JP2016142573A - 化学除染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な除染効果が得られるとともに、コストの低廉な化学除染方法を提供する。【解決手段】除染対象物を浸漬した処理水Wに、過マンガン酸イオンを含む酸化剤を添加することで除染対象物からクロムを酸化溶出させる第一添加工程S11、及び、該第一添加工程S11の後に、処理水Wにアルカリ化剤を添加することでpHをアルカリ側に変化させる第二添加工程S12を有する酸化工程S10と、該酸化工程S10の後に、処理水W中に有機酸を添加することで除染対象物からに鉄及びニッケルを還元溶出させる還元工程S20と、を含む化学除染方法M1。【選択図】図2

Description

本発明は、化学除染方法に関する。
原子力プラントでは、運用中のメンテナンス作業や、廃炉時の解体作業に際して、機器・配管等に付着した放射性物質を除去する除染作業が行われる。特に、原子力プラントの系統を構成する配管部材(主としてステンレス鋼及びインコネルを含む)は、運用中に高温高圧の環境下に曝されることから、表面に酸化被膜が形成され、被膜中に放射性物質が取り込まれる。この酸化被膜を除去し、部材を除染する方法として、化学除染と呼ばれる方法が知られている。
化学除染の代表的な例としては、還元反応を利用して除染対象物の表面に形成された鉄及びニッケルを含む酸化被膜を溶解除去するプロセスと、酸化反応を利用してクロムを含む酸化被膜を溶解除去するプロセスの併用が実用化されている。具体的には、上記の酸化剤として過マンガン酸を用いるHP法が知られている。このHP法を改良した除染方法の一例として、下記特許文献1に記載された技術が挙げられる。
特許文献1に記載された化学除染方法、及び除染装置は、酸化剤として過マンガン酸と四価セリウムを用いるとともに、還元剤としてシュウ酸を用いることで、主にクロムと鉄とを含む合金(ステンレス合金)で構成された除染対象部位に対する良好な除染効果が得られるとしている。
なお、原子力プラントにおける各種機器・配管には、上記のステンレス合金に加えて、ニッケルを主とするインコネル等のニッケル基合金が多用されている。この場合、特許文献1に代表されるHP法による除染では、ステンレス鋼と比較して除染効果が十分に得られない可能性がある。
他方で、過マンガン酸カリウムを酸化剤中に添加し、アルカリ溶液を用いて除染環境をアルカリ側に設定することで、ニッケル基合金の酸化被膜に対する除染効果を得る技術(例えばAP法)も実機に適用されている。これらの複数の技術(HP法、AP法)を用いた工程を交互に繰り返すことで、ステンレス鋼とニッケル基合金の双方に対する除染効果が期待できるとされている。
特開2013−88213号公報
過マンガン酸カリウムを酸化剤として用いる場合、処理水中に電離したカリウムイオンが二次廃棄物として多量に発生してしまう。一方で、過マンガン酸は過マンガン酸カリウムよりも高価である問題があり、上記のようにHP法とAP法を繰り返し適用する事は工程遅延、二次廃棄物の増加及びコスト増加を伴う可能性がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、十分な除染効果が得られるとともに、コストの低廉な化学除染方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の一態様に係る化学除染方法は、除染対象物を浸漬した処理水に、過マンガン酸イオンを含む酸化剤を添加することで前記除染対象物(主としてステンレス鋼)からクロムを酸化溶出させる第一添加工程、及び、該第一添加工程の後に、前記処理水にアルカリ化剤を添加することでpHをアルカリ側に変化させ、ニッケル基合金からのクロム溶出を期待する第二添加工程を有する酸化工程と、該酸化工程の後に、前記処理水中に有機酸を添加することで前記除染対象物からに鉄及びニッケルの酸化物を還元溶出させる還元工程を含む。
上述のような方法によれば、酸化工程における第一添加工程では、除染対象物(主としてステンレス鋼)に含まれるクロムが処理水中に酸化溶出する。さらに、第二添加工程において、処理水に対してアルカリ化剤が添加されることで、処理水のpHがアルカリ側に変化する事でニッケル基合金のクロムの溶解を促進させる。その後の還元工程では、処理水中に還元剤として作用する有機酸が添加されることで、除染対象物から鉄及びニッケルの酸化物が還元溶出する。すなわち、処理水の入れ替えをすることなく、除染対象物(ステンレス鋼及びニッケル基合金)におけるクロム、鉄、ニッケルをそれぞれ溶出させることができる。これにより、作業時間を短縮することができる。
本発明の一態様に係る化学除染方法では、前記酸化工程は、前記第一添加工程の後で、前記処理水に含まれるクロムイオン濃度の時間変化率が予め定められた基準値以下にあるか否かを判定する判定工程を含み、前記判定工程で、前記時間変化率が前記基準値以下にあると判定された場合に、前記還元工程を実行してもよい。
