JP2016135551A - 画像形成装置,再転写方式の印刷装置,及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、この画像形成装置を含む再転写方式の印刷装置が記載されている。この印刷装置で用いるインクリボンは、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),及びブラック(BK)の四色であり、被画像形成体は帯状の中間転写フィルムである。
すなわち、色毎に、サーマルヘッドの離隔,中間転写フィルムの一フレーム分の巻き戻しと頭出し,及びサーマルヘッドの圧着の各動作をこの順に行う。
従って、四色のインクを用いたカラー画像を形成するために、中間転写フィルムについて、四回の頭出し動作(三回の巻き戻し動作)を行う。
滑剤は、種類毎に温度特性の異なる滑性を有する。
例えば、比較的低コストな汎用の滑剤の中には、低〜中濃度の転写を継続実行するときにサーマルヘッドで昇温される温度範囲において、滑性が、他の温度範囲よりも低下するものがある。
サーマルヘッドの発熱抵抗体の表面に滑剤が付着堆積すると、熱エネルギがインク層に伝わりにくくなるため、形成した画像に部分的な転写濃度低下(濃度むら)が生じる。
画像形成装置には、このような滑り性低下の虞のある滑剤が塗布されたインクリボンを含む、種々のインクリボンが装填される。
そのため、画像形成装置は、インクリボンの滑剤がサーマルヘッドの発熱抵抗体に付着堆積しにくくなる工夫が施されて、被画像形成体に、長期に亘り良好な画像が形成できることが望まれる。
1) プラテンローラと、前記プラテンローラに対し相対的に離接するサーマルヘッドと、を備え、前記プラテンローラと前記サーマルヘッドとの間でインクリボン及び被画像形成体を圧接移動させて前記インクリボンのインクを前記被画像形成体に転写し、前記被画像形成体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記被画像形成体は、区画された複数の転写フレームを有し、少なくとも一つの前記転写フレームに対し、前記画像を、最高濃度を第1の濃度とする第1の濃度範囲内の濃度により転写される第1の範囲の画像と、前記第1の範囲よりも後に、前記第1の濃度よりも高濃度の第2の濃度により転写される第2の範囲の画像と、を含めて形成するよう制御する制御部を備えていることを特徴とする画像形成装置である。
2) 1)に記載の画像形成装置と、前記画像形成装置で前記被画像形成体に転写された前記第1の範囲の画像の一部を、被再転写体に再転写する再転写装置と、を備えたことを特徴とする再転写方式の印刷装置である。
3) サーマルヘッドの動作によりインクリボンのインクを被画像形成体に転写して前記被画像形成体に画像を形成する画像形成方法であって、
前記被画像形成体は、区画された複数の転写フレームを有し、少なくとも一つの前記転写フレームにおいて、前記画像を、最高濃度を第1の濃度とする第1の濃度範囲により第1の範囲の画像を転写する第1ステップと、前記第1ステップの後に、前記第1の濃度よりも高濃度の第2の濃度及び第1のライン数で第2の範囲の画像を転写する第2のステップと、を実行して形成することを特徴とする画像形成方法である。
まず、実施例1の画像形成装置51を備えた再転写方式の印刷装置PRについて図1〜図15を参照して説明する。
図1に示されるように、画像形成装置51は、印刷装置PRの筐体PRa内に収められている。印刷装置PRは再転写方式の印刷装置であって、いわゆるカードプリンタである。
画像形成装置51は、インクリボン11用の供給リール12及び巻き取りリール13を装脱自在に取り付け可能である。
取り付けられた供給リール12及び巻き取りリール13は、それぞれ駆動用のモータM12及びモータM13の駆動により回転する。モータM12,M13の回転速度及び回転方向は、画像形成装置51に備えられた制御部CTにより制御される。
インクリボン11の走行経路の途中には、頭出し用のインクリボンセンサ15が配置されている。
