JP2016145862A - 光学系および光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】焦点外れ像の光量の低下を抑制しつつ、焦点外れ像の見え方を改善すること【解決手段】複数のレンズと、絞りと、透過率分布を有する光学素子と、を有する光学系を提供する。前記光学素子の光軸から径方向における距離をr、前記光軸から前記光学素子の透過率が最大値の9割の値となる位置までの径方向における距離をr1、距離rの位置での前記透過率をT(r)、前記透過率の最大値をT0、前記光学素子の有効径をra、とするとき、r1<rの領域では、前記光軸から径方向に離れるに従って前記透過率が減少し、0≦r≦r1の領域では、0.9≦T(r)/T0、0.5≦r1/raなる条件を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、光学系および光学機器に関する。
一般に、撮影光学系の光学性能は合焦物体の結像性能で評価されるが、用途によっては、焦点外れ像(ボケ像)の見え方が撮影光学系の光学性能にとって重要な評価指標になる場合がある。特に、銀塩フィルム用カメラや半導体撮像素子を用いたデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、TVカメラ等の撮像装置に用いられる撮影光学系では、焦点外れ像の見え方が重要視される傾向にある。
特許文献1は、絞り近傍に配置されたアポダイゼーションフィルターを有し、無限遠合焦状態から近接撮影距離合焦状態へのフォーカシングに際して、少なくとも1つのレンズ群の間隔を変化させながら全系を物体側に移動させる撮影レンズ系を提案している。
特開平09−236740号公報
一般に、広角から中望遠の撮影光学系においては、軸外光束のサジタルハロが画面周辺部における焦点外れ像の強度ムラを引き起こし、アポダイゼーションフィルターは、このサジタルハロの除去に効果的である。しかし、特許文献1に記載のアポダイゼーションフィルターは、光軸から光軸と垂直な方向に離れるに従って次第に減少する透過率分布が略ガウス分布になるように構成されているため、光束中心付近のサジタルハロ以外の光線に対しても透過率を下げてしまう。その結果、光量低下の問題が発生する。
本発明の目的は、焦点外れ像の光量の低下を抑制しつつ、焦点外れ像の見え方を改善することが可能な光学系および撮像装置を提供することである。
本発明の光学系は、複数のレンズと、光量を調節する絞りと、透過率分布を有する光学素子と、を有する光学系であって、前記光学素子の光軸から径方向における距離をr、前記光軸から前記光学素子の透過率が最大値の9割の値となる位置までの径方向における距離をr、距離rの位置での前記透過率をT(r)、前記透過率の最大値をT、前記光学素子の有効径をr、とするとき、r<rの領域では、前記光軸から径方向に離れるに従って前記透過率が減少し、
0≦r≦rの領域では、
0.9≦T(r)/T
0.5≦r/r
なる条件を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、焦点外れ像の光量の低下を抑制しつつ、焦点外れ像の見え方を改善することが可能な光学系および撮像装置を提供することができる。
本実施形態の透過率分布素子と一般的なアポダイゼーション素子の透過率分布である。 本発明の撮影光学系の断面図である。(実施例1) 図2に示す撮影光学系の透過率分布素子における軸上及び最軸外光束の入射領域を示す図である。(実施例1) 図2に示す撮影光学系が形成する焦点外れ像の強度分布を示す図である。(実施例1) 本発明の撮影光学系の断面図である。(実施例2) 図5に示す撮影光学系の透過率分布素子における軸上及び最軸外光束の入射領域を示す図である。(実施例2) 図5に示す撮影光学系が形成する焦点外れ像の強度分布を示す図である。(実施例2) 本発明の撮影光学系の断面図である。(実施例3) 図8に示す撮影光学系の透過率分布素子における軸上及び最軸外光束の入射領域を示す図である。(実施例3) 図8に示す撮影光学系が形成する焦点外れ像の強度分布を示す図である。(実施例3) 本発明の撮影光学系の断面図である。(実施例4) 図11に示す撮影光学系の透過率分布素子における軸上及び最軸外光束の入射領域を示す図である。(実施例4) 図11に示す撮影光学系が形成する焦点外れ像の強度分布を示す図である。(実施例4) 本発明の透過率分布素子が有する透過率分布を示す図である。(実施例1、2、3、4) 本実施形態の撮影システムのブロック図である。