ここで、処理水中に含まれるクロムイオン濃度の時間変化率は、次第に小さくなった後、最終的におおむね一定の値となる。このとき、除染対象物に含まれるクロムの酸化溶出が十分に進行したものとみなすことができる。
上述の方法では、このクロムイオン濃度の時間変化率が、基準値以下にあることを判定した後に還元工程が実行される。これにより、酸化工程における除染対象物からのクロムの溶出が不十分なまま、還元工程に進んでしまう可能性を低減することができる。
本発明の一態様に係る化学除染方法において、前記第二添加工程では、前記処理水のpHが10以上12以下になるまで前記アルカリ化剤を添加してもよい。
上述のような方法によれば、第二添加工程を経た後の処理水のpHが10以上12以下であることから、鉄及びニッケルを処理水中に十分に還元溶出させることができるとともに、二次廃棄物の発生量を低減することができる。
本発明の一態様に係る化学除染方法では、前記アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムの少なくとも一方を含んでいてもよい。
上述のような方法によれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが強塩基であることに加えて、水に対する溶解度が比較的に高いことから、処理水のpHを短時間で十分にアルカリ側に変化させることができる。
本発明の一態様に係る化学除染方法では、前記除染対象物は、SUS、及びインコネルを含んでもよい。
上述の各態様に係る化学除染方法では、SUSに含まれるクロムと、インコネルに含まれる鉄及びニッケルとを、処理水中に十分に溶出させることができる。これにより、除染対象物がSUS及びインコネルを含む場合であっても、十分な除染効果を得ることができる。
本発明によれば、十分な除染効果が得られるとともに、コストの低廉な化学除染方法を提供することができる。
本発明の各実施形態に係る化学除染方法が適用される原子力設備の一例を示す系統図である。 本発明の第一実施形態、及び第三実施形態に係る化学除染方法の一例を示す工程図である。 本発明の第二実施形態に係る化学除染方法の一例を示す工程図である。 本発明の各実施形態に係る化学除染方法による除染性能を示すグラフである。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態の対象となる除染対象物Zについて説明する。
本実施形態の対象となる除染対象物Zは、原子力プラントを構成する配管、容器、各種機器等の部品であって、炉水が接触する部品である。
ここで、原子力プラントとしては、例えば、図1に示すように、加圧水型原子炉50を備える原子力発電プラントPがある。
この原子力発電プラントPは、燃料棒51等が収納される加圧水型原子炉50と、加圧水型原子炉50内の一次冷却水(軽水)の沸騰を抑えるために一次冷却水を加圧する加圧器52と、一次冷却水の熱により二次冷却水を蒸気にする蒸気発生器53と、蒸気発生器53からの一次冷却水を加圧水型原子炉50に戻す冷却材ポンプ54と、蒸気発生器53で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン56と、蒸気タービン56の駆動で発電する発電機57と、蒸気タービン56からの蒸気を水に戻す復水器58と、復水器58からの水を蒸気発生器53に戻す給水ポンプ59と、を備えている。
この加圧水型原子炉50と蒸気発生器53とは一次冷却水配管55a、55bで接続され、蒸気発生器53と蒸気タービン56とは蒸気配管55cで接続され、復水器58と蒸気タービン56とは給水配管55dで接続されている。
このように構成された原子力発電プラントPにおいて、炉水、即ち一次冷却水に接する部材である一次冷却系部材(以下、「除染対象物Z」と称する。)としては、加圧水型原子炉50、加圧器52、蒸気発生器53、冷却材ポンプ54、これらを接続する一次冷却水配管55a、55b、この一次冷却水配管55a、55b等に設けられている各種弁等がある。これら除染対象物Zは、鉄を主成分としてクロムやニッケルを含むステンレス鋼やニッケル基合金であるインコネル等で形成されている。
この除染対象物Zを構成する金属元素は、わずかに炉水に溶出して、一部が加圧水型原子炉50内の燃料棒51表面に付着する。該燃料棒51の表面に付着した金属元素は、燃料から中性子線が照射させることにより、原子核反応を起こして、クロム、ニッケル、コバルト等の放射性核種となる。これら放射性核種は、大部分が酸化物の形態で燃料棒51表面に付着したままであるが、その一部が炉水中に溶出されたり、不溶性固体として放出されたりする。炉水中に溶出又は放出された放射性核種は、除染対象物Zの炉水接触面に付着し、この炉水接触面に鉄を主成分とする酸化皮膜を形成する。このため、除染対象物Z近傍で作業する作業員は、部品に形成された酸化皮膜中の放射性核種からの放射線に晒されることになる。
