JP2000121604A - ガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ

Info

Publication number
JP2000121604A
JP2000121604A JP10290662A JP29066298A JP2000121604A JP 2000121604 A JP2000121604 A JP 2000121604A JP 10290662 A JP10290662 A JP 10290662A JP 29066298 A JP29066298 A JP 29066298A JP 2000121604 A JP2000121604 A JP 2000121604A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
oxygen
flow path
gas
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10290662A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3583301B2 (ja
Inventor
Satoshi Sugaya
聡 菅谷
Noboru Ishida
昇 石田
Norihiko Nadanami
紀彦 灘浪
Tetsuo Yamada
哲生 山田
Takafumi Oshima
崇文 大島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP29066298A priority Critical patent/JP3583301B2/ja
Publication of JP2000121604A publication Critical patent/JP2000121604A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3583301B2 publication Critical patent/JP3583301B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】測定対象ガスに対する触媒能力が高い電極を備
えた高酸素ポンピング能力のポンプセルを有し正確な濃
度測定を可能とするガスセンサの提供。 【解決手段】第1流路2の内外にそれぞれ面して形成さ
れた第1内部・外部電極10、11を備え第1流路2か
ら酸素イオン伝導体を通じて酸素を汲み出し/汲み入れ
る第1ポンプセル6、第2流路4の内外にそれぞれ面し
て形成された第2内部・外部電極14、15を備え第2
流路4で測定対象ガス成分が反応することにより、測定
対象ガス成分の濃度に応じた電流が酸素イオン伝導体を
通じて電極14、15間に流れる第2ポンプセル8を有
する。第2内部電極13の少なくとも一部が白金族元素
とAgを含むためその触媒能力が高く、第2内部電極1
3上での測定対象ガスの反応が促進化、安定化され、測
定精度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスセンサに関し、
特に自動車、船舶、飛行機等の移動用、産業用の内燃機
関の排ガス中、或いはボイラ等の燃焼ガス中の窒素酸化
物濃度、HCガス濃度又はNH3ガス濃度の測定に用い
られるガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特定のガス成分濃度を測定する装
置、例えば窒素酸化物濃度測定装置として、互いに連通
する第1及び第2の空隙部、第1及び第2の空隙部にそ
れぞれ面する第1及び第2のポンプセルを有する検出器
を用いて、第1のポンプセルによって第1の空隙部から
酸素を汲み出し又は汲み入れ、低酸素濃度に制御された
ガスを第2の空隙部に拡散させ、第2のポンプセルによ
って低酸素濃度制御されたガス中の窒素酸化物を解離
し、解離して生じた酸素イオンが固体電解質中を移動す
ることにより第2のポンプセルに流れるポンプ電流量に
基づき窒素酸化物濃度を求めるものが提案されている。
【0003】上記第2のポンプセルは、酸素イオン伝導
性の固体電解質層と、この固体電解質層上に第2の空隙
部に面して形成された内部電極と第2の空隙部外に面し
て形成された外部電極とから構成される。例えば、特願
平9−347232号においては、上記第2のポンプセ
ルの第2の空隙部に面する内部電極として、Pt多孔質
電極を用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記P
t多孔質電極は、Ptと酸素イオン伝導性の固体電解質
であるZrO2との同時焼成によって形成されているた
め、Ptの粒成長などにより、3相界面(気相、触媒
相、酸素イオン伝導相)を十分に形成することが困難で
ある。そして、十分な3相界面が形成されない場合に
は、第2のポンプセルの酸素ポンピング能力が低下す
る。その結果、窒素酸化物(NOx)の解離によって生
成した酸素イオンを固体電解質層を通じて効率よくポン
ピングすることが困難となる問題が生じる。さらに、こ
れによって、窒素酸化物濃度の測定精度が低下するとい
う問題が生じる。
【0005】本発明は、測定対象ガスに対する触媒能力
が高い電極を備えた高酸素ポンピング能力のポンプセル
を有し正確な濃度測定を可能とするガスセンサを提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の視点に
おいて、第1の拡散抵抗部を通じて被測定雰囲気と連通
する第1の流路と、第2の拡散抵抗部を通じて前記第1
の流路と連通する第2の流路と、酸素イオン伝導体上
に、前記第1の流路の内外にそれぞれ面して形成された
多孔質電極を備え、該第1の流路から該酸素イオン伝導
体を介して酸素を汲み出し又は汲み入れる第1のポンプ
セルと、酸素イオン伝導体上に、前記第2の流路の内外
にそれぞれ面して形成された多孔質電極(以下、これら
を「第2の内部電極」、「第2の外部電極」とそれぞれ
いう)を備え、該第2の流路内の測定対象ガス成分が解
離或いは酸化又は還元されることにより、該測定対象ガ
ス成分の濃度に応じた電流が酸素イオンの伝導によって
