JP2019066226A - 化学除染方法及び化学除染システム - Google Patents

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Abstract

【課題】オゾンを用いて、二次廃棄物量を低減させつつ、除染対象物への影響を抑えながら化学除染を実施する。【解決手段】化学除染方法S1は、ステンレス鋼及びニッケル基合金を含む除染対象物が接触する処理水にオゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水を供給することにより、前記除染対象物からクロムを酸化溶出させる酸化工程S2と、酸化工程S2の後に、前記処理水に有機酸を添加することで前記除染対象物から鉄、ニッケル、及びコバルトを溶出させる除染工程S3と、除染工程S3の後に、前記処理水中に溶出した前記クロム、前記鉄、前記ニッケル、及び前記コバルトを含む放射性核種を除去する除去工程S5と、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、化学除染方法及び化学除染システムに関する。
原子力プラントでは、運用中のメンテナンス作業や、廃炉時の解体作業に際して、機器・配管等に付着した放射性核種を除去する除染作業が行われる。特に、原子力プラントの系統を構成する配管部材(主としてステンレス鋼及びインコネルを含む)は、運用中に高温高圧の環境下に曝されることから、表面に酸化被膜が形成され、被膜中に放射性核種が取り込まれる。この酸化被膜を除去し、部材を除染する方法として、化学除染と呼ばれる方法が知られている。
化学除染方法としては、以下に示す技術が知られている。部材を過マンガン酸等の酸化剤が添加された水溶液中に接触させて、該部材の表面に付着した酸化被膜に含まれるクロム系酸化物中のクロムを酸化溶出させる。次に、シュウ酸等の有機酸を水溶液に添加して、酸化被膜の主要成分である鉄系酸化物中の鉄やニッケルを溶出させる。このとき、コバルト等の放射性核種も同時に溶出される。そして、化学除染方法では、放射性核種が溶出された水溶液をイオン交換樹脂に接触させて、酸化皮膜とともに放射性物質を除去している。
また、別の化学除染方法として、例えば、特許文献1に記載の化学除染方法では、オゾンが含まれたオゾン水溶液の酸化力により、酸化被膜を酸化溶解させている。オゾンを利用することで、過マンガン酸等の酸化剤を使用する必要が無くなり、酸化剤に起因するイオン交換樹脂等の二次廃棄物の発生量を低減することができる。また、この化学除染方法では、pH5以下の酸性の水溶液にオゾンガスを接触させたオゾン水溶液が用いられている。これにより、酸化被膜の酸化溶解性能が向上されている。
特開2000−81498号公報
しかしながら、pH5以下の酸性の水溶液を用いた場合、除染対象物である配管部材等の母材表面の腐食減肉が発生し、場合によっては機器の健全性を損なう可能性がある。さらに、母材表面の腐食減肉を防止するための添加剤を添加した場合には、使用済みのイオン交換樹脂の発生量が増加する。その結果、酸化剤を使用しないことで低減させた二次廃棄物が増加してしまう可能性がある。そのため、除染対象物への影響を抑えながら、二次廃棄物量を低減させて化学除染を実施することが望まれている。
本発明は、上記要望に応えるためになされたものであって、オゾンを用いて、二次廃棄物量を低減させつつ、除染対象物への影響を抑えながら化学除染を実施することが可能な化学除染方法及び化学除染システムを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る化学除染方法は、ステンレス鋼及びニッケル基合金を含む除染対象物が接触する処理水にオゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水を供給することにより、前記除染対象物からクロムを酸化溶出させる酸化工程と、該酸化工程の後に、前記処理水に有機酸を添加することで前記除染対象物から鉄、ニッケル、及びコバルトを溶出させる除染工程と、該除染工程の後に、前記処理水中に溶出した前記クロム、前記鉄、前記ニッケル、及び前記コバルトを含む放射性核種を除去する除去工程と、を含む。