インクリボンセンサ15は、インクリボン11の頭出しマーク11d(図3参照)を検出し、リボンマーク検出情報J1(図2参照)を制御部CTに向け送出する。
サーマルヘッド16は、掛け渡されたインクリボン11のリボンベース11a側の面(図3参照)に対し離接する(図5の矢印Da方向)。
このサーマルヘッド16の離接動作は、ヘッド離接駆動部D16により制御部CTの制御の下で実行される。
取り付けられた供給リール22及び巻き取りリール23は、それぞれ駆動用のモータM22及びモータM23の駆動により回転する。モータM22,M23の回転速度及び回転方向は、制御部CTにより制御される。
中間転写フィルム21の走行経路の途中には、頭出し用のフィルムセンサ25が配置されている。
フィルムセンサ25は、中間転写フィルム21のフレームマーク21d(図4参照)を検出し、フレームマーク検出情報J2(図2参照)を制御部CTに向け送出する。
モータM26の回転速度及び回転方向は、制御部CTにより制御される。
詳しくは、サーマルヘッド16は、インクリボン11をプラテンローラ26に向け押圧し、プラテンローラ26との間に中間転写フィルム21とインクリボン11とを挟んで圧接させる圧接位置(図5に示される位置)と、インクリボン11から離隔した離隔位置(図1に示される位置)と、の間を移動する。サーマルヘッド16が圧接位置にあるときに、後述する転写が行われる。
制御部CTは、画像データ送出部CT1及びクリーニング画像生成部CT2を有する。
画像データ送出部CT1は、サーマルヘッド16が圧接位置にあるとき、中間転写フィルム21の転写フレームF(後述)それぞれに転写する画像データSN1をサーマルヘッド16へ適宜タイミングで供給する。このタイミングは、フレームマーク検出情報J2などに基づいて制御部CT全体として決定される。画像データ送出部CT1は、画像データSN1を、転写画像情報J3に基づき生成する。
クリーニング画像生成部CT2は、発熱抵抗体16aに付着堆積した滑剤を除去するためのクリーニング画像を転写させる制御信号(以下、C転写制御信号SN2と称する)を生成し、転写フレームそれぞれにC転写制御信号SN2をサーマルヘッド16へ適宜タイミングで供給する。このタイミングは、画像データ送出部CT1からの画像データSN1の供給後、同一フレームに対し適宜時期となるよう制御部CT全体として決定される。
インク層11bは、帯方向に並ぶ複数色(ここでは四色)のインク層の組であるインク組11b1が、繰り返し塗布されて形成されている。
インク組11b1は、イエローインク層Y,マゼンタインク層M,シアンインク層C,及びブラックインク層BKであり、この順で帯方向に塗布されている。
各色のインクは昇華型である。ブラックのインクは、溶融型が用いられる場合もある。
各インク層Y,M,C,BKの帯方向の長さLaは、互いに同じである。従って、インク層11bの組のピッチLapは、長さLaの4倍となっている。
インクリボンセンサ15の位置は、インクリボンセンサ15が頭出しマーク11dを検出したときに、サーマルヘッド16の圧接位置がイエローインク層Yの走行方向先頭縁の位置と一致するようになっている。
すなわち、圧接位置からインクリボンセンサ15の検出位置までの走行経路長が、ピッチLapの整数倍とされている。
フィルムベース21aの幅は、インクリボン11のリボンベース11aの幅と同じである。
フィルムベース21a又は転写用受像層21cには、フレームマーク21dが、帯方向に所定のピッチLbで繰り返し形成されている。
フレームマーク21dは、全幅に亘り形成されている。
ピッチLbは、インクリボン11における長さLaと同じ(La=Lb)である。
中間転写フィルム21においてピッチLbで区切られる領域が転写フレームFである。以下、転写フレームFを、単に、フレームFと称する。すなわち、フレームマーク21dは、各フレームFの境界部位に付与され、各フレームFを区画している。
すなわち、圧接位置からフィルムセンサ25の検出位置までの走行経路長が、ピッチLbの整数倍とされている。
