以下、本発明の第1から第4実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
(第1実施形態)
まず、紙切断装置の構成について説明する。紙切断装置は、紙を積載する積載部と、積載部から供給された紙を切断する切断部と、積載部から切断部に向けて紙を搬送する搬送部と、紙に取り付けられたバインダーを除去するための除去部と、を有し、除去部は、積載部から切断部へ向かう紙の搬送路に沿って、紙の搬送方向に重なるように複数設けられた装置である。以下、具体的な構成について説明する。
図1は、紙細断装置の構成を示す概略図(側断面図)であり、図2は、紙細断装置の構成を示す概略図(平面図)であり、図3は、突部の構成を示す概略図である。また、図4は、除去部の構成を示す一部断面図である。
図1に示すように、紙細断装置10は、積載部11と、供給部12と、切断部20等を備えている。紙細断装置10は、筐体19を有している。また、筐体19内には筐体19を上方側と下方側とに区画する区画部190が設けられている。そして、筐体19の上方側は、開閉可能な押え部350が配置され、筐体19の下方側は開放口19aが設けられている。
積載部11は、紙Pu(繊維を含む原料としての古紙Pu等であってもよい。以下では、古紙Puと記載する。)等を積載するものである。本実施形態では筐体19内の区画部190と押え部350との間に設けられた空間が積載部11に対応する。積載部11には、数枚から数百枚の古紙Puを積載可能に空間が設けられている。そして、積載された最下部の古紙Puは区画部190の載置面190aに倣って載置される。
押え部350は、積載部11に積載された古紙Puを重力方向に押し圧するものである。本実施形態の押え部350は、積載された最上部の古紙Puに接触する複数の押えローラー351と、押えローラー351に接続され、押えローラー351を保持する保持部352と、保持部352を重力方向に付勢する付勢部としてのばね部353と、ばね部353が接続された蓋部354等を備えている。押え部350は筐体19に対して開閉可能に構成されている。そして、押え部350が開状態において、古紙Puを積載部11に積載可能となり、押え部350が閉状態において、蓋部354は、筐体19の上部で固定される。そして、古紙Puが積載部11に積載された状態で押え部350を閉状態にすると、ばね部353の付勢力により押えローラー351が古紙Puを押し圧する。
供給部12は、切断部20に原料の古紙Puを供給するものである。そして、積載部11から切断部20に向けて古紙Puを搬送する搬送部としてのローラー対18(18a,18b)を備えている。本実施形態にかかるローラー対18は、区画部190の中央部であって、積載される古紙Puの幅方向に沿って配置されている。ここで、積載される古紙Puの幅方向は、例えば、A4サイズの古紙Puにおける横幅(短辺)方向である(図2参照)。なお、ローラー対18の上端部は積載された最下部の古紙Puと接触するように配置される。そして、積載部11に積載された古紙Puに対して押え部350によって古紙Puを重力方向に押さえた状態でローラー対18を回転駆動させることにより、積載された最下部の古紙Puがローラー対18に倣って古紙Puが折り畳まれるようにしてローラー対18を通過して切断部20に搬送される。なお、ローラー対18を通過する古紙Puの枚数は1枚だけとは限らず、複数枚の古紙Puを一度に搬送することもあり得る。
切断部20は、粗砕刃(切断刃)21を備え、供給部12により供給された古紙Puを例えば数センチメートル角の紙片に切断(粗砕)するものである。これにより、供給された古紙Puを容易に紙片に裁断することができる。紙片は、開放口19aから筐体内または筐体外に設けられた不図示の収容部に収容される。あるいは、紙片は、ホッパー等の受け部201aに一時的に収容され、排出口(配管201)から他のユニットや装置に供給される(後述する第3実施形態参照)。
なお、供給部12は、古紙Puを束ねているバインダーを取り除くための除去部300を備えている。除去部300は載置面190aに配置されている。ここで、バインダーとは、例えば、原料の古紙を纏めるために付けられた紙より厚さがあり樹脂材料で構成されるクリップ(例えば、樹脂主体のクリップ、セルロース主体のクリップ)、および金属製のクリップや金属製のステープラーの針等である。なお、このようなバインダーで綴じられた状態で古紙Puを積載部11から切断部20に供給した場合、バインダーによって切断部20の粗砕刃21が損傷してしまうおそれがある。このため、古紙Puを切断部20に供給する前に、古紙Puに添付されたバインダーを除去部300で除去する。
