JP2016141819A - バラストタンク用耐食鋼材 - Google Patents

バラストタンク用耐食鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】船舶のバラストタンクに好適な、表面にエポキシ系塗膜を有する船舶用耐食鋼材を安価に提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.10〜1.20%、S:0.003〜0.020%、Al:0.001〜0.100%、Nb:0.001〜0.020%を含有し、更に、Sb:0.010〜0.300%、Sn:0.010〜0.300%の少なくとも一方を含有し、Mnの含有量[Mn]とSの含有量[S]とが、[Mn]×[S]≦0.020を満足し、表面にエポキシ系塗膜を形成してなるバラストタンク用耐食鋼材。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に海水による厳しい腐食環境下にあるバラストタンク等に用いられる耐食用鋼材であって、表面にエポキシ系塗膜を有するバラストタンク用耐食鋼材に関するものである。
タンカー等の貨物船は、空荷であると航行中に船体が浮いて横風や横波に対して不安定になるため、積荷がない時には、喫水が下がらないように、バラストタンクに海水を積載している。バラストタンクは、貨物の積み下ろしに応じて海水の注入、排出が繰り返されるため、厳しい腐食環境に曝される。そのため、バラストタンクに使用される鋼材の表面には、エポキシ系塗料による防食が施される。
しかし、バラストタンクの最上部付近、特に上甲板の裏側は、海水の飛沫が付着した状態で、日中の温度上昇と夜間の温度低下が繰り返されるため、非常に厳しい腐食環境となる。また、バラストタンクに電気防食を施しても、貨物積載時には海水が注入されないため機能せず、残留付着塩分の作用によって激しい腐食を受ける。
バラストタンクは塗装が義務付けられているが、非常に厳しい腐食環境下での塗膜の寿命は15年程度といわれている。一方、船舶の寿命は25年であるため、塗装補修や鋼板の切替えが必要となる。バラストタンクの補修は、ドック時の修繕費用や期間を増加させるため、塗装の劣化後も10年程度は孔空き腐食に至らないような、耐食性に優れた鋼材の開発が望まれている。
このような要求に対して、優れた塗装耐食性を発揮する耐食鋼材が提案されている(例えば、特許文献1、2、参照)。これらは、W、Moの一方又は両方を添加し、さらにSn、Sbの一方又は両方を添加することにより、塗膜欠陥部から発生する塗膜膨れを低減させた鋼材である。
特開2009−046749号公報 特開2009−046750号公報
W、Mo、Sn、及び、Sbは、塗装欠陥部の腐食の抑制に有効な元素であるが、本発明者らの検討の結果、鋼中に形成されたMnSが塗装欠陥部の耐食性を劣化させる場合があることがわかった。MnSを低減する方法には鋼中のS量を低減する方法があるが、製鋼上の負荷が大きくなり、生産性の低下やコストの上昇が問題になる。
本発明は、このような実情に鑑み、0.003%程度のSの含有を許容して製造コストの上昇を抑えたうえで、バラストタンク内の腐食環境下における塗装耐食性に優れたバラストタンク用耐食鋼材を提供するものである。
本発明者らは、S量を製鋼上の負荷にならない程度に含有する鋼材、具体的には、S量が0.003%以上である鋼材の塗装欠陥部の耐食性を向上させるため、検討を行った。その結果、S添加量[S]とMn添加量[Mn]との積を0.020以下に制限し、更に、Sn、Sbの一方又は両方を添加することにより、塗膜欠陥部の腐食の進展が大幅に抑制されることを見出した。また、MnSの生成を抑制するため、Mn量の上限を1.20%以下に制限し、母材の強度を確保するために、Nbを添加する必要があることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)質量%で、
C :0.03〜0.25%、
Si:0.05〜0.50%、
Mn:0.10〜1.20%、
S :0.003〜0.020%、
Al:0.001〜0.100%、及び、
Nb:0.001〜0.020%
を含有し、更に、
Sb:0.010〜0.300%、及び、
Sn:0.010〜0.300%
の少なくとも一方を含有し、
P :0.025%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Mnの含有量[Mn]とSの含有量[S]とが、[Mn]×[S]≦0.020を満足し、表面にエポキシ系塗膜を有することを特徴とするバラストタンク用耐食鋼材。
(2)更に、
Cu:0.40%以下、
Ni:0.40%以下、
Cr:0.40%以下、
Mo:0.50%以下、及び、
