以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は本発明を印字ラベル生成装置に適用した場合の実施形態である。
<印字ラベル作成装置の概略>
印字ラベル作成装置1は、この例では、有線あるいは無線による通信回線(図示せず)を介し、操作端末としてのPC118(後述の図6参照)に接続され、操作者によるPC118からの操作に基づき、所望の印字ラベルL(後述の図7参照)を作成する。なお、操作端末に接続される構成には限られず、印字ラベル作成装置1に設けた適宜の操作部への操作者の操作に基づき印字ラベルLを作成する構成(いわゆるスタンドアローンタイプ)でもよい。
図1に示すように、印字ラベル作成装置1は、装置本体2と、この装置本体2の上面に開閉可能に設けられた開閉蓋3とを有している。
装置本体2は、手前側(図1中、左手前側)に位置し、装置本体2内で作成された印字ラベルLを外部に排出するラベル排出口11を備えた前壁10と、この前壁10のうちラベル排出口11の下方に設けられ下端が回動可能に支持された前蓋12とを備えている。
前蓋12は押部13を備えており、この押部13を上方より押し込むことで前蓋12が前方に開放されるようになっている。また、前壁10の一端部には、印字ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源ボタン14が設けられている。この電源ボタン14の下方には、装置本体2内に配設された切断機構15(後述の図2参照)を使用者の手動操作で駆動するためのカッター駆動ボタン16が設けられている。このボタン16が押されることで、印字済ラベル用テープ109(詳細は後述)をカットして印字ラベルLを装置本体2から切り離す。
開閉蓋3は、装置本体2の図1中右奥側の端部にて回動可能に軸支され、バネ等の付勢部材を介して常時開放方向に付勢されている。そして、装置本体2の上面に開閉蓋3に隣接するように配置された開閉ボタン4が押されることにより、開閉蓋3と装置本体2とのロックが解除され、上記付勢部材の作用により開放される。なお、開閉蓋3の中央側部には、透明カバーで覆われた透視窓5が設けられている。
<内部ユニット>
次に、印字ラベル作成装置1の内部の内部ユニット20の構造を説明する。内部ユニット20は、図2及び図3に示すように、概略的には、テープカートリッジ7を収納するカートリッジホルダ6と、印字手段としてのサーマルヘッド23を備えた印字機構21と、切断機構15と、ハーフカッタ34を備えたハーフカットユニット35と、生成された印字ラベルLをラベル排出口11(図1参照)より排出するラベル排出機構22とを備えている。
<カートリッジホルダ及びカートリッジ>
カートリッジホルダ6は、ラベル排出口11から排出される印字済ラベル用テープ109の幅方向の向きが、垂直方向となるようにテープカートリッジ7を収納する。
次に、カートリッジ7の詳細構造を説明する。図4及び上記図3に示されるように、テープカートリッジ7は、被印字媒体としての感熱テープ101が巻回された感熱テープロール102と、この感熱テープ101をテープカートリッジ7外部方向に向かってテープ送りをするテープ送りローラ27とを有している。
テープ送りローラ27は、テープカートリッジ7外に設けた例えばパルスモータである搬送用モータ119(図3及び前述の図2参照)の駆動力が図示しないギア機構を介しテープ送りローラ駆動軸108(図3参照)に伝達されることによって連動して回転駆動される。
感熱テープロール102は、リール部材102aの周りに帯状の上記感熱テープ101を巻回している。リール部材102aは、テープカートリッジ7の底面に立設されるボス95に回転可能に嵌挿されて収納されている。
感熱テープロール102に巻き回される感熱テープ101はこの例では3層構造となっており(図4中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側よりその反対側へ向かって、表面に熱により発色する感熱層101aA(後述の図9参照)を持つPET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るフィルム101a、適宜の粘着材からなる粘着層101b、剥離紙101cの順序で積層され構成されている。なお、フィルム101aは、詳細には、基材層101aBと、この基材層101aBの表面に被覆された上記感熱層101aAから構成されている(後述の図9及び図10参照)。
フィルム101aの裏側には、上記粘着層101bによって上記剥離紙101cがフィルム101aに接着されている。剥離紙101cは、最終的にラベル状に完成した印字ラベルLが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層101bにより当該商品等に接着可能となっている。
なお、テープカートリッジ7の上面には、例えば、テープカートリッジ7内に内蔵されている上記感熱テープ101のテープ幅、テープの色等を表示するテープ特定表示部8が設けられている。
<ヘッド取付部とローラホルダ>
一方、多数の発熱素子を備えた上記サーマルヘッド23が、カートリッジホルダ6に立設されたヘッド取付部24に取り付けられて、テープ送りローラ駆動軸108のテープ送りローラ27より搬送方向上流側に配置されている。
また、カートリッジホルダ6のうちテープカートリッジ7の前方(図3中、下側)には、ローラホルダ25が支持軸29により回動可能に枢支され、このローラホルダ25には、プラテンローラ26及びテープ圧接ローラ28が回転可能に配設されている。このローラホルダ25は、所定の押圧力でサーマルヘッド23側に押圧されることでプラテンローラ26をサーマルヘッド23に圧接させた押圧状態(図3及び図4に示す状態)と、プラテンローラ26をサーマルヘッド23から離間させた離間状態(図2に示す状態)と、に切替可能となっている。
上記ローラホルダ25の切替について、図4、図2、及び図3により説明する。カートリッジホルダ6には、テープカートリッジ7が装着された際に、ローラホルダ25を上記押圧状態と上記離間状態とに選択的に切り替えるために、リリースモータ131(切替手段)、リリースロッド保持板81、リリースロッド82、及びクランクギア機構Gを備えている。
すなわち、リリースモータ131の駆動出力ギア131aは、クランクギア機構Gを介し、カム軸132に設けられたカムギア132aに作動連結されている。そしてカム軸132は、リリースロッド保持板81のクランク軸孔133に挿入配置されている。これにより、リリースモータ131が一の方向に回転してその駆動力がカムギア132に伝達されカム軸132が対応する方向に回転することにより、リリースロッド保持板81が切断機構15側に前進移動する。また、リリースモータ131が上記一の方向とは逆である他の方向に回転してその駆動力がカムギア132に伝達されカム軸132が対応する方向に回転することにより、リリースロッド保持板81が切断機構15から離間するように後退移動する。