除去部300は、積載部11から切断部20へ向かう古紙Puの搬送路に沿って、古紙Puの搬送方向に重なるように複数設けられている。具体的には、図2に示すように、除去部300は平面視において略板状を有し、複数の除去部300が載置面190aに配置されている。本実施形態では、8つの除去部300(300a〜300h)が配置されている。さらに、8つの除去部300(300a〜300h)は、除去部300aと除去部300bとが対になって配置されている。また、除去部300cと除去部300d、除去部300eと除去部300fと、除去部300gと除去部300hと、がそれぞれ対になって配置されている。さらに、詳細には、ローラー対18へ向かう古紙Puの第1搬送路R1に沿って、古紙Puの第1搬送方向W1に重なるように、第1搬送方向W1における上流側に除去部300aが配置され、第1搬送方向W1における除去部300aの下流側には除去部300bが配置されている。また、第1搬送方向W1に対して除去部300aと除去部300bとに対向する位置に除去部300cと除去部300dとが配置されている。また、ローラー対18へ向かう古紙Puの第2搬送路R2に沿って、古紙Puの第1搬送方向W1とは逆方向となる第2搬送方向W2に重なるように、第2搬送方向W2における上流側に除去部300eが配置され、第2搬送方向W2における除去部300eの下流側には除去部300fが配置されている。また、第2搬送方向W2に対して除去部300eと除去部300fとに対向する位置に除去部300gと除去部300hとが配置されている。
そして、これらの除去部300(300a〜300h)は、図2に示すように、第1及び第2搬送方向W1,W2に対して傾斜するように設けられている。具体的には、第1及び第2搬送方向W1,W2と交差する方向における区画部190の中央部に対応する各除去部300(300a〜300h)の端部が他端部よりもローラー対18に近づくように傾斜している。
また、除去部300は、図3に示すように、複数の突部301を有し、少なくとも1つ以上の突部301がバインダーに当接するよう形成されている。具体的には、第1及び第2搬送方向W1,W2の上流側に向けて各突部301が形成されている。これにより、突部301が古紙Puに付いたバインダーに接触しやすくなり、バインダーの除去率を高めることができる。この場合に、突部301は、バインダーの内幅の2分の1以下のピッチP1で設けることが好ましい。これにより、2つ以上突部301をバインダーに接触させることが可能となり、バインダーの除去率を高めることができる。さらに、図3に示すように、例えば、第1搬送方向W1に重なるように配置された第1除去部としての除去部300aと第2除去部としての除去部300bは、それぞれ複数の突部301を有し、除去部300aの突部301と除去部300bの突部301とが第1搬送方向W1に対して互い違いに位置するよう、配置されている。これにより、バインダーが各除去部300a,300bの突部301に接触する機会が増え、さらに、バインダーの除去率を高めることができる。
また、図4に示すように、除去部300により除去されたバインダーを収容する収容部400が設けられている。収容部400は区画部190の載置面190aから重力方向に向けて形成された凹部である。そして、収容部400は、各除去部300(300a〜300h)に対して第1及び第2搬送方向W1,W2の上流側に対応して設けられている。これにより、除去部300で除去されたバインダーは重力方向に落下し、収容部400に収容される。このため、バインダーが切断部20に搬送されることがなくなり、切断部20の粗砕刃21等を保護することができる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
突部301を備えた複数の除去部300(300a〜300h)が設けられ、これらの除去部300(300a〜300h)が古紙Puの第1及び第2搬送方向W1,W2に重なるように配置される。これにより、古紙Puに付いたバインダーを取り除く機会が増大する。従って、古紙Puからのバインダー除去率を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態にかかる紙細断装置の基本的な構成は、第1実施形態にかかる紙細断装置10の構成とほぼ同様なので、説明を省略し、第1実施形態の構成とは異なる構成、すなわち、除去部の配列構成について説明する。
図5は、本実施形態にかかる紙細断装置の構成を示す概略図であり、さらに具体的には、除去部の配置(配列)を示す平面図である。本実施形態の紙細断装置10aは、第1実施形態と同様に、積載部と、供給部と、切断部等を備えている。なお、これらの構成は、第1実施形態の構成と同様なので説明を省略する。
