JP4043599B2 - ガスバリア性多層ヒートシールフィルムとその製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
プラスチックフィルムから形成される、バリア性フィルムに関し、ヒートシールができる袋体用フィルムにおいて、酸素などのガスバリア層を構成するエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと記載する。)を含むガスバリア性多層ヒートシールフィルム(以下バリア性多層HSフィルムと記載する。)を用いた耐屈曲性に優れた多層共押出しフィルムとその製造方法及びそれを用いた袋体に属する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックフィルムを基材とする軟包装フィルムは、ヒートシール性に優れた、密封性を要求される袋体に多用されてきた。そして、水蒸気バリア性(以下、防湿性と記載する。)や酸素などのガスバリア性(以下、ガスバリアを単にバリアと記載する。)に優れた袋体は、水分が袋体を透過して吸脱湿や、酸素などの活性ガスによる酸化に伴う内容物の変質を避けることは困難であった。水分による変質を防ぐには、延伸プラスチックフィルムとポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンをヒートシーラント層(以下、HS層と記載する。)とからなる多層フィルムが使用されていた。そして、より優れた防湿性を必要とするときは、防湿性に優れたフィルム、例えばアルミニウム箔、金属アルミニウムや酸化ケイ素を蒸着したプラスチックフィルム、塩化ビニリデンを塗工したフィルムを貼合した積層フィルムからなる袋体が使用されていた。そして、更に水分を避けたい内容物の場合は、シリカや酸化カルシウムの吸湿剤を袋体に同封することも行われ、防湿性をもつ袋体としては一応満足されるものであった。
【0003】
内容物がガス特に酸素ガスにより変質をうける場合は、上記のポリオレフィンをHS層とし、バリア層としてバリア性に優れたフィルム、例えばEVOH、変性ポリアミド、アルミニウム箔、金属アルミニウムや酸化ケイ素を蒸着したプラスチックフィルム、ポリビニルアルコールや塩化ビニリデンを塗工したフィルムを貼合した積層フィルムからなる袋体が使用されていた。そして、袋体に残存する酸素ガスによる変質を防止する目的で、ガスを取り除いた『真空包装』や、酸素を炭酸ガスなどの不活性ガスで置換した『ガス置換包装』、あるいは酸素ガスを吸収する所謂『脱酸素剤』を袋体に同封したりして使用されていた。
【0004】
しかしながら、バリア層を構成する塩化ビニリデンは、包材を焼却廃棄をするとき、塩素化合物による大気汚染の懸念があり、汚染物質を除去するコストの問題のためにも必ずしも好ましい包装材料とはいえないものである。
また、アルミニウム箔、金属アルミニウムや酸化ケイ素を蒸着したプラスチックフィルムを貼合した積層体は、プラスチックフィルムと比較して展延性に劣るため、上記の材料は、折曲げ部や屈曲部においてピンホールを発生し、初期状態のバリア性を維持できないという問題があった。また、蒸着フィルムは、比較的ピンホールは発生し難いとはいうものの、プラスチックフィルムと比較した場合には劣るものであり、また、薄膜の蒸着適性を要求されるフィルムは(熱安定性、厚薄の精度、寸法安定性)などの制約があった。特にピロータイプのガセット袋や、ひねり部分をもつ巾着状の包装袋においては蒸着膜にピンホールが発生し易いという問題点があった。
【0005】
ポリビニルアルコールのフィルムを含む積層フィルムは、乾燥時には優れたバリア性を奏するが、耐屈曲性に劣りピンホールを発生し易く、また多湿下においては水分の影響でバリア性を著しく低下するという問題点があった。また、EVOHは、ポリビニルアルコールフィルムと比較して水分の影響をうけ難い材料である。しかしながら、エチエレンの共重合比率によって酸素透過度が著しく影響される。例えば、エチエレンの共重合比率が32モル%の20℃におけるEVOHの酸素透過度は、0.3〜0.5cc・20μm/m2 ・24h・atmであり、エチエレンの共重合比率が47モル%のEVOHは、4.5〜5.3cc・20μm/m2 ・24h・atmである。したがって、バリア性に優れたグレードであるエチレン含有量の少ないEVOHを使用するときは、ポリビニルアルコールと同様に屈曲やヒートシール部の加熱・圧によるピンホールを発生し、それに伴いバリア性が低下し易いという問題点を避けることは困難であった。