図15は、本実施形態の撮影システム(光学機器)100のブロック図である。撮影システムは、交換レンズ(光学機器)110と、交換レンズ110が交換可能に装着される撮像装置120と、から構成される。交換レンズ110は、本実施形態の光学系を有する。撮像装置120は、例えば、銀塩フィルム用カメラや半導体撮像素子を用いたデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、TVカメラ等であり、一眼レフカメラやミラーレスカメラ(ノンフレックス一眼レフカメラ)などである。但し、本発明は、レンズ一体型の撮像装置にも適用することができるため、光学機器が撮像装置として機能してもよい。また、本実施形態の光学系は、顕微鏡や投射型表示装置など他の光学機器にも適用することができる。以下、本実施形態の光学系を、交換レンズ110に設けられる撮影光学系を例として説明する。
撮影光学系は、立体被写体の撮影に適用することができる。ここで、「立体被写体」とは、光軸方向の距離が異なる複数の部分からなる被写体であり、特に、撮影時に撮影光学系の焦点面から被写界深度以上離れた点を持つ被写体のことである。
このとき、結像面には焦点外れ像が形成され、焦点外れ像の直径が撮影光学系のイメージサークル半径に対して約1〜2%より大きくなると、焦点外れ像として認識できるようになる。ここで、「イメージサークル」とは、レンズの有効径内を通った光線が結像する円である。本実施形態の光学系をデジタルスチルカメラやビデオカメラの撮影光学系として使用する場合、結像面はCCDセンサーやCMOSセンサー等の半導体撮像素子(光電変換素子)の撮像面となる。また、本実施形態の光学系を銀塩カメラ用の撮影光学系として使用する場合、結像面はフィルム面となる。なお、前述のイメージサークル半径は、撮像装置においては撮像面及びフィルム面の最大像高としてもよい。
本実施形態の光学系は、各画角の光束に対して透過率分布を与え、焦点外れ像の光量分布を変化させる透過率分布素子を有する。外周部で光量が大きい焦点外れ像は輪郭が強くなるため、焦点外れ像の周辺部の透過率を中央部より低くしてもよい。以下では、透過率分布素子が有する透過率分布は中心対称であり、中央部より周辺部で透過率が小さい場合について説明する。
本実施形態の撮影光学系は、複数のレンズ、光量を調節する絞り、及び透過率分布素子を有する。
透過率分布素子は、透過率分布を有する光学素子であり、透明ガラス平板やレンズ面に所定の透過率分布を有するように吸収物質や反射物質を蒸着したり、感光材料を塗布して所定の濃度となるように露光したりすることで得られる。また、光吸収を有する物質(NDガラス)で作成された凹レンズを使用してもよい。また、エレクトロクロミック材料等を利用して透過率分布を可変としてもよい。
図1は、本実施形態の透過率分布素子(a)と一般的なアポダイゼーション(APD)素子(b)の透過率分布を示すグラフである。同図において、横軸は、光軸から径方向における距離rを表している。径方向は、光軸に垂直な平面において光軸から外側に向かう方向である。縦軸は、T(r)/Tを表し、T(r)は、距離rの位置での透過率、Tは、有効径内での透過率の最大値(最大透過率)を表している。有効径は、光学素子の光を通せる口径である。rは、透過率分布素子の透過率が有効径内での最大透過率の9割の値となる位置までの光軸から径方向の距離を表している。rは、透過率分布素子の透過率が有効径内での最大透過率の5割の値となる位置までの光軸から径方向における距離を表している。
図1の(b)に示すようなガウス分布型の透過率分布素子を絞り近傍に有する撮影光学系は、焦点外れ像の強度ムラを引き起こす原因となっているサジタルハロを除去することができ、焦点外れ像を好ましく見せることができる。しかしながら、ガウス分布型の透過率分布では、焦点外れ像の強度ムラとは関係のない中心付近を通過する光線に対しても透過率の減少効果を与えてしまい、焦点外れ像の光量の低下とそれに伴う焦点外れ像の大きさの減少が避けられない。
そこで、本実施形態は、図1の(a)に示すような透過率分布素子を用いることで、光束の中心付近の光量低下を抑制しつつ、焦点外れ像の見え方を改良している。
