JP3841874B2 - ラミネ−トチュ−ブ容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラミネ−トチュ−ブ容器に関し、更に詳しくは、ラミネ−ト強度が高く、酸素バリア−性、水蒸気バリア−性、フレ−バ−バリア−性等に優れ、歯磨き粉等に代表される粘性を有するペ−スト状内容物、化粧品、医薬品、日用品等の充填包装に適するラミネ−トチュ−ブ容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ラミネ−トチュ−ブ容器としては、種々のものが開発され、提案されている。
例えば、アルミニウム箔をバリア−層とする下記の(1)に示すような積層構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器が知られている。
(1)ポリエチレン層/乳白ポリエチレン層/ポリエチレン層/接着性樹脂層/アルミニウム箔層/接着性樹脂層/ポリエチレン層
上記において、接着性樹脂層としては、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン−アクリル酸共重合体等を酸で変性した酸変性ポリオレフィン等が使用されている。
また、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムをバリア−層とする下記の(2)、あるいは(3)等に示すような積層構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器も知られている。
(2)基体シ−ト/・・・/酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム/接着剤層/熱緩衝層/熱接着性樹脂層(押出ラミネ−ト層)
上記において、接着剤層は、ドライラミネ−ト法で形成し、また、熱緩衝層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の延伸ポリオレフィン系樹脂のフィルム、延伸ナイロンフィルム等を使用し、更にまた、熱接着性樹脂層は、ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマ−等のポリオレフィン系樹脂を使用して形成している(実開平4−54842号公報参照)。
(3)基体シ−ト/・・・/酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム/樹脂層A/樹脂層B/樹脂層C
上記において、樹脂層A、樹脂層Bおよび樹脂層Cは、樹脂層Bの融点が、樹脂層Aおよび樹脂層Cのそれよりも低いという関係になっている(特開平3−243340号公報参照)。
而して、上記の(2)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、熱緩衝層を、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層の上に形成することによって、熱接着性樹脂層を形成する押出ラミネ−トする際の熱を遮断し、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層の熱収縮によるクラックを防止することを目的とするものである。
また、上記の(3)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、3層のプラスチック樹脂層の中間の層の融点を低くすることで、その中間層が熱緩衝層の機能を発揮させるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の(1)、(2)および(3)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、いずれも、十分に満足し得るものではない。
例えば、上記の(1)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、ポリエチレン層等の熱接着樹脂層とバリア−層としてのアルミニウム箔とを、酸変性ポリオレフィン等を使用して積層していることから、接着性が良好で、ラミネ−ト強度の劣化が少なく、内容物の保存性等に優れているが、バリア−層として使用しているアルミニウム箔が環境問題の元凶となり、その回収や使用後の廃棄処理に問題点があるものである。
また、上記の(2)および(3)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、環境への適性を考慮して、バリア−層として、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用しているが、しかし、接着剤層を構成する酸変性ポリオレフィンが該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層に対し接着性が十分でないという問題点があり、また、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層が数千Åという極めて薄い膜であることから、該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層がラミネ−ト時に接着剤層側に転移し、あるいは、押出ラミネ−ト法で積層する場合、その熱によりクラックが該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層に発生し、本来のバリア−層とし機能しないという問題点がある。
更に、上記の(2)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムと熱緩衝層とを、接着性に優れるドライラミネ−ト接着剤を使用して積層し、次いで押出ラミネ−ト法で熱接着性樹脂層を積層するものではあり、熱緩衝層の効果により、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層を有する樹脂のフィルムの該樹脂のフィルムの熱収縮による該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層のクラックの発生をある程度防止することはできるが、これを完全に防止するためには、熱緩衝層が耐熱性を有することが必須であり、而して、該熱緩衝層を構成するポリプロピレンや脂肪族ポリアミド等の延伸フィルムでは、耐熱性が低く、その熱緩衝層としての効果は小さいものである。
また、熱緩衝層として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用すると、耐熱性には優れているが、フィルムの引っ張りや曲げに対する機械的強度がポリアミド系樹脂フィルムに比べると弱く、更に熱膨張係数が比較的大きく、衝撃強度もポリアミド系樹脂フィルムに比べると弱いという問題点がある。
更に、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムは、例えば、歯磨き粉に比較的多量に含まれる香料成分の浸透性が、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物のフィルムやポリアクリロニトリルのフィルム等と比べると高く、終局的には、最内層としての熱接着樹脂層と二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム層を透過した香料成分が酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層と接着剤層との間に集積し、その部分でその濃度が著しく高まり、これにより接着剤層を構成する接着剤が溶解し、デラミ等の現象が起こり、層間剥離等を発生するという問題点がある。