このような構成によれば、オゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水が供給されることで処理水中のオゾン濃度が上昇する。その結果、処理水のpHによらずに、オゾンによる酸化溶解効果を高めることができる。そのため、処理水のpHを低下させることなく、除染対象物からのクロムの酸化溶出を促進させることができる。したがって、除染対象物への影響を抑えながら酸化被膜中のクロムを除去することができる。この際、酸化工程では、最終的に処理水中から除去しなければならない酸化剤を用いずに、オゾンによってクロムを酸化溶出させることができる。そのため、酸化剤に起因する二次廃棄物の発生を抑えることができる。
また、本発明の第二態様に係る化学除染方法では、第一態様において、前記酸化工程では、前記処理水のpHが5.8以上7.0以下とされてもよい。
このような構成とすることで、処理水が酸性になって除染対象物に生じる影響を確実に抑えることができる。また、オゾンの自己分解を抑制して効率的にクロムを酸化溶出させることができる。
また、本発明の第三態様に係る化学除染方法では、第一または第二態様において、前記酸化工程では、前記処理水の温度が50℃以上とされてもよい。
このような構成とすることで、処理水に対するオゾンの溶解度を向上させることができる。その結果、オゾンによる酸化溶解効果を向上させることができる。したがって、除染時間の短縮や処理水へのオゾンの供給量の低減を図ることができる。
また、本発明の第四態様に係る化学除染方法では、第一から第三態様のいずれか一つにおいて、前記酸化工程では、微細な気泡とされたオゾンを含むオゾン水が供給されることで、前記処理水のオゾン濃度が調整されてもよい。
このような構成とすることで、処理水に対するオゾンの含有量を増加させることができる。また、オゾンがマイクロバルブ化されていることで処理水中のオゾンが抜けにくくなり、オゾン濃度が半減期を迎えるまでの時間を長くすることができる。したがって、オゾンによる酸化溶解効果をより向上させることができる。
また、本発明の第五態様に係る化学除染方法では、第一から第四態様のいずれか一つにおいて、前記除染工程の後であって前記除去工程の前に、前記処理水中に含まれる前記有機酸を分解する有機酸分解工程を含んでいても良い。
このような構成とすることで、除染工程で消費されずに処理水中に残留している有機酸を分解することができる。したがって、除去工程で取り除かなければならない有機酸の量を低減でき、有機酸に起因する二次廃棄物の発生量を低減することができる。
また、本発明の第六態様に係る化学除染方法では、第一から第五態様のいずれか一つにおいて、前記酸化工程は、前記オゾン水によって前記処理水中に生じた酸素を除去しながら実施されてもよい。
このような構成とすることで、酸素の気泡が、配管や機器内に滞留して、処理水と除染対象物との接触面積が減少してしまうことを防ぐことができる。その結果、除染効果が低下してしまうことを抑えることができる。
また、本発明の第六態様に係る化学除染システムでは、ステンレス鋼及びニッケル基合金を含む除染対象物に処理水を供給する供給系統と、前記供給系統を流通する前記処理水にオゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水を供給して前記処理水のオゾン濃度を調整し、前記除染対象物から前記処理水中にクロムを酸化溶出させるオゾン濃度調整部と、前記クロムが酸化溶出された前記処理水に有機酸を供給して前記除染対象物から前記処理水中に鉄、ニッケル、及びコバルトを溶出させる有機酸供給部と、前記処理水中から前記クロム、前記鉄、前記ニッケル、及び前記コバルトを含む放射性核種を除去する除去部とを備える。