【0006】
上記のEVOHは、熱分解を起こしやすい樹脂であり、例えば、Tダイス法で他の樹脂と共押出し成膜した場合、高温になると、分解して炭化物を形成したり、ゲル状物のために外観不良を起こし易く、また、HS層となるポリエチレンの粘度低下が著しく成膜が安定しなかった。また、逆に、HS層の樹脂の加工適性に合わせた低温では樹脂の流れにムラが発生し成膜の流れ方向に筋状の厚みムラを発生するという問題点があった。
また、サーキュラダイス法(インフレーション法)で成膜する場合も、EVOHの加工に適した200〜235℃の加工温度では、ヒートシール性に優れた線状ポリエチレン(以下、LLDPEと記載する。また低密度ポリエチレンはLDPEと記載する。)をHS層とした多層成膜を行ったときには溶融粘度が不足し、バルーン(インレーションの成膜時に溶融した樹脂が形成するチューブ)の形状が変動するため、膜の厚みや巾が変動し成膜不良を生ずるという問題点があった。また、逆に、LLDPEの加工温度に適した200℃以下の温度では、樹脂の流れにムラが発生し成膜の流れ方向に筋状の厚みムラを発生するという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、バリア性に優れるが、フィルムとして耐屈曲性が劣るエチレン含有比率が少ないEVOHを用いた場合、屈曲や、ヒートシール部、特にガセット袋などにおける折込みシール部にみられるピンホールの発生、及びそれに伴うバリア性の低下を防止した『バリア性多層HSフィルム』を、成膜時の熱分解や、厚みの変動がなく生産したフィルムの提供を課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のバリア性多層HSフィルムは、少なくとも密度が0.900〜0.920g/cm3のLLDPEからなるHS層、密度が0.880〜0.895g/cm3のポリエチレン樹脂からなるプラストマ層からなるクッション層、接着性樹脂層、エチレン含有率が25〜50モル%、ケン化率が90%以上のエチレン・ビニルアルコール共重合体を50重量%以上からなるバリア層、接着性樹脂層、及び低密度ポリエチレン樹脂からなる貼合層とを積層して形成されているものである。そして、前記HS層の及び貼合層を構成する樹脂のメルトフローレシオ(以下、MFRと記載する。)が5gより小さいバリア性多層HSフィルムである。また、前記のバリア性多層HSフィルムの成膜を、サーキュラダイス方法で、かつ235℃以下の温度で行うこと特徴とするバリア性多層HSフィルムの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のバリア性多層HSフィルムは図1に示すように、少なくともJISK7122 6.2 B法(ピクノメーター法)に準じて測定した密度が0.900〜0.920g/cm3 のLLDPEからなるHS層5、密度が0.880〜0.895g/cm3 のプラストマ層からなるクッション層4、接着性樹脂層22、エチレン含有率が25〜50モル%、ケン化率が90%以上のエチレン・ビニルアルコール共重合体を多層フィルム全体の50重量%以上を含むバリア層3、接着性樹脂層21、及び熱可塑性樹脂からなる貼合層1とを層順次に積層して形成されているものである。
そして、前記のHS層5及び貼合層1を構成する樹脂のJIS K7210A法の表1に規定する試験条件4に基づいて測定したMFRは、5gより小さいバリア性多層HSフィルム10である。
また、前記のバリア性多層HSフィルム10の成膜を、最内層であるHS層5及び最外層である貼合層1のメルトフローレシオがともに、5gより小さい樹脂で構成し、かつサーキュラダイス方法で235℃以下の温度で行うバリア性多層HSフィルムの製造方法である。
【0010】
図2に示すように、前記のバリア性多層HSフィルム10の貼合層1と、印刷による絵柄層7を施した基材フィルム8又は未印刷の基材フィルムとを接着剤層6や図示はしないが、プライマー層を介して接着樹脂を設けて貼合した積層フィルム15である。
また、図3に示すように積層フィルム15に内部折込み部91及び外部折曲げ部92を設けてヒートシール部95を形成した袋体90である。
【0011】
