JP2016125891A - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

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健太郎 鎌田
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健太郎 鎌田
知宏 若園
Tomohiro Wakazono
知宏 若園
将生 中川
Masao Nakagawa
将生 中川
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Abstract

【課題】特定ガスの検出精度の高いガスセンサ素子を提供すること、および、そのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサを提供すること。
【解決手段】ガスセンサ素子7では、ガスセンサ素子7を積層方向に見た場合に、検知電極119は、導入路101を囲むように設けられているので、NOxガスの検出精度が高い。また、このガスセンサ素子7では、導入路101と第2内側電極131とは、少なくとも一部が重なるように配置されているので、即ち、導入路101の直下に第2内側電極131に配置されているので、被測定ガスが第2内側電極131に接し易い。よって、NOxガスの検出精度が高い。しかも、このガスセンサ素子7では、基準電極121と第2対電極133とは、同じ基準酸素室123に配置されているので、この点からも、NOxガスの検出精度が高い。
【選択図】図5

Description

本発明は、測定対象ガス(被測定ガス)中に含まれる特定ガスを検出するためのガスセンサ素子およびガスセンサ素子を備えたガスセンサに関する。
従来、被測定ガス(例えば排気ガス等)に含まれる特定ガス(例えばNOx等)を検出するためのガスセンサ素子、およびそのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサが知られている。
このガスセンサ素子としては、板型の固体電解質体と、固体電解質体の外面に形成される一対の電極と、を有するセルを複数備えているものが知られている(特許文献1参照)。
例えば、NOxを検出するガスセンサ素子は、セルとして、第1内側電極及び第1対電極を備えた第1ポンプセル、検知電極及び基準電極を備えた酸素濃度検知セル、第2内側電極及び第2対電極を備えた第2ポンプセル(NOx検知セル)などを備えており、それらは、絶縁層等を介して積層されている。
また、第1ポンプセルと酸素濃度検知セルとの間に第1測定室を備えると共に、酸素濃度検知セルと第2ポンプセルとの間に第2測定室を備えており、第1測定室と第2測定室とは、導入路により連通されている。
さらに、酸素濃度検知セルの検知電極は、第1測定室内に配置されると共に、基準電極は、酸素濃度検知セルの固体電解質体と絶縁層との間に配置されている。また、第2ポンプセルの第2内側電極は、第2測定室に配置される共に、その第2対電極は、第2ポンプセルの固体電解質体を挟んで第2測定室と反対側(外側)に配置されている。
そして、第1ポンプセルは、第1測定室と外部との間で、被測定ガス(排気ガス等)における酸素の汲み入れおよび汲み出し(ポンピング)を行い、第1測定室内の被測定ガスの酸素濃度を調整する。酸素濃度検知セルは、第1ポンプセルによって調整された第1測定室内の被測定ガスの酸素濃度を検知する。また、第1測定室内にて酸素濃度が調整された被測定ガスは、第1測定室から第2測定室に導入される。第2ポンプセルでは、この酸素濃度が調整された第2測定室内の被測定ガスに含まれるNOxの濃度(NOx濃度)に応じた第2ポンピング電流が流れる。そして、この第2ポンピング電流に基づいて、被測定ガスにおけるNOx濃度を検出する。
特開2002−333429号公報
ところが、上述した従来技術では、酸素濃度検知セルの基準電極と第2ポンプセルの第2対電極とが異なる雰囲気(基準ガス)中に配置されているので、NOx濃度をより高い精度で検出しようとする場合には、十分ではない可能性がある。
つまり、酸素濃度検知セルにて第1測定室内の被測定ガスの酸素濃度を検出する場合に
は、検知電極と基準電極との間の起電力に基づいて酸素濃度を検出し、第2ポンプセルにて第2測定室内の被測定ガスのNOx濃度を検出する場合には、第2内側電極と第2対電極との間に流れる第2ポンピング電流に基づいてNOx濃度を検出するが、従来技術では、基準電極が接する雰囲気と第2対電極が接する雰囲気が異なっている。
そのため、例えば各雰囲気がそれぞれ変動したときなどには、異なる基準ガスに基づいて、それぞれ別個に酸素濃度の検出やNOx濃度の検出を行うことになるので、結果として、NOx濃度の検出精度が十分でない可能性がある。
そこで、本発明は、特定ガスの検出精度の高いガスセンサ素子を提供すること、および、そのようなガスセンサ素子を備えるガスセンサを提供することを目的とする。
(1)本発明の第1局面におけるガスセンサ素子は、三つ以上のセラミック層を積層してなり、第1測定室と、第2測定室と、導入路と、第1ポンプセルと、酸素濃度検知セルと、第2ポンプセルとを有する。
第1測定室は、三つ以上のセラミック層のうち、二つのセラミック層の層間に形成さており、外部から被測定ガスが導入される。
第2測定室は、第1測定室を形成する層間とは異なる二つのセラミック層の層間に形成されており、第1測定室と少なくとも一部がセラミック層の積層方向に重なり合う。
導入路は、第1測定室と第2測定室との間に配置されるセラミック層を積層方向に貫いており、第1測定室と第2測定室とを連通する。
第1ポンプセルは、第1測定室に隣接するセラミック層と、該セラミック層上に設けられ、第1測定室内に晒される第1内側電極と、第1内側電極と対をなす第1対電極とを備えている。この第1ポンプセルは、第1測定室内の被測定ガスに含まれる酸素をポンピングする。
酸素濃度検知セルは、第1ポンプセルより被測定ガスの導入方向下流側に配置されている。この酸素濃度検知セルは、第1測定室に隣接するセラミック層と、該セラミック層上に設けられ、第1測定室内に晒される検知電極と、検知電極と対をなす基準電極とを備えている。この酸素濃度検知セルは、被測定ガス中の酸素濃度を測定する。
第2ポンプセルは、酸素濃度検知セルより被測定ガスの導入方向下流側に配置されている。この第2ポンプセルは、第2測定室に隣接するセラミック層と、該セラミック層上に設けられ、第2測定室内に晒される第2内側電極と、第2内側電極と対をなす第2対電極とを備えている。この第2ポンプセルは、第2測定室内における被測定ガス中の特定ガス濃度に応じた電流(第2ポンピング電流)が流れる。
そして、第1局面のガスセンサ素子では、ガスセンサ素子を積層方向に見た場合に、検知電極は、少なくとも導入路よりも被測定ガスの導入方向上流側及び被測定ガスの導入方向下流側のセラミック層上に、導入部を囲むように設けられているので、特定ガスの検出精度が高いという効果がある。
つまり、導入路に導入される被測定ガスは、検知電極と接する位置(例えば導入路の開口部の周囲)などによって、第2測定室に導入される被測定ガス中に含まれる特定ガスの割合がばらつくことがある。それに対して、第1局面のガスセンサ素子では、酸素濃度検知セルの検知電極は、導入路を囲むように配置されているので、第2測定室に導入される被測定ガス中に含まれる特定ガスの割合のばらつきを抑制することができる。
なお、導入路を囲む範囲としては、導入路の外周をできる限り広い範囲で囲むようにセラミック層上に配置される方が望ましいが(例えば導入路の外周を全周にわたり囲むことがより好ましいが)、例えば被測定ガスの導入方向上流側(つまり第1ポンプセルが配置される側)及び被測定ガスの導入方向下流側を含むことが好ましい。
また、第1局面のガスセンサ素子では、ガスセンサ素子を積層方向に見た場合に、導入路と第2内側電極とは、少なくとも一部が重なるように配置されているので、即ち、導入路の直下に第2内側電極が配置されているので、被測定ガスが第2内側電極に接し易い。よって、特定ガスの検出精度が高いという効果がある。
なお、導入路に第2内側電極が全て重なっていてもよいし、導入路に第2内側電極の一部が重なっていてもよい。
さらに、第1局面のガスセンサ素子では、基準電極と第2対電極とは、基準ガスが導入される基準ガス導入部内に配置されているので、基準ガス雰囲気が共通となるため、特定ガスの検出精度が高いという効果がある。
特に、特定ガスの検出に用いられる第2内側電極と第2対電極との間に流れる第2ポンピング電流は、μAオーダーの微小な電流であることもあるので、わずかな基準ガスの変動による誤差でも、特定ガスの検出に与える影響は大きい。よって、上述した第1局面のガスセンサ素子の構成は、特定ガスの検出精度を高める上で重要である。
このように、第1局面のガスセンサ素子では、上述した構成を備えていることにより、特定ガスの検出精度が高いという顕著な効果を奏する。
ここで、「特定ガスの検出」とは、特定ガスの有無の検出又は特定ガスの濃度の検出を含むものである。
(2)第2局面のガスセンサ素子では、ガスセンサ素子を積層方向に見た場合に、基準電極は、少なくとも導入路よりも被測定ガスの導入方向上流側及び被測定ガスの導入方向下流側のセラミック層上に、導入路を囲むように設けられて、且つ、検知電極及び基準電極は、少なくとも一部が重なるように設けられ、さらに、基準ガス導入部は、第2測定室の周囲に設けられていてもよい。
これにより、ガスセンサ素子の各構成を、導入路の周囲に集約して設けることができるので、ガスセンサ素子をコンパクトに構成できるという効果がある。
また、ガスセンサ素子を積層方向に見た場合に、少なくとも導入路よりも被測定ガスの導入方向上流側及び被測定ガスの導入方向下流側のセラミック層上に、導入路を囲むように、検知電極及び基準電極が重なるように配置されているので、両電極を近接して配置でき、そのため、電極間の抵抗を少なくできる。また、基準ガス導入部は、第2測定室の周囲に配置されているので、第2測定電極と第2対電極を近接して配置でき、そのため、両電極間の抵抗を少なくできる。
なお、導入路を囲む範囲としては、導入路の外周をできる限り広い範囲で囲むようにセラミック層上に配置される方が望ましいが(例えば導入路の外周を全周にわたり囲むことがより好ましいが)、例えば被測定ガスの導入方向上流側(つまり第1ポンプセルが配置される側)及び被測定ガスの導入方向下流側を含むことが好ましい。
(3)第3局面のガスセンサは、被測定ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子を有するガスセンサであって、ガスセンサ素子として、第1局面または第2局面に記載のガスセンサ素子を備える。
このように、上述のいずれかのガスセンサ素子を備えるガスセンサは、特定ガスの検出精度が高いという効果がある。
本発明のガスセンサ素子およびガスセンサによれば、被測定ガス中の特定ガスの検出精度が高いという効果がある。
第1実施形態のNOxセンサを軸方向に沿って破断した状態を示す断面図である。 第1実施形態のガスセンサ素子の外観を示す斜視図である。 第1実施形態のガスセンサ素子を分解して示す斜視図である。 第1実施形態のガスセンサ素子の一部を示す平面図である。 第1実施形態のガスセンサ素子の導入路の近傍の構成を、Z軸方向に沿って破断し拡大して模式的に示す断面図である。 第1実施形態のガスセンサ素子における酸素濃度検知セル及び第2ポンプセルの各電極の配置を、Z軸方向に見たように重ね合わせて示す平面図である。 第1実施形態のガスセンサ素子をY軸方向に沿ってZ軸方向に破断し、その先端側における内部構造と制御部の構成とを模式的に示す説明図である。 第1実施形態のガスセンサ素子の成形体の製造方法に関する説明図である。 (a)第2実施形態のガスセンサ素子の導入路の近傍の構成を、Z軸方向に沿って破断し拡大して模式的に示す断面図、(b)はその酸素濃度検知セル及び第2ポンプセルの各電極の配置を、Z軸方向に見たように重ね合わせて示す平面図である。 (a)第3実施形態のガスセンサ素子の導入路の近傍の構成を、Z軸方向に沿って破断し拡大して模式的に示す断面図、(b)はその酸素濃度検知セル及び第2ポンプセルの各電極の配置を、Z軸方向に見たように、重ね合わせて示す平面図である。
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、以下に示す実施形態では、ガスセンサの一種であるNOxセンサを例に挙げる。具体的には、自動車や各種内燃機関における排気管に装着されるガスセンサであって、測定対象となる排気ガス中の特定ガス(窒素酸化物:NOx)を検出するガスセンサ素子(検出素子)が組み付けられて構成されるNOxセンサを例に挙げて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.NOxセンサの全体構成]
まず、第1実施形態のガスセンサ素子が使用されるNOxセンサの全体の構成について、図1に基づいて説明する。
図1に示す様に、第1実施形態におけるNOxセンサ1は、排気管に固定するためのネジ部3が外表面に形成された筒状の主体金具5と、軸線O方向(NOxセンサ1の長手方向:図1の上下方向)に延びる板状形状のガスセンサ素子7と、ガスセンサ素子7の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ9と、軸線O方向に貫通する貫通孔11の内壁面がガスセンサ素子7の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される第1セパレータ13と、ガスセンサ素子7とセパレータ13との間に配置される6個(図1には2個のみ図示)の接続端子15と、を主に備えている。
ガスセンサ素子7は、後に詳述する様に、長手方向に伸びる直方体形状(板型形状)に形成されており、その先端側に、被測定ガスに含まれる特定ガス(ここではNOx)を検
出する検知部17を備える。また、ガスセンサ素子7は、後端側(図1の上方:長手方向後端部)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1主面21および第2主面23に、電極パッド25,26,27,28,29,30(詳細は、図2、図3参照)が形成されている。
接続端子15は、ガスセンサ素子7の電極パッド25,26,27,28,29,30にそれぞれ電気的に接続されるとともに、外部からNOxセンサ1の内部に配設されるリード線35にも電気的に接続されている。これにより、リード線35が接続される外部機器と電極パッド25,26,27,28,29,30との間に流れる電流の電流経路が形成される。
主体金具5は、軸線O方向に貫通する貫通孔37を有し、貫通孔37の径方向内側に突出する棚部39を有する略筒状形状に構成されている。この主体金具5は、検知部17を貫通孔37の先端よりも先端側に配置し、電極パッド25,26,27,28,29,30を貫通孔37の後端よりも後端側に配置する状態で、貫通孔37に挿通されたガスセンサ素子7を保持するよう構成されている。
また、主体金具5の貫通孔37の内部には、ガスセンサ素子7の径方向周囲を取り囲む状態で、環状形状のセラミックホルダ41、滑石リング43,45、及び上述のセラミックスリーブ9が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。
このセラミックスリーブ9と主体金具5の後端部47との間には、加締パッキン49が配置され、一方、セラミックホルダ41と主体金具5の棚部39との間には、滑石リング43,45やセラミックホルダ41を保持するための金属ホルダ51が配置されている。なお、主体金具5の後端部47は、加締パッキン49を介して、セラミックスリーブ9を先端側に押し付けるように、加締められている。
更に、主体金具5の先端部53の外周には、ガスセンサ素子7の突出部分を覆う金属製(例えば、ステンレスなど)の二重構造とされたプロテクタ55が溶接等によって取り付けられている。
一方、主体金具5の後端側外周には、外筒57が固定されており、外筒57の後端側の開口部には、グロメット59が配置されている。このグロメット59には、各電極パッド25,26,27,28,29,30とそれぞれ電気的に接続される6本のリード線35(図1では2本が図示)が挿通されるリード線挿通孔61が形成されている。
なお、第1セパレータ13の外周には、鍔部63が形成されており、鍔部63は、保持部材65を介して外筒57に固定されている。また、第1セパレータ13の後端側には、第1セパレータ13とグロメット59に狭持される第2セパレータ67が配置されており、接続端子15の後端側が第2セパレータ67内に挿入されている。
[1−2.ガスセンサ素子の構成]
次に、ガスセンサ素子7の構成について、図2〜図6に基づいて説明する。
なお、図2において、長手方向がガスセンサの軸線O方向に沿う形態となる。また図2のZ軸方向は、長手方向に垂直な積層方向(以下平面視と称することもある)であり、X軸方向は、長手方向及び積層方向に垂直な幅方向である。また、図3、図4において、左方向がガスセンサ素子7の先端側であり、右方向がガスセンサ素子7の後端側である。
<ガスセンサ素子の全体構成>
図2に示す様に、ガスセンサ素子7は、長手方向(Y軸方向)に延びる長尺で、直方体
形状の板材である。
このガスセンサ素子7は、長手方向に伸びる板状の素子部71と、同じく長手方向に延びる板状のヒータ73とが、積層されて構成されている。また、ガスセンサ素子7は、その先端側に、被測定ガスに含まれる特定ガスを検出する検知部17を備える。
つまり、ガスセンサ素子7は、図3に示すように、積層方向(図3の上下方向)の一方の側(図3の上側)に配置されて、長手方向に伸びる板状の素子部71と、素子部71の反対側(裏側)に配置されて、同じく長手方向に延びる板状のヒータ73とを備える。
このうち、素子部71は、後述するように、第1ポンプセル75と、酸素濃度検知セル77と、第2ポンプセル79とを備える。
<素子部及びヒータの構成>
素子部71は、第1絶縁層81、第1セラミック層83、第2絶縁層85、第2セラミック層87、第3絶縁層89、第3セラミック層91を、この順に積層した構造を有する。また、ヒータ73は、第4絶縁層93、第5絶縁層95をこの順に積層した構造を有する。
また、第1〜第3セラミック層83,87,91は、ガスセンサ素子7の長手方向に延びる板状である。
第1セラミック層83と第2セラミック層87との間には、第1測定室97が形成されている。第1測定室97の先端側領域は、2つの拡散抵抗体99を介して外部に繋がっており、拡散抵抗体99を介して外部から外気である被測定ガス(排気ガス)がガスセンサ素子7の内部に導入される。第1測定室97は、その後端側領域において、第2セラミック層87に形成される導入路101を介して、第3絶縁層89に形成される第2測定室103に繋がっている。
なお、導入路101の形状は、積層方向に見て(即ち積層方向と同じ方向で見た場合(平面視で))例えば円形である。つまり、導入路101は、円柱状の空間として形成されている。
第4、第5絶縁層93,95の間には、タングステン等の導体によって形成された発熱抵抗体105が備えられている。発熱抵抗体105は、ヒータ73の一部として備えられている。
ヒータ73は、外部から供給された電力によって発熱抵抗体105が発熱することで、ガスセンサ素子7(特に、素子部71)を所定の活性温度に昇温し、固体電解質体の酸素イオンの伝導性を高めて動作を安定化させるために用いられる。
なお、前記第1〜第3セラミック層83、87、91は、それぞれ、酸素イオン伝導性を有する固体電解質である例えばジルコニアを主成分に用いて形成されている。また、第1〜第5絶縁層81、85、89、93、95は、電気絶縁材料である例えばアルミナを主成分に用いて形成されており、気体等の流体の透過(流通)を防止できる程度に密に形成されている。拡散抵抗体99は、アルミナ等の多孔質物質を用いて形成され、気体の流通が可能になっている。
ここで、主成分とは「セラミック層中の主材料の含有量が50wt%以上であること」を指し、例えば、第1〜第3セラミック層83、87、91は、ジルコニアが50wt%以上含有されている。
<各セルの構成>
図3及び図4に示すように、素子部71は、第1ポンプセル75と、酸素濃度検知セル77と、第2ポンプセル79とを有している。
第1ポンプセル75は、固体電解質体からなる第1セラミック層83と、これを挟持するように配置された一対の矩形状の電極、即ち第1内側電極111及び第1対電極113とを備えている。第1内側電極111は、第1測定室97に面している。
第1対電極113は、第1絶縁層81のうちの第1対電極113と対向する部分(開口部115)に埋め込まれた多孔質部117(例えば、アルミナ)により覆われている。多孔質部117は、ガス(例えば、酸素)が通過可能に構成されている。
酸素濃度検知セル77は、固体電解質体からなる第2セラミック層87と、これを挟持するように配置された円環状の一対の電極、即ち検知電極119及び基準電極121とを備えている。また、第2セラミック層87には、検知電極119及び基準電極121の中心(平面視)に、第2セラミック層87を厚み方向に貫通する導入路101が設けられている。なお、導入路101は、平面視で円形である。
第3絶縁層89のうち、基準電極121に接する部分には、第3絶縁層89の厚さ方向に貫通する空間部分としての基準酸素室123が形成されている。この基準酸素室123内には、第3セラミック層91側に多孔質部125(図7参照)が配置され、第2セラミック層87側は空間となっている。なお、基準酸素室123は、平面視で例えば1箇所が欠けた円環状(即ちC字状)に形成されている。
また、第3絶縁層89のうち、基準酸素室123の中央(平面視)には、第3絶縁層89の厚さ方向に貫通する空間部分としての第2測定室103が形成されている。なお、第2測定室103は、平面視で円形である。
なお、円環状の基準酸素室123と円形の第2測定室103とは、環状隔壁127を介して同心状に形成されており、環状隔壁127は、基準酸素室123を横断するようにして設けられた直線状隔壁129により、基準酸素室123の外周側と接続されている(図4(d)参照)。
前記酸素濃度検知セル77については、予め定められた微弱な一定値の電流を流すことにより、酸素が酸素濃度検知セル77を介して第1測定室97から基準酸素室123に送り込まれる。そして、基準酸素室123の酸素濃度は、所定の濃度に維持される。これにより、基準酸素室123は、酸素濃度の基準として利用される。
第2ポンプセル79は、固体電解質からなる第3セラミック層91と、第3セラミック層91のうち、第2測定室103に面した表面に配置された第2内側電極131と、基準酸素室123に面した表面に配置された第2対電極133とを備えている。
このうち、第2内側電極131は、平面視で円形であり、導入路101と重なる位置(即ち導入路101の直下に:図5参照)配置されている。また、第2対電極133は、第2内側電極131の外周側を囲むように配置された、一部が欠けた円環状(即ちC字状:図4(e)参照)であり、第2対電極133の表面は、前記多孔質部125により覆われている(図7参照)。
また、第1絶縁層81の後端側外表面には、3つの電極パッド25,26,27が形成されており、第5絶縁層95の後端側外表面にも、3つの電極パッド28,29,30が
形成されている。
なお、前記各電極111,113,119,121,131,133及び電極パッド25,26,27,28,29,30は、いずれも白金を主成分として形成されている。また、各電極111,113,119,121,131,133は、電極反応を良好に維持するために、気体を内部に流通可能な程度の多孔質状に形成されている。すなわち、被測定ガスの気体(酸素やNOx等の気相)と電極(触媒相)と固体電解質(酸素イオン伝導相)とが接する三相界面を良好に形成する程度の多孔質状に形成されている。
また、図3に示すように、各電極111,113,119,121,131,133および発熱抵抗体105は、配線ユニットL1,L2,L3,L4,L5,L6によって、対応する電極パッド25,26,27,28,29,30と電気的に接続されている。
詳細には、第1電極パッド25は、第1配線ユニットL1によって第1対電極113と電気的に接続される。第2電極パッド26は、第2配線ユニットL2によって基準電極121と電気的に接続される。第3電極パッド27は、第3配線ユニットL3によって第1内側電極111、検知電極119、第2内側電極131に電気的に接続される。第4電極パッド30は、第4配線ユニットL4によって第2対電極133に電気的に接続される。
第1ヒータ用電極パッド28は、第1ヒータ用配線ユニットL5によって発熱抵抗体105に電気的に接続される。第2ヒータ用電極パッド29は、第2ヒータ用配線ユニットL6によって発熱抵抗体105に電気的に接続される。
そして、前記各配線ユニットL1,L2,L3,L4,L5,L6のうち、第1配線ユニットL1は、第1リード部L1aと第1スルーホール導体部L1bとを有する。第1スルーホール導体部L1bは、貫通孔H1によって形成される。第1スルーホール導体部L1bは、貫通孔H1の内表面に導体を形成することで作成される(なお、他のスルーホール導体部の導体の形成も同様である)。
第2配線ユニットL2は、第2リード部L2aと、第2スルーホール導体部L2bとを有する。第2スルーホール導体部L2bは、各貫通孔H2,H3,H4,H5によって形成される。
第3配線ユニットL3は、第3aリード部L3aと、第3bリード部L3bと、第3cリード部L3cと、第3スルーホール導体部L3dとを有する。第3スルーホール導体部L3dは、各貫通孔H6,H7,H8,H9,H10によって形成される。
上記のように、第1内側電極111、検知電極119、第2内側電極131は、共通の第3電極パッド27に電気的に接続されている。
第4配線ユニットL4は、第4リード部L4aと、第4スルーホール導体部L4bとを有する。第4スルーホール導体部L4bは、各貫通孔H11,H12,H13によって形成される。
第1ヒータ用配線ユニットL5は、第1ヒータ用リード部L5aと、第1ヒータ用スルーホール導体部L5bとを有する。第1ヒータ用スルーホール導体部L5bは、貫通孔H14によって形成される。
第2ヒータ用配線ユニットL6は、第2ヒータ用リード部L6aと、第2ヒータ用スルーホール導体部L6bとを有する。第2ヒータ用スルーホール導体部L6bは、貫通孔H15によって形成される。
なお、各配線ユニットL1〜L6は、白金を主成分とし、セラミック(例えばアルミナ)を含む材料から構成されている。
<導入路の周囲の構成>
次に、第1実施形態の要部である導入路101の周囲における各電極119、121、131、133等の配置について、図5及び図6に基づいて、詳細に説明する。
図5及び図6に示すように、第2セラミック層87の上面には、平面視で、導入路101を囲むように、円環状の検知電極119が配置されており、第2セラミック層87の下面には、導入路101を囲むように、円環状の基準電極121が配置されている。なお、導入路101と検知電極119と基準電極121とは、同心状に配置されている。
ここでは、検知電極119の幅は、基準電極121の幅より大きいので、平面視で、基準電極121は検知電極119の範囲内にて、重なるように配置されている。つまり、基準電極121は検知電極119の投影領域内に配置され、所定の円環状の対向領域R1(即ち基準電極121と一致する領域)にて重なっている。
また、第3絶縁層89には、導入路101の直下(図5の下方)に、平面視で、円形の第2測定室103が設けられており、その外周側には、基準酸素室123がC字状(図4(d)参照)に設けられている。
更に、第3セラミック層91の上面には、導入路101の直下に、平面視で、円形の第2内側電極131が、第2測定室103内に配置されると共に、第2内側電極131の外周側には、C字状の第2対電極133が、基準酸素室123内に配置されている。
このように、第1実施形態では、平面視で、検知電極119は、導入路101の周囲の第2セラミック層87上に、導入路101を完全に囲むように円環状に設けられており、しかも、導入路101と第2内側電極131とは、少なくとも一部が重なるように配置されている。また、基準電極121と第2対電極133とは、基準酸素室123内に配置されている。
更に、基準電極121は、導入路101の周囲の第2セラミック層87上に、導入路101を完全に囲むように円環状に設けられており、しかも、検知電極119と基準電極121とは、少なくとも一部が重なるように設けられている。さらに、基準酸素室123は、第2測定室103の周囲を囲むようにC字状に設けられている。
[1−3.ガスセンサ制御装置の構成]
次に、ガスセンサ1の動作を制御するガスセンサ制御装置について、図7に基づいて簡単に説明する。
図7に示すように、ガスセンサ制御装置141は、上述したガスセンサ素子7と、ガスセンサ素子7の動作を制御する制御部143とを備えている。
制御部143は、マイクロコンピュータ145、電気回路部147等を有している。
マイクロコンピュータ145は、各種演算を実行するCPU149と、演算結果等が記憶されるRAM151と、CPU149が実行するプログラム等を記憶するROM153とを備えている。また、A/Dコンバータ155と、そのA/Dコンバータ155を介して電気回路部147と接続されると共に、電子制御装置(以下、ECUと記載する)157と通信するための信号入出力部159と、図示しないタイマクロック等を備えている。
電気回路部147は、基準電圧比較回路161、Ip1ドライブ回路163、Vs検出回路165、Icp供給回路167、Rpvs検出回路169、Ip2検出回路171、Vp2印加回路173、ヒータ駆動回路175から構成され、マイクロコンピュータ145による制御を受けて、ガスセンサ素子7を用いて排気ガス中のNOx濃度の検出を行う。
尚、第1ポンプセル75の第1測定室97側の第1内側電極111、酸素濃度検知セル77の第1測定室97側の検知電極119、第2ポンプセル79の第2測定室103側の第2内側電極131は、基準電位に接続されている。
Icp供給回路167は、酸素濃度検知セル77の検知電極119と基準電極121との間に電流Icpを供給し、第1測定室97内から基準酸素室123内への酸素の汲み出しを行う。
Vs検出回路165は、検知電極119と基準電極121との間の電圧Vsを検出するための回路であり、その検出結果を基準電圧比較回路161に対し出力している。
基準電圧比較回路161は、Vs検出回路165により検出された検知電極119と基準電極121との間の電圧Vsを、基準となる基準電圧(例えば425mV)と比較するための回路であり、その比較結果をIp1ドライブ回路163に対し出力している。
Ip1ドライブ回路163は、第1ポンプセル75の第1内側電極111と第1対電極113との間に電流Ip1を供給するための回路である。電流Ip1の大きさや向きは、基準電圧比較回路161による検知電極119と基準電極121との間の電圧の比較結果に基づいて、検知電極119と基準電極121との間の電圧が予め設定された基準電圧と略一致するように調整されている。
その結果、第1ポンプセル75により、第1測定室97内からガスセンサ素子7外部への酸素の汲み出し、或いはガスセンサ素子7外部から第1測定室97内への酸素の汲み入れが行われる。換言すると、第1ポンプセル75は、検知電極119と基準電極121との間の電圧が一定値(基準電圧の値)に保たれるように、第1測定室97内における酸素濃度の調整を行っている。
また、Vp2印加回路173は、第2ポンプセル79の第2内側電極131と第2対電極133との間へ電圧Vp2(例えば450mV)を印加するための回路であり、これにより、第2測定室103内から基準酸素室123への酸素の汲み出しが行われる。
Ip2検出回路171は、第2内側電極131から第2対電極133に流れた電流Ip2の値の検出を行う回路である。
Rpvs検出回路169は、前記酸素濃度検知セル77の検知電極119と基準電極121と間に瞬間的に電流Irを供給し、供給された電流Irによって発生した検知電極119と基準電極121と間の電圧Vrを検出する。この検出された電圧Vrはマイクロコンピュータ145に出力される。
なお、マイクロコンピュータでは、前記電流Irと電圧Vrとに基づいて、酸素濃度検知セル77の内部抵抗Rpvs(パルス抵抗)を算出する。この内部抵抗Rpvsは、酸素濃度検知セル77の温度と対応しているので、周知のように、内部抵抗Rpvsから、酸素濃度検知セル77の温度を求めることができる。
ヒータ駆動回路175は、CPU149により制御され、ヒータ73の発熱抵抗体105へ電圧を印加し、第1ポンプセル75、酸素濃度検知セル77、第2ポンプセル79(
即ち各セル75、77、79の固体電解質)の加熱を行うと共に、それらの固体電解質の温度を所定の温度に保たせるための回路である。
[1−4.ガスセンサ素子の動作]
次に、ガスセンサ素子7の動作の一例について説明する。
まず、エンジンの始動によって制御部143が起動すると、制御部143は、ヒータ73に電力を供給する。ヒータ73は、第1ポンプセル75、酸素濃度検知セル77、第2ポンプセル79を活性化温度まで加熱する。
ここで、ヒータ73の制御について説明する。
上述したように、マイクロコンピュータ149では、酸素濃度検知セル77の内部抵抗Rpvsから求めた酸素濃度検知セル77の温度に基づいて、ヒータ駆動回路175の動作を制御して、第1ポンプセル75、酸素濃度検知セル77、第2ポンプセル79の加熱を行って、各セル75、77、79の温度を所定の温度に制御する。
つまり、ヒータ駆動回路175では、各セル75、77、79の固体電解質(本第1実施形態では、具体的に酸素濃度検知セル77の固体電解質)が狙いとする温度になるように、発熱抵抗体105をPWM通電制御して当該発熱抵抗体105に電圧を印加する制御を行う。
そして、上述したヒータ73の制御によって、各セル75、77、79が活性化温度まで加熱されると、制御部143は、第1ポンプセル75に電流(第1ポンピング電流Ip1)を流す。これにより、第1ポンプセル75は、固体電解質を介して第1内側電極111と第1対電極113との間で酸素を移動させることで、第1測定室97に流入した被測定ガス(排気ガス)における酸素の汲み入れおよび汲み出しを行う。
制御部143は、酸素濃度検知セル77の電極間電圧(端子間電圧)が一定電圧V1(例えば425mV)になるように、第1ポンプセル75に通電する第1ポンピング電流Ip1を制御する。酸素濃度検知セル77の電圧は、基準酸素室123の酸素濃度を基準として、検知電極119における酸素濃度に応じた値となる。この制御によって、第1測定室97の内部の酸素濃度は、NOxが分解しない程度に調整される。
第1測定室97にて酸素濃度が調整された被測定ガスは、酸素濃度検知セル77の導入路101を介して、第2測定室103に向かってさらに流れる。
制御部143は、第2ポンプセル79に電極間電圧(端子間電圧)を印加する。この電圧は、被測定ガス中のNOxガスが酸素と窒素ガスに分解する程度の一定電圧に設定されている(酸素濃度検知セル77の制御電圧の値より高い電圧、例えば450mV)。これにより、被測定ガス中のNOxが、窒素と酸素に分解される。
制御部143は、NOxの分解により生じた酸素を第2測定室103から汲み出すように、第2ポンプセル79に電流(第2ポンピング電流Ip2)が流れる。第2ポンピング電流Ip2とNOx濃度の間には比例関係があるので、第2ポンピング電流Ip2の電流値を検出することによって被測定ガス中のNOx濃度を検出することができる。
なお、ガスセンサ素子7は、接続端子15およびリード線35を介して、外部機器(EUC157)に接続される。制御部143は、ヒータ73に発熱用の電力を供給するとともに、素子部71の各セル(第1ポンプセル75,酸素濃度検知セル77,第2ポンプセル79)との間で信号を送受信することによって、ガスセンサ素子7を制御する。
[1−5.ガスセンサの製造方法]
次に、本実施形態のNOxセンサ1の製造方法について、前記図3及び図8を用いて簡単に説明する。
ガスセンサ素子7を製造する場合、まず、公知のガスセンサ素子7の材料を作製する。
具体的には、素子部71の各セル75、77、79の固体電解質体となる未焼成固体電解質シート、素子部71の第1絶縁層81となる未焼成絶縁シート、素子部71の第2、第3絶縁層85、89となる未焼成絶縁部(スクリーン印刷により形成される未焼成絶縁部)の材料、ヒータ73の第4、第5絶縁層93、95となる未焼成絶縁シートなどを作製する。
これらのうち、例えば、未焼成固体電解質シートを形成する場合、まず、ジルコニアを主体とするセラミック粉末に対して、アルミナ粉末やブチラール樹脂などを加えて、さらに混合溶媒(トルエン及びメチルエチルケトン)を混合して、スラリーを生成する。そして、このスラリーをドクターブレード法によりシート状とし、混合溶媒を揮発させることで未焼成固体電解質シートが作製される。
また、未焼成絶縁シートを形成する場合、まず、アルミナを主体とするセラミック粉末に対して、ブチラール樹脂とジブチルフタレートとを加えて、更に混合溶媒(トルエン及びメチルエチルケトン)を混合して、スラリーを生成する。そして、このスラリーをドクターブレード法によりシート状とし、混合溶媒を揮発させることで未焼成絶縁シートが作製される。なお、未焼成絶縁部の材料として、未焼成絶縁シートを形成する材料と同様なスラリーを作製する。
さらに、焼成後に、拡散抵抗体99、多孔質部117、多孔質部125になる未焼成の多孔質部を形成する場合、まず、アルミナ粉末100質量%、加熱焼失材(例えば、カーボンなど)及び可塑剤を湿式混合により分散した多孔質用のスラリーを生成する。可塑剤はブチラール樹脂及びDBPを有する。
そして、これらのシートや材料を用いて、従来と同様に、例えば下記の手順で、焼成後にガスセンサ素子7となる未圧着積層体を作製する。
例えば、図3の下側の層から順に積層する場合には、まず、第5絶縁層95となる未焼成絶縁シートを配置し、その上面に、発熱抵抗体105となる白金ペーストをスクリーン印刷してヒータパターンを形成する。
次に、第5絶縁層95となる未焼成絶縁シートの上面に、ヒータパターンを覆うように、第4絶縁層93となる未焼成絶縁シートを積層する。
次に、第4絶縁層93となる未焼成絶縁シートの上面に、第3セラミック層91となる未焼成固体電解質シートを積層する。
次に、第3セラミック層91となる未焼成固体電解質シートの上面に、白金のメタライズインクを用いたスクリーン印刷によって、第2内側電極131及び第2対電極133となる電極パターンを形成する。また、白金にアルミナを加えたペーストを用いたスクリーン印刷によって、第3cリード部L3c及び第4リード部L4aとなるリードパターンを形成する。
次に、第3セラミック層91となる未焼成固体電解質シートの上面に、未焼成絶縁部のスラリーを用いてスクリーン印刷して、第3絶縁層89となる未焼成絶縁部を形成する。この未焼成絶縁部の基準酸素室123内には、多孔質部125となる多孔質用のスラリーを充填し、その上に、カーボンペーストを充填する。
次に、第3絶縁層89となる未焼成絶縁部の上面に、第2セラミック層87となる未焼成固体電解質シートを積層する。この未焼成固体電解質シートには、予め、導入路101となる貫通孔を開けておく。また、未焼成固体電解質シートの上面及び下面に、予め、基準電極121及び検知電極119となる電極パターンを前記と同様に形成し、第2リード部L2a及び第3bリード部L3bとなるリードパターンを前記と同様に形成する。
次に、第2セラミック層87となる未焼成固体電解質シートの上面に、未焼成絶縁部のスラリーを用いてスクリーン印刷して、第2絶縁層85となる未焼成絶縁部を形成する。
なお、この未焼成絶縁部のうち、拡散抵抗体99となる開口には、前記多孔質用のスラリーをスクリーン印刷する。また、第1測定室97となる開口には、カーボンペーストをスクリーン印刷する。
次に、第2絶縁層85となる未焼成絶縁部の上面に、第1セラミック層83となる未焼成固体電解質シートを積層する。この未焼成固体電解質シートの上面及び下面に、予め、第1内側電極111及び第1対電極113となる電極パターンを前記と同様に形成し、第1リード部L1a及び第3aリード部L3aとなるリードパターンを前記と同様に形成する。
次に、第1セラミック層83となる未焼成固体電解質シートの上面に、第1絶縁層81となる未焼成絶縁シートを積層する。この未焼成絶縁シートには、予め、開口部115となる貫通孔を空けおく。そして、この貫通孔に、多孔質部117となる多孔質用のスラリーをスクリーン印刷する。
このようにして未圧着積層体が形成される。なお、この未圧着積層体には、電極パッド25,26,27,28,29,30となる未焼成電極パッドなどが形成されている。
そして、この未圧着積層体を1MPaで加圧することにより、図6に示す様な圧着された成形体181を得る。なお、加圧前の未圧着積層体を得るまでの製造方法については、公知のガスセンサ素子(NOxセンサ素子)の製造方法と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、加圧により得られた成形体181を、所定の大きさで切断することにより、ガスセンサ素子7と大きさが同等の複数(例えば10個)の未焼成積層体を得る。
その後、この未焼成積層体を樹脂抜きし、さらに焼成温度1500℃にて、1時間で本焼成して、図2に示す様なガスセンサ素子7を得る。
このようにしてガスセンサ素子7を得た後、ガスセンサ素子7を主体金具5に組み付ける組付工程を行う。
即ち、この工程では、上記製造方法で作製されたガスセンサ素子7を金属ホルダ51に挿入し、さらにガスセンサ素子7をセラミックホルダ41、滑石リング43で固定し、組み立て体を作製する。その後、この組み立て体を主体金具5に固定し、ガスセンサ素子7の軸線O方向後端部側を滑石リング45、セラミックスリーブ9に挿通させつつ、これらを主体金具5に挿入する。
そして、主体金具5の後端部47にてセラミックスリーブ9を加締め、下部組立体を作製する。なお、下部組立体には、あらかじめプロテクタ55が取付けられている。
一方、外筒57、セパレータ13、グロメット61などを組みつけ、上部組立体を作製する。そして、下部組立体と上部組立体とを接合し、NOxセンサ1を得る。
[1−6.効果]
(1)第1実施形態のガスセンサ素子7では、ガスセンサ素子7を積層方向に見た場合
に、検知電極119は、導入路101を囲むように設けられているので、NOxガスの検出精度が高いという効果がある。
つまり、導入路101に導入される被測定ガスは、検知電極119と接する位置などによって、第2測定室103に導入される被測定ガス中に含まれるNOxガスの割合がばらつくことがあるが、第1実施形態のガスセンサ素子7では、検知電極119は、導入路101の周囲に配置されているので、第2測定室103に導入される被測定ガス中に含まれるNOxガスの割合のばらつきによる影響を抑制することができる。
また、このガスセンサ素子7では、ガスセンサ素子7を積層方向に見た場合に、導入路101と第2内側電極131とは、少なくとも一部が重なるように配置されているので、即ち、導入路101の直下に第2内側電極131に配置されているので、被測定ガスが第2内側電極131に接し易い。よって、NOxガスの検出精度が高いという効果がある。
さらに、このガスセンサ素子7では、基準電極121と第2対電極133とは、同じ基準酸素室123に配置されているので、この点からも、NOxガスの検出精度が高いという効果がある。つまり、基準電極121と第2対電極133とは、同じ基準ガスが導入される基準酸素室123内に配置されているので、NOxガスを精度良く検出できる。
(2)また、第1実施形態のガスセンサ素子7では、ガスセンサ素子7を積層方向に見た場合に、基準電極121は、導入路101の周囲に設けられ、且つ、検知電極119及び基準電極121は、少なくとも一部が重なるように設けられ、さらに、基準酸素室123は、第2測定室103の周囲に設けられている。
これにより、ガスセンサ素子7の各構成を、導入路101に周囲に集約して設けることができるので、ガスセンサ素子7をコンパクトに構成できるという効果がある。
また、この構成により、検知電極119と基準電極121とを近接して配置できると供に、第2測定電極131と第2対電極133とを近接して配置できる。よって、NOxガスの検出精度が高いという利点がある。
[1−7.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
NOxセンサ1、ガスセンサ素子7、第1ポンプセル75、酸素濃度検知セル77、第2ポンプセル79が、それぞれ、ガスセンサ、ガスセンサ素子、第1ポンプセル、酸素濃度検知セル、第2ポンプセルの一例に相当する。

また、第1測定室97、導入路101、第2測定室103が、それぞれ、第1測定室、導入路、第2測定室の一例に相当する。
また、セラミック層83,87,91がセラミック層の一例に相当し、第1内側電極111、第1対電極113、検知電極119、基準電極121、基準酸素室123、第2内側電極131、第2対電極133が、それぞれ、第1内側電極、第1対電極、検知電極、基準電極、基準ガス導入部、第2内側電極、第2対電極の一例に相当する。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態のガスセンサ素子について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。なお、第1実施形態と同様な構成の番号については、第1実施形態と同様な番号を使用する。
第2実施形態のガスセンサ素子では、図9(a)に示すように、第1実施形態と同様に
、上側(図9(a)の上側)より、酸素濃度検知セル77の第2セラミック層87、第3絶縁層89、第2ポンプセル79の第3セラミック層91などが配置されている。
また、第2セラミック層87の上面に、円環状の検知電極119が配置され、第2セラミック層87の下面に、同心状に円環状の基準電極121が配置されている。さらに、第3セラミック層91の上面に、円形の第2内側電極131及びC字状の第2対電極133が配置されている。
なお、第2内側電極131は第2測定室103内に配置され、基準電極121及び第2対電極133は基準酸素室123内に配置されている。
第2実施形態においては、平面視で、基準電極121と検知電極119とは重なっているが、第2対電極133は、基準電極121又は検知電極119とは重なっていない。
つまり、第2対電極133の内径は、基準電極121及び検知電極119の外径より大きいので、第2対電極133と、基準電極121又は検知電極119とは、平面視で、離れて配置されている。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態のガスセンサ素子について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。なお、第1実施形態と同様な構成の番号については、第1実施形態と同様な番号を使用する。
第3実施形態のガスセンサ素子では、図10(a)に示すように、第1実施形態と同様に、上側(図10(a)の上側)より、酸素濃度検知セル77の第2セラミック層87、第3絶縁層89、第2ポンプセル79の第3セラミック層91などが配置されている。
また、第2セラミック層87の上面に、円環状の検知電極119が配置され、第2セラミック層87の下面に、同心状に円環状の基準電極121が配置されている。第3セラミック層91の上面に、円形の第2内側電極131及びC字状の第2対電極133が配置されている。
なお、第2内側電極131は第2測定室103内に配置され、基準電極121及び第2対電極133は基準酸素室123内に配置されている。
第3実施形態においては、平面視で、基準電極121と検知電極119と第2対電極133とは、いずれも全く重なっていない。
つまり、検知電極119の外径よりも基準電極121の内径が大きく、基準電極121の外径よりも第2対電極の内径が大きいので、大きいので、検知電極119と基準電極121と第2対電極とは、平面視で、離れて配置されている。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(1)例えば、導入路の平面形状としては、円形が挙げられるが、それ以外の多角形や楕円形等の他の形状であってもよい。
(2)検知電極及び基準電極の平面形状としては、円環状が挙げられるが、それ以外の各種の環状の形状であってもよい。また、環状でなくてもよい。
(3)第2内側電極の平面形状としては、円形が挙げられるが、それ以外の多角形や楕円形等の他の形状であってもよい。
(4)第2対電極の平面形状としては、一部が切り欠かれた円環状(例えばC字状)が挙げられるが、それ以外の各種の環状などの形状であってもよい。また、環状でなくてもよい。
(5)基準酸素室の平面形状としては、一部が切り欠かれた円環状(例えばC字状)が、それ以外の多角形や楕円形等などの他の環状の形状であってもよい。
また、基準酸素室としては、周囲が密閉された空間を採用できるが、例えば大気と連通するように構成してもよい。
(6)第1ポンプセル75は、上記各実施形態では、第1セラミック層83を用いて形成されていたが、例えば、第2セラミック層87を用いて形成してもよい。具体的には、第2セラミック層87の酸素濃度検知セル77よりも先端側に、第1ポンプセル75を配置してもよい。つまり、この場合には、第2セラミック層87は、第1ポンプセル75のセラミック層と酸素濃度検知セル77のセラミック層とを兼ねる。
(7)上記実施形態では、ガスセンサとしてNOxセンサを例に挙げたが、本発明は、例えばアンモニアセンサ等の他のガスセンサにも適用することができる。
1…ガスセンサ、7…ガスセンサ素子、75…第1ポンプセル、77…酸素濃度検知セル、79…第2ポンプセル、83、87、91…セラミック層、97…第1測定室、101…導入路、103…第2測定室、111…第1内側電極、113…第1対電極、119…検知電極、121…基準電極、123…基準酸素室、131…第2内側電極、133…第2対電極

Claims (3)

  1. 三つ以上のセラミック層を積層してなるガスセンサ素子であり、
    三つ以上の前記セラミック層のうち、二つのセラミック層の層間に形成されると共に、外部から被測定ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室を形成する前記層間とは異なる二つのセラミック層の層間に形成されると共に、前記第1測定室と少なくとも一部が積層方向に重なり合う第2測定室と、
    前記第1測定室と前記第2測定室との間に配置されるセラミック層を前記積層方向に貫くと共に、前記第1測定室と前記第2測定室とを連通する導入路と、
    前記第1測定室内の前記被測定ガスに含まれる酸素をポンピングする第1ポンプセルであり、前記第1測定室に隣接するセラミック層と、該セラミック層上に設けられ、前記第1測定室内に晒される第1内側電極と、該第1内側電極と対をなす第1対電極とを備える第1ポンプセルと、
    前記第1ポンプセルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記被測定ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度検知セルであり、前記第1測定室に隣接するセラミックと、該セラミック層上に設けられ、前記第1測定室内に晒された検知電極と、該検知電極と対をなす基準電極とを備える酸素濃度検知セルと、
    前記酸素濃度検知セルより前記被測定ガスの導入方向下流側に配置され、前記第2測定室内における被測定ガス中の特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2ポンプセルであり、前記第2測定室に隣接するセラミック層と、該セラミック層上に設けられ、前記第2測定室内に晒される第2内側電極と、該第2内側電極と対をなす第2対電極とを備える第2ポンプセルと
    を有するガスセンサ素子であって、
    前記ガスセンサ素子を前記積層方向に見た場合に、前記検知電極は、少なくとも前記導入路よりも前記被測定ガスの導入方向上流側及び前記被測定ガスの導入方向下流側の前記セラミック層上に、前記導入路を囲むように設けられており、且つ、前記導入路と前記第2内側電極とは、少なくとも一部が重なるように配置されており、
    さらに、前記基準電極と前記第2対電極とは、基準ガスが導入される基準ガス導入部内に配置されていることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 前記ガスセンサ素子を前記積層方向に見た場合に、前記基準電極は、少なくとも前記導入路よりも前記被測定ガスの導入方向上流側及び前記被測定ガスの導入方向下流側の前記セラミック層上に、前記導入路を囲むように設けられており、且つ、前記検知電極及び前記基準電極は、少なくとも一部が重なるように設けられており、さらに、前記基準ガス導入部は、前記第2測定室の周囲に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ素子。
  3. 被測定ガスに含まれる特定ガスを検出するガスセンサ素子を有するガスセンサであって、
    前記ガスセンサ素子として、請求項1または請求項2に記載のガスセンサ素子を備えることを特徴とするガスセンサ。
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