W :1.00%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載のバラストタンク用耐食鋼材。
(3)更に、
Ti:0.100%以下、
Zr:0.10%以下、及び、
V :0.20%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のバラストタンク用耐食鋼材。
(4)前記鋼材は、更に、
B :0.0030%以下
を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載のバラストタンク船舶用耐食鋼材。
(5)更に、
Ca:0.0100%以下、
Mg:0.0100%以下、
REM:0.015%以下、及び、
Y :0.100%以下
の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)の何れかに記載のバラストタンク用耐食鋼材。
(6)前記エポキシ系塗膜の下地にジンクプライマー塗膜を有することを特徴とする上記(1)〜(5)の何れかに記載のバラストタンク用耐食鋼材。
本発明のバラストタンク用耐食鋼材は、製造コストの上昇を抑え、かつ、バラストタンク内の腐食環境下で優れた塗装耐食性を示すので、過酷な腐食環境に曝されるバラストタンクヘ適用した場合、初期コスト及び補修再塗装等の保守費用を大幅に削減することができる。
本発明者らは、エポキシ系塗料を塗布した種々の耐食鋼材を用いて、エポキシ系塗膜の欠陥部の腐食について、以下の検討を行った。
種々の合金元素を添加した鋼を溶製し、熱間圧延して板厚が5mmの鋼板を作製し、長さ150mm、幅70mmの試験片を採取した。試験片の表面のスケールをショットブラスによって除去し、塗膜厚が300〜400μmになるようにエポキシ系塗料を2回塗布した。その後、塗膜の欠陥部の耐食性を評価するため、試験片の中央に、幅2mmのエンドミルで地鉄表面まで達する50mm長さの疵を一文字状に付与した。
耐食性は、複合サイクル試験によって評価した。バラストタンクの環境に合わせるために、腐食液には、5%NaCl水溶液ではなく、人工海水を用いた。サイクル条件は、腐食液噴霧(温度35℃)1時間、乾燥(60℃、湿度20〜30%)2時間、湿潤(50℃、湿度95%以上)1時間とした。このサイクルを300サイクル行った後、付与した疵部の塗装膨れの最大長さを測定した。
その結果、Sn、Sbの一方又は両方を添加した場合、塗装欠陥部の塗膜膨れや腐食が抑制されている試験片と、抑制されていない試験片が見られることがわかった。これらを詳細に調査した結果、塗装欠陥部の膨れが抑制されていないものには、MnSが多く生成していることが判明した。
次に、表面を鏡面研磨し、観察されたMnSの周囲にビッカース硬度計でマーキングを施して、その位置に疵を入れた試験片を用いて耐食性評価を行った。その結果、塗膜膨れは抑制されず、MnSが塗装欠陥部の耐食性に悪影響を及ぼしていることが明らかになった。SnやSbを含む耐食鋼材であっても、MnSが多く生成している場合、塗膜欠陥部の腐食が抑制されない理由は、MnSの加水分解によって硫酸が生じ、pHが大きく低下したためではないかと推定している。
次に、Sn、Sbの一方又は両方を添加した耐食鋼材のMn量及びS量と塗膜欠陥部の耐食性との関係を整理した。その結果、S量が0.003%以上であってもMn量とS量の積([Mn]×[S])が0.020以下となる場合、塗膜欠陥部の腐食が抑制されることが判明した。また、0.003%以上のSの含有を許容したうえで、MnSの生成を抑制するためには、Mn量の制限も必要になる。
本発明者らの検討の結果、MnSの生成を抑制するには、Mn量の上限を1.2%以下に制限する必要があることがわかった。しかし、Mn量を低減すると母材の強度が低下するため、母材の機械特性を極力低下させないように、Nbを添加し、Mn低下による強度の不足を補うことが必要になる。
このような検討結果に基づいて、本発明のバラストタンク用耐食鋼材(以下、「本発明の耐食鋼材」という)では、Nbを添加し、S量を0.003〜0.02%、Mn量を0.10〜1.20%、Mnの含有量[Mn]とSの含有量[S]との積[Mn]×[S]を0.020以下に制限し、Sb、Snの一方又は両方を含有する成分組成にすることとした。また、必要に応じて、Cu、Ni、Cr、Mo、Wの1種又は2種以上を添加すると、さらに優れた耐食性が得られる。
次に、本発明の耐食鋼材の成分組成について具体的に説明する。なお、特に断りのない限り、「%」は、「質量%」を示す。
(C :0.03〜0.25%)