次に、上記の(3)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においても、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層と接する樹脂層が、耐熱性とフレ−バ−バリア−性等に劣ることから、上記の(2)の仕様にかかるラミネ−トチュ−ブ容器と同様に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層のクラック発生と、デラミ等の現象による層間剥離等が発生するという問題点が依然として残されているものである。
そこで、本発明は、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムをバリア−層として使用し、その酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層のクラック発生を防止し、かつ酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜面に接する内容物側の樹脂層、あるいは接着剤層への内容物に含まれる香料成分の浸透集積によるデラミを防止し、内容物に対する充填包装適正を有し、その保存性に優れ、かつ環境対応に適うラミネ−トチュ−ブ容器を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂が、強度、弾性率が高く、かつ耐熱性、耐薬品性等に優れ、更に低吸水性、低透湿性、ガスバリア−性等を有することに着目し、それが有する特性を利用すべく、最内層として熱接着性樹脂層を含み、バリア−層として酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムを含む積層材からなるラミネ−トチュ−ブ容器において、上記のバリア−層としての酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜面に、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を接着剤を用いて積層し、更に該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層面に最内層としての熱接着性樹脂層を構成する熱接着性樹脂を押し出し積層して積層材を製造し、更に、その積層材を使用して、定法に従ってラミネ−トチュ−ブ容器を製造したところ、バリア−層としての酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層のクラックの発生を防止することができ、更に内容物の香料成分の透過によるデラミ現象を防止することができ、歯磨き粉等の内容物の充填包装適性を有し、その保存性にすぐれ、かつ環境対応に適う極めて良好な包装体製品を製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、最内層として熱接着性樹脂層を含み、バリア−層として無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム層を含む積層材からなるラミネ−トチュ−ブ容器において、上記のバリア−層としての無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム層の無機酸化物の蒸着膜面に、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を接着剤を用いて積層し、更に該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層面に、最内層としての熱接着性樹脂層を構成する熱接着性樹脂を押し出し積層してなる積層材からラミネ−トチュ−ブを構成することを特徴とするラミネ−トチュ−ブ容器である。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、上記の本発明において、本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器についてその一例を例示し図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器を構成する積層材の層構成を示す概略的断面図であり、図2は、図1に示す積層材を使用して製造した本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器の構成を示す概略的半断面図である。
本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器を構成する積層材Aは、図1に示すように、内側から外側に向かって、熱接着性樹脂層1、必要ならば設ける接着性樹脂層2、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層3、接着剤層4、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜5を有する樹脂のフィルム6、およびチュ−ブ用基体シ−ト7を順次に積層した構成からなるものである。
上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜5を有する樹脂のフィルム6は、その酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜5面を、接着剤層4の面と対向させて積層することが好ましい。
また、上記において、チュ−ブ用基体シ−ト7としては、図示しないが、充填包装する内容物、包装目的、その他等によって後述する材料を一層ないしそれ以上を任意に組み合わせて積層した積層材であってもよい。
【0007】
而して、上記のような積層材Aを使用した本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器を例示すると、図2に示すように、まず、上記で製造した積層材Aを丸めて、その端縁を重ね合わせ、その重合端部を溶着して溶着部8を形成して筒状胴部9を製造する。
而して、上記の筒状胴部9が、本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器の胴部を構成するものである。
次に、本発明においては、上記のようにして製造した筒状胴部9の上部に、本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器を構成する肩部10、口部11等を常法に従って形成し、更に該口部11を密閉するキャップ12を取り付けて、本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器Bを製造するものである。
而して、上記で製造したラミネ−トチュ−ブ容器Bは、その下端部の開口部より、例えば、練り歯磨き等の内容物13を適量分だけ充填包装し、しかる後該開口部を溶着して底溶着部14を形成して、内容物13を充填包装したチュ−ブ包装体製品を製造することができるものである。
上記に挙げた例は、本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器の一例を例示したにしか過ぎないものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
【0008】
