JP2016128306A - 車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車体の剛性を向上させることができる車体構造を得る。
【解決手段】車体構造20は、アウタR/F24と、ピラーインナ26と、インナR/F28と、発泡材32とを有している。アウタR/F24は、縦壁部24Bと縦壁部24Bから張り出されたフランジ24Dとで稜線Aが形成されている。ピラーインナ26は、フランジ24Dに結合されている。インナR/F28は、縦壁部24Bに結合された突出部28Eと、突出部28Eから稜線A側へ延びアウタR/F24及びピラーインナ26に対して間隔をあけて配置された延出部28Gと、を備えている。発泡材32は、縦壁部24B、ピラーインナ26、及び延出部28Gの三部材に跨って設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、車体構造に関する。
特許文献1には、アウタリインホースメントとインナリインホースメントとで形成された閉空間内で、アウタリインホースメントの内側にヒンジリインホースメントを結合したセンタピラーを有する車体構造が開示されている。特許文献1では、ヒンジリインホースメントの車両幅方向内側の端部が、アウタリインホースメント及びインナリインホースメントと離間している。
特開2013−220807号公報
しかしながら、上記先行技術による場合、ヒンジリインホースメントの端部がアウタリインホースメント及びインナリインホースメントと離間しており、ヒンジリインホースメントから他の部材へ荷重伝達され難い。このため、車両走行中にアウタリインホースメントの稜線部を起点とする変形が生じるとき、アウタリインホースメントが変形し易くなる。よって、車体の剛性を向上させるには改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、車体の剛性を向上させることができる車体構造を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係る車体構造は、本体部と該本体部から張り出されたフランジ部とで稜線が形成された第1部材と、前記フランジ部に結合された第2部材と、前記本体部又は前記第2部材に結合された結合部と、該結合部から前記稜線側へ延び前記第1部材及び前記第2部材に対して間隔をあけて配置された延出部と、を備えた第3部材と、前記本体部、前記第2部材、及び前記延出部の三部材に跨って設けられた発泡材と、を有する。
請求項1に記載の本発明に係る車体構造では、第1部材の稜線の周辺において、発泡材が第1部材の本体部、第2部材、及び第3部材の延出部の三部材に跨って設けられている。ここで、車両の走行時において、第1部材の本体部から延出部へ発泡材を介して荷重が伝達され、延出部から第2部材へ発泡材を介して荷重が伝達され、本体部から第2部材へ発泡材を介して荷重が伝達される。さらに、発泡材が該発泡材に作用する圧縮力又は引張力に抵抗する。これにより、発泡材が無い構成に比べて、第2部材及び第3部材に対する第1部材の相対変位が抑制され、即ち、第1部材の稜線を起点とする変形が抑制されるので、車体の剛性を向上させることができる。
請求項2に記載の本発明に係る車体構造の前記発泡材には、前記延出部が挿入された溝が形成されている。
請求項2に記載の本発明に係る車体構造では、膨張前の発泡材と、本体部、第2部材、及び延出部の三部材との間に隙間があっても、溝と延出部とが接触することで、発泡材が配置場所から外れることが抑制される。さらに、発泡材に溝を形成すればよいので、発泡材を配置場所に留めておくための別部材が不要となる。このように、膨張前の発泡材を部材の数を増やさずに配置場所に留めておくことができる。
請求項3に記載の本発明に係る車体構造の前記第1部材には、前記フランジ部が前記本体部の一方側と他方側とに形成され、前記第3部材には、前記延出部が前記一方側と前記他方側とに形成され、前記発泡材は、前記一方側と前記他方側とに設けられている。
請求項3に記載の本発明に係る車体構造では、第1部材の一方側と他方側にそれぞれ稜線が形成され、2箇所の稜線に対して発泡材が設けられている。ここで、第1部材が一方側へ変形しようとしたとき、発泡材は、第1部材の一方側で引張力に抵抗し、他方側で圧縮力に抵抗する。これにより、第1部材の一方側及び他方側の変形を抑制することができる。
