JP2016140951A - 巻き芯の製造方法および巻き芯 - Google Patents

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Abstract

【構成】 この巻き芯10の製造方法では、押出成形装置を用いて熱可塑性樹脂を押出し成形することによって、円筒状の原管102を製作する押出成形工程と、切削加工機(50)を用いて原管の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部12を形成する切削工程とを含む。そして、切削加工機は、段差部を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管を押さえる押えローラ62を備え、好ましくは、原管に対する押えローラの当接位置は、段差部から所定角度ずれた位置とされる。【効果】 異形押出成形によって巻き芯を製造する場合と比較して、コストを低減でき、切削加工によって所望の段差部を正確に形成できる。【選択図】 図8

Description

この発明は巻き芯の製造方法および巻き芯に関し、特にたとえば、長尺のフィルムがロール状に巻き付けられる、巻き芯の製造方法および巻き芯に関する。
一般的に、フィルムは、円筒状の巻き芯に巻き取られた状態で出荷等される。ここで、断面円形の巻き芯にフィルムを巻き付けると、フィルムの巻始め端部で段差が生じるので、この段差に起因する段差痕(変形)がフィルムに発生してしまう場合がある。そこで、このような段差痕の発生を防止するため、フィルムの厚みと同じ深さ(段差高さ)を有する段差部を、巻き芯の外周面に対して予め形成しておく技術が知られている。なお、接着テープ等の接着部材を用いてフィルムの巻始め端部を巻き芯に固定する場合には、フィルムの厚みに接着部材の厚みを加えた深さを有する段差部が形成される。
特許文献1には、外周面に段差部を有する巻き芯の製造方法の一例が開示されている。特許文献1の製造方法では、熱可塑性樹脂を異形押出成形することによって所望する巻き芯の断面形状に合致する断面形状を有する原管(巻芯素材)を形成した後、その原管を所定長さに切断することにより、巻き芯の軸方向に沿って延びかつフィルム(シート状被巻回物)の厚みにほぼ等しい深さの段差部を外周面に有する巻き芯を製造する。
特開2007−119230号公報
しかしながら、特許文献1の技術のように、異形押出成形によって巻き芯を製造する場合には、巻き芯の径や厚み等のサイズ毎、また、巻き付けるフィルムの厚み(つまり形成する段差部の深さ)毎に、異形金型および異形サイジングホーマ(冷却口金)等を用意する必要がある。このため、特許文献1の技術は、設備コストが多額となって採用することが難しい。また、異形押出成形では、段差部の形状が明確にならず、深さの小さい段差部を正確に形成することが難しいという問題もある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、巻き芯の製造方法および巻き芯を提供することである。
この発明の他の目的は、コストを低減でき、かつ所望の段差部を正確に形成できる、巻き芯の製造方法および巻き芯を提供することである。
第1の発明は、外周面にフィルムが巻き付けられる巻き芯の製造方法であって、押出成形装置を用いて熱可塑性樹脂を押出し成形することによって、円筒状の原管を製作する押出成形工程と、切削加工機を用いて原管の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部を形成する切削工程とを含み、切削加工機は、段差部を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管を押さえる押えローラを備える、巻き芯の製造方法である。
第1の発明では、その外周面にフィルムがロール状に巻き付けられる巻き芯を製造する。この巻き芯の製造方法は、断面円形の円筒状の原管を押出成形する押出成形工程と、原管の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部を形成する切削工程とを含む。この押出成形工程と切削工程とは、インラインで行われてもよいし、アウトラインで行われてもよい。また、切削工程に用いられる切削加工機は、段差部を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管を押さえる押えローラを備える。これによって、段差部の深さ方向における原管の変位(蛇行または振動)を防止しつつ、原管を軸方向に移動させながら原管に切削加工を施すことが可能となる。
第1の発明によれば、段差部を切削加工によって形成するので、様々なサイズおよび段差部の深さを有する巻き芯を製造可能であり、異形押出成形によって巻き芯を製造する場合と比較して、コストを低減できる。また、段差部を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管を押さえる押えローラを切削加工機が備えることによって、段差部の深さ方向における原管の変位が適切に抑制され、切削加工によって所望の段差部が正確に形成される。
第2の発明は、第1の発明に従属し、原管に対する押えローラの当接位置は、段差部から所定角度ずれた位置とされる。
第2の発明では、原管に対する押えローラの当接位置は、段差部(つまり切削加工部分)から所定角度ずれた位置とされ、段差部には押えローラが当接しないようにされる。この際、段差部の側面(立上り面)から押えローラと原管との当接位置までの角度は、22.5−45度に設定することが好ましい。
第2の発明によれば、原管に対する押えローラの当接位置は、段差部から所定角度ずれた位置とされるので、段差部の加工に影響を与えることなく、原管の変位を適切に抑制できる。したがって、所望の段差部をより正確に形成できる。
第3の発明は、第1または2の発明に従属し、段差部の深さは、フィルムの厚みと当該フィルムの巻始め端部を巻き芯に固定するための接着部材の厚みとを合わせた厚みよりも小さくされる。