このとき、図2、図3、及び図5に示すように、リリースロッド保持板81の切断機構15側の先端部には、コロ状の上記リリースロッド82が設けられている。上述のリリースモータ131の一の方向への回転駆動によりリリースロッド保持板81が前進移動すると(図5(a)中の細矢印参照)、リリースロッド82も前進してローラホルダ25の段差部25b側から傾斜面25aに乗り上げるように当接する。これにより、ローラホルダ25が支持軸29まわりに回転し(図5(a)中の太矢印参照)、プラテンローラ26がサーマルヘッド23側に圧接する(上記の押圧状態)。一方、この押圧状態から上述のリリースモータ131の他の方向への回転駆動によりリリースロッド保持板81が後退移動すると(図5(b)中の細矢印参照)、リリースロッド82も後退して上記傾斜面25aの端部から段差部25b側へ移動して傾斜面25aへの当接を解除する。これにより、ローラホルダ25が支持軸29まわりに上記とは逆方向に回転し(図5(b)中の太矢印参照)、プラテンローラ26をサーマルヘッド23側から離間させる(上記の離間状態)。
なお、このとき、リリースロッド保持板81の上縁には、下向きコ字枠状の係止部81aが設けられている。また、この係止部81aに対応し、カートリッジホルダ6にリリースロッド保持板81の外側を覆うように設けた支持壁6Aに、回動可能な位置検出センサ80が設けられている。このセンサスイッチ80の一端側には突起状の操作部80aが突設され、上記係止部81aのコ字枠内に係合している。これにより、上述したようにしてリリースモータ131の駆動によりリリースロッド保持板81が進退移動するのに伴い、操作部80aは係止部81aによって左右に揺動される。この結果、位置検出センサ80は、操作部80aがいずれの方向に揺動した状態にあるかを適宜の手法で検出することにより、リリースロッド保持板81及びリリースロッド82の位置、言い換えれば、上記ローラホルダが上記押圧状態にあるか上記離間状態にあるかを検出可能となっている。
<カートリッジにおけるテープ搬送動作>
上記構成において、テープカートリッジ7がカートリッジホルダ6に装着されローラホルダ25が上記のようにして離反位置から当接位置に移動されると、感熱テープ101がサーマルヘッド23とプラテンローラ26(搬送ローラ)との間に狭持されるとともに、テープ送りローラ27とテープ圧接ローラ28との間に狭持される。
そして、搬送用モータ119(駆動手段)の駆動力によってテープ送りローラ27が回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸108と上記テープ圧接ローラ28及びプラテンローラ26はギア機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴いテープ送りローラ27、テープ圧接ローラ28、及びプラテンローラ26が同期して回転する。これにより、感熱テープロール102から感熱テープ101が繰り出される。
この繰り出された感熱テープ101は、カートリッジ底面に立設されたリールボス91に回転可能に嵌挿された略円筒状のリール92にガイドされつつ、開口部94より搬送方向に沿って下流側へ順方向に(第1の向きに)搬送され、サーマルヘッド23へと供給される。このとき、サーマルヘッド23は、その複数の発熱素子が印刷駆動回路120(後述の図6参照)により通電される。これにより、感熱テープ101のフィルム101aの上記感熱層101aAが発色することで表面にラベル印字R(後述の図7参照)が印刷される。そして、印刷が終了した感熱テープ101が上記テープ送りローラ27及びテープ圧接ローラ28により挟持され、印字済ラベル用テープ109としてテープ排出口96よりテープカートリッジ7外へと搬出される。その後、駆動ローラ51による搬送、切断機構15による切断等が行われる(詳細は後述)。
<切断機構>
切断機構15は、感熱テープ101の上記した各層をすべて切断することにより、上記ラベル印字Rを備えた印字ラベルLを作成する。すなわち、切断機構15は、図2、図3、及び図4に示すように、固定刃40と、この固定刃40とともにカット動作を行う可動刃41と、この可動刃41に連結されるカッターハスバギア42(図2参照)と、このカッターハスバギア42にギア列により連結されるカッターモータ43(後述の図6参照)とを備えている。なお、カッターハスバギア42には、突起状に形成されたボス50が設けられ、このボス50が可動刃41の長孔49に挿入される(図2参照)。
固定刃40は、カートリッジホルダ6の側部において起立状に設けられる側板44(図3参照)に固定孔を通してネジ等により固定されている。可動刃41は、略V字状をなし、可動刃41の切断部分に設けられた刃部(図示せず)の反対側の柄部46に上記長孔49が形成されている。
そして、カッターモータ43によりカッターハスバギア42が回転した際に、可動刃41がボス50と長孔49の係合により揺動し、印字済ラベル用テープ109がカットされる。なおこのとき、カッターハスバギア42の円筒外壁上にはカッターハスバギア用カム42Aが設けられている。上記カッターモータ43によりカッターハスバギア42が回転すると、カッターハスバギア用カム42Aの作用によりカッターハスバギア42に隣接して設けられたマイクロスイッチ126(図示せず)がオフ状態からオン状態に切り替わり、印字済ラベル用テープ109の切断状態が検出される。
<ハーフカットユニット>
ハーフカットユニット35の詳細構成について説明する。ハーフカットユニット35は、感熱テープ101の上記した各層のうち、剥離紙101c以外の層(フィルム101a、粘着層101b)を残しつつ、剥離紙101cを切断する。すなわち、ハーフカットユニット35は、印字済ラベル用テープ109の搬送方向に沿って固定刃40及び可動刃41の下流側に、固定刃40及び可動刃41と第1案内壁55,56(図3参照)との間に位置するように、取り付けられている。
図2に示されるように、ハーフカットユニット35は、印字済ラベル用テープ109の搬送経路から固定刃40側に配置される受け台38と、この受け台38と対向するように配置されるハーフカッタ34と、固定刃40と受け台38との間に固定刃40と合わせて配置される第1ガイド部36と、この第1ガイド部36と対向して配置される第2ガイド部37とを備えている。