本発明によれば、オゾンを用いて、二次廃棄物量を低減させつつ、除染対象物への影響を抑えながら化学除染を実施することができる。
本実施形態における化学除染方法の対象となる除染対象物の例を示す図である。 本実施形態における化学除染システムの模式図である。 本実施形態における化学除染方法のフロー図である。
以下、本発明に係る実施形態について図1から図3を参照して説明する。
まず、本実施形態の対象となる除染対象物Zについて説明する。本実施形態の対象となる除染対象物Zは、原子力プラントを構成する配管、容器、各種機器等の部品であって、炉水が接触する部品である。
ここで、原子力プラントとしては、例えば、図1に示すように、加圧水型原子炉50を備える原子力発電プラントPがある。この原子力発電プラントPは、燃料棒51等が収納される加圧水型原子炉50と、加圧水型原子炉50内の一次冷却水(軽水)の沸騰を抑えるために一次冷却水を加圧する加圧器52と、一次冷却水の熱により二次冷却水を蒸気にする蒸気発生器53と、蒸気発生器53からの一次冷却水を加圧水型原子炉50に戻す冷却材ポンプ54と、蒸気発生器53で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン56と、蒸気タービン56の駆動で発電する発電機57と、蒸気タービン56からの蒸気を水に戻す復水器58と、復水器58からの水を蒸気発生器53に戻す給水ポンプ59と、を備えている。
この加圧水型原子炉50と蒸気発生器53とは一次冷却水配管55a及び55bで接続されている。蒸気発生器53と蒸気タービン56とは蒸気配管55cで接続されている。復水器58と蒸気タービン56とは給水配管55dで接続されている。
このように構成された原子力発電プラントPにおいて、炉水、即ち一次冷却水に接する部材である一次冷却系部材が除染対象物Zである。除染対象物Zとしては、加圧水型原子炉50、加圧器52、蒸気発生器53、冷却材ポンプ54、これらを接続する一次冷却水配管55a及び55b、この一次冷却水配管55a及び55b等に設けられている各種弁等がある。これら除染対象物Zは、鉄を主成分としてクロムやニッケルを含むステンレス鋼やニッケル基合金であるインコネル等で形成されている。
この除染対象物Zを構成する金属元素は、わずかに炉水に溶出して、一部が加圧水型原子炉50内の燃料棒51表面に付着する。燃料棒51の表面に付着した金属元素は、燃料から中性子線が照射させることにより、原子核反応を起こして、クロム、鉄、ニッケル、コバルト等の放射性核種となる。これら放射性核種は、大部分が酸化物の形態で燃料棒51表面に付着したままであるが、その一部が炉水中に溶出されたり、不溶性固体として放出されたりする。炉水中に溶出又は放出された放射性核種は、除染対象物Zの炉水接触面に付着する。このため、除染対象物Z近傍で作業する作業員は、部品に形成された酸化皮膜中の放射性核種からの放射線に晒されることになる。
本実施形態の化学除染方法S1は、上記で説明した原子力発電プラントPの系統除染に関するものである。本実施形態の化学除染方法S1では、除染対象物Zである配管等の内部で化学溶液である処理水Wを循環させる。これにより、除染対象物Zの内表面に付着している放射性核種を含んだ酸化被膜を除去して廃棄している。
本実施形態の化学除染方法S1は、図2に示すような化学除染システム1を用いて実施される。本実施形態の化学除染システム1は、循環ライン(供給系統)11と、オゾン濃度調整部12と、有機酸供給部13と、除去部14と、排ガス処理部15とを備えている。
循環ライン11は、ステンレス鋼及びニッケル基合金を含む除染対象物Zに対して処理水Wを供給する。具体的には、本実施形態の循環ライン11は、原子力発電プラントPの一次冷却水が流通する流路に処理水Wを供給している。循環ライン11は、流路から排出された処理水Wを再び流路に供給させるように処理水Wを原子力発電プラントPに対して循環させている。循環ライン11にはポンプ(不図示)が設けられており、処理水Wを圧送している。また、循環ライン11には、ヒータ111が設けられている。ヒータ111は、循環ライン11を循環している処理水Wを加熱して、該処理水Wを50℃以上の高温状態にすることが可能とされている。循環ライン11では、例えば、循環している処理水Wが1時間程度で入れ替えられる程度の系統保有水量の処理水Wが循環している。