ところで、本発明においては、上記のような積層材Aにおいて、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層3としては、図3および図4のその層構成を表す断面図で示すように、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層3の片面に、脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層31を積層させた2層の構成からなるポリアミド系樹脂層3a(図3)、または結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層6の両面に、脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層31、31を積層させた3層の構成からなるポリアミド系樹脂層3b(図4)からなるものでもよい。
【0009】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ用容器を構成する材料について説明すると、かかる材料としては、種々のものを使用することができる。
まず、本発明において、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を構成する結晶性芳香族ポリアミド系樹脂としては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸もしくはその誘導体との重縮合反応で得られる芳香族結晶性ポリアミド系樹脂を使用することができる。
具体的には、例えば、ナイロンMXD6(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)を使用することができる。
而して、本発明においては、上記のような芳香族結晶性ポリアミド系樹脂を使用して、例えば、押し出し成形、射出成形、カレンダ−加工、共押し出し成形、共射出成形等の成形方法を利用してフィルムないしシ−ト状に成形して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を形成することができる。
あるいは、本発明については、上記のような芳香族結晶性ポリアミド系樹脂を主成分とする樹脂組成物を塗布ないし印刷して該樹脂組成物による塗布ないし印刷膜を形成して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を形成することができる。
なお、本発明において、上記のような成形方法によって製造する結晶性芳香族ポリアミド系樹脂によるフィルムないしシ−ト状物を、通常の方法でそのフィルムないしシ−ト状物の製造時、あるいは製造後に、縦横の二軸方向に延伸して、その二軸延伸処理されているフィルムを製造することができる。
上記において、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の厚さとしては、例えば、5〜200μm位、好ましくは、10〜100μm位が望ましい。
【0010】
次に、上記の本発明において、上記のような結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の片面または両面に積層する脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層を構成する脂肪族ポリアミド系樹脂としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2、2、4−または2、4、4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1、3−または1、4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂肪族、脂環式等のジアミン類と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸もしくはその誘導体との重縮合反応で得られる脂肪族ポリアミド、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等の縮合によって得られるポリアミド樹脂、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタム化合物から得られるポリアミド樹脂、あるいはそれらの混合物等を使用することができる。
具体的には、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610等の脂肪族ポリアミド系樹脂を使用することができる。
【0011】
而して、本発明において、上記のような脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層を、上記の結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の片面または両面に積層する方法としては、例えば、脂肪族ポリアミド系樹脂を使用して、押し出し成形、射出成形、カレンダ−加工等によって、該脂肪族ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、該フィルムないしシ−トを結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の片面または両面に積層する方法、或いは、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂と脂肪族ポリアミド系樹脂とを使用し、これらを共押し出し成形、共射出成形等の成形方法を利用して共押しフィルムないしシ−トを成形して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の片面または両面に形成する方法等によって行なうことができる。
あるいは、本発明については、上記のような脂肪族ポリアミド系樹脂を主成分とする樹脂組成物を、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の片面または両面に塗布ないし印刷して該樹脂組成物による塗布ないし印刷膜を形成して、該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を形成することができる。
なお、本発明において、上記のような成形方法によって製造する脂肪族ポリアミド系樹脂による単体のフィルムないしシ−ト、或いは共押しフィルムないしシ−ト状物を、通常の方法でそのフィルムないしシ−ト状物の製造時、あるいは製造後に、縦横の二軸方向に延伸して、その二軸延伸処理されているフィルムを製造することができる。
上記において、脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層の厚さとしては、例えば、5〜200μm位、好ましくは、10〜100μm位が望ましい。
【0012】
ところで、本発明において、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の片面または両面に、脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層を積層する場合、その総厚さとしては、10〜50μm位が好ましく、而して、その両者は、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の厚さが総厚さの1/10〜1/3であり、脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層の厚さが総厚さの9/10〜2/3位が望ましい。