第3の発明では、段差部の深さは、フィルムの厚みと接着部材の厚みとを合わせた厚み(フィルム等の厚み)よりも小さく設定される。つまり、フィルムの巻始め端部を巻き芯に固定した際には、フィルムの巻始め端部が段差部から少し突出した状態となるように、段差部の深さが設定される。ただし、巻き芯には、必ずしも接着部材が設けられるとは限らないので、接着部材が設けられない巻き芯の場合には、フィルムの厚みと接着部材の厚みとを合わせた厚みは、フィルム自体の厚みを意味することとなる。
ここで、フィルムおよび接着部材は、巻き芯と比較して軟らかく、巻き圧力で圧縮されるので、段差部の深さをフィルム等の厚みと予め同じ大きさに設定しておくと、フィルムの巻取り時に、段差部の側面上端がフィルムの巻始め端部よりも突出してしまう状況が生じる。段差部の側面上端がフィルムの巻始め端部よりも突出すると、フィルムに段差痕を発生させる原因となってしまう場合があるが、段差部の深さをフィルム等の厚みよりも予め小さく設定しておくことにより、これが防止される。
第3の発明によれば、段差部に起因する段差痕の発生を抑制でき、フィルム等の厚みと同じ深さを有する段差部を形成する場合と比較して、フィルムに生じる段差痕をより適切に防止ないし低減できる。
第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属し、切削加工機は、原管の押出成形工程のライン上に配置され、その配置位置は、押出成形装置が備える引取機の上流側であり、切削工程は、押出成形工程と連続的に行われる。
第4の発明では、原管に段差部を形成するための切削工程を押出成形工程とインラインで連続的に行う。このため、効率的に巻き芯を製造することができ、製造コストの低減を図ることができる。また、原管の押出方向における引取機の上流側に切削加工機を配置するので、切断機の作動振動が切削加工機を通過する原管に伝わることを防止できる。このため、切削加工時の原管の変位を適切に抑制でき、段差部をより正確に形成できる。
第5の発明は、第1ないし第4のいずれかの発明に従属し、切削加工機は、原管の外周面の接線方向に沿って軸が延びるように配置されるエンドミルを備える。
第5の発明では、切削加工機は、原管を切削して段差部を形成するためのエンドミルを備える。このエンドミルは、その軸が原管の外周面の接線方向に延びるように配置される。これによって、エンドミルの外周面形状を適宜変えることで、様々な形状を有する段差部を形成することができる。
第6の発明は、第5の発明に従属し、エンドミルの外周面は、先端側に向かって径小となるテーパ部を有する。
第6の発明では、エンドミルの外周面には、先端側に向かって曲線状または直線状に径小となるテーパ部が形成される。エンドミルにテーパ部を形成しない場合、巻き芯には、側面(立上り面)とは反対側の段差部の側縁において屈曲部が形成される。段差部の側縁に形成される屈曲部は、基本的には問題ないが、フィルムの材質等によっては段差痕の原因となってしまう可能性もある。そこで、エンドミルにテーパ部を形成し、その屈曲部を曲面化または広角化しておくことによって、フィルムに段差痕が生じることをより適切に防止できる。
第7の発明は、第5または第6の発明に従属し、エンドミルの先端部は、鍔状に形成される突起部を有し、切削工程において、カッタを案内するためのガイド溝がエンドミルによって段差部と同時に形成される。
第7の発明では、エンドミルの先端部には、鍔状の突起部が形成される。そして、原管を切削して段差部を形成する際には、これと同時に、エンドミルの突起部によってカッタを案内するためのガイド溝が形成される。
第7の発明によれば、1つのエンドミル、つまり一度の切削加工で段差部とガイド溝とを同時に形成できるので、切削工程を簡略化ないし効率化できる。
第8の発明は、外周面にフィルムが巻き付けられる巻き芯の製造方法であって、押出成形装置を用いて熱可塑性樹脂を押出し成形することによって、円筒状の原管を製作する押出成形工程と、切削加工機を用いて原管の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部を形成する切削工程とを含み、切削加工機は、原管の外周面の接線方向に沿って軸が延びるように配置され、かつ先端部に鍔状の突起部を有するエンドミルを備え、切削工程において、カッタを案内するためのガイド溝がエンドミルによって段差部と同時に形成される、巻き芯の製造方法である。
第8の発明では、その外周面にフィルムがロール状に巻き付けられる巻き芯を製造する。この巻き芯の製造方法は、断面円形の円筒状の原管を押出成形する押出成形工程と、原管の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部を形成する切削工程とを含む。この押出成形工程と切削工程とは、インラインで行われてもよいし、アウトラインで行われてもよい。また、切削工程に用いられる切削加工機は、原管を切削して段差部を形成するためのエンドミルを備える。このエンドミルは、原管の外周面の接線方向に沿って軸が延びるように配置され、かつ先端部に鍔状の突起部を有する。そして、原管を切削して段差部を形成する際には、これと同時に、エンドミルの突起部によってカッタを案内するためのガイド溝が形成される。
第8の発明によれば、1つのエンドミル、つまり一度の切削加工で段差部とガイド溝とを同時に形成できるので、切削工程を簡略化ないし効率化できる。したがって、段差部およびガイド溝を有する巻き芯の製造コストを低減できる。
第9の発明は、軸方向に沿って延びる段差部を外周面に有し、外周面にフィルムが巻き付けられる巻き芯において、段差部の深さが、フィルムの厚みと当該フィルムの巻始め端部を巻き芯に固定するための接着部材の厚みとを合わせた厚みよりも小さいことを特徴とする、巻き芯である。
第9の発明では、巻き芯は、フィルムをロール状に巻き取るために用いられ、その外周面には、軸方向に沿って延びる段差部が形成される。そして、この段差部の深さは、フィルムの厚みと接着部材の厚みとを合わせた厚み(フィルム等の厚み)よりも小さく設定される。つまり、フィルムの巻始め端部を巻き芯に固定した際には、フィルムの巻始め端部が段差部から少し突出した状態となるように、段差部の深さが設定される。ただし、巻き芯には、必ずしも接着部材が設けられるとは限らないので、接着部材が設けられない巻き芯の場合には、フィルムの厚みと接着部材の厚みとを合わせた厚みは、フィルム自体の厚みを意味することとなる。