紙細断部10aは、図5に示すように、複数の除去部300が載置面190aに配置されている。本実施形態では、8つの除去部300(300a〜300h)が配置されている。さらに、8つの除去部300(300a〜300h)は、除去部300aと除去部300bとが対になって配置されている。また、除去部300cと除去部300d、除去部300eと除去部300fと、除去部300gと除去部300hと、がそれぞれ対になって配置されている。除去部300a、300bと除去部300e、300fは、載置面190aを搬送方向W1,W2に二分した一方の領域(図5では上半分の領域)に対して配置され、除去部300c,300dと除去部300g,300hは、載置面190aを搬送方向W1,W2に二分した他方の領域(図5では下半分の領域)に対して配置されている。また、除去部300a,300bと除去部300c,300dは、載置面190aを搬送方向W1,W2と直交する方向に二分した一方の領域(図5ではローラー18aから右側の領域)に対して配置され、除去部300e,300fと除去部300g,300hは、載置面190aを搬送方向W1,W2に直交する方向に二分した他方の領域(図5ではローラー18bから左側の領域)に対して配置されている。さらに、詳細には、ローラー対18へ向かう古紙Puの第1搬送路R1に沿って、古紙Puの第1搬送方向W1に重なるように、第1搬送方向W1における上流側に除去部300aが配置され、第1搬送方向W1における除去部300aの下流側には除去部300bが配置されている。同様に、古紙Puの第1搬送方向W1に重なるように除去部300cと除去部300dとが配置されている。また、ローラー対18へ向かう古紙Puの第2搬送路R2に沿って、古紙Puの第1搬送方向W1とは逆方向となる第2搬送方向W2に重なるように、第2搬送方向W2における上流側に除去部300eが配置され、第2搬送方向W2における除去部300eの下流側には除去部300fが配置されている。同様に、古紙Puの第2搬送方向W2に重なるように除去部300gと除去部300hとが配置されている。
そして、これらの除去部300(300a〜300h)は、第1及び第2搬送方向W1,W2に対して傾斜するように設けられている。具体的には、第1及び第2搬送方向W1,W2と交差する方向における区画部190の中央部に対応する各除去部300(300a〜300h)の端部が他端部よりもローラー対18に近づくように傾斜している。
さらに、除去部300(300a〜300h)は、第1及び第2搬送方向W1,W2に交差する方向に複数設けられ、互い違いに配置されている。具体的には、第1搬送方向W1の上流側から下流側に向けて除去部300a、除去部300c、除去部300b、除去部300dの順に互い違いに配置されている。そして、第1搬送方向W1と交差する方向における区画部190の中央部に対応する各除去部300(300a〜300d)の端部が古紙Puの第1搬送方向W1に重なるように配置されている。
同様にして、第2搬送方向W2の上流側から下流側に向けて除去部300g、除去部300e、除去部300h、除去部300fの順に互い違いに配置されている。そして、第2搬送方向W2と交差する方向における区画部190の中央部に対応する各除去部300(300e〜300h)の端部が古紙Puの第2搬送方向W2に重なるように配置されている。
なお、除去部300に形成された突部301の構成は、第1実施形態にかかる構成と同様なので説明を省略する。また、第1実施形態と同様にして、除去部300により除去されたバインダーを収容する収容部400が設けられている。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
複数の除去部300(300a〜300h)が、第1及び第2搬送方向W1,W2に交差する方向に複数設けられ、互い違いに配置される。これにより、バインダーが古紙Puの中央部に付いていた場合であっても除去することができる。
(第3実施形態)
次に、シート製造装置の構成について説明する。シート製造装置は、例えば、純パルプシートや古紙などの原料(被解繊物)Puを新たなシートPrに形成する技術に基づくものである。本実施形態にかかるシート製造装置は、繊維を含む原料を積載する積載部と、積載部から供給された原料を粗砕する粗砕部(切断部)と、粗砕部により粗砕された原料の粗砕片を用いてシートを成形する成形部と、原料を積載部から粗砕部に向けて搬送する搬送部と、原料を束ねているバインダーを取り除くための除去部と、を備え、除去部は、積載部から粗砕部へ向かう原料の搬送路に沿って、原料の搬送方向に重なるように複数設けたものである。以下、具体的にシート製造装置の構成について説明する。