【0013】
更に、本発明において、最内層としての熱接着性樹脂層を構成する材料としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、酸変性ポリオレフィン樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μmないし300μm位、好ましくは、10μmないし100μm位が望ましい。
【0014】
次に、本発明において、接着性樹脂層を構成する接着剤としては、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン−アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体、あるいはそれを酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマ−樹脂、その他等を使用することができる。
【0015】
更に、本発明において、接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ドライラミネ−ト等において使用される2液硬化型ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤、その他等を使用することができる。
【0016】
次に、本発明において、バリア−層としての酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムを構成する材料としては、例えば、ガスバリア−性を有する、酸化珪素あるいは酸化アルミニュウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムを使用することができる。
上記において、無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ100Åないし2000Å位のものを使用することができる。
また、上記の蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカ−ボネ−トフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコ−ルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム、その他等を使用することができる。
【0017】
次にまた、本発明において、外層としてのチュ−ブ基体シ−トを構成する材料としては、ラミネ−トチュ−ブ容器を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、セロハン等のフィルム、合成紙、薄葉紙、板紙、加工紙等の紙基材、或いは上記のような材料を任意に組み合わせて積層した積層材、その他等を使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μmないし300μm位、好ましくは、10μmないし200μm位が望ましい。
また、紙基材としては、例えば、坪量70ないし300g/cm2 位のものを使用することができる。
而して、本発明においては、上記の外層としてのチュ−ブ基体シ−トの最外層としては、前述のように積層材を丸めてその重合部分の端部をヒ−トシ−ルして筒状胴部を構成することから、最内層を構成する熱接着性樹脂層と熱接着性を有する材料を使用して構成することが望ましく、そのために、前述の、熱によって溶融し相互に溶着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用してチュ−ブ基体シ−トの最外層として積層することが好ましい。
【0018】
次に、本発明において、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、ラミネ−トチュ−ブ容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0019】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0020】
上記のような材料を使用して製造した本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器は、積層材を構成する材料として、酸素バリア−性、水蒸気バリア−性、フレ−バ−バリア−性等に優れている結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を含むことから、内容物中の香料成分の浸透性を防止することができ、かつこれによるデラミ等の発生を防止することができ、例えば、歯磨き粉等に代表される粘性を有するペ−スト状内容物、化粧品、医薬品、日用品等の充填包装に適するものである。
【0021】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
厚さ1000Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの蒸着膜面に、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して、厚さ15μmの、ナイロンMXD6(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)を使用した二軸延伸芳香族ポリアミドフィルムを積層し、次いで該積層体の二軸延伸芳香族ポリアミドフィルム面に、厚さ100μmの線状低密度ポリエチレンフィルムのコロナ放電処理面を対向させて、その両者を溶融押出した厚さ25μmのエチレン−メタクリル酸共重合体で積層し、他方、該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ80μmの乳白ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで積層し、更に上記の乳白ポリエチレンフィルム面に、厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで押出ラミネ−ション法で積層して、外面から内面(内容物側)に向かって、下記の構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を製造した。
70μm・低密度ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/80μm・乳白ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜/接着剤層/15μm・二軸延伸芳香族ポリアミドフィルム/25μm・エチレン−メタクリル酸共重合体/100μm・線状低密度ポリエチレンフィルム
【0022】
実施例2
厚さ1000Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの蒸着膜面に、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して、厚さ15μmの脂肪族ポリアミド/芳香族ポリアミド/脂肪族ポリアミドの3層の構成からなる共押し二軸延ポリアミドフィルム(三菱化学株式会社製、商品名 ス−パ−ニ−ル)を積層し、次いで該積層体の二軸延伸芳ポリアミドフィルム面に、厚さ100μmの低密度ポリエチレンフィルムのコロナ放電処理面を対向させて、その両者を溶融押出した厚さ40μmの低密度ポリエチレンで積層し、他方、該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ80μmの乳白ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで積層し、更に上記の乳白ポリエチレンフィルム面に、厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで押出ラミネ−ション法で積層して、外面から内面(内容物側)に向かって、下記の構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を製造した。