ここで、フィルムおよび接着部材は、巻き芯と比較して軟らかく、巻き圧力で圧縮されるので、段差部の深さをフィルム等の厚みと予め同じ大きさに設定しておくと、フィルムの巻取り時に、段差部の側面上端がフィルムの巻始め端部よりも突出してしまう状況が生じる。段差部の側面上端がフィルムの巻始め端部よりも突出すると、フィルムに段差痕を発生させる原因となってしまう場合があるが、段差部の深さをフィルム等の厚みよりも予め小さく設定しておくことにより、これが防止される。
第9の発明によれば、段差部に起因する段差痕の発生を抑制でき、フィルム等の厚みと同じ深さを有する段差部を形成する場合と比較して、フィルムに生じる段差痕をより適切に防止ないし低減できる。
この発明によれば、段差部を切削加工によって形成するので、様々なサイズおよび段差部の深さを有する巻き芯を製造可能であり、異形押出成形によって巻き芯を製造する場合と比較して、コストを低減できる。また、段差部を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管を押さえる押えローラを切削加工機が備えることによって、段差部の深さ方向における原管の変位が適切に抑制され、切削加工によって所望の段差部が正確に形成される。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
この発明の一実施例である巻き芯の外観を示す図解図である。 図1の巻き芯のA部分を拡大して示す図解図である。 巻き芯における比率Wおよび突出比率Vと段差痕低減効果との関係についての実験結果を示す表である。 図1の巻き芯を製造する製造装置の一例を概略的に示す図解図である。 図1の製造装置が備える切削加工機の一例を示す側面図であって、原管の押出方向の下流側から切削加工機を見た様子を示す。 図5の切削加工機の正面図であって、原管の押出方向と直交する方向から切削加工機を見た様子を示す。 図5の切削加工機が備えるエンドミルの一例によって、原管を切削加工する様子を概略的に示す図解図である。 図5の切削加工機が備える押えローラの原管に対する当接位置を示す図解図である。 第2のエンドミルによって、原管をさらに切削加工する様子を示す図解図である。 エンドミルの他の一例を示す図解図である。 エンドミルのさらに他の一例を示す図解図である。 エンドミルのさらに他の一例を示す図解図である。 エンドミルのさらに他の一例を示す図解図である。 切削加工機の他の一例を示す正面図である。
図1および図2を参照して、この発明の一実施例である巻き芯10は、長尺のフィルム100をロール状に巻き取るために用いられる。
巻き芯10に巻き付けられるフィルム100は、タッチパネル用フィルム、半導体用フィルムおよび光学フィルム等の各種のフィルムであって、その厚みは、たとえば100−500μmである。フィルム100は、単層構造を有していてもよいし、たとえばフィルム基材に対して粘着層や導電層などが積層された複層構造を有していてもよい。なお、フィルム100は、その厚みや材質などによっては、シートや膜などとも呼ばれることがある。
図1および図2に示すように、巻き芯10は、熱可塑性樹脂などによって、その外周面に段差部12を有する略円筒状に形成される。巻き芯10の内径は、たとえば50−300mmであり、その軸方向長さは、たとえば100−2000mmである。
巻き芯10の材質としては、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、AS(アクリロニトリルスチレン)樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリ乳酸、PGA(ポリグリコール酸)、および植物由来性樹脂などの熱可塑性樹脂、或いはこれら熱可塑性樹脂のアロイが用いられる。この中でも、ABS系樹脂またはポリ塩化ビニルが好適に用いられる。
また、巻き芯10の原料となる熱可塑性樹脂は、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ、ガラス繊維および炭素繊維などのフィラーを含有していてもよい。熱可塑性樹脂にフィラーを添加することにより、強度向上効果、線膨張率が小さくなることによる曲がり低減効果および寸法精度向上効果が得られる。この中でも、タルク含有ABS樹脂またはタルク含有ポリプロピレンが好適に用いられる。この際、タルクの添加量は、3−15%が好ましい。タルクの添加量が15%を超えると、巻き芯10が割れ易くなってしまうからであり、タルクの添加量が3%未満であると、強度向上効果、曲がり低減効果および寸法精度向上効果が小さくなってしまうからである。また、タルク含有ポリ乳酸とABS系樹脂とのアロイも好適に用いられる。さらに、基材の熱可塑性樹脂としてポリプロピレン、ABS系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリフェニレンスルファイドを用いる、炭素繊維含有熱可塑性樹脂も好適に用いられる。
巻き芯10の外周面に形成される段差部12は、フィルム100の巻始め端部に起因する段差痕を解消するために形成されるものであり、巻き芯10の軸方向に沿って延びるように、その軸方向の全長に亘って形成される。段差部12は、巻き芯10の厚み方向(径方向)に立ち上がる側面12aと、側面12aと直交する方向(接線方向)に形成される底面12bとを含む。
また、段差部12の底面12bには、フィルム100の巻始め端部を巻き芯10に固定するための接着部材14が設けられる。フィルム100を巻き芯10に巻き取る際には、フィルム100の先端を段差部12の側面12aに対して当接または近接させるようにして、段差部12の底面12bに対して、フィルム100の巻始め端部が接着部材14を介して固定される。
接着部材14としては、両面に粘着性を有する接着テープ(両面テープ)、基材無しの粘着テープおよび接着剤などが用いられる。接着部材14の厚みは、たとえば10−50μmである。ただし、接着部材14は、必ずしも設けられる必要はなく、たとえばフィルム100自体の粘着性が大きい場合には、段差部12の底面12bに対してフィルム100の巻始め端部を直接貼り付けるようにして固定してもよい。