第1ガイド部36及び第2ガイド部37は一体に構成され、固定刃40の固定孔に対応する位置に設けられたガイド固定部36Aにより固定刃40とともに側板44(図3参照)に取り付けられている。
受け台38は、印字済ラベル用テープ109の搬送経路を挟んで上記ハーフカッタ34の反対側に位置し、当該ハーフカッタ34を受け止める受け面38Bを備えている。
また、ハーフカッタ34を所定の回動支点(図示省略)を中心として回動させるために、ハーフカッタモータ129(後述の図6参照)が設けられている。このハーフカッタモータ129からの所定の方向へ回転駆動力がハーフカッタ34に伝達されることにより、ハーフカッタ34を所定の方向(時計回り又は反時計回り方向)に回動させることができる。
上記構成において、上記ハーフカッタモータ129の駆動力を用いて、上記ハーフカッタ34が受け面38Aに押し付けられる。これにより、ハーフカッタ34と受け面38Aとの間にある印字済ラベル用テープ109は、感熱テープ101の剥離紙101cだけが切断され、フィルム101a及び粘着層101bは切り残されてテープ幅方向に略沿ってハーフカット線HC(後述の図7等参照)が形成される。
<ラベル排出機構>
ラベル排出機構22は、切断機構15において切断された後の印字済みラベル用テープ109(言い換えれば印字ラベルL、以下同様)をラベル排出口11から強制的に排出する。すなわち、ラベル排出機構22は、テープ排出モータ65(後述の図6参照)により駆動される駆動ローラ51と、この駆動ローラ51に対して印字済みラベル用テープ109を挟んで対向する押圧ローラ52とを備えている。
このとき、上記ラベル排出口11の内側に、印字済みラベル用テープ109をラベル排出口11へ案内するための上記第1案内壁55,56と第2案内壁63,64とが設けられている(図3参照)。第1案内壁55,56及び第2案内壁63,64はそれぞれ一体に形成され、上記固定刃40と可動刃41とでカットされた印字済みラベル用テープ109の排出位置において、互いに所定の間隔を隔てられるように配置されている。
<制御系>
次に、印字ラベル作成装置1の制御系を図6を用いて説明する。図6において、この印字ラベル作成装置1の制御基板(図示せず)上に、制御回路110が配置されている。
制御回路110には、内部にタイマ111Aを備え各機器を制御するCPU111と、このCPU111にデータバス112を介して接続された入出力インターフェース113と、CGROM114と、ROM115,116と、RAM117とが設けられている。入出力インターフェース113には、前述した操作端末としてのPC118が接続されている。
CGROM114は、例えば多数のキャラクタの各々に関するドットパターンデータがコードデータに対応させて格納されている。ROM(ドットパターンデータメモリ)115には、アルファベット文字や記号等のキャラクタを印字するための多数のキャラクタ各々に関して、印字用ドットパターンデータが、書体(ゴシック系書体、明朝体書体等)毎に分類され、各書体毎に印字文字サイズ分、コードデータに対応させて格納されている。また、階調表現を含むグラフィック画像を印字するためのグラフィックパターンデータも記憶されている。なお、上記CGROM114やROM115に記憶された表示用及び印字用ドットパターンデータは、上記通信回線を介して上記PC118側から読み出すことが可能であり、当該データを受信したPC118側で表示や印字を行うようにしてもよい。
ROM116には、上記PC118から入力された文字や数字等のキャラクタのコードデータに対応させて、印字バッファのデータを読み出して上記サーマルヘッド23及び搬送用モータ119等を駆動する印字駆動制御プログラムと、各印字ドットの形成エネルギ量に対応するパルス数を決定するパルス数決定プログラムと、印字終了した場合に印字済ラベル用テープ109を切断位置まで搬送用モータ119を駆動して搬送し印字済ラベル用テープ109を切断する切断駆動制御プログラムと、切断された印字済ラベル用テープ109(=印字ラベルL)をラベル排出口11から強制的に排出するテープ排出プログラムと、その他印字ラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラムと、等が格納されている。CPU111は、このようなROM116に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。
RAM117には、テキストメモリ117A、印字バッファ117B、パラメータ記憶エリア117E等が設けられている。テキストメモリ117Aには、PC118から入力された文書データが格納される。印字バッファ117Bには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンがドットパターンデータとして格納され、サーマルヘッド23はこの印字バッファ117Bに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。パラメータ記憶エリア117Eには、各種演算データが記憶される。
また、入出力インターフェース113には、サーマルヘッド23を駆動するための上記印刷駆動回路120(通電手段)と、搬送用モータ119を駆動するための搬送用モータ駆動回路121と、前述のカッターモータ43を駆動するためのカッターモータ駆動回路122と、前述のハーフカッタモータ129を駆動するためのハーフカッタモータ駆動回路128と、前述のテープ排出モータ65を駆動するためのテープ排出モータ駆動回路123と、テープカット検出センサ124と、カットリリース検出センサ125と、上記リリースモータ131を駆動するためのリリースモータ駆動回路130が各々接続されている。
このような制御回路110を核とする制御系において、PC118を介して文字データ等が入力された場合、そのテキスト(文書データ)がテキストメモリ117Aに順次記憶されるとともに、サーマルヘッド23が駆動回路120を介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されて印字バッファ117Bに記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期して搬送用モータ119が搬送用モータ駆動回路121を介して駆動され、印字済ラベル用テープ109の搬送を行う。上記ドットパターンデータの印字が終了したら、印字済ラベル用テープ109の搬送が停止され、カッターモータ43がカッターモータ駆動回路122を介して駆動されることで切断機構15により印字済ラベル用テープ109の切断が行われる。その後、テープ排出モータ65がテープ排出モータ駆動回路123を介して駆動されることで、切断後の印字済ラベル用テープ109、すなわち印字ラベルLが装置外へと排出される。
