JP6804367B2 - センサ素子及びガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、センサ素子及びガスセンサに関する。
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガス濃度を検出するガスセンサが知られている。例えば、特許文献1には、酸素イオン伝導性の固体電解質層を複数積層した積層体と、積層体の内部に形成されて基準ガス導入空間から基準ガス(例えば大気)が導入される基準電極と、積層体の内部の被測定ガス流通部に配設された測定電極と、積層体のうち被測定ガスに晒される部分に配設された被測定ガス側電極と、を備えたガスセンサが記載されている。このガスセンサは、基準電極と測定電極との間に生じる起電力に基づいて被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する。また、このガスセンサは、基準電極と被測定ガス側電極との間に制御電流を流して、基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行う基準ガス調整手段を備えている。特許文献1では、この基準ガス調整手段が基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行うことで、基準電極の周囲の基準ガスの酸素濃度が一時的に低下した場合に酸素濃度の低下を補うことができ、特定ガス濃度の検出精度の低下を抑制することが記載されている。なお、基準電極の周囲の基準ガスの酸素濃度が低下する場合とは、例えば被測定ガスがわずかに基準ガス導入空間内に侵入してしまった場合である。
特開2015−200643号公報
しかし、特許文献1のように基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行う場合において、汲み入れた酸素が基準電極の周囲に留まらずに外部へ抜け出てしまうことがあった。そのため、基準電極の周囲全体の酸素濃度を一定に保つことが難しく、センサ素子における特定ガス濃度の検出精度が低下するおそれがあった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、特定ガス濃度の検出精度の低下を抑制することを主目的とする。
本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のセンサ素子は、
積層された酸素イオン伝導性の複数の固体電解質層を有し、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた積層体と、
前記被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、
前記積層体のうち前記被測定ガスに晒される部分に配設された被測定ガス側電極と、
前記積層体の内部に配設された基準電極と、
前記被測定ガスの特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスを入口から導入して奥に配置された前記基準電極に流通させる多孔質の基準ガス導入層と、
を備え、
前記基準ガス導入層は、前記入口から中に向かって前記基準ガス導入層の全長の50〜95%の間に定められた仕切り位置を境にして奥側部分と入口側部分とに分けられており、前記奥側部分には前記基準電極が収まっており、前記奥側部分の拡散抵抗Raよりも前記入口側部分の拡散抵抗Rbの方が大きい、
ものである。
このセンサ素子では、基準電極と被測定ガス側電極との間に制御電流を流すことで、基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行うことができる。これにより、例えば被測定ガスが基準ガス導入層内に侵入した場合などの基準電極周囲の酸素濃度の低下を補うことができる。また、このセンサ素子は、被測定ガスの特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスを導入して基準電極に流通させる多孔質の基準ガス導入層を有する。そして、基準ガス導入層は、入口から中に向かって基準ガス導入層の全長の50〜95%の間に定められた仕切り位置を境にして奥側部分と入口側部分とに分けられており、奥側部分の拡散抵抗Raよりも入口側部分の拡散抵抗Rbの方が大きい。これにより、基準電極の周囲に汲み入れた酸素は、基準ガス導入層の奥側部分の全体に拡散する一方、入口側部分では拡散しにくいため基準ガス導入層の外へ容易に流出してしまうことがない。その結果、酸素が基準電極の周囲に留まるようになるため、基準電極の周囲の酸素濃度を一定に保ちやすい。したがって、このセンサ素子では、特定ガス濃度の検出精度の低下を抑制できる。
本発明のセンサ素子において、拡散抵抗比Ra/Rbは0.015以上0.6以下であることが好ましい。こうすれば、特定ガス濃度の検出精度の低下を一層抑制できる。
本発明のセンサ素子において、拡散抵抗Raは1000[/cm]以上5500[/cm]以下、拡散抵抗Rbは5000[/cm]以上50000[/cm]以下であることが好ましい。こうすれば、基準電極の周囲の酸素濃度をより一定に保ちやすい。
本発明のセンサ素子において、前記基準ガス導入層は、全体にわたって同じ多孔質材料で形成された所定厚みの層であり、前記入口から中に向かって幅が広がるように形成されていてもよい。こうすれば、基準ガス導入層の幅によって拡散抵抗を設定することができるため、比較的容易に本発明のセンサ素子を設計することができる。例えば、基準ガス導入層の幅は入口から中に向かって徐々に広がるように形成されていてもよいし、入口から中に向かってステップ的に広がるように形成されていてもよい。後者の一例として、奥側部分と入口側部分とは共に平面視が矩形であり、奥側部分の矩形の幅よりも入口側部分の矩形の幅の方が狭い場合を挙げることができる。
本発明のガスセンサは、上述したいずれかの態様のセンサ素子を備えたものである。そのため、このガスセンサは、上述した本発明のセンサ素子と同様の効果、例えば特定ガス濃度の検出精度の低下を抑制できる効果が得られる。
本発明のガスセンサは、前記基準電極と前記測定電極との間に生じる起電力に基づいて前記被測定ガスの特定ガス濃度を検出する検出手段と、前記基準電極と前記被測定ガス側電極との間に制御電流を流して、前記基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行う基準ガス調整手段と、を備えていてもよい。
本発明のセンサ素子において、前記被測定ガス側電極は、前記積層体の外表面に配設されていてもよい。また、本発明のセンサ素子において、前記積層体の外表面に配設された外側電極、を備え、前記検出手段は、前記基準電極と前記測定電極との間に生じる起電力に基づいて、前記測定電極及び前記外側電極を介して酸素の汲み出し又は汲み入れを行い、該汲み出し又は汲み入れの際の電流に基づいて該被測定ガスの特定ガス濃度を検出してもよい。この場合において、前記外側電極が前記被測定ガス側電極を兼ねていてもよい。
ガスセンサ100の縦断面図。 センサ素子101の構成の一例を概略的に示した断面模式図。 図2のA−A断面図。 基準電極リード147を説明するための断面図。 大気導入層248を説明するための断面図。 大気導入層348を説明するための断面図。 大気導入層448を説明するための断面図。 変形例のセンサ素子201の断面模式図。
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ100の縦断面図である。図2は、ガスセンサ100が備えるセンサ素子101の構成の一例を概略的に示した断面模式図である。図3は図2のA−A断面図である。なお、センサ素子101は長尺な直方体形状をしており、このセンサ素子101の長手方向(図2の左右方向)を前後方向とし、センサ素子101の厚み方向(図2の上下方向)を上下方向とする。また、センサ素子101の幅方向(前後方向及び上下方向に垂直な方向)を左右方向とする。なお、図1に示したようなガスセンサの構造は周知であり、例えば国際公開2013/005491号に記載されている。
図1に示すように、ガスセンサ100は、センサ素子101と、センサ素子101の前端側を保護する保護カバー130と、センサ素子101と導通するコネクタ150を含むセンサ組立体140とを備えている。このガスセンサ100は、図示するように例えば車両の排ガス管などの配管190に取り付けられて、被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO2等の特定ガスの濃度を測定するために用いられる。本実施形態では、ガスセンサ100は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。
保護カバー130は、センサ素子101の前端を覆う有底筒状の内側保護カバー131と、この内側保護カバー131を覆う有底筒状の外側保護カバー132とを備えている。内側保護カバー131及び外側保護カバー132には、被測定ガスを保護カバー130内に流通させるための複数の孔が形成されている。内側保護カバー131で囲まれた空間としてセンサ素子室133が形成されており、センサ素子101の前端はこのセンサ素子室133内に配置されている。
センサ組立体140は、センサ素子101を封入固定する素子封止体141と、素子封止体141に取り付けられたナット147,外筒148と、センサ素子101の後端の表面(上下面)に形成された図示しないコネクタ電極(後述するヒータコネクタ電極71のみ図2に図示した)に接触してこれらと電気的に接続されたコネクタ150と、を備えている。
素子封止体141は、筒状の主体金具142と、主体金具142と同軸に溶接固定された筒状の内筒143と、主体金具142及び内筒143の内側の貫通孔内に封入されたセラミックスサポーター144a〜144c,圧粉体145a,145b,メタルリング146と、を備えている。センサ素子101は素子封止体141の中心軸上に位置しており、素子封止体141を前後方向に貫通している。内筒143には、圧粉体145bを内筒143の中心軸方向に押圧するための縮径部143aと、メタルリング146を介してセラミックスサポーター144a〜144c,圧粉体145a,145bを前方に押圧するための縮径部143bとが形成されている。縮径部143a,143bからの押圧力により、圧粉体145a,145bが主体金具142及び内筒143とセンサ素子101との間で圧縮されることで、圧粉体145a,145bが保護カバー130内のセンサ素子室133と外筒148内の空間149との間を封止すると共に、センサ素子101を固定している。
ナット147は、主体金具142と同軸に固定されており、外周面に雄ネジ部が形成されている。ナット147の雄ネジ部は、配管190に溶接され内周面に雌ネジ部が設けられた固定用部材191内に挿入されている。これにより、ガスセンサ100のうちセンサ素子101の前端や保護カバー130の部分が配管190内に突出した状態で、ガスセンサ100が配管190に固定されている。
外筒148は、内筒143,センサ素子101,コネクタ150の周囲を覆っており、コネクタ150に接続された複数のリード線155が後端から外部に引き出されている。このリード線155は、コネクタ150を介してセンサ素子101の各電極(後述)と導通している。外筒148とリード線155との隙間はゴム栓157によって封止されている。外筒148内の空間149は基準ガス(本実施形態では大気)で満たされている。センサ素子101の後端はこの空間149内に配置されている。
図2に示すように、センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された積層体を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
センサ素子101の一端(図2の左側)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40と、第4拡散律速部60と、第3内部空所61とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40と、第3内部空所61とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。また、第4拡散律速部60は、第2固体電解質層6の下面との隙間として形成された1本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第3内部空所61に至る部位を被測定ガス流通部とも称する。
第3基板層3の上面と第1固体電解質層4の下面との間には、大気導入層48が設けられている。大気導入層48は、例えばアルミナなどのセラミックスからなる多孔質体である。大気導入層48は、後端面が入口部48cとなっており、この入口部48cはセンサ素子101の後端面に露出している。入口部48cは、図1の空間149内に露出している(図1参照)。大気導入層48には、この入口部48cから、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスが導入される。基準ガスは、本実施形態では大気(図1の空間149内の雰囲気)とした。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。この大気導入層48は、入口部48cから導入された基準ガスに対して所定の拡散抵抗を付与しつつこれを基準電極42に導入する。
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、大気導入層48が設けられている。基準電極42は、第3基板層3の上面に直に形成されており、第3基板層3の上面に接する部分以外が大気導入層48に覆われている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内,第2内部空所40内,第3内部空所61内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。基準電極42は、多孔質サーメット電極(例えば、PtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。特にこれに限定するものではないが、基準電極42の前後方向長さは、例えば0.2〜2mmであり、左右方向幅は例えば0.2〜2.5mmであり、厚さは例えば5〜30mmである。
被測定ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間(図1のセンサ素子室133)に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが直に形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるように可変電源25のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
第2内部空所40は、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整を行うための空間として設けられている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101の外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第1固体電解質層4の上面には、底部電極部51bが直に形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
第4拡散律速部60は、第2内部空所40で補助ポンプセル50の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第3内部空所61に導く部位である。第4拡散律速部60は、第3内部空所61に流入するNOxの量を制限する役割を担う。
第3内部空所61は、あらかじめ第2内部空所40において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第4拡散律速部60を通じて導入された被測定ガスに対して、被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、第3内部空所61において、測定用ポンプセル41の動作により行われる。
測定用ポンプセル41は、第3内部空所61内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第3内部空所61に面する第1固体電解質層4の上面に直に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第3内部空所61内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。
測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部60を通じて第3内部空所61の測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N2+O2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
さらに、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的な基準ガス調整ポンプセル90が構成されている。この基準ガス調整ポンプセル90は、外側ポンプ電極23と基準電極42との間に接続された可変電源92が印加する電圧Vp3により制御電流Ip3が流れることで、ポンピングを行う。これにより、基準ガス調整ポンプセル90は、外側ポンプ電極23の周囲の空間(図1のセンサ素子室133)から基準電極42の周囲に酸素の汲み入れを行う。可変電源92の電圧Vp3は、制御電流Ip3が所定の値(一定値の直流電流)となるような直流電圧として、予め定められている。
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、スルーホール73と、ヒータ絶縁層74と、圧力放散孔75と、リード線76とを備えている。
ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に接する態様にて形成されてなる電極である。ヒータコネクタ電極71を外部電源と接続することによって、外部からヒータ部70へ給電することができるようになっている。
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。ヒータ72は、リード線76及びスルーホール73を介してヒータコネクタ電極71と接続されており、該ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第3内部空所61の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成された多孔質アルミナからなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
圧力放散孔75は、第3基板層3及び大気導入層48を貫通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
なお、図2に示した可変電源25,46,52,92などは、実際にはセンサ素子101内に形成された図示しないリード線(後述する基準電極リード47のみ図3,4に図示した)や図1のコネクタ150及びリード線155を介して、各電極と接続されている。
ここで、大気導入層48及びその周辺の構成について図3を用いて詳細に説明する。大気導入層48は、入口部48cからセンサ素子101の長手方向(ここでは前後方向)に沿って中(ここでは前方)に延びて基準電極42を超えた位置まで達している。大気導入層48は、入口部48cから中に向かって全長(ここでは前後方向の長さ)の50〜95%(好ましくは70〜95%、より好ましくは85〜95%)の間に定められた仕切り位置Psを境界にして、奥側部分48aと入口側部分48bとに分けられる。図3には、入口部48cから中に向かって全長の50%及び95%の位置をそれぞれP50及びP95で示した。奥側部分48aには、基準電極42が収まっている。そのため、仕切り位置Psは、基準電極42の大きさを考慮して設定される。例えば、図3では、仕切り位置PsをP95に一致させると、奥側部分48aから基準電極42がはみ出してしまうため、仕切り位置Psは奥側部分48aから基準電極42がはみ出ない範囲で設定される。大気導入層48は、全体にわたって同じ多孔質材料で形成された所定厚み(ここでは上下方向の長さ)の層であり、センサ素子101の長手方向に垂直な面で切断した断面が矩形の層である。大気導入層48の厚みは、特に限定するものではないが、例えば10〜30μmの範囲で適宜設定してもよい。また、大気導入層48を形成する多孔質材料の気孔率は、特に限定するものではないが、例えば10〜50体積%の範囲で適宜設定してもよい。大気導入層48の幅(ここでは左右方向の長さ)は、入口部48cから中に向かってステップ的に広がるように形成されている。具体的には、奥側部分48aも入口側部分48bも平面視つまり上からみたときの形状がともに矩形であり、奥側部分48aの矩形の幅よりも入口側部分48bの矩形の幅の方が狭くなっている。これにより、奥側部分48aの拡散抵抗Raよりも入口側部分48bの拡散抵抗Rbの方が大きくなっている。なお、奥側部分48aの拡散抵抗Raは、奥側部分48aの前後方向の長さ(単位はcm)を、前後方向に垂直な面で切断したときの奥側部分48aの断面積(単位はcm2)で除すことにより算出した。入口側部分48bの拡散抵抗Rbもこれと同様にして算出した。
基準電極42には、基準電極リード47が電気的に接続されている。基準電極リード47は、センサ素子101の右側面から左方に延びて多孔質の大気導入層48の内部に入り、そこから大気導入層48の長手方向に沿って前方に曲げられて基準電極42に達するように設けられているが、途中、圧力放散孔75を迂回するように配線されている。この基準電極リード47は、コネクタ150(図1参照)のコネクタ電極に接続されており、このコネクタ電極を介して、外部から基準電極42に通電したり、基準電極42の電圧や電流を外部で測定できるようにしたりする。
次に、こうしたガスセンサ100の製造方法の一例を以下に説明する。まず、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含む6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。このグリーンシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いるシート穴や必要なスルーホール等を予め複数形成しておく。また、スペーサ層5となるグリーンシートには被測定ガス流通部となる空間を予め打ち抜き処理などによって設けておく。そして、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6のそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに種々のパターンを形成するパターン印刷処理・乾燥処理を行う。形成するパターンは、具体的には、例えば上述した各電極や各電極に接続されるリード線、大気導入層48,ヒータ部70,などのパターンである。パターン印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してグリーンシート上に塗布することにより行う。乾燥処理についても、公知の乾燥手段を用いて行う。パターン印刷・乾燥が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う。そして、接着用ペーストを形成したグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ所定の順序に積層して、所定の温度・圧力条件を加えることで圧着させ、一つの積層体とする圧着処理を行う。こうして得られた積層体は、複数個のセンサ素子101を包含したものである。その積層体を切断してセンサ素子101の大きさに切り分ける。そして、切り分けた積層体を所定の焼成温度で焼成し、センサ素子101を得る。
このようにしてセンサ素子101を得ると、センサ素子101を組み込んだセンサ組立体140(図1参照)を製造し、保護カバー130やゴム栓157などを取り付けることで、ガスセンサ100が得られる。なお、このようなガスセンサの製造方法は公知であり、例えば国際公開2013/005491号に記載されている。
ここで、基準ガス調整ポンプセル90の果たす役割について、詳細に説明する。センサ素子101のうちガス導入口10などの被測定ガス流通部には、図1に示したセンサ素子室133から被測定ガスが導入される。一方、センサ素子101のうち大気導入層48には、図1に示した空間149内の基準ガス(大気)が導入される。そして、このセンサ素子室133と空間149とは、センサ組立体140(特に、圧粉体145a,145b)によって区画され、互いにガスが流通しないように封止されている。しかし、被測定ガス側の圧力が一時的に増大したときなどには、被測定ガスがわずかに空間149内に侵入してしまう場合がある。これにより、基準電極42周囲の酸素濃度が一時的に低下してしまうと、基準電極42の電位である基準電位が変化してしまう。これにより、例えば測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82の起電力V2など、基準電極42を基準とした起電力が変化してしまい、被測定ガス中のNOx濃度の検出精度が低下してしまう。基準ガス調整ポンプセル90は、このような検出精度の低下を抑制する役割を果たしている。基準ガス調整ポンプセル90は、制御電流Ip3が流れることで、外側ポンプ電極23周辺から基準電極42周辺へ、一定量の酸素の汲み入れを行っている。これにより、上述したように被測定ガスが基準電極42周囲の酸素濃度を一時的に低下させた場合に、減少した酸素を補うことができ、NOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。制御電流Ip3の値(例えば平均値)は、被測定ガスの圧力が想定される最大値の時に基準電極42周囲の酸素濃度がどの程度低下するか(どの程度の酸素を基準電極42周囲に汲み入れる必要があるか)に基づいて、予め実験などにより定めておくことができる。
ところで、基準ガス調整ポンプセル90により基準電極42の周囲に酸素を汲み入れる場合において、従来は、基準電極42の周囲に汲み入れた酸素がすぐに大気導入層48の入口を経て外部へ流出してしまうことがあった。本実施形態では、多孔質の大気導入層48を、仕切り位置Psを境にして奥側部分48aと入口側部分48bとに分け、奥側部分48aの拡散抵抗Raよりも入口側部分48bの拡散抵抗Rbの方が大きくなるようにした。これにより、基準電極42の周囲に汲み入れた酸素は、大気導入層48の奥側部分48aの全体に拡散する一方、入口側部分48bでは拡散しにくいため大気導入層48の外へ容易に流出してしまうのを抑えることができる。その結果、酸素が基準電極42の周囲に留まるようになるため、基準電極42の周囲の酸素濃度を一定に保ちやすく、NOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1基板層1,第2基板層2,第3基板層3,第1固体電解質層4,スペーサ層5及び第2固体電解質層6が本発明の積層体に相当し、測定電極44が測定電極に相当し、外側ポンプ電極23が被測定ガス側電極に相当し、基準電極42が基準電極に相当し、大気導入層48が基準ガス導入層に相当する。また、測定用ポンプセル41が検出手段に相当し、基準ガス調整ポンプセル90が基準ガス調整手段に相当する。
以上詳述した本実施形態のガスセンサ100によれば、大気導入層48の奥側部分48aの拡散抵抗Raよりも入口側部分48bの拡散抵抗Rbの方が大きくなるようにしたため、基準電極42の周囲の酸素濃度を一定に保ちやすく、NOx濃度の検出精度の低下を抑制できる。
また、大気導入層48は、全体にわたって同じ多孔質材料で形成された所定厚みの層であり、入口部48cから中に向かって幅が広がるように形成されている。具体的には、奥側部分48aと入口側部分48bとは共に平面視が矩形であり、奥側部分48aの矩形の幅よりも入口側部分48bの矩形の幅の方が狭くなっている。これにより、大気導入層48の幅によって拡散抵抗を設定することができるため、比較的容易にセンサ素子101を設計することができる。
奥側部分48aの拡散抵抗Raと入口側部分48bの拡散抵抗Rbとの拡散抵抗比Ra/Rbは、1未満であればよいが、0.015以上0.6以下が好ましい。この範囲であれば、NOxの検出精度の低下をより抑制できるからである。この比Ra/Rbは0.02以上0.52以下がより好ましい。拡散抵抗Ra,Rbは、特に限定するものではないが、拡散抵抗Raは1000[/cm]以上5500[/cm]以下、拡散抵抗Rbは5000[/cm]以上50000[/cm]以下であることが好ましい。この範囲であれば、基準電極42の周囲の酸素濃度をより一定に保ちやすい。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施しうることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、基準電極リード47は圧力放散孔75を迂回するために途中で二股に分岐させたが、圧力放散孔75がない場合には迂回させる必要がない。その場合、図4に示す単純な形状の基準電極リード147とすればよい。なお、図4では、上述した実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付した。
上述した実施形態では、奥側部分48aも入口側部分48bも平面視で矩形になるように形成したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、図5〜図7に示す形状を採用してもよい。なお、図5〜7では、上述した実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付した(図4の基準電極リード147を採用した)。図5の大気導入層248では、奥側部分248aの幅が仕切り位置Psから中(ここでは前方)に向かって徐々に広がっている。図6の大気導入層348では、入口側部分348bの幅が入口部348cから中に向かって徐々に広がっている。図7では、大気導入層448の幅が入口部448cから中に向かって徐々に広がっている。そのため、奥側部分448aの幅は仕切り位置Psから中に向かって徐々に広がっており、入口側部分448bの幅は入口部448cから中に向かって徐々に広がっている。なお、図5の奥側部分248aの拡散抵抗は、奥側部分248aの体積を前後方向の長さで除した値を平均断面積とし、前後方向の長さを平均断面積を除すことで求める。図6の入口側部分348bや図7の奥側部分448a及び入口側部分448bについても同様である。図5〜図7のいずれの大気導入層248,348,448を採用しても、奥側部分の拡散抵抗Raよりも入口側部分の拡散抵抗Rbの方が大きいため、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
上述した実施形態では、奥側部分48aや入口側部分48bの厚み(上下方向の長さ)を一定にして幅(左右方向の長さ)を変化させることにより拡散抵抗Ra,Rbを設定したが、他のパラメータを変化させることにより拡散抵抗Ra,Rbを設定してもよい。例えば、奥側部分48aや入口側部分48bの幅を一定にして厚みを変化させることにより拡散抵抗Ra,Rbを設定してもよい。あるいは、奥側部分48aや入口側部分48bを形成する多孔質材料の気孔率を変化させることにより拡散抵抗Ra,Rbを設定してもよい。
上述した実施形態では、ガスセンサ100のセンサ素子101は第1内部空所20,第2内部空所40,第3内部空所61を備えるものとしたが、これに限られない。例えば、上述した図8のセンサ素子201のように、第3内部空所61を備えないものとしてもよい。図8に示した変形例のセンサ素子201では、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。また、測定電極44は、第2内部空所40内の第1固体電解質層4の上面に配設されている。測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。第4拡散律速部45は、アルミナ(Al23)などのセラミックス多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、上述した実施形態の第4拡散律速部60と同様に、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担う。また、第4拡散律速部45は、測定電極44の保護膜としても機能する。補助ポンプ電極51の天井電極部51aは、測定電極44の直上まで形成されている。このような構成のセンサ素子201であっても、上述した実施形態と同様に、測定用ポンプセル41によりNOx濃度を検出できる。
上述した実施形態では、制御電流Ip3が一定値の直流電流であるものとしたが、これに限られない。例えば、制御電流Ip3はパルス状の断続的な電流であってもよい。また、制御電流Ip3は、本実施形態では一定値の直流電流であり、常に基準電極42の周囲に酸素を汲み入れる方向に流れる電流であるが、これに限られない。例えば、制御電流Ip3が、基準電極42の周囲から酸素を汲み出す方向に流れる期間が存在してもよい。その場合でも、十分長い所定期間でみたときの全体的な酸素の移動方向が基準電極42の周囲に酸素を汲み入れる方向であれよい。
上述した実施形態では、測定用ポンプセル41の外側電極としての外側ポンプ電極23が、基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極を兼ねているものとしたが、これに限られない。測定用ポンプセル41の外側電極と基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極とを、別々にセンサ素子101の外表面に形成してもよい。また、基準ガス調整ポンプセル90の被測定ガス側電極は、センサ素子101のうち被測定ガスに晒される部分に配設されていれば、配設位置は外表面に限られない。例えば被測定ガス側電極は被測定ガス流通部内に配設されていてもよい。
上述した実施形態では、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された制御電圧(起電力)V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御され、このときのポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されるものとしたが、基準電極42と測定電極44との間の電圧に基づいて被測定ガス中の特定濃度を検出するものであれば、これに限られない。例えば、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42とを組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準ガスに含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることができる。この場合、この電気化学的センサセルが本発明の検出手段に相当する。
上述した実施形態では、基準電極42は第3基板層3の上面に直に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば、基準電極42は第1固体電解質層4の下面に直に形成されていてもよい。
上述した実施形態では、基準ガスでは大気としたが、被測定ガス中の特定ガスの濃度の検出の基準となるガスであれば、これに限られない。例えば、予め所定の酸素濃度(>被測定ガスの酸素濃度)に調整したガスが基準ガスとして空間149に満たされていてもよい。
上述した実施形態では、センサ素子101は被測定ガス中のNOx濃度を検出するものとしたが、被測定ガス中の特定ガスの濃度を検出するものであれば、これに限られない。例えば、被測定ガス中の酸素濃度を検出するものとしてもよい。
以下には、ガスセンサを具体的に作製した例を実施例として説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
上述した製造方法により図1〜3に示したガスセンサ100を作製し、実施例1とした。なお、センサ素子101を作製するにあたり、グリーンシートは、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合し、テープ成形により成形した。図1の圧粉体145a,145bとしてはタルク粉末を成形したものとした。大気導入層48の全長は60.97mmとした。入口部48cから中に向かって全長の88%の位置を仕切り位置Psとし、奥側部分48aの幅を2.26mm、入口側部分48bの幅を0.50mmとした。奥側部分48aには基準電極42が収まっていた。奥側部分48aの拡散抵抗Raは2800[/cm]、入口側部分48bの拡散抵抗Rbは38000[/cm]、拡散抵抗比Ra/Rbは0.074であった。
[実施例2〜9,比較例1〜6]
拡散抵抗Ra,Rbが表1に示す値になるように大気導入層48の奥側部分48a及び入口側部分48bを作製した以外は、実施例1と同様にしてガスセンサ100を作成し、実施例2〜9,比較例1〜6とした。
[検出精度の評価]
実施例1のガスセンサを配管に取り付けた。そして、ヒータ72に通電して温度を800℃とし、センサ素子101を加熱した。また、実施例1のガスセンサに可変電源25,46,52,92を接続した。可変電源92は、制御電流Ip3が20μAの直流電流となるように電圧Vp3を調整した。この状態で、ベースガスを窒素とし、酸素濃度10%、NOx濃度を500ppmとしたモデルガスを用意し、これを被測定ガスとして配管に流した。この状態を20分間維持し、その間の電圧Vrefを測定した。実施例2〜9及び比較例1〜6についても同様に測定した。なお、基準電極42の周囲の酸素濃度が基準ガスの酸素濃度よりも低くなるほど、電圧Vrefは測定開始時の値から時間経過と共に低下していく傾向にある。そして、電圧Vrefが低下するほど、ポンプ電流Ip2は正しい値(NOx濃度500ppmに相当する値)よりも大きくなる傾向にある。そこで、測定開始時の電圧Vrefの値を100%として、測定された電圧Vrefが20分経過しても所定範囲(80%以上)に収まっていたときには、NOx濃度の検出精度が非常に高い(「A」)と判定した。測定された電圧Vrefが15分経過から20分経過までの間に所定範囲よりも低下したときには、NOx濃度の検出精度が高い(「B」)と判定した。測定された電圧Vrefが15分経過前に所定範囲よりも低下したときには、NOx濃度の検出精度が低い(「C」)と判定した。
上記の評価試験の結果を表1に示す。表1に示すように、奥側部分48aの拡散抵抗Raと比べて入口側部分48bの拡散抵抗Rbが同じかそれ以下の場合(比較例1〜6)、いずれも評価は「C」でありNOx濃度の検出濃度が低かった。これに対して、拡散抵抗Raよりも拡散抵抗Rbの方が大きい場合(実施例1〜9)、評価は「A」又は「B」でありNOx濃度の検出濃度の低下が抑制された。特に、拡散抵抗比Ra/Rbが0.015以上0.6以下の場合(実施例1〜5,7,9)、評価は「A」でありNOx濃度の検出濃度の低下が顕著に抑制された。また、実施例1〜9から、拡散抵抗Raは1000[/cm]以上5500[/cm]以下、拡散抵抗Rbは5000[/cm]以上50000[/cm]以下であることが好ましいといえる。
本発明は、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxなどの特定ガス濃度を検出するガスセンサに利用可能である。
1 第1基板層、2 第2基板層、3 第3基板層、4 第1固体電解質層、5 スペーサ層、6 第2固体電解質層、10 ガス導入口、11 第1拡散律速部、12 緩衝空間、13 第2拡散律速部、20 第1内部空所、21 主ポンプセル、22 内側ポンプ電極、22a 天井電極部、22b 底部電極部、23 外側ポンプ電極、25 可変電源、30 第3拡散律速部、40 第2内部空所、41 測定用ポンプセル、42 基準電極、44 測定電極、46 可変電源、47 基準電極リード、47a〜47c 第1〜第3直線部、47d 迂回部、48,248、348,448 大気導入層、48a,248a,448a 奥側部分、48b,348b,448b 入口側部分、48c 入口部、50 補助ポンプセル、51 補助ポンプ電極、51a 天井電極部、51b 底部電極部、52 可変電源、60 第4拡散律速部、61 第3内部空所、70 ヒータ部、71 ヒータコネクタ電極、72 ヒータ、73 スルーホール、74 ヒータ絶縁層、75 圧力放散孔、76 リード線、77 接着層、80 主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、81 補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、82 測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル、83 センサセル、90 基準ガス調整ポンプセル、92 可変電源、100 ガスセンサ、101,201 センサ素子、130 保護カバー、131 内側保護カバー、132 外側保護カバー、133 センサ素子室、140 センサ組立体、141 素子封止体、142 主体金具、143 内筒、143a,143b 縮径部、144a〜144c サポーター、145a,145b 圧粉体、146 メタルリング、147 ナット、148 外筒、149 空間、150 コネクタ、155 リード線、157 ゴム栓、190 配管、191 固定用部材。

Claims (6)

  1. 積層された酸素イオン伝導性の複数の固体電解質層を有し、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた積層体と、
    前記被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、
    前記積層体のうち前記被測定ガスに晒される部分に配設された被測定ガス側電極と、
    前記積層体の内部に配設された基準電極と、
    前記被測定ガスの特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスを入口から導入して奥に配置された前記基準電極に流通させる多孔質の基準ガス導入層と、
    を備え、
    前記基準ガス導入層は、前記入口から中に向かって前記基準ガス導入層の全長の50〜95%の間に定められた仕切り位置を境にして奥側部分と入口側部分とに分けられており、前記奥側部分には前記基準電極が収まっており、前記奥側部分の拡散抵抗Raよりも前記入口側部分の拡散抵抗Rbの方が大き
    拡散抵抗比Ra/Rbが0.015以上0.6以下である
    センサ素子。
  2. 積層された酸素イオン伝導性の複数の固体電解質層を有し、被測定ガスを導入して流通させる被測定ガス流通部が内部に設けられた積層体と、
    前記被測定ガス流通部の内周面上に配設された測定電極と、
    前記積層体のうち前記被測定ガスに晒される部分に配設された被測定ガス側電極と、
    前記積層体の内部に配設された基準電極と、
    前記被測定ガスの特定ガス濃度の検出の基準となる基準ガスを入口から導入して奥に配置された前記基準電極に流通させる多孔質の基準ガス導入層と、
    を備え、
    前記基準ガス導入層は、前記入口から中に向かって前記基準ガス導入層の全長の50〜95%の間に定められた仕切り位置を境にして奥側部分と入口側部分とに分けられており、前記奥側部分には前記基準電極が収まっており、前記奥側部分の拡散抵抗Raよりも前記入口側部分の拡散抵抗Rbの方が大きく、
    前記拡散抵抗Raは1000[/cm]以上5500[/cm]以下、前記拡散抵抗Rbは5000[/cm]以上50000[/cm]以下である、
    センサ素子。
  3. 前記基準ガス導入層は、全体にわたって同じ多孔質材料で形成された所定厚みの層であり、前記入口から中に向かって幅が広がるように形成されている、
    請求項1又は2に記載のセンサ素子。
  4. 前記奥側部分と前記入口側部分とは共に平面視が矩形であり、前記奥側部分の矩形の幅が前記入口側部分の矩形の幅よりも広くなっている、
    請求項に記載のセンサ素子。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のセンサ素子を備えたガスセンサ。
  6. 請求項に記載のガスセンサであって、
    前記基準電極と前記測定電極との間に生じる起電力に基づいて前記被測定ガスの特定ガス濃度を検出する検出手段と、
    前記基準電極と前記被測定ガス側電極との間に制御電流を流して、前記基準電極の周囲に酸素の汲み入れを行う基準ガス調整手段と、
    を備えたガスセンサ。
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