また、段差部12の深さ(段差高さ)X、つまり側面12aの巻き芯10の厚み方向における長さは、フィルム100の厚みと接着部材14の厚みとを合わせた厚み(以下、「フィルム100等の厚み」という。)Yよりも小さくされる。つまり、フィルム100の巻始め端部を巻き芯10に固定した際には、フィルム100の巻始め端部が段差部12から少し突出した状態となるように、段差部12の深さXが設定される。
これは、フィルム100および接着部材14は、巻き芯10と比較して軟らかく、巻き圧力で圧縮されるので、段差部12の深さXをフィルム100等の厚みYと予め同じ大きさに設定しておくと、フィルム100の巻取り時に、段差部12の側面12a上端がフィルム100の巻始め端部よりも突出して、フィルム100に段差痕を発生させる原因となってしまう場合があるからである。
そこで、この実施例では、段差部12の深さXをフィルム100等の厚みYよりも小さく設定している。フィルム100等の厚みYに対する段差部12の深さXの比率W(W=X/Y)は、0.56−0.86が好ましい。すなわち、段差部12からフィルム100の上面部がはみ出す比率を示す突出比率V(V=(Y−X)/X)は、0.14−0.80とすることが好ましい。フィルム100の突出比率Vが0.14よりも小さいと、段差部12に起因する段差痕がフィルム100に発生する可能性が高くなり、突出比率Vが0.80よりも大きいと、フィルムの巻始め端部に起因する段差痕がフィルム100に発生する可能性が高くなる。
なお、接着部材14を巻き芯10に設けない場合には、フィルム100等の厚みYは、フィルム100自体の厚みを意味することとなる。
図3には、発明者等による、比率Wおよび突出比率Vと段差痕低減効果との関係についての実験結果を示す。この実験では、3種類の実験体(巻き芯)について、段差部の深さXをそれぞれ変えたものを作成して、段差痕の低減評価を行った。段差痕の低減評価においては、段差痕が発生しない、或いは商品として採用可能な程度まで段差痕が低減されたものをOKと判定した。一方、段差痕が低減されない、或いは商品として採用不能な程度しか段差痕が低減されなかったものをNGと判定した。
図3の表に示すように、突出比率Vが0.14−0.80(比率Wが0.56−0.86)の巻き芯については、良好な段差痕低減効果が認められた。一方で、フィルム等の突出比率Vが0.14よりも小さい巻き芯、および突出比率が0.80よりも大きい巻き芯については、有効な段差痕低減効果は認められなかった。
また、図示は省略するが、巻き芯10の外周面には、インクジェット印刷機などを利用して、段差部12の位置(つまりフィルム100の巻き付け開始位置)を示すための目印を設けておくとよい。目印としては、段差部12の底面12bまたは側面12a頂部において、巻き芯10の軸方向に沿って延びる直線や点線、または側面12aを指し示す矢印などの図形を表示するとよい。段差部12の深さは小さく、段差部12自体は目立たないものなので、目印を用いて段差部12の位置を明示するによって、巻き芯10に対するフィルム100の巻き付け作業が容易となる。
図4は、巻き芯10を製造するための製造装置30の一例を概略的に示す図解図である。以下、図4を参照して、製造装置30を用いて巻き芯10を製造する方法の一例について説明する。この巻き芯10の製造方法には、基本的に、押出成形装置を用いて円筒状の原管102を押出し成形する押出成形工程と、切削加工機50を用いて原管102の外周面に段差部を形成する切削工程とが含まれる。そして、この実施例の製造方法(製造装置30)では、押出成形工程(押出成形装置)のライン上に切削加工機50が組み込まれ、切削加工機50を用いた切削工程は、押出成形工程とインライン(オンライン)で連続的に行われる。つまり、製造装置30は、押出成形装置と切削加工機50とを含む。
具体的には、押出成形装置は、熱可塑性樹脂を押出し成形することによって、円筒状の原管102、つまり段差部のない断面円形の原管102を製作する装置であって、原管102の押出方向における上流側から順に、押出機32、ダイ34、真空サイジング36、スプレークーリングバス38、キャタピラ式(ブロック式)の引取機40および切断機42などを含む。押出成形装置としては、一般的な円筒管用(たとえば段差部を有さない巻き芯用)の装置を適宜用いるとよい。
そして、この実施例では、上述のような押出成形装置を用いた押出成形工程のライン上に、切削加工機50が組み込まれる。具体的には、切削加工機50は、原管102の押出方向における引取機40の上流側、つまりスプレークーリングバス38と引取機40との間に配置される。切削加工機50の具体的構成については、後述する。
このような製造装置30では、溶融状態の熱可塑性樹脂が押出機32からダイ34に送られる。熱可塑性樹脂は、ダイ34を通過することによって、円筒状の原管102となって連続的に押し出される。ダイ34から押し出された原管102は、真空サイジング36を通過することによって、冷却されると共に、所定寸法の円筒状にサイジングされる。真空サイジング36によってサイジングされた原管102は、スプレークーリングバス38において、さらに冷却される。冷却された円筒状の原管102は、切削加工機50を通過することによって、その外周面に軸方向に沿って延びる段差部が切削加工された後、引取機40によって引き取られて、切断機42に送られる。そして、切断機42において、所定長さに切断されることによって、巻き芯10が製造される。
なお、製造装置30の構成については、適宜変更可能である。たとえば、スプレークーリングバス38は、必ずしも設ける必要はない。また、切削加工時の原管102の変位(蛇行または振動)を抑制するために、キャタピラ式の引取機40に代えて、ベルト式の引取機を用いることもできる。また、切削加工機50は、切断機42の上流側、つまり引取機40と切断機42との間に配置することも可能である。ただし、この場合には、切断機42の作動振動が切削加工機50を通過する原管102に伝わる可能性があるので、切削加工時の原管102の変位を抑制する観点からは、切削加工機50は、引取機40の上流側に配置することが好ましい。