<印字ラベル>
上述のようにして印字済ラベル用テープ109の切断が完了して形成された印字ラベルLを、図7(a)、図7(b)、図8(a)、及び図8(b)に示す。これら各図に示すように、印字ラベルLは、図4を用いて前述したように、3層構造となっている。すなわち、フィルム101a側(図8中上側)よりその反対側(図8中下側)へ向かって、粘着層101b、剥離紙101cで3層を構成している。そして、フィルム101aの表面にラベル印字R(この例では「ABCD」の文字)が印刷されている。
また、剥離紙101cには、既に述べたように上記ハーフカッタ34によってテープ幅方向に略沿ってハーフカット線HC、この例では前ハーフカット線HC1及び後ハーフカット線HC2の2本、が形成されている。フィルム101aのうち、これらハーフカット線HC1,HC2それぞれの形成部位の間に挟まれた領域がラベル印字Rが印刷される印字領域Sとなり、印字領域Sよりハーフカット線HC1,HC2の形成部位を挟んでテープ長手方向両側がそれぞれ前余白領域S1及び後余白領域S2となっている。
<本実施形態の特徴>
以上説明した基本構成において、本実施形態の最大の特徴は、サーマルヘッド23の付着物を感熱テープ101側へ吸着させることにより、クリーニングを実行することにある。以下にその詳細を、順を追って説明する。
前述したように、本実施形態の印字ラベル作成装置1では、テープカートリッジ7から供給される感熱テープ101が搬送用モータ119の駆動力で駆動されるプラテンローラ26により順方向へ搬送される。その際、搬送される感熱テープ101に対し、印刷駆動回路120で通電されるサーマルヘッド23が接触し、感熱テープ101の上記フィルム101aの感熱層101aAの発色温度以上に加熱することで、フィルム101aの印字領域Sに所望のラベル印字Rが形成される。このような印字形成時に、図9(a)、図9(b)、及び図9(c)に模式的に示すように、感熱層101aAに接触するサーマルヘッド23に対し、感熱層101aAの一部やその他フィルムの溶融時のゴミ等が付着物Dtとして付着する可能性がある。
ここで、サーマルヘッド23への上記付着物Dtは、もともとは感熱層101aAに存在していた物質が剥離したものであり、感熱層101aとの親和性・吸着性が高い。そこで本実施形態においては、前述のような印字領域Sへのラベル印字Rの形成後、搬送用モータ119の駆動によってプラテンローラ26が逆回転し、感熱テープ101が搬送方向に沿って上流側へ逆方向に(第2の向きに)搬送される(図10(a)参照)。その際、サーマルヘッド23の付着物Dtに対し再度感熱テープ101の感熱層101aAが接触することにより、図10(b)に示すように、比較的高い確率で付着物Dtを再び感熱層101aAへと戻り吸着を行わせ、感熱テープ101側に取り込む。
<制御手順>
以上の手法を実現するために、上記制御回路110によって実行される制御手順を、図11を用いて説明する。図11において、上記PC118を介し印字ラベル作成装置1による所定のラベル作成操作が行われるとこのフローが開始される。まずステップS1で、CPU111は、上記PC118からの操作信号を通信回線及び入出力インターフェース113を介して入力する。そして、CPU111は、この操作信号に基づき、印刷データの生成、前・後ハーフカット位置HC及びフルカット位置CLの設定、等を行う準備処理を実行する。
そして、ステップS2で、CPU111は、入出力インターフェース113を介しリリースモータ駆動回路130に制御信号を出力し、リリースモータ131の駆動によってリリースロッド82及びリリースロッド保持板81を前進移動させる。これにより、ローラホルダ25のプラテンローラ26が、所定の押圧力でサーマルヘッド23側に押圧され、プラテンローラ26とサーマルヘッド23との間に感熱テープ101が挟持される(上記図5(a)参照)。
その後、ステップS5では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121に制御信号を出力し、搬送用モータ119の駆動力によってテープ送りローラ27やプラテンローラ26等を回転駆動させる。さらに、テープ排出モータ駆動回路123を介して上記テープ排出モータ65に制御信号を出力し、駆動ローラ51を回転駆動させる。これらにより、感熱テープロール102から感熱テープ101が繰り出され上記順方向へと搬送される。
その後、ステップS10において、CPU111は、感熱テープ101がサーマルヘッド23による印刷開始位置まで到達したか否か、言い換えれば上記印字領域Sの搬送方向前端位置にサーマルヘッド23が正対するようになるまで感熱テープ101が搬送さたか否か、を判定する。なお、この判定は、例えば、ステップS5のテープ搬送開始から予め定められた所定の距離だけ搬送が行われたかどうかを判定すればよい。当該所定の距離の判定は、例えば、上記ステップS5のタイミング以降の、パルスモータである搬送用モータ119を駆動する搬送用モータ駆動回路121の出力するパルス数をカウントし、当該カウント数が上記所定の距離に対応した所定の値に達したかどうか、により検出すれば足りる。あるいは、上記テープ搬送開始から所定時間経過したかを判定してもよい。印刷開始位置となるまで判定が満たされず(S10:NO)ループ待機し、印刷開始位置となったら、判定が満たされて(S10:YES)、ステップS15に移る。
ステップS15では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、サーマルヘッド23を通電する。その際、後述のステップS60の通電よりも高い電圧(感熱層101aAが発色温度に達するように加熱するような電圧)で通電し、感熱テープ101のフィルム101aの上記印字領域Sに、ステップS1で生成した印刷データに対応した文字、記号、バーコード等のラベル印字Rの印刷を開始する。
その後、ステップS20において、CPU111は、印字済ラベル用テープ109が先のステップS1で設定した前ハーフカット位置まで搬送されたか否か、言い換えれば、ハーフカット機構35のハーフカッタ34がステップS1で設定した前ハーフカット線HC1に正対する位置まで印字済ラベル用テープ109が到達したか否か、を判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。前ハーフカット位置に到達するまで判定が満たされず(S20:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S20:YES)ステップS25に移る。