以上説明したように、請求項1に記載の車体構造によれば、車体の剛性を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項2に記載の車体構造によれば、膨張前の発泡材を部材の数を増やさずに配置場所に留めておくことができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載の車体構造によれば、第1部材の一方側及び他方側の変形を抑制することができるという優れた効果を有する。
第1実施形態及び第2実施形態に係る車体構造が適用された車両を示す説明図である。 第1実施形態に係る車体構造の横断面図(図1の2−2断面図)である。 (A)第1実施形態に係る車体構造における発泡材の発泡前の状態を示す説明図である。(B)第1実施形態に係る車体構造における発泡材の発泡後の状態を示す説明図である。 (A)第1実施形態に係る車両前側の車体構造における発泡材の作用を示す説明図である。(B)第1実施形態に係る車両後側の車体構造における発泡材の作用を示す説明図である。 第2実施形態に係る車体構造の横断面図(図1の5−5断面図)である。 (A)第2実施形態に係る車体構造における発泡材の発泡前の状態を示す説明図である。(B)第2実施形態に係る車体構造における発泡材の発泡後の状態を示す説明図である。 第2実施形態に係る車体構造における発泡材の作用を示す説明図である。
以下、図1〜図7を参照して、本発明に係る車体構造の第1、第2実施形態の一例について説明する。なお、各図に適宜示す矢印FRは車両前方を示しており、矢印UPは車両上方を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両前方を向いた場合の車両幅方向の左右を示すものとする。
図1には、車両10が示されている。車両10は、センタピラー14と、リヤピラー16と、ルーフサイドレール18と、ロッカ19とを含む車体12を有している。センタピラー14は、第1実施形態に係る車体構造20を備えている。リヤピラー16は、第2実施形態に係る車体構造50を備えている。ルーフサイドレール18は、車体12の車両上部において、車両前後方向に延在されている。ロッカ19は、車体12の車両下部において、車両前後方向に延在されている。
なお、車両10及び車体構造20、50は、基本的に左右対称に構成されているため、車両10の右側の車体構造20、50について説明し、左側の車体構造についての説明を省略する。
[第1実施形態]
図1に示すように、センタピラー14は、車両上下方向下端部がロッカ19に溶接で結合され、ロッカ19の車両前後方向中央部から車両上下方向上側へ向かって延在されている。センタピラー14の上端部には、ルーフサイドレール18の車両前後方向中央部が溶接で結合されている。
図2に示すように、センタピラー14は、サイドメンバアウタパネル22と、センタピラーアウタリインフォースメント24と、センタピラーインナパネル26と、センタピラーリインフォースメント28と、発泡材32、34とを含んで構成されている。なお、以後の説明では、サイドメンバアウタパネル22をサイメンアウタ22と称する。また、センタピラーアウタリインフォースメント24をアウタR/F24と称する。さらに、センタピラーインナパネル26をピラーインナ26と称する。加えて、センタピラーリインフォースメント28をインナR/F28と称する。
アウタR/F24は、第1部材の一例である。ピラーインナ26は、第2部材の一例である。インナR/F28は、第3部材の一例である。そして、第1実施形態の車体構造20は、アウタR/F24、ピラーインナ26、インナR/F28、及び発泡材32、34により構成されている。
<サイメンアウタ>
図2に示すように、サイメンアウタ22は、車両前後方向に沿った板状の基部22Aを有している。基部22Aの車両前後方向両端部には、車両幅方向に沿って延在された一対の縦壁部22B、22Cが形成されている。即ち、サイメンアウタ22は、車両上下方向に見た断面形状が車両幅方向内側に開口したハット状に形成されている。また、縦壁部22B、22Cの車両幅方向内側端部には、車両前後方向前側、後側に張り出されたフランジ22D、22Eが形成されている。なお、サイメンアウタ22を車両上下方向に見て、縦壁部22Bとフランジ22Dとの境界部分を稜線Cと称し、縦壁部22Cとフランジ22Eとの境界部分を稜線Dと称する。
<アウタR/F>
図2に示すように、アウタR/F24は、車両前後方向に沿った板状の基部24Aを有している。基部24Aの車両前後方向両端部には、車両幅方向に沿って延在された一対の縦壁部24B、24Cが形成されている。即ち、アウタR/F24は、車両上下方向に見た断面形状が車両幅方向内側に開口したハット状に形成されている。縦壁部24B及び縦壁部24Cは、本体部の一例である。また、アウタR/F24の基部24A及び縦壁部24B、24Cは、サイメンアウタ22の基部22A及び縦壁部22B、22Cの内側で、且つ後述する閉断面空間31内に配置されている。
さらに、縦壁部24B、24Cの車両幅方向内側端部には、車両前後方向前側、後側に張り出されたフランジ24D、24Eが形成されている。フランジ24D及びフランジ24Eは、フランジ部の一例である。フランジ24Dの前端からフランジ24Eの後端までの長さは、サイメンアウタ22のフランジ22Dの前端からフランジ22Eの後端までの長さとほぼ同じ長さとされている。そして、フランジ24Dは、車両幅方向内側からフランジ22Dに重ねられている。また、フランジ24Eは、車両幅方向内側からフランジ22Eに重ねられている。なお、アウタR/F24を車両上下方向に見て、縦壁部24Bとフランジ24Dとの境界部分を稜線Aと称し、縦壁部24Cとフランジ24Eとの境界部分を稜線Bと称する。
<ピラーインナ>
図2に示すように、ピラーインナ26は、車両上下方向に見て、車両幅方向を厚さ方向とする板状に形成されており、センタピラー14の車両幅方向内側を構成している。ピラーインナ26の車両前後方向の前端から後端までの長さは、アウタR/F24のフランジ24Dの前端からフランジ24Eの後端までの長さとほぼ同じ長さとされている。そして、ピラーインナ26は、車両幅方向内側からフランジ24D及びフランジ24Eに重ねられている。フランジ22D、24D、及びピラーインナ26の前端部を重ねてスポット溶接し、フランジ22E、24E、及びピラーインナ26の後端部を重ねてスポット溶接することで、サイメンアウタ22とピラーインナ26との間に閉断面空間31が形成されている。
<インナR/F>
図2に示すように、インナR/F28は、車両上下方向に見て、アウタR/F24の基部24A及び縦壁部24B、24Cの内側で、且つ閉断面空間31内に配置されている。インナR/F28の板厚は、一例として、アウタR/F24の板厚よりも厚くなっている。また、インナR/F28は、車両前後方向に沿った板状の基部28Aを有している。基部28Aの車両前後方向中央部には、基部24Aに向けて車両幅方向外側に突出した突出部28Bが形成されている。突出部28Bは、基部24Aにスポット溶接により結合されている。
基部28Aの車両前後方向両端部には、車両幅方向に沿って延在された一対の縦壁部28C、28Dが形成されている。即ち、インナR/F28は、車両上下方向に見た断面形状が車両幅方向内側に開口したハット状に形成されている。縦壁部28C、28Dの車両幅方向中央部には、縦壁部24B、24Cに向けて車両前後方向前側、後側に突出した突出部28E、28Fが形成されている。突出部28E及び突出部28Fは、結合部の一例である。突出部28Eは、縦壁部24Bにスポット溶接により結合されている。突出部28Fは、縦壁部24Cにスポット溶接により結合されている。
さらに、インナR/F28には、突出部28Eの車両幅方向内側端部から稜線A側へ延びる延出部28Gと、突出部28Fの車両幅方向内側端部から稜線B側へ延びる延出部28Hとが形成されている。延出部28Gは、車両前後方向で縦壁部24Bと間隔をあけて配置されると共に、車両幅方向でピラーインナ26と間隔をあけて配置されている。延出部28Hは、車両前後方向で縦壁部24Cと間隔をあけて配置されると共に、車両幅方向でピラーインナ26と間隔をあけて配置されている。延出部28G、28HがアウタR/F24と間隔をあけて配置されていることの理由の一例としては、スポット溶接時に部材の端部に打点を打ち難いことが挙げられる。
図2では、延出部28G、28HとアウタR/F24とが間隔をあけて配置されているが、センタピラー14の車両上下方向の上側又は下側では、一例として、延出部28G、28HとアウタR/F24とが、スポット溶接により結合された部位がある。
<発泡材>
図2に示す発泡材32は、熱硬化性の材料で構成され、一例として、発泡ウレタンフォームを含んで構成されている。また、発泡材32は、略直方体状に形成され車両上下方向に延在されている。具体的には、発泡材32は、車両上下方向に見て、車両前後方向の前側の前側面32Aと、後側の後側面32Bと、車両幅方向の内側の内側面32Cと、外側の外側面32Dとを有している。
外側面32Dの車両前後方向中央には、車両幅方向内側へ窪んだ(車両幅方向外側へ開口した)溝32Eが形成されている。即ち、発泡材32は、車両上下方向に見て、車両幅方向外側へ開口した断面U字状に形成されている。溝32Eの車両幅方向の長さ(深さ)は、一例として、発泡材32の車両幅方向の長さの1/2程度とされている。また、溝32Eには、延出部28Gが車両幅方向内側へ向けて挿入されている。
さらに、発泡材32は、加熱により発泡した後で前側面32Aと縦壁部24Bとが接触し、内側面32Cとピラーインナ26とが接触し、溝32Eの内面と延出部28Gとが接触するように大きさが設定されている。つまり、発泡材32は、加熱により発泡(膨張)することで、縦壁部24B、ピラーインナ26、及び延出部28Gの三部材に跨って設けられている。発泡材32は、発泡させる前の時点において、アウタR/F24、ピラーインナ26、及びインナR/F28に接触していなくてもよい。
発泡材34は、発泡材32と同じ材料で構成され、一例として、発泡ウレタンフォームを含んで構成されている。また、発泡材34は、略直方体状に形成され車両上下方向に延在されている。具体的には、発泡材34は、車両上下方向に見て、車両前後方向の前側の前側面34Aと、後側の後側面34Bと、車両幅方向の内側の内側面34Cと、外側の外側面34Dとを有している。
外側面34Dの車両前後方向中央には、車両幅方向内側へ窪むと共に車両幅方向外側へ開口した溝34Eが形成されている。即ち、発泡材34は、車両上下方向に見て、車両幅方向外側へ開口した断面U字状に形成されている。溝34Eの車両幅方向の長さ(深さ)は、一例として、発泡材34の車両幅方向の長さの1/2程度とされている。また、溝34Eには、延出部28Hが車両幅方向内側へ向けて挿入されている。
さらに、発泡材34は、加熱により発泡した後で後側面34Bと縦壁部24Cとが接触し、内側面34Cとピラーインナ26とが接触し、溝34Eの内面と延出部28Hとが接触するように大きさが設定されている。つまり、発泡材34は、加熱により発泡(膨張)することで、縦壁部24C、ピラーインナ26、及び延出部28Hの三部材に跨って設けられている。発泡材34は、発泡させる前の時点において、アウタR/F24、ピラーインナ26、及びインナR/F28に接触していなくてもよい。
<作用並びに効果>
次に、第1実施形態の車体構造20の作用並びに効果について説明する。
(車体構造の組み付け)
図2に示す発泡材32と発泡材34は、センタピラー14の車両前後方向中央を中心として、車両前後方向で対称配置されている。このため、車体構造20の組み付けについて、発泡材32側について説明し、発泡材34側の説明を省略する。
図3(A)に示すように、アウタR/F24にインナR/F28がスポット溶接で結合された後、サイメンアウタ22の内側にアウタR/F24及びインナR/F28が配置される。ここで、未発泡状態の発泡材32の溝32Eに延出部28Gが挿入されることで、稜線Aの付近に発泡材32が配置される。発泡材32が配置された後、ピラーインナ26が車両幅方向内側からアウタR/F24に重ねられる。
ここで、車体構造20では、膨張前の発泡材32と、縦壁部24B、ピラーインナ26、及び延出部28Gの三部材との間に隙間があっても、溝32Eと延出部28Gとが接触することで、発泡材32が配置場所から外れることが抑制される。さらに、発泡材32に溝32Eを形成することで発泡材32が配置場所から外れることが抑制されるので、発泡材32を配置場所に留めておくために別部材を設けることが不要となる。このように、車体構造20では、膨張前の発泡材32を部材の数を増やさずに配置場所に留めておくことができる。
続いて、フランジ22D、フランジ24D、及びピラーインナ26の車両前後方向の前端部26Aが、重ね合わされた状態でスポット溶接され、閉断面空間31が形成される。閉断面空間31が形成された後、発泡材32が未発泡状態である車体12(図1参照)が、一例として、図示しない塗装炉内に配置され加熱される。
ここで、図3(B)に示すように、温度が高くなると発泡材32が発泡(膨張)し、溝32Eの内面と延出部28G、前側面32Aと縦壁部24B、及び内側面32Cとピラーインナ26が、それぞれ接触(密着)する。これにより、発泡材32が、縦壁部24B、ピラーインナ26、及び延出部28Gの三部材に跨って設けられる。このようにして、車体構造20が完成する。車体構造20では、発泡材32を介して延出部28G、アウタR/F24、及びピラーインナ26の三部材が接続されることで、それぞれの部材への荷重伝達が可能になる。
(車体構造の作用)
図1に示す車両10の走行時において、車体12及び車体構造20には振動入力や慣性力が作用する。
図4(B)に示すように、車体構造20に振動入力や慣性力が作用したとき、稜線B側では、縦壁部22Cと縦壁部24Cが、一例として、他の部位に比べて剛性が低い稜線Dと稜線Bを起点にして車両後方側へ変形しようとする。なお、図4(B)では、発泡材34が無い場合の縦壁部22C及び縦壁部24Cの変形状態が二点鎖線で示されている。
ここで、稜線B側の車体構造20では、稜線Bの周辺において、アウタR/F24の縦壁部24C、ピラーインナ26、及びインナR/F28の延出部28Hが、発泡材34を介して互いに接続されている。このため、発泡材34を介して、縦壁部24Cから延出部28Hへ、延出部28Hからピラーインナ26へ、縦壁部24Cからピラーインナ26へ、それぞれ荷重伝達される。さらに、発泡材34が、発泡材34に作用する引張力に抵抗する。これらの作用により、稜線B側におけるピラーインナ26及びインナR/F28に対するアウタR/F24の相対変位が抑制される。即ち、アウタR/F24の稜線Bを起点とする変形が抑制されるので、車体12(図1参照)の剛性を向上させることができる。また、アウタR/F24の稜線Bを起点とする変形が抑制されることから、アウタR/F24の変形に伴ってサイメンアウタ22が変形することが抑制される。
一方、図4(A)に示すように、車体構造20に振動入力や慣性力が作用したとき、稜線A側では、縦壁部22Bと縦壁部24Bが、一例として、他の部位に比べて剛性が低い稜線Cと稜線Aを起点にして車両後方側へ変形しようとする。なお、図4(A)では、発泡材32が無い場合の縦壁部22B及び縦壁部24Bの変形状態が二点鎖線で示されている。
ここで、稜線A側の車体構造20では、稜線Aの周辺において、アウタR/F24の縦壁部24B、ピラーインナ26、及びインナR/F28の延出部28Gが、発泡材32を介して互いに接続されている。このため、発泡材32を介して、縦壁部24Bから延出部28Gへ、延出部28Gからピラーインナ26へ、縦壁部24Bからピラーインナ26へ、それぞれ荷重伝達される。さらに、発泡材32が、発泡材32に作用する圧縮力に抵抗する。これらの作用により、稜線A側におけるピラーインナ26及びインナR/F28に対するアウタR/F24の相対変位が抑制される。即ち、アウタR/F24の稜線Aを起点とする変形が抑制されるので、車体12(図1参照)の剛性を向上させることができる。また、アウタR/F24の稜線Aを起点とする変形が抑制されることから、アウタR/F24の変形に伴ってサイメンアウタ22が変形することが抑制される。
また、図2に示すように、車体構造20では、アウタR/F24、ピラーインナ26、及びインナR/F28の荷重伝達に発泡材32、34を用いている。ここで、本実施形態に対する対比例として、発泡材32、34に換えて接着材を用いた場合、接着材が拡がる範囲が限られているため、アウタR/F24、ピラーインナ26、及びインナR/F28の三部材の各間隔を管理することが難しくなる。一方、本実施形態の車体構造20では、発泡材32、34を用いているので、接着材を用いた場合に比べて、アウタR/F24、ピラーインナ26、及びインナR/F28の三部材の各間隔を管理し易い。
さらに、車体構造20では、アウタR/F24の車両前側(他方側の一例)と車両後側(一方側の一例)とに稜線A、Bが形成され、2箇所の稜線A、Bに対して発泡材32、34が設けられている。ここで、既述のように、アウタR/F24が車両後側へ変形しようとしたとき、発泡材32、34は、アウタR/F24の車両後側で引張力に抵抗し、車両前側で圧縮力に抵抗する。これにより、車体構造20では、アウタR/F24の車両前後方向における一方側及び他方側の変形を抑制することができる。
加えて、車体構造20では、発泡材32、34により既述の三部材が接続されるため、最低限必要な箇所に発泡材32、34を配置すればよく、車両10(車体12)の重量の増加を抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る車体構造50について説明する。
図5に示すように、リヤピラー16は、サイドメンバアウタパネル52と、ルーフサイドアウタパネル54と、ルーフサイドインナパネル56と、発泡材58とを含んで構成されている。なお、以後の説明では、サイドメンバアウタパネル22をサイメンアウタ52と称する。また、ルーフサイドアウタパネル54をアウタパネル54と称する。さらに、ルーフサイドインナパネル56をインナパネル56と称する。
サイメンアウタ52は、第1部材の一例である。インナパネル56は、第2部材の一例である。アウタパネル54は、第3部材の一例である。そして、第2実施形態の車体構造50は、サイメンアウタ52、インナパネル56、アウタパネル54、及び発泡材58により構成されている。図5では、リヤピラー16の周辺に配置されたサイドドア51とバックドア53を二点鎖線で示している。
<サイメンアウタ>
図5に示すように、サイメンアウタ52は、車両上下方向に見て、ほぼ車両前後方向に沿った板状の基部52Aを有している。基部52Aの車両前後方向前端部には、車両幅方向に沿って延在された縦壁部52Bが形成されている。縦壁部52Bは、本体部の一例である。基部52Aの後端部には、車両前後方向の前側に向けて車両幅方向の内側へ傾斜した傾斜壁52Cが形成されている。
縦壁部52Bの車両幅方向内側端部は、クランク状に屈曲されている。また、縦壁部52Bの内側端部(クランク状に屈曲された部位の端部)には、車両前後方向前側に張り出されたフランジ52Dが形成されている。フランジ52Dは、フランジ部の一例である。なお、サイメンアウタ52を車両上下方向に見て、縦壁部52Bとフランジ52Dとの境界部分及び縦壁部52Bのクランク状に屈曲された部分を稜線Eと称する。
傾斜壁52Cの車両幅方向内側端部には、車両幅方向内側へ向けて屈曲されると共に車両幅方向内側へ延在された縦壁部52Eが形成されている。さらに、縦壁部52Eの内側端部には、車両前後方向後側に張り出されたフランジ52Fが形成されている。
<アウタパネル>
図5に示すように、アウタパネル54は、車両前後方向に沿った板状の基部54Aを有している。基部54Aの車両前後方向両端部には、車両幅方向に沿って延在された一対の縦壁部54B、54Cが形成されている。即ち、アウタパネル54は、車両上下方向に見た断面形状が車両幅方向内側に開口したハット状に形成されている。また、アウタパネル54は、サイメンアウタ52の基部52A、縦壁部52B、及び傾斜壁52Cの内側で、且つ後述する閉断面空間55内に配置されている。
縦壁部54Cの車両幅方向の長さは、縦壁部54Bの車両幅方向の長さよりも長くなっている。さらに、縦壁部54B、54Cの車両幅方向内側端部には、車両前後方向前側、後側に張り出されたフランジ54D、54Eが形成されている。フランジ54Eは、結合部の一例であり、後述するインナパネル56の壁部56Aにおける車両幅方向外側の面にスポット溶接により結合されている。フランジ54Dは、フランジ54Eに対して稜線E側(車両前後方向の前側)へ延びており、延出部の一例である。また、フランジ54Dは、サイメンアウタ52及びインナパネル56に対して間隔をあけて配置されている。
<インナパネル>
図5に示すように、インナパネル56は、リヤピラー16の車両幅方向内側を構成している。また、インナパネル56は、車両前後方向に沿って延在された壁部56Aと、壁部56Aの後端部から車両幅方向の内側へ延在された縦壁部56Bと、縦壁部56Bの車両幅方向内側端部から車両前後方向の後側に張り出されたフランジ56Cとを有している。
インナパネル56の車両前後方向の前端から後端までの長さは、サイメンアウタ52のフランジ52Dの前端からフランジ52Fの後端までの長さとほぼ同じ長さとされている。そして、インナパネル56の前端部及び後端部は、車両幅方向内側からフランジ52D及びフランジ52Fに重ねられている。ここで、フランジ52Dとインナパネル56の前端部、及びフランジ52Fとフランジ56Cが重なった状態でスポット溶接されることで、サイメンアウタ52とインナパネル56との間に閉断面空間55が形成されている。
<発泡材>
図5に示す発泡材58は、熱硬化性の材料で構成され、一例として、発泡ウレタンフォームを含んで構成されている。また、発泡材58は、車両上下方向に延在されている。具体的には、発泡材58は、車両上下方向に見て、車両前後方向の前側の前側面58Aと、後側の後側面58Bと、車両幅方向の内側の内側面58Cと、外側の外側面58Dとを有している。前側面58Aは、縦壁部52Bのクランク状の部位と接触するように、一部が前側へ突出している。
後側面58Bの車両幅方向中央には、車両前後方向の前側へ窪むと共に車両前後方向後側へ開口した溝58Eが形成されている。即ち、発泡材58は、車両上下方向に見て、車両前後方向の後側へ開口した断面U字状に形成されている。溝58Eの車両前後方向の長さ(深さ)は、一例として、発泡材58の車両幅方向の長さの1/2程度とされている。また、溝58Eには、フランジ54Dが車両前後方向の前側へ向けて挿入されている。
さらに、発泡材58は、加熱により発泡した後で前側面58Aと縦壁部52Bとが接触し、内側面58Cとインナパネル56とが接触し、溝58Eの内面とフランジ54Dとが接触するように大きさが設定されている。つまり、発泡材58は、加熱により発泡(膨張)することで、縦壁部52B、インナパネル56、及びフランジ54Dの三部材に跨って設けられている。発泡材58は、発泡させる前の時点において、サイメンアウタ52、インナパネル56、及びアウタパネル54に接触していなくてもよい。なお、本実施形態では、発泡材58の後側面58Bが、縦壁部54Bと接触している。
<作用並びに効果>
次に、第2実施形態の車体構造50の作用並びに効果について説明する。
(車体構造の組み付け)
図5に示すように、アウタパネル54のフランジ54Eとインナパネル56がスポット溶接される。このとき、フランジ54Dとインナパネル56は、車両幅方向に間隔をあけて配置される。そして、発泡材58の溝58Eにフランジ54Dが挿入される。続いて、サイメンアウタ52に対してインナパネル56が車両幅方向内側から重ねられる。そして、フランジ52Dとインナパネル56の前端部、及びフランジ52Fとフランジ56Cが、重ね合わされた状態でスポット溶接され、閉断面空間55が形成される。
ここで、図6(A)に示す車体構造50では、膨張前の発泡材58と、縦壁部52B、インナパネル56、及びフランジ54Dの三部材との間に隙間があっても、溝58Eとフランジ54Dが接触することで、発泡材58が配置場所から外れることが抑制される。さらに、発泡材58に溝58Eを形成しておくことで発泡材58が配置場所から外れることが抑制されるので、発泡材58を配置場所に留めておくために別部材を設けることが不要となる。このように、車体構造50では、膨張前の発泡材58を部材の数を増やさずに配置場所に留めておくことができる。
続いて、閉断面空間55が形成された後、発泡材58が未発泡状態である車体12(図1参照)が、一例として、図示しない塗装炉内に配置され加熱される。
ここで、図6(B)に示すように、温度が高くなると発泡材58が発泡(膨張)し、溝58Eの内面とフランジ54D、前側面58Aと縦壁部52B、後側面58Bと縦壁部54B、及び内側面58Cとインナパネル56が、それぞれ接触(密着)する。これにより、発泡材58が、縦壁部52B、インナパネル56、及びフランジ54Dの三部材に跨って設けられる。このようにして、車体構造50が完成する。車体構造50では、発泡材58を介してサイメンアウタ52、アウタパネル54、インナパネル56が接続されることで、それぞれの部材への荷重伝達が可能になる。
(車体構造の作用)
図1に示す車両10の走行時において、車体12及び車体構造50には振動入力や慣性力が作用する。
図7に示すように、車体構造50に振動入力や慣性力が作用したとき、縦壁部52Bが、一例として、他の部位に比べて剛性が低い稜線Eを起点にして車両後方側へ変形しようとする。なお、図7では、発泡材58が無い場合のサイメンアウタ52及びアウタパネル54の変形状態が破線で示されている。発泡材58が無い場合は、縦壁部52Bが車両10(図1参照)の走行前における位置に対して角度θで傾き、基部52Aが車両幅方向の外側に突出する。
ここで、車体構造50では、稜線Eの周辺において、縦壁部52B、アウタパネル54、及びインナパネル56の三部材が、発泡材58を介して互いに接続されている。このため、発泡材58を介して、縦壁部52Bからフランジ54Dへ、フランジ54Dからインナパネル56へ、縦壁部52Bからインナパネル56へ、それぞれ荷重伝達される。さらに、発泡材58が、発泡材58に作用する圧縮力に抵抗する。これらの作用により、稜線Eの周辺におけるアウタパネル54及びインナパネル56に対するサイメンアウタ52の相対変位が抑制される。即ち、サイメンアウタ52の稜線Eを起点とする変形が抑制されるので、車体12(図1参照)の剛性を向上させることができる。また、サイメンアウタ52の稜線Eを起点とする変形が抑制されることから、サイメンアウタ52の変形に伴ってアウタパネル54が変形することが抑制される。
また、車体構造50では、サイメンアウタ52、アウタパネル54、及びインナパネル56の荷重伝達に発泡材58を用いている。ここで、本実施形態に対する対比例として、発泡材58に換えて接着材を用いた場合、接着材が拡がる範囲が限られているため、サイメンアウタ52、アウタパネル54、及びインナパネル56の三部材の各間隔を管理することが難しくなる。一方、本実施形態の車体構造50では、発泡材58を用いているので、接着材を用いた場合に比べて、サイメンアウタ52、アウタパネル54、及びインナパネル56の三部材の各間隔を管理し易い。
加えて、車体構造50では、発泡材58により既述の三部材が接続されるため、最低限必要な箇所に発泡材58を配置すればよく、車両10(車体12)の重量の増加を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
車体構造20、50は、センタピラー14、リヤピラー16に適用したものに限定されず、車両10の他の骨格部材に適用したものであってもよい。例えば、車両10のフロアクロスメンバに適用してもよい。
車体構造20において、延出部28G、28HとアウタR/F24とが間隔をあけて配置される構成としては、複数の溶接箇所の間で隙間が生じる構成に限らず、隙間が生じるようにアウタR/F24及びインナR/F28の形状が設定された構成であってもよい。
延出部28G及び延出部28Hの延出方向は、車両幅方向に限らず、車両前後方向であってもよい。また、フランジ54Dの延出方向は、車両前後方向に限らず、車両幅方向であってもよい。
発泡材32、34、58は、発泡ウレタンフォームに限らず、他の材料で構成された発泡材を用いてもよい。例えば、発泡ポリプロピレンを用いてもよい。また、発泡材32、34は、アウタR/F24とインナR/F28との間隔(隙間)を全て埋めるように配置されていてもよい。
以上、本発明の実施形態及び変形例に係る車体構造について説明したが、これらの実施形態及び変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 車両
20 車体構造
24 アウタR/F(第1部材の一例)
24B 縦壁部(本体部の一例)
24C 縦壁部(本体部の一例)
24D フランジ(フランジ部の一例)
24E フランジ(フランジ部の一例)
26 ピラーインナ(第2部材の一例)
28 インナR/F(第3部材の一例)
28E 突出部(結合部の一例)
28F 突出部(結合部の一例)
28G 延出部
28H 延出部
32 発泡材
32E 溝
34 発泡材
34E 溝
50 車体構造
52 サイメンアウタ(第1部材の一例)
52B 縦壁部(本体部の一例)
52D フランジ(フランジ部の一例)
54 アウタパネル(第3部材の一例)
54D フランジ(延出部の一例)
54E フランジ(結合部の一例)
56 インナパネル(第2部材の一例)
58 発泡材
58E 溝
A 稜線
B 稜線
E 稜線

Claims (3)

  1. 本体部と該本体部から張り出されたフランジ部とで稜線が形成された第1部材と、
    前記フランジ部に結合された第2部材と、
    前記本体部又は前記第2部材に結合された結合部と、該結合部から前記稜線側へ延び前記第1部材及び前記第2部材に対して間隔をあけて配置された延出部と、を備えた第3部材と、
    前記本体部、前記第2部材、及び前記延出部の三部材に跨って設けられた発泡材と、
    を有する車体構造。
  2. 前記発泡材には、前記延出部が挿入された溝が形成されている請求項1に記載の車体構造。
  3. 前記第1部材には、前記フランジ部が前記本体部の一方側と他方側とに形成され、
    前記第3部材には、前記延出部が前記一方側と前記他方側とに形成され、
    前記発泡材は、前記一方側と前記他方側とに設けられている請求項1又は請求項2に記載の車体構造。
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