次に、図5および図6を参照して、切削加工機50の構成について具体的に説明する。切削加工機50は、直方体状の枠体である支持台52を備える。支持台52の下端部の4隅には、車輪54が設けられると共に、高さ調節機構を有する固定部56が設けられる。つまり、支持台52(延いては切削加工機50)は、車輪54によって移動可能であり、固定部56によってその上面高さを調節可能な状態で所定位置に固定される。
また、支持台52の上面には、エンドミル58、支えローラ60、押えローラ62および左右固定用ローラ64等を備える切削加工機50の装置本体が設けられる。後述のように、エンドミル58と押えローラ62とは、上部ユニット70として一体化されており、この上部ユニット70は、支持台52の上方において配置高さを調節可能(昇降可能)に設けられる。なお、図5および図6では、エンドミル58および押えローラ62を含む上部ユニット70が上昇位置にある状態を示している。
エンドミル58は、上述の原管102の外周面上部(頂部)を切削するための棒状の切削部材であり、モータ66の駆動軸に対して軸継手などの連結部材を介して連結される。エンドミル58は、モータ66からの駆動力を受けることによってその軸周りに回転し、その外周面に形成された刃で原管102を切削する。エンドミル58の径は、たとえば10mmであり、その軸方向長さは、たとえば150mmである。
また、エンドミル58は、この実施例では横向きに配置される。つまり、エンドミル58は、その軸が原管102の外周面の接線方向に沿って延びるように配置される。図7からよく分かるように、切削加工機50を通過する原管102(巻き芯10)の外周面上部には、エンドミル58の先端面に沿って段差部12の側面12aが形成され、エンドミル58の外周面に沿って段差部12の底面12bが形成される。このようにエンドミル58を横向きに配置すれば、後述するエンドミル58の他の例のように、エンドミル58の外周面形状を適宜変えることで、様々な形状を有する段差部12の加工が可能となる。
ただし、図7は、エンドミル58によって原管102を切削加工する様子を概略的に示すものであり、段差部12の深さおよび幅、ならびにエンドミル58の径および軸方向長さのそれぞれの対応関係を正確に示すものではない。
また、図示は省略するが、エンドミル58とモータ66の駆動軸とを連結する連結部材には、連結部材を支持する1または複数の固定部材(支え構造)を設けておくとよい。エンドミル58の振れを適切に防止するためには、この固定部材は、エンドミル58の近傍に設けることが好ましく、また、エンドミル58自体の軸方向長さも小さく設定することが好ましい。連結部材に対して固定部材を設けておくことによって、エンドミル58の振れが防止されるので、エンドミル58による段差部12の加工精度が向上する。
図5および図6に戻って、支えローラ60および押えローラ62は、原管102の押出方向におけるエンドミル58の上流側および下流側のそれぞれに設けられる。支えローラ60および押えローラ62は、互いに協働して原管102の上下方向の変位(蛇行または振動)を規制する上下固定用ローラを構成する。すなわち、支えローラ60は、原管102を下方から支持し、押えローラ62は、原管102を上方から、つまり段差部12を形成する方向から押さえる。具体的には、支えローラ60および押えローラ62は、V溝型の従動ローラであって、その間に原管102を所定圧で挟み込むことによって、原管102の上下方向の変位を防止しつつ、自身は原管102の押出方向の移動に伴いその軸周りに回転する。エンドミル58の軸とその上流側および下流側に配置される押えローラ62の軸との間の距離は、たとえば130mmである。
また、支えローラ60および押えローラ62のV溝の表面には、ゴムライニングを施しておくとよい。これによって、支えローラ60および押えローラ62の原管102に対するグリップ力が向上し、原管102の上下方向の変位をより効果的に防止できる。
このような支えローラ60は、支持台52の上面に対して移動不可に設けられる。そして、切削加工機50を原管102の押出成形工程のライン上に配置する際には、原管102の外周面が支えローラ60のV溝の表面に当接するように、固定部56の高さ調節機構を利用して、支えローラ60の配置高さが調節される。
また、押えローラ62は、支持フレーム68等によってエンドミル58およびモータ66と一体化されて、上部ユニット70を構成している。そして、この上部ユニット70全体は、昇降シリンダ72によって、支持軸74に沿って配置高さを調節可能とされる。また、上部ユニット70では、エンドミル58およびモータ66が、ハンドル78の操作に応じて、押えローラ62に対する上下方向の相対位置を調節可能とされる。製造装置30を用いて巻き芯10を製造する際には、押えローラ62が支えローラ60との間で原管102を所定圧で挟み込むことが可能なように、上部ユニット70全体が下方に移動されて固定される。また、エンドミル58は、所望深さの段差部12を形成できるように、その配置高さが微調整される。つまり、エンドミル58は、押えローラ62に対する相対位置を変えることで、様々な深さの段差部12を形成できる。
また、左右固定用ローラ64は、上流側の支えローラ60の上流側、および下流側の支えローラ60の下流側のそれぞれに設けられる。左右固定用ローラ64は、一対のフラット型の従動ローラ(右押えローラおよび左押えローラ)であって、ハンドル78の操作に応じて、互いの間隔を調節可能なように横方向に移動可能とされる。左右固定用ローラ64は、原管102を両側から所定圧で挟み込むことによって、原管102の横方向の変位(蛇行または振動)を規制しつつ、自身は原管102の押出方向の移動に伴いその軸周りに回転する。
さらに、図示は省略するが、切削加工機50には、切削加工によって発生する切削屑を原管102から除去するための屑除去部が設けられる。屑除去部としては、たとえば、エンドミル58の近傍に設けられ、原管102の切削加工部分に対してエアを吹き付ける送風機が用いられる。ただし、屑除去部は、原管102を挟んでエンドミル58の対向位置に配置されて、切削屑を吸い込む集塵機であってもよい。