ステップS25では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121及びテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、搬送用モータ119及び上記テープ排出モータ65の駆動を停止して、テープ送りローラ27、プラテンローラ26、駆動ローラ51等の回転を停止する。これにより、ステップS1で設定した前ハーフカット線HC1にハーフカッタ34が正対した状態で、感熱テープロール102からの感熱テープ101の繰り出し及び印字済ラベル用テープ109の搬送が停止する。またこのとき、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120にも制御信号を出力し、サーマルヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷を停止する。
その後、ステップS30で、CPU111は、入出力インターフェース113を介しハーフカッタモータ駆動回路128に制御信号を出力してハーフカッタモータ129を駆動し、ハーフカッタ34を回動させて、印字済ラベル用テープ109の剥離紙101dを切断して前ハーフカット線HC1を形成する前ハーフカット処理を行う。
そして、ステップS35に移り、CPU111は、上記ステップS5と同様にして、テープ送りローラ27、プラテンローラ26、及び駆動ローラ51等を回転駆動させて印字済ラベル用テープ109の搬送を再開するとともに、ステップS15と同様にしてサーマルヘッド23に通電してラベル印字Rの印刷を再開する。
ステップS40では、CPU111は、印字済ラベル用テープ109が上記ステップS1で算出済みの印刷終了位置まで搬送されたか否か、言い換えれば上記印字領域Sの搬送方向後端位置にサーマルヘッド23が正対するようになるまで感熱テープ101が搬送さたか否か、を判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。印刷終了位置に到達するまで判定が満たされず(S40:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S40:YES)ステップS45に移る。
ステップS45では、上記ステップS25と同様にして、CPU111は、サーマルヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷を停止する。これによって、印字領域Sに対するラベル印字Rの印刷が完了する。
ステップS50では、CPU111は、上記ステップS25と同様、搬送用モータ119及び上記テープ排出モータの駆動を停止して、テープ送りローラ27、プラテンローラ26、駆動ローラ51等の回転を停止する。
ステップS55では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121及びテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、搬送用モータ119及び上記テープ排出モータ65の駆動力によってテープ送りローラ27やプラテンローラ等をステップS5とは逆回転方向に回転駆動させる。これにより、印字済ラベル用テープ109及び感熱テープ101が上記逆方向へと搬送される。
その後、ステップS60で、CPU111は、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、サーマルヘッド23を通電する。その際、上述のステップS15での通電よりも低い電圧(感熱層101aAが発色温度に達しない程度に加熱するような電圧)で通電(弱通電)を行う。
上記のステップS55及びステップS60の処理により、前述の図10(a)及び図10(b)に示したように、フィルム101a表面の感熱層101aAからサーマルヘッド23に付着した上記付着物Dtを当該感熱層101aA側へ戻り吸着させる。このときのステップS60におけるサーマルヘッド23の上記弱通電による加熱は、感熱層101aAが発色しない限りにおいて付着物Dtの軟化を促進させ、これにより感熱層側へ戻り吸着をさらに促進させている。
ステップS65では、CPU111は、上記のようにして逆方向に搬送される印字済ラベル用テープ109が、予め定めた所定距離だけ搬送されたかどうかを判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。所定距離だけ搬送されるまでは判定が満たされず(S65:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S65:YES)ステップS70に移る。
ステップS70では、CPU111は、入出力インターフェース113を介しての印刷駆動回路120に対して制御信号を出力し、サーマルヘッド23に対する上記弱通電を終了させる。
その後、ステップS75で、CPU111は、上記ステップS50と同様、搬送用モータ119及び上記テープ排出モータ65の駆動を停止して、テープ送りローラ27、プラテンローラ26、駆動ローラ51等の逆回転駆動を停止させる。
ステップS80では、CPU111は、上記ステップS5と同様にして、テープ送りローラ27、プラテンローラ26、駆動ローラ51等を上記順方向に対応した方向に回転駆動させ、印字済ラベル用テープ109の上記順方向への搬送を再開する。
その後、ステップS85で、CPU111は、印字済ラベル用テープ109が先のステップS1で設定した後ハーフカット位置まで搬送されたか否か、言い換えればハーフカッタ34がステップS1で設定した後ハーフカット線HC1に正対する位置まで印字済ラベル用テープ109が到達したか否か、を判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。後ハーフカット位置に到達するまで判定が満たされず(S85:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S85:YES)ステップS90に移る。
ステップS90では、CPU111は、上記ステップS30と同様、ハーフカッタ34を回動させて、印字済ラベル用テープ109の剥離紙101dを切断して後ハーフカット線HC2の形成を行う後ハーフカット処理を行う。
その後、ステップS95で、CPU111は、印字済のラベル用テープ109がフルカット位置まで搬送されたか否か、言い換えれば可動刃41がステップS1で設定した切断線CLに正対する位置までラベル用テープ109が到達したか否かを判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。フルカット位置に到達するまで判定が満たされず(S95:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S95:YES)ステップS100に移る。