転写用受像層21cは、加熱により昇華したインク層11bのインクを受容して固定する性質を有する。ブラックインク層BKのインクが溶融型の場合は、加熱により溶融したブラックインクを受容して固定する。
これにより、図5に示されるサーマルヘッド16の圧接状態において、転写用受像層21cに圧着したインク層11bからインクが転写され、転写用受像層21cに画像が形成される。インクは、サーマルヘッド16に供給された画像データに応じた加熱パターンで転写される。
発熱抵抗体16aは、例えば、1インチあたり300個並設される。
通常は、形成する画像に対応する発熱抵抗体16aは、全数nではなく、並設方向の両端に余裕分をとって隣接するm個(mは、m<nなる1以上の整数)とされる。すなわち、並設された複数の発熱抵抗体16aの内の、(n−m)個分は、余裕分として画像形成には用いない。また、m個の発熱抵抗体16aは、n個の内の少なくとも一方端の発熱抵抗体を除く連続するm個として選択される。
従って、転写する画像の帯方向(縦)におけるライン数(通電のONとOFFとを選択できる数に相当)をライン数LNaとすると、被画像形成体である中間転写フィルム21には、画像が、幅×縦=m×LNaのドットで形成される。
例えば、印刷装置PRとして、被再転写体である外形86mm×54mmのカードに300dpiの画像を形成する場合、mは約1000、LNaの値は約600とされる。
これにより、転写用受像層21cのフレームに所望の画像を転写形成することができる。この画像形成動作の詳細は、後述する。
ここでは、被転写体はカード31である。図1では、搬送中のカード31を太線で示してある。
再転写装置52は、制御部CTを画像形成装置51と共有している。
再転写装置52は、中間転写フィルム21の走行経路における、プラテンローラ26と巻き取りリール23との間に設けられた再転写部ST1と、再転写部ST1にカード31を供給する供給部ST2と、再転写部ST1を通過したカード31を搬出する搬出部ST3と、を有している。
供給部ST2は、カード31を挟持したままカード31の姿勢を垂直から水平に転換するように90°回動する姿勢転換部ST2aを有する。
供給部ST2は、さらに、スタッカ32に立ち姿勢で装填された複数のカード31の中から、図1の最右となる一枚を上方に持ち上げるように回転する持ち上げローラ33を有する。
供給部ST2は、またさらに、持ち上げローラ33で持ち上げられたカード31を、上方に配置された姿勢転換部ST2aに挟持して送り込む一対の送り込みローラ34と、姿勢転換部ST2aで水平姿勢にされたカード31を左方の再転写部ST1に送り込む複数対の搬送ローラ35と、を有する。
再転写部ST1において、カード31は、ヒートローラ駆動部D41の動作によって、昇温したヒートローラ41と対向ローラ42との間に中間転写フィルム21と共に圧接挟持されながら、モータM41の駆動により搬出部ST3に向け移動する。カード31には、中間転写フィルム21の転写用受像層21cが圧接する。
この圧接移動で、画像形成装置51によって転写用受像層21cに形成された中間画像Pの一部の範囲が、カード31に転写される。すなわち、カード31の表面上に画像Pcが再転写により形成される。
画像Pcが再転写形成されたカード31は、搬出部ST3に搬送され、例えば外部のストッカ36に積層収容される。
動作プログラム及び転写画像情報J3は、外部のデータ機器38などから通信部37を介して制御部CTに供給され(図2参照)、記憶部MRに記憶される。
画像形成装置51は、四色の転写動作それぞれにおいて、巻き戻し動作及び頭出し動作を行う。
図7及び図8には、インクリボン11の移動方向には移動しない(位置が決められた)サーマルヘッド16に対する、インクリボン11及び中間転写フィルム21の位置と転写内容とが示されている。また、転写動作で密着対向させているインクリボン11のインク層11bの面と中間転写フィルム21の転写用受像層21cとを、左右に並べて記載している。