オゾン濃度調整部12は、循環ライン11を流通する処理水Wにオゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水を供給する。その結果、オゾン濃度調整部12は、処理水Wのオゾン濃度を供給するオゾン水のオゾン濃度の1/10程度に調整する。これにより、オゾン濃度調整部12は、除染対象物Zから処理水W中にクロムを酸化溶出させる。本実施形態のオゾン濃度調整部12は、30mg/L(30ppm)のオゾンが含まれたオゾン水を生成して、処理水Wに供給する。本実施形態のオゾン濃度調整部12は、100ppm以上のオゾンが含まれたオゾン水を供給できることが好ましく、150ppmのオゾンが含まれたオゾン水を供給できることがより好ましい。オゾン濃度調整部12は、ヒータ111よりも下流側で循環ライン11にオゾン水を供給している。オゾン濃度調整部12は、オゾンを微細な気泡とさせて水溶液中に供給することでオゾン水を生成している。なお、本実施形態における微細な気泡とは、マイクロバブルのように直径10μm〜100μm程度の気泡を含むだけでなく、マイクロバブルよりも微細なナノバブルも含んでいる。オゾン濃度調整部12は、処理水WのpHが5.8以上7.0以下となるように処理水Wのオゾン濃度を調整している。本実施形態のオゾン濃度調整部12は、pHが5.8以上7.0以下のオゾン水を処理水Wに供給している。
なお、本実施形態のオゾン濃度調整部12は、オゾン濃度が30mg/Lのオゾン水を事前に生成することに限定されるものではなく、処理水Wに供給された時点でオゾン水のオゾン濃度が30mg/Lとなっていればよい。したがって、オゾン濃度調整部12は、オゾン水ではなくオゾンのみを別に発生させる装置を有していてもよい。
有機酸供給部13は、オゾン濃度調整部12で調整された処理水Wに有機酸を供給する。これにより、有機酸供給部13は、除染対象物Zから処理水W中に鉄、ニッケル、及びコバルトを溶出させる。本実施形態の有機酸供給部13は、有機酸として例えばシュウ酸が循環ライン11を流通する処理水Wに添加される。なお、供給される有機酸は、シュウ酸に限定されるものではなく、ピコリン酸やクエン酸であってもよい。有機酸供給部13は、オゾン濃度調整部12と除染対象物Zとの間で循環ライン11にシュウ酸を供給している。
除去部14は、吸着材を用いて処理水W中の放射性核種を除去する。本実施形態の除去部14で用いられる吸着剤としては、例えば、アニオン樹脂、カチオン樹脂、及び無機吸着材がある。除去部14は、除染対象物Zとヒータ111との間に配置されている。除去部14は、循環ライン11を流れる処理水Wを抽出して吸着剤に通水させることで、処理水W中から放射性核種を除去している。
排ガス処理部15は、処理水Wから排出されたオゾンを除去する。本実施形態の排ガス処理部15は、例えば、一次冷却水配管55a及び55bと連通するように設けられている。排ガス処理部15は、フィルタを有しており、処理水Wが循環する中で消費されずに処理水Wから排出されたオゾンを含むガスを除去している。
本実施形態の化学除染方法S1は、図3に示すように、酸化工程S2と、除染工程S3と、有機酸分解工程S4と、除去工程S5とを含んでいる。
酸化工程S2は、ステンレス鋼及びニッケル基合金を含む除染対象物Zが接触する処理水Wにオゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水を供給する。本実施形態の酸化工程S2では、オゾン濃度調整部12からオゾン濃度が30mg/L以上とされた高濃度のオゾン水を処理水Wに供給することで、処理水W中のオゾン濃度を供給したオゾン水の1/10程度のオゾン濃度とさせて、酸化溶解を行う。そして、オゾン濃度が上昇した処理水Wは、循環ライン11を流通することで循環され、除染対象物Zの内部に何度も供給される。酸化工程S2では、オゾン濃度が調整された処理水Wが除染対象物Zの内部に供給されることで、除染対象物Zに付着した酸化被膜中のクロムが処理水W中に酸化溶出される。
