JP2016115592A - 固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形燃料電池、高温水蒸気電気分解装置 - Google Patents

固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形燃料電池、高温水蒸気電気分解装置 Download PDF

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佳宏 舟橋
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Abstract

【課題】燃料極と固体電解質層との間における高抵抗層の形成を抑制ができ、燃料極と固体電解質層との間における電気伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セル、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置の提供。【解決手段】固体電解質層2と、固体電解質層2の一方の側に形成されてなる燃料極3と、固体電解質層2の他方の側に形成されてなる空気極4とを有する固体酸化物形電気化学セル1であって、燃料極3はNiを含有し、固体電解質層2は、La及びGaを有するペロブスカイト構造の酸化物を含有し、燃料極3と固体電解質層2との間に、ペロブスカイト構造の酸化物のAサイトに含有される元素と同じ種類の元素aと、Mnと、を含む中間層5を備える固体酸化物形電気化学セル。【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形燃料電池、及び高温水蒸気電気分解装置に関し、さらに詳しくは、燃料極と固体電解質層との間における高抵抗層の形成を抑制することができ、燃料極と固体電解質層との間における電気伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セル、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置に関する。
水素と酸素とを用いて発電することのできる固体酸化物形燃料電池、又は水を電気分解して水素と酸素とを発生させる高温水蒸気電気分解装置を構成する部材として、固体酸化物形電気化学セルが用いられる。固体酸化物形電気化学セルは、酸素極と固体電解質層と燃料極とを有する。燃料極は、通常、Niを含有する。
固体酸化物形電気化学セルを作製する際には、燃料極の焼結前駆体の表面に固体電解質層の焼成前駆体を形成することにより得られる積層体を焼成する方法が用いられる。焼成の過程において、燃料極の焼成前駆体に含有されるNiが、固体電解質層の焼成前駆体へと拡散する。拡散したNiが固体電解質層における固体酸化物へ固溶することにより、固体電解質層における固体酸化物は、元々備えていた酸化物イオン伝導性に加えて、電子伝導性を発現するようになる。これにより、固体電解質層の内部において電気短絡が起こってしまい、設計値通りの起電力を得ることが出来なくなることがある。このような固体電解質層における電子伝導性の発現による電気短絡(以下、「内部短絡」と称することがある。)の発生を抑制するための技術として、例えば、特許文献1及び2に開示された発明が挙げられる。
例えば、特許文献1には、「前記燃料極は、Ni及びNiOの少なくとも一方を含み、前記固体電解質層は、La及びGaを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物とMgOとを含み、前記固体電解質層において前記MgOは粒子状のMgO粒子となって前記一側面側に偏在することを特徴とする固体電解質形燃料電池」が開示されている(特許文献1の請求項1参照)。特許文献1に開示された発明によると、固体電解質層と燃料極との界面付近におけるMgOとNiとが反応することにより、燃料極におけるNiが固体電解質層へと拡散することを抑制することができる。しかし、MgOは絶縁体であり固体電解質層における電気特性を低下させるので、特許文献1に開示された固体酸化物形燃料電池は、発電性能が十分ではないという問題がある。
また、特許文献2には、「前記燃料極と前記固体電解質との界面近傍には、前記固体電解質及び前記燃料極のそれぞれの固有の構成材料に基づく組成よりも高濃度にFe及びCoの少なくとも一方の元素を含有する拡散層を有する、固体酸化物形燃料電池」が開示されている(特許文献2の請求項1参照)。拡散層におけるFe及びCoは、水素等に晒される還元雰囲気では、還元され単体金属化する可能性があるとともに、高出力が得られる通電状態のように、比較的酸素分圧の高い雰囲気では、NiよりもFe及びCoの方が酸化されやすい。これにより、特許文献2に開示された固体酸化物形燃料電池は、高出力を得る運転条件下において、電極構造が繰り返し変化する可能性があり、長期耐久性が良好ではない。特許文献2に開示された固体酸化物形燃料電池は、使用条件によって徐々に拡散層の強度が低下するなどの問題があるため、使用条件が制限される。
特開2012−156007号 特開2011−216464号
本発明が解決しようとする課題は、燃料極と固体電解質層との作製段階における元素拡散により、固体電解質層に電子伝導性が発現することを抑制することができ、固体電解質層における内部短絡の発生を抑制した固体酸化物形電気化学セルを提供し、前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、
(1)固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、前記固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極とを有する固体酸化物形電気化学セルであって、前記燃料極はNiを含有し、前記固体電解質層は、La及びGaを有するペロブスカイト構造の酸化物を含有し、前記燃料極と前記固体電解質層との間に、前記ペロブスカイト構造の酸化物のAサイトに含有される元素と同じ種類の元素aと、Mnと、を含む中間層を備えることを特徴とする固体酸化物形電気化学セル、
(2)前記ペロブスカイト構造の酸化物は、Laの一部が、Sr及びCaのいずれか一方又は両方で置換されてなることを特徴とする前記(1)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(3)前記中間層は、第1中間層と第2中間層とを有し、前記第1中間層は、前記元素aとMnとを含有し、前記第2中間層は、CeとCe以外の希土類元素とを含むセリウム酸化物を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(4)前記第1中間層は、前記第2中間層と前記固体電解質層との間に存在することを特徴とする前記(3)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(5)前記燃料極は、Niと、Ce1−x2-δ(元素MはCe以外の希土類元素、0≦x≦0.25)と、を含有し、前記第2中間層は、前記元素Mと同じ種類の元素を含有することを特徴とする前記(3)又は(4)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(6)前記元素Mは、Sm又はGdであることを特徴とする前記(5)に記載の固体酸化物形電気化学セル、
(7)前記(1)から(6)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池、
(8)前記(1)から(6)までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする高温水蒸気電気分解装置である。
(1)中間層における元素aと、Mnとは、比較的電気伝導性の高い化合物を生成することができる。また、固体電解質層と燃料極との間に中間層を設けることにより、燃料極から固体電解質層へと拡散するNiが中間層にトラップされる。これにより、Niが固体電解質層へ到達し、高抵抗層を形成することを抑制することができる。よって、前記(1)に記載の手段により、燃料極から固体電解質層へのNiの拡散を抑制することができ、固体電解質層における電気短絡の発生が抑制された固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(2)La及びGaを有し、Laの一部がSr及びCaのいずれか一方又は両方で置換されてなるペロブスカイト構造の酸化物は、電気伝導性に優れている。よって、前記(2)に記載の手段によると、固体電解質層における電気伝導性が特に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(3)前記セリウム酸化物は、酸化物イオンの伝導性に優れた材料である。燃料極と固体電解質層との間における中間層が酸化物イオンの伝導性に優れていると、固体酸化物形電気化学セルの電気抵抗が低減されて、燃料極における酸化還元反応が進行しやすくなる。よって、前記(3)に記載の手段によると、燃料極における反応効率に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(4)前記(4)に記載の手段により、固体電解質層と燃料極との間における元素拡散を効果的に抑制することができるとともに、中間層において電気伝導性が低下することなく、高い電気的性能を有する固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(5)Ce1−x2-δ(元素MはCe以外の希土類元素、0≦x≦0.25)は、希土類元素である元素Mが酸化物中に含有されることにより、酸化物イオンの伝導性に優れている。よって、Ce1−x2-δを含有する燃料極は、優れた電極性能を有する。また、第2中間層における酸化セリウムと、燃料極における酸化セリウムとに、同じ種類の元素Mを含有させることにより、第2中間層においても良好な酸化物イオン伝導性が付与されることとなり、第2中間層における電気抵抗を小さくすることができる。よって、前記(5)に記載の手段によると、優れた電極性能を備えた燃料極を有し、第2中間層における酸化物イオン伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(6)Sm又はGdを含有する酸化セリウムは、特に電気伝導性に優れている。よって、前記(6)に記載の手段によると、電気伝導性に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(7)前記(7)に記載の手段によると、発電効率に優れた固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
(8)前記(8)に記載の手段によると、水蒸気の電気分解能力に優れた高温水蒸気電気分解装置を提供することができる。
図1は、円筒型である固体酸化物形電気化学セルの一例を示す横断面図である。 図2は、固体酸化物形燃料電池スタックの一例を示す斜視図である。 図3は、固体酸化物形電気化学セルの軸線長手方向における略中央部において、固体酸化物形電気化学セルの軸線長手方向とは垂直方向に切断した際の固体酸化物形燃料電池スタックの断面概略図であり、図2のA−A´断面概略図である。 図4は、図2に示す固体酸化物形燃料電池スタックのB−B´断面において、単セルを取り出して観察した際の断面図である。 図5は、絶縁性多孔体の一例を示す斜視図である。 図6は、図2に示す固体酸化物形燃料電池スタックのB−B´断面図である。 図7は、実施例における単セルの断面観察画像と、単セルの各領域における元素濃度とを示すグラフである。 図8は、実施例で用いた単セルの第2中間層を走査型透過電子顕微鏡により観察した観察画像、及び実施例で用いた単セルの第2中間層をエネルギー分散形X線分光器により元素分布を分析した分析画像である。
固体酸化物形電気化学セル(以下、「単セル」と称することがある。)は、固体電解質層、固体電解質層の一方の側に形成される燃料極、固体電解質層の他方の側に形成される空気極、及び燃料極と固体電解質層との界面に挿入される中間層を有する。
固体電解質層は、La及びGaを有するペロブスカイト構造の酸化物を含有し、酸化物イオンの伝導性を備える。La及びGaを有するペロブスカイト構造の酸化物の好適例として、La1−sSrGa1−tMg3−δ(0.05≦s≦0.2、0.1≦t≦0.3)の式で表されるLSGMが挙げられ、最適例として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23−δが挙げられる。固体電解質層は、前記La及びGaを有するペロブスカイト構造の酸化物以外に他の材料を含有していてもよい。例えば、固体電解質層は、イットリア添加セリア、サマリア添加セリア、ガドリア添加セリア等を含有していてもよい。
ペロブスカイト構造の酸化物は、Aサイトに位置する元素Aと、Bサイトに位置する元素Bとを有する。一般に、元素Aは元素Bよりも原子半径が大きい。例えば、前記LSGMの例においては、LaとSrとが元素Aにあたり、GaとMgとが元素Bにあたる。
燃料極は、触媒機能、電子伝導性、ガス透過性、及び高温条件下における安定性等を有する材料によって形成されていればよい。燃料極はNiを含有する。例えば、燃料極の材料として、Niと電解質材料との混合物であるサーメットを挙げることができる。サーメットには、必要に応じてNi以外の金属を含有させてもよい。サーメットに含有される電解質材料として、例えば、イットリア安定化ジルコニア、スカンジア安定化ジルコニア、サマリウム添加セリア、ガドリウム添加セリア、及びイットリア添加セリアが挙げられる。電解質材料の好適例として、Ce1−x2−δ(元素MはCe以外の希土類元素、0≦x≦0.25)が挙げられる。Ce1−x2−δは酸化物イオンの伝導性に優れる。固体酸化物形電気化学セルを用いて電気化学反応を引き起こすと、燃料極において酸化物イオンの伝導が行われる。よって、前記Ce1−x2-δを含有する燃料極は、特に反応効率に優れている。元素Mは、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。元素Mが複数種類であると、セリウム酸化物中に複数種類の元素が固溶されることとなる。
前記元素Mは、Sm又はGdであることが好ましい。Sm又はGdを含有するセリウム酸化物は電気伝導性に特に優れており、燃料極における反応効率を高めることができる。前記元素MがSm又はGdである前記Ce1−x2−δは、Ce1−xSmx−yGd2−δで表されるようにSmとGdとの両方を有していてもよく、Ce1−xSm2−δで表されるようにSmのみを有していてもよく、Ce1−xGd2−δ(以下、「GDC」と称されることがある。)で表されるようにGdのみを有していてもよい。
空気極は、触媒機能、電子伝導性、ガス透過性、及び高温条件下における安定性等を有する限りにおいて、従来公知の材料を用いることができる。空気極の材料として、例えば、La1−xSrCoFe1−y3−δ(0<x<0.5、0<y<0.4)、La1−xSrMnO3−θ(0<x<0.3)、La1−xSrCoO3−δ(0<x<0.5)、Sm1−xSrCoO3−δ(0<x<0.6)、Ba1−xLaCoO3−δ(0<x<0.6)(以下、「BLC」と称されることがある。)等が挙げられ、最適例として、Ba0.6La0.4CoO3−θが挙げられる。また、空気極には必要に応じてその他の材料を加えてもよい。
中間層は、燃料極と固体電解質層との間に設けられる。中間層は、前記元素Aと同じ種類の元素である元素aと、Mnとを含有する。中間層における元素aは固体電解質層における元素Aと同じ元素であってもよい。具体的には、固体電解質層における元素Aが、焼成等の過程における元素拡散によって中間層へと移動してなる元素であってもよい。また、中間層における元素aは固体電解質層における前記元素Aとは異なる元素であってもよい。具体的には、元素aは、固体電解質層における元素Aが中間層へと拡散してなる元素ではなく、中間層の焼成前駆体に予め加えられてなる元素であってもよい。中間層における元素aの含有率及びMnの含有率は特に制限されないが、中間層全体に対する元素aの含有率が2質量%以上20質量%以下程度であればよく、中間層全体に対するMnの含有率が1質量%以上10質量%以下程度であればよい。元素aの含有率及びMnの含有率が前記数値範囲内にあると、固体電解質層と燃料極との間に十分な大きさの電気伝導性が付与される。
中間層は、第1中間層と第2中間層とを含有していてもよい。第2中間層は、元素a及びMnの他に、CeとCe以外の希土類元素とを含むセリウム酸化物を含有する。前記セリウム酸化物は、Niとの反応性が比較的低く、燃料極から拡散してきたNiが固体電解質層へと到達することを抑制できる。Ce以外の希土類元素は特に制限されないが、好適例としてSm、Gdが挙げられる。
第1中間層は、第2中間層と固体電界質層との間に存在することが好ましい。これにより、第1中間層は固体電解質層と接し、第2中間層は燃料極と接することとなる。また、第2中間層においては、前記セリウム酸化物の含有率がMn及び元素aの含有率の和よりも大きいことが好ましい。第1中間層において、元素a及びMnの他に前記セリウム酸化物が含有されていてもよいが、第1中間層における前記セリウム酸化物の含有率はMn及び元素aの含有率の和よりも小さいことが好ましい。燃料極と接する第2中間層において、Niとの反応性が比較的低いCeOの含有率を大きくすることにより、燃料極から拡散するNiは燃料極により近い中間層の領域において拡散が止められ、Niが固体電解質層へと到達することをより効果的に抑制することができる。第1中間層における前記セリウム酸化物の含有率は、例えば、走査型電子顕微鏡により、全ての分析範囲が第一中間層となる視野中において、エネルギー分散型X線分析(EDS)を用いて元素分析を行うことにより、求めることができる。
次に、図面を用いて単セルの具体例について説明する。
図1において、筒型の単セル1を示す。単セル1は、筒状体の軸線長手方向とは垂直な方向に切断した断面形状が円形である。単セル1の断面形状において、半径方向における最も内側には、円筒形状の燃料極3が設けられる。燃料極3の前記半径方向における外側には、それぞれ同心円状に、円筒形状の中間層5、円筒形状の固体電解質層2、及び円筒形状の空気極4がこの順に設けられる。単セル1において、燃料極3の外側面と中間層5の内側面とが面接合し、中間層5の外側面と固体電解質層2の内側面とが面接合し、固体電解質層2の外側面と空気極4の内側面とが面接合する。燃料極3は、単セル1におけるその他の層よりも、半径方向において肉厚の形状に形成され、単セル1を機械的に支持する支持体としての機能を有する。中間層5は、固体電解質層2に接する第1中間層5Aと、燃料極3に接する第2中間層5Bとを有する。尚、筒型の単セルの断面形状は、円形に制限されず、楕円形、多角形等であってもよい。また、本発明における単セルの形状は筒型には制限されず、平板型であってもよい。
次に、単セルの製造方法について説明する。
(1)燃料極成形体の作製
酸化ニッケルと、GDC等の燃料極を構成する他の材料との混合粉末に、バインダー及び造孔材の粉末を加え、十分に混合した後に、水を添加することにより粘土状の混合物を得る。この粘土状の混合物を押出成形機に投入し、所定の形状に成形することにより、燃料極成形体が得られる。
(2)固体電解質層形成用スラリー、及び中間層形成用スラリーの作製
La及びGaを有するペロブスカイト構造の酸化物の粉末、ポリビニルブチラール等に代表されるバインダー、分散剤、可塑剤、及び溶媒を混合し、固体電解質層形成用スラリーが得られる。また、Mnを含有する粉末に、ポリビニルブチラール等のバインダー、分散剤、可塑剤を、及び溶媒を混合し、中間層形成用スラリーが得られる。Mnを含有する粉末として、例えば、CeMnFe2−δ(x+y+z=1)で表されるCMFを用いることができる。また、前記中間層形成用スラリーには、元素aを含有する粉末を加えてもよいし、加えなくてもよい。
(3)燃料極、固体電解質層、及び中間層からなる仮焼成体の作製
前記燃料極成形体の表面を必要に応じてマスキングした後に、前記中間層形成用スラリーに前記燃料極成形体を浸漬させ、ゆっくりと引き上げることにより、燃料極成形体の表面に中間層前駆体被膜が形成される。さらに、燃料極成形体の表面及び中間層前駆体被膜の表面を必要に応じてマスキングした後に、固体電解質層形成用スラリーに中間層前駆体被膜が形成された燃料極成形体を浸漬させ、ゆっくりと引き上げることにより、固体電解質層前駆体被膜及び中間層前駆体被膜が形成された燃料極成形体が得られる。その後、約1400℃の条件下で、固体電解質層前駆体被膜、中間層前駆体被膜、及び燃料極成形体を同時焼成する。焼成後には、固体電解質層、中間層、及び燃料極とからなる仮焼成体が得られる。
焼成の過程において、燃料極成形体におけるNiは、固体電解質層前駆体被膜へ向かって拡散するが、中間層前駆体被膜において拡散が止められ、固体電解質層前駆体被膜へと到達することが抑制される。特に、中間層前駆体被膜がCeを含むセリウム酸化物を含有する場合には、効果的にNiの拡散が抑制される。
焼成の過程において、固体電解質層前駆体被膜に含有される元素Aは、中間層前駆体被膜へ拡散する。よって、中間層形成用スラリーを作製する際に元素aを含む粉末を加えなくとも、焼成の過程で元素Aが中間層前駆体被膜へと拡散することにより、焼成後に形成される中間層には元素Aと同じ種類の元素aが含まれることとなる。焼成後には、固体電解質層、中間層、及び燃料極とからなる仮焼成体が得られる。
一方で、焼成の過程において、燃料極成形体における希土類元素が、中間層前駆体被膜へと拡散する。つまり、焼成の過程において、中間層前駆体には、固体電解質層前駆体被膜から元素aと同じ種類の元素Aが拡散してくるとともに、燃料極成形体から希土類元素が拡散してくる。例えば、燃料極成形体にGDCが含有されていると、Gdが燃料極成形体から中間層前駆体へと拡散する。中間層前駆体へと拡散した希土類元素は、Ceとともにセリウム酸化物を形成する。これにより、焼成後の中間層は、固体電解質層に近いほど元素aの含有率が大きく、燃料極に近いほどセリウム酸化物の含有率が大きくなる。よって、上述のように1つの中間層前駆体被膜を用いることにより、焼成後の単セルには、中間層における固体電解質層に近い領域に、元素aの含有率の比較的大きい第1中間層が形成され、中間層における燃料極に近い領域に、希土類元素を含むセリウム酸化物の含有率が比較的大きい第2中間層が形成されることとなる。
(4)空気極形成用スラリーの作製
空気極を形成する材料、例えばBLCの粉末に、バインダー、分散剤、可塑剤、及び溶媒を混合し、空気極形成用スラリーを作製する。
(5)空気極の作製
前記仮焼成体の表面を必要に応じてマスキングした後に、この仮焼成体を前記空気極形成用スラリーに浸漬させ、その後ゆっくりと引き上げることにより、仮焼成体の表面に空気極前駆体被膜を形成させる。その後、約1000℃の条件下で空気極前駆体被膜を焼付けることにより、空気極を形成する。これにより、空気極、固体電解質層、中間層、及び燃料極からなる単セルが得られる。
次に、固体酸化物形燃料電池について説明する。
図2に示されるように、固体酸化物形燃料電池スタック31(以下、単に「燃料電池スタック」と称することがある。)は、直方体形状のブロックであり、この燃料電池スタック31では、多数の円筒形状の単セル1が軸方向に平行となるように配置される。例えば、単セル1が水平方向に3本、垂直方向に8本配置されている。水平方向に並んだ3本の単セル1と絶縁性多孔体34と導電性集積用材料からなる導電性集積用材料層35の一部とによって、リアクターセル層状部43が形成される。また、単セル1の軸線方向の両側には、ガスのリークを防止するガスシール層33が形成される。
図3に示されるように、前記リアクターセル層状部43は、絶縁性多孔体34を介して、図3の上下方向に平行に複数配置される。図3のリアクターセル層状部43における単セル1は、その周囲に配置された導電性集積用材料層35により電気的に接続されるとともに一体化される。尚、図3には、図2において垂直方向に8本設置された単セル1のうち、4本分が表示されている。
図2及び図3に示されるように、単セル1は、細径及び長尺の円筒型の部材であり、中心部において燃料ガスが流される燃料ガス導通孔39が形成される。単セル1の軸長方向に垂直な断面形状における大きさは、特に制限されず、例えば、0.5mm以上2.0mm以下の外径を有する円形であればよい。
図4で示されるように、単セル1の一端部には、燃料極3が露出するまで固体電解質層2の一部が帯状に除去されている。図4の例では、固体電解質層2の右側における一部が帯状に除去されている。この固体電解質層2が除去された部分には、燃料極3の露出部分を覆うように、金属シール層41が形成される。この金属シール層41は、ガスの流通を阻止するとともに燃料極3の集電用端子となる緻密な金属層であり、導電性シール材料によって帯状に形成される。
図5に示されるように、絶縁性多孔体34は、空気の流通が可能な板状の多孔質のセラミック部材である。この絶縁体多孔体34の上面には、単セル1が嵌め込まれる多数の配列溝25が平行に形成され、その下面には、他の絶縁性多孔体31の配列溝25に嵌り込んで位置決めする位置決め用凸部27が形成される。また、各配列溝25には、絶縁性多孔体の上下面を貫いて電気を導通するために、図6で示される電気接続パス42が設けられる連通孔32が形成される。尚、燃料電池スタック31の最上層の絶縁性多孔体34には配列溝25はなく、最下層の絶縁性多孔体34には位置決め用凸部27は設けられない。
図2における矢印Xで示されるように、燃料電池スタック31を用いて発電を行う際には、燃料ガス導通孔39の内部を、水素を含む燃料ガスを導通させる。燃料ガス導通孔39において、燃料ガスは燃料極3と接触し、燃料ガス中の水素が固体電解質層から運ばれてくる酸化物イオンと反応し、水が発生する。また、図2における矢印Yで示されるように、燃料電池スタック31による発電時には、絶縁性多孔体34の外部から、単セル1の積層方向とは垂直な方向に、酸素を含む空気ガスが供給される。空気ガスは、絶縁性多孔体34、及び導電性集積用材料層35を透過して空気極4と接触する。空気極4において、酸素ガスに含まれる酸素分子から酸化物イオンが発生する。
図6に示されるように、燃料電池スタック31は、同図上側が負極であり、下側が正極となるように、リアクターセル層状部43が上下方向に絶縁性多孔体34を介して組み付けられる。具体的に、単セル1は、絶縁性多孔体34の配列溝25の中に収容されるとともに、その周囲には導電性集積用材料層35が形成され、更に、導電性集積用材料層35は、絶縁性材料層40により図6における左右方向に分離されている。図6における左方向には、第1導電性集積用材料層35aが形成され、図6における右方向には、第2導電性集積用材料層35bが形成される。
図6に示されるように、導電性集積用材料層35は、金属シール層41の周囲に配置されて、金属シール層41と他の絶縁性多孔体34に設けられた電気接続パス42とを電気的に接続している。図6の左側に配置された第1導電性集積用材料層35aは、空気極4の周囲に配置され、図6の下方向において空気極4と他の絶縁性多孔体34における電気接続パス42とを電気的に接続している。発電時には、図6における矢印で示されるように、それぞれの単セル1において燃料極3から空気極4へと電子が伝達され、さらに電気接続パス42を通って隣り合う単セル1へと電子が流れることになる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池として、前述の燃料電池スタック31を用いることができる。より具体的には、燃料電池スタック31の正極側と負極側には集電部材が設けられ、集電部材に接続された導線等を通して、外部へと電力が取り出される。また、複数の燃料電池スタック31を所定方向に配列することにより電気的に接続した固体酸化物形燃料電池モジュールを、本発明に係る固体酸化物形燃料電池として用いることもできる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池が備える単セルは、燃料極と固体電解質層との間における電気伝導性に優れている。よって、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、発電効率に優れている。また、固体酸化物形燃料電池を用いて発電する際に、燃料極には水素を含有する燃料ガスが供給されることにより、燃料極及び燃料極に接する中間層は還元雰囲気になる。中間層におけるMnは、このような還元雰囲気下においても還元されにくく、酸化状態を維持することができる。よって、固体酸化物形燃料電池の発電時において、中間層を構成する材料の物性が変化し、中間層の耐久性が低下することを抑制することができる。
次に、燃料電池スタックの製造方法の一例について説明する。
(1)絶縁性多孔体の作製
例えば、酸化マグネシウム粉末と、セルロース系バインダーと、造孔材とを混ぜ、水を加えて混合して粘土状体を得る。この粘土状体を押出成形機に投入し、絶縁性多孔体において配列溝や位置決め凸部となる部分が形成されるようにシートを成形する。このシートを約1500℃の温度で焼成を行った後に、所定の寸法に切断することにより、絶縁性多孔体が得られる。この絶縁性多孔体に、連通孔を設けることにより、最終的に燃料電池スタックを組み立てるために必要な絶縁性多孔体の形状が得られる。
(2)導電性集積用材料層成形用ペーストの作製
例えば、LSCF粉末、α−テルピネオール、及びアミン系分散剤を混合することにより導電性集積用材料層成形用ペーストが得られる。
(3)絶縁性材料層成形用ペーストの作製
例えば、酸化マグネシウム、α−テルピネオール、及びアミン系分散剤を混合することにより絶縁性材料層成形用ペーストが得られる。
(4)燃料電池スタックの組立
絶縁性多孔体における所定の位置に、導電性集積用材料層成形用ペースト、及び絶縁性材料層成形用ペーストを塗布する。さらに、絶縁性多孔体の配列溝に、単セルを配置する。具体的には、単セルには所定の位置に金属シール層を設けておき、この金属シール層の位置と絶縁性多孔体における連通孔の位置とが対応するように、単セルを配置すればよい。単セルが埋め込まれた絶縁性多孔体同士を、多数積層することにより積層体が得られる。この積層体を、大気中において1000℃で2時間焼成することにより、スタック体が得られる。
(5)ガスシール層の形成
例えば、軟化点が700℃であり、平均粒子径が4μmのBa、Mg、Zn、Si、及びAlを含むガラス粉末に、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤、及び可塑剤を適量添加し、エタノールとトルエンを溶媒としてスラリーが得られる。得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ約300μmのガラスシートを成形する。このガラスシートに、打ち抜き加工を行い、単セルが貫挿される多数の貫通孔を形成させる。
また、前記ガラス粉末と、所定量、例えばガラスに対して10体積%の前記マグネシア粉末とに、エチルセルロース、アミン系分散剤を適量添加し、ブチルカルビトールを溶媒としてペーストを作製する。このペーストを、前記ガラスシートの一方の平面に塗布し、ペースト層を形成させる。このペースト層を備えたガラスシートを、ペースト層をスタック体側に向けながら、貫通孔に単セルを通して、スタック体の端面に接合させる。その後、このスタック体をガラスの軟化点よりも高い温度で約2時間程度加熱し、ペースト層を軟化させて、ガラスシートをスタック体に強固に接合させることにより、スタック体の端面にガスシール層が接合された燃料電池スタックが得られる。
本発明の固体酸化物形燃料電池において、電池の発電時とは逆方向に電流を通電可能な外部電源を燃料極及び空気極に設けることによって、高温水蒸気電気分解装置が得られる。高温水蒸気電気分解装置では、約900℃前後の高温条件下において水蒸気を吹き込みながら、外部電源によって燃料極及び空気極に電池の発電時とは逆方向に通電することにより、水分子が分解される。具体的には、燃料極において水分子から水素ガスが取り出され、更に、燃料極側で水分子から取り出された酸化物イオンが固体電解質層を透過し、空気極にて酸素ガスが取り出される。尚、高温水蒸気電気分解装置は、一般に、SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cells)とも称される。
本発明に係る高温水蒸気電気分解装置が備える単セルは、燃料極と固体電解質層との間における電気伝導性に優れている。よって、本発明に係る電気分解装置は、水蒸気の電気分解能力が高い。
<単セルの作製>
(1)燃料極成形体の作製
酸化ニッケルと、Gd0.2Ce0.82−δ(GDC)等の燃料極を構成する他の材料との混合粉末に、バインダー及び造孔材の粉末を加え、十分に混合した後に、水を添加することにより粘土状の混合物を得た。この粘土状の混合物を押出成形機に投入し、所定の形状に形成することにより、燃料極成形体を作製した。
(2)固体電解質層形成用スラリー、及び中間層形成用スラリーの作製
La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23−δの粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤と、溶媒としてメチルエチルケトン及びエタノールとを混合し、固体電解質層形成用スラリーを作製した。
また、Ce0.6Mn0.3Fe0.12−δの粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤と、溶媒としてメチルエチルケトン及びエタノールとを混合し、中間層形成用スラリーを作製した。
(3)固体電解質層、第1中間層、第2中間層、及び燃料極からなる仮焼成体の作製
前記(1)で作製した燃料極成形体を所定の長さに切断し、中間層を形成しない位置にマスキングを行った後に、中間層形成用スラリーに浸漬させ、ゆっくり引き上げることにより、燃料極成形体の表面に、中間層前駆体被膜を形成させた。さらに、固体電解質層を形成しない位置にマスキングを行った後、固体電解質層形成用スラリーに浸漬させ、ゆっくり引き上げることにより、中間層前駆体被膜の表面に固体電解質層前駆体被膜を形成させた。その後、1400℃にて、燃料極成形体、中間層前駆体被膜、及び固体電解質層前駆体被膜を同時に焼成した。焼成の過程において、固体電解質層前駆体被膜から中間層前駆体被膜へと、ペロブスカイト構造の酸化物のAサイトに位置する元素Srが拡散する。また、焼成の過程において、燃料極成形体から中間層前駆体被膜へと、燃料極中のGDCから希土類元素であるGdが拡散する。これにより、燃料極に近い領域に位置し、セリウム酸化物の含有率の大きい第2中間層と、固体電解質層に近い領域に位置し、Sr及びMnの含有率の大きい第1中間層とが形成される。前記焼成により、固体電解質層、第1中間層、第2中間層、及び燃料極からなる仮焼成体が得られた。
(4)空気極形成用スラリーの作製
Ba0.6La0.4CoO3−δの粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤と、溶媒としてメチルエチルケトン及びエタノールとを混合し、空気極形成用スラリーを作製した。
(5)空気極の作製
前記仮焼成体の表面において空気極を形成しない位置にマスキングを行った後、この仮焼成体を空気極形成用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、反応防止層の表面に、空気極前駆体被膜を形成させた。その後、1000℃にて焼付け処理を行った。焼付け処理によって、燃料極、第1中間層、第2中間層、固体電解質層、及び空気極を有する円筒型の単セルが得られた。
(6)単セルを用いた発電
600℃に加熱した電気炉中に前記(5)で得られた単セルを設置し、円筒型の単セルの内側における燃料ガス導通孔に燃料ガスを供給し、単セルの外側から空気極と接するように酸素を含む空気ガスを供給した。これにより、単セルから発電が可能な円筒型の固体酸化物形燃料電池が得られた。
<作製した試料の観察>
前記(6)により得られた固体酸化物形燃料電池を所定の長さに切断し、エポキシ樹脂に埋め込み固化させた後、単セルの断面を観察できるように、切断し、鏡面状に研磨した。切断、研磨した面にカーボン蒸着を行った後、電子線プローブマイクロアナリシス(「EPMA」と称されることがある。)を用いて、切断面の画像を取得し、線分析を行うことにより切断面における構成元素の比率を解析した。結果を図7に示す。図7においては、固体電解質層、第1中間層、第2中間層、及び燃料極の観察画像が示され、各グラフにおける白線によって各層における元素の存在比率が示される。また、各グラフの横軸には距離が示され、距離が0μm〜約10μmにある領域が固体電解質層に対応し、約10μm〜約15μmにある領域が第1中間層に対応し、約15μm〜20μmにある領域が第2中間層に対応し、約20μm〜約30μmにある領域が燃料極に対応する。
図7の右上のグラフ、及び左下のグラフより、固体電解質層と第2中間層との間において、Srと、Mnとが高濃度に分布する第1中間層が確認された。また、図7に示される画像は反射電子像であり、各層の物性に応じて像の明るさが変化する。図7に示される画像において、第1中間層は固体電解質層に比べてやや暗い色になっているが、固体電解質層と第1中間層との境界を画像から明確に判断することは難しい。固体電解質層にはペロブスカイト型の酸化物であるLSGMが含有されており、反射電子像においてやや暗色となっている第1中間層は、結晶構造が同じでありかつ構成元素が異なるペロブスカイト構造の酸化物を含有することが推察される。よって、第1中間層におけるSr及びMnは、ペロブスカイト型の酸化物における構成元素として存在する可能性が高い。
図7における左上及び右下のグラフより、第2中間層及び燃料極においては、Ce及びGdの含有率が高いことが確認される。図7における右上及び左下のグラフより、第2中間層、特に距離が15μm〜17μm付近の領域では、SrとMnとが比較的高濃度に存在していることが確認される。よって、第2中間層は、Ce及びGdだけでなく、Sr及びMnも含有していた。
図7に示される結果より、固体電解質層と燃料極との間には、SrとMnとを含有する第1中間層及び第2中間層が存在すること、第1中間層はCe及びGdをほとんど含有しない一方で、第2中間層はCeとGdとを高濃度で含有すること、及び第1中間層は第2中間層と固体電解質層との間に存在することが示された。
第2中間層において、距離が15μm〜17μmの位置にあり、Sr、Mn、及びCeが含まれる領域を、集束イオンビーム(「FIB」と称されることがある。)により加工した。取り出された薄板状の試料を、走査型透過電子顕微鏡(「STEM」と称されることがある。)によって観察した。観察結果は、図8の上段における観察画像の通りであった。観察画像においては、灰色が比較的薄い淡色部と、灰色が比較的濃い濃色部とが存在することが確認された。次に、エネルギー分散形X線分光器(「EDS」と称されることがある。)を用いて、La、Ce、Mn、及びSrについて、前記観察画像と同じ観察面の元素マッピング分析を行った。図8の中段及び下段において分析画像が示される。分析画像においては、白い色が観察される箇所において、それぞれの元素が分布していることが確認される。分析画像においてLa、Sr、及びMnが存在する位置は、前記観察画像における濃色部の位置と対応することが確認された。また、分析画像においてCeが存在する位置は、前記観察画像における淡色部の位置と対応することが確認された。
図8に示される結果より、第2中間層には、La、Ce、Mn、及びSrが存在することが確認された。また、同じ位置に存在するSrとMnとは化合物を形成していることが推察される。さらに、CeとLa、Mn、及びSrとは、異なる位置に存在することが確認された。
1 単セル
2 固体電解質層
3 燃料極
4 空気極
5 中間層
5A 第1中間層
5B 第2中間層
25 配列溝
27 位置決め用凸部
31 固体酸化物形燃料電池スタック
32 連通溝
33 ガスシール層
34 絶縁性多孔体
35 導電性集積用材料層
35a 第1導電性集積用材料層
35b 第2導電性集積用材料層
39 燃料ガス導通孔
40 絶縁性材料層
41 金属シール層
42 電気接続パス
43 リアクターセル層状部

Claims (8)

  1. 固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、前記固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極とを有する固体酸化物形電気化学セルであって、
    前記燃料極はNiを含有し、
    前記固体電解質層は、La及びGaを有するペロブスカイト構造の酸化物を含有し、
    前記燃料極と前記固体電解質層との間に、前記ペロブスカイト構造の酸化物のAサイトに含有される元素と同じ種類の元素aと、Mnと、を含む中間層を備えることを特徴とする固体酸化物形電気化学セル。
  2. 前記ペロブスカイト構造の酸化物は、Laの一部が、Sr及びCaのいずれか一方又は両方で置換されてなることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  3. 前記中間層は、第1中間層と第2中間層とを有し、
    前記第1中間層は、前記元素aとMnとを含有し、
    前記第2中間層は、CeとCe以外の希土類元素とを含む希土類酸化物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  4. 前記第1中間層は、前記第2中間層と前記固体電解質層との間に存在することを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  5. 前記燃料極は、Niと、Ce1−x2−δ(元素MはCe以外の希土類元素、0≦x≦0.25)と、を含有し、
    前記第2中間層は、前記元素Mと同じ種類の元素を含有することを特徴とする請求項3又は4に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  6. 前記元素Mは、Sm又はGdであることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  8. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする高温水蒸気電気分解装置。
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