本実施形態は、上記で説明した原子力発電プラントPの系統除染に関するもので、除染対象物Zである配管等の内部で化学溶液である処理水Wを循環させながら、除染対象物Zの内表面に付着している放射性核種を含んだ酸化被膜を除去して廃棄する化学除染方法M1である。
図2に示すように、本発明の第一実施形態に係る化学除染方法M1は、クロムを処理水W中に酸化溶出させる酸化工程S10と、鉄及びニッケルを還元溶出させる還元工程S20と、を含む。
まず、酸化工程S10を実行する。本実施形態に係る酸化工程S10は、第一添加工程S11と、測定工程S13と、判定工程S14と、第二添加工程S12と、を含んでいる。
第一添加工程S11では、処理水Wに酸化剤を添加し、除染対象物Z内部に酸化剤を添加した処理水Wを供給し循環させる。本実施形態では、酸化剤として過マンガン酸を添加する。第一添加工程S11では、除染対象物Z内部に過マンガン酸を添加した処理水Wを循環させることで、ステンレス鋼やニッケル基合金を含む除染対象物Zに付着した酸化被膜中のクロムが六価のクロムイオンとして酸化溶出する。その結果、第一添加工程S11では、この放射性核種であるクロムを含有する一次処理水W1が生成される。
なお、具体的には、この第一添加工程で処理水Wに添加される過マンガン酸(酸化剤)の濃度は、50〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは150〜300ppmとされる。さらに、処理水Wの温度は80〜150℃に維持されることが好ましく、90〜100℃がさらに好ましい。最も好ましくは、処理水Wは95℃に維持される。加えて、本実施形態では、この第一添加工程は、8〜12時間にわたって実行されることが好ましい。しかしながら、除染対象物Zにおける酸化被膜の厚さによっては、最長で24時間程度にわたって第一添加工程を実行することも可能である。
続いて、第二添加工程S12を実行する。第二添加工程S12では、一次処理水W1中にアルカリ化剤が添加される。このアルカリ化剤は、具体的には水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウムのいずれか一方、若しくはこれらを両方含む薬液である。このようなアルカリ化剤を添加することにより、上記の一次処理水W1のpHがアルカリ側に変化し、二次処理水W2となる。
この二次処理水W2中では、上記の第一添加工程で溶出し切れなかったクロムの溶出がさらに進行する。すなわち、上記の第一添加工程S11と、第二添加工程S12とを実行することにより、除染対象物Z中に含まれるクロムが十分に溶出される。以上により、酸化工程S10が完了する。
なお、本実施形態では、この二次処理水W2におけるpHの値が、10以上12以下となるまで、上記アルカリ化剤が添加されることが好ましい。さらに、二次処理水W2のpH値としては、10以上11以下がより好ましく、10.5が最も好ましい。
次に、還元工程S20を実行する。このとき、二次処理水W2は、上記の酸化工程S10における第二添加工程S12を経て、アルカリ性となっている。この二次処理水W2に、有機酸として例えばシュウ酸が添加される。これにより、二次処理水W2中では、除染対象物Z中に含まれる鉄及びニッケルの酸化物が、鉄イオン又はニッケルイオンとして還元溶出する。その結果、この還元工程S20では、放射性核種である鉄及びニッケルを含有する三次処理水W3が生成される。以上により、還元工程S20が完了する。
なお、上記の還元工程S20に続いて、下記に示すような除去工程S30を実行することが望ましい。除去工程S30では、例えばイオン交換樹脂を用いて、上記の三次処理水W3中に含まれるクロム、鉄、ニッケル等の放射性核種や、これら放射性核種で汚染された過マンガン酸等のイオンを除去することで除染を行う。除染された三次処理水W3は、再び処理水Wとして次サイクル以降で利用することができる。
次に、上記の実施形態による化学除染方法M1の作用について説明する。
上述のような化学除染方法M1によれば、酸化工程S10(第一添加工程S11)において、酸化剤としての過マンガン酸が処理水Wに添加されることで、酸性の一次処理水W1が生成される。この一次処理水W1により、除染対象物Z中に含まれるクロムが、六価のクロムイオンとして酸化溶出する。
さらに、後続の第二添加工程S12では、処理水に対してアルカリ化剤が添加されることで、一次処理水W1のpHはアルカリ側に変化し、二次処理水W2となる。これにより、第一添加工程で溶出し切れなかったクロムの溶出が進行する。すなわち、上記の第一添加工程S11と、第二添加工程S12とを実行することにより、除染対象物Z中に含まれるクロムが十分に溶出される。