また、酸化工程S2では、処理水WのpHが5.8以上7.0以下とされる。具体的には、本実施形態の酸化工程S2では、pHが5.8以上7.0以下のオゾン水をオゾン濃度調整部12から処理水Wに供給している。これにより、化学除染方法S1では、処理水WのpH調整を別工程で実施する必要が無い。さらに、酸化工程S2では、ヒータ111によって処理水Wの温度を50℃以上に維持した状態で、高濃度のオゾン水が供給される。また、酸化工程S2では、オゾン濃度調整部12からマイクロバブル化されたオゾンが含まれたオゾン水が供給される。
また、酸化工程S2では、処理水Wが循環される過程で、処理水W中のオゾンが分解された酸素の気泡となる。この酸素の気泡が、配管や機器内に滞留すると、処理水Wと除染対象物Zとの接触面積が減少してしまう。その結果、除染効果が低下する可能性がある。そこで、酸化工程S2は、オゾン水によって処理水W中に生じた酸素を除去しながら実施されることが好ましい。具体的には、酸化工程S2では、ポンプ等の加圧装置によって除染系統内を加圧してもよい。例えば、循環ライン11に設けられたポンプによって、循環する処理水Wを加圧する。これにより、生成された酸素が処理水W中に加圧溶解される。この際、循環ライン11を流通する処理水Wの圧力を0.5MPa以上とすることが好ましく、2.5MPa以上とすることがより好ましい。また、酸化工程S2では、加圧装置ではなく、除染系統の途中で酸素を抜く機構を設けてもよい。例えば、循環ライン11の途中に酸素の気泡を抜く装置を設けてもよい。
除染工程S3は、酸化工程S2の後に、処理水Wに有機酸を添加する。本実施形態の除染工程S3では、処理水W中に有機酸供給部13からシュウ酸が供給される。また、本実施形態の除染工程S3では、吸着材へ処理水を通水させることで、溶出した金属を除去する。具体的には、除染工程S3は、酸化工程S2においてオゾン濃度が上昇した処理水Wによってクロムが溶出するために必要な時間が経過した後に実施される。シュウ酸が添加された処理水Wは、循環ライン11を流通することで循環され、除染対象物Zの内部に何度も供給される。シュウ酸が供給された処理水Wが除染対象物Zの内部に供給されることで、除染対象物Zから鉄、ニッケル、及びコバルトが処理水W中に溶出される。また、処理水Wにシュウ酸が供給されることで、酸化工程S2で消費されずに処理水W中に残留しているオゾンが分解除去される。また、分解されずに処理水Wから排出されたオゾンは、排ガス処理部15によって回収される。さらに、シュウ酸が添加された処理水Wは、除去部14を通過しながら循環ライン11を循環する。これにより、除染対象物Zから処理水W中に溶出されたらクロム、鉄、ニッケル、及びコバルトが吸着材を用いて除去される。
有機酸分解工程S4は、除染工程S3の後であって除去工程S5の前に実施される。有機酸分解工程S4は、処理水W中に含まれる有機酸を分解する。本実施形態の有機酸分解工程S4では、オゾン濃度調整部12から高濃度のオゾン水が処理水Wに再び供給される。具体的には、除染工程S3においてシュウ酸が添加された処理水Wによって鉄、ニッケル及びコバルトが溶出するために必要な時間が経過した後に、処理水Wのオゾン濃度を30mg/L以上とするように高濃度のオゾン水が処理水Wに添加される。再びオゾン濃度が上昇した処理水Wは、循環ライン11を流通することで循環され、除染工程S3で消費されずに処理水W中に残留しているシュウ酸が分解除去される。