70μm・低密度ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/80μm・乳白ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜/接着剤層/15μm・3層共押し二軸延伸ポリアミドフィルム/40μm・ポリエチレン/100μm・低密度ポリエチレンフィルム
【0023】
実施例3
厚さ1000Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの蒸着膜面に、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して、厚さ15μmの脂肪族ポリアミド/芳香族ポリアミド/脂肪族ポリアミドの3層の構成からなる共押し二軸延ポリアミドフィルム(上記の実施例2と同じもの)を積層し、次いで該積層体の二軸延伸芳ポリアミドフィルム面に、厚さ100μmの低密度ポリエチレンフィルムのコロナ放電処理面を対向させて、その両者を溶融押出した厚さ40μmの低密度ポリエチレンで積層し、他方、該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して積層し、更に該12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ50μmの乳白ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで積層し、しかる後更に上記の乳白ポリエチレンフィルム面に、厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで押出ラミネ−ション法で積層して、外面から内面(内容物側)に向かって、下記の構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を製造した。
70μm・低密度ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/50μm・乳白ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/接着剤層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜/接着剤層/15μm・3層共押し二軸延伸ポリアミドフィルム/40μm・ポリエチレン/100μm・低密度ポリエチレンフィルム
【0024】
実施例4
厚さ1000Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの蒸着膜面に、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して、厚さ15μmの脂肪族ポリアミド/芳香族ポリアミド/脂肪族ポリアミドの3層の構成からなる共押し二軸延ポリアミドフィルム(上記の実施例2と同じもの)を積層し、次いで該積層体の二軸延伸芳ポリアミドフィルム面に、厚さ50μmのシングルサイト触媒により重合した低密度ポリエチレンフィルムのコロナ放電処理面を対向させて、その両者を溶融押出した厚さ40μmの低密度エチレン−メタクリル酸共重合体で積層し、他方、該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ80μmの乳白ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで積層し、更に上記の乳白ポリエチレンフィルム面に、厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで押出ラミネ−ション法で積層して、外面から内面(内容物側)に向かって、下記の構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を製造した。
70μm・低密度ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/80μm・乳白ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜/接着剤層/15μm・3層共押し二軸延伸ポリアミドフィルム/40μm・エチレン−メタクリル酸共重合体/50μm・シングルサイト触媒により重合・低密度ポリエチレンフィルム
【0025】
比較例1
厚さ1000Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの蒸着膜面に、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを積層し、次いで該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ100μmの線状低密度ポリエチレンフィルムのコロナ放電処理面を対向させて、その両者を溶融押出した厚さ25μmのエチレン−メタクリル酸共重合体で積層し、他方、該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ80μmの乳白ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで積層し、更に上記の乳白ポリエチレンフィルム面に、厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで押出ラミネ−ション法で積層して、外面から内面(内容物側)に向かって、下記の構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を製造した。
70μm・低密度ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/80μm・乳白ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜/接着剤層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム/25μm・エチレン−メタクリル酸共重合体/100μm・線状低密度ポリエチレンフィルム
【0026】
比較例2
厚さ1000Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの蒸着膜面に、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して厚さ15μmの二軸延伸6ナイロンフィルムを積層し、次いで該積層体の二軸延伸6ナイロンフィルム面に、厚さ100μmの線状低密度ポリエチレンフィルムのコロナ放電処理面を対向させて、その両者を溶融押出した厚さ25μmのエチレン−メタクリル酸共重合体で積層し、他方、該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ80μmの乳白ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで積層し、更に上記の乳白ポリエチレンフィルム面に、厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで押出ラミネ−ション法で積層して、外面から内面(内容物側)に向かって、下記の構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を製造した。