後続の還元工程S20では、この二次処理水W2に有機酸としてのシュウ酸が添加されて、上記の還元反応が進行する。この還元反応により、除染対象物Z中に含まれる鉄及びニッケルの酸化物が還元溶出される。このように、本実施形態に係る化学除染方法M1では、処理水の入れ替え作業をせずとも、クロム、鉄、及びニッケルをいずれも溶出させることができる。これにより、作業工数及び作業コストを削減することが可能となる。
ここで、上述の化学除染方法M1、及び従来の除染方法における、作業工数(除染サイクル数)と、インコネルに対する除染性能(DF)との関係を示すグラフを図4に示す。このグラフでは、除染サイクル数を横軸とし、除染性能を縦軸としている。さらに、同図中における実線グラフは、本実施形態に係る化学除染方法M1による除染性能を表している。一点鎖線グラフは、酸化剤として過マンガン酸と過マンガン酸カリウムとを用いて交互に除染を行った場合の除染性能を表している。二点鎖線グラフは、酸化剤として過マンガン酸を単独で用いた場合の除染性能を表している。
同図における実線グラフ及び一点鎖線グラフが示すように、本実施形態に係る化学除染方法M1によれば、任意の除染サイクル数において、酸化剤として過マンガン酸と過マンガン酸カリウムとを用いた場合と同等の除染性能を得ることができる。
特に、従来知られている除染方法では、ステンレス鋼のクロム酸化物の溶解を対象とする酸化工程(HP法)と、鉄及びニッケルの酸化物の溶解を対象とする還元工程を経て、次にインコネルのクロム酸化物の溶解を期待する酸化工程(AP法)及び還元工程とを交互に繰り返す。しかしながら、本実施形態に係る化学除染方法M1では、上記のように従来よりも少ないサイクル数で、目標とする除染性能Ftを達成することが可能となる。
さらに、上記の化学除染方法M1における第二添加工程S12では、二次処理水W2のpHが10以上12以下になるまでアルカリ化剤が添加される。これにより、鉄及びニッケルを二次処理水W2中に十分に還元溶出させることができるとともに、二次廃棄物の発生量を低減することができる。すなわち、後続の除去工程S30で用いられるイオン交換樹脂の処理負荷を軽減することができる。
加えて、この第二添加工程S12では、アルカリ化剤として、強塩基である水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうち少なくとも一方が採用される。これら化学種はいずれも強い塩基性を示すことに加えて、水に対する溶解度が比較的に高いことから、処理水WのpHを短時間で十分にアルカリ側に変化させることができる。なお、このアルカリ化剤は、水酸化ナトリウムと、水酸化カリウムの両方を含んでいてもよい。
以上、本発明の第一実施形態に係る化学除染方法M1について説明した。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、除染対象物Zとして、原子力発電プラントP中における一時冷却系部材等の配管中で処理水Wを循環させる例について説明した。しかしながら、除染対象物Zの態様は上記に限定されない。処理水Wを貯留した容器(プール)内に、上記の原子力発電プラントP等の解体によって生じた部品等を除染対象物Zとして浸漬することで化学除染を行う場合にも、上記の化学除染方法M1を適用することが可能である。
[第二実施形態]
続いて、本発明の第二実施形態に係る化学除染方法M2について、図3を参照して説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成、工程については詳細な説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態に係る化学除染方法M2は、クロムを処理水W中に酸化溶出させる酸化工程S10中において、第一添加工程S11の後でそれぞれ実行される測定工程S13と、判定工程S14と、を含む。
測定工程S13では、一次処理水W1中に含まれる上記クロムイオン濃度の時間変化率Vが求められる。クロムイオン濃度の時間変化率Vを求める方法の一例を以下に説明する。
まず、一定の測定間隔を空けて、複数回(n回)にわたって一次処理水W1中におけるクロムイオン濃度が測定される。これにより、クロムイオン濃度として複数(n個)の測定値が取得される。これらn個の測定値のうち、n個目の測定値と、n−1個目の測定値との差分と、上記の測定間隔(時間)との商を算出することにより、クロムイオン濃度の時間変化率Vが求められる。
次に、判定工程S14を実行する。判定工程S14では、上記のクロムイオン濃度の時間変化率Vと、予め定められた基準値Vcとの比較が行われる。具体的には、上記の測定工程S13において算出されたクロムイオン濃度の時間変化率Vが、基準値Vc以下であるか否かが判定される。なお、この基準値Vcは、実験や運用実績等に基づいて予め定められることが望ましい。
上記の判定工程で、クロムイオン濃度の時間変化率Vが、基準値Vc以下であると判定された場合には、上述の第一実施形態と同様に、第二添加工程S12を実行する。第二添加工程S12では、一次処理水W1中にアルカリ化剤が添加される。これにより、上記の一次処理水W1のpHがアルカリ側に変化し、二次処理水W2となる。