ステップS100では、CPU111は、上記ステップS25と同様にして、テープ送りローラ27、プラテンローラ26、駆動ローラ51等の回転を停止して印字済ラベル用テープ109の搬送を停止する。これにより、切断線CLに切断機構15の可動刃41が正対した状態で、感熱テープロール102からの感熱テープ101の繰り出し及び印字済ラベル用テープ109の搬送が停止する。
その後、CPU111は、ステップS105で、カッターモータ駆動回路122に制御信号を出力して上記カッターモータ43を駆動し、可動刃41を回動させて、印字済ラベル用テープ109のフィルム101a、粘着層101b、及び剥離紙101cをすべて分断して切断線CLを形成するフルカット処理を行う。この切断機構15による分断によって印字済ラベル用テープ109から切り離され、所定のラベル印字Rが行われた印字ラベルLが生成される。
その後、ステップS110に移り、CPU111は、入出力インターフェース31を介してテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、上記テープ排出モータ65の駆動を再開して、駆動ローラ51を回転させる。これにより、駆動ローラ51による搬送が再開されて上記ステップS105で生成された印字ラベルLがラベル排出口11へ向かって搬送され、ラベル排出口11から印字ラベル作成装置1外へと排出され、このフローを終了する。
なお、上記フローにおけるステップS55が各請求項記載の駆動制御手段として機能し、ステップS60が第1通電制御手段として機能し、これらステップS55及びステップS60が、吸着促進手段として機能する。
以上説明したように、本実施形態の印字ラベル作成装置1においては、印字形成時にサーマルヘッド23に付着した付着物Dtの、フィルム101aの感熱層101aAへの戻り吸着を促進する。具体的には、ラベル印字Rの形成後に、感熱テープ101を逆方向へと搬送し、サーマルヘッド23の付着物Dtに対し再度フィルム101aの感熱層101aAを接触させる。これにより、比較的高い確率で付着物Dtを再び感熱層101aAに戻り吸着させてサーマルヘッド23の付着物を除去するクリーニングを実行することができる。この結果、付着物Dtによる印字乱れの発生を防止することができる。また、上記のように付着物Dtをフィルム101aの感熱層101aA側へ吸着させることにより、別途クリーニングパッド等の別部材を必要とすることなく、クリーニングを実行することができる。
また、本実施形態では特に、前述のようにして感熱テープ101を逆方向へ搬送するとき、サーマルヘッド23を発色温度未満となるまで加熱する。これにより、上述したようにサーマルヘッド23の付着物Dtの軟化を促進し、上記感熱層101aAへの戻り吸着を促進させることができる。しかも、発色温度未満の加熱とすることで付着物Dtの発色は起こらないので、再吸着した付着物Dtにより印字済ラベル用テープ109において視覚的な悪影響が生じるのを防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)逆転時に印字領域外で発色加熱する場合
すなわち、上記実施形態では、感熱テープ101を逆方向に駆動するとき、サーマルヘッド23を発色温度未満となるまで加熱したが、これに限られず、サーマルヘッド23を発色温度以上となるまで加熱してもよい。このとき、サーマルヘッド23を発色温度以上の加熱とすることで付着物Dtからの発色が生じるが、付着物Dtが戻り吸着する位置を印字領域Sの外とすることで、少なくとも印刷物の主要部である印字内容に対し視覚的な悪影響が生じるのを防止することができる。
その際、本変形例では、上記実施形態のようにハーフカッタ34により2つのハーフカット線HC1,HC2を設けるのに代えて、同じ部位に、印字領域Sの外に所定のカットマーク(切断線)V1,V2を形成する。具体的には、このカットマークV1,V2は、図12に示すように、実線によって形成される。印字ラベルLの使用者は、ハサミやカッター等の手動切断具を用いて上記カットマークV1,V2に沿って印字済ラベル用テープ109を切断することでテープの他の部分から円滑に分離し、印字ラベルLを得ることができる。そして、本変形例では、これらカットマークV1,V2の存在を利用し、上記のように発色する付着物Dtが、当該カットマークV1,V2の位置において感熱層101aAに戻り吸着するようにする。
本変形例における制御回路110によって実行される制御手順を、図13を用いて説明する。
図13において、本変形例では、上記実施形態の図11のフローにおけるステップS10〜ステップS40に代えてステップS110、ステップS115、ステップS120、ステップS125、ステップS140、ステップS141が設けられ、ステップS60〜ステップS70に代えてステップS160〜ステップS175が設けられている点が異なる。
すなわち、上記図11と同様のステップS1、ステップS2、ステップS5の後、新たに設けたステップS110に移る。
ステップS110では、CPU111は、感熱テープ101が上述した前カットマークV1の印刷位置に到達したか否か、すなわち、サーマルヘッド23が前ハーフカット線HC1に相当する位置に正対する位置まで感熱テープ101が到達したか否か、を判定する。この判定は、上記ステップS10と同様、例えば、ステップS5のテープ搬送開始から予め定められた所定の距離だけ搬送が行われたかどうかを判定すればよい。この所定の距離の判定は、前述と同様、同様、例えば搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。前カットマークV1の印刷位置となるまで判定が満たされず(S110:NO)ループ待機し、前カットマークV1の印刷位置となったら判定が満たされて(S110:YES)、ステップS15に移る。
ステップS115では、CPU111は、上記ステップS15と同様、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、サーマルヘッド23を通電して感熱テープ101のフィルム101aに前カットマークV1を印刷する。
その後、ステップS120において、CPU111は、上記ステップS10と同様にして、感熱テープ101がサーマルヘッド23による印刷開始位置まで到達したかどうかを判定する。印刷開始位置となるまで判定が満たされず(S120:NO)ループ待機し、印刷開始位置となったら、判定が満たされて(S120:YES)、ステップS125に移る。