また、図7及び図8において、転写に供するインク組11b1に、説明上の便宜から、1から連番を付してある。例えば、Y1〜BK1は、1番目の組の黄色インク層〜黒色インク層を示す。
また、フレームFについては、画像を転写形成するフレーム順に1から連番を付してある。例えば、F3は、3番目に画像を転写形成するフレームを示す。
また、転写する画像を( )付の連番で示す。例えば、画像M(1)は、マゼンタインクで転写する一番目の画像(フレームF1に形成する画像)を意味する。同様に、画像C(1)は、シアンインクで転写する一番目の画像(フレームF1に形成する画像)を意味する。
図9は、中間転写フィルム21に転写形成された画像Y(1)を、説明のために抜き出した図である。
次いで、サーマルヘッド16を圧接状態としてインクリボン11と中間転写フィルム21とを図7の下方に密着移動させながら、イエローのインク層Y1のインクを、フレームF1に画像Y(1)を転写する。
この密着移動は一つのフレーム分である。送り方向は、インクリボン11は巻きとり方向(順送り)であり、中間転写フィルム21は巻き戻し方向(逆送り)となる。
中間転写フィルム21のフレームF1には、イエローインクの画像Y(1)が転写形成されている。また、インクリボン11のインク層Y1は、画像Y(1)に対応した範囲(斜線で示される)のインクが、他の範囲より少ない、或いは完全に無くなった状態となっている。
範囲Y(1)bは、範囲Y(1)aを転写した後に転写される。
この例では、範囲Y(1)aと範囲Y(1)bとが連続して転写形成されているが、縦方向に離隔して転写形成されていてもよい。
再転写装置52により被転写体に再転写される再転写範囲Y(1)cは、範囲Y(1)aよりも小さく、縦方向及び幅方向とも範囲Y(1)aの内側に包含されるようになっている。
範囲Y(1)bの転写における転写濃度Dやライン数LNbなどの詳細は、後述する。
まず、図10に示されるように、マゼンタのインク層M1とフレームF1との位置合わせを頭出し動作で行う。この頭出し動作では、サーマルヘッド16を、インクリボン11から離隔した離隔位置とし、インクリボン11を図8の状態から下方に送り出し(順送り)し、中間転写フィルム21を、図8の状態から上方に巻き取る(順送り)する。
ここでは、理解容易のため、画像Y(1)と画像M(1)の形状及び範囲が同じであるとする。すなわち、画像M(1)は、範囲Y(1)aと同じm×LNaの範囲M(1)aと、範囲Y(1)bと同じ細い矩形形状の範囲M(1)bと、からなる。
これにより、フレームF1には、図11に示される、画像Y(1)と画像M(1)とが重畳した画像が得られる。
また、範囲Y(1)aには範囲M(1)aが重畳し、範囲Y(1)bには範囲M(1)bが重畳する。
図12は、四色目の画像BK(1)を転写し終えた状態が示されている。
すなわち、フレームF1には、画像Y(1),画像M(1),画像C(1),及び画像BK(1)が重畳転写されて、中間画像Pとして画像P(1)が形成されている。
画像P(1)における範囲P(1)aは、範囲Y(1)a,範囲M(1)a,範囲C(1)a,及び範囲BK(1)aが重畳し、範囲P(1)bは、範囲Y(1)b,範囲M(1)b,範囲C(1)b,及び範囲BK(1)bが重畳して形成されている。
このように、画像P(1)は、範囲P(1)aの画像と範囲P(1)bの画像とを含んで形成されている。範囲P(1)aは、画像データ送出部CT1から供給された画像データSN1に基づき転写形成された画像であり、範囲P(1)bは、クリーニング画像生成部CT2で生成されたC転写制御信号SN2に基づき転写形成されたクリーニング用の画像である。
そして、各フレームFに形成した画像Pの一部が、再転写装置52によって、カード31に画像Pcとして転写される。
図13は、中間転写フィルム21において、図12に示された、フレームF1に形成された画像P(1)をカード31に転写した後の状態が示されている。
画像P(1)の範囲P(1)aの一部が、カード31に転写されて再転写範囲P(1)cとなっている。
従って、範囲P(1)bを設けてもカード31への再転写画像に影響は及ばない。