図6は、本実施形態にかかるシート製造装置の構成を示す概略図である。図6に示すように、本実施形態のシート製造装置1は、投入部10と、成形部を構成する解繊部30や分級部40、選別部50、添加物投入部60、堆積部70、加熱加圧部120等を備えている。また、これらの部材を制御する制御部(図示せず)を備えている。
なお、本実施形態の投入部10は、第1実施形態にかかる紙細断装置10を適用したものである。従って、投入部10の構成は紙細断装置10の構成と同様であるため、投入部10の詳細な構成の説明は省略する。
投入部10は、供給部12や粗砕部20(切断部20)等(図1参照)を含み、原料としての古紙等を供給し、供給された古紙を数センチメートル角の紙片に粗砕(切断)するものである。そして、粗砕された粗砕片は、受け部201aで受けるとともに、受け部201aに接続された配管201を介して解繊部30に供給される。
解繊部30は、繊維を含む材料を空気中(大気中)等の気中(以下では、空気中と称する)で解繊するものである。解繊部30は、回転する回転刃(図示せず)を備え、粗砕部20から供給された粗砕片を繊維状に解きほぐす解繊を行うものである。本願においては、解繊部30で解繊されるものを被解繊物と言い、解繊部30を通過したものを解繊物と言う。なお、本実施形態の解繊部30は、空気中で乾式で解繊を行うものである。解繊部30の解繊処理により、印刷されたインクやトナー、にじみ防止材等の紙への塗工材料等は、数十μm以下の粒(以下、「インク粒」という)となって繊維と分離する。したがって、解繊部30から出る解繊物は、紙片の解繊により得られる繊維とインク粒である。そして、回転刃の回転によって気流が発生する機構となっており、配管202を介して解繊された繊維はこの気流に乗って空気中で分級部40に搬送される。なお、必要に応じて解繊部30に配管202を介して解繊された繊維を分級部40に搬送させるための気流を発生させる気流発生装置を別途設けてもよい。
分級部40は、導入された導入物を気流により分級するものである。本実施形態では、導入物としての解繊物をインク粒と繊維とに分級する。分級部40は、例えば、サイクロンを適用することにより、搬送された解繊物をインク粒と繊維とに気流分級することができる。なお、サイクロンに替えて他の種類の気流式分級器を利用してもよい。この場合、サイクロン以外の気流式分級器としては、例えば、エルボージェットやエディクラシファイヤー等が用いられる。気流式分級器は旋回気流を発生させ、解繊物のサイズと密度により受ける遠心力の差によって分離、分級するもので、気流の速度、遠心力の調整により、分級点を調整することができる。これにより、比較的小さく密度の低いインク粒と、インク粒より大きく密度の高い繊維とに分けられる。
本実施形態の分級部40は接線入力方式のサイクロンであり、解繊部30から導入物が導入される導入口40aと、導入口40aが接線方向についた筒部41と、筒部41の下部に続く円錐部42と、円錐部42の下部に設けられる下部取出口40bと、筒部41の上部中央に設けられる微粉排出のための上部排気口40cとから構成される。円錐部42は鉛直方向下方にむかって径が小さくなる。
分級処理において、分級部40の導入口40aから導入された解繊物をのせた気流は、筒部41、円錐部42で円周運動に変わり、遠心力がかかり分級される。そして、インク粒より大きく密度の高い繊維は下部取出口40bへ移動し、比較的小さく密度の低いインク粒は空気とともに微粉として上部排気口40cへ導出される。そして、分級部40の上部排気口40cからインク粒が排出される。そして、排出されたインク粒は、分級部40の上部排気口40cに接続された配管206を介して回収部80に回収される。一方、分級部40の下部取出口40bから配管203を介して分級された繊維を含む分級物が選別部50に向けて空気中で搬送される。分級部40から選別部50へは、分級される際の気流によって搬送されてもよいし、上方にある分級部40から重力で下方にある選別部50に搬送されてもよい。なお、分級部40の上部排気口40cや配管206等に、上部排気口40cから短繊維混合物を効率よく吸引するための吸引部等を配置してもよい。分級は、あるサイズや密度を境にして正確に分けられるものではない。また、繊維とインク粒とに正確に分けられるものでもない。繊維の中でも比較的短い繊維はインク粒と共に上部排気口40cから排出される。インク粒の中でも比較的大きいものは繊維とともに下部取出口40bから排出される。