また、一般的な撮影光学系では、軸外光束に口径食が見られる。「口径食」とは、光束の一部がケラレることを意味しており、ビネッティングとも呼ばれる。口径食のある撮影光学系では、軸上光束と軸外光束で絞りを通過する領域が一致しないために、透過率分布素子によって得られる効果が画角によって異なってしまう。一般には、軸外光束は、軸上光束より絞りの狭い範囲を通過するため、軸上光束に合わせた透過率分布とした場合は軸外光束では透過率分布の影響を得られない。また、絞りから離れた位置に透過率分布素子を配置した場合は軸外光束の中心が光軸から離れてしまうため、中心対称な透過率分布では軸外光束の透過率が非対称となってしまう。
そこで、本実施形態は、絞りより物体側へ離れた位置と絞りより像側へ離れた位置では軸外光束の形状が上下反転した関係になることに着目し、絞りの近傍に少なくとも1つの透過率分布素子を配置している。これにより、軸外光束の瞳透過率分布を等価的に中心対称に近づけることができる。軸外画角における焦点外れ像の改良効果を重視する場合は、透過率分布を有する光学素子を絞りの近傍に配置することで軸外光束に対しても有効にAPD効果を得ることができる。
透過率分布素子の光軸が通る中心から、光軸に垂直な径方向の距離をr、透過率分布素子の透過率が有効径内で最大透過率の9割の値となるrの値をrとする。このとき、rより外側の領域(r<r)では光軸から径方向に離れるに従って透過率が減少し、これ以外の領域(0≦r≦r)では下記の条件式(1)を満たす。
0.9≦T(r)/T (1)
また、rは下記の条件式(2)を満たす。
0.5≦r/r (2)
ただし、中心から径方向の距離rの位置での透過率をT(r)、Tを有効径内での最大透過率、rを有効径とする。
周辺部で光量が大きいエッジの効いた焦点外れ像を改良するには、光束の周辺部での透過率を光束の中央部よりも低くする必要がある。この条件を満たさない場合、光束の周辺部での光量を光束の中央部より強め、よりエッジの効いた汚い焦点外れ像となってしまう。このため、透過率分布素子が有する透過率は、周辺部において中心から径方向に離れるに従って減少することが好ましい。
条件式(1)及び(2)は、透過率分布素子が有する透過率分布の形状に関する式である。中心から一定の範囲では透過率を落とさないことでレンズ系が取り込む光量を増やすことができる。なお、光束の中央部においては、一定の範囲で透過率が一定であっても構わない。また、エレクトロクロミック材料を用いた透過率分布素子を使用した場合、透過率が滑らかに変化するような分布を作成することは難しく、段階的に透過率を変えてもよい。
条件式(1)の下限値を下回ると、透過率分布素子の中心付近において透過率が低くなり過ぎてしまい、撮像面に形成される焦点外れ像の中心付近の光量が低下してしまうため、好ましくない。条件式(2)の下限値を下回ると透過率分布素子の中心付近における透過率の高い領域が狭くなり過ぎてしまい、焦点外れ像の中心付近の光量が低下し、好ましくない。なお、製造の際のばらつきなどにより透過率の最も大きい点が光軸からずれる場合や透過率分布にムラができる場合がある。このような場合、透過率の誤差が5〜10%以内に収まらないと焦点外れ像が汚くなり、好ましくない。
次に、本実施形態において、満足すると好ましい条件について説明する。
絞りを最も開いた際に、光軸から透過率が最大透過率Tの5割の値となる位置までの径方向の距離をrとする。また、Oを光軸(透過率分布素子の中心と考えてもよい)、透過率分布素子における最軸外光束の入射領域の端点をP1、入射領域の上端、下端をP2、P3とする。すると、下記の条件式(3)を満たすことが好ましい。
(OP2+OP3)/2r≦r/r≦OP1/r (3)
ただし、OPi(i=1,2,3)を光軸に垂直な平面に射影された点Oに対応する点と点Piに対応する点との間の距離とする。
条件式(3)は、透過率分布素子が有する透過率分布の形状に関する式である。条件式(3)の下限値を下回ると、透過率が最大透過率Tの5割未満となる領域が広くなり過ぎる。これにより、焦点外れ像の強度ムラを引き起こすサジタルハロ成分以外の光線も除去してしまい、焦点外れ像の光量が低くなり過ぎるため、好ましくない。条件式(3)の上限値を上回ると透過率が最大透過率の5割未満となる領域が狭くなり過ぎる。これにより透過率分布素子による焦点外れ像を改良する効果が低減してしまい、エッジの効いた焦点外れ像となってしまうため、好ましくない。
無限遠にフォーカスした際に、撮影光学系の焦点距離をf、開放F値をFnoとすると、下記の条件式(4)を満たすことが好ましい。
