JP7324686B2 - 化学除染方法 - Google Patents
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Description
本開示の第一態様に係る化学除染方法は、ニッケル基合金を含む部材を有する原子力プラントの系統に対して、炭酸を含む処理水によって化学除染を行う化学除染方法であって、前記処理水をタンクに保持して前記処理水中の炭酸を低減する工程を有し、前記炭酸を低減する工程は、前記タンク中の前記処理水を目標とするpHとするために必要なアルカリ金属の水酸化物の添加量である目標添加量を取得する工程と、前記目標添加量を取得して一定の時間が経過した後に、前記タンク中の前記処理水に対する前記目標添加量を再度取得する工程と、再度取得された前記目標添加量と、前記目標添加量を再度取得する工程に対して前記一定の時間経過前に取得された前記目標添加量との差分が予め定めた基準値を下回っているか否かを判定する工程とを含む。
(除染対象物)
以下、本開示に係る第一実施形態について図1から図4を参照して説明する。
まず、化学除染方法S1の対象となる除染対象物Zについて説明する。化学除染の対象となる除染対象物Zは、原子力プラントの系統を構成する配管、容器、各種機器等の部品であって、炉水が接触する部品である。
化学除染方法S1は、上記で説明した原子力発電プラントPを廃止する際等に行われる系統除染に関するものである。化学除染方法S1では、除染対象物Zである配管等の内部で化学溶液である処理水を循環させる。これにより、除染対象物Zの内表面に付着している放射性核種を含んだ酸化被膜を除去して廃棄している。化学除染方法S1は、図2に示すように、酸化工程S2と、還元工程S3と、除染工程S4と、分解工程S5と、炭酸低減工程S6と、浄化工程S7と、を含んでいる。化学除染方法S1は、酸化工程S2と、還元工程S3と、除染工程S4と、分解工程S5と、炭酸低減工程S6と、浄化工程S7とを一サイクルとして、複数サイクル実施される。
上記のような化学除染方法S1によれば、炭酸が含まれた状態の処理水に対して水酸化ナトリウムの目標添加量が一定の時間を空けて複数回にわたって取得される。そして、基準値判定工程S65によって、一定の時間を経過する前後での目標添加量の差分が基準値を下回っているか否かが判定されている。そのため、目標添加量の差分が基準値を下回った場合には、時間経過に伴う処理水の炭酸の濃度の変化量が小さくなっていることがわかる。つまり、処理水の炭酸の濃度がほとんど変化しておらず、処理水中から炭酸が抜け出たことが判定できる。したがって、処理水中の炭酸の除去状況を高い精度で把握することができる。これにより、炭酸の影響を最小限に抑えることができ、処理水のpHを調整するために添加するpH調整剤の量も低減することができる。その結果、余剰水やイオン交換樹脂等の最終的に出される放射性廃棄物の量を抑えることができる。
次に、本発明の炭酸低減工程の第二実施形態について、図5を参照して説明する。第二実施形態で示す炭酸低減工程は、ホウ酸の影響を考慮している点が第一実施形態と異なっている。したがって、第二実施形態の説明においては、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに重複説明を省略する。
このような方法によれば、炭酸だけでなく、pHの調整に及ぼす処理水中のホウ酸の影響を定量化することができる。したがって、処理水から自然に抜け出ないホウ酸が処理水に含まれていたとしても、処理水を所望のpHに安定して調整することができる。
次に、本発明の炭酸低減工程の第三実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。第三実施形態で示す炭酸低減工程は、評価滴定工程を実施する点が第二実施形態と異なっている。したがって、第三実施形態の説明においては、第一実施形態及び第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに重複説明を省略する。