選別部50は、分級部40により分級された繊維を含む分級物(解繊物)を複数の開口を有するふるい部51から通過させて選別するものである。さらに、具体的には、分級部40により分級された繊維を含む分級物を、開口を通過する通過物と、開口を通過しない残留物と、に選別するものである。本実施形態の選別部50では、分級物を回転運動により空気中で分散させる機構を備えている。そして、選別部50の選別により開口を通過した通過物は、通過物搬送部52から配管204を介して堆積部70側に搬送される。一方、選別部50の選別により開口を通過しなかった残留物は、配管205を介して再び被解繊物として解繊部30に戻される。これにより、残留物は廃棄されずに再使用(再利用)される。
選別部50の選別により開口を通過した通過物は配管204を介して堆積部70に空気中で搬送される。選別部50から堆積部70へは、気流を発生させる図示しないブロワーによって搬送されてもよいし、上方にある選別部50から下方にある堆積部70に重力で搬送されてもよい。配管204における選別部50と堆積部70との間には、搬送される通過物に対して結着樹脂(例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂)等の添加物を添加する添加物投入部60が設けられている。なお、添加物としては、結着樹脂の他、例えば、難燃剤、白色度向上剤、シート力増強剤やサイズ剤、吸収調整剤、芳香剤、脱臭剤等を投入することも可能である。これらの添加物は、添加物貯留部61に貯留され、図示しない投入機構によって投入口62から投入される。
堆積部70は、繊維を含む材料を堆積可能にするものであり、解繊部30で解繊された解繊物の少なくとも一部を空気中で堆積するものである。具体的には、堆積部70は、配管204から投入された繊維や結着樹脂を含む材料を用いて堆積させてウエブWを形成するものであり、繊維を空気中に均一に分散させる機構を備えている。また、堆積部70は、移動しながら解繊物を堆積物(ウエブW)として堆積する移動部を有している。なお、本実施形態の移動部は、張架ローラー72と、張架ローラー72によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルト73とで構成されている。そして、張架ローラー72のうちの少なくとも1つが自転することで、このメッシュベルト73が一方向に回転(移動)するようになっている。なお、本実施形態にかかるウエブWとは、繊維と結着樹脂とを含む物体の構成形態を言う。従って、ウエブの加熱時や加圧時や切断時や搬送時等において寸法等の形態が変化した場合であってもウエブとして示している。
まず、繊維を空気中に均一に分散させる機構として、堆積部70には、繊維及び結着樹脂が内部に投入されるフォーミングドラム71が配置されている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させることにより通過物(繊維)中に結着樹脂(添加物)を均一に混ぜることができる。フォーミングドラム71には複数の小孔を有するスクリーンが設けられている。そして、フォーミングドラム71を回転駆動させて、通過物(繊維)中に結着樹脂(添加物)を均一に混ぜるとともに、小孔を通過した繊維や繊維と結着樹脂の混合物を空気中に均一に分散させることができる。
フォーミングドラム71の下方には、メッシュベルト73が配されている。また、フォーミングドラム71の鉛直下方には、メッシュベルト73を介して、鉛直下方に向けた気流を発生させる吸引部としてのサクション装置75が設けられている。サクション装置75によって、空気中に分散された繊維をメッシュベルト73上に吸引することができる。
そして、フォーミングドラム71の小孔スクリーンを通過した繊維等は、サクション装置75による吸引力によって、メッシュベルト73上に堆積される。このとき、メッシュベルト73を一方向に移動させることにより、繊維と結着樹脂を含み長尺状に堆積させたウエブWを形成することができる。フォーミングドラム71からの分散とメッシュベルト73の移動を連続的に行うことで、帯状の連続したウエブWが成形される。なお、メッシュベルト73は金属性でも、樹脂性でも、不織布でもよく、繊維が堆積でき、気流を通過させることができれば、どのようなものであってもよい。なお、メッシュベルト73のメッシュの穴径が大きすぎるとメッシュの間に繊維が入り込み、ウエブW(シート)を成形したときの凸凹になり、一方、メッシュの穴径が小さすぎると、サクション装置75による安定した気流を形成しづらい。このため、メッシュの穴径は適宜調整することが好ましい。サクション装置75はメッシュベルト73の下に所望のサイズの窓を開けた密閉箱を形成し、窓以外から空気を吸引し箱内を外気より負圧にすることで構成できる。