本発明の貼合層は、多層フィルム全体の成膜工程を安定化できるキャリア層となるものが好ましい熱可塑性樹脂から選択できる。例えば、低密度ポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーや、ナイロン6、共重合ナイロン(ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/ナイロン12)、共重合ポリエステルのなかから、235℃以下で成膜できるものから選択する。好ましくは、MFRが5.0g以下の低密度ポリエチレンである。MFRが5g以上となるとEVOHを含む多層フィルムの成膜では粘度が低下して成膜時のバルーンが変動し易い。
LLDPEからなるHS層は、袋体として使用したときに最内層として、内容物と接触することが多いため、成膜時の空気(酸素)と熱で酸化されて異臭を発生し、内容物の香味を損じたり、その生成物でヒートシール阻害を起こしたりするを防止する意味で、不活性ガス(炭酸ガス及び/又は窒素ガス)を封入して成膜のバルーンを形成することが好ましい。そして、成膜を完了後の貼合層は、接着剤層との適性を与えるため成膜直後にコロナ放電処理を施す。
【0012】
接着性樹脂層は、貼合層とバリア層との樹脂を共押出し成膜を行うときに双方の樹脂を接着するために設ける層である。本発明のようにバリア層がEVOHで構成する場合は、酸無水物を含むグラフト重合もしくは共重合ポリエチレン、変性エチレン・酢酸ビニル共重合体、変性ナイロンなどから適宜選択できるが、好ましくは、EVOH及び低密度ポリエチレンと同様の流動特性をもつ酸無水物を含むグラフト重合ポリエチレンである。
【0013】
EVOHは、ビニルアルコールの比率が高いものほどバリア性に優れるが、曲げ強度、降伏点伸度が劣る傾向にあるために、バリア性に優れるものが耐ピンホール性に劣るという問題点がある。したがって、エチレン含有率が25〜50モル%(EVOHが75〜50モル%)の比較的ビニルアルコール成分の多いのものがバリア性を維持する意味からも好ましい。エチレン含有率が25モル%に満たないものは、バリア層の可撓性が劣り、ピンホールの発生によるバリア性の低下を避けがたい。
そして、バリア層の厚みは、要求するバリア性にもよるが、バリア性多層HSフィルムの効果(少なくとも酸素透過度を10cc/24h・m2 以下)を奏するためにも樹脂総量の50%以上に構成することが好ましい。
そして、その上限は、EVOH層の可撓性が低下しない程度に制限することはいうまでもない。
【0014】
本発明のクッション層は、バリア層のピンホールの発生を防止する作用をもつと同時にバリア性多層HSフィルムから構成された袋体がヒートシールで密封・構成されるとき、折曲げ部やヒートシール部の端部に発生する積層フィルムのピンホール発生をも防止する効果を奏するものである。
したがって、構成する高分子が屈曲性に優れること、そしてその屈曲性を実現するためにガラス転移点が使用温度より高く、かつHS層の温度より軟化温度が低いものが好ましい。したがって、密度が0.915g/cm3 以下のポリエチレンが好ましく使用できるが、その他エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、エチレン・プロピレンラバー、ブチルゴムなど特に密度には関係なくゴム的特性をもつものをブレンドして使用することもできる。
【0015】
バリア性多層HSフィルムの総厚みは、通常の溶融押出し成膜ができる15〜100μmを目処とはするが、特に問うものではない。
そして、貼合層は、成膜を安定する目的で多層フィルムの総厚みの10%以上とし、接着性樹脂層は成膜できる最低厚みの2μm以上、バリア層は所望されるバリア性から規定されるものであるがフィルムの50重量%以上の構成により優れたバリア性をもつことができる。また、HS層は5〜20μm、クッション層はその効果を奏するためにも可及的に厚く10〜40μmに設定することが好ましい。
【0016】
成膜は、共押出し多層成膜機であるならば、サーキュラダイス型、Tダイス型のいずれでも構わないが、総厚みの変動を巻上げ軸の回転で吸収できるサーキュラダイス型が好ましい。また、製造した多層フィルムの冷却は、空冷、水冷のいずれをも使用できる。空冷のものは加工温度を低く設定できるため、EVOHから熱分解で発生するゲル化物の生成を少なく、また、ダイス内で膜状態での樹脂の接触・滞留時間を長くなるために層間の接着強度を強くできる。また、フィルムの結晶化度を抑制できる水冷式は、貼合層にポリアミドを用いるなど使用樹脂によっては有効な方法である。
【0017】
各層の形成と接着は、フィードブロック方式や、マルチマニホールド方式のいずれでもよく、またダイ内接着であっても、ダイ外接着のいずれの方式でも構わないが、薄膜成膜に有効であるダイ内接着の方法が好ましい。