Cは、鋼材強度を上昇させるのに有効な元素であり、所望の強度を得るために0.03%以上の含有を必要とする。好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.08%以上とする。一方、0.25%を超えるCの含有は、HAZ(溶接熱影響部)の靭性を低下させるため、Cの含有量の上限は0.25%とする。Cの含有量の上限は、好ましくは0.20%、より好ましくは0.17%とする。
(Si:0.05〜0.50%)
Siは、脱酸剤として、また、鋼材の強度を高めるために添加される元素であり、0.05%以上を含有させる。好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.15%以上含有させる。しかし、0.50%を超える添加は、鋼の靭性を劣化させるので、Siの含有量の上限を0.50%とする。Siの含有量の上限は、好ましくは0.40%、より好ましくは0.30%とする。
(Mn:0.10〜1.20%)
Mnは、鋼材の強度を高める元素であり、0.10%以上添加する。好ましくは0.50%以上、より好ましくは0.70%以上とする。しかし、1.20%を超えるMnの添加は、MnSを増加させて塗膜欠陥部の耐食性を低下させるため、1.20%以下とする。好ましくは1.10%以下、より好ましくは1.00%以下とする。
(S :0.003〜0.020%)
Sは、MnSを生成させて塗膜欠陥部の耐食性を低下させるため、Sの含有量を0.020%以下とする。好ましくは0.015以下、より好ましくは0.010%以下含有させる。Sの含有量は、耐食性の観点からは低減することが好ましいが、0.003%未満にするに製鋼上の負荷が大きくコストが高くなるため、下限を0.003%とする。
(Al:0.001〜0.100%)
Alは、脱酸剤として添加する元素であり、0.001%以上添加する。好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上含有させる。しかし、0.100%を超えてAlを含有させると、母材靭性が低下するため、上限を0.100%とする。Alの含有量の上限は、好ましくは0.080%、より好ましくは0.060%とする。
(Nb:0.001〜0.020%)
Nbは、母材の強度と靭性を確保するのに必要な元素であり、0.001%以上を添加する。好ましくは0.003%以上、より好ましくは0.005%以上含有させる。しかし、0.020%を超える添加は、HAZの靭性を低下させるため、Nbの含有量を0.020%以下とする。好ましくはNbの含有量を0.018%以下とする。
(Sb:0.010〜0.300%)
(Sn:0.010〜0.300%)
Sb、Sbは、塗膜欠陥部の耐食性を向上させる効果があり、一方又は両方を添加する。効果を得るには、Sn、Sbとも0.010%以上の含有が必要であり、好ましくは0.020%以上、より好ましくは0.030%以上を添加する。一方、Sn、Sbとも含有量が0.300%を超えると、母材及びHAZの靭性を劣化させる。したがって、Sb及びSnの含有量の上限は、0.300%とし、好ましくは0.200%、より好ましくは0.150%とする。
(P :0.025%以下)
Pは、不純物であり、鋼の母材靭性や溶接性、溶接部靭性を劣化させるため、できるだけ低減するのが好ましい。特に、Pの含有量が0.025%を超えると、母材靭性及び溶接部靭性の低下が大きくなるので、0.025%以下に制限する。好ましくはPの含有量を0.020%以下、より好ましくは0.015%以下とする。
([Mn]×[S]≦0.020)
Mn及びSの含有量を上述の範囲とし、更に、Mnの含有量[Mn]とSの含有量[S]の数値の積([Mn]×[S])を0.020以下にする。[Mn]×[S]を0.020以下とすることで、0.003%以上のSを含有しても、MnSの生成が抑制され、塗膜欠陥部の腐食が抑制される。また、[Mn]×[S]は、好ましくは0.010以下、より好ましくは0.007以下である。
本発明の耐食鋼材は、上述された基本成分(必須元素)に加え、更に、塗装欠陥部の耐食性を高めるために、Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Wの1種又は2種以上を選択元素として添加してもよい。
(Cu:0.40%以下)
(Ni:0.40%以下)
(Cr:0.40%以下)
(Mo:0.50%以下)
(W :1.0%以下)
Cu、Ni、Cr、Mo、及び、Wは、1種又は2種以上を、Sn、Sbの一方又は両方と同時に添加すると、塗装欠陥部の耐食性を更に高める効果が発現する。塗装欠陥部の耐食性を向上させる効果を得るには、Cu、Ni、Cr、Mo、Wとも、0.01%以上の添加が好ましい。ただし、Cu、Ni、Cr、Mo、Wを過剰に添加すると、HAZ靭性が劣化する場合がある。Cuは0.40%、Niは0.40%、Crは0.40%、Moは0.50%、Wは1.0%を上限とすることが好ましい。より好ましくは、Cuは0.30%、Niは0.30%、Crは0.20%、Moは0.20%、Wは0.5%を上限とする。
