JP2009257826A - NOxセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1固体電解質層111及び第2固体電解質層121の間に区画される第1測定室150と、第1測定室に面して第1固体電解質層上に配置される内側第1ポンプ電極113と該内側第1ポンプ電極の対極となる第1対極電極112とを備えた第1ポンピングセル110と、第1測定室に連通する第2測定室160と、第2測定室内に設けられた内側第2ポンプ電極133と該内側第2ポンプ電極の対極となる第2対極電極132とを備え、特定ガス成分を検出する第2ポンピングセル130とを備え、内側第1ポンプ電極は、金属成分として50質量%以上の白金族元素を主体としNOx不活性の第2成分を含む焼成電極であって、断面から見たときに長径3μm以上の粒子の面積率が30%以下のNOxセンサ1である。
【選択図】図1
Description
NOxセンサは、NOxセンサ素子をハウジング内に収容し、ハウジングから突出させたNOxセンサ素子の一部をガス導入孔付きのプロテクタにて覆った構成を有する。NOxセンサ素子は、第1測定室の内部と外部にそれぞれ設けられた一対の第1ポンプ電極と固体電解質層とを有する第1ポンピングセルを用いて、第1測定室内のガス中の酸素を外側第1ポンプ電極から外部へ汲み出し又は汲み入れ、第1測定室内の酸素分圧を調整する。そして、第1測定室に連通するNOx測定室に流入した被測定ガス中のNOx濃度を、一対の第2ポンプ電極を有する第2ポンピングセルを用いて測定するようになっている。
しかしながら、この電極は焼成によって形成されるため、焼成時や長期間の使用時にAuが揮発してNOx検出に必要な第2ポンプ電極に付着し、NOx検出精度を低下させるという問題がある。
そこで、第2ポンプ電極の材質としてPt−Rhを用いることで、Auが付着してもNOx検出精度を低下させない技術が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、本発明は、NOxセンサの内側第1ポンプ電極における酸素ポンピング能を高め、NOx分解を抑制してガス選択性を維持することが可能なNOxセンサの提供を目的とする。
このような構成のNOxセンサによれば、内側第1ポンプ電極の焼成に伴って電極材料である白金族元素やNOx不活性の第2成分の各粒子が粒成長したり、粒子同士が凝集して粗大粒になったりすることが抑制された状態にあることから、内側第1ポンプ電極本来のガス選択性(酸素をポンピングし、NOxを分解しないこと)を維持することができる。
このような構成とすると、焼成されて内側第1ポンプ電極となる未焼成電極と未焼成の第1〜第3固体電解質層とが同時焼成される際の焼成温度を低くすることが可能となり、内側第1ポンプ電極の焼成時の粒成長が確実に抑制されているので、第1ポンプ電極本来のガス選択性(酸素をポンピングし、NOxを分解しないこと)をさらに維持することができる。
このような構成とすると、内側第2ポンプ電極についても、焼成に伴って電極材料をなす粒子が粒成長したり、粒子同士が凝集して粗大粒になったりすることが抑制された状態にあることから、第2ポンプ電極本来のNOx分解能力を維持することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るNOxセンサ1の断面構造の一部を示す。NOxセンサ1は、NOx濃度を検出する長尺板状のNOxセンサ素子10をハウジング(図示せず)内に保持し、自動車エンジンの排気系統(排気管)に取り付けられている。又、NOxセンサ1の外部には、NOxセンサ素子10と信号線を介して電気的に接続されるセンサ制御装置(コントローラ)5が配置されている。センサ制御装置(コントローラ)5は、NOxセンサ素子10の駆動制御を行うと共に、NOxセンサ素子10から出力されるNOxの濃度に応じた出力(第2ポンピング電流Ip2)を検出してNOx濃度の演算処理を行う。
次に、NOxセンサ素子10の構造について説明する。なお、図1は、NOxセンサ素子10の長手方向に沿って切断したときの断面図であり、NOxセンサ素子10のうちNOxの検出を行う先端部を表示し、ハウジングの内部に保持される後端部は図示を省略している。なお、図示はしていないが、ハウジングから突出するNOxセンサ素子10の先端部は、ガス導入孔が形成されたプロテクタにて覆われている。
NOxセンサ素子10は、酸素イオン伝導性の固体電解質層(セラミックス層)111、121、131をこの順に積層して構成されている。又、固体電解質層111、121の間には絶縁層140が介装され、固体電解質層121、131の間には絶縁層145が介装されている。又、固体電解質層111の外側(絶縁層140とは反対側)には、固体電解質層111と間隔を開けて絶縁基体161が積層され、絶縁基体161の内部には所定のヒータパターンを有するヒータ162が埋設されている。ヒータ162はNOxセンサ(詳細には各固体電解質層111、121、131)を活性温度に昇温し、各固体電解質層111、121、131の酸素イオンの伝導性を高めて動作を安定化させるために用いられる。
絶縁層140は平面視コの字状に切り抜かれ、コの字の開口が図1の左を向くように配置される。これにより、絶縁層140の切り抜き部分が空隙となり、固体電解質層121の上面、固体電解質層111の下面、及び絶縁層140の側面によって内部空間が形成される。又、外部からの被測定ガスの導入口である上記開口(図1の固体電解質層111、121の左端)には、多孔質状の拡散律速部151が設けられている。一方、上記内部空間における右端から中央よりの所定位置に当該内部空間を図1の左右方向に区画する多孔質状の拡散律速部152が配置され、拡散律速部151、152の間の内部空間が第1測定室150となる。
なお、この実施形態では、電極112、113の表面にはセラミックスからなる多孔質保護層114が形成され、電極に含まれる金属成分(Pt、Au)の昇華を防止している。
なお、酸素濃度検知セル120に予め微弱な電流Icpを流すことにより、第1測定室150から固体電解質層121を介して基準電極123に酸素を送り込み、基準電極123が所定濃度の酸素に晒されるように、酸素を充填層170に蓄積する。
そして、外部から拡散律速部151を介して導入された被測定ガスは、第1測定室150を図1の左から右へ流れた後、拡散律速部152を介して第2測定室160へ流れるようになっている。
マイクロコンピュータは、上記の各回路部の制御を行い、NOxセンサ素子10の出力信号に基づき、排気ガス中の酸素濃度およびNOx濃度の検出を行う。又、センサ制御装置5は自動車のECU(エンジン制御装置)に電気的に接続され、マイクロコンピュータは検出結果(酸素濃度およびNOx濃度)をECUに出力する。
Ip1ドライブ回路52は、内側第1ポンプ電極113及び外側第1ポンプ電極112の間に第1ポンピング電流Ip1を供給しつつ、その際の第1ポンピング電流Ip1を検出する。
Vs検出回路53は、検知電極122及び基準電極123の間の電圧Vsを検出し、検出結果を基準電圧比較回路51に出力する。
基準電圧比較回路51は、基準電圧(例えば、425mV)とVs検出回路53の出力(電圧Vs)とを比較し、比較結果をIp1ドライブ回路52に出力する。そして、Ip1ドライブ回路52は、電圧Vsが上記基準電圧に等しくなるようにIp1電流の流れる向き及び大きさを制御し、第1測定室150内の酸素濃度(酸素分圧)をNOxが分解しない程度の所定値に調整する。
Icp供給回路54は、検知電極122及び基準電極123の間に微弱な電流Icpを流し、酸素を第1測定室150から基準酸素室170内に送り込み、基準電極123を基準となる所定の酸素濃度に晒させる。
Vp2印加回路56は、内側第2ポンプ電極133及び第2ポンピング対電極132の間に、被測定ガス中のNOxガスが酸素とN2ガスに分解する程度の一定電圧Vp2(例えば、450mV)を印加し、NOxを窒素と酸素に分解する。
Ip2検出回路55は、NOxの分解により生じた酸素が第2測定室160から固体電解質層131を介して第2ポンピング対電極132側に汲み出される際に、第2ポンピングセル130に流れる第2ポンピング電流Ip2を検出する。
このとき、酸素濃度検知セル120の電圧(電極間電圧)Vsが上記基準電圧になるように、Ip1ドライブ回路52が第1ポンピングセル110に流れる第1ポンピング電流Ip1を制御し、第1測定室150内の酸素濃度(酸素分圧)をNOxが分解しない程度に調整する。
<内側第1ポンプ電極>
上記したように、内側第1ポンプ電極113は、被測定ガス中の酸素をポンピングしつつ、NOxを分解しないようなガス選択性を有する必要がある。そのため、内側第1ポンプ電極113は、金属成分として50質量%以上の貴金属を主体としNOx不活性の第2成分を含む焼成電極(多孔質サーメット等)である。
具体的には、内側第1ポンプ電極113は、上記金属成分の他、通常、固体電解質層111との密着性を高めるための固体電解質層成分(例えばZrO2)を数〜数10質量%程度含む多孔質の焼成電極である。
なお、第2成分としてAuを用いる場合、金属成分中のAuの割合は1〜数質量%程度でよいが、好ましくは、金属成分中のAuの割合を0.03〜35質量%にすることが好ましい。
第2成分としてAg−Pd合金を用いる場合、金属成分中のAg−Pd合金の割合は5〜数10質量%程度であることが好ましい。
内側第1ポンプ電極113は、通常、数μm〜10μm程度の平均粒径の粉体である白金族元素と、1〜数μm程度の平均粒径の粉体である第2成分と、固体電解質層成分とをバインダーや溶剤と混合してペーストを製造し、焼成後に固体電解質層となるグリーンシートにこのペーストを印刷後、このグリーンシートと共に焼成して形成されている。
この場合、焼成に伴って電極材料である白金族元素や第2成分の各粒子が粒成長したり、粒子同士が凝集して粗大粒になることにより、第1ポンプ電極本来のガス選択性(酸素をポンピングし、NOxを分解しないこと)が低下することが判明した。この原因は明確ではないが、粒成長によってNOx不活性な第2成分が白金族マトリクス中に取り込まれたり、粗大な粒成長により電極内の三層界面が減少し、触媒反応する活性部が減少するためと考えられる。
ここで、長径3μm以上の粒子の割合を規定した理由は、電極材料となる仕込み粒子がミクロンオーダーであり、焼成後の電極中の粒子が長径3μmを超えることは、仕込み粒子が3つ以上程度凝集することを意味し、それだけ粒成長や凝集が過度となることを表すものと考えられる。一方、焼成後の電極中の粒子が長径2μm程度であれば、仕込み粒子のサイズと同等か、仕込み粒子がせいぜい2個凝集した程度であり、粒成長や凝集が少ないものと考えられる。
内側第1ポンプ電極をこのように規定することにより、焼成に伴って電極材料である白金族元素や第2成分の各粒子が粒成長したり、粒子同士が凝集して粗大粒になることが抑制され、第1ポンプ電極本来のガス選択性(酸素をポンピングし、NOxを分解しないこと)を維持することができる。これは、粒成長によってNOx不活性な第2成分が白金族マトリクス中に取り込まれることが少なく、粗大な粒成長による電極内の三層界面の減少や、触媒反応する活性部の減少を防止するためと考えられる。
上記したように、内側第1ポンプ電極の焼成時に過度な粒成長を生じさせないという観点からは、焼成温度が低いことが好ましい。そして、本発明者らが検討したところ、固体電解質層として一般に用いられるYSZ(イットリア−ジルコニア固溶体)の場合、焼成温度が1480℃程度であり、内側第1ポンプ電極の焼成時に粒成長が顕著になることが判明した。
そこで、固体電解質層として、スカンジア安定化固体電解質を50質量%以上含むものを用いることが好ましい。スカンジア安定化固体電解質(以下、「ScSZ」という)は、ジルコニア(ZrO2)に安定化剤としてスカンジア(Sc2O3)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体であり、例えばスカンジアを10mol%固溶したScSZの焼成温度は1150℃となり、焼成温度を低くして電極の粒成長を抑制できる。
又、固体電解質層は、スカンジアの他にイットリア(Y2O3)やセリア(CeO2)を含んでもよいが、ScSZを50質量%以上含むことが好ましい。ScSZの含有量が50質量%未満であると焼成温度の低減効果が少ないからである。固体電解質層がScSZのみからなっていてもよい。なお、固体電解質層中のScSZの含有量は、固体電解質層の主成分であるジルコニアを安定化する元素(Sc,Y等)を定量し、各元素の合計質量に対するScの割合(wt%)を求め、Scの割合をもってScSZの含有量とみなす。これは、各元素はジルコニアと安定化するから、各元素の全体量に対するScの比を求めれば、固体電解質層中のScSZの構成比が算定できるためである。
なお、固体電解質層の焼成温度を1300℃未満、好ましくは1100〜1200℃とできるのであれば、YSZを主体とする固体電解質層を用いてもよい。この場合、イットリアの他、焼成温度を低減可能な元素を適宜添加すればよい。
この場合、上記した実施形態のように、NOxセンサ素子が3層の固体電解質層111〜131を有する場合は、3層の固体電解質層がそれぞれスカンジア安定化固体電解質を50質量%以上含む。又、後述するように、NOxセンサ素子が2層の固体電解質層を有する場合は、2層の固体電解質層がそれぞれスカンジア安定化固体電解質を50質量%以上含む。
内側第2ポンプ電極133としては、特に制限されないが、例えば、白金族元素の1種以上からなるものを金属成分として用いる焼成電極とすることができる。特に、耐熱性及び耐酸化性を考慮すると、金属成分としてPt単体、又は50質量%以上のPtを主体とし白金族を含むことが好ましい。ここで、内側第2ポンプ電極133は、上記金属成分の他、通常、固体電解質層との密着性を高めるための固体電解質層成分を数〜数10質量%程度含む多孔質の焼成電極(多孔質サーメット等)であってよいことは、内側第1ポンプ電極の場合と同様である。又、50質量%以上のPtを主体とし白金族を含む場合、白金族としてはPt以外の元素を用いる。
又、電極材料となる仕込み粒子がミクロンオーダーであり、焼成後の電極中の粒子が長径3μmを超えることは、仕込み粒子が3つ以上程度凝集することを意味し、それだけ粒成長や凝集が過度となることを表すものと考えられる。一方、焼成後の電極中の粒子が長径2μm程度であれば、仕込み粒子のサイズと同等か、仕込み粒子がせいぜい2個凝集した程度であり、粒成長や凝集が少ないものと考えられる。
拡散律速部は、被測定ガスが流入する際の律速が行われるものであればよく、スリットの他、多孔質体等を用いることができ、アルミナ等からなる多孔質体を例示することができる。拡散律速部は、センサ内と外気(又は拡散律速部で区画される空間同士)の直接接触を遮断しつつガスをセンサ内に出入させ、センサ内の電極周囲の酸素濃度を安定化する。
この場合、第2測定室は、図1における固体電解質層111、121の間に画成され、第1及び第2測定室は拡散律速部で区画される。そして、内側第2ポンプ電極は固体電解質層121の上面に配置される。又、固体電解質層121の下面は外部に露出し、この露出面に対極第2ポンプ電極132が配置される。
内側第1ポンプ電極113の金属成分として、粒径10μmのPt粒子25wt%、粒径3μmのPt粒子74wt%、及び粒径2μmのAu粒子1wt%を混合した。このものに、粒径1μmのYSZ(5.4mol%Y2O3、94.6mol%ZrO2)粉末を、上記金属成分全体に対し18wt%加え、さらに所定の有機バインダー及び溶剤を加えてペーストを調製した。このペーストを第1固体電解質層111上にスクリーン印刷した。
内側第2ポンプ電極133の金属成分として、粒径10μmのPt粒子26wt%、粒径3μmのPt粒子74wt%を混合した。このものに、粒径1μmのYSZ(5.4mol%Y2O3、94.6mol%ZrO2)粉末を、上記金属成分全体に対し18wt%加え、さらに所定の有機バインダー及び溶剤を加えてペーストを調製した。このペーストを第3固体電解質層131上にスクリーン印刷した。
その他の電極は所定のPt系ペーストをスクリーン印刷し、各層を積層した後、全体を1150℃で60分間焼成してNOxセンサ(素子)を製造した。
ペースト: 金属成分として、粒径10μmのPt粒子22wt%、粒径3μmのPt粒子68wt%、及び粒径1μmのAg−Pd合金粒子10wt%を混合した。このものに、粒径1μmのYSZ(5.4mol%Y2O3、94.6mol%ZrO2)粉末を、上記金属成分全体に対し18wt%加え、さらに所定の有機バインダー及び溶剤を加えてペーストを調製した。なお、Ag−Pdは7:3(重量比)で合金化しているものを使用した。
各固体電解質層111〜131として以下のものを用い、全体を1480℃で60分間焼成したこと以外は、実施例1とまったく同様にしてNOxセンサ(素子)を製造した。
各固体電解質層:、粒径1μmのYSZ(5.4mol%Y2O3、94.6mol%ZrO2)粉末を所定のバインダーや分散剤と混合して水系スラリーとしたものを用い、このグリーンシートを作製した。
実施例1で得られたNOxセンサを800℃の炉内に設置し、炉内雰囲気を20%O2−残部N2としたときのNOxセンサの第1ポンピングセルからの出力電流-電圧特性を図2に示す。
又、実施例1で得られたNOxセンサを800℃の炉内に設置し、炉内雰囲気をそれぞれ、500ppmO2−残部He、及び1000ppmNO−残部HeとしたときのNOxセンサの第1ポンピングセルからの出力電流-電圧特性を図3に示す。
ここで、図2は、第1ポンピングセルにおける酸素のポンピング能力を示し、電流が高いほど、酸素のポンピング能力が高い。なお、以下では0.45Vのときの電流(密度)を酸素のポンピング能力の指標とした。
又、図3において、NOxセンサの動作電圧である0.45Vでの、各電流値(▲のプロットがIO2(酸素電流)、●のプロットがINO(NOx電流))を示し、NO分解特性は、(INO/IO2)×100で表される。
又、図5、図6は、それぞれ比較例で得られたNOxセンサの酸素のポンピング能力、及びNO分解特性を示し、それぞれ図1、図2に対応するものである。
実施例1及び比較例の内側第1ポンプ電極113の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で撮影した。又、内側第1ポンプ電極113をFIBで切断し、断面をEPMA(X線マイクロアナライザ)分析し、組成分布を測定した。
実施例1の内側第1ポンプ電極のSEM像及びEPMA像をそれぞれ図7、図8に示す。比較例の内側第1ポンプ電極のSEM像及びEPMA像をそれぞれ図9、図10に示す。
それぞれ図7、図9において、大きい粒子がPt(金属成分)を示し、細かい粒子がYSZを示す。なお、Auは今回のSEMやEPMA測定では検出限界以下であった。
又、図10において、電極断面部分の視野(面積)を画像から積分算出したところ160μm2であり、電極断面中に長径3μm以上のPt粒子が3つ観察された(図10の各矢印)。この長径3μm以上のPt粒子の面積を同様に算出すると、74μm2となり、電極全体の46.3%を占めることがわかった。
これらの原因は、各実施例の場合、比較例に比べて焼成温度が低く、Au成分がPtマトリクス中に取り込まれたりせず、Au本来の特性が維持されているためと考えられる。
又、電極表面のSEM像及びEPMA像より、比較例の場合、実施例1に比べてPt及びYSZが粒成長したことがわかる。このように、内側第1ポンプ電極の粒成長が抑えられることにより、触媒の活性点である三層界面の減少が抑えられ、触媒反応する活性部が多く存在するようになり、さらに電極本来のガス選択性が発揮されることで、特性の向上が得られたと考えられる。
10 NOxセンサ素子
110 第1ポンピングセル
111、121、131 固体電解質層
112 第1対極電極
113 内側第1ポンプ電極
132 第2対極電極
133 内側第2ポンプ電極
150 第1測定室
160 第2測定室
Claims (4)
- 間隔を開けて積層される第1固体電解質層及び第2固体電解質層の間に区画され外部から被測定ガスを導入する第1測定室と、
前記第1測定室に面して前記第1固体電解質層上に配置される内側第1ポンプ電極と該内側第1ポンプ電極の対極となる第1対極電極とを備え前記第1測定室内の酸素分圧を制御するための第1ポンピングセルと、
前記第1測定室に連通して周囲から区画され前記第1測定室から前記酸素分圧が制御された被測定ガスを導入する第2測定室と、
前記第2測定室内に設けられた内側第2ポンプ電極と該内側第2ポンプ電極の対極となる第2対極電極とを備え、前記第2測定室内の被測定ガス中のNOxを検出する第2ポンピングセルとを備え、
前記内側第1ポンプ電極は、金属成分として50質量%以上の白金族元素を主体としNOx不活性の第2成分を含む焼成電極であって、断面から見たときに長径3μm以上の粒子の面積率が30%以下であるNOxセンサ。 - 前記内側第2ポンプ電極は、前記第2固体電解質層、又は前記第2固体電解質層と間隔を開けて積層される第3固体電解質層上に配置され、
前記第1固体電解質層ないし前記第3固体電解質層のすべては、スカンジア安定化固体電解質を50質量%以上含む請求項1に記載のNOxセンサ。 - 前記内側第1ポンプ電極は、金属成分として50質量%以上のPtを主体とし、Au又はAg−Pd合金を前記第2成分として含む請求項1又は2に記載のNOxセンサ。
- 前記内側第2ポンプ電極は、金属成分としてPt単体からなり、又は50質量%以上のPtを主体とし白金族を含む焼成電極であって、断面から見たときに長径3μm以上の粒子の面積率が30%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のNOxセンサ。
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