ステップS125では、CPU111は、上記ステップS15と同様、サーマルヘッド23を通電して、感熱テープ101のうち前述した印字領域Sに、ステップS1で生成した印刷データに対応した文字、記号、バーコード等のラベル印字Rの印刷を開始する。
その後、ステップS140において、CPU111は、上記ステップS110と同様、感熱テープ101(印字済ラベル用テープ109)が上述した後カットマークV2の印刷位置まで到達したか否か、すなわち、ステップS40におけるサーマルヘッド23が後ハーフカット線HC2に相当する位置に正対する位置までテープが到達したか否か、を判定する。このときの判定は、前述と同様、例えば、上記ステップS110やステップS120のタイミング以降の、パルスモータである搬送用モータ119を駆動する搬送用モータ駆動回路121の出力するパルス数をカウントし、当該カウント数が所定の値に達したかどうか、により検出すれば足りる。後カットマークV2の印刷位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされてステップS141に移る。
ステップS141では、上記ステップS115と同様、CPU111は、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、サーマルヘッド23を通電して感熱テープ101のフィルム101aに後カットマークV2を印刷する。
その後、上記図11と同様の、ステップS45、ステップS50、ステップS55において、前述したように印字済ラベル用テープ109の逆方向への搬送を開始し、新たに設けたステップS160に移る。
ステップS160では、CPU111は、上記のような逆搬送を開始した状態において、印字済ラベル用テープ109が後カットマークV2の位置まで搬送されたか否か、すなわち、サーマルヘッド23が後カットマークV2に正対する位置までテープが戻されたか否か、を判定する。このときの判定は、前述と同様、例えば搬送用モータ119の出力パルス数のカウントによって行えば足りる。後カットマークV2の位置に到達するまで判定が満たされず(S160:NO)この手順を繰り返し、到達したら判定が満たされて(S160:YES)ステップS165に移る。
ステップS165では、CPU111は、上記図11のステップS60と同様、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、サーマルヘッド23を通電する。但しこの場合、上記ステップS60とは異なり、ステップS60での通電よりも高い電圧、すなわち感熱層101aAが発色温度に達する程度に加熱するような電圧で通電(強通電)を行う。
その後、ステップS170で、CPU111は、印字済ラベル用テープ109が後カットマークV2を通過した位置まで搬送されたか否か、すなわち、サーマルヘッド23が後カットマークV2が終了した位置に正対する位置までテープが戻されたか否か、を判定する。このときの判定は、前述と同様、例えば搬送用モータ119の出力パルス数のカウントによって行えば足りる。後カットマークV2を通過するまで判定が満たされず(S170:NO)この手順を繰り返し、通過したら判定が満たされて(S170:YES)ステップS175に移る。
ステップS175では、CPU111は、入出力インターフェース113を介しての印刷駆動回路120に対する制御信号を出力し、サーマルヘッド23に対する上記強通電を終了させる。
以降の、ステップS75〜ステップS110は上記図11と同様であり、説明を省略する。なお、上記図13のフローにおけるステップS55が各請求項記載の駆動制御手段として機能し、ステップS165が各請求項記載の第2通電制御手段として機能し、これらステップS55及びステップS165が、吸着促進手段として機能する。
本変形例においては、テープ逆方向搬送時において、感熱層101aAが発色温度に達する程度に加熱する。これにより感熱テープ101のフィルム101aの感熱層への戻り吸着を促進することができる。そして、上記のように、発色温度以上の加熱で付着物の発色が生じるとき、付着物Dtが戻り吸着する位置を上記後カットマークV2の位置とする。これにより、使用者から見ると、付着物Dtの発色は後カットマークV2に紛れてほとんどわからなくなるので、印字ラベルLにおいて視覚的な悪影響が生じるのを確実に防止することができる。なお、後カットマークV2ではなく前カットマークV1の位置に付着物Dtを戻り吸着させてもよいし、両方のカットマークV1,V2の位置にそれぞれ戻り吸着させてもよい。
また、前・後カットマークV1,V2の位置にも限られず、印字領域S外、すなわち前余白領域S1や後余白領域S2において付着物Dtを上記のように発色させつつ戻り吸着させるようにしてもよい。さらに、サーマルヘッド23が印字領域S外において往復しながら接触するように、感熱テープ101(印字済みラベル用テープ109)を上記順方向及び上記逆方向に沿って繰り返し往復動するようにしてもよい。この場合、さらに付着物Dtの戻り吸着を促進することができるとともに、クリーニング時に生じる発色部分を小さくすることができる。
(2)プラテンローラを強く押圧して戻り吸着を促進する場合
以上においては、感熱テープ101(印字済ラベル用テープ109)の逆方向への搬送時にサーマルヘッド23に通電を行って加熱することにより、付着物Dtの戻り吸着を促進したが、これに限られない。すなわち、上記逆方向への搬送時に、ローラホルダ25のプラテンローラ26が所定の押圧力より大きな押圧力で感熱テープ101を押圧するようにして、サーマルヘッド23をより高い圧力で感熱層101aAに接触させ、付着物Dtの戻り吸着を促進してもよい。
本変形例における制御回路110によって実行される制御手順を、図14を用いて説明する。
図14に示すフローにおいて、上記図11のステップS60及びステップS70に代えてステップS61及びステップS71が設けられている点だけが図11と異なる。
すなわち、上記図11と同様のステップS1〜ステップS50が実行された後、ステップS55で上述のように印字済ラベル用テープ109の逆方向への搬送が開始された後、新たに設けたステップS61に移る。
ステップS61では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し上記リリースモータ駆動回路130に制御信号を出力し、リリースモータ131の駆動によってリリースロッド82及びリリースロッド保持板81を前進移動させる。その際、CPU111は、ステップS2での前進移動量よりもさらに前進方向にリリースロッド82及びリリースロッド保持板81が移動するように、制御信号を出力する。これにより、ローラホルダ25のプラテンローラ26をサーマルヘッド23側へステップS2よりも強い圧力で押圧させる。なお、このステップS61が各請求項記載の押圧制御手段として機能するとともに、吸着促進手段としても機能する。
