JP2016127166A - 蓄電素子およびその製造方法 - Google Patents

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紀仁 藤ノ木
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Abstract

【課題】簡易な構成により低コスト化および安定な動作が可能で、かつ高容量な全固体型の蓄電素子およびその製造方法を提供することを主目的とする。【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の蓄電素子は、導電性の第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極の間に、絶縁性物質と、金属酸化物半導体の混合物を含む蓄電層を有し、前記第1電極と前記蓄電層との間に金属酸化物層と、を有し、前記第2電極と前記蓄電層との間にp型半導体層と、を有する蓄電素子であって、前記金属酸化物層が、タンタル酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物およびインジウム酸化物の群から選択された一つの材料またはその組み合わせの材料で構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電素子およびその製造方法に係り、特に、絶縁性物質に分散した金属酸化物の微粒子に電子を捕獲することによって蓄電する蓄電素子およびその製造方法に関するものである。さらには、本発明は、簡易な構成により低コスト化および安定な動作が可能で、かつ高容量な蓄電素子およびその製造方法に関するものである。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される蓄電素子の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中で、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電界液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改良が必要となる。
これに対し、電界液を固体電界層に変えて、電池を全固体化した全固体型リチウムイオン電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないため、液漏れや発火の危険性が少なく、安全装置の簡略化が図れるため、製造コストの低減や安全性と信頼性の観点から、開発が進められている。たとえば、不燃性の固体電解質を用いるとともに、すべての構成要素が固体で構成されている全固体電池が提案されている。
また、電極活物質を含む電極層と、固体電解質層を積層して焼成することによって、全固体電池を製造する方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。また、負極電極をシート状にして、シート状負極に導電剤として繊維状炭素物質を含ませ、結着剤として熱可塑性樹脂を用いることにより高性能な全固体リチウムイオン電池を提供する例もある(例えば特許文献2参照)。
一方、全固体型電池の別の形態として、近年、絶縁性物質で覆われた金属酸化物半導体微粒子からなる蓄電層と、p型半導体層とを電極で両側から挟んで構成される半導体からなる蓄電素子を製造する方法が開示されている(例えば特許文献3、特許文献4参照)。蓄電層は、金属酸化物半導体微粒子のバンドギャップ内に形成したエネルギー準位に電子を捕獲させることで充電し、捕獲した電子を放出させることで放電するものであり、n型金属酸化物半導体として酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)が例として挙げられている。この例示は電解層が不要であるとともに、金属酸化物半導体と絶縁性物質から構成される蓄電層を塗布成膜することから、大型化、コストの点で優れている。さらには、高エネルギー密度であることや、全固体型電池であることから安全性が高く、耐環境性に優れるなどの利点が期待されている。
また、特許文献3、特許文献4に記載されているような従来の蓄電素子では、基板上の電極と蓄電層の間に、二酸化チタンの薄膜による障壁層を設けている。この場合、蓄電層を構成する二酸化チタンの粒子が直接電極に接するのを防ぎ、電極側の電子が再結合により酸化チタンに注入されてしまうのを防いでいる。このため、素子の特性のバラツキを抑え、製造ラインでの安定性及び歩留りを向上できることが報告されている。
さらには、基板上の電極と蓄電層との間に、ニオブ酸化物またはタングステン酸化物を含む材料から成る電子輸送層を設けることにより、充放電特性を向上する試みなどが報告されている(例えば特許文献5参照)。
特開2007‐5279号公報 特開2009‐146581号公報 国際公開第2012/046325号 国際公開第2013/065093号 特開2014‐154505号公報
以上、述べて来たように、半導体からなる蓄電素子には種々のメリットがあるが、さらに充放電特性を向上する、生産性を改善するなどの課題がある。
本発明は、上記課題を解決し、従来報告されている蓄電素子よりも高容量な蓄電素子を提供することを目的としている。さらには、本発明は、当該蓄電素子の製造方法を提供することを目的としたものである。
本発明者等は、鋭意検討した結果、電極と蓄電層との間に、タンタル酸化物またはスズ酸化物またはセリウム酸化物またはインジウム酸化物の少なくとも一つから選ばれる材料、またはその組み合わせで構成される金属酸化物層を設けることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明の蓄電素子は、
導電性の第1電極と、
導電性の第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極の間に配置され、絶縁性物質と、金属酸化物半導体の混合物を含む蓄電層と、
前記第2電極と前記蓄電層との間に配置されたp型半導体層と、
前記第1電極と前記蓄電層との間に配置され、タンタル酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物およびインジウム酸化物の群から選択された一つの材料またはその組み合わせの材料を含む、金属酸化物層と、
を有する。
本発明の蓄電素子は、上記構成により、従来より、大きな容量を有する。
実施形態1の蓄電素子の構成を断面で示す模式図。 実施形態1の蓄電素子の蓄電層の構成を詳細に説明する模式図。 実施形態1の蓄電素子の製造工程を説明する図。 実施形態1の蓄電素子の構成を断面で示す模式図。
本発明を実施するための形態について図面を用いてさらに詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1の蓄電素子10は、図1に示すように、導電性の第1電極12と、金属酸化物層13と、蓄電層14と、p型半導体層15と、導電性の第2電極16と、を備えている。また、図1では、第1電極12は、基板11上に形成されている。
本実施形態の蓄電素子10を構成する基板11は、絶縁性の物質でも導電性の物質であってもよい。基板11は、その上に無機物の層または有機物の層を形成する際に、基板自体が変化しないものであればよい。基板11の例としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板、金属板や金属箔シート、これらを積層したものが用いられる。基板11としては、市販のものが入手可能であり、または公知の方法により製造することができる。
本実施形態の蓄電素子10を構成する第1電極12および第2電極16は、導電性があればよい。電極12、16の材料は、例えば、金属電極である。金属としては、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、鉄(Fe)、および、モリブデン(Mo)からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素を含む金属またはその組み合わせの合金などが用いられる。
また、導電性の第1電極12および第2電極16としては、透明な電極を用いても良い。透明な導電性電極としては、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)、Al含有ZnO等の導電膜を使用することができる。なお、この透明な導電性電極は上記に限定されるものではない。
また、蓄電素子10の性能を低下させない範囲であれば、上記金属または透明な導電性膜を複数積層して構成される積層膜を電極として利用することも可能である。
導電性の第1電極12および第2電極16は、化学堆積法や物理堆積法等の薄膜形成方法によって形成することができる。物理堆積法としては、スパッタリング法、真空蒸着、イオンプレーティングやパルスレーザをターゲットに照射して堆積を行うPLD法等を使用することができる。化学堆積法としては、プラズマCVD、熱CVD、レーザCVD等の化学気相蒸着法(CVD)、電界メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法等の液相成膜法やゾル・ゲル法、MOD法、スプレイ熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレイド法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術を使用することができる。好適には、スパッタリング法、真空蒸着、PLD法、CVDのいずれかにより作製するのがよい。しかし、これらの方法に制限されるものではない。
本実施形態の蓄電素子では、第1電極12と蓄電層14との間に、金属酸化物層13を設けたことを特徴とする。本発明の蓄電素子10を構成する金属酸化物層13は、タンタル酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物およびインジウム酸化物の群から選択された一つの材料、またはその組み合わせの材料が用いられる。
次に金属酸化物層13の機能について説明する。
金属酸化物層13は、第1電極12からの蓄電層14への電子輸送効率を改善する機能を有すると考えられる。金属酸化物層13を用いることにより、蓄電層14からの電子の移動が良好となり、高容量な蓄電素子を得ることが可能となると考えられる。また、金属酸化物層13の別の機能としては、蓄電層14の金属酸化物半導体が直接第1電極12に接するのを防ぐ。このことにより、電極側の電子が再結合により蓄電層14の金属酸化物半導体に注入されてしまうのを防いでいると考えられる。後述の比較例で記述するように、金属酸化物層13にタンタル酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物およびインジウム酸化物の群から選択された一つの材料、またはその組み合わせの材料を用いることにより、従来の酸化チタンを用いた場合よりも特に優れたものとすることができる。
金属酸化物層13の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、蓄電容量が向上する最適な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、膜応力により剥離してしまうため好ましくない。したがって、該金属酸化物層13の膜厚としては、20nm以上、300nm以下であることが好ましい。
金属酸化物層13は、化学堆積法や物理堆積法等の薄膜形成方法によって形成することができる。物理堆積法としては、スパッタリング法、真空蒸着、イオンプレーティングやパルスレーザをターゲットに照射して堆積を行うPLD法等を使用することができる。化学堆積法としては、プラズマCVD、熱CVD、レーザCVD等の化学気相蒸着法(CVD)、電界メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法等の液相成膜法やゾル・ゲル法、MOD法、スプレイ熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレイド法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術を使用することができる。好適には、スパッタリング法、真空蒸着、PLD法、CVDのいずれかにより作製するのがよい。しかし、これらの方法に制限されるものではない。
本発明の蓄電素子10を構成する蓄電層14は、金属酸化物半導体と絶縁性物質とを混合した複合体(複合酸化物)からなる薄膜を用いることができる。より望ましくは、蓄電層14は、図2に示すように、絶縁性物質18の中に金属酸化物半導体17の微粒子が略均一に分散しているのが好ましい。
金属酸化物半導体17としては、スズ酸化物(酸化スズ)、チタン酸化物(酸化チタン)、亜鉛酸化物(酸化亜鉛)、ニオブ酸化物(酸化ニオブ)等を用いることができる。より好ましくは、スズ酸化物、チタン酸化物またはニオブ酸化物が用いられる。
金属酸化物半導体17は、たとえば、次の方法で形成される。まず、脂肪族酸金属塩と、絶縁性物質とを、有機溶媒に溶解し塗布液を準備する。次に、たとえば、金属酸化物層上に、前記塗布液を塗布して、塗布膜を形成する。さらに、前記塗布膜を焼成して、紫外線を照射する。逆に言えば、ここで用いる脂肪族酸金属塩は、この溶解、塗布、焼成、紫外線照射によって、金属酸化物に変化し得るものである。脂肪族酸としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸や、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸、脂肪族テトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸が使用可能である。
より具体的には、飽和脂肪族モノカルボン酸として、ギ酸、酢酸、ポロピオン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ノナン酸、エナント酸、カプリル酸、ペランゴン酸、カプリン酸、ステアリン酸、ブテン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、リノレン酸、オレイン酸等の高度不飽和モノカルボン酸が使用可能である。
また、脂肪族酸金属塩は、加熱により分解または燃焼しやすく、溶剤溶解性が高く、分解または燃焼後の膜が緻密であり、取り扱い易く安価であり、金属との塩の合成が容易である等の理由から、直鎖状アルキル基を有する脂肪族酸と金属との塩が好ましい。例えば、2−エチルヘキサン酸などの分岐アルキル基を有するカルボン酸は、室温で液状であり、溶媒に対する溶解性も高いことから汎用されているが、このような2−エチルヘキサン酸に代表される分岐アルキル基を有するカルボン酸塩を用いると、焼成時に塗布膜が収縮しやすく、ヒビが入りやすい。さらには、膜密度が低いという欠点があり、かつ均一な膜特性を得ることが難しい。したがって、カルボン酸は、分岐した嵩高いカルボン酸を使用するよりも直鎖状アルキル基を有するカルボン酸を用いることが望ましい。
溶媒としては、使用する脂肪族酸金属塩が十分に溶解しやすい材料であればよい。溶媒の例としては、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、およびケトン系溶媒などが好ましい。例えば、エタノール、キシレン、トルエン、ブタノール、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチルなどが使用できる。
絶縁性物質18としては、耐熱性のある絶縁材料が好ましい。例えば、無機絶縁材料としてシリコーン、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al23)、鉱油などが使用可能である。絶縁性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルマタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、酢酸セルロースなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂などでもよい。この中では、特にシリコーンが望ましい。
塗布液の成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、グラビアコート法、バーコード法、ロールコート法、ワイアーバーコード法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェット法等の印刷法等の様々な方法を用いることができる。
蓄電層14の膜厚の例としては、50nm〜10μmである。望ましくは100nm〜5μnmであり、さらに望ましくは、200nm〜2μmである。
蓄電層14は、構造変化処理により蓄電が可能となる。蓄電層14の構造変化処理としては、紫外線照射、電子線照射などによる方法を用いることが可能である。紫外線としては高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、YAGレーザーなどを用いることができ、照射エネルギー密度の高いプロセスが生産時のタクトタイムを短くすることができることから好ましい。
p型半導体層15としては、第2電極16から蓄電層14への電子の注入を防止できる材料であればよく、例えば、酸化ニッケル(NiO)または銅アルミ酸化物(CuAlO2)が使用できる。
p型半導体層15は、化学堆積法や物理堆積法等の薄膜形成方法によって形成することができる。物理堆積法としては、スパッタリング法、真空蒸着、イオンプレーティングやパルスレーザをターゲットに照射して堆積を行うPLD法等を使用することができる。化学堆積法としては、プラズマCVD、熱CVD、レーザCVD等の化学気相蒸着法(CVD)、電界メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法等の液相成膜法やゾル・ゲル法、MOD法、スプレイ熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレイド法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術を使用することができる。好適には、スパッタリング法、真空蒸着、PLD法、CVDのいずれかにより作製するのがよい。しかし、これらの方法に制限されるものではない。
上記で示した蓄電素子10の蓄電原理について説明する。第1電極12を構成する電極にマイナス電圧を印加すると、第1電極12から金属酸化物層13を介して蓄電層14へ電子が移動し、蓄電層14の絶縁性物質18を通過して、金属酸化物半導体17のバンドギャップ内に形成されたエネルギー準位に捕獲される。移動した電子は、p型半導体層15により第2電極16への更なる移動が防止されるため、金属酸化物半導体17のバンドギャップ間に存在するエネルギー準位に捕獲されることになり、それによってエネルギーが蓄えられる。すなわち、充電状態であり、蓄電層14に電子が充満した状態となる。この状態は、電圧の印加を解除しても維持されることから、蓄電素子としての機能を有することになる。
一方、負荷を第1電極12と第2電極16に接続して、放電する場合、金属酸化物半導体17のバンドギャップに捕獲されていた電子は、金属酸化物層13を介して第1電極12へと移動し、負荷に流れる。この状態がエネルギーの出力状態であり、放電状態である。
以上説明したように、金属酸化物半導体17のバンドギャップに形成されたエネルギー準位に外部から電圧を印加することにより電子を充満させ、電極に負荷を接続することで、電子を放出してエネルギーを取り出し、蓄電素子としての機能を果たす。この現象は繰り返し行うことができる。
次に、図3を用いて、蓄電素子10の製造方法について説明する。図3は、蓄電素子製造のフローチャートである。
〔工程1〕
基板11上に、スパッタリング法等により導電性の第1電極12を形成する。なお、基板11が導電性材料であり、第1電極12とを兼ねている場合は、工程1は省略してもよい。
〔工程2〕
次に、第1電極12上に、スパッタリング法等により金属酸化物層13を形成する。
〔工程3〕
次に、脂肪族酸金属塩と絶縁性物質18を溶媒に混合して撹拌し、塗布液を作製する。
〔工程4〕
次に、スピンコート法等により塗布液を第1電極12上に塗布し、塗布膜を形成する。例えば、スピンコート法により塗布膜を形成する場合、基板11を回転させながら、スピナーにより、塗布液を第1電極12を形成した基板11上にスピンコートする。基板11の回転により、0.3〜3μmの薄い層が形成される。
〔工程5〕
次に、塗布膜を形成した第1電極12を、50℃の雰囲気に10分間程度放置して乾燥させる。なお、塗布液の揮発性が高い場合には、工程5は省略することも可能である。
〔工程6〕
その後、200℃〜500℃の温度で10分〜1時間程度焼成する。これにより脂肪族酸金属塩が分解して、絶縁性物質18に略均一に分散した金属酸化物半導体17の微粒子層が形成される。絶縁性物質18に分散した金属酸化物半導体17の微粒子を形成した上記製作方法は、塗布熱分解法といわれている方法である。
〔工程7〕
次に、作製した塗布膜に、紫外線照射を行う。紫外線照射は、たとえば、波長254nm、強度100mW/cm2で、約30〜240分間照射する。この紫外線照射により、蓄電層14の金属酸化物半導体17の微粒子の内部に新たなエネルギー準位が形成される。この新たなエネルギー準位に電子が捕獲されることによりエネルギーの蓄電が可能となる。
なお、上記工程4から工程7までの操作を複数回繰り返すことにより、蓄電層14の膜厚を適宜調整することも可能である。
〔工程8〕
次に、スパッタリング法等により蓄電層14に重ねてp型半導体層15を形成する。
〔工程9〕
最後に、スパッタリング法等により導電性の第2電極16を形成する。以上の工程によって蓄電素子10を形成する。
本発明が適用される蓄電素子10の形状は、矩形である場合を後述する実施例で例示するが、矩形に限定されるものではなく、円形、楕円形、六角形等の他の形状であってもよい。さらには、蓄電素子10の構成としては、積層した構成や、折り畳んだ形状など、使用する形状や用途に応じて様々な形状を選定することができ、円筒型、角型、ボタン型、コイン型、または扁平型等、所望の形状をとることができる。なお、上記の形状に限定されるものではない。
次に、本発明を実施例に基づいて、図4および表1を用いて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図4は、本発明の蓄電素子の実施例に係る蓄電素子19の構成を断面で示す模式図である。
基板20として、大きさ3cm四方、厚さ0.5mmのステンレス基板を用いて、図4に示す蓄電素子19を作製した。第1電極は別途形成せず、ステンレス基板を電極として兼ねた。
次に、ステンレス基板上に、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用い、タンタル酸化物からなる金属酸化物層21を作製した。洗浄処理を施したステンレス基板を真空装置の中にセットし、真空排気を行い、装置内を2×10-6Pa程度まで減圧にした。成膜にあたっては、装置内にアルゴンガスと酸素ガスを導入して、タンタル金属ターゲットを反応性スパッタにより、ステンレス基板に厚み40nmのタンタル酸化物層を作製した。スパッタ中のアルゴンガスと酸素ガスは容積比1:1であり、混合ガスの圧力は1.3Paとした。また、タンタル金属ターゲットには100Wのパワーを加えてスパッタを行った。
蓄電層22は次の手順で形成した。溶媒としてキシレン1.14gを用い、ヘプタン酸ニオブ0.72gとシリコーンオイル0.33gとを混合し、撹拌することで塗布液を作製した。酸化タンタルを形成したステンレス基板上に上記塗布液をスピナー(1200rpm、10sec)によってスピンコートし、大気下にてホットプレートを用い、約50℃で10分間乾燥させた。次いで、約420℃で60分間焼成することで、ニオブ酸化物とシリコン酸化物の混合膜を形成した。次に、混合膜に低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することで蓄電層22を形成した。照射条件は、波長254nmで、約80mW/cm2、120分とした。
蓄電層22を形成した後、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用い、蓄電層22上に大きさ2cm四方のシャドーマスクを介して、p型半導体層23として厚さ300nmの酸化ニッケル(NiO)を形成した。同様の方法により、p型半導体層23上に第2電極層24として厚さ150nmのタングステン(W)を積層することで、蓄電素子19を作製した。作製した蓄電素子19の駆動面積は4cm2であった。
上記の作製した本発明の蓄電素子19を用いて充放電特性を評価した。充放電測定としての定電流充放電試験では、充電電圧2Vで5分間、定電圧充電した後、放電電流密度12.5μA/cm2、放電カット電圧を0Vとして、25℃の条件にて行った。上記定充放電試験には、ソーラトロン(Solartron)社製の1470E型充放電試験装置を用いた。上記充放電測定の結果に基づいて求められた蓄電素子の放電容量は0.675μWh/cm2であった。
[実施例2]
金属酸化物層21として、膜厚40nmのスズ酸化物に変えた以外は、実施例1と同様の材料及び方法で、蓄電素子19を作製した。スズ酸化物は、実施例1で示した手順により、スズ酸化物ターゲットを反応性スパッタすることで作製した。実施例1と同様の手法により、充放電測定の結果に基づいて求められた蓄電素子19の放電容量は0.703μWh/cm2であった。
[実施例3]
金属酸化物層21として、膜厚40nmのセリウム酸化物に変えた以外は、実施例1と同様の材料及び方法で、蓄電素子19を作製した。セリウム酸化物は、実施例1で示した手順により、セリウム酸化物ターゲットを反応性スパッタすることで作製した。実施例1と同様の手法により、充放電測定の結果に基づいて求められた蓄電素子19の放電容量は0.685μWh/cm2であった。
[実施例4]
金属酸化物層21として、膜厚40nmのインジウム酸化物に変えた以外は、実施例1と同様の材料及び方法で、蓄電素子19を作製した。インジウム酸化物は、実施例1で示した手順により、インジウム酸化物ターゲットを反応性スパッタすることで作製した。実施例1と同様の手法により、充放電測定の結果に基づいて求められた蓄電素子19の放電容量は0.615μWh/cm2であった。
[比較例1]
金属酸化物層21を設けない以外は、実施例1と同様の材料及び方法で、蓄電素子19を作製した。実施例1と同様の手法により、充放電測定の結果に基づいて求められた蓄電素子19の放電容量は0.413μWh/cm2であった。
[比較例2]
金属酸化物層21として、膜厚40nmの酸化チタンに変えた以外は、実施例1と同様の材料及び方法で、蓄電素子19を作製した。酸化チタンは、実施例1で示した手順により、チタン酸化物ターゲットを反応性スパッタすることで作製した。実施例1と同様の手法により、充放電測定の結果に基づいて求められた蓄電素子19の放電容量は0.543μWh/cm2であった。
[比較例3]
金属酸化物層21として、膜厚50nmの酸化ニオブに変えた以外は、実施例1と同様の材料及び方法で、蓄電素子19を作製した。酸化ニオブは、実施例1で示した手順により、酸化ニオブターゲットを反応性スパッタすることで作製した。実施例1と同様の手法により、充放電測定の結果に基づいて求められた蓄電素子19の放電容量は0.475μWh/cm2であった。
Figure 2016127166
すなわち、第1電極と蓄電層との間に配置された、タンタル酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物およびインジウム酸化物の群から選択された一つの材料またはその組み合わせの材料で構成される金属酸化物層を設けた、本発明の実施例1から実施例3の蓄電素子19は、比較例1から比較例3の蓄電素子19と比べて放電容量が向上できることが明らかになった。つまり、蓄電素子としての充電容量の向上に有効な手法であることが確認された。
本発明は、上述の実施形態及び実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形、変更が可能である。例えば、発明を実施するための形態に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
以上詳述したように、本発明は、簡易な構成により低コスト化および安定な動作が可能で、かつ高容量な蓄電素子およびその製造方法を提供することができる。
10、19 蓄電素子
11、20 基板
12 第1電極
13、21 金属酸化物層
14、22 蓄電層
15、23 p型半導体層
16、24 第2電極
17 金属酸化物半導体
18 絶縁性物質

Claims (10)

  1. 導電性の第1電極と、
    導電性の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極の間に配置され、絶縁性物質と、金属酸化物半導体の混合物を含む蓄電層と、
    前記第2電極と前記蓄電層との間に配置されたp型半導体層と、
    前記第1電極と前記蓄電層との間に配置され、タンタル酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物およびインジウム酸化物の群から選択された一つの材料またはその組み合わせの材料を含む、金属酸化物層と、
    を有する蓄電素子。
  2. 前記蓄電層の金属酸化物半導体は、スズ酸化物、チタン酸化物およびニオブ酸化物の群から選択された一つの材料またはその組み合わせの材料である、請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 前記第1電極と、または、前記第2電極は、銅、クロム、ニッケル、チタン、白金、金、アルミニウム、タングステン、鉄、および、モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属またはその組み合わせの合金である、請求項1または請求項2に記載の蓄電素子。
  4. 前記第1電極と接して、前記蓄電層の反対側に配置された基板をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  5. 前記第1電極は、基板を兼用している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  6. 前記p型半導体は、ニッケル酸化物または銅アルミ酸化物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  7. 前記絶縁性物質が、シリコーンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  8. 前記基板が、フレキシブルな絶縁性のシートである、請求項4、6または7に記載の蓄電素子。
  9. 前記金属酸化物半導体は、金属酸化物の微粒子であり、
    前記蓄電層は、前記微粒子を前記絶縁性物質に分散したものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  10. 第1電極を準備し、
    前記第1電極上に、金属酸化物層を形成し、
    脂肪族酸金属塩と、絶縁性物質を、有機溶媒に溶解し塗布液を作製し、
    前記第金属酸化物層上に、前記塗布液を塗布し、塗布膜を形成し、
    前記塗布膜を焼成し、紫外線を照射して、蓄電層を形成し、
    前記蓄電層上にp型半導体層を形成し、
    前記p型半導体層上に第2電極を形成する、
    蓄電素子の製造方法。
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