本発明の耐食鋼材は、上述された必須元素に加え、更に、母材やHAZの機械特性を向上させるために、Ti、Zr、V、B、Ca、Mg、REM、及び、Yの1種又は2種以上を添加してもよい。
(Ti:0.100%以下)
(Zr:0.10%以下)
(V :0.20%以下)
Ti、Zr、Vは、いずれも、析出物を生じて鋼材の強度を高める元素であり、必要に応じて含有することができる。Ti、Zr、Vは、0.001%以上を添加することが好ましい。一方、Ti、Zr、Vを過剰に添加すると靭性が低下することがあるため、Tiは0.100%、Zrは0.10%、Vは0.20%を上限として添加するのが好ましい。より好ましくは、Tiは0.020%、Zrは0.02%、Vは0.03%を上限とする。
(B :0.0030%以下)
Bは、微量の添加で鋼材の強度を高める元素であり、必要に応じて含有させることができる。B量は0.0003%以上が好ましい。より好ましくは0.0005%以上とする。一方、0.0030%を超えて添加すると、靭性が劣化することがあるため、Bの含有量の上限は0.0030%が好ましい。より好ましくは0.0020%とする。
(Ca:0.0100%以下)
(Mg:0.0100%以下)
(REM:0.015%)
(Y :0.100%以下)
Ca、Mg、REM、Yは、いずれも、溶接熱影響部の靭性向上に効果のある元素であり、必要に応じて選択して含有することができる。Ca、Mg、REM、Yは、それぞれ、0.0001%以上を添加することが好ましい。より好ましくは、Ca、Mg、REM、Yの含有量を、それぞれ、0.0005%以上とする。一方、これらを過剰に添加すると靭性を低下させることがあるため、Caは0.0100%以下、Mgは0.0100%以下、REMは0.015%以下、Yは0.100%以下が好ましい。より好ましくは、Ca、Mg、REM、Yの含有量を、それぞれ、0.0030%以下とする。
本発明の耐食鋼材において、上記以外の成分は、Fe及び不可避的不純物であるが、本発明の効果を害しない範囲内であれば、上記以外の成分の含有は許容される。
本発明の耐食鋼材は、上記組成からなる下地鋼材の表面に、表面にエポキシ系塗膜を有する。エポキシ系塗膜は、国際海事機関(International Maritime Organization、IMO)が定めた塗装性能基準を満たすものであれば、特に制限されるものではなく、エポキシ系塗料を塗布し、乾燥させて形成すればよい。
また、上記組成からなる下地鋼材の表面に、ジンクリッチプライマー塗膜を形成してから、エポキシ系塗膜を設けることができる。ジンクリッチプライマー塗膜は、特に制限されるものではなく、ジンクリッチプライマーを塗布し、乾燥させて形成すればよい。
本発明の耐食鋼材は、常法で製造することができる。
例えば、溶鋼を転炉、電気炉等の公知の方法で溶製し、連続鋳造法、造塊法等の公知の方法でスラブやビレット等の鋼素材とし、熱間圧延に供する。なお、溶鋼に、取鍋精錬や真空脱ガス等の処理を付加してもよい。
そして、鋼素材を、好ましくは1050〜1250℃の温度に加熱し、所望の寸法形状に熱間圧延する。鋳造や造塊後の鋼材をそのまま熱間圧延してもよい。なお、熱間圧延では、強度を確保するために、熱間仕上圧延終了温度及び熱間仕上圧延終了後の冷却速度を適正化することが好ましく、熱間仕上圧延終了温度は、700℃以上、熱間仕上圧延終了後の冷却は、空冷又は冷却速度100℃/s以下の加速冷却を行うことが好ましい。また、冷却後、再加熱処理を施してもよい。
そして、鋼材の表面にエポキシ系塗料を塗布し、乾燥させてエポキシ系塗膜を形成させる。エポキシ系塗料を塗布する前にジンクリッチプライマー塗膜を形成してもよい。また、エポキシ系塗料やジンクリッチプライマーを塗布する前に、ショットブラストを施してもよく、酸洗を行ってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉又は転炉で溶製して、鋳塊又は鋼スラブとし、これらを加熱炉で1150℃に加熱し、熱間圧延して25mm厚の厚鋼板とした。得られた厚鋼板について、母材の引張特性及び衝撃特性を調査した。引張試験はJIS Z 2241に準拠して室温で行い、シャルピー衝撃試験はJIS Z 2242に準拠して−40℃で行った。
Figure 2016141819
次に、それぞれの厚鋼板から、長さ150mm、幅70mm、厚さ5mmの試験片を採取し、試験片の表面のスケールをショットブラスによって除去した後、エポキシ塗料を2回塗布して塗膜厚が300〜400μmとなる試験片を作製した。また、いくつかの鋼板についてはエポキシ塗料による塗布の前にジンクプライマーを10μm塗布したものも用意した。