10mm≦f/Fno≦70mm (4)
条件式(4)は、撮影レンズの入射瞳径に関する式である。条件式(4)の下限値を下回ると、撮像面上での1つ1つの焦点外れ像が占める領域が小さくなり過ぎる。このとき焦点外れ像に与える透過率分布が撮像面上であまりにも小さくなるため、透過率分布素子による焦点外れ像を改良する効果が低減する。そもそも焦点外れ像が小さいために汚い焦点外れ像が撮影時に問題となりにくい。条件式(4)の上限値を上回ると、焦点外れ像が大きくなり、撮像面上での1つ1つの焦点外れ像が占める領域が大きくなり過ぎる。エッジの効いた焦点外れ像は撮影光学系の収差に対応して形成されるが、条件式(4)の上限値を上回るような大きい焦点外れ像では収差が焦点外れ像の光量分布に与える影響が小さくなるため、汚い焦点外れ像が撮影時に問題となりにくい。
条件式(4)は、更に好ましくは次の如く設定するのが良い。
12mm≦f/Fno≦70mm (4a)
撮影レンズの半画角ωは、以下の条件式(5)を満たすことが好ましい。
9°≦ω≦45° (5)
条件式(5)は、撮影レンズの半画角に関する式である。エッジの効いた焦点外れ像は撮影光学系の収差に対応して形成されるが、条件式(5)の下限値を下回るような撮影光学系では焦点外れ像の光量分布を悪化させる収差を設計で抑えやすい。そのため、そもそも汚い焦点外れ像が生じにくく、透過率分布素子の効果が低減する。なお、条件式(5)の下限値を満たす場合は、撮影レンズのパースによる背景圧縮効果のために、背景に小さい点状または細い線状の光源や被写体が生じやすい。このような被写体は、焦点外れ像の輪郭が目立ちやすく、透過率分布素子の効果がより有効である。条件式(5)の上限値を上回ると、軸外光束における口径食がひどくなる。このとき、軸上光束及び軸外光束に焦点外れ像の改良効果を同時に与えることが困難になるため、好ましくない。
透過率分布素子において、430nm以上700nm以下の波長域における透過率の最大値Tmaxと最小値Tminは、
{(Tmax−Tmin)/Tmax}×100(%)≦20%
なる条件を満足することが好ましい。この条件は、透過率の波長分散に関する条件である。この条件を満たさない場合、焦点外れ像の周辺部が色づき、焦点外れ像の改良効果が低減する。
各実施例の撮影光学系は、図2、図5、図8、図11に示されている。図中の11は軸上光束、12は最軸外光束を表している。「軸外光束」とは、光軸外に結像する光束であり、その中で撮像面の最端部に結像する光束のことを「最軸外光束」と呼ぶ。各図では、光軸より下側から撮影光学系に入射する光束を代表的に示している。SPは絞り、IPは像面、F1またはF2は透過率分布素子である。
絞りを最も開いた際に、各実施例の透過率分布素子における軸上光束と最軸外光束のビネッティングの様子は、図3、図6、図9、図12に示されている。図6及び図12においては、(A)が透過率分布素子F1、(B)が透過率分布素子F2に対応している。図中の20は透過率分布素子の有効径、21は軸上光束の入射領域、22は最軸外光束の入射領域を表している。Oは透過率分布素子の中心位置(光軸の位置)、P1は入射領域22の端点、P2、P3は入射領域22の上端、下端である。
各実施例の撮影光学系によって撮像面に形成される焦点外れ像の強度分布は、図4、図7、図10、図13に示されている。横軸が位置R、縦軸が位置Rでの強度I(R)を表している。図中の31は、透過率分布素子が無い構成での軸上画角における焦点外れ像の強度分布、32は、透過率分布素子が配置された構成での軸上画角における焦点外れ像の強度分布を表している。また、33は、透過率分布素子が無い構成での軸外画角における焦点外れ像の強度分布、34は、透過率分布素子が配置された構成での軸外画角における焦点外れ像の強度分布を表している。Iは、主光線が撮像面に入射する位置での強度を表している。焦点外れ像の強度分布はメリジオナル面に垂直で主光線の入射位置を通る断面において評価した。
各実施例の透過率分布素子が有する透過率は、図14に示されている。横軸はr/r、縦軸はT(r)/Tを表している。
次に、本発明の各実施例について詳細に説明する。