除去工程S5は、有機酸分解工程S4の後に実施される。本実施形態の除去工程S5では、除染工程S3で除去しきれなかったクロム、鉄、ニッケル、及びコバルトが除去される。具体的には、除去工程S5では、例えば、イオン交換樹脂等の吸着材を用いて、処理水W中に含まれるクロム、鉄、ニッケル、及びコバルト等の放射性核種や、これら放射性核種で汚染された残留成分(シュウ酸等のイオン)を除去することで除染を行う。その後、除染対象物Zの線量を測定し、十分に線量が低下している場合には、化学除染方法S1が終了される。また、除染対象物Zの線量が未だ高い場合には、必要に応じて酸化工程S2から除去工程S5が繰り返し実施される。除染された処理水Wは、次サイクル以降で再び利用することができる。
上記のような化学除染方法S1及び化学除染システム1によれば、酸化工程S2において、オゾン濃度調整部12に高濃度のオゾン水を供給して処理水Wのオゾン濃度を30mg/L以上としている。処理水Wのオゾン濃度が30mg/L以上とされていることで、処理水WのpHによらずに、オゾンによる酸化溶解効果を高めることができる。そのため、処理水WのpHを低下させることなく、除染対象物Zからのクロムの酸化溶出を促進させることができる。したがって、除染対象物Zへの影響を抑えながら酸化被膜中のクロムを除去することができる。この際、本実施形態の酸化工程S2では、最終的に処理水W中から除去しなければならない酸化剤を用いずに、オゾンによってクロムを酸化溶出させることができる。そのため、酸化剤に起因する二次廃棄物の発生を抑えることができる。したがって、オゾンを用いて、除染対象物Zへの影響を抑えながら除染して、二次廃棄物量を低減させることができる。
また、除染工程S3において、有機酸供給部13からシュウ酸が処理水Wに供給される。これにより、処理水W中に残留するオゾンを除去しながら、除染対象物Zから鉄、ニッケル、及びコバルトを処理水Wに溶出させることができる。したがって、酸化工程S2で余剰となったオゾンが大気中に排出されてしまうことを抑えながら、酸化被膜中の鉄、ニッケル、及びコバルトを溶出させることができる。
その後、有機酸分解工程S4において、オゾン濃度調整部12から供給されるオゾン水を利用して、除染工程S3で消費されずに処理水W中に残留しているシュウ酸を分解することができる。有機酸を除去するための装置を新たに設置することなく、低コストで残留するシュウ酸を除去することができる。また、除去工程S5で取り除かなければならないシュウ酸の量を低減でき、シュウ酸に起因する二次廃棄物の発生量を低減することができる。
そして、除去工程S5において、除去部14に吸着剤に処理水Wを通水させることで、クロム、鉄、ニッケル、及びコバルト等の放射性核種を処理水Wから除去することができる。
また、酸化工程S2では、処理水WのpHが5.8以上7.0以下に保たれている。そのため、処理水Wが酸性になって配管の母材表面の腐食減肉が発生し、場合によっては機器の健全性を損なうといった除染対象物Zに生じる影響を確実に抑えることができる。また、オゾンの自己分解を抑制して効率的にクロムを酸化溶出させることができる。
また、酸化工程S2では、ヒータ111によって処理水Wの温度が50℃以上とされている。そして、本実施形態ではヒータ111の下流側でオゾン濃度調整部12から処理水Wに高濃度のオゾン水が供給されている。そのため、温められた処理水Wにオゾン水が供給され、処理水Wに対するオゾンの溶解度を向上させることができる。その結果、オゾンによる酸化溶解効果を向上させることができる。したがって、除染時間の短縮や処理水Wへのオゾンの供給量の低減を図ることができる。
また、オゾン濃度調整部12では、マイクロバブル化したオゾンが含まれたオゾン水が生成されている。このオゾン水が処理水Wに供給されることで、オゾン水としての供給量を抑えながら、処理水W中により多くのオゾンを含ませることができる。したがって、マイクロバブル化されていないオゾンが含まれたオゾン水を処理水Wに供給するよりも、処理水Wに対するオゾンの含有量を増加させることができる。また、オゾンがマイクロバルブ化されていることで処理水W中のオゾンが抜けにくくなり、オゾン濃度が半減期を迎えるまでの時間を長くすることができる。したがって、オゾンによる酸化溶解効果をより向上させることができる。
(実施形態の他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、循環ライン11は、除染対象物Zに対して処理水Wを循環させることに限定されるものではない。循環ライン11は、除染対象物Zに処理水Wを供給することができれば良い。したがって、例えば、除染対象物Zを水槽に浸漬された状態で化学除染を行う場合には、水槽に対して処理水Wを循環させずに供給してもよい。
また、本実施形態の化学除染方法S1の適用対象は系統除染に限定されるわけではなく、廃炉とされる場合などに、解体された原子力プラントの部材を除染対象物Zとして、加熱設備等の必要な設備の揃えられた処理施設で実施されても良い。
また、酸化工程S2では、オゾン水のみを供給することに限定されるものではない。例えば、酸化工程S2では、オゾン水とともに他の酸化剤(過マンガン酸、過マンガンカリウム、硝酸セリウム等)を処理水Wに供給してもよい。
Z…除染対象物 P…原子力発電プラント 51…燃料棒 50…加圧水型原子炉 52…加圧器 53…蒸気発生器 54…冷却材ポンプ 56…蒸気タービン 57…発電機 58…復水器 59…給水ポンプ 55a…一次冷却水配管 55b…一次冷却水配管 55c…蒸気配管 55d…給水配管 1…化学除染システム 11…循環ライン 111…ヒータ 12…オゾン濃度調整部 13…有機酸供給部 14…除去部 15…排ガス処理部 W…処理水 S1…化学除染方法 S2…酸化工程 S3…除染工程 S4…有機酸分解工程 S5…除去工程

Claims (7)

  1. ステンレス鋼及びニッケル基合金を含む除染対象物が接触する処理水にオゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水を供給することにより、前記除染対象物からクロムを酸化溶出させる酸化工程と、
    該酸化工程の後に、前記処理水に有機酸を添加することで前記除染対象物から鉄、ニッケル、及びコバルトを溶出させる除染工程と、
    該除染工程の後に、前記処理水中に溶出した前記クロム、前記鉄、前記ニッケル、及び前記コバルトを含む放射性核種を除去する除去工程と、を含む化学除染方法。
  2. 前記酸化工程では、前記処理水のpHが5.8以上7.0以下とされる請求項1に記載の化学除染方法。
  3. 前記酸化工程では、前記処理水の温度が50℃以上とされる請求項1または請求項2に記載の化学除染方法。
  4. 前記酸化工程では、微細な気泡とされたオゾンが供給されることで、前記処理水のオゾン濃度が調整される請求項1から請求項3の何れか一項に記載の化学除染方法。
  5. 前記除染工程の後であって前記除去工程の前に、前記処理水中に含まれる前記有機酸を分解する有機酸分解工程を含む請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化学除染方法。
  6. 前記酸化工程は、前記オゾン水によって前記処理水中に生じた酸素を除去しながら実施される請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化学除染方法。
  7. ステンレス鋼及びニッケル基合金を含む除染対象物に処理水を供給する供給系統と、
    前記供給系統を流通する前記処理水にオゾン濃度が30mg/L以上のオゾン水を供給して前記処理水のオゾン濃度を調整し、前記除染対象物から前記処理水中にクロムを酸化溶出させるオゾン濃度調整部と、
    前記クロムが酸化溶出された前記処理水に有機酸を供給して前記除染対象物から前記処理水中に鉄、ニッケル、及びコバルトを溶出させる有機酸供給部と、
    前記処理水中から前記クロム、前記鉄、前記ニッケル、及び前記コバルトを含む放射性核種を除去する除去部とを備える化学除染システム。
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