そして、この実施例の製造方法(切削加工機50)では、図8に示すように、エンドミル58の下流側に配設される押えローラ62の原管102に対する当接位置は、段差部12、つまり切削加工部分から所定角度ずれた位置とされる。つまり、段差部12(切削加工部分)に対して押えローラ62を当接させないようにしつつ、原管102の変位を適切に抑制できる角度に設定される。
ここで、段差部12の深さの加工精度を向上させるためは、段差部12の深さ方向(上下方向)の原管102の変位を可能な限り小さくする必要がある。したがって、押えローラ62によって上方から、つまり段差部12を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管102を押さえることが重要となる。一方で、段差部12、特に側面12a上端に押えローラ62が当接すると、段差部12が変形してしまい、所望の形状ないし深さを有する段差部12を形成できない恐れがある。つまり、段差部12の加工に影響がでる恐れがある。また、段差部12に押えローラ62が当接すると、押えローラ62が原管102を押さえるバランスが悪くなってしまい、原管102の変位を適切に抑制できなくなる恐れもある。
そこで、この実施例では、押えローラ62の原管102に対する当接位置は、段差部12から所定角度ずれた位置とされる。段差部12に対して押えローラ62を当接させないようにしつつ、原管102の変位を適切に抑制するためには、段差部12の側面12aから押えローラ62と原管102との当接位置(当接中心)までの角度αは、22.5−45度に設定することが好ましい。この実施例では、角度αは30度に設定されている。
以上のように、この実施例の巻き芯10の製造方法によれば、段差部12を切削加工によって形成するので、様々なサイズ(径や厚み)および段差部12の深さを有する巻き芯10を製造可能であり、異形押出成形によって巻き芯を製造する場合と比較して、設備コストを低減できる。また、段差部12を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管102を押さえる押えローラ62を切削加工機50が備えることによって、段差部12の深さ方向における原管102の変位が適切に抑制され、切削加工によって所望の段差部12が正確に形成される。
また、この実施例によれば、原管102に対する押えローラ62の当接位置は、段差部12から所定角度ずれた位置とされるので、段差部12の加工に影響を与えることなく、原管102の変位を適切に抑制できる。したがって、所望の段差部12を正確に形成できる。
さらに、この実施例によれば、段差部12の深さXをフィルム100等の厚みYよりも小さく設定するので、段差部12に起因する段差痕の発生を抑制でき、フィルム等の厚みYと同じ深さXを有する段差部12を形成する場合と比較して、フィルム100に生じる段差痕をより適切に防止ないし低減できる。また、段差部12の深さを小さく設定することで、切削加工における切削量を低減でき、切削屑の発生量を低減できる。さらに、切削屑の発生量が少ないことから、送風機などの屑除去部による切削屑の除去も行い易くなる。
さらにまた、この実施例によれば、段差部12を形成するための切削工程を押出成形工程とインラインで連続的に行うので、効率的に巻き芯10を製造することができ、製造コストの低減を図ることができる。また、原管102の押出方向における引取機40の上流側に切削加工機50を配置することによって、切断機42の作動振動が切削加工機50を通過する原管102に伝わることを防止できる。このため、切削加工時の原管102の変位を適切に抑制でき、段差部12をより正確に形成できる。
ここで、段差部12を形成する切削工程を押出成形工程とは別にアウトラインで行う場合には、原管102を押出成形後に室温まで冷却する過程において、原管102の周方向での厚みの違いに起因して、原管102に軸方向の曲がりが発生してしまう場合がある。原管102に曲がりがあると、フライス盤などの従来の切削加工機に対して原管102を設置する際の位置決めに手間がかかる。また、短尺の原管102を1本ずつ手作業で切削加工機に設置する必要もあるので、余計に手間がかかる。これに対して、この実施例のように、切削工程を押出成形工程とインラインで連続的に行うことによって、支えローラ60、押えローラ62および左右固定用ローラ64等を用いて原管102とエンドミル58との位置関係を一定にする最初の位置設定のみで、原管102の全長に亘って段差部12を正確に切削加工できるようになる。
また、原管102が一度曲がってしまうと、その曲がりを矯正して原管102を直線状にすることは困難であるため、切削加工機による切削加工時に、段差部12の深さおよび幅にばらつきが生じてしまう。特に、1m以上の軸方向長さを有する巻き芯10を製造する場合には、その変動が大きくなってしまう。これに対して、この実施例のように、切削工程を押出成形工程とインラインで連続的に行うことによって、押出成形直後の原管102に曲がりが発生する前、或いは曲がりが少ない状態において、切削加工を完了させることができる、したがって、原管102の曲がりの矯正が不要となり、原管102の全長に亘って正確に段差部12を形成できる。
このように切削工程を押出成形工程とインラインで連続的に行うことは、図5および図6に示すような構成を有する切削加工機50をこの発明者等が開発することによって、可能となったものである。
なお、上述の実施例では、切削加工機50に1つのエンドミル58を設けるようにしたが、切削加工機50は、2つ以上のエンドミルを備えていてもよい。たとえば、上述の実施例のように棒状のエンドミル58を用いて段差部12を切削すると、段差部12の側面12aと逆側の側縁12c(図7参照)には、屈曲部が形成される。側縁12cの屈曲部は、基本的には問題ないが、フィルム100の材質等によっては段差痕の原因となってしまう可能性もある。そこで、切削加工機50には、エンドミル58の下流側において第2のエンドミル80を設け、この第2のエンドミル80を用いて、側縁12cの屈曲部が円滑な曲面となるように再度切削加工することもできる。この第2のエンドミル80としては、図9に示すように、先端側に向かって曲線状に径小となる外周面を有するものを用いるとよい。段差部12の側縁12cを曲面化することによって、フィルム100に段差痕が生じることをより確実に防止できる。