70μm・低密度ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/80μm・乳白ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜/接着剤層/15μm・二軸延伸6ナイロンフィルム/25μm・エチレン−メタクリル酸共重合体/100μm・線状低密度ポリエチレンフィルム
【0027】
比較例3
厚さ1000Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの蒸着膜面に、2液硬化型のウレタン系接着剤(乾燥重量で5g/m2 )を介して厚さ50μmの低密度伸ポリエチレンフィルムを積層し、次いで該積層体の低密度伸ポリエチレンフィルム面に、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムのコロナ放電処理面を対向させて、その両者を溶融押出した厚さ25μmのエチレン−メタクリル酸共重合体で積層し、他方、該積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム面に、厚さ80μmの乳白ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで積層し、更に上記の乳白ポリエチレンフィルム面に、厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムを、溶融押出した厚さ30μmの低密度ポリエチレンで押出ラミネ−ション法で積層して、外面から内面(内容物側)に向かって、下記の構成からなるラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を製造した。
70μm・低密度ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/80μm・乳白ポリエチレンフィルム/30μm・低密度ポリエチレン層/12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜/接着剤層/50μm・低密度ポリエチレンフィルム/25μm・エチレン−メタクリル酸共重合体/50μm・低密度ポリエチレンフィルム
【0028】
実験例1
まず、本発明において、耐熱性とフレ−バ−バリア−性を併せ持つ樹脂フィルムを選定するために、下記に示す樹脂フィルムを用いて、15cm×15cmサイズ(有効透過面積:392cm2 )のパウチをインパルスシ−ル法で作成し、香料混合物(メント−ル:メントン:リモネン:カルボン:アネト−ル=1:1:1:1:1、重量比)1gを充填し、開口部をインパルスシ−ル法でシ−ルした。
上記で製造した各パウチを40℃、90%に維持した恒温室に放置し、重量減少とフィルムの厚みから各フィルムの20μm換算の香料透過率を測定した。
【0029】
樹脂フィルム
上記の実験例1の結果について下記の表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
上記の表1の結果より明らかなように、フレ−バ−バリア−性について、(1)オレフィン系樹脂フィルムは、著しく悪く、その適性はないものと判断した。
(3)非吸着性樹脂フィルムは、透過係数が小さく、フレ−バ−バリア−性の点では良好であったが、耐熱性に問題があり、無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの熱収縮性を防止できないものと判断した。
(2)二軸延伸フィルムにおいて、フレ−バ−バリア−性について、ポリプロピレンフィルムは、不適であると判断し、ポリエチレンテレフタレ−トフィルムは、耐熱性に優れるが、6ナイロンフィルム(脂肪族ポリアミド)、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム(エチレン含有量=32%)に比べると、劣ると判断した。
上記より、ナイロンMXD6(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)のフィルムと、6ナイロン/ナイロンMXD6(三菱瓦斯化学株式会社製、商品名)/6ナイロンの構成からなる3層共押し二軸延伸フィルムが、フレ−バ−バリア−性、耐熱性とも優れ、本発明のフレ−バ−バリア−性と耐熱性とを兼ね備えた基材として選定した。
【0032】
実験例2
次に、上記で製造した実施例1、2、3、4、比較例1、2、3で製造した各ラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を使用して、15cm×15cmサイズ(有効透過面積:392cm2 )のパウチ形状にヒ−トシ−ル機で製袋し、香料混合物(メント−ル:メントン:リモネン:カルボン:アネト−ル=1:1:1:1:1、重量比)2gを充填し、開口部をヒ−トシ−ルした。
上記で製造した各パウチを40℃、90%RHの恒温室に保存し、1週間後の重量減少量を比較するとともに、ラミネ−ト強度の1ヵ月間の経時変化を評価した。
上記において、ラミネ−ト強度の測定方法は、定速伸長型引張試験機を用いて、15mm幅の短冊型試験片を採取し、100mm/minの引張速度で試験を行い、測定部位のラミネ−ト強度を測定した。
なお、各ラミネ−トチュ−ブ容器用積層材の測定部位は、下記のとおりであった。
実施例1:12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜と、15μm・二軸延伸芳香族ポリアミドフィルムとの間
実施例2、3および4:12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜と、15μm・3層共押し二軸延伸ポリアミドフィルムとの間
比較例1:12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜と、12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムとの間
比較例2:12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜と、15μm・二軸延伸6ナイロンフィルムとの間
比較例3:12μm・二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム・1000Åの酸化珪素の蒸着膜と、50μm・低密度ポリエチレンフィルムとの間
上記の実験例2の結果について下記の表1に示す。
【0033】
【表2】
上記において、40℃/90%で1週間後の香料重量減少率は、香料混合物2gをパウチ(有効透過面積:392cm2 )に充填し、重量減少率(%)を測定した。
【0034】
上記の表2に示すように、実施例1、2、3、4にかかる積層材においては、香料成分の重量減少率が小さく、高い保香性を示し、また、有意なラミネ−ト強度の低下も観察されなかった。
比較例1、2にかかる積層材においては、比較的良好な保香性を示したが、ラミネ−ト強度の低下が認められた。
また、比較例3にかかる積層材においては、香料成分の重量減少率が大きく、また、デラミも短期間に認められた。
【0035】
実験例3