このような方法によれば、評価滴定工程S68によって、サンプリングした時点で処理水中に炭酸が残留しているか否かを確認することができる。評価滴定工程S68を実施しない場合には、処理水中に炭酸が残留していなくとも、複数回にわたってサンプリングを実施して目標添加量を取得して差分を判定して炭酸が抜けているか否かを確認する必要がある。つまり、実際には処理水中に炭酸が残留していなくとも、時間をかけて判定する必要がある。しかしながら、評価滴定工程S68によってサンプリングした時点での処理水中に、炭酸が残留していないことが判定できる。そのため、炭酸低減工程S6Bを実施する時間を短縮できる。したがって、高い精度で効率良く処理水中の炭酸の除去状況を把握することができる。
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本開示の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
各実施形態に記載の化学除染方法S1は、例えば以下のように把握される。
P 原子力発電プラント
51 燃料棒
50 加圧水型原子炉
52 加圧器
53 蒸気発生器
54 一次冷却材ポンプ
56 蒸気タービン
57 発電機
58 復水器
59 給水ポンプ
55a、55b 一次冷却水配管
55b 一次冷却水配管
55c 蒸気配管
55d 給水配管
S1 化学除染方法
S2 酸化工程
S3 還元工程
S4 除染工程
S5 分解工程
S6、S6A、S6B 炭酸低減工程
S7 浄化工程
10 バッファタンク
20 除去部
30 制御部
S61 低減開始工程
S62 時間判定工程
S63、S630 目標添加量取得工程
S64 取得回数判定工程
S65 基準値判定工程
S66 低減終了工程
S67 ホウ酸測定工程
S68 評価滴定工程
S681 対象pH取得工程
S682 超過pH調整工程
S683 第一滴定目標添加量取得工程
S684 対象pH調整工程
S685 第二滴定目標添加量取得工程
S686 滴定判定工程
Claims (4)
- ニッケル基合金を含む部材を有する原子力プラントの系統に対して、炭酸を含む処理水によって化学除染を行う化学除染方法であって、
前記処理水をタンクに保持して前記処理水中の炭酸を低減する工程を有し、
前記炭酸を低減する工程は、
前記タンク中の前記処理水を目標とするpHとするために必要なアルカリ金属の水酸化物の添加量である目標添加量を取得する工程と、
前記目標添加量を取得して一定の時間が経過した後に、前記タンク中の前記処理水に対する前記目標添加量を再度取得する工程と、
再度取得された前記目標添加量と、前記目標添加量を再度取得する工程に対して前記一定の時間経過前に取得された前記目標添加量との差分が予め定めた基準値を下回っているか否かを判定する工程とを含む化学除染方法。 - 前記判定する工程で基準値を上回っていると判定した場合に、前記タンク中の前記処理水に対する前記目標添加量を再度取得する請求項1に記載の化学除染方法。
- 前記炭酸を低減する工程は、前記処理水中のホウ酸の濃度をホウ酸測定値として取得する工程を更に含み、
前記目標添加量は、前記ホウ酸測定値に基づいて取得される請求項1又は2に記載の化学除染方法。 - 前記タンクから前記処理水をサンプリングして、サンプリングした前記処理水のpHの値を対象pHとして取得する工程と、
前記目標pHよりも大きな値である超過pHとなるように、サンプリングした前記処理水に前記アルカリ金属の水酸化物を用いてpH調整する工程と、
前記目標pHとなるように前記超過pHとなった前記処理水に硫酸を用いて滴定し、滴定された前記硫酸の添加量と、前記超過pHとなるように添加された前記アルカリ金属の水酸化物の添加量とに基づいて前記目標添加量を算出し、第一滴定目標添加量として取得する工程と、
前記第一滴定目標添加量を取得後に、前記対象pHとなるように前記目標pHとなった前記処理水に前記硫酸を用いて滴定する工程と、
前記目標pHとなるように前記対象pHとなった前記処理水に前記アルカリ金属の水酸化物を用いてpH調整し、添加された前記アルカリ金属の水酸化物の添加量と前記対象pHとなるように滴定された前記硫酸の添加量とに基づいて前記目標添加量を算出し、第二滴定目標添加量として取得する工程と、
前記第一滴定目標添加量と、前記第二滴定目標添加量との差分が予め定めた判定値を下回っているか否かを判定する工程とを含む請求項1から3の何れか一項に記載の化学除染方法。
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