これらの試験片の中央を幅2mmのエンドミルで地鉄表面まで達する50mm長さの疵を横方向に一文字状に付与し、人工海水を用いて複合サイクル試験を行った。サイクル条件は、腐食液噴霧(温度35℃)1時間、乾燥(60℃、湿度20〜30%)2時間、湿潤(50℃、湿度95%以上)1時間とした。このサイクルを300サイクル行った後、付与した疵部の塗装膨れの最大長さを測定した。耐食性は、耐食性向上元素を特に含まないNo.27の鋼をベース鋼(100)として塗装膨れの最大長さの比率を算出し、評価した。
表2に腐食試験、引張試験、衝撃試験の結果を示す。本発明の成分組成を満たす発明例のNo.1〜26の鋼は、ベース鋼(No.27)に対する塗装膨れの最大長さの比率が50%以下であり、良好な耐食性を有していることがわかる。また、発明例にジンクプライマーを塗布した鋼材は、ベース鋼(No.27)に対する塗装膨れの最大長さの比率が25%以下であり、良好な耐食性を有していることがわかる。
これに対して、本発明の成分組成の条件を満たさないNo.28〜32鋼は、ベース鋼(No.27)に対する塗装膨れの最大長さの比率がいずれも50%を超えている。No.33鋼は、ベース鋼(No.27)に対する塗装膨れの最大長さの比率が50%以下であるが、Nbを含有しないため、母材の機械特性が低くなっている。
Figure 2016141819
本発明は、表面にエポキシ系塗膜を有するバラストタンク用耐食鋼材であって、厚鋼板、薄鋼板、形鋼や棒鋼を含むものである。本発明のバラストタンク用耐食鋼材は、例えば、石炭船や鉱石船、鉱炭兼用船、原油タンカー、LPG船、LNG船、ケミカルタンカー、コンテナ船、ばら積み船、木材専用船、チップ専用船、冷凍運搬船、自動車専用船、重量物船、RORO船、石灰石専用船、セメント専用船等のバラストタンク等の素材として、好適に使用することができる。なお、本発明の耐食鋼材は、海水による腐食環境下で優れた塗装耐食性を示すので、船舶のバラストタンクだけでなく、他の類似の海水による腐食環境で使用される用途にも用いることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が高いものである。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C :0.03〜0.25%、
    Si:0.05〜0.50%、
    Mn:0.10〜1.20%、
    S :0.003〜0.020%、
    Al:0.001〜0.100%、及び、
    Nb:0.001〜0.020%
    を含有し、更に、
    Sb:0.010〜0.300%、及び、
    Sn:0.010〜0.300%
    の少なくとも一方を含有し、
    P :0.025%以下
    に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Mnの含有量[Mn]とSの含有量[S]とが、[Mn]×[S]≦0.020を満足し、表面にエポキシ系塗膜を有することを特徴とするバラストタンク用耐食鋼材。
  2. 更に、
    Cu:0.40%以下、
    Ni:0.40%以下、
    Cr:0.40%以下、
    Mo:0.50%以下、及び、
    W :1.00%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のバラストタンク用耐食鋼材。
  3. 更に、
    Ti:0.100%以下、
    Zr:0.10%以下、及び、
    V :0.20%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のバラストタンク用耐食鋼材。
  4. 更に、
    B :0.0030%以下
    を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のバラストタンク船舶用耐食鋼材。
  5. 更に、
    Ca:0.0100%以下、
    Mg:0.0100%以下、
    REM:0.015%以下、及び、
    Y :0.100%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のバラストタンク用耐食鋼材。
  6. 前記エポキシ系塗膜の下地にジンクプライマー塗膜を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のバラストタンク用耐食鋼材。
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