該多孔質電極間に流れる第2のポンプセルと、を有し、
前記第2の内部電極の少なくとも一部が白金族元素とA
gを含む。
【0007】本発明は、第2の視点において、酸素イオ
ン伝導体上に、酸素濃度が制御されたガスが導入される
流路に面して形成され主たる電極成分として白金族元素
を含む一方の電極と、該流路に面さずに形成された他方
の電極と、を有し、前記酸素イオン伝導体に限界電流が
流れるように前記一方及び他方の電極間に印加される限
界電圧が、前記一方の電極を白金族元素の多孔質電極と
した場合に比べて低下するように、該一方の電極にAg
が添加されてなり、前記一方の電極上で、測定対象ガス
成分が反応して生じた酸素イオン、或いは該反応に消費
されなかった残余の酸素が解離して生じた酸素イオン
が、前記酸素イオン伝導体を伝導することによって流れ
る電流に基づいて該測定対象ガス成分の濃度を検出す
る。
【0008】本発明によるAg添加多孔質電極の酸素イ
オンを汲み出す能力自体は、従来の白金族元素多孔質電
極のそれと同等である。しかし、このAg添加多孔質電
極は測定対象ガス成分に作用する触媒能力が高いもので
ある。このため、このAg添加多孔質電極及びこれを備
えたポンプセルは、非限界領域における単位印加電圧当
たりの酸素ポンピング能力が、従来の白金族元素の多孔
質電極及びこれを備えたポンプセルに比べてそれぞれ高
いものであり、より低い印加電圧で限界電流が流れる。
【0009】例えば、本発明によるガスセンサを窒素酸
化物濃度測定に用いる場合、触媒能力が高いAg添加多
孔質電極上で窒素酸化物の解離が促進され、より低印加
電圧で短時間に、窒素酸化物が解離して生じた酸素イオ
ンを酸素イオン伝導体を通じて汲み出すことができる。
この結果、窒素酸化物濃度測定の検出精度や応答性が向
上する。
【0010】また、本発明によるガスセンサをHCガス
濃度測定に用いる場合、触媒能が向上されたAg添加多
孔質電極上でHCガス成分の酸化が促進され、効率よく
HCガスが酸化されて酸素が消費されるため、その酸素
の消費量から求められるHCガス濃度測定の検出精度や
応答性が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を説明する。
【0012】本発明の好ましい実施の形態においては、
測定対象ガス成分を解離或いは酸化又は還元させるため
に、酸素イオン伝導体上に形成された電極の少なくとも
一部が白金族元素とAgを含む。
【0013】本発明によるAg添加多孔質電極は、酸素
濃度が制御されたガスを形成して、酸素濃度が制御され
ガスに接触する電極が酸素イオン伝導体上に形成され、
該電極上で測定対象ガス成分が反応し、該酸素イオン伝
導体中を酸素イオンが伝導することにより流れる電流に
基づいて測定対象ガスの濃度を検出するガスセンサに、
好適に適用される。例えば、本発明によるAg添加多孔
質電極は、酸素を含む測定対象ガス成分、或いは酸化、
還元される測定対象ガス成分の濃度を測定するためのガ
スセンサに適用される。具体的には、窒素酸化物(NO
x)、或いはHC、NH3などの濃度を測定するための
ガスセンサに適用される。
【0014】窒素酸化物濃度を測定する場合、本発明に
よるガスセンサの好ましい実施の形態においては、第1
の流路に面してガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度測
定セルとガス中の酸素濃度がある一定の低酸素濃度にな
るように酸素を解離して生じた酸素イオンを酸素イオン
伝導体を通じて汲み出す第1のポンプセルと、を設け、
さらに、第1の流路に連通する第2の流路に面して一定
電圧が印加され窒素酸化物を解離し生じた酸素イオンを
汲み出すことにより窒素酸化物濃度に応じた電流が流れ
る第2のポンプセルを設ける。
【0015】HCガス濃度を測定する場合、本発明によ
るガスセンサの好ましい実施の形態においては、第1の
流路に面してガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度測定
セルとガス中の酸素濃度がある一定の低酸素濃度になる
ように酸素を解離して生じた酸素イオンを酸素イオン伝
導体を通じて汲み出す第1のポンプセルと、を設け、さ
らに、第1の流路に連通する第2の流路に面して一定電
圧が印加されてHCを酸化させ、消費されなかった残余
の酸素を解離し生じた酸素イオンを汲み出すことにより
HCガス成分に応じた電流が流れる第2のポンプセルを
設ける。NH3を測定する場合も、上記と同様にガスセ
ンサを構成することが好ましい。
【0016】本発明が適用されるガスセンサの好ましい
実施の形態においては、第1のポンプセル、第2のポン
プセル、さらに酸素濃度測定セルが別々の酸素イオン伝
導体層(順に図1の5−1、5−5、5−3)を含んで
構成される。
【0017】ここで、本発明によるガスセンサを用いた
窒素酸化物濃度測定の基本原理を説明する。すなわち、
第1の流路(図1の2)に面する第1の内部電極(図1
の11)上でO2が解離され、生じた酸素イオンが酸素
イオン伝導体(図1の5−1)を伝導する。これによっ
て、第2の流路(図1の4)へ拡散していくガス中の酸
素濃度が可及的に一定かつ低濃度に制御される。一方、
第2の流路に面する第2のポンプセル(図1の8)が備
える電極間(図1の14、15間)に流れる限界電流
は、理想的に、窒素酸化物が解離されて生じた酸素イオ
ンによる電流成分と、O2が解離されて生じた酸素イオ
ンによる電流成分の和から構成される。上記のような酸
素濃度一定制御を行うことにより、後者の電流成分を一
定と見なすことが可能である。よって、第2のポンプセ
ルに流れる限界電流に基づいて、窒素酸化物濃度の測定
が可能である。
【0018】次に、本発明によるガスセンサを用いたH
Cガス濃度測定の原理を説明する。すなわち、第1の流
路(図4の2)に面する第1の内部電極(図4の31)
上で、HCガス成分が酸化されないようにO2が解離さ
れ、生じた酸素イオンが酸素イオン伝導体(図4の5−
1)中を伝導する。これによって、第2の流路(図4の
4)へ拡散していくガス中の酸素濃度が可及的に一定か
つ低濃度に制御される。一方、第2の流路に面する第2
の内部電極(図4の34)上では、HCガス成分が酸化
されると共に、残余のO2が解離され、生じた酸素イオ
ンが酸素イオン伝導体(図4の5−4)中を伝導するこ
とにより、第2のポンプセル(図4の38)が備える電
極間(図4の33、34間)に電流が流れる。上記のよ
うな酸素濃度一定制御を行うことにより、解離されるO
2の量は第2の流路において酸化されるHCガス成分の
量によって決まるから、第2のポンプセルに流れる限界
電流の量は、HCガス濃度に応じたものとなる。よっ
て、第2のポンプセルに流れる限界電流に基づいて、H
Cガス濃度の測定が可能である。同様の原理に基づい
て、NH3などのガス濃度も測定可能である。
【0019】次に、本発明を窒素酸化物濃度検出器(N
Oxガスセンサ)に適用した場合の検出器の好ましい製
造例を説明する。図5は、本発明の一実施の形態に係る
窒素酸化物濃度検出器のレイアウトを説明するための図
である。なお、図5中の参照符号は、後述の図1に図示
された要素と図5に図示された要素との対応関係を示す
ためのものである。
【0020】図5を参照すると、この検出器は、ZrO
2グリーンシート及び電極用のペーストなどが積層され
焼成されることにより作製される。絶縁コート、電極用
のペースト材料は、所定のZrO2グリーンシートにス
クリーン印刷されることにより、絶縁層、電極が所定位
置に積層形成される。以下、ZrO2グリーンシートな
ど各構成部品の製造例を説明する。
【0021】[ZrO2グリーンシート成形]ZrO2
末を大気炉にて仮焼する。仮焼したZrO2粉末、分散
剤、有機溶剤を球石とともに混合し、分散させ、これに
有機バインダーを有機溶剤に溶解させたものを添加し、
混合してスラリーを得た。このスラリーからドクターブ
レード法により、厚さ0.4mm程度のZrO2グリーンシ
ートを作製し、乾燥する。
【0022】[印刷用ペースト] (1−a)第1のポンプセルの外部電極10、酸素濃度基
準電極13: Pt粉末、ZrO2粉末、適量の有機溶
剤を混合し、分散させ、これに有機バインダーを有機溶
剤に溶解させたものを添加し、さらに粘度調整剤を添加
し、混合してペーストを作製する。
【0023】(1−b)第2のポンプセルの内部電極14
及び外部電極15: Pt粉末、Ag粉末、ZrO2
末、適量の有機溶剤を混合し、分散させ、これに有機バ
インダーを有機溶剤に溶解させたものを添加し、さらに
粘度調整剤を添加し、混合してペーストを作製する。
【0024】(2)第1のポンプセルの内部電極11、酸
素濃度検知電極12: Pt粉末、Au粉末、ZrO2
粉末、適量の有機溶剤を混合し、分散させ、これに有機
バインダーを有機溶剤に溶解させたものを添加し、さら
に粘度調整剤を添加し、混合してペーストを作製する。
【0025】(3)絶縁コート、保護コート用: アルミ
ナ粉末と適量の有機溶剤を混合し、溶解させ、さらに粘
度調整剤を添加し、混合してペーストを作製する。
【0026】(4)Pt入り多孔質用(リード線用):
アルミナ粉末、白金粉末、有機バインダ、有機溶剤を調
合し、さらに粘度調整剤を添加し、混合してペーストを
作製する。
【0027】(5)第1及び第2の拡散抵抗部1、3用:
アルミナ粉末、有機バインダー、有機溶剤を混合し、
分散させ、さらに粘度調整剤を添加し、混合してペース
トを作製する。
【0028】(6)カーボンコート用: カーボン粉末、
有機バインダ、有機溶剤を混合し、分散させ、さらに粘
度調整剤を添加し、混合してペーストを作製する。な
お、カーボンコートを印刷形成することにより、一例を
挙げれば、電極間の電気的接触が防止される。また、カ
ーボンコートは流路(内部)空隙を形成するために用い
られる。カーボンは焼成途中で焼失するので、カーボン
コート層は焼成体には存在しない。
【0029】[ZrO2積層方法、脱バインダー及び焼
成]2層目と3層目のZrO2グリーンシート圧着後、
第2の拡散抵抗部が貫通する部分(直径1.3mm)を
打ち抜く。打ち抜き後、第2の拡散抵抗部となるグリー
ン円柱状成形体を埋め込み、全部のZrO2グリーンシ
ートを圧着する。圧着したグリーン成形体を、脱バイン
ダーし、焼成する。
【0030】なお、上記グリーン成形体の焼成を、大気
雰囲気、或いはAr、N2等の不活性雰囲気、又は酸素
濃度が2%以下の雰囲気で行うことが好ましい。
【0031】本発明の好ましい実施形態において、Ag
添加多孔質電極は、白金族元素として、Pt、Pd、R
h、Ir、Ru、Osの一種又は二種以上を含む。この
Ag添加多孔質電極は、白金族元素を、白金族元素同士
の合金或いは他の元素との合金という形態で含むことが
できる。
【0032】本発明の好ましい実施形態において、Ag
添加多孔質電極はAgを、単体、Ptなど白金族元素と
の合金、或いは酸化物などの化合物という形態で含むこ
とができる。
【0033】本発明の好ましい実施形態において、Ag
添加多孔質電極は、電極成分中Agを0.3〜4wt
%、さらに好ましくは0.3〜2wt%(特に2wt%
未満)含有する。また、本発明による好ましいAg添加
多孔質電極は、電極成分中、Agを0.5〜7mol
%、さらに好ましくは0.5〜3.6mol%含有し、
残部がPtなどの白金族元素とされる。これによって、
電極の触媒能力が向上される。また、原料中、白金族元
素含有粉末の平均粒径を1〜15μm、さらには2〜1
0μm、Ag含有粉末の平均粒径を0.5〜25μm、
さらには1〜20μmとすることが好ましい。
【0034】本発明の好ましい実施形態においては、第
2のポンプセルの内部電極の一部、例えば、第2の流路
に直接的に面する外周部分のみを、Ag添加多孔質電極
とする。
【0035】本発明の好ましい実施形態において、Ag
添加多孔質電極中、Ag含有粉末が他の粉末、例えば白
金族元素含有粉末に担持されている。
【0036】本発明によるガスセンサの好ましい実施の
形態においては、第2のポンプセルの外部電極の少なく
とも一部をAg添加多孔質電極とする。
【0037】本発明によるガスセンサの好ましい実施の
形態においては、酸素イオン伝導体上に形成され、ガス
センサに導入されたガス中の酸素濃度を一定とするため
に、酸素イオン伝導体を介して流路(図1の第1の流路
2)内から酸素を汲み出し又は汲み入れるための電極の
少なくとも一部が、白金族元素とAu及び/或いはCu
を含む。これによって、酸素濃度を制御するための流路
における第1の測定対象ガス成分の反応が抑制されつつ
酸素ポンピング能力が大きく向上される。この結果、測
定精度も向上される。
【0038】本発明によるガスセンサの好ましい実施の
形態においては、ガスセンサに導入されたガスに接触し
て、酸素イオン伝導体上に形成され、ガス中の酸素濃度
を測定するための電極、すなわち酸素濃度検知電極の少
なくとも一部が白金族元素とAu及び/或いはCuを含
む。この酸素濃度検知電極は、酸素濃度を制御するため
の流路(図1の第1の流路)、又は上記流路と拡散抵抗
部(図1の第2の拡散抵抗部3)を通じて連通する別の
流路(図1の第2の流路4)に面して、或いはこの拡散
抵抗部内において、酸素イオン伝導体上に形成すること
ができる。好ましくは、この電極に発生する電位(酸素
濃淡電池起電力)に基づいて、上記酸素を汲み出す/汲
み入れるための電極に印加する電圧を制御し、酸素濃度
が一定に制御されたガスを形成する。酸素濃度検知電極
をAu及び或いはCu添加白金族多孔質電極とすること
により、酸素濃度を制御するための流路における第1の
測定対象ガス成分の反応が抑制される。この結果、測定
精度も向上される。
【0039】本発明によるガスセンサの好ましい実施形
態においては、第1の流路に面して酸素濃度を検出する
ために設けた酸素濃度検知電極(酸素分圧検知電極)と
対向或いは平行するように、且つ被測定ガスに接触しな
いように設けられた酸素濃度基準電極(酸素分圧基準電
極)が、自己生成基準極とされる。例えば、酸素濃度基
準電極に外部から微少電流が供給される。或いは、酸素
濃度基準電極側へ酸素が汲み出されるように電圧が印加
される。これによって、酸素イオンの固体電解質層中の
伝導或いはリード線を介して、酸素が酸素濃度基準電極
に供給され、酸素濃度基準電極上及び近傍の雰囲気が、
高酸素濃度雰囲気ないし酸素濃度約100%の雰囲気と
される。
【0040】本発明の好ましい実施形態において、第1
の流路に面して酸素濃度を検出するために設けた酸素濃
度検知電極(酸素分圧検知電極)と対向或いは平行する
ように、且つ被測定ガスに接触しないように設けられた
酸素濃度基準電極(酸素分圧基準電極)が、大気基準極
とされる。例えば、酸素濃度基準電極を大気に連通する
流路に面して固体電解質層上に形成する。或いは、酸素
濃度基準電極をリード線を介して大気に連通させる。
【0041】
【実施例】以上説明した本発明の実施の形態をさらに明
確化するために、以下図面を参照して、本発明の一実施
例を説明する。
【0042】[実施例1]まず、本発明によるガスセン
サを窒素酸化物濃度検出器に適用した場合の一実施例を
説明する。この検出器は、実施の形態の欄で上述した製
造例に従い作製されたものである。図1は、本発明の実
施例1に係る窒素酸化物濃度検出器を説明するための図
であり、検出器の先端部を長手方向に沿って積層方向に
切断した断面を示している。
【0043】図1を参照すると、この検出器は、酸素イ
オン伝導性の固体電解質層とされた第1層5−1、…、
第5層5−5が順に積層されて構成されている。なお、
各固体電解質層間には絶縁層が形成されているが、これ
に代えて、第2層5−2及び第4層5−4自体を絶縁層
により形成してもよい。さらに、第2層5−2と同層
に、第1層5−1、第2層5−2及び第3層5−3に囲
まれて、第1の流路2が画成されている。第4層5−4
と同層に、第3層5−3、第4層5−4及び第5層5−
5に囲まれて第2の流路4が画成されている。第2層5
−2の両側面の一部には、第1の拡散抵抗部1が形成さ
れている。第1の流路2の一側は、第1の拡散抵抗部1
を通じて被測定雰囲気に連通している。第3層5−3中
には、第2の拡散抵抗部3が形成されている。第2の拡
散抵抗部3の一側は、第1の流路2の他側(第1の拡散
抵抗部1から離間した位置)に開口している。第2の拡
散抵抗部3の他側は、第2の流路4に開口している。こ
れによって、第1の流路2と第2の流路4は拡散抵抗を
介して互いに連通している。
【0044】酸素イオン伝導性の固体電解質層である第
1層5−1の被測定雰囲気に面する一面上には第1の外
部電極10、その第1の流路2に面する他面上には第1
の内部電極11が形成されている。但し、第1の内部電
極11の長さは、第1の外部電極10の長さより短くさ
れ、第1の拡散抵抗部1近傍から第2の拡散抵抗部3の
開口直上直前まで延在している。第1のポンプセル6
は、第1層5−1、第1の外部電極10及び第1の内部
電極11から構成される。
【0045】酸素イオン伝導性の固体電解質層である第
3層5−3の第1の流路2に面する一面上には、酸素濃
度検知電極12が第2の拡散抵抗部3の開口周囲に形成
されている。第3層5−3の他面上(第3層5−3、第
4層5−4間)には、酸素濃度基準電極13が形成され
ている。酸素濃度測定セル7は、第3層5−3、酸素濃
度検知電極12及び酸素濃度基準電極13から構成され
る。
【0046】酸素イオン伝導性の固体電解質層である第
5層5−5の一面上、第2の流路4に面して第2の内部
電極14が形成され、第2の流路2外(第4層5−4、
第5層5−5間)には第2の外部電極15が形成されて
いる。第2のポンプセル8は、第5層5−5、第2の内
部電極14及び第2の外部電極15から構成される。
【0047】ここで、第2の内部電極11及び第2の外
部電極13は、電極成分として平均粒径2〜10μmの
Pt粉末:98wt%と平均粒径1〜20μmのAg粉
末:1.7wt%(3mol%)、これらの電極成分1
00重量部に対してZrO2:14重量部、さらにバイ
ンダーとして適量のエチルセルロース(7cps)を調
合し、ライカイ機を用いてペーストを作製し、以下、実
施の形態の欄で上述したように形成したものである。
【0048】また、検出器を適温で動作させるために、
検出器の上層及び/又は下層にヒータ(不図示)が設置
ないし貼着される。
【0049】次に、この検出器に接続された電気回路に
ついて説明する。引き続き図1を参照すると、第1の内
部電極11、酸素濃度検知電極12、第2の内部電極1
4がリード部及び抵抗20を介して接地されている。差
動増幅器24の非反転入力端子には基準電圧源23から
基準電圧Vsが入力され、反転入力端子には酸素濃度基
準電極13がリード部を介して電気的に接続され、結
局、この反転入力端子には酸素濃度検知電極12と酸素
濃度基準電極13間の電位差(酸素濃淡電池起電力)が
入力される。さらに、この反転入力端子と酸素濃度基準
電極13間の節点には、酸素濃度基準電極13に微少電
流Icpを供給してその周囲に一定濃度の酸素雰囲気
(酸素基準室)が形成されるように、抵抗22を介して
酸素基準極生成電源21が電気的に接続されている。差
動増幅器24の出力端子は、抵抗25及びリード部を介
して第1の外部電極10に電気的に接続されている。差
動増幅器24は、酸素濃度検知電極12と酸素濃度基準
電極13間の電位差が基準電圧Vsに等しくなるよう
に、第1の外部電極10、第1の内部電極11間に電圧
を可変に印加する。第1の外部電極30、第1の内部電
極31上ではO2が解離され、生じた酸素イオンが第1
層(固体電解質層)5−1を伝導して、他方の電極上で
再びO2となる。抵抗25には、第1の流路2内の酸素
濃度、すなわち被測定雰囲気の酸素濃度に応じて第1の
ポンプ電流Ip1が正方向又は逆方向に流れる。この第
1のポンプ電流Ip1に基づき被測定ガス中の酸素濃度
を求めることができる。
【0050】増幅器27の非反転入力端子には、定電圧
源26が接続され定電圧Vp2が入力している。増幅器
27の出力端子は、抵抗28及びリード部を介して第2
の外部電極15に電気的に接続されている。これによっ
て、第2の内部電極14と第2の外部電極15間に定電
圧が印加され、第2の内部電極14上では窒素酸化物
(代表的にはNO)及びO2が解離され、生じた酸素イ
オンが第5層(固体電解質層)5−5を伝導して第2外
部電極15上で再びO2となる。第2の流路4において
酸素濃度は可及的に一定とされているため、抵抗28に
は窒素酸化物濃度に応じた第2のポンプ電流Ip2が流
れる。また、増幅器27の反転入力端子と、増幅器27
の出力端子と抵抗28間の節点との間に電流計を接続す
ることにより、この第2のポンプ電流Ip2を取り出す
ことができる。
【0051】以上説明した本発明の実施例1に係る窒素
酸化物濃度検出器を用いて、種々の試験を行った。ま
た、比較例として、第1の内部電極及び酸素濃度検知電
極(図1の11、12)の電極成分を、Pt:99%と
した以外は実施例1に係る検出器と同様に、窒素酸化物
濃度検出器を作製した。
【0052】[試験例1]実施例1と比較例の検出器に
ついて、第2のポンプセルの限界電流特性を評価した。
試験条件は下記の通りである。
【0053】[試験例1の試験条件] 被測定ガス組成:(1) O2(750ppm)+N2(bal.)、 (2) NO(1500ppm)+N2(bal.)、 被測定ガス温度:680℃、検出部温度:800℃、 第1のポンプセルへの電圧印加:行わない、 第2のポンプセルへの印加電圧:0〜800mV(0.8mV/
sec スイープ通電)、 酸素濃度一定制御:行わない。
【0054】[試験例1−1]まず、実施例1及び比較
例の検出器に、上記(1)の組成を有する被測定ガスを
それぞれ投入し、酸素濃度測定セルの出力に基づく酸素
濃度一定制御を行わずに、第2のポンプセルへ印加する
電圧Vp2を強制的に変えて第2のポンプ電流Ip2を
測定することにより、酸素に対する第2のポンプセルの
限界特性をそれぞれ調べた結果を説明する。図2は、実
施例1及び比較例の検出器について、酸素に対する第2
のポンプセルの限界特性をそれぞれ示すグラフである。
【0055】図2を参照すると、両検出器の電流Ip2
−電圧Vp2曲線はほぼ重複する。よって、実施例1に
係るAg添加多孔質電極の酸素イオンを汲み出す能力自
体は、比較例に係るPt多孔質電極のそれと同等である
ことが分かる。
【0056】[試験例1−2]次に、実施例1及び比較
例の検出器に、上記(2)の組成を有する被測定ガスを
それぞれ投入し、NOに対する第2のポンプセルの限界
特性をそれぞれ調べた結果を説明する。図3(A)は、
実施例1及び比較例の検出器について、NOに対する第
2のポンプセルの限界特性をそれぞれ示すグラフであ
り、図3(B)は図3(A)中Vp2:0〜200mV
の部分を拡大して示すグラフである。
【0057】図3(A)及び図3(B)を参照すると、
印加電圧Vp2が低い非限界領域において、Ag添加多
孔質電極を用いた実施例1の検出器の方が、Pt多孔質
電極を用いた比較例の検出器より、その特性曲線の立ち
上がりが早い。また、同じ印加電圧Vp2に対して、実
施例1の検出器の方が、比較例の検出器より、第2のポ
ンプセルに流れる電流量Ip2が多い。そして、実施例
1の方がより低い印加電圧で限界電流が流れる(限界電
圧が低い)。
【0058】再度図2を参照すると、両検出器の酸素イ
オンを汲み出す能力自体は同等である。従って、総合す
ると、Ag添加多孔質電極を用いた実施例1の検出器の
方が、Pt多孔質電極を用いた比較例の検出器より、N
Oを解離させる触媒能力が高いことが分かる。この結
果、実施例1に係る検出器の第2のポンプセルの方が、
比較例に係る検出器の第2のポンプセルより、酸素ポン
ピング能力が高くなる。
【0059】表1に、以上の2つの試験結果について、
第2のポンプセルへの印加電圧Vp2と第2のポンプ電
流Ip2との関係をそれぞれ回帰分析した結果を示す。
表1中、傾き(a)値が大きいほど酸素イオンを汲み出す
能力又はNO解離能力が高く、NOに関して切片(b)値
が大きいほどNO解離能力が高いことを示している。
【0060】よって表1中、「NO=1500ppm」
の欄において、実施例1の傾き(a)の値の方が大きいこ
とからも、実施例1に係るAg添加多孔質電極の方がN
Oを解離する触媒能力が高く、比較例のPt多孔質電極
を用いた場合よりも、NOの解離が促進されていること
が分かる。
【0061】また、表1中、実施例1の方がb(切片)
の値が大きいことから、実施例1の方が第2のポンプセ
ルに生じる酸素濃淡差が大きいことが分かる。なお、b
(切片)の値は、第2のポンプセルの(図1の第2の内
部電極13)と外部電極(図1の14)間に電圧が印加
されない状態で、第2のポンプセルに流れる第2のポン
プ電流Ip2の大きさを示している。従って、実施例1
に係るAg添加多孔質電極の方が、この電極に吸着した
2或いはNOを解離して、O2-へイオン化する触媒能
力が比較例のPt多孔質電極よりも優れていることが分
かる。
【0062】
【表1】線形回帰直線の各データ{傾き(a)、切片
(b)} 注1)O2のデータはVp2=20〜50mV間で計算 注2)NOのデータはVp2=20〜100mV間で計
【0063】以上の試験結果を考察すると、第2のポン
プセルの内部電極としてAg添加多孔質電極を用いるこ
とにより、第2の流路内に導入されたNOの解離分解反
応が促進されるため、比較例のように第2のポンプセル
の内部電極としてPt多孔質電極を用いる場合に比べ
て、第2の流路内に導入されたガス中のNOが常に安定
して十分に早く解離される。この結果、第2のポンプセ
ルに流れる第2のポンプ電流(NO濃度検出電流)に基
づく、NO濃度測定の精度及び応答性が向上すると考え
られる。
【0064】また、同様に、本発明をHCガスセンサに
適用した場合も、第2の内部電極として白金族元素にA
gを添加した電極を用いることにより、第2の流路内に
導入されたガス中のHCを効率よく触媒反応させること
が可能となり、HCガス濃度の検出精度及び応答性が向
上すると考えられる。以下に、本発明をHCガス濃度検
出器に適用した場合の一実施例を説明する。
【0065】[実施例2]実施例2として、本発明をH
Cガス濃度検出器に適用した場合の一実施例を説明す
る。この検出器も、実施の形態の欄で上述した窒素酸化
物濃度検出器の製造例とほぼ同様に作製されたものであ
る。図4は、本発明の実施例2に係るHCガス濃度検出
器を説明するための図であり、検出器を長手方向に沿っ
て積層方向に切断した断面を示している。なお、図4
中、図1に示した要素と同様の機能を有する要素には、
同一の参照符号を付けた。
【0066】図4を参照すると、この検出器は、酸素イ
オン伝導性の固体電解質層とされた第1層5−1、…、
第6層5−6が順に積層されて構成されている。なお、
酸素イオン伝導性の固体電解質層間には絶縁層が形成さ
れているが、これに代えて、第2層5−2及び第5層5
−5自体を絶縁層により形成してもよい。さらに、第2
層5−2と同層に、第1層5−1、第2層5−2及び第
3層5−3に囲まれて、第1の流路2が画成されてい
る。第5層5−5と同層に、第4層5−4、第5層5−
5及び第6層5−6に囲まれて第2の流路4が画成され
ている。第2層5−2の両側面の一部には、第1の拡散
抵抗部1が形成されている。第1の流路2の一側は、第
1の拡散抵抗部1を通じて被測定雰囲気に連通してい
る。第3層5−3及び第4層5−4中には、第2の拡散
抵抗部3が両層を貫通して形成されている。第2の拡散
抵抗部3の一側は、第1の流路2の他側(第1の拡散抵
抗部1から離間した位置)に開口している。第2の拡散
抵抗部3の他側は、第2の流路4に開口している。これ
によって、第1の流路2及び第2の流路4は拡散抵抗を
介して互いに連通している。
【0067】酸素イオン伝導性の固体電解質層である第
1層5−1の被測定雰囲気に面する一面上には第1の外
部電極30、第1の流路2に面する他面上には第1の内
部電極31が形成されている。但し、第1の内部電極3
1の長さは、第1の外部電極30の長さより短くされ、
第1の拡散抵抗部1近傍から第2の拡散抵抗部3の開口
直上直前まで延在している。第1のポンプセル6は、第
1層5−1、第1の外部電極30及び第1の内部電極3
1から構成される。
【0068】酸素イオン伝導性の固体電解質層である第
3層5−3の第1の流路2に面する一面上には、酸素濃
度検知電極32が第2の拡散抵抗部3の開口周囲に形成
されている。第3層5−3の他面上(第3層5−3と第
4層5−4間)には、酸素濃度基準電極33が形成され
ている。酸素濃度測定セル7は、第3層5−3、酸素濃
度検知電極32及び酸素濃度基準電極33から構成され
る。
【0069】酸素イオン伝導性の固体電解質層である第
4層5−4の第2の流路4に面する一面上には、第2の
内部電極34が形成されている。第2のポンプセル38
は、第4層5−4、第2の内部電極34及び酸素濃度基
準電極33から構成される。
【0070】また、検出器を適温で動作させるために、
検出器の上層及び/又は下層にヒータ(不図示)が設置
ないし貼着される。
【0071】次に、この検出器に接続された電気回路に
ついて説明する。引き続き図4を参照すると、第1の内
部電極31、酸素濃度検知電極32がリード部及び抵抗
39を介して接地されている。差動増幅器43の非反転
入力端子には基準電圧源42から基準電圧Vsが入力さ
れ、反転入力端子には酸素濃度基準電極33がリード部
を介して電気的に接続され、結局、この反転入力端子に
は酸素濃度検知電極32と酸素濃度基準電極33間の電
位差(酸素濃淡電池起電力)が入力される。さらに、こ
の反転入力端子と酸素濃度基準電極33間の節点には、
酸素濃度基準電極33に微少電流Icpを供給してその
周囲に一定濃度の酸素雰囲気(酸素基準室)が形成され
るように、抵抗41を介して酸素基準極生成電源40が
電気的に接続されている。差動増幅器43の出力端子
は、抵抗44及びリード部を介して第1の外部電極30
に電気的に接続されている。差動増幅器43は、酸素濃
度検知電極32と酸素濃度基準電極33間の電位差が基
準電圧Vsに等しくなるように、第1の外部電極30、
第1の内部電極31間に電圧を可変に印加する。第1の
外部電極30又は第1の内部電極31上ではO2が解離
され、生じた酸素イオンが第1層(固体電解質層)5−
1を伝導して、他方の電極上で再びO2となる。抵抗4
4には、第1の流路2、すなわち被測定雰囲気の酸素濃
度に応じて第1のポンプ電流Ip1が正方向又は逆方向
に流れる。この第1のポンプ電流Ip1に基づいて被測
定ガス中の酸素濃度を求めることができる。
【0072】定電圧源45のプラス側は酸素濃度基準電
極33に電気的に接続され、そのマイナス側は抵抗46
を介して第2の内部電極34に電気的に接続されてい
る。これによって、酸素濃度基準電極33と第2の内部
電極34間に定電圧が印加され、第2の内部電極34上
でHCガス成分が酸化されて酸素が消費されると共に、
残余のO2が解離され生じた酸素イオンが第4層5−4
を伝導し、酸素濃度基準電極33上で再びO2となる。
第2の流路4において酸素濃度は可及的に一定とされて
いるため、抵抗46には、HCガス濃度に応じた第2の
ポンプ電流Ip2が流れる。この第2のポンプ電流Ip
2に基づいて、HCガス濃度を求めることができる。
【0073】
【発明の効果】本発明のガスセンサによれば、測定対象
ガス成分の濃度を検出するための流路に面する第2の内
部電極として、Ag添加多孔質電極を用いることによ
り、この電極上における測定対象ガス成分の反応が促進
され、この結果、該電極を備えた第2のポンプセルの酸
素ポンピング能力が結果的に高められ、このポンプセル
を備えたガスセンサを用いて測定対象ガス成分の濃度を
より正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る窒素酸化物濃度検出器
の説明図であり、検出器の先端部を長手方向に沿って積
層方向に切断した断面を示す。
【図2】実施例1及び比較例の検出器について、O2
対する第2のポンプセルの限界特性をそれぞれ示すグラ
フである。
【図3】(A)及び(B)は、実施例1及び比較例の検
出器について、NOに対する第2のポンプセルの限界特
性をそれぞれ示すグラフであり、(B)は、(A)中、
Vp2:0〜200mVの部分を拡大したグラフであ
る。
【図4】本発明の実施例2に係るHCガス濃度検出器の
説明図であり、検出器の先端部を長手方向に沿って積層
方向に切断した断面を示す。
【図5】本発明の一実施の形態に係る窒素酸化物濃度検
出器のレイアウトを説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1の拡散抵抗部 2 第1の流路 3 第2の拡散抵抗部 4 第2の流路 5−1、…5−6 第1層、…、第6層 6 第1のポンプセル 7 酸素濃度測定セル 8 第2のポンプセル 10 第1の外部電極 11 第1の内部電極 12 酸素濃度検知電極 13 酸素濃度基準電極 14 第2の内部電極 15 第2の外部電極 20 抵抗 21 酸素基準極生成電源 22 抵抗 23 基準電圧源 24 差動増幅器 25 抵抗 26 定電圧源 27 増幅器 28 抵抗 30 第1の外部電極 31 第1の内部電極 32 酸素濃度検知電極 33 酸素濃度基準電極 34 第2の内部電極 38 第2のポンプセル 39 抵抗 40 酸素基準極生成電源 41 抵抗 42 基準電圧源 43 差動増幅器 44 抵抗 45 定電圧源 46 抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 灘浪 紀彦 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 山田 哲生 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 大島 崇文 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の拡散抵抗部を通じて被測定雰囲気と
    連通する第1の流路と、 第2の拡散抵抗部を通じて前記第1の流路と連通する第
    2の流路と、 酸素イオン伝導体上に、前記第1の流路の内外にそれぞ
    れ面して形成された多孔質電極を備え、該第1の流路か
    ら該酸素イオン伝導体を介して酸素を汲み出し又は汲み
    入れる第1のポンプセルと、 酸素イオン伝導体上に、前記第2の流路の内外にそれぞ
    れ面して形成された多孔質電極(以下、これらを「第2
    の内部電極」、「第2の外部電極」とそれぞれいう)を
    備え、該第2の流路内の測定対象ガス成分が解離或いは
    酸化又は還元されることにより、該測定対象ガス成分の
    濃度に応じた電流が酸素イオンの伝導によって該多孔質
    電極間に流れる第2のポンプセルと、を有し、 前記第2の内部電極の少なくとも一部が白金族元素とA
    gを含むことを特徴とするガスセンサ。
  2. 【請求項2】前記第2の内部電極において、Agが、白
    金族元素とAgの合量に対して、0.3〜4wt%含有
    されていることを特徴とする請求項1記載のガスセン
    サ。
  3. 【請求項3】前記測定対象ガス成分が、NOx、HC、
    NH3のいずれか一であることを特徴とする請求項1又
    は2記載のガスセンサ。
  4. 【請求項4】酸素イオン伝導体上に、酸素濃度が制御さ
    れたガスが導入される流路に面して形成され主たる電極
    成分として白金族元素を含む一方の電極と、該流路に面
    さずに形成された他方の電極と、を有し、 前記酸素イオン伝導体に限界電流が流れるように前記一
    方及び他方の電極間に印加される限界電圧が、前記一方
    の電極を白金族元素の多孔質電極とした場合に比べて低
    下するように、該一方の電極にAgが添加されてなり、 前記一方の電極上で、測定対象ガス成分が反応して生じ
    た酸素イオン、或いは該反応に消費されなかった残余の
    酸素が解離して生じた酸素イオンが、前記酸素イオン伝
    導体を伝導することによって流れる電流に基づいて該測
    定対象ガス成分の濃度を検出することを特徴とする濃度
    測定セル。
JP29066298A 1998-10-13 1998-10-13 ガスセンサ Expired - Fee Related JP3583301B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29066298A JP3583301B2 (ja) 1998-10-13 1998-10-13 ガスセンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29066298A JP3583301B2 (ja) 1998-10-13 1998-10-13 ガスセンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000121604A true JP2000121604A (ja) 2000-04-28
JP3583301B2 JP3583301B2 (ja) 2004-11-04

