JP2016091931A - 蓄電素子及び蓄電素子の製造方法 - Google Patents

蓄電素子及び蓄電素子の製造方法 Download PDF

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暁彦 相良
優貴 野村
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優貴 野村
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紀仁 藤ノ木
晴比古 土生田
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晴比古 土生田
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Abstract

【課題】蓄電後の起電圧が時間経過に伴って低下することを抑制する蓄電素子を提供する。【解決手段】導電性の第1電極(20)と、導電性の第2電極(60)と、前記第1電極(20)と前記第2電極(60)との間に配置され、絶縁材料(41)及びn型半導体粒子(42)を含む蓄電層(40)と、前記蓄電層(40)と前記第2電極(60)との間に配置されたp型半導体層(50)と、前記蓄電層(40)と前記第1電極(20)との間に配置され、抵抗率が1000μΩ・cm以下である拡散抑制層(30)と、を備えた、蓄電素子(100)。【選択図】図1

Description

本開示は、蓄電層に電子を捕獲することで蓄電を行なう蓄電素子に関する。
二次電池及びキャパシタは、電気自動車、モバイル機器などの製造に欠かすことのできない素子である。蓄電素子の特性の向上及び蓄電素子に関する技術の発展が期待されている。特に、現在市販されている電気自動車は、従来のガソリン車に比べて航続距離が短いという問題を有している。航続距離の向上を目的として、充放電容量の高い二次電池の製造が期待されている。また、モバイル機器分野においても、機能性の向上により使用電力量が高まっている。機器の使用可能時間の向上を目的として、充放電容量の高い二次電池が求められている。さらに、太陽光発電又は風力発電により創出されたクリーンエネルギーの蓄電を目的として、高容量なキャパシタの開発も進められている。
容量の増加が可能な二次電池及びキャパシタとしては、リチウムイオン電池又はリチウムイオンキャパシタが最有力候補として挙げられる。しかし、現状のリチウムイオン電池及びリチウムイオンキャパシタの充放電容量は必ずしも十分ではない。例えば、リチウムイオン電池を電気自動車に搭載した場合、航続距離が100km程度と非常に短い。また、リチウムイオン電池及びリチウムイオンキャパシタに使用されている電解液は液体であるため、漏液の可能性があり、安全性に問題がある。
電解液の代わりに固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池の開発も進められている。しかし、全固体リチウム二次電池の容量を十分に増やすには至っていない。さらに、リチウムイオン電池及びリチウムイオンキャパシタにおいては、レアメタルであるリチウムが使用される。そのため、安定的な材料の確保が困難であり、かつ製造コストが高いという問題もある。
こうした背景のもと、近年、リチウムイオン電池及びリチウムイオンキャパシタとは動作原理の異なる全固体型の半導体蓄電素子が提案されている(特許文献1〜3参照)。
国際公開第2012/046325号 国際公開第2013/065093号 国際公開第2013/153603号
特許文献1〜3に開示された従来の固体型半導体蓄電素子は、導電性の基板又は第1電極の直上にn型金属酸化物半導体粒子からなる蓄電層が積層されている。しかし、従来の固体型半導体蓄電素子には、蓄電後の起電圧が低下しやすいという課題がある。
本開示は、従来の課題を解決するものであり、長時間にわたって起電圧を保持することができる蓄電素子を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、
導電性の第1電極と、
導電性の第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、絶縁材料及びn型半導体粒子を含む蓄電層と、
前記蓄電層と前記第2電極との間に配置されたp型半導体層と、
前記蓄電層と前記第1電極との間に配置され、抵抗率が1000μΩ・cm以下である拡散抑制層と、
を備えた、蓄電素子を提供する。
上記の技術によれば、蓄電後の起電圧が時間経過に伴って低下することを抑制できる。
本開示の実施形態に係る蓄電素子の断面図 図1に示す蓄電素子の蓄電層の構造を示す図 図1に示す蓄電素子の製造方法を示す工程図 実施例1の蓄電素子におけるチタン及び鉄の元素分布を示すグラフ 実施例2の蓄電素子におけるチタン及び鉄の元素分布を示すグラフ 比較例1の蓄電素子における鉄の元素分布を示すグラフ
特許文献1〜3に開示された従来の固体型半導体蓄電素子の蓄電層は、高温焼成を経て形成されている。そのため、基板又は第1電極を構成する材料が蓄電層に拡散し、蓄電層に蓄えられた電子が蓄電層と第1電極との界面を通じてリークしやすくなると考えられる。その結果、蓄電後の起電圧が時間と共に低下し、素子の安定的な動作が妨げられると考えられる。したがって、基板又は第1電極を構成する材料が蓄電層内に拡散することを抑制すれば、長時間にわたって起電圧を保持できる二次電池(蓄電素子)を実現できると考えられる。
本開示は、
導電性の第1電極と、
導電性の第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、絶縁材料及びn型半導体粒子を含む蓄電層と、
前記蓄電層と前記第2電極との間に配置されたp型半導体層と、
前記蓄電層と前記第1電極との間に配置され、抵抗率が1000μΩ・cm以下である拡散抑制層と、
を備えた、蓄電素子を提供する。
本開示によれば、第1電極と蓄電層との間に拡散抑制層を設けることにより、基板又は第1電極を構成する材料が蓄電層に拡散することを抑制し、蓄電後の起電圧が時間経過に伴って低下することを抑制できる。蓄電素子のスムーズな充電動作及び放電動作も妨げられない。
また、前記拡散抑制層の前記抵抗率は、1μΩ・cm以上であってもよい。このような拡散抑制層によれば、基板又は第1電極を構成する材料が蓄電層に拡散することを抑制できるとともに、蓄電素子のスムーズな充電動作及び放電動作も妨げられない。
また、前記拡散抑制層を構成する材料の融点は、1000℃以上であってもよい。拡散抑制層を構成する材料が比較的高い融点を有している場合、蓄電層を形成する際の温度条件が厳しく制限されることを回避できる。
また、前記拡散抑制層を構成する材料は、窒化物、炭化物及び硼化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であってもよい。このような拡散抑制層によれば、基板又は第1電極を構成する材料が蓄電層に拡散することを十分に抑制できる。
また、前記拡散抑制層を構成する前記材料は、窒化物であってもよい。
また、前記窒化物は、窒化チタンであってもよい。窒化チタンなどの窒化物は、安価な材料であり、十分な導電性を有し、融点も十分に高い。また、拡散抑制層が窒化物で構成されている場合、基板又は第1電極を構成する材料が蓄電層に拡散することを確実に抑制できる。
また、前記n型半導体粒子は、スズ、亜鉛、チタン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1つと酸素とを含む材料で構成されていてもよい。このような材料でn型半導体粒子が構成されていると、蓄電層に十分な充放電機能を付与できる。
また、前記第1電極又は前記第2電極は、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、黄銅、鉄、白金、スズ、クロム、鉛、チタン、モリブデン及びそれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属又は導電性酸化物で構成されていてもよい。第1電極及び第2電極がこれらの材料で構成されていると、充放電が効率的に行われる。
また、前記絶縁材料は、絶縁性樹脂又は無機絶縁材料であってもよい。これらの材料は、n型半導体粒子内に捕獲された電子の障壁として確実に機能しうる。
また、前記p型半導体層は、p型酸化物半導体を含んでいてもよい。p型半導体層がp型酸化物半導体を含むことにより、第2電極から蓄電層への電子の注入を確実に阻止することができる。
また、本開示は、
第1電極、拡散抑制層、蓄電層、p型半導体層及び第2電極を備えた蓄電素子の製造方法であって、
前記第1電極上に前記拡散抑制層を形成し、
有機酸金属塩と絶縁材料とを有機溶媒に溶解させて塗布液を調製し、
前記塗布液を用いて前記拡散抑制層上に塗布膜を形成し、
前記塗布膜を焼成して前記蓄電層の前駆体層を形成し、
前記前駆体層に光を照射して前記蓄電層を形成し、
前記蓄電層の形成の後、前記蓄電層と前記第2電極との間に前記p型半導体層が配置されるように、前記p型半導体層及び前記第2電極をこの順に形成する、蓄電素子の製造方法を提供する。
本開示の蓄電素子の製造方法によれば、本開示の蓄電素子が効率的に得られる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
図1に示すように、蓄電素子100は、第1電極20、拡散抑制層30、蓄電層40、p型半導体層50及び第2電極60を備えている。第1電極と第2電極との間に蓄電層40が配置されている。蓄電層40と第2電極60との間にp型半導体層50が配置されている。蓄電層40と第1電極20との間に拡散抑制層30が配置されている。蓄電素子100において、第1電極20、拡散抑制層30、蓄電層40、p型半導体層50及び第2電極60は、この順番に積層されている。ここで、順番に積層されているとは、積層順が逆になるように、第2電極60、p型半導体層50、蓄電層40、拡散抑制層30、第1電極20の順に積層されている場合を含む。また、各層の間に適宜、中間層を介在させてもよい。
蓄電素子100は、第1電極20又は第2電極60の外側に、基板10を備えていてもよい。なお、第1電極20の外側とは、第1電極20の拡散抑制層30側とは反対の側をいう。また、第2電極60の外側とは、第2電極60のp型半導体層50側とは反対の側をいう。蓄電素子100において、基板10と蓄電層40との間に拡散抑制層30が配置されている。基板10によれば、蓄電素子100の強度を高めることができる。
基板10は、絶縁性の材料で構成されていてもよいし、導電性の材料で構成されていてもよい。基板10として、例えば、ガラス基板、半導体基板、金属基板、セラミックス基板、プラスチック基板、フィルム、樹脂基板、金属シート、又はこれらの組合せを使用可能である。基板10は、剛直であってもよいし、フレキシブルであってもよい。基板10として、フレキシブルなシートを用いてもよい。基板10がフレキシブルなシートの場合、蓄電素子100を曲面部分に用いたり、折り曲げ可能な用途に用いることもできる。また、基板10に凹凸構造を設けた場合には、基板10における単位面積あたりの表面積を向上でき、蓄電素子100の容量の増加を期待できる。
第1電極20及び第2電極60は、それぞれ、導電性の性質を持つように導電性材料を含んでいれば、特に限定されない。そのような導電性材料としては、金属、導電性酸化物、導電性樹脂、導電性カーボン、又はこれらの組合せを使用可能である。
金属としては、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、黄銅、鉄、白金、スズ、クロム、鉛、チタン、モリブデン、それらの合金などを使用可能である。合金としては、ステンレス鋼などが挙げられる。第1電極20及び第2電極60がこれらの材料で構成されていると、充放電が効率的に行われる。
導電性酸化物としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、又はこれらの混合物を使用可能である。また、透明な導電性電極を得ることができる導電性酸化物として、スズをドープした酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)を使用可能である。透明な導電性電極はITOに限定されず、酸化スズ、酸化亜鉛、又はこれらの混合物使用可能である。
導電性樹脂としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリチエニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセン、又はこれらの混合物を使用可能である。
導電性カーボン材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、導電性ダイヤモンド、導電性グラファイト、又はこれらの組合せを使用可能である。
なお、基板10に導電性材料を使用する場合は、第1電極20を形成せずに、基板10自身を第1電極20として使用することも可能である。
第1電極20の厚さは、例えば、20nm〜1μmの範囲にある。第2電極60の厚さは、例えば、20nm〜1μmの範囲にある。
拡散抑制層30は、基板10又は第1電極20を構成する材料が蓄電層40に拡散することを抑制する目的で設けられている。拡散抑制層30を構成する材料としては、緻密度の高い材料が望ましい。また、後述の蓄電層40を形成する際に、高温で焼成を行なうため、拡散抑制層30を構成する材料としては、融点が高く、耐熱性の高い材料が望ましい。拡散抑制層30を構成する材料の融点は、600℃以上であってもよく、1000℃以上であってもよい。拡散抑制層30を構成する材料が比較的高い融点を有している場合、蓄電層40を形成する際の温度条件が厳しく制限されることを回避できる。拡散抑制層30を構成する材料の融点は特に限定されない。
拡散抑制層30は、充電動作及び放電動作への悪影響を避けるため、高い導電性を有することが望ましい。例えば、拡散抑制層30の抵抗率は1000μΩ・cm以下であってもよい。拡散抑制層30の抵抗率の下限は特に限定されない。拡散抑制層30の抵抗率の下限は、例えば、1μΩ・cmである。このような拡散抑制層30によれば、蓄電素子100のスムーズな充電動作及び放電動作も妨げられない。また、材料の選択の余地も十分にある。
本明細書において、「拡散抑制層30の抵抗率」は、「拡散抑制層30を構成する材料の抵抗率」に等しいものとして取り扱われる。つまり、拡散抑制層30は、1000μΩ・cm以下の抵抗率を有する材料で構成された層でありうる。拡散抑制層30は、実質的に、1000μΩ・cm以下の抵抗率を有する材料からなる層であってもよい。「実質的に、1000μΩ・cm以下の抵抗率を有する材料からなる」とは、抵抗率に大きな影響を与えない範囲で拡散抑制層30に他の成分が含まれていてもよいことを意味する。また、拡散抑制層30が単一の材料で構成されている必要はない。拡散抑制層30は、例えば、それぞれが1000μΩ・cm以下の抵抗率を有する複数の材料の混合物で構成されていてもよい。各材料の抵抗率の下限は、上記したように、例えば1μΩ・cmである。なお、拡散抑制層30を構成する材料の抵抗率は、例えば、JIS R1637に記載の四探針法で測定することが可能である。
拡散抑制層30を構成する材料としては、窒化物、炭化物、硼化物などが挙げられる。窒化物としては、窒化チタン(Ti−N)(融点2950℃、抵抗率25μΩ・cm)、窒化ジルコニウム(Zr−N)(融点2982℃、抵抗率21μΩ・cm)、窒化ニオブ(Nb−N)(融点2204℃、抵抗率58μΩ・cm)、窒化タンタル(Ta−N)(融点3360℃、抵抗率135μΩ・cm)、窒化バナジウム(V−N)(融点2177℃、抵抗率85μΩ・cm)、窒化クロム(Cr−N)(融点1050℃、抵抗率640μΩ・cm)、窒化モリブデン(Mo−N)、窒化タングステン(W−N)、又はこれらの混合物を使用可能である。
炭化物としては、炭化チタン(Ti−C)(融点3067℃、抵抗率52μΩ・cm)、炭化ジルコニウム(Zr−C)(融点3445℃、抵抗率42μΩ・cm)、炭化ニオブ(Nb−C)(融点3613℃、抵抗率19μΩ・cm)、炭化タンタル(Ta−C)(融点3985℃、抵抗率15μΩ・cm)、炭化バナジウム(V−C)(融点2648℃、抵抗率59μΩ・cm)、炭化クロム(Cr−C)(融点1810℃、抵抗率75μΩ・cm)、炭化モリブデン(Mo−C)(融点2517℃、抵抗率57μΩ・cm)、炭化タングステン(W−C)(融点2776℃、抵抗率17μΩ・cm)、又はこれらの混合物を使用可能である。
硼化物としては、硼化チタン(Ti−B)(融点3225℃、抵抗率7μΩ・cm)、硼化ジルコニウム(Zr−B)(融点3245℃、抵抗率6μΩ・cm)、硼化ニオブ(Nb−B)(融点3036℃、抵抗率12μΩ・cm)、硼化タンタル(Ta−B)(融点3037℃、抵抗率14μΩ・cm)、硼化バナジウム(V−B)(融点2747℃、抵抗率13μΩ・cm)、硼化クロム(Cr−B)(融点2188℃、抵抗率18μΩ・cm)、硼化モリブデン(Mo−B)(融点2140℃、抵抗率18μΩ・cm)、硼化タングステン(W−B)(融点2365℃、抵抗率19μΩ・cm)、硼化ランタン(La−B)(融点2770℃、抵抗率15μΩ・cm)、又はこれらの混合物を使用可能である。なお、上記材料の融点及び抵抗率は、H. Holleck著「Journal of Vacuum Science Technology A」1986年、vol. 4、No. 6を参照した。
拡散抑制層30を構成する材料は、典型的には、窒化物である。窒化物としては、窒化チタンが挙げられる。窒化チタンなどの窒化物は、安価な材料であり、十分な導電性を有し、融点も十分に高い。また、拡散抑制層30が窒化物で構成されている場合、基板10又は第1電極20を構成する材料が蓄電層40に拡散することを確実に抑制できる。
拡散抑制層30の厚さは、例えば、望ましくは5nm〜1μm、より望ましくは20nm〜300nmの範囲にある。
図2に示すように、蓄電層40は、絶縁材料41及びn型半導体粒子42を含む。蓄電層40において、絶縁材料41(絶縁材料41のマトリクス)にn型半導体粒子42が分散されている。n型半導体粒子42は、微粒子(例えば、ナノメートルオーダーの粒子)であってもよい。
絶縁材料41は、n型半導体粒子42内に捕獲された電子の障壁として機能するため、n型半導体粒子42に含まれる材料よりもバンドギャップの広い材料が望ましい。絶縁材料41としては、例えば、絶縁性樹脂、無機絶縁材料、又はこれらの混合物を使用可能である。
絶縁性樹脂としては、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリイミド、エチルセルロース、酢酸セルロース、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン、ネオプレン、セルロイド、ポリビニルホルマール、シリコン樹脂、融解フッ素樹脂、又はこれらの混合物を使用可能である。絶縁性樹脂としては、シリコーンが望ましい。絶縁性樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。
無機絶縁材料としては、酸化物、窒化物、酸窒化物、鉱油、パラフィン、又はこれらの混合物を使用可能である。酸化物としては、酸化ケイ素(Si−O)、酸化マグネシウム(Mg−O)、酸化アルミニウム(Al−O)、酸化チタン(Ti−O)、酸化ガリウム(Ga−O)、酸化タンタル(Ta−O)、酸化ジルコニウム(Zr−O)、酸化ハフニウム(Hf−О)、酸化クロム(Cr−O)、これらの混合物などの金属酸化物を使用可能である。典型的には、金属酸化物として、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、又はこれらの混合物を使用可能である。窒化物としては、窒化ゲルマニウム(Ge−N)、窒化クロム(Cr−N)、窒化ケイ素(Si−N)、窒化アルミニウム(Al−N)、窒化ニオブ(Nb−N)、窒化モリブデン(Mo−N)、窒化チタン(Ti−N)、窒化ジルコニウム(Zr−N)、窒化タンタル(Ta−N)、又はこれらの混合物などの金属窒化物を使用可能である。酸窒化物としては、窒化酸化ゲルマニウム(Ge−O−N)、窒化酸化クロム(Cr−O−N)、窒化酸化ケイ素(Si−O−N)、窒化酸化アルミニウム(Al−O−N)、窒化酸化ニオブ(Nb−O−N)、窒化酸化モリブデン(Mo−O−N)、窒化酸化チタン(Ti−O−N)、窒化酸化ジルコニウム(Zr−O−N)、窒化酸化タンタル(Ta−O−N)、又はこれらの混合物の金属酸窒化物を使用可能である。無機絶縁物としては、Si及びOを含むケイ素酸化物(例えば、二酸化ケイ素(Si−O)、又は窒化酸化ケイ素(Si−O−N))を使用可能である。
n型半導体粒子42は、スズ、亜鉛、チタン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1つと酸素とを含む材料で構成されている。このような材料でn型半導体粒子42が構成されていると、蓄電層40に十分な充放電機能を付与できる。また、図2に示すように、n型半導体粒子42は、例えば、微粒子の形態を有する。蓄電層40は、例えば、絶縁材料41のマトリクスにn型半導体粒子42が分散された構造を有する。
n型半導体粒子42を構成する材料における金属酸化物の含有率は、例えば、80原子%以上である。
n型半導体粒子42は、実質的に、スズ、亜鉛、チタン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1つと酸素とからなっていてもよい。本明細書において、「実質的に・・・からなる」とは、材料の特性に大きな影響を与えない範囲(例えば、5原子%以下、1原子%以下又は0.1%以下)で他の成分が含まれていてもよいことを意味する。
蓄電層40に含まれたn型半導体粒子42の平均粒径は、例えば、1nm〜100nmの範囲にある。n型半導体粒子42の平均粒径は、以下の方法で算出できる。まず、n型半導体粒子42を電子顕微鏡(SEM又はTEM)で観察する。得られた像における特定のn型半導体粒子42の面積Sを求め、以下の式により、当該n型半導体粒子42の粒径aを算出する(a=2×(S/3.14)1/2)。任意の50個のn型半導体粒子42の粒径aを算出し、その平均値をn型半導体粒子42の1次粒子の平均粒径と定義する。
蓄電層40における絶縁材料41とn型半導体粒子42との含有比率は特に限定されない。蓄電層40に含まれた絶縁材料41とn型半導体粒子42との重量比率(絶縁材料41:n型半導体粒子42)は、例えば、1:99〜99:1の範囲にある。
蓄電層40の厚さは、例えば100nm〜10μmの範囲にある。
p型半導体層50は、第2電極60からの電子の注入を阻止する目的で形成されている。p型半導体層50の材料として、例えば、p型酸化物半導体の使用が可能である。p型半導体層50がp型酸化物半導体を含むことにより、第2電極60から蓄電層40への電子の注入を確実に阻止することができる。p型酸化物半導体としては、ニッケル酸化物、銅酸化物、銅アルミニウム酸化物、スズ酸化物、又はこれらの混合物を含有する材料を使用可能である。p型半導体層50の厚さは、例えば、20nm〜1μmの範囲にある。
拡散抑制層30、蓄電層40及びp型半導体層50は、第1電極20及び第2電極60に挟み込まれていればよく、その積層順序は逆であってもよい。本実施形態では、第1電極20と第2電極60との間に蓄電層40が配置されている。蓄電層40と第2電極60との間にp型半導体層50が配置されている。蓄電層40と第1電極20との間に拡散抑制層30が配置されている。また、充放電動作を大幅に損なわない限り、隣り合う層の間に適宜、中間層を介在させてもよい。
蓄電素子100の充放電メカニズムは、次のように考えられる。蓄電素子100において、第2電極60を基準として、第1電極20にマイナス電圧を印加すると、電子が第1電極20からn型半導体粒子42に移動する。移動した電子は、n型半導体粒子42内に形成された電子捕獲準位に捕獲される。捕獲された電子は、p型半導体層50により、更なる移動が妨げられるため、n型半導体粒子42に捕獲される続けることになる。つまり、蓄電層40が蓄電状態となる。この状態は、バイアス電圧の印加を止めても維持されることから、蓄電素子100の機能が発揮される。また、第1電極20と第2電極60とに負荷を接続した場合、n型半導体粒子42内の電子捕獲準位に捕獲されていた電子が負荷に流れる。つまり、蓄電層40が放電状態となる。この状態は、n型半導体粒子42内の電子捕獲準位に捕獲された電子がなくなり、蓄電前の状態に戻るまで続く。以上が、蓄電素子100の基本的な充放電の原理である。この現象を繰り返し行なうことで、蓄電素子100を二次電池又はキャパシタとして使用できる。
本実施形態の蓄電素子の製造方法を、図3を用いて説明する。図3は、図1に示す蓄電素子100の製造方法を示す工程図である。
工程(a)では、基板10上に第1電極20を形成する。例えば、第1電極20に金属を使用する場合は、その形成方法として、スパッタリング法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積法(PLD法)、化学気相蒸着法(CVD法)、電界メッキ法、原子層堆積法(ALD法)、サーマルスプレー法、コールドスプレー法、エアロゾルデポジション法などが挙げられる。また、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、レベルコート法、スプレーコート法などの塗布法によって第1電極20を作製することもできる。しかし、これらの方法に制限されるものではない。なお、基板10に導電性材料を使用する場合は、第1電極20を形成せずに、基板10自身を第1電極20として使用することも可能である。
工程(b)では、第1電極20上に拡散抑制層30を形成する。拡散抑制層30の形成方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法、化学的気相法、塗布法などが挙げられる。
次に、蓄電層40の形成方法について説明する。工程(c)では、有機酸金属塩と絶縁材料とを有機溶媒に溶解させて塗布液を調製する。有機酸金属塩を構成する金属としては、チタン、ニオブ、スズ、亜鉛、タンタル、モリブデンなどを使用可能である。有機酸金属塩には、1種類の金属塩のみを使用してもよいし、複数種類の金属塩の混合物を使用してもよい。本実施形態において、n型半導体粒子42は、有機酸金属塩を分解して生成する。有機酸金属塩としては、酸化性雰囲気下で光を照射すること、又は焼成することにより分解又は燃焼し、金属酸化物に変化し得るものが使用される。有機酸金属塩を構成する有機酸としては、脂肪族酸及び芳香族酸を使用可能である。
脂肪族酸としては、脂肪族カルボン酸を使用可能である。脂肪族カルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ポリカルボン酸を使用可能である。脂肪族ポリカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸、脂肪族テトラカルボン酸、又はこれらの組合せを使用可能である。脂肪族モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ノナン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、バルチミン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、リノレン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ピルビン酸、乳酸又はこれらの組合せを使用可能である。これらのうち、高度不飽和脂肪酸が望ましい。高度不飽和脂肪酸は、4つ以上の不飽和結合を有する脂肪酸である。脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、又はこれらの組合せを使用可能である。脂肪族トリカルボン酸としては、クエン酸、又はこれらの組合せを使用可能である。脂肪族テトラカルボン酸としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などを使用可能である。これらの脂肪族酸の金属塩を単独で使用してもよいし、複数の種類の脂肪族酸の金属塩の混合物を使用してもよい。
芳香族酸としては、芳香族カルボン酸を使用可能である。芳香族カルボン酸としては、芳香族モノカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、又はこれらの混合物を使用可能である。芳香族ポリカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸、芳香族ヘキサカルボン酸、又はこれらの混合物を使用可能である。芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、サリチル酸、ケイ皮酸、没食子酸、又はこれらの混合物を使用可能である。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸を使用可能である。芳香族トリカルボン酸としては、トリメリット酸を使用可能である。芳香族テトラカルボン酸としては、ピロメリット酸を使用可能である。芳香族ヘキサカルボン酸としては、メリト酸を使用可能である。これらの芳香族酸の金属塩を単独で使用してもよいし、複数の種類の芳香族酸の金属塩の混合物を使用してもよい。
有機溶媒としては、有機酸金属塩と絶縁材料41とを溶解できるものを使用可能である。例えば、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、又はこれら混合物を使用可能である。有機溶媒として、具体的には、エタノール、キシレン、ブタノール、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、又はこれらの混合物を使用可能である。
工程(d)では、拡散抑制層30上に塗布液を塗布して塗布膜を形成する。塗布液を塗布する手法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、ブレードコート法又はインクジェット法などを使用可能である。例えば、スピンコート法により塗布液を塗布する場合、拡散抑制層30を積層した基板10を回転させながら、スピナーにより塗布液を拡散抑制層30上にスピンコートする。この方法により、0.3〜3μmの厚さの塗布膜が形成される。
工程(e)では、拡散抑制層30上に形成された塗布膜から有機溶媒が適度に除去されるように、塗布膜を乾燥させる。塗布膜は、室温で自然乾燥させてもよいし、室温よりも高い温度に加熱して乾燥させてもよい。例えば、塗布膜を20〜100℃の雰囲気下で乾燥させる。なお、塗布膜中の有機溶媒の揮発性が高い場合には、工程(e)は省略することも可能である。
工程(f)では、塗布膜を焼成して蓄電層40の前駆体層を形成する。焼成により、塗布膜に含まれた有機酸金属塩が分解又は燃焼し、絶縁材料41の層及びn型半導体粒子42が生成する。詳細には、絶縁材料41中にn型半導体粒子42が分散された構造を有する蓄電層40の前駆体層が形成される。焼成は、例えば、300〜500℃の温度で10分〜1時間程度行う。
工程(g)では、工程(f)で形成された蓄電層40の前駆体層に光を照射して、蓄電層40を形成する。照射光としては、光子エネルギーの高い紫外線などの使用が可能である。紫外線の照射装置としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、又はメタルハライドランプを用いてもよい。紫外線の照射条件としては、例えば、照射波長を254mに設定した場合、照射強度は20mW/cm2以上、照射時間は5分間以上である。工程(g)により、蓄電層40内への電子の捕獲、すなわち、蓄電が可能になる。
工程(h)では、蓄電層上にp型半導体層50を形成する。その形成方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法、化学的気相法、又は塗布法を使用可能である。
工程(i)では、p型半導体層50上に第2電極60を形成する。第2電極60の形成方法としては、上記の第1電極20の形成方法と同様の方法を使用可能である。
以上の工程を経て、図1及び図2を参照して説明した蓄電素子100が得られる。
本開示を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>
基板として、1辺3cmの正方形の表面を有し、厚さ0.4mmであるステンレス基板を用いて、蓄電素子を作製した。第1電極層は形成せず、ステンレス基板を電極として兼ねた。次に、窒化チタンを用いたスパッタリング法により、基板の上に拡散抑制層を形成した。拡散抑制層の厚さは50nmであった。
蓄電層には、絶縁材料としてシリコーンを、n型半導体粒子としてニオブ酸化物を用いた。蓄電層の製造方法について、以下に詳細を説明する。まず、ヘプタン酸ニオブ塩とシリコーンオイルとを溶媒であるキシレンに混合して撹拌し、塗布液を調製した。次に、スピンコーターを用意し、基板を回転させながら塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。このときの回転数は1200rpmに設定した。次に、塗布膜を50℃で10分間程度放置し、乾燥した。その後、塗布膜を420℃で60分間焼成した。これらの工程により、ヘプタン酸ニオブ塩が分解し、シリコーン絶縁膜にニオブ酸化物粒子が分散された構造を有する蓄電層の前駆体層が形成された。なお、上記条件で作製された蓄電層の前駆体の厚さは約1μmであった。
次に、低圧水銀ランプを使用して、蓄電層の前駆体に紫外線を照射した。紫外線照射波長254nmにおける照射強度は70mW、照射時間は120分間に設定した。以上が、蓄電層の製造方法である。
次に、酸化ニッケルを用いたスパッタリング法により、蓄電層上にp型半導体層を形成した。p型半導体層の厚さは300nmであった。最後に、タングステンを用いたスパッタリング法により、p型半導体層の上に第2電極を形成した。第2電極の厚さは150nmであった。
<実施例2>
スパッタリング法の時間を変更することによって拡散抑制層の厚さを変更したことを除き、実施例1と同様の材料及び方法で、実施例2の蓄電素子(拡散抑制層の厚さ:300nm)を得た。
<比較例1>
拡散抑制層を設けなかった(第1電極の上に蓄電層を直接形成した)ことを除き、実施例1と同様の材料及び方法で、比較例1の蓄電素子を得た。
[鉄及びチタンの元素分布の測定]
実施例1、実施例2及び比較例1の蓄電素子について、鉄(第1電極として使用したステンレス鋼の主成分)及びチタン(拡散抑制層に含まれた窒化チタンの主成分)の元素分布をSIMS法により調べた。SIMS法の一次イオンビームにはBi3 2+、スパッタビームにはO2 +ビームを使用し、二次イオンとしては、Ti+イオンとFe+イオンを検出した。結果を図4〜6に示す。
図6に示すように、比較例1の蓄電素子において、蓄電層及びp型半導体層に多量の鉄が拡散していた。これに対し、図4及び図5に示すように、実施例1及び実施例2の蓄電素子において、鉄の拡散は、比較例1よりも抑制されていた。図4と図5とを比較すると理解できるように、鉄の拡散を抑制する効果は、相対的に厚い拡散抑制層を有する実施例2(図5)の蓄電素子でより十分に得られた。
[電圧減少率の測定]
以下の方法によって、実施例1、実施例2及び比較例1の蓄電素子の電圧減少率を測定した。具体的には、蓄電素子の第1電極に、−2Vの電圧を5分間印加して蓄電を行なった。その後、回路を開放し、開放直後の電圧値と3分後の電圧値とを測定した。以下の式から、回路を開放して3分後の電圧減少率を算出した。結果を表1に示す。
電圧減少率(%)=(3分後の電圧値)/(回路開放直後の電圧値)
Figure 2016091931
比較例1の蓄電素子の電圧減少率は36.7%であった。実施例1及び実施例2の蓄電素子の電圧減少率は、それぞれ、21.9%及び19.8%であった。この結果は、窒化チタンで構成された拡散抑制層が起電圧の低下を抑制する効果を奏したことを意味する。起電圧の低下を抑制する効果は、相対的に厚い拡散抑制層を有する実施例2の蓄電素子において、より十分に得られた。
以上のように、基板(又は第1電極)と蓄電層との間に拡散抑制層を設けることによって、基板(又は第1電極)の構成材料が蓄電層に拡散することを抑制できた。その結果、起電圧の保持時間も向上した。本明細書に開示された技術によれば、蓄電素子の安定的な動作が可能となり、信頼性の高い電気自動車及びモバイル機器の製造を実現することができる。
本明細書に開示された蓄電素子は、蓄電層が無機材料で構成されているため、安全性に優れており、かつ、安定的な動作が可能である。また、本明細書に開示された蓄電素子は、製造が簡単かつ材料が安価であるため、低コストでの作製が可能である。さらに、本明細書に開示された蓄電素子は、蓄電後にも長期にわたって高い起電圧を発揮しうる。従って、本明細書に開示された蓄電素子は、素子の安定的な動作が可能であり、信頼性の高い電気自動車、信頼性の高いモバイル機器などのシステムの実現手段として有用である。
10 基板
20 第1電極
30 拡散抑制層
40 蓄電層
41 絶縁材料
42 n型半導体粒子
50 p型半導体層
60 第2電極
100 蓄電素子

Claims (11)

  1. 導電性の第1電極と、
    導電性の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、絶縁材料及びn型半導体粒子を含む蓄電層と、
    前記蓄電層と前記第2電極との間に配置されたp型半導体層と、
    前記蓄電層と前記第1電極との間に配置され、抵抗率が1000μΩ・cm以下である拡散抑制層と、
    を備えた、蓄電素子。
  2. 前記拡散抑制層の前記抵抗率は、1μΩ・cm以上である、請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 前記拡散抑制層を構成する材料の融点が1000℃以上である、請求項1又は2に記載の蓄電素子。
  4. 前記拡散抑制層を構成する材料は、窒化物、炭化物及び硼化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  5. 前記拡散抑制層を構成する前記材料が、窒化物である、請求項4に記載の蓄電素子。
  6. 前記窒化物が、窒化チタンである、請求項5に記載の蓄電素子。
  7. 前記n型半導体粒子は、スズ、亜鉛、チタン、ニオブ、タンタル及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1つと酸素とを含む材料で構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  8. 前記第1電極又は前記第2電極は、銀、銅、金、アルミニウム、マグネシウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、黄銅、鉄、白金、スズ、クロム、鉛、チタン、モリブデン及びそれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属又は導電性酸化物で構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  9. 前記絶縁材料が、絶縁性樹脂又は無機絶縁材料である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  10. 前記p型半導体層が、p型酸化物半導体を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  11. 第1電極、拡散抑制層、蓄電層、p型半導体層及び第2電極を備えた蓄電素子の製造方法であって、
    前記第1電極上に前記拡散抑制層を形成し、
    有機酸金属塩と絶縁材料とを有機溶媒に溶解させて塗布液を調製し、
    前記塗布液を用いて前記拡散抑制層上に塗布膜を形成し、
    前記塗布膜を焼成して前記蓄電層の前駆体層を形成し、
    前記前駆体層に光を照射して前記蓄電層を形成し、
    前記蓄電層の形成の後、前記蓄電層と前記第2電極との間に前記p型半導体層が配置されるように、前記p型半導体層及び前記第2電極をこの順に形成する、蓄電素子の製造方法。
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