図2は、実施例1の撮影光学系の断面図である。絞りSP近傍の前側(物体側)に透過率分布素子F1が配置されている。この場合、透過率分布素子F1は、透明ガラス平板に蒸着などによって形成することができる。透過率分布素子F1によって、軸上光束11から最軸外光束12までのあらゆる画角の光束に対して瞳強度分布を与え、焦点外れ像の見え方を改善している。標準レンズでは、このように1つの透過率分布素子のみでも足りる場合がある。複数の透過率分布素子を設けるよりも製造が容易になる。
図3は、透過率分布素子F1における軸上光束と最軸外光束のビネッティングの様子を表している。図3から明らかなように、最軸外光束に口径食が見られる。最軸外光束に対しても焦点外れ像の改良効果を与えるために、実施例1の透過率分布素子F1に図14の41に対応する透過率分布を与えた。
図4は、撮像面に形成される軸上及び18mm像高となる軸外画角での焦点外れ像の強度分布を示している。焦点外れ像は、撮影光学系の焦点距離をfとしたとき、撮像面から50f離れた位置に合焦させた状態において、撮像面から235f離れた物体の焦点外れ像である。図4から分かるように、軸上画角での周辺部の強度が高いエッジの効いた焦点外れ像が、透過率分布41によって周辺部の強度が緩やかに減少する良好な焦点外れ像に改善している。また、18mm像高となる軸外画角においても周辺部の強度が減少しており、APD効果が得られている。その際、中心付近の強度の低下は起こっていない。
以上、実施例1の透過率分布素子F1により、光量の低下を抑制しつつ焦点外れ像の見え方が改善されている。
図5は、実施例2の撮影光学系の断面図である。絞りより物体側に透過率分布素子F1が、絞りより像側に透過率分布素子F2が配置されている。その際、軸外光束の瞳透過率分布を等価的に中心対称に近づけるため、軸外光束の形状が中心対称に近い2面(絞りの前後)に配置した。透過率分布素子は曲率を持ったレンズ面に透過率分布を有する構成とした(即ち、透過率分布素子F1は第2レンズ面に形成され、透過率分布素子F2は最終レンズ面に形成されている)。透過率分布素子F1及びF2によって、軸上光束11から最軸外光束12までのあらゆる画角の光束に対して瞳強度分布を与え、焦点外れ像の見え方を改善している。
図6は、透過率分布素子における軸上光束と最軸外光束のビネッティングの様子を表している。図6から明らかなように、最軸外光束に口径食が見られる。最軸外光束に対しても焦点外れ像の改良効果を与えるために、実施例2の透過率分布素子F1及びF2に図14の42に対応する透過率分布を与えた。
図7は、撮像面に形成される軸上及び18mm像高となる軸外画角での焦点外れ像の強度分布を示している。焦点外れ像は、撮影光学系の焦点距離をfとしたとき、撮像面から50f離れた位置に合焦させた状態において撮像面から235f離れた物体の焦点外れ像である。図7から明らかなように、軸上画角での周辺部の強度が高いエッジの効いた焦点外れ像が、透過率分布42によって周辺部の強度が減少した良好な焦点外れ像に改善している。また、18mm像高となる軸外画角においても中央部と周辺部の強度差が減少しており、APD効果が得られている。なお、軸外光束に対する焦点外れ像の改良効果を重視し、絞り近傍に透過率分布素子を配置する構成としたため、実施例1と比較して軸外光束の焦点外れ像の見え方が改善されている。その際、軸上画角において中心付近の強度の低下は起こっていない。
以上、実施例2の透過率分布素子F1及びF2により、光量の低下を抑制しつつ焦点外れ像の見え方が改善されている。
図8は、実施例3の撮影光学系の断面図である。絞りSPより像側に透過率分布素子F1が配置されている。この場合、透過率分布素子F1は、透明ガラス平板に蒸着などによって形成することができる。この透過率分布素子F1によって、軸上光束11から最軸外光束12までのあらゆる画角の光束に対して瞳強度分布を与え、焦点外れ像の見え方を改善している。
図9は、透過率分布素子における軸上光束と最軸外光束のビネッティングの様子を表している。図9から明らかなように、最軸外光束に口径食が見られる。最軸外光束に対しても焦点外れ像の改良効果を与えるために、実施例3の透過率分布素子F1に図14の43に対応する透過率分布を与えた。
図10は、撮像面に形成される軸上及び最軸外画角での焦点外れ像の強度分布を示している。焦点外れ像は、撮影光学系の焦点距離をfとしたとき、撮像面から50f離れた位置に合焦させた状態において撮像面から90f離れた物体の焦点外れ像である。実施例3の撮影光学系では、透過率分布素子を含まない構成においても比較的良好な焦点外れ像を形成されるが、透過率分布43によって軸上及び最軸外画角の焦点外れ像の見え方がさらに改善され、周辺部の強度が緩やかに減少している。また、その際中心付近の強度の低下は起こっていない。
以上、実施例3の透過率分布素子F1により、光量の低下を抑制しつつ焦点外れ像の見え方が改善されている。
図11は、実施例4の撮影光学系の断面図である。絞りより物体側に透過率分布素子F1が、絞りより像側に透過率分布素子F2が配置されている。その際、軸外光束の瞳透過率分布を等価的に中心対称に近づけるため、軸外光束の形状が中心対称に近い2面に配置した。透過率分布素子は曲率を持ったレンズ面に透過率分布を有する構成とした。透過率分布素子F1及びF2によって、軸上光束11から最軸外光束12までのあらゆる画角の光束に対して瞳強度分布を与え、焦点外れ像の見え方を改善している。
図12は、透過率分布素子における軸上光束と最軸外光束のビネッティングの様子を表している。図12から明らかなように最軸外光束に口径食が見られる。最軸外光束に対しても焦点外れ像の改良効果を与えるために、実施例4の透過率分布素子F1及びF2に図14の44に対応する透過率分布を与えた。
図13は、撮像面に形成される軸上及び最軸外画角での焦点外れ像の強度分布を示している。焦点外れ像は、撮影光学系の焦点距離をfとしたとき、撮像面から16f離れた位置に合焦させた状態において撮像面から無限遠離れた物体の焦点外れ像である。図13から明らかなように、軸上及び最軸外画角での周辺部の強度が高いエッジの効いた焦点外れ像が、透過率分布44によって周辺部の強度が緩やかに減少した良好な焦点外れ像に改善している。また、その際軸上画角において中心付近の強度の低下は起こっていない。
以上、実施例4の透過率分布素子F1及びF2により、光量の低下を抑制しつつ焦点外れ像の見え方が改善されている。
以下に、実施例1乃至4に対応する数値実施例1乃至4を示す。各数値実施例において、rは、物体側より第i番目の面の曲率半径(mm)、dは、物体側より第i番目と第i+1番目の軸上の面間隔(mm)、ndとvdは第i番目の光学部材の屈折率とアッベ数である。焦点距離f(mm)、FナンバーFno、画角ω(度)は、それぞれ無限遠物体に焦点を合わせたときの値である。BFは、バックフォーカスであり、レンズ全長は第1面から像面までの距離を表している。また、非球面は、面番号の後に、*の符号を付加して表している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変異量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、rを近軸曲率半径、Kを円錐定数、A4、A6、A8、A10を各々非球面係数としたとき、次式で表している。
レンズ群は、一以上のレンズから構成される。レンズ群が複数のレンズから構成される場合、一つの可動レンズ群はズーミング時またはフォーカス時に一体として移動する群である。
「e±Z」の表示は「10±Z」を意味する。
(数値実施例1)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 ∞ 2.00 42.78
2 55.776 5.50 1.77250 49.6 38.04
3 359.778 2.80 36.09
4 ∞ -1.60 33.81
5 25.999 5.00 1.83481 42.7 31.97
6 42.223 1.20 29.70
7 57.641 2.00 1.64769 33.8 29.56
8 17.674 8.40 25.24
9 ∞ 0.50 1.51633 64.1 24.55
10 ∞ 0.10 24.55
11(絞り) ∞ 6.50 24.55
12 -19.386 2.00 1.80518 25.4 24.15
13 257.965 6.50 1.75700 47.8 28.14
14 -38.043 0.20 29.83
15 -71.655 4.50 1.88300 40.8 30.67
16 -30.457 -0.80 31.22
17 ∞ 1.00 30.14
18 123.258 3.00 1.80400 46.6 29.66
19 -104.699 0.00 30.02
20 ∞ 0.00 30.32
21 ∞ (可変) 30.32
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.00

焦点距離 52.46
Fナンバー 1.48
画角 22.41
像高 21.64
レンズ全長 88.50
BF 39.70

d21 39.70

入射瞳位置 30.74
射出瞳位置 -34.08
前側主点位置 45.90
後側主点位置 -12.76

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 52.46 48.80 45.90 -12.76

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 84.78
2 5 71.09
3 7 -40.14
4 9 0.00
5 12 -22.32
6 13 44.21
7 15 57.07
8 18 70.83

(数値実施例2)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 ∞ 2.00 42.78
2 57.520 5.50 1.77250 49.6 38.04
3 395.282 2.80 36.09
4 ∞ -1.60 33.81
5 25.921 5.00 1.83481 42.7 31.97
6 43.002 1.20 29.70
7 59.016 2.00 1.64769 33.8 29.56
8 17.697 9.00 25.24
9(絞り) ∞ 6.50 24.55
10 -19.448 2.00 1.80518 25.4 24.15
11 280.464 6.50 1.75700 47.8 28.14
12 -37.481 0.20 29.83
13 -74.530 4.50 1.88300 40.8 30.67
14 -30.712 -0.80 31.22
15 ∞ 1.00 30.14
16 124.396 3.00 1.80400 46.6 29.66
17 -111.454 0.00 30.02
18 ∞ 0.00 30.32
19 ∞ (可変) 30.32
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.00

焦点距離 52.50
Fナンバー 1.49
画角 22.40
像高 21.64
レンズ全長 88.49
BF 39.69

d19 39.69

入射瞳位置 30.97
射出瞳位置 -33.78
前側主点位置 45.96
後側主点位置 -12.81

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 52.50 48.80 45.96 -12.81

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 86.53
2 5 68.99
3 7 -39.78
4 10 -22.52
5 11 44.06
6 13 56.44
7 16 73.53

(数値実施例3)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 104.460 9.00 1.48749 70.2 67.53
2 -300.232 0.50 66.86
3 51.920 9.50 1.49700 81.5 59.38
4 243.875 3.00 58.00
5 -610.337 3.50 1.83400 37.2 57.41
6 93.667 2.50 53.72
7 61.059 8.00 1.49700 81.5 52.23
8 -583.753 0.50 51.39
9 29.125 3.20 1.71736 29.5 42.31
10 24.344 12.50 38.01
11(絞り) ∞ (可変) 35.56
12 -1837.096 4.50 1.84666 23.9 33.81
13 -55.859 2.00 1.72000 50.2 33.05
14 41.346 4.00 29.79
15 ∞ 0.10 29.51
16 ∞ 0.40 1.51633 64.1 29.49
17 ∞ (可変) 29.43
18 -31.045 2.50 1.74077 27.8 26.05
19 175.679 8.50 1.77250 49.6 28.90
20 -40.350 0.50 32.19
21 107.611 6.00 1.83400 37.2 35.44
22 -183.700 (可変) 36.03
像面 ∞

各種データ
ズーム比 1.00

焦点距離 133.50
Fナンバー 2.06
画角 9.21
像高 21.64
レンズ全長 155.41
BF 54.41

d11 2.47
d17 17.83
d22 54.41

入射瞳位置 74.70
射出瞳位置 -91.21
前側主点位置 85.82
後側主点位置 -79.09

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 93.66 52.20 -7.82 -43.87
2 12 -64.15 11.00 3.66 -4.30
3 18 81.23 17.50 17.37 10.16

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 160.14
2 3 130.58
3 5 -97.15
4 7 111.68
5 9 -286.91
6 12 67.97
7 13 -32.72
8 16 0.00
9 18 -35.43
10 19 43.22
11 21 82.14

(数値実施例4)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd vd 有効径
1 ∞ 1.50 54.03
2 79.773 2.00 1.60311 60.6 46.37
3 28.865 8.00 39.23
4 117.212 4.00 1.77250 49.6 37.77
5 -212.879 (可変) 36.80
6 84.814 1.50 1.48749 70.2 24.71
7 19.679 10.00 21.16
8 22.595 3.50 1.91082 35.3 14.46
9 -45.147 1.00 1.73800 32.3 13.37
10 26.917 3.50 12.87
11(絞り) ∞ (可変) 12.80
12 111.141 1.50 1.72916 54.7 12.69
13 -73.101 (可変) 12.63
14 -13.184 1.50 1.74000 28.3 12.65
15 -132.829 4.50 1.69680 55.5 15.15
16 -17.844 0.80 17.62
17* -53.671 3.20 1.58313 59.4 19.54
18 -18.948 0.00 20.58
19 ∞ (可変) 22.26
像面 ∞

非球面データ
第17面
K = 0.00000e+000 A 4=-2.50000e-005 A 6= 4.20000e-008 A 8=-6.00000e-010
A10= 2.00000e-012

各種データ
ズーム比 1.00

焦点距離 28.50
Fナンバー 2.85
画角 37.20
像高 21.64
レンズ全長 99.00
BF 38.00

d 5 7.00
d11 4.00
d13 3.50
d19 38.00

入射瞳位置 28.63
射出瞳位置 -29.20
前側主点位置 45.04
後側主点位置 9.50

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長 前側主点位置 後側主点位置
1 1 -528.68 15.50 -39.98 -57.63
2 6 374.88 19.50 48.86 38.18
3 12 60.69 1.50 0.53 -0.35
4 14 61.47 10.00 17.07 15.27

単レンズデータ
レンズ 始面 焦点距離
1 1 -76.12
2 4 98.37
3 6 -52.96
4 8 16.95
5 9 -22.72
6 12 60.69
7 14 -19.88
8 15 29.12
9 17 48.58
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
表1に、各数値実施例について、透過率分布素子の中心から径方向に離れた距離が透過率分布素子の有効径の5割の値になる位置での透過率T(0.5)に相当する数値を示す。表2に、各数値実施例について、条件式(2)〜(5)に相当する数値を示す。表3に、各数値実施例について、条件式(3)の上限値及び下限値に相当する数値を示す。
本発明の光学系は、カメラ、顕微鏡、投射型表示装置などの光学機器に適用することができる。
SP…絞り、F1、F2…透過率分布素子(光学素子)、20…有効径、O…中心位置、P1…最軸外光束の端点、P2…最軸外光束の上端、P3…最軸外光束の下端

Claims (9)

  1. 複数のレンズと、光量を調節する絞りと、透過率分布を有する光学素子と、を有する光学系であって、
    前記光学素子の光軸から径方向における距離をr、前記光軸から前記光学素子の透過率が最大値の9割の値となる位置までの径方向における距離をr、距離rの位置での前記透過率をT(r)、前記透過率の最大値をT、前記光学素子の有効径をr、とするとき、
    <rの領域では、前記光軸から径方向に離れるに従って前記透過率が減少し、
    0≦r≦rの領域では、
    0.9≦T(r)/T
    0.5≦r/r
    なる条件を満たすことを特徴とする光学系。
  2. 前記絞りを最も開いた際に、前記光軸から前記透過率の最大値の5割の値となる位置までの径方向における距離をr、前記光学素子における最軸外光束の入射領域の端点をP1、前記入射領域の上端、下端をP2、P3、OPiを前記光軸に垂直な平面に射影された前記光軸からPi(i=1,2,3)に対応する点との間の距離とすると、
    (OP2+OP3)/2r≦r/r≦OP1/r
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
  3. 無限遠にフォーカスした際に、前記光学系の焦点距離をf、開放F値をFnoとすると、
    10mm≦f/Fno≦70mm
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系。
  4. 前記光学系の半画角をωとすると、
    9°≦ω≦45°
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の光学系。
  5. 430nm以上700nm以下の波長域における前記透過率の最大値をTmax、前記透過率の最小値をTminとすると、
    {(Tmax−Tmin)/Tmax}×100(%)≦20%
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の光学系。
  6. 前記光学素子は、前記絞りの近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の光学系。
  7. 前記光学素子は、前記絞りの前後に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の光学系。
  8. 請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の光学系を有することを特徴とする光学機器。
  9. 透過率分布を有する光学素子であって、
    前記光学素子の光軸から径方向における距離をr、前記光軸から前記光学素子の透過率が最大値の9割の値となる位置までの径方向における距離をr、距離rの位置での前記透過率をT(r)、前記透過率の最大値をT、前記光学素子の有効径をr、とするとき、
    <rの領域では、前記光軸から径方向に離れるに従って前記透過率が減少し、
    0≦r≦rの領域では、
    0.9≦T(r)/T
    0.5≦r/r
    なる条件を満たすことを特徴とする光学素子。
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