【0018】
前記のバリア性多層HSフィルムと貼合して積層フィルムを構成する基材フィルムは、通常のフィルム状の袋体の基材となるものから、1〜3種のフィルムを使用する。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、セルロスアセテートなどの延伸又は非延伸フィルム、紙、セロハンなどから適宜に選択できる。好ましくは、耐屈曲性に優れ、コスト面からも有利な二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
【0019】
積層フィルムを形成するための、バリア性多層HSフィルムと上記のフィルムとの貼合は、エマルジョン系接着剤を使用するウエットラミネーション、反応硬化型接着剤を使用するドライラミネーション、石油系ワックス、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、合成ゴム、粘着付与剤などから構成されるホットメルト型接着剤(溶剤を加えて、加熱状態で使用するホットラッカーも含む)によるホットメルトラミネーションや、必要に応じてプライマー層を設けて溶融押出しした接着性樹脂層を介して積層するサンドイッチラミネーションの通常の方法を材料や用途によって適宜に選択して使用する。
【0020】
積層フィルムから、袋体を構成するには、上記の基材フィルムを外側にし、そしてHS層を内面にして、適宜の形状に製袋あるいは、自動充填包装を行う。袋体の形態は、ピロー袋、折込みのガゼット部をもつガセット袋など特に問うものでなく、また、積層フィルムの製袋機における走行も縦型、横型の関係がなく供給することができる。
【0021】
以下、実験例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1〜2及び比較例1〜5)
次に示すA〜Fの樹脂組成物を、各層が50mmの溶融押出機からフィードブロック方式の6種6層のサーキュラダイス型又はTダイス型成膜機を用いて、表1に示す厚みになるように加工温度を230℃で総厚み50μmの実施例のバリア性多層HSフィルム及び比較例のフィルムを作成した。
【0022】
【表1】
各層の樹脂組成物とその厚み(単位 μm)及び成膜法
但し、樹脂組成物A〜Fは次のとおりである。
A 密度0.915g/cm3 、MFR4.0gのLLDPE
B 密度0.915g/cm3 、MFR4.0gのLLDPE、と密度が0.915g/cm3 、MFR10.0gとのLLDPEとの1:1の混合物
C 密度0.895g/cm3 、MFR1.6gのLLDPE
D MFR1.6gの酸無水物グラフト重合ポリエチレン
E エチレン含有率38モル%、MFR1.5gEVOH
F 密度0.920g/cm3 、MFR1.6gのLDPE
I、サーキュラダイス法による成膜
T、Tダイス法による成膜
【0023】
実施例及び比較例で作成したバリア性多層HSフィルム10の貼合層1と、厚みが20μmの二軸延伸ポリプロピレン(基材フィルム8)に絵柄層7をグラビア印刷で設け、更にウレタン系2液反応接着剤(接着剤層6)を塗工した面(接着剤層6)とを貼合して、図2に示す積層フィルム15を構成した。
実施例及び比較例の多層フィルムでの成膜適性、成膜の安定性や、酸素透過度、積層フィルムのヒートシール開始温度、ヒートシール強度、製袋適性の評価となるHS層の滑りを評価した。
次いで、積層フィルム15を用いて、図3に示すように内部折込み部91、外部折曲げ部92及びヒートシール部95、折込み巾93が50mmの縦×横=300×150mm2 、ヒートシール巾10mmのガセット袋(袋体90)を作成し、製袋適性(及び折込み部のピンホール発生の有無)を評価した。
【0024】
実施例及び比較例の評価結果を表2に示す。
【表2】
評価結果
【0025】
実施例及び比較例の評価方法及び評価基準は次のとおりである。
(評価方法)
・成膜適性
成膜時における流れムラの発生頻度及びバルーンの安定性を目視により総合的に評価した。
・酸素透過度
JIS K7126 B法(等圧法)に準じてMODERN CONTROLINC.社製 OX−TRAN2/20を用いて、23℃相対湿度65%で酸素透過量(cc/atm・m2 24h)を測定した。
・ヒートシール開始温度
積層フィルムのHS層を相対して、圧力1kg/cm2 ×1secの条件で10mm巾にヒートシールした後、15mm巾でヒートシール方向に垂直に断裁し、そのはく離強度を、はく離速度300mm/minで測定し、その強度が2Kg/15mmとなるときの温度をヒートシール開始温度とした。