次に、上記で製造した実施例1、2、3、4、比較例1、2、3で製造した各ラミネ−トチュ−ブ容器用積層材を使用して、まず、打ち抜き加工によりチュ−ブ用ブランク板を作成し、背貼り部を熱融着法により内面樹脂層が、内周面層となるように、直径35mm、高さ150mmの円筒体を作成した。
次に、上記で製造した円筒体をチュ−ブ容器成型用のマンドレルに装着し、円筒体の一方の端部に常法により、円錐台形状の肩部とそれに連続する細首の口頸部とからなる頭部を、高密度ポリエチレンに10重量%のチタンホワイトを添加した樹脂組成物で圧縮成形し、ラミネ−トチュ−ブ容器を作成した。
次に、上記で製造したラミネ−トチュ−ブ容器をマンドレルから取り外し、該容器の頭部にキャップを取り付けると共に、他方の開放端部から、市販の歯磨きペ−スト150gを充填し、しかる後該開放端部を熱融着法により封緘した。
上記で製造した各ラミネ−トチュ−ブ容器包装体について、上記の実験例2と同様にラミネ−ト強度の変動を評価した。
その結果について、下記の表3に示す。
【0036】
【表3】
上記において、各ラミネ−トチュ−ブ容器に、市販歯磨きペ−スト150gを充填後、40℃/90%RHの条件下に保存してテストした。
【0037】
上記の表3に示すように、実施例1、2、3、4にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、40℃で6ヵ月間の長期間にわたって、ラミネ−ト強度の低下、あるいはデラミ等を認められず、優れた内容物適性を有していた。
比較例1、2、3にかかるラミネ−トチュ−ブ容器においては、ラミネ−ト強度の低下、デラミ等が認められた。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂が、強度、弾性率が高く、かつ耐熱性、耐薬品性等に優れ、更に低吸水性、低透湿性、ガスバリア−性等を有することに着目し、それが有する特性を利用すべく、最内層として熱接着性樹脂層を含み、バリア−層として酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムを含む積層材からなるラミネ−トチュ−ブ容器において、上記のバリア−層としての酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜面に、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を接着剤を用いて積層し、更に該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層面に最内層としての熱接着性樹脂層を構成する熱接着性樹脂を押し出し積層して積層材を製造し、更に、その積層材を使用して、常法に従ってラミネ−トチュ−ブ容器を製造することにより、バリア−層としての酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムの該酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜層のクラックの発生を防止することができ、更に内容物の香料成分の透過によるデラミ現象を防止することができ、香料成分を有する歯磨き粉等の内容物の充填包装適性を有し、その保存性にすぐれ、更に環境対応に適う極めて良好な包装体製品を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器を構成する積層材の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】図1に示す積層材を使用して製造した本発明にかかるラミネ−トチュ−ブ容器の構成を示す概略的半断面図である。
【図3】結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の片面に、脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層を積層させた2層の構成からなるポリアミド系樹脂層の層構成を示す断面図である。
【図4】結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層の両面に、脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層を積層させた3層の構成からなるポリアミド系樹脂層の層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 熱接着性樹脂層
2 接着性樹脂層
3 結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層
31 脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層
3a 2層の構成からなるポリアミド系樹脂層
3b 3層の構成からなるポリアミド系樹脂層
4 接着剤層
5 酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜
6 酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム
7 チュ−ブ用基体シ−ト
8 溶着部8
9 筒状胴部
10 肩部
11 口部
12 キャップ
13 練り歯磨き等の内容物
14 底溶着部
A 積層材
B ラミネ−トチュ−ブ容器
Claims (5)
- 最内層として熱接着性樹脂層を含み、バリア−層として無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム層を含む積層材からなるラミネ−トチュ−ブ容器において、上記のバリア−層としての無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム層の無機酸化物の蒸着膜面に、結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層を接着剤を用いて積層し、更に該結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層面に、最内層としての熱接着性樹脂層を構成する熱接着性樹脂を押し出し積層し、他方、上記の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム層の樹脂のフィルム層面に、チュ−ブ基体シ−トを積層し、更に、最外層としての熱接着性樹脂層を構成する熱接着性樹脂を押し出し積層してなる積層材からラミネ−トチュ−ブを構成することを特徴とするラミネ−トチュ−ブ容器。
- 結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層が、二軸延伸処理されていることを特徴とする上記の請求項1に記載するラミネ−トチュ−ブ容器。
- 結晶性芳香族ポリアミド系樹脂による樹脂層が、その片面または両面に脂肪族ポリアミド系樹脂による樹脂層を積層させた2層ないし3層の構成からなるポリアミド系樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1または2に記載するラミネ−トチュ−ブ容器。
- 2層ないし3層の構成からなるポリアミド系樹脂層が、共押し出しフィルムの積層体からなることを特徴とする上記の請求項3に記載するラミネ−トチュ−ブ容器。
- 共押し出しフィルムの積層体が、二軸延伸処理されていることを特徴とする上記の請求項4に記載するラミネ−トチュ−ブ容器。
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