メッシュベルト73上に成形されたウエブWは、メッシュベルト73の回転移動により、搬送方向(図中の白抜き矢印)に従って搬送される。メッシュベルト73の上側には剥離部としての中間搬送部90が配置される。ウエブWは中間搬送部90によりメッシュベルト73上から剥離されて、加圧部110側に搬送される。つまり、移動部(メッシュベルト73)から堆積物(ウエブW)を剥離する剥離部(中間搬送部90)を有し、剥離した堆積物(ウエブW)を加圧部110に搬送できる。中間搬送部90は、鉛直上方(ウエブWがメッシュベルト73から離間する方向)にウエブWを吸引しながらウエブWを搬送可能に構成されている。中間搬送部90は、メッシュベルト73から鉛直上方(ウエブWの表面に対して垂直な方向)に離間して配置され、且つ、ウエブWの搬送方向においてメッシュベルト73と一部が下流側にずれて配置されている。そして、中間搬送部90の搬送区間は、メッシュベルト73の下流側の張架ローラー72aから加圧部110までの区間となる。
中間搬送部90は、搬送ベルト91と、複数の張架ローラー92と、吸引室93と、を有する。搬送ベルト91は、張架ローラー92によって張架されるメッシュが形成されているエンドレスのメッシュベルトである。そして、複数の張架ローラー92のうちの少なくとも1つが自転することで、搬送ベルト91が一方向に回転(移動)するようになっている。
吸引室93は、搬送ベルト91の内側に配置され、上面と当該上面に接する4つの側面とを有する中空の箱型形状をしており、底面(下方に位置する搬送ベルト91と対向する面)が開口している。また、吸引室93は、吸引室93内に気流(吸引力)を発生させる吸引部を備えている。そして、吸引部を駆動させることにより吸引室93の内部空間が吸引されて、吸引室93の底面から空気が流れ込む。これにより吸引室93の上方に向けた気流が発生し、ウエブWをウエブWの上方から吸引して搬送ベルト91にウエブWを吸着させることができる。そして、搬送ベルト91は、張架ローラー92が自転することによって移動(周回)し、ウエブWを加圧部110に向けて搬送することができる。また、吸引室93は、上方から見て、メッシュベルト73と一部が重なり、また、サクション装置75と重ならない下流側の位置に配置されるため、メッシュベルト73上のウエブWは、吸引室93と対向する位置においてメッシュベルト73から剥離させて搬送ベルト91に吸着させることができる。張架ローラー92は、搬送ベルト91がメッシュベルト73と同速度で移動するように自転する。メッシュベルト73と搬送ベルト91の速度に差があると、ウエブWが引っ張られて破断したり座屈したりすることを、同速度にすることで防止できる。
ウエブWの搬送方向における中間搬送部90の下流側に加圧部110が配置されている。加圧部110は、一対の加圧ローラー111,112で構成され、搬送されるウエブWを加圧する。例えば、加圧部110により、堆積部70で形成されたウエブWの厚みに対しておよそ1/5から1/30の厚みのウエブWとなるように加圧する。これにより、ウエブWの強度を向上させることができる。
ウエブWの搬送方向における加圧部110の下流側に加熱加圧部120が配置されている。加熱加圧部120は、堆積部70で堆積した堆積物としてのウエブWを加熱加圧するものである。加熱加圧部120は、ウエブWに含まれる繊維同士を結着樹脂を介して結着させるものである。本実施形態の加熱加圧部120は、一対の加熱ローラー121,122で構成されている。加熱ローラー121,122の回転軸中心部にはヒーター等の加熱部材が設けられており、当該一対の加熱ローラー121,122間にウエブWを通過させることにより、搬送されるウエブWに対して加熱加圧することができる。そして、ウエブWは一対の加熱ローラー121,122によって加熱加圧されることで、結着樹脂が溶けて繊維と絡みやすくなるとともに繊維間隔が短くなり繊維間の接触点が増加する。
加熱加圧部120の搬送方向の下流側には、ウエブWを切断する切断部130として、ウエブWの搬送方向に沿ってウエブWを切断する第1切断部130aとウエブWの搬送方向と交差する方向にウエブWを切断する第2切断部130bとが配置されている。第1切断部130aは、例えば、スリッターであり、ウエブWの搬送方向における所定の切断位置に従って裁断する。第2切断部130bは、例えば、ロータリーカッターであり、連続状のウエブWを所定の長さに設定された切断位置に従って枚葉状に裁断する。これにより、所望するサイズのシートPr(ウエブW)が形成される。切断されたシートPrはスタッカー160等に積載される。なお、ウエブWを切断せずに、連続状のまま巻き取りローラーによって巻き取るように構成してもよい。以上により、シート製造装置1においてシートPrを製造することができる。
なお、上記実施形態にかかるシートとは、古紙や純パルプなどの繊維を含むものを原料とし、シート状にしたものを主に言う。しかし、そのようなものに限らず、ボード状やウエブ状(や凸凹を有する形状)であってもよい。また、原料としてはセルロースなどの植物繊維やPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステルなどの化学繊維や羊毛、絹などの動物繊維であってもよい。本願においてシートとは、紙と不織布に分かれる。紙は、薄いシート状にした態様などを含み、筆記や印刷を目的とした記録紙や、壁紙、包装紙、色紙、ケント紙などを含む。不織布は紙より厚いものや低強度のもので、不織布、繊維ボード、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、クリーナー、フィルター、液体吸収材、吸音体、緩衝材、マットなどを含む。
また、上記本実施形態において古紙とは、主に印刷された紙を指すが、紙として成形されたものを原料とするのであれば使用したか否かに関わらず古紙とみなす。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
投入部10には突部301を備えた複数の除去部300(300a〜300h)が設けられ、これらの除去部300(300a〜300h)が古紙Puの第1及び第2搬送方向W1,W2に重なるように配置される。これにより、古紙Puに付いたバインダーを取り除く機会が増大する。従って、古紙Puからのバインダー除去率を向上させることができる。そして、バインダーによる粗砕部20の粗砕刃21の損傷等を低減することができる。
(第4実施形態)
次に、紙供給装置の構成について説明する。紙供給装置は、紙を積載する積載部と、積載部に積載された紙を最下位の紙から搬送する搬送部と、紙に取り付けられたバインダーを除去するための除去部と、を有し、除去部は、搬送部により紙の搬送路に沿って、紙の搬送方向に重なるように複数設けられている装置である。
図7は、紙供給装置の構成を示す概略図(側断面図)である。図7に示すように、紙供給装置500は、積載部11と、搬送部としてのローラー対18と、除去部300等を備えている。なお、本実施形態の紙供給装置500は、第1実施形態にかかる紙細断装置10から切断部20(および受け部201a、配管201)を省略した構成である。従って、積載部11、ローラー対18及び除去部300等の構成は紙細断装置10にかかる構成と同様なので説明を省略する。
紙供給装置500では、積載部11に積載された紙(古紙)Puが、除去部300を介してローラー対18を通り、開放口19aから搬送(供給)される。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
突部301を備えた複数の除去部300(300a〜300h)が設けられ、これらの除去部300(300a〜300h)が古紙Puの第1及び第2搬送方向W1,W2に重なるように配置される。これにより、古紙Puに付いたバインダーを取り除く機会が増大する。従って、古紙Puからのバインダー除去率を向上させ、バインダーが除去された古紙Puを他のユニットや装置に供給(搬送)することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。変形例を組み合わせてもよい。
(変形例1)上記実施形態では、除去部300(300a〜300h)は第1及び第2搬送方向W1,W2に対して傾斜するように配置したが、この構成に限定されない。図8は、変形例1にかかる紙細断装置(投入部)の構成を示す概略図である。図8に示すように、紙細断装置10bには複数の除去部300(300i〜300l)が配置されている。これらの除去部300(300i〜300l)は第1及び第2搬送方向W1,W2に対してほぼ直交するよう配置されている。具体的には、第1搬送方向W1に対してほぼ直交するように除去部300iと除去部300jとが配置されている。なお、除去部300iと除去部300jとは第1搬送方向W1に重なるように配置される。また、第2搬送方向W2に対してほぼ直交するように除去部300kと除去部300lとが配置されている。なお、除去部300kと除去部300lとは第2搬送方向W2に重なるように配置される。このようにしても、古紙Puに付いたバインダーを取り除く機会が増え、古紙Puからのバインダー除去率を向上させることができる。
(変形例2)上記実施形態の紙細断装置(投入部)10,10aでは、積載部11と、供給部12と、切断部(粗砕部)20等を一つのユニットとして構成したが、この構成に限定されない。図9は変形例2にかかる紙細断装置(投入部)の構成を示す概略図である。図9に示すように、紙細断装置(投入部)10cは、積載部11と、供給部12と、切断部(粗砕部)20等が別個に配置されている。具体的には、複数枚の古紙Puを積載可能な積載部11としてのトレー部11を備えている。そして、トレー部11は、古紙Puを積載するとともに上昇及び下降可能な移動部11aを備えている。また、トレー部11に積載された古紙Puの上端部には複数の除去部300(本変形例では2つの除去部300m,300n)が配置されている。また、除去部300m,300nは古紙Puの搬送方向W3に重なるように配置されている。また、トレー部11の上方には搬送部を構成するピックアップローラー18cが配置され、ピックアップローラー18cの回転により搬送方向W3に向けて古紙Puが搬送される。このとき、古紙Puに付いたバインダーは除去部300m,300nによって除去される。さらに、搬送方向W3のピックアップローラー18cの下流側にはローラー対18が配置されている。そして、ローラー対18によって古紙Puが切断部(粗砕部)20に搬送され、紙片に裁断される。裁断された粗砕片は、例えばシート製造装置1の場合、受け部201aで受けるとともに配管201を介して解繊部30に供給される。このようにしても、上記効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例3)上記実施形態における除去部300(300a〜300h)は、各除去部300(300a〜300h)の内側の端部が外側の端部よりも第1及び第2搬送方向W1,W2の下流側に(ローラー対18に近づくように)傾斜するよう配置したが、この構成に限定されない。ここで、各除去部300(300a〜300h)の内側の端部とは、古紙Puの幅方向(搬送方向に交差する方向)中央寄りに位置する側の端部のことであり、外側の端部とは古紙Puの幅方向側端部寄りに位置する側の端部のことである。図10は、変形例3にかかる紙細断装置(投入部)の構成を示す概略図である。図10に示すように、紙細断装置10dの除去部300(300a〜300h)を、各除去部300(300a〜300h)の内側の端部が外側の端部よりも第1及び第2搬送方向W1,W2の上流側に(ローラー対18から遠ざかるように)傾斜するよう配置してもよい。すなわち、第1実施形態にかかる紙細断装置10aの各除去部300(300a〜300h)の傾斜方向と逆方向に傾斜させてもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。
(変形例4)上記実施形態における除去部300(300a〜300h)は、載置面190a上に配置され、除去部300(突部301)の頂部が載置面190aよりも上方に高くなるように配置したが、この構成に限定されない。図11は、変形例4にかかる除去部の構成を示す一部断面図である。図11に示すように、除去部300と載置面190aとが面一となるように配置してもよい。この場合、例えば、区画部190の一部に凹部を形成し、当該凹部に除去部300を配置すればよい。このようにすれば、除去部300と載置面190aとによる段差がないため、古紙Puを円滑に搬送させることができる。
さらに、図11に示すように、収容部400の凹部の底部に磁石302を配置してもよい。このようにすれば、除去部300で除去された磁性体を含むバインダーを捕獲でき、バインダーの飛散を防止することができる。
(変形例5)上記実施形態の除去部300は、すべての除去部300a〜300hに突部301を設けたが、第1及び第2搬送方向W1,W2に重なり合う2つの除去部300のうち何れか一方のみに突部301を設けてもよい。例えば、上流側に位置する除去部300a,300c,300e,300gに突部301を設け、下流側に位置する除去部300b,300d,300f,300hは突部301のないエッジとしてもよい。
(変形例6)上記実施形態の除去部300は、区画部190に一体に形成しているが、除去部300を区画部190に着脱可能(交換可能)に固定してもよい。例えば、除去部300をねじ等の留め具により区画部190に固定してもよいし、除去部300をスナップフィット構造により区画部190に固定してもよい。このようにすれば、区画部190の製造が容易となる。また、除去部を交換することができるので、例えば、除去部が損傷したときの交換等のメンテナンスが可能となる。さらに、形状や材質等の異なる除去部を種々用意しておき、適宜に取り換えて使用することが可能となる。