以下、範囲Y(1)b〜範囲BK(1)bのそれぞれの転写を、クリーニング転写CPとも称する。
まず、クリーニング転写CPで転写する範囲Y(1)bの転写濃度D及びライン数LNbについて説明する。
図14に示されるように、付着物の除去効果は、転写濃度D及びライン数LNbに依存する。
詳しくは次の通りである。
転写濃度Dが1.2以上で2.0以下、かつライン数LNbが10未満の場合、付着物をほぼ除去できる場合があるものの、確実ではない。従って、良好な除去効果を安定的に得にくいと判定される(白地部分:効果△)。
転写濃度Dが1.2以上で2.0以下、かつライン数LNbが10以上の場合、付着物を安定的にほぼ除去でき良好な除去効果が認められる(ハッチング部分:効果○)。
転写濃度が2.0以上の場合、インクリボン11が中間転写フィルム21に溶着する場合が多く、転写不可と判定される(便宜的に効果×と表示)。
このように、範囲Y(1)bを、転写濃度Dを通常画像形成時の最高濃度よりも高濃度の1.2〜2.0倍とし、かつライン数LNbを10以上として転写することで、安定して良好なクリーニング効果が得られる。
従って、発熱抵抗体16aの摩耗を減らしサーマルヘッド16を長寿命化する観点で、範囲Y(1)bのライン数LNbは少ない方が好ましい。
詳しくは、横軸を、フレームFに形成した中間画像Pの累積形成数とし、縦軸を発熱抵抗体16aの摩耗量としている。
横軸の中間画像Pの累積形成数は、転写ライン数に比例する。
縦軸の摩耗量は、次に説明するグラフの摩耗量推移14−Aにおいて、中間画像Pの累積形成数が22000になるまで転写を行った場合の摩耗量を100%としている。
摩耗量推移14−Bは、範囲Y(1)bの転写のみを、転写濃度Dを1.5、ライン数LNbを10として行った場合である。
摩耗量推移14−Cは、範囲Y(1)bの転写のみを、転写濃度Dを1.2、ライン数LNbを120として行った場合である。
摩耗量推移14ABは、摩耗量推移14−Aと摩耗量推移14−Bとの合算、すなわち、画像Y(1)を、範囲Y(1)bの転写濃度Dを1.5、ライン数LNbを10として転写形成した場合である。
摩耗量推移14ACは、摩耗量推移14−Aと摩耗量推移14−Cとの合算、すなわち、画像Y(1)を、範囲Y(1)bの転写濃度Dを1.2、ライン数LNbを120として転写形成した場合である。
具体的には、範囲Y(1)bの帯方向の長さLc(図11参照)が大きくなり、長さLcが、範囲Y(1)bの転写が可能な範囲Y(1)aとフレームマーク21dとの間の余裕長Ld(図11参照)を越えると、中間転写フィルム21の一つのフレームに収まらなくなる。
中間転写フィルム21は、一つのフレームFにおける帯方向の長さLaが実質的に一定に規格化されて多量に流通している。そのため、ライン数LNbには上限を設ける必要がある。
すなわち、ライン数LNbは、サーマルヘッド16の寿命とフレームFの帯方向の長さLcとの観点から上限値が決められ、ライン数LNbは、範囲Y(1)aのライン数LNa(例えば600)の1/5(例えば120)以下であることが望ましい。
ここまで、イエローインク層Yからの転写について説明したが、昇華インクの他色のインク層(M,C,BK)からの転写についても同じである。
クリーニング転写CPの転写条件は、転写濃度D及びライン数LNbを、範囲Y(1)aの転写濃度の範囲を0〜1.0としたときに、転写濃度Dを1.2以上で2.0以下とし、所定のライン数LNbを10≦LNbとする。ライン数LNbの上限は120とするのが望ましい。
クリーニング転写CPを行うことで、転写動作毎に発熱抵抗体16aに付着堆積した滑剤を主とする付着物を良好に除去でき、長期に亘り良好な画像を被画像形成体(中間転写フィルム21)に転写形成することができる。
既述のように、発熱抵抗体16aへの滑剤の付着は、低〜中濃度の転写を継続実行する場合に起こる可能性が高い。
