスバリア性積層フィルムおよびそれを用いた透明ガスバリア性積層体
JP2006187966A (ja) 透明ガスバリア積層体
JP2005297376A (ja) 強密着蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト用包装材料
JP2006130669A (ja) 加熱処理耐性を有するガスバリア性フィルム積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100610

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100615

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101012

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101025

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4626329

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees