JP2019067512A - 半導体固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧ドロップを抑制した半導体固体電池を提供する。【解決手段】実施形態によれば、n型半導体層とp型半導体層の間に第1の絶縁層を設けた構造を有する半導体固体電池が提供される。n型半導体層またはp型半導体層のいずれか一方または両方が、高抵抗層中に珪素化合物粒子を含有した構造を有する。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、半導体固体電池に関する。
近年、電気機器の普及、省エネの観点から電気を効率的に活用することが求められている。これに伴い、電気を充放電できる二次電池の開発が進められている。二次電池としては、Liイオン二次電池、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池など様々なものが開発されている。例えば、特開2001−338649(特許文献1)にはLi複合酸化物を正極活物質に使ったLiイオン二次電池が開示されている。Liイオン二次電池は、小型化も可能であることから電気機器の電池として活用されている。
一方、Liイオン二次電池は、電解液を介してLiイオンを出し入れする構造を含むものである。そのため、電解液を必須とした電池である。鉛蓄電池やニッケル水素蓄電池も同様に電解液を必須とした電池である。電解液が漏れると火災や爆発の原因となる。このため、Liイオン二次電池では、液漏れを起こさないように密閉構造をとっている。しかしながら、長期使用による劣化、電気機器の使い方、使用環境によって液漏れが発生してしまうといった問題が生じていた。
このような液漏れによる不具合を無くすために半導体固体電池の開発が進められている。半導体固体電池はエネルギー準位に電子を捕獲し充電を行うものである。全固体の二次電池とすることができるため、電解液を使う必要がない。
半導体固体電池としては、特開2014−154223(特許文献2)が例示される。
特開2001−338649号公報 特開2014−154223号公報
特許文献2の半導体固体電池は、充電層としての半導体酸化物、絶縁層としての絶縁性酸化物を積層し、電極を設けた構造となっている。特許文献2では、この構造により、出力電圧や放電容量の改善を図っている。
しかしながら、従来の半導体固体電池は、放電開始直後の電圧ドロップが大きかった。放電開始直後の電圧ドロップが大きいと、電池電圧を維持できないという問題があった。この原因を追究したところ、絶縁層と半導体層の界面にキャリア集中が発生しているためであることが判明した。界面キャリアの集中が生じると、コンデンサーに近似した挙動を示すため電圧ドロップが大きかった。
実施形態は、このような問題を改善するためのものであり、放電開始時の電圧ドロップを抑制できる半導体固体電池を提供するためのものである。
実施形態によれば、n型半導体層とp型半導体層の間に第1の絶縁層を設けた構造を有する半導体固体電池が提供される。n型半導体層またはp型半導体層のいずれか一方または両方が、高抵抗層中に珪素化合物粒子を含有した構造を有する。
実施形態に係る半導体固体電池の模式図。 実施形態に係る別の半導体固体電池の模式図。 実施形態に係る半導体固体電池のバンド構造を示す模式図。 実施形態に係る半導体固体電池のn型半導体層と絶縁層の界面キャリア集中を説明する模式図。 n型半導体層の準位位置の概念図。 p型半導体層の準位位置の概念図。 実施形態(実施例1)に係る半導体固体電池の放電曲線を例示する図。
実施形態に係る半導体固体電池は、n型半導体層とp型半導体層の間に第1の絶縁層を設けた構造を有し、n型半導体層またはp型半導体層のいずれか一方または両方が、高抵抗層中に珪素化合物粒子が分散した構造を有することを特徴とするものである。
図1に実施形態に係る半導体固体電池の模式図を示した。図1ないし図3はバンド構造を模式したものである。図1中、1は半導体固体電池、2は第1の絶縁層、3はn型半導体、4はp型半導体、5は電極(n型側電極)、6は電極(p型側電極)、である。
また、図2には別の半導体固体電池の模式図を示した。図2中、1は半導体固体電池、2は第1の絶縁層、3はn型半導体、4はp型半導体、5は電極(n型側電極)、6は電極(p型側電極)、7は第2の絶縁層、8は第3の絶縁層、である。
まず、n型半導体層3とp型半導体層4の間に第1の絶縁層2を設けている。第1の絶縁層2を設けることにより、n型半導体層3およびp型半導体層4にある電子と正孔が再結合することを抑制することができる。電子と正孔の再結合を抑制することにより自己放電が抑制される。これにより、蓄電容量を大きくすることができる。
第1の絶縁層2の厚さは3nm以上30μm以下であることが好ましい。第1の絶縁層2の膜厚が3nm未満では絶縁層が薄すぎるため電子・正孔の再結合抑制効果が不十分である。一方、30μmを越えて厚いと、体積や重量が増大し、エネルギー密度(容量)や出力密度の低下につながる。このため、第一の絶縁層2の厚さは3nm以上30μm以下、さらには10nm以上1μm以下が好ましい。
また、第1の絶縁層2の比誘電率は10以下が好ましい。比誘電率は、物質の誘電率を真空の誘電率で割った値を示す。比誘電率ε=物質の誘電率ε/真空の誘電率εで表される。比誘電率が10を超えると電圧による分極が大きすぎて、大量の電子・正孔が絶縁層表面に吸着することで、瞬時に充電が完了してしまうため、電池容量が低下してしまう。このため第1の絶縁層の比誘電率は10以下、さらには5以下が好ましい。なお、比誘電率の下限は2以上が好ましい。比誘電率が2未満では絶縁性が不足するため電子・正孔の再結合抑制効果が不十分となる恐れがある。
電子・正孔の再結合抑制効果を十分得るには絶縁層の厚さと比誘電率を制御することが好ましい。また、これにより電池のコンデンサー化を防ぐことができる。コンデンサー化が進むとエネルギー密度が低くなる恐れがある。
このため第1の絶縁層2は、厚さ3nm以上30μm以下かつ比誘電率10以下、さらには厚さ10nm以上1μm以下かつ比誘電率5以下が好ましい。この範囲にすることにより、半導体層への蓄電容量を高めることができるため、半導体固体電池のエネルギー密度を向上させることができる。
また、第1の絶縁層の膜厚は断面の拡大写真で測定することができる。拡大写真としては走査型電子顕微鏡(SEM)写真または透過型電子顕微鏡(TEM)写真が挙げられる。5000倍以上に拡大することが好ましい。
また、比誘電率の測定は共振器法が挙げられる。共振器法は、空洞共振器などの共振器を用い、微小な被測定対象による共振の変化を基にして測定する方法である。共振器法は多層膜のまま測定できる方法である。
また、多層膜の膜厚が100nm以上の場合は、摂動方式の空洞共振器法が有効である。また、試験環境の温度は常温(25±2℃)で行うものとする。また、100nm未満の多層膜の場合は容量−電圧測定(C−V測定)が有効である。
また、第1の絶縁層は、金属酸化物、金属窒化物、絶縁性樹脂から選ばれる1種または2種以上が好ましい。金属酸化物は、珪素、アルミニウム、タンタル、ニッケル、銅、鉄から選ばれる1種または2種以上の酸化物(複合酸化物含む)が好ましい。また、金属窒化物は、珪素、アルミニウムから選ばれる1種または2種以上の窒化物(複合窒化物含む)が好ましい。また、金属酸窒化物であってもよい。また、絶縁性樹脂であってもよい。
また、金属酸化物膜または金属窒化物膜は、化学蒸着(CVD)法、スパッタ法、溶射法など様々な成膜方法を適用することができる。また、成膜雰囲気を酸素含有雰囲気にして酸化物膜にすることも有効である。同様に、成膜雰囲気を窒素含有雰囲気にして窒化物膜にしてもよい。また、必要に応じ、熱処理を加えても良いものとする。
また、第1の絶縁層は膜密度がバルク体の60%以上であることが好ましい。膜密度は、絶縁層を構成する物質の充填率であり、空孔の割合を示すものである。膜密度が大きいほど空孔が少ないことになる。膜密度が60%以上であると、第1の絶縁層による電子・正孔の再結合抑制効果を得易くなる。膜密度が高いほど、その効果を得易くなる。そのため、膜密度はバルク体の60%以上、さらには80%以上100%以下が好ましい。また、膜密度が低いと電流リークが発生し易くなる恐れがある。
なお、第1の絶縁層の膜密度の測定方法は、任意の断面を拡大写真にとり、画像解析により膜を構成する材料と空孔を見分けるものとする。
また、X線反射率法(XRR)により膜密度や膜厚を測定する方法も有効である。試料の表面粗さRaが数nm以下の平坦である場合、XRRが好ましい。反射率強度を測定すると、X線の干渉により、散乱角(2θ)に対して反射率強度が振動する。測定データを各層の膜厚、膜密度、表面・界面粗さをパラメータとし、フィッティングを行う。フィッティングの理論式としては、Parrattの多層膜モデルにNevot−Croceのラフネスの式を組み合わせたものを用いるものとする。TEM、SEMにより予め膜厚等の値を調べることにより、それをフィッティングパラメータとして用いることで膜密度などをより正確に測定することができる。
n型半導体層またはp型半導体層のいずれか一方または両方が、高抵抗層中に珪素化合物粒子が分散した構造を有することを特徴としている。
高抵抗層とは、半導体または絶縁体を示している。抵抗値としては、10−2Ω・m以上のものが好ましい。なお、抵抗値10−2Ω・m以上10Ω・m未満は半導体、10Ω・m以上は絶縁体とする。また、半導体は10以上10Ω・m未満の範囲であることが好ましい。
また、このような材料としては、a−Si(アモルファスシリコン)、高抵抗シリコン、酸化物半導体、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンなどが挙げられる。また、酸化物半導体は、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられる。
これらの中では、a−Siが好ましい。a−Siは珪素化合物粒子との密着性が良いため、n型半導体層3またはp型半導体層4の内部抵抗を低減することができる。
また、高抵抗層は膜厚が0.01μm以上200μm以下が好ましい。膜厚が0.01μm(10nm)未満であるとキャリアの発生量が少ないため電気容量を大きくできない恐れがある。一方、200μmを越えて厚いと、キャリアの移動距離が長くなるため急速充放電特性が低下する恐れがある。
高抵抗層の抵抗値は4探針法で測定することができる。測定装置としては三菱ケミカルアナリティック製の抵抗率計(例えば、ハイレスタ-UX MCP-HT800、ロレスタ-GX MCP-T700 など)が挙げられる。珪素化合物粒子が分散しているため高抵抗層の抵抗値を直接測定することが困難なときは、高抵抗層と同条件で成膜した高抵抗層を測定する方法も有効である。このときは、ガラス基板上に成膜すると、高抵抗層の抵抗値を測定しやすくなる。
高抵抗層中に珪素化合物粒子が分散している。珪素化合物は高抵抗層よりも抵抗値が低い。そのため、キャリア(電子または正孔)の通り道にできる。
また、珪素化合物としては、Si、β−FeSi、BaSi、MgSi、MnSi1.7、SiGe、NiSiなどが挙げられる。特に、珪素化合物粒子がβ−FeSi、BaSi、MgSi、MnSi1.7、SiGe、NiSiから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。β−FeSi、BaSi、MgSi、NiSiは、高抵抗層(半導体または絶縁体)に比べて、バンドギャップが小さく量子井戸が形成しやすい。また、組成制御により、材料自体にも捕獲準位を導入することができるため好ましい。また、金属シリサイド粒子は、母材となる高抵抗層との区別を行い易い。これによりキャリアの通り道を制御し易くなる。
また、珪素化合物粒子の平均粒径は、珪素化合物粒子を含有する高抵抗層の厚さよりも小さいことが好ましい。また、珪素化合物は、平均粒径1nm以上100nm以下であることが好ましい。平均粒径が100nm以下であると、珪素化合物を微細分散できる。微細分散により、キャリアの通り道を制御できる。また、平均粒径が1nm未満の珪素化合物粒子を作製するは難しく、コストアップの要因となる。このため、珪素化合物の平均粒径は1nm以上100nm以下、さらには10nm以上60nm以下が好ましい。
また、珪素化合物粒子を含有する高抵抗層の任意の断面において、単位面積300nm×300nmあたり、珪素化合物粒子同士の最短距離が1nm以上10nm以下の範囲になっているものが個数割合で40%以上100%以下であることが好ましい。
珪素化合物を含有する高抵抗層の任意の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察する。倍率は100000倍以上とする。一つの視野で単位面積300nm×300nmが測定できないときは、複数回に分けて測定しても良いものとする。高抵抗層と珪素化合物粒子はコントラストの差で区別できる。
測定したTEM写真の中で珪素化合物粒子の最も長い対角線を最大径とする。個々の珪素化合物粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、個々の珪素化合物粒子同士の最短距離を測定し、最短距離が1nm以上10nm以下の範囲になっているものの個数割合を測定する。
珪素化合物粒子同士の最短距離が1nm以上10nm以下の範囲であるとトンネル効果が生じる。このトンネル効果により、キャリアの移動が発生する。トンネル効果とは、障壁を乗り越えてキャリアが移動する現象である。今回の場合、障壁は高抵抗層となる。高抵抗層中に珪素化合物を分散させることにより量子井戸が形成される。トンネル効果により量子井戸間をキャリアが移動可能とするために、珪素化合物粒子同士の最短距離を1nm以上10nm以下にすることが好ましい。また、量子井戸間のキャリア移動を行うことにより、急速充放電性が向上する。
最短距離が1nm未満であると珪素化合物粒子同士が凝集してしまいトンネル効果が得られない。10nmを超えて離れていてもトンネル効果が不十分となる。また、個数割合で40%未満であってもトンネル効果が不十分となる恐れがある。単位面積300nm×300nmの微小な領域における珪素化合物粒子同士の最短距離と個数割合を制御することにより、コンデンサー化を抑制し、電圧ドロップを抑制できる。
また、上記のような高抵抗層中に珪素化合物粒子を含有させた半導体層はn型半導体層およびp型半導体層の一方または両方に用いることができる。
また、上記のような高抵抗層中に珪素化合物粒子を含有させた半導体層をn型半導体層およびp型半導体層の一方に用いたとき、もう一方の半導体層には以下のような酸化物半導体層を用いることが好ましい。
n型半導体層は酸化物半導体または金属シリサイド半導体であり、該半導体はバンドギャップを100としたとき50以上90以下の範囲に準位が形成されていることが好ましい。図5にn型酸化物半導体層(または金属シリサイド半導体層)の準位位置の概念図を示した。図5中、Ecは伝導帯の底(伝導帯と禁止帯の境目)、Evは充満帯の頂上(禁止帯と充満帯の境目)である。EcとEvの幅(Ec―Ev)がバンドギャップとなる。バンドギャップの幅はEcを100、Evを0としてカウントする。バンドギャップの幅を100としたとき、準位の位置は50以上90以下の範囲にあることが好ましい。準位が90を超えた範囲にあると、n型酸化物半導体層(または金属シリサイド半導体層)の表面側に準位があることになる。n型半導体層のキャリアは電子となる。表面側に準位があると電子が第1の絶縁層近傍に直ぐに集まってしまうため、界面キャリア集中が生じてしまう。準位を50以上90以下の範囲にするということは、準位をやや深いところに設けていることになる。これにより、直ぐに界面キャリア集中が発生するのを防ぐことができる。これにより、電圧ドロップを抑制できる。また、準位の位置が50より小さいと準位が深すぎて電子の取出しが困難となる恐れがある。電子の取出しが困難となると、電池容量が低下する。
また、p型半導体層が酸化物半導体または金属シリサイド半導体であり、該半導体はバンドギャップを100としたとき10以上50以下の範囲に準位が形成されていることが好ましい。バンドギャップの幅はEcを100、Evを0としてカウントする。バンドギャップの幅を100としたとき、準位の位置は10以上50以下であることが好ましい。p型半導体層のキャリアは正孔(ホール)である。10未満の位置に準位があると、正孔が第1の絶縁層近傍に直ぐに集まってしまうため、界面キャリア集中が生じてしまう。準位を10以上50以下にするということは、準位をやや深いところに設けていることになる。これにより、直ぐに界面キャリア集中が発生するのを防ぐことができる。これにより、電圧ドロップを抑制できる。また、準位の位置が50より大きいと準位が深すぎて正孔の取出しが困難となる恐れがある。正孔の取出しが困難となると、電池容量が低下する。
また、酸化物半導体としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)、酸化タングステン(WO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化インジウム(In)、酸化カドミウム(CdO)、酸化モリブデン(MoO)などから選ばれる1種または2種以上が挙げられる。これら酸化物はキャリアの移動が可能であり、半導体としての性能を有している。
また、酸化物半導体の準位の位置を制御するためには酸素欠損を設けることが好ましい。酸素欠損は、不活性雰囲気又は還元性雰囲気で熱処理することにより設けられる。このとき、酸化物粒子の表面近傍のみに酸素欠損を設ける方法が有効である。酸化物粒子の表面の表面近傍のみに酸素欠損を設ける方法としては、電子線照射、紫外線照射、真空雰囲気でのアニール、還元雰囲気ガスによるアニール、成膜中の酸素分圧制御などが挙げられる。還元雰囲気ガスによるアニールはフォーミングガスを使うことが好ましい。また、酸化物半導体層を形成した後、酸化物半導体層の表面をレーザ処理する方法も挙げられる。また、レーザ処理する際の雰囲気を不活性雰囲気又は還元性雰囲気にすることが好ましい。不活性雰囲気としては窒素、アルゴンなどの不活性ガスが挙げられる。また、還元性雰囲気としては水素を含有した不活性ガスが挙げられる。また、水素を含有した不活性ガスとしては、水素含有アルゴン雰囲気が挙げられる。
従来の酸素欠損は原料となる酸化物粒子を予め熱処理して設けられていた。酸化物粒子に均一に酸素欠損を付与していた。均一に酸素欠損を設けると準位の位置は100に近いところになっていた。表面近傍のみに酸素欠損を設けることにより、準位の位置を制御することができる。
また、金属シリサイド半導体は、β−FeSi、BaSi、MgSi、MnSi1.7、SiGe、NiSiから選ばれる1種または2種以上が好ましい。これら金属シリサイドは、バンドギャップが小さく量子井戸が形成しやすい。また、組成制御により、材料自体にも捕獲準位を導入することができるため好ましい。
また、金属シリサイド半導体の準位位置を制御する方法としては、元素比やドープ元素を制御する方法が挙げられる。
元素比の制御は、金属シリサイドを構成する金属とシリコンの原子比によるものである。金属シリサイドをMSi、Mは金属、nは価数で表すと、BaSiはM=Ba、n=2となる。バリウムシリサイドは、BaSiが安定となる。
バリウムシリサイド層は、全体または部分的に組成ずれを有するように形成することが好ましい。BaSiではn=2が安定である。これをn=1.5〜2.5の範囲でn=2とならない部分を形成することが有効である。また、金属シリサイド層の組成ずれは、成膜工程の成膜レート(nm/sec)を変えることにより形成することができる。
また、ドープ元素の制御は、ドープ量を制御することにより、欠損量を制御することができる。また、不純物ドープは金属シリサイド層の全体であってもよし、部分的にドープする方法であっても良い。
また、金属シリサイドへの不純物ドープ量は、1018cm−3以上1022cm−3以下の範囲内が好ましい。また、ドープする不純物は、Ag、Al、Cu、Ga、In、Sbなど様々なものが挙げられる。また、Ag、Al、Cu、Gaから選ばれる1種または2種以上の不純物は金属シリサイドに捕獲準位を導入するために好適な元素である。InまたはSbは表面準位までしか導入できない恐れがある。
上記の酸化物半導体および金属シリサイド半導体の準位位置の制御方法はn型、p型のどちらにも有効である。
酸化物半導体または金属シリサイドの準位の位置の測定は、単膜から、準位の深さを求める測定手法とバンドギャップを求める測定手法を組み合わせることが有効である。ここで、準位深さとは、n型半導体であれば伝導帯下端と準位位置のエネルギー差、p型半導体であれば、価電子帯上端から準位位置のエネルギー差を意味する。単膜にオーミック電極を成膜し、抵抗率を測定する。
準位深さを求める測定手法には、抵抗率の温度依存性から活性化エネルギーを求める方法、深い準位過渡分光法(DLTS)を用いる方法が挙げられる。抵抗率の温度依存性から活性化エネルギーを求める方法では、測定温度T(ケルビン)における抵抗値を測定する。横軸を1/T、縦軸を抵抗値とし、グラフの傾きから活性化エネルギーを求める。ここで例えばn型半導体の場合、下記式をフィッティングすることで、準位の深さに相当する活性化エネルギーEaを求めることができる。p型半導体でも同様の方法で、準位深さを求めることができる。
ρ(T) :薄膜の抵抗率、
Nd :伝導帯のキャリア密度、No :最近接ホッピング伝導帯のキャリア密度、
μb :伝導帯のキャリア移動度、 μh :最近接ホッピング伝導帯のキャリア移動度、
Ea :準位と伝導帯下端のエネルギー差、q:電気素量、
ε :準位での近接キャリアトラップ間の電子の平均活性化エネルギー
また、深い準位の場合は、深い準位過渡分光法(DLTS)を用いることができる。この手法では、単膜にショットキー接合の金属電極を成膜し、ショットキーダイオードを作る必要がある。このダイオードに逆方向の電圧を印加して空乏層を広げ、印加した電圧を変化させた際の静電容量の応答をシグナルとして得ることで、準位深さを測定することができる。
バンドギャップ中の準位位置を特定するためには、上記の方法で準位深さを求める他に、バンドギャップ自体の測定を行う必要がある。バンドギャップの測定方法としては、分光光度計での吸光度の測定が挙げられる。単膜の透過スペクトルを測定し、横軸の波長をeVに、縦軸の透過率を√αhv(α:吸収係数、h:プランク定数、v:光速度)に変換したあと、吸収が立ち上がる部分に直線をフィッティングする。それがベースラインと交わるところのeV値がバンドギャップに相当する。また他の手法としてはPAS(光音響測定法)を用いる方法もある。
以上により求めたバンドギャップと準位深さを組合せて、準位位置を特定することができる。
また、電極5および電極6は、銅、アルミニウムなどの導電性のよい金属材料が好ましい。また、ITOなどの透明電極であってもよい。
また、図2に示したように、n型半導体層3と電極5の間に第2の絶縁層7、p型半導体層4と電極6との間に第3の絶縁層8を設けても良い。
第二の絶縁層7および第三の絶縁層8を設けると、それぞれトンネル効果を得ることが出来る。トンネル効果を得ることにより、高容量化を得ることができる。第二の絶縁層7がないと、n型半導体層3に蓄電されたキャリアが電極5に流れ易くなり電気が溜まり難い。同様に、第三の絶縁層8がないと、p型半導体層4に蓄電されたキャリアが電極5に流れ易くなり電気が溜まり難い。
また、第二の絶縁層7または第三の絶縁層8は膜厚30nm以下、比誘電率10以下であることが好ましい。膜厚が30nmを超えて厚いと抵抗体となってしまい電気が取り出し難くなる。同様に、比誘電率が10を超えて大きいと抵抗体となってしまう恐れがある。
このため、第二の絶縁層7または第三の絶縁層8は膜厚30nm以下、さらには10nm以下が好ましい。また、膜厚の下限値は特に限定されるものではないが3nm以上であることが好ましい。膜厚が3nm未満と薄いとトンネル効果が不十分となり、キャリアが消失し易くなる。また、比誘電率は10以下、さらには5以下が好ましい。また、比誘電率の下限値は特に限定されるものではないが2以上が好ましい。比誘電率が2未満ではトンネル効果が不十分となる恐れがある。
また、第二の絶縁層7または第三の絶縁層8の材質は、金属酸化物、金属窒化物、絶縁性樹脂から選ばれる1種または2種以上が好ましい。金属酸化物は、珪素、アルミニウム、タンタル、ニッケル、銅、鉄から選ばれる1種または2種以上の酸化物(複合酸化物含む)が好ましい。また、金属窒化物は、珪素、アルミニウムから選ばれる1種または2種以上の窒化物(複合窒化物含む)が好ましい。また、金属酸窒化物であってもよい。また、絶縁性樹脂であってもよい。
次に動作について説明する。動作については図3および図4を使って説明する。
図3にキャリア(電子または正孔)の動きの概略を示した。図3中、1は半導体固体電池、2は第1の絶縁層、3はn型半導体、4はp型半導体、5は電極(n型側電極)、6は電極(p型側電極)、7は第2の絶縁層、8は第3の絶縁層、9は電子、10は正孔、11は電源、である。また、図3は半導体固体電池のバンドの概念図であり、縦方向はエネルギー準位、横方向は距離を示す。
電源11から電気が流れると、n型半導体層3には電子9、p型半導体層4には正孔10が発生する。キャリアとなる電子9および正孔10が溜まる。キャリアを溜めることにより蓄電状態となる。第1の絶縁層2を設けることにより、蓄電後の電子・正孔の再結合が抑制される。再結合を抑制することにより、自己放電を抑制できるので高容量化することができる。高容量化できるとエネルギー密度を100Wh/kg以上、さらには200Wh/kg以上とすることができる。
図3において、半導体層(n型半導体層3およびp型半導体層4)の実線の上側はEc、実線の下側はEvを示す。また、電子9または正孔10が直線状に並んだ箇所(点線で表示)は準位を示す。
図4に量子井戸を用いたキャリア移動の概念図を示した。図4中、2は第1の絶縁層、3はn型半導体、4はp型半導体、9は電子、10は正孔、12は量子井戸、である。図4では、n型半導体およびp型半導体に珪素化合物を分散した高抵抗層を用いた例である。また、充電時(電圧印加)のときの概念図である。
半導体層の凹部は量子井戸12である。量子井戸12の箇所に珪素化合物粒子がある。また、凹部同士の距離が量子井戸12間の距離となる。この量子井戸12間の距離が珪素化合物粒子同士の最短距離となる。
n型半導体層3の量子井戸12には電子9が溜まる。p型半導体層4の量子井戸12には正孔10が溜まる。キャリアには、量子井戸12間をトンネル効果を使って移動するものが生じる。これにより、直ぐに取り出せるキャリアと遅れて出てくるキャリアに分かれる。遅れて出てくるキャリアを生じさせることができるので、キャリアの界面キャリア集中を抑制できる。
また、酸化物半導体および金属シリサイド半導体の準位の位置を制御することにより、同様の効果が得られる。
以上のような半導体固体電池では、初期の放電開始直後の電圧ドロップを0%以上40%以下にすることができる。さらにトンネル効果を用いた最適化を行うことにより、初期の放電開始直後の電圧ドロップを0%以上25%以下にすることができる。
初期の放電開始直後の電圧ドロップの測定方法では、約7.5×10−3mA/cmで充電し、約−7.5×10−4mA/cmで放電する。電池電圧が0V(ゼロV)になるまで放電する。このときの放電曲線を測定する。放電曲線は縦軸を電池電圧(V)、横軸を電池容量(mAh)とする。電池容量(mAh)が1×10−6mAh/cmを超えるまでの電池電圧(V)を測定する。初期の電池電圧をV(V)、電池容量(mAh)が1×10−6mAh/cmを超えるまでの電池電圧をV(V)とする。[(V−V)/V]×100(%)=電圧ドロップ(%)として求める。ここで電流密度や容量密度を定義する際の面積(cm)は正電極と負電極の平均面積とする。正電極はp型側電極6、負電極はn型側電極5となる。このため、n型側電極5(負電極)にマイナスの電圧、p型側電極6(正電極)にプラスの電圧を印加することになる。
以上のような半導体固体電池は、電圧ドロップを抑制している。コンデンサー化を抑制できているため、電池容量を維持することができる。また、半導体固体電池であるため、従来のLiイオン二次電池のように電解液を使用しないで済む。このため、液漏れの心配も無い。
次に製造方法について説明する。実施形態に係る半導体固体電池は上記構成を具備していれば、その製造方法は限定されるものではないが歩留り良く得るための方法として以下の方法が挙げられる。
ここでは、n型半導体層3から作製していく順番について説明する。p型半導体層4から作製していく場合は、順番が逆になる。
まず、基板上に電極5を成膜する。次に、必要に応じ、第2の絶縁層7を設ける。その後、n型半導体層3、第1の絶縁層2、p型半導体層4を形成する。また、必要に応じ、第3の絶縁層8を設ける。次に、電極6を設けるものとする。なお、基板としてはガラス基板が挙げられる。
電極5および電極6としては、銅、アルミニウム、透明電極(ITOなど)などが挙げられる。これらはスパッタリング法により成膜できる。
第1の絶縁層2、第2の絶縁層7および第3の絶縁層8は、金属酸化物、金属窒化物、絶縁性樹脂から選ばれる1種または2種以上が好ましい。金属酸化物は、珪素、アルミニウム、タンタル、ニッケル、銅、鉄から選ばれる1種または2種以上の酸化物(複合酸化物含む)が好ましい。また、金属窒化物は、珪素、アルミニウムから選ばれる1種または2種以上の窒化物(複合窒化物含む)が好ましい。また、金属酸窒化物であってもよい。また、絶縁性樹脂であってもよい。
また、金属酸化物膜または金属窒化物膜は、CVD法、スパッタ法、溶射法など様々な成膜方法を適用することができる。また、成膜雰囲気を酸素含有雰囲気にして酸化物膜にすることも有効である。同様に、成膜雰囲気を窒素含有雰囲気にして窒化物膜にしてもよい。また、必要に応じ、熱処理を加えても良いものとする。また、絶縁性樹脂を設ける場合は、塗布、乾燥により絶縁膜とするものとする。なお、金属酸化物膜または金属窒化物膜である方が絶縁層を薄くできるので好ましい。
n型半導体層3またはp型半導体層4に、珪素化合物粒子が分散した高抵抗層を形成する。
高抵抗層としてa−Si、珪素化合物としてβ−FeSiを使う場合を例に示す。SiターゲットとFeターゲットを用いて、共スパッタリング法を行う。SiターゲットとFeターゲットのスパッタレートを変えることにより、Si膜中のFeの分散量を制御することができる。共スパッタ工程によりFeが分散したSi膜を形成することができる。SiターゲットとFeターゲットは純度99.9%以上(3N以上)の高純度のものであることが好ましい。
次に、Feが分散したSi膜を熱処理して、Feをβ−FeSiに反応させる工程を行う。熱処理条件は400℃以上650℃以下が好ましい。400℃未満ではβ−FeSiへの反応が不十分である。また、650℃を超えて高いとβ−FeSi粒子が大きくなりすぎて平均粒径が1nm以上100nm以下の範囲を超える恐れがある。また、熱処理雰囲気は、不活性雰囲気または還元性雰囲気とする。不活性雰囲気はアルゴンが好ましい。また、還元性雰囲気はアルゴンと水素を混合した雰囲気であることが好ましい。熱処理雰囲気に、酸素や窒素が含まれているとSiと反応してしまう。このため、熱処理雰囲気は酸素及び窒素の含有量を低減したものであることが好ましい。このように金属シリサイドを構成する金属ターゲットを用いることにより、高抵抗層中に金属シリサイドを分散させることができる。金属シリサイドがBaSiであればBaターゲット、MgSiであればMgターゲット、MnSi1.7であればMnターゲット、SiGeであればGeターゲット、NiSiであればNiターゲットを用いるものとする。
また、n型とp型はドープする不純物元素を変えることにより、作り分けることができる。一般的にB、Al、Ga、Inなどの13族の元素のドーピングでは膜はp型となり、As、P、Sbなどの15族の元素のドーピングでは膜はn型となる。
上記のように、高抵抗材料と低抵抗材料を真空成膜法で同時成膜した後に熱処理する方法の他に、高抵抗材料と低抵抗材料を薄膜で積層した後、熱処理を行い、高抵抗材料中に、低抵抗材料の粒子を拡散させる方法も挙げられる。
また、別の方法としては、次のものが挙げられる。まず、微細な珪素化合物粒子を製造する。プラズマ処理であれば、平均粒径1nm以上100nm以下の金属シリサイド粒子を作製することができる。また、金属シリサイド粒子に不純物をドープすることによりn型、p型の作り分けが可能である。次に、高抵抗層となる材料と混合する。このとき、ウェット雰囲気で混合することが好ましい。混合後、塗布、焼成して珪素化合物が分散した高抵抗層とすることができる。このような方法は、高抵抗層としてSi以外のものを使うときに有効である。
次に、n型半導体層3またはp型半導体層4のいずれか一方に酸化物半導体を用いる場合について説明する。酸化物半導体としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化インジウム(In)、酸化カドミウム(CdO)、酸化モリブデン(MoO)から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。酸化物半導体は、スパッタリング法、CVD法、原子層堆積法(ADL)、熱酸化法(酸化雰囲気中での熱処理)などの成膜方法が挙げられる。酸化物膜を形成した後、酸素欠損を設ける工程を行う。酸素欠損を設ける工程は、電子線照射、紫外線照射、真空雰囲気でのアニール、還元雰囲気ガスによるアニール、成膜中の酸素分圧制御などが挙げられる。これにより、準位の位置を深くすることができる。
次に、n型半導体層3またはp型半導体層4のいずれか一方に金属シリサイド半導体層を用いる場合について説明する。金属シリサイド層を形成するには、金属シリサイドターゲットを用いる方法が挙げられる。また、金属ターゲットとSiターゲットを共蒸着または共スパッタする方法も挙げられる。
また、準位の位置を深くするには、金属とSiの原子比または不純物ドープ量の制御を行うことが好ましい。金属とSiの原子比の制御は、共蒸着(または共スパッタ)時のスパッタレートを変えることにより行うことができる。例えば、β−FeSiはFeとSiの原子比1:2が安定である。これをFe:Siを原子比で1:1.5〜2.5(≠2)となる領域を設けることにより、準位の位置を深くすることができる。また、不純物ドープ量を制御する方法も有効である。不純物ドープ量は、不純物元素を共蒸着(または共スパッタ)することにより制御できる。金属シリサイド半導体層の中心部分の不純物量を増やすことが有効である。
以上のような製造方法であれば、歩留り良く製造することができる。
(実施例)
(実施例1〜7、比較例1)
Siターゲット(純度99.9wt%以上)およびFeターゲット(純度99.9wt%以上)を用意した。
基板としてガラス基板を用意した。ガラス基板上にAl電極をスパッタリング法で成膜した。また、Al電極は厚さ200nmに統一した。
SiターゲットとFeターゲットを共スパッタすることにより、Feが分散したSi膜を形成した。次に、アルゴン雰囲気中、450℃〜600℃、で熱処理した。この熱処理工程により、Feをβ−FeSiに変えた。熱処理温度および時間を変えることにより、表1に示すような分散状態を変えたn型半導体層を作製した。また、不純物ドープによりn型、p型を作り分けた。
また、第1の絶縁層として窒化珪素(Si)膜を形成した。窒化珪素膜の膜厚は300nmに統一した。その後、n型半導体層と同様の工程により、p型半導体層を形成した。p型半導体層上にAl電極を設けた。この工程により、実施例1〜3に係る半導体固体電池を作製した。
n型半導体およびp型半導体のβ−FeSi粒子の平均粒径、単位面積300nm×300nmあたりのFeSi粒子同士の最短距離が1nm以上10nm以下の範囲にある個数割合を求めた。β−FeSi粒子の平均粒径は各半導体層の任意の断面において単位面積300nm×300nmをTEM観察した(倍率300000倍)。TEM写真に写るβ−FeSi粒子の最も長い対角線を粒径とする。単位面積300nm×300nmに写るβ−FeSiの粒径の平均値を平均粒径とした。また、同TEM写真を用いてFeSi粒子同士の最短距離が1nm以上10nm以下の範囲にある個数割合を求めた。その結果を表1に示す。
次に実施例2の半導体固体電池のn型半導体層を酸化物半導体層に変えたものを実施例4とした。酸化物半導体として、酸化チタン(TiO)を用いた。膜厚は300nm(0.3μm)にした。Tiターゲットを酸素雰囲気中で熱処理することにより、TiO膜とした。次に、TiO膜の表面をレーザ処理することにより、TiO半導体層表面にのみ酸素欠陥を設けた。酸素欠損は、表層から深さ50nmまでの欠損密度が6×1020cm−3であった。その結果を表2に示す。
また、実施例3の半導体固体電池のp型半導体層を金属シリサイド半導体層に変えたものを実施例5とした。金属シリサイドは、β−FeSiを用いた。FeターゲットとSiターゲットを用いた共蒸着により形成した。また、共蒸着はFe : Si = 1 : 2.25と蒸着レートを調整し、フォーミングガス中で、800℃、5分間の熱処理を行った。
また、実施例2のn型半導体層を酸化亜鉛(ZnO)中に結晶Si粒子を含有させたものに変えたものを実施例6とした。実施例6は高抵抗層が酸化亜鉛、珪素化合物粒子は結晶Siである。高抵抗層中の結晶Siの分散状態は表4に示した通りである。
また、実施例2のn型半導体層を酸化マグネシウム(MgO)中にBaSi粒子を含有させたものに変えたものを実施例7とした。実施例7は高抵抗層が酸化マグネシウム、珪素化合物粒子はBaSiである。高抵抗層中のBaSi粒子の分散状態は表5に示した通りである。
また、比較例1として、n型半導体層としてWO、p型半導体層としてBaSiを用いた以外は実施例1と同様のものを用意した。WO半導体層には酸素欠損を設けなかった。また、BaSi層は均一な組成のものを用いた。
次に、半導体層中の準位の位置を調べた。準位の位置は活性化エネルギーの測定と、PAS測定を組み合わせて行った。それにより、バンドギャップの幅(Ec−Ev)を100としたとき、準位がどの位置にあるのかを調べた。その結果を表6に示す。
実施例に係る半導体固体電池のn型半導体層は準位の位置が50以上90以下の範囲であった。同様に実施例に係る半導体固体電池のp型半導体層は準位の位置が10以上50以下の範囲であった。このように実施例にかかる半導体固体電池は準位が深いところに設けられていることが分かった。
それに対し、比較例のものは準位が浅いところ(表面近傍)にあった。
実施例および比較例に係る半導体固体電池の電圧ドロップを測定した。
初期の放電開始直後の電圧ドロップの測定方法では、約7.5×10−3mA/cmで充電し、約−7.5×10−4mA/cmで放電する。電池電圧が0V(ゼロV)になるまで放電する。このときの放電曲線を測定した。放電曲線は縦軸を電池電圧(V)、横軸を電池容量(mAh)とする。電池容量(mAh)が1×10−6mAh/cmを超えるまでの電池電圧(V)を測定した。初期の電池電圧をV(V)、電池容量(mAh)が1×10−6mAh/cmを超えるまでの電池電圧をV(V)とする。[(V−V)/V]×100(%)=電圧ドロップ(%)として求めた。電流密度や容量密度を定義する際の面積(cm)は正電極と負電極の平均面積とした。その結果を表7に示す。正電極はp型側電極、負電極はn型側電極となる。
表から分かる通り、実施例にかかる半導体固体電池は初期の放電開始電圧の電圧ドロップが抑制されていた。図7に実施例1の放電曲線を示した。図から分かる通り、電圧ドロップが抑制されると、放電開始直後から電池容量(mAh)を高くすることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1…半導体固体電池、2…第1の絶縁層、3…n型半導体層、4…p型半導体層、5…電極(n型側電極)、6…電極(p型側電極)、7…第2の絶縁層、8…第3の絶縁層、9…電子、10…正孔、11…電源、12…量子井戸。

Claims (7)

  1. n型半導体層とp型半導体層の間に第1の絶縁層を設けた構造を有し、n型半導体層またはp型半導体層のいずれか一方または両方が、高抵抗層中に珪素化合物粒子を含有した構造を有することを特徴とする半導体固体電池。
  2. 珪素化合物粒子がβ−FeSi、BaSi、MgSi、MnSi1.7、SiGe、NiSiから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の半導体固体電池。
  3. 珪素化合物粒子の平均粒径は、珪素化合物粒子を含有する高抵抗層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  4. 珪素化合物粒子を含有する高抵抗層の任意の断面において、単位面積300nm×300nmあたり、珪素化合物粒子同士の最短距離が1nm以上10nm以下の範囲になっているものが個数割合で40%以上100%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  5. n型半導体層は酸化物半導体または金属シリサイド半導体であり、該半導体はバンドギャップを100としたとき50以上90以下の範囲に準位が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  6. p型半導体層は酸化物半導体または金属シリサイド半導体であり、該半導体はバンドギャップを100としたとき10以上50以下の範囲に準位が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
  7. 初期の放電開始直後の電圧ドロップが0%以上40%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体固体電池。
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