・ヒートシール強度
上記の条件で150℃で測定したときのヒートシール部のはく離強度(g/15mm巾)をヒートシール強度とした。
・フィルムの外観
上記の樹脂組成物で10時間の成膜を続け、ゲルの発生頻度、及びフィルムの透明性(JIS K7105ー1981)から総合的に評価した。
・動摩擦係数
積層フィルムのHS層のステンレス面に対する滑りをJIS K7214ー1987に準じて測定した。
・製袋適性(密封性)
積層フィルムを縦型のピロータイプの製袋機で製袋を行った後、袋体中にピンホールチェック液(アルコール可溶性染料をオクチルアルコールに溶解し、着色した試験液)を注入し、シール部への滲透の有無を確認した。
評価基準
◎ 非常に良好である。
○ 良好であり、実用性に全く問題なし。
△ 若干の問題はあるが、用途を選択して実用できる。
× 欠点が多く実用性はない。
【0026】
実施例1及び2は、成膜適性、安定したバリア性、ヒートシール性、製袋適性ともにバランスがとれた優れたバリア性多層HSフィルムである。特に実施例2の構成のものは、各層間のMFRのバランスもよく成膜適性が優れている。これに対して比較例1のフィルムは、EV成膜時の表面に位置するため成膜適性に劣り、吸湿によるバリア性の低下も認められる。比較例2及び3は製袋適性が劣り、比較例3及び4は、成膜適性が悪いフィルムの構成である。
【0027】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のバリア性多層HSフィルムは、多層共押出しフィルムの成膜を安定して行えるLLDPEをHS層(サーキュラダイスの成膜時のバルーンの内層)とし、そしてLDPEの貼合層(成膜時の外層)としているために、極めて成膜適性が安定したものである。更にバリア性に優れたEVOHを多層フィルムの全体の50%以上を占め、且つ防湿性に優れたLLDPEとLDPEとでサンドイッチした水分によるバリア性の低下を防いだバリア性多層HSフィルムである。また、サンドイッチされたEVOHは、サーキュラダイスの成膜法においては空気に触れて分解する機会も少なく安定した成膜適性をもつものである。したがって、バリア性、密封性及び製袋適性のバランスがとれた共押出しフィルムを提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】バリア性多層HSフィルムの断面の概念を示す図である。
【図2】バリア性多層HSフィルムを用いた積層フィルムの断面の概念図である。
【図3】バリア性多層HSフィルムの積層フィルムから形成したピロー袋体の概念を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 貼合層
3 バリア層
4 クッション層
5 HS層
6 接着剤層
7 絵柄層
8 基材フィルム
10 バリア性多層HSフィルム
15 積層フィルム
21、22 接着性樹脂層
90 袋体
91 内部折込み部
92 外部折曲げ部
95 ヒートシール部
Claims (2)
- 少なくとも密度が0.900〜0.920g/cm3の線状ポリエチレンからなるヒートシーラント層、密度が0.880〜0.895g/cm3のポリエチレン樹脂からなるプラストマ層からなるクッション層、接着性樹脂層、エチレン含有率が25〜50モル%、ケン化率が90%以上のエチレン・ビニルアルコール共重合体を50重量%以上からなるガスバリア層、接着性樹脂層、及び低密度ポリエチレン樹脂からなる貼合層とを積層して形成されており、かつ、前記ヒートシーラント層の及び貼合層を構成する樹脂のメルトフローレシオが5gより小さいことを特徴とするガスバリア性多層ヒートシールフィルム。
- 少なくとも密度が0.900〜0.920g/cm3の線状ポリエチレンからなるヒートシーラント層、密度が0.880〜0.895g/cm3のポリエチレン樹脂からなるプラストマ層からなるクッション層、接着性樹脂層、エチレン含有率が25〜50モル%、ケン化率が90%以上のエチレン・ビニルアルコール共重合体を50重量%以上からなるガスバリア層、接着性樹脂層、及び低密度ポリエチレン樹脂からなる貼合層との成膜を、サーキュラダイス方法で、かつ235℃以下の温度で行うこと特徴とするガスバリア性多層ヒートシールフィルムの製造方法。
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