そこで、複数の発熱抵抗体16aそれぞれについて、転写時温度が低〜中濃度の転写に対応する所定の温度範囲(下温度Tmin〜上温度Tmax)に昇温された回数をカウントし、その回数が予め定めた所定値以上となった場合にクリーニング転写CPを行うようにしてもよい。
これを実行する例を実施例2として、図16及び図17を参照し説明する。
実施例2の画像形成装置51Aは、実施例1の画像形成装置51に対して制御部CTの替わりに制御部CTAを備えている(図1及び図2には括弧付で記載)。他の構成は画像形成装置51と同じである。
制御部CTAは、転写濃度Dが、下温度Tminに対応する下転写濃度Dminから、上温度Tmaxに対応する上転写濃度Dmaxまでの範囲(以下、対応濃度範囲と称する)に含まれるか否かを、#k〜#k+4番目の発熱抵抗体16aそれぞれについて、ライン毎に判定する。
図16では、対応濃度範囲に含まれると判定した転写単位を塗りつぶして示している。
制御部CTAは、ライン番号LN#1〜LN#14の転写が終了したら、各発熱抵抗体の対応濃度範囲に含まれると判定した転写単位の累計を求める。また、予め設定しておくクリーニング転写CPを行うか否かの閾値Ncを、ここでは例えば5とする。
図16の例で、転写単位の累計は、k番目とk+3番目の発熱抵抗体が5以上となっているので、k番目とk+3番目の発熱抵抗体のみ、クリーニング転写CPを行う。この例では4ライン行っている。
制御部CTは、m個の発熱抵抗体16aそれぞれに対し、この手順に従ってクリーニング転写CPを実行する/しない、を判断する。
制御部CTAは、(Step4)で是と判定したら、N_countに1を加え(Step6)、(Step5)へ移行する。
制御部CTAは、(Step6)で是と判定したら、N_countが、閾値Ncに達したか否かを判定する(Step8)。
制御部CTAは、(Step8)で是と判定したら、クリーニング転写CPの実行を決定し(Step10)、終了する。
以上の制御手順によれば、クリーニングが必要と判断された発熱抵抗体16aについてのみクリーニング転写CPが実行される。すなわち、n個の発熱抵抗体16aそれぞれについて独立してクリーニング転写CPを実行する。
これにより、クリーニングが必要な発熱抵抗体16aに対しクリーニング転写CPを行ってその発熱抵抗体16aに付着堆積した滑剤を主とする付着物を良好に除去できる。そのため、長期に亘り良好な画像を被画像形成体(中間転写フィルム21)に転写形成することができる。
また、発熱抵抗体16aのクリーニング転写CPの不要な摩耗を防止できるので、サーマルヘッド16が長寿命となる。
例えば、(Step8)で是と判定したN_count値が大きいほど、クリーニング転写CPのライン数LNbを大きく設定する。これは、N_count値が大きいほど、付着物が多量に付着している可能性が高くなることによる。
画像形成装置51,51Aは、他の装置と複合されてもよい。もちろん、画像形成装置として単独の装置であってもよい。
プラテンローラ26とサーマルヘッド16との離接は、相対的に行われればよい。サーマルヘッド16が固定され、プラテンローラ26がサーマルヘッド16に対して離接するように構成されていてもよい。
制御部CT,CTAは、筐体PRaの外部に備えられていてもよい。外部に備えられた場合、制御部CT,CTAと筐体PRa内の装置本体との間で、有線又は無線による信号授受が行われる。
範囲P(1)aを転写形成する発熱抵抗体16aの数mは、m<nに限らず、m=nとして全発熱抵抗体16aを利用してもよい。
11a リボンベース、 11b インク層、 11b1 インク組
11d 頭出しマーク
12 供給リール
13 巻き取りリール
14 ガイドシャフト
15 インクリボンセンサ
16 サーマルヘッド、 16a 発熱抵抗体、 16b ヘッドドライバ
21 中間転写フィルム
21a フィルムベース、 21b 剥離層、 21c 転写用受像層
21d フレームマーク
22 供給リール
23 巻き取りリール
24 ガイドシャフト
25 フィルムセンサ
26 プラテンローラ
31 カード
32 スタッカ
33 持ち上げローラ、 34 送り込みローラ、 35 搬送ローラ
36 ストッカ
37 通信部、 38 データ機器
41 ヒートローラ、 42 対向ローラ
51,51A 画像形成装置、 52 再転写装置
CP クリーニング転写
CT,CTA 制御部
CT1 画像データ送出部、 CT2 クリーニング画像生成部
D 転写濃度、 Dmax 上転写濃度、 Dmin 下転写濃度
D16 ヘッド離接駆動部、 D41 ヒートローラ駆動部
F,F1 フレーム
J1 リボンマーク検出情報、 J2 フレームマーク検出情報
J3 転写画像情報
La,Lc 長さ、 Lap,Lb ピッチ
LNa,LNb ライン数、 LNe 最終ライン
MR 記憶部
M12,M13,M22,M23,M26,M41 モータ
P 中間画像
Pc,Y(1),M(1),C(1),BK(1),P(1) 画像
P(1)c,Y(1)c 再転写範囲
PR 印刷装置、 PRa 筐体
SN1 画像データ、 SN2 C転写制御信号(クリーニング転写制御信号)
ST1 再転写部、 ST2 供給部、 ST2a 姿勢転換部
ST3 搬出部
Tmax 上温度、 Tmin 下温度
Y(1)a,Y(1)b,M(1)a,M(1)b,C(1)a,C(1)b,
BK(1)a,BK(1)b,P(1)a,P(1)b 範囲
Claims (6)
- プラテンローラと、前記プラテンローラに対し相対的に離接するサーマルヘッドと、を備え、前記プラテンローラと前記サーマルヘッドとの間でインクリボン及び被画像形成体を圧接移動させて前記インクリボンのインクを前記被画像形成体に転写し、前記被画像形成体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記被画像形成体は、区画された複数の転写フレームを有し、
少なくとも一つの前記転写フレームに対し、
前記画像を、
最高濃度を第1の濃度とする第1の濃度範囲内の濃度により転写形成される第1の範囲の画像と、
前記第1の範囲よりも後に、前記第1の濃度よりも高濃度の第2の濃度により転写形成される第2の範囲の画像と、
を含めて形成するよう制御する制御部を備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御部は、
前記第1の濃度範囲を0以上1.0以下としたときの前記第2の濃度を1.2以上2.0以下、かつ前記第2の範囲の画像を転写形成するライン数を10以上、として制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記サーマルヘッドはn(n:2以上の整数)個の発熱抵抗体を有し、
前記制御部は、
前記第2の範囲の画像を、前記n個の発熱抵抗体それぞれに対応して独立的に転写形成するよう制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、
前記n個の発熱抵抗体それぞれについて第2の濃度範囲内に昇温された回数をカウントし、前記第2の範囲の画像を、前記回数が所定の回数に達した前記発熱抵抗体を用いて転写形成するよう制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置で前記被画像形成体に転写形成された前記第1の範囲の画像の一部を、被再転写体に再転写する再転写装置と、
を備えたことを特徴とする再転写方式の印刷装置。 - サーマルヘッドの動作によりインクリボンのインクを被画像形成体に転写して前記被画像形成体に画像を形成する画像形成方法であって、
前記被画像形成体は、区画された複数の転写フレームを有し、
少なくとも一つの前記転写フレームにおいて、
前記画像を、
最高濃度を第1の濃度とする第1の濃度範囲内の濃度により第1の範囲の画像を転写形成する第1ステップと、
前記第1ステップの後に、前記第1の濃度よりも高濃度の第2の濃度により第1のライン数で第2の範囲の画像を転写形成する第2のステップと、
を実行して形成することを特徴とする画像形成方法。
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