また、図示は省略するが、第2のエンドミル80を切削加工機50に設ける代わりに、研磨ディスク等を設けて側縁12cの屈曲部を面取りするようにしてもよい。なお、第2のエンドミル80や研磨ディスク等は、必ずしも切削加工機50に設けられる必要はなく、切削加工機50の下流側に配置される別の切削加工機に設けるようにしてもよい。
さらに、エンドミル58に加えて第2のエンドミル80等を設ける代わりに、エンドミル58の形状を変更することによって、1つのエンドミル58で段差部12の側縁12cを曲面化することもできる。たとえば、図10に示すように、その外周面に、先端側に向かって曲線状に径小となるテーパ部58aを有するエンドミル58を用いるとよい。
また、たとえば、図11に示すように、その外周面に、先端側に向かって直線状に径小となるテーパ部58aを有するエンドミル58を用いることもできる。この直線状のテーパ部58aの傾斜角度(テーパ角)は、たとえば1−3度に設定される。なお、図11に示すエンドミル58の場合には、段差部12の側縁12cの屈曲部は少し残る。しかし、屈曲部を広角化できるので、図11に示すエンドミル58においても、フィルム100に段差痕が生じることを適切に防止できる。
また、上述の実施例では、巻き芯10の外周面に対して段差部12を形成するだけであったが、図12に示すように、巻き芯10の外周面には、カッタを案内するためのガイド溝16を形成することもできる。ガイド溝16は、段差部12の側面12aに沿うように底面12bに形成され、巻き芯10の軸方向全長に亘って延びる。ガイド溝16の深さ、つまりガイド溝16の底面から段差部12の底面12bまでの距離は、たとえば0.5−1.5mmであり、ガイド溝16の幅は、たとえば0.5−1.5mmである。このガイド溝16は、フィルム100の先端が巻き芯10の軸方向に対して平行でない場合などにおいて、段差部12の側面12aに対してフィルム100の先端を適切に当接できるように、フィルム100の余分な部分をカッタで切り落とすために用いられる。
このようなガイド溝16を形成する場合には、図12に示すように、その先端部に鍔状の突起部58bを有するエンドミル58を用いるとよい。図12に示すエンドミル58を用いることによって、1つのエンドミル58、つまり一度の切削加工で段差部12とガイド溝16とを同時に形成できるので、切削工程を簡略化ないし効率化できる。したがって、段差部12およびガイド溝16を有する巻き芯10の製造コストを低減できる。
また、図13に示すように、巻き芯10に形成する段差部12の側面12aと底面12bとの連結部分12dは、円弧状(R形状)としてもよい。これによって、段差部12(延いては巻き芯10)の強度を向上させることができる。この場合には、その先端に曲面部58cを有するエンドミル58を用いるとよい。
さらに、図12または図13に示すエンドミル58の外周面には、図10または図11に示すようなテーパ部58aを形成することもできる。
以上のように、エンドミル58を横向きに配置し、エンドミル58の外周面形状を適宜変えることで、様々な形状を有する段差部12を形成することができる。また、段差部12とガイド溝16とを同時に形成することも可能となる。つまり、原管102の外周面の接線方向に沿ってその軸が延びるようにエンドミル58を配置することによって、切削加工のバリエーションが増える。
ただし、エンドミル58は、縦向きに配置、つまり原管102の厚み方向に沿ってその軸が延びるように配置してもよい。この場合には、切削加工のバリエーションは少なくなるが、エンドミル58の軸方向とエンドミル58を原管102に押し当てる方向とが一致するので、エンドミル58自体の振れが発生し難くなる。
また、上述の実施例では、支えローラ60と押えローラ62とによって構成される上下固定用ローラを、エンドミル58の上流側と下流側とにおいて、2つ(2連)設けるようにしたが、上下固定用ローラは、3連以上設けることもできる。上下固定用ローラを増設する場合には、上下固定用ローラは、3連−6連とすることが好ましい。このように上下固定用ローラを増設することによって、より適切に原管102の変位を抑制することができる。
なお、上下固定用ローラを3連とする場合には、エンドミル58の上流側を1連とし、エンドミル58の下流側を2連とすることが好ましい。これは、引取機40または切断機42における作動振動が原管102の変位に与える影響が大きいからであり、エンドミル58の下流側に上下固定用ローラを増設することによって、より効果的に原管102の変位を抑制することができるからである。同様に、上下固定用ローラを5連とする場合には、エンドミル58の上流側を2連とし、エンドミル58の下流側を3連とすることが好ましい。
一例として、図14には、上下固定用ローラを4連とした場合の切削加工機50を示す。図14に示す切削加工機50では、図5に示した切削加工機50の構成に加えて、上流側の左右固定用ローラ64の上流側、および下流側の左右固定用ローラ64の下流側のそれぞれに対して、支えローラ60と押えローラ62とによって構成される上下固定用ローラが増設される。つまり、エンドミル58の上流側および下流側のそれぞれに対して、2連の上下固定用ローラが設けられる。そして、4つの押えローラ62は、支持フレーム68等によってエンドミル58およびモータ66と一体化されて上部ユニット70を構成し、この上部ユニット70全体が、昇降シリンダ72によって支持軸74に沿って配置高さを調節可能とされる。
さらに、上述の実施例では、押えローラ62としてV溝型の押えローラを用いたが、押えローラとしては、フラット型の押えローラを用いることもできる。この場合には、V溝型の押えローラのV溝の表面と対応するように、2つのフラット型の押えローラが斜め方向に延びるように配設され、段差部12を形成する方向に対して押圧力が作用するようにされる。そして、この場合においても、原管102に対する押えローラの当接位置は、段差部12から所定角度ずれた位置とされる。
さらにまた、上述の実施例では、原管102の上部を切削することによって段差部12を形成するようにしたが、段差部12を形成する原管102の外周面の周方向位置は、特に限定されない。たとえば、エンドミル58を用いて原管102の側部や底部などを切削することによって、段差部12を形成するようにしてもよい。この場合には、原管102を下方から押さえる支えローラ、左右から押さえる右押えローラまたは左押えローラ等が、段差部12を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管102を押さえる押えローラとして機能する。そして、この場合においても、原管102に対する押えローラの当接位置は、段差部12から所定角度ずれた位置とされる。
また、上述の実施例では、押えローラ62が段差部12を形成する方向から原管102を押さえているが、これに限定されない。たとえば、原管102の上部を切削することによって段差部12を形成する場合には、右押えローラおよび左押えローラとしてV溝型の押えローラを採用し、この右押えローラおよび左押えローラによって、段差部12を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管102を押さえるようにしてもよい。すなわち、段差部12を形成する方向以外の方向から原管102を押さえるV溝型の押えローラを、段差部12を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管102を押さえる押えローラとして機能させてもよい。そして、この場合においても、原管102に対する押えローラの当接位置は、段差部12から所定角度ずれた位置とされる。
ただし、段差部12を形成する方向に対して押圧力が作用するように原管102を押さえる押えローラは、必ずしも段差部12から所定角度ずれた位置において原管102に当接する必要はなく、段差部12と当接するように原管102を押さえる場合もあり得る。
さらに、上述の実施例では、原管102の外周面に段差部を形成する切削工程を、押出成形工程とインラインで連続的に行うようにしたが、切削工程は、押出成形工程とアウトライン(オフライン)で行うこともできる。切削工程をアウトラインで行う場合にも、図5や図14で例示した切削加工機50を用いるとよい。
切削工程をアウトラインで行う場合には、先ず、一般的な円筒管用の押出成形装置を用いて、3−4m程度の長尺の円筒状の原管102を製作する。続いて、切削加工機50を用いて、原管102の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部12を形成する。その後、切断機などを用いて、段差部12を形成した原管102を所定長さに切断することによって、巻き芯10が製造される。このように切削工程をアウトラインで行うことによって、製造工程の自由度が上がる。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
10 …巻き芯
12 …段差部
30 …巻き芯の製造装置
50 …切削加工機
58 …エンドミル
58a …エンドミルのテーパ部
58b …エンドミルの突起部
60 …支えローラ
62 …押えローラ
64 …左右固定用ローラ
100 …巻き芯
102 …原管

Claims (9)

  1. 外周面にフィルムが巻き付けられる巻き芯の製造方法であって、
    押出成形装置を用いて熱可塑性樹脂を押出し成形することによって、円筒状の原管を製作する押出成形工程と、
    切削加工機を用いて前記原管の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部を形成する切削工程とを含み、
    前記切削加工機は、前記段差部を形成する方向に対して押圧力が作用するように前記原管を押さえる押えローラを備える、巻き芯の製造方法。
  2. 前記原管に対する前記押えローラの当接位置は、前記段差部から所定角度ずれた位置とされる、請求項1記載の巻き芯の製造方法。
  3. 前記段差部の深さは、前記フィルムの厚みと当該フィルムの巻始め端部を前記巻き芯に固定するための接着部材の厚みとを合わせた厚みよりも小さくされる、請求項1または2記載の巻き芯の製造方法。
  4. 前記切削加工機は、前記原管の前記押出成形工程のライン上に配置され、その配置位置は、前記押出成形装置が備える引取機の上流側であり、
    前記切削工程は、前記押出成形工程と連続的に行われる、請求項1ないし3のいずれかに記載の巻き芯の製造方法。
  5. 前記切削加工機は、前記原管の外周面の接線方向に沿って軸が延びるように配置されるエンドミルを備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の巻き芯の製造方法。
  6. 前記エンドミルの外周面は、先端側に向かって径小となるテーパ部を有する、請求項5記載の巻き芯の製造方法。
  7. 前記エンドミルの先端部は、鍔状に形成される突起部を有し、
    前記切削工程において、カッタを案内するためのガイド溝が前記エンドミルによって前記段差部と同時に形成される、請求項5または6記載の巻き芯の製造方法。
  8. 外周面にフィルムが巻き付けられる巻き芯の製造方法であって、
    押出成形装置を用いて熱可塑性樹脂を押出し成形することによって、円筒状の原管を製作する押出成形工程と、
    切削加工機を用いて前記原管の外周面に対して軸方向に沿って延びる段差部を形成する切削工程とを含み、
    前記切削加工機は、前記原管の外周面の接線方向に沿って軸が延びるように配置され、かつ先端部に鍔状の突起部を有するエンドミルを備え、
    前記切削工程において、カッタを案内するためのガイド溝が前記エンドミルによって前記段差部と同時に形成される、巻き芯の製造方法。
  9. 軸方向に沿って延びる段差部を外周面に有し、前記外周面にフィルムが巻き付けられる巻き芯において、
    前記段差部の深さが、前記フィルムの厚みと当該フィルムの巻始め端部を前記巻き芯に固定するための接着部材の厚みとを合わせた厚みよりも小さいことを特徴とする、巻き芯。
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