その後、前述と同様、ステップS65で、CPU111は、逆搬送する印字済ラベル用テープ109が所定距離だけ搬送されたかどうかを判定した後、新たに設けたステップS71に移る。
ステップS71では、CPU111は、入出力インターフェース113を介しリリースモータ駆動回路130に制御信号を出力し、リリースモータ131の駆動によってリリースロッド82及びリリースロッド保持板81を、上記ステップS2での制御時と同程度の押圧力(弱押圧)となるように制御する。
以後のステップS75〜ステップS110までの処理は、本実施形態の図11におけるステップS75〜ステップS110までの処理と同じなのでその詳細な説明を省略する。
本変形例によっても、上記実施形態と同様、いったんサーマルヘッド23に付着した付着物Dtの感熱層101aAへの戻り吸着を促進することができる。
(3)ローラホルダによるプラテンローラの押圧・解放を繰り返す場合
すなわち、本変形例では、印字領域Sへのラベル印字Rの形成後、ローラホルダ25のプラテンローラ26が所定の押圧力でサーマルヘッド23に押圧する押圧状態と、プラテンローラ26がサーマルヘッド23から離間する離間状態とが、所定の複数回数繰り返して切り替えられ、これによって付着物Dtの戻り吸着が促進される。
本変形例における制御回路110によって実行される制御手順を、図15を用いて説明する。
図15に示すフローにおいて、上記実施形態における図11のフローのステップS45とステップS50との間に新たにステップS146が設けられた点と、ステップS55〜ステップS75に代えて新たにステップS151が設けられた点が、図11と異なる。
すなわち、上記実施形態と同様のステップS1〜ステップS40が実行され、ステップS45で前述のようにして印刷が停止した後、新たに設けたステップS146に移る。
ステップS146では、CPU111は、サーマルヘッド23が後ハーフカット位置を超えたか否か、言い換えれば上記後ハーフカット線HC1を超える位置にサーマルヘッド23が正対するようになるまで印字済みラベル用テープ109が搬送されたか否か、を判定する。このときの判定も、上記同様、搬送用モータ119を駆動するパルス数のカウントにより行えばよい。後ハーフカット位置を超えるまで判定が満たされず(S146:NO)この手順を繰り返し、超えたら判定が満たされて(S146:YES)前述と同様のステップS50に移る。
ステップS50では、上記同様、テープ送りローラ27、プラテンローラ26、及び駆動ローラ51等の回転を停止して印字済ラベル用テープ109の搬送を停止する。その後、新たに設けたステップS151に移る。
ステップS151では、CPU111は、入出力インターフェース113を介しリリースモータ駆動回路130に制御信号を出力し、リリースモータ131の繰り返し駆動によってリリースロッド82及びリリースロッド保持板81の前進移動及び後退移動を所定回数だけ繰り返す。これにより、ローラホルダ25のプラテンローラ26のサーマルヘッド23側への押圧・解放が繰り返される。なお、このステップS151が各請求項記載の切替制御手段として機能するとともに、吸着促進手段としても機能する。
以降のステップS80〜ステップS110までの処理は、上記図11と同じなのでその詳細な説明を省略する。
本変形例においては、サーマルヘッド23が感熱層101aAに接したり離れたりが複数回数繰り返される。これにより、上記実施形態と同様、サーマルヘッド23の付着物Dtの感熱層101aAへの戻り吸着を促進することができる。
(4)その他
なお、以上においては、切断機構15とは別個に、ハーフカットユニット35を設けたが、これに限られない。すなわち例えば、切断機構15の可動刃41の移動量をフルカット時に比べて小さくなるように制御することでハーフカットを行うようにし、切断と半切断とを兼用するようにしてもよい。
また、以上において、印字の終了した印字済ラベル用テープ109を切断機構15で切断して印字ラベルLを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ(被印字媒体)上に連続配置されている場合には、切断機構15で切断しなくても、テープがラベル排出口11から排出されてきた後にラベル台紙(対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がして印字ラベルLを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
また、以上においては、被印字媒体としての感熱テープ101がリール部材102aの周りに巻回されて感熱テープロール102を構成し、テープカートリッジ7内にそのロールが配置されて感熱テープ101が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、被印字媒体として、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジを印字ラベル作成装置1側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字を行い印字ラベルLを作成するようにしてもよい。
さらには上記ロールを直接印字ラベル作成装置1側に着脱可能に装着する構成や、さらにはテープカートリッジ7のような印字ラベル作成装置1側に着脱可能なものにも限られず、装置側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型として感熱テープロール102を設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
また、以上は、印刷装置として、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、印刷装置の一例として、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の適宜のサイズの被印刷用紙(被印字媒体)に画像や文字を印刷するプリンタに対し、本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上において、図6中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。