一方で、判定工程で、クロムイオン濃度の時間変化率Vが、基準値Vc以下ではないと判定された場合には、クロムの酸化溶出が依然として進行していると判断できることから、再び第一添加工程S11と、測定工程S13とが実行される(図3)。
以上により、酸化工程S10が完了する。
以上説明したように、本実施形態に係る化学除染方法M2は、一次処理水W1に含まれるクロムイオン濃度の時間変化率Vが予め定められた基準値Vc以下にあるか否かを判定する判定工程S14を含む。この判定工程S14で、時間変化率が基準値Vc以下にあると判定された場合に、後続の第二添加工程S12、及び還元工程S20が実行される。
ここで、処理水W中に含まれるクロムイオン濃度の時間変化率Vは、次第に減少しながら、最終的にはおおむね一定の値となる。このとき、除染対象物Zに含まれるクロムの酸化溶出が十分に進行したものとみなすことができる。上述の判定工程S14では、このクロムイオン濃度の時間変化率Vが、基準値Vc以下にあることを判定した後に還元工程S20が実行される。これにより、酸化工程S10における除染対象物Zからのクロムの溶出が不十分なまま、還元工程S20に進んでしまう可能性を低減することができる。言い換えると、上記の方法によれば、除染対象物Z中からクロムを十分に溶出させることができる。
[第三実施形態]
続いて、本発明の第三実施形態について説明する。なお、上述の第一実施形態と同様の構成、工程については詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る化学除染方法M3は、図2に示した化学除染方法M1と同様の各工程を含む。すなわち、この化学除染方法M3は、クロムを処理水W中に酸化溶出させる酸化工程S10と、鉄及びニッケルを還元溶出させる還元工程S20と、を含む。ここで、本実施形態では、上記の酸化工程S10で処理水Wに添加される酸化剤として、過マンガン酸カリウム、及び硝酸を含む溶液が用いられる点で、上記の化学除染方法M1とは異なっている。これにより、上記の一次処理水W1と同様の化学特性(pH等)を得ることができる。
このような方法によっても、上述の第一実施形態に係る化学除染方法M1と同等の除染効果を得ることができる。加えて、本実施形態で酸化剤として用いられる過マンガン酸カリウムは、上記の第一実施形態で説明した過マンガン酸に比して一般的に安価であることから、本実施形態に係る化学除染方法M3によれば、除染作業に要する作業コストをさらに低減することができる。
P…原子力発電プラント 51…燃料棒 50…加圧水型原子炉 52…加圧器 53…蒸気発生器 54…冷却材ポンプ 56…蒸気タービン 57…発電機 58…復水器 59…給水ポンプ 55a、55b…一次冷却水配管 55c…蒸気配管 55d…給水配管 M1,M2,M3…化学除染方法 S10…酸化工程 S11…第一添加工程 S12…第二添加工程 S13…測定工程 S14…判定工程 S20…還元工程 S30…除去工程 V…クロムイオン濃度の時間変化率 Vc…基準値 W…処理水 W1…一次処理水 W2…二次処理水 W3…三次処理水 Z…除染対象物

Claims (5)

  1. 除染対象物を浸漬した処理水に、過マンガン酸イオンを含む酸化剤を添加することで前記除染対象物からクロムを酸化溶出させる第一添加工程、及び、該第一添加工程の後に、前記処理水にアルカリ化剤を添加することでpHをアルカリ側に変化させる第二添加工程を有する酸化工程と、
    該酸化工程の後に、前記処理水中に有機酸を添加することで前記除染対象物からに鉄及びニッケルを還元溶出させる還元工程と、
    を含む化学除染方法。
  2. 前記酸化工程は、
    前記第一添加工程の後で、前記処理水に含まれるクロムイオン濃度の時間変化率が予め定められた基準値以下にあるか否かを判定する判定工程を含み、
    前記判定工程で、前記時間変化率が前記基準値以下であると判定された場合に、前記還元工程を実行する請求項1に記載の化学除染方法。
  3. 前記第二添加工程では、前記処理水のpHが10以上12以下になるまで前記アルカリ化剤を添加する請求項1又は2に記載の化学除染方法。
  4. 前記アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムの少なくとも一方を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の化学除染方法。
  5. 前記除染対象物は、SUS及びインコネルを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の化学除染方法。
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