Family

ID=17758879

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29066298A Expired - Fee Related JP3583301B2 (ja) 1998-10-13 1998-10-13 ガスセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3583301B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7351318B2 (en) 2001-12-12 2008-04-01 Denso Corporation Gas sensing element
JP2016125889A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ制御装置
JP2016125891A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子およびガスセンサ
JP2017207467A (ja) * 2016-05-17 2017-11-24 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子
CN109613099A (zh) * 2018-12-12 2019-04-12 厦门海赛米克新材料科技有限公司 片式氧传感装置、发动机排气管和机动车
CN117418925A (zh) * 2023-12-19 2024-01-19 四川智感蔚蓝科技有限公司 一种氮氧传感器的泵氧控制方法、装置、介质和设备

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7351318B2 (en) 2001-12-12 2008-04-01 Denso Corporation Gas sensing element
JP2016125889A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ制御装置
JP2016125891A (ja) * 2014-12-26 2016-07-11 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子およびガスセンサ
JP2017207467A (ja) * 2016-05-17 2017-11-24 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子
JP2017207466A (ja) * 2016-05-17 2017-11-24 日本特殊陶業株式会社 ガスセンサ素子
CN109613099A (zh) * 2018-12-12 2019-04-12 厦门海赛米克新材料科技有限公司 片式氧传感装置、发动机排气管和机动车
CN117418925A (zh) * 2023-12-19 2024-01-19 四川智感蔚蓝科技有限公司 一种氮氧传感器的泵氧控制方法、装置、介质和设备
CN117418925B (zh) * 2023-12-19 2024-02-13 四川智感蔚蓝科技有限公司 一种氮氧传感器的泵氧控制方法、装置、介质和设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP3583301B2 (ja) 2004-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6773565B2 (en) NOx sensor
JP3701114B2 (ja) NOx分解電極の酸化防止方法
JP4632506B2 (ja) NOxガス検出装置
JP3587290B2 (ja) NOxガスセンサ
JP3855771B2 (ja) 多孔質電極、これを含む電気化学素子及びガス濃度検出センサ、並びに酸素分圧の制御方法及び可燃性ガスの検出方法
JP3643709B2 (ja) ガス濃度測定装置及びガス濃度測定方法
US6325906B1 (en) Gas sensor and apparatus for measuring combustible gas component concentration using the same
JP3583301B2 (ja) ガスセンサ
JP2002243692A (ja) 窒素酸化物ガスセンサ
JP3943262B2 (ja) NOxガス濃度測定装置及びNOxガス濃度測定方法
JP3176890B2 (ja) 被測定ガス中の窒素酸化物濃度の測定方法及び窒素酸化物濃度検出器
JP4153238B2 (ja) 電気化学的酸素ポンプセルおよびそれを用いた窒素酸化物検知装置
JP3519228B2 (ja) NOxガス濃度検出器
JP3494929B2 (ja) ガスセンサ
JP4165982B2 (ja) ガスセンサ
JP2002005883A (ja) 窒素酸化物ガスセンサ
JP2002236107A (ja) ガス検知素子およびそれを用いたガス検出装置
JP4165976B2 (ja) ガスセンサ
EP0987547A2 (en) Gas sensor
JP4213939B2 (ja) ガス検出装置
JP2001041927A (ja) 窒素酸化物ガスセンサ
JPH1144671A (ja) ガスセンサ
JP2001083117A (ja) 窒素酸化物ガスセンサ
JPH11132995A (ja) 窒素酸化物検出装置
JP2001221772A (ja) 電気化学センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040423

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040727

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040728

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090806

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090806

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090806

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100806

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100806

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110806

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110806

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120806

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120806

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120806

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120806

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees