JP2011181262A - 固体電解質形燃料電池セル - Google Patents

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Abstract

【課題】 セリア系固溶体層と安定化ジルコニア層との複合化における元素拡散を抑制することにより、比抵抗率の増加を抑制し、開回路電圧が高い固体電解質形燃料電池セルを提供する。
【解決手段】 固体電解質形燃料電池セル1は、固体電解質層2と、空気極3と、燃料極4とを備え、固体電解質層2は、セリア系固溶体層2aと、厚みが1μm以上の安定化ジルコニア層2bとが積層された複合材料で構成される。安定化ジルコニア層2b内において、セリア系固溶体層2aと安定化ジルコニア層2bとの界面から深さが0.3μm未満の領域にのみセリウムが存在するように形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池の一形態である固体電解質形燃料電池セルに関する。
燃料電池の種類としては、固体高分子形燃料電池、りん酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池および固体電解質形燃料電池などがある。固体電解質形燃料電池に使用される電解質材料としては、安定化ジルコニアが広く使用されている。しかし、燃料電池の作動温度の低温化を図るためには、650℃以下のような温度域で安定化ジルコニアよりもイオン伝導率が高いセリア系固溶体が有力である。ここで、安定化ジルコニアとは、酸化イットリウム(Y)、酸化スカンジウム(Sc)などを固溶した立方晶ジルコニア(ZrO)であり、セリア系固溶体とは、酸化サマリウム(Sm)、酸化ガドリニウム(Gd)などを固溶したセリア(CeO)である。
たとえば、安定化ジルコニアやセリア系固溶体、酸化ビスマスなどの固体酸化物を電極にエアロゾルデポジション法(Aerosol Deposition:以下、AD法ということがある)で形成した固体酸化物形燃料電池用セルが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、固体電解質として用いられるセリア系固溶体は、高いイオン伝導率を有するが、電子伝導性を示すため、安定化ジルコニアに比べて開回路電圧(Open Circuit
Voltage:以下、OCVということがある)が低くなるという問題がある。
この問題を解決するために、たとえば、非特許文献1に示されるように、セリア系固溶体に薄い安定化ジルコニア層を形成した複合電解質が提案されている。安定化ジルコニア層は電子の移動を阻止し、高い開回路電圧を実現するとともに、層厚が薄いため、複合電解質においてイオン伝導性を低下する影響が小さいと報告されている。
セリア系固溶体と安定化ジルコニア層とを積層し、同時焼成(共焼結)によって複合電解質を作製する場合には、セリア系固溶体と安定化ジルコニア層との間で相互に元素の拡散が生じ、複合電解質として、イオン伝導性および電子絶縁性が低下してしまうという問題がある。安定化ジルコニア層のセリア系固溶体への積層は、たとえば、非特許文献1〜3では、イオンプレーティング法、スピンコーティング法、パルスレーザーデポジション法で膜形成する方法が報告されている。
特開2005−129370号公報
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非特許文献1に示すイオンプレーティング法では、低い加熱温度でセリア系固溶体に安定化ジルコニア層を形成し、層間の組成拡散を軽減できるが、イオン堆積で形成した安定化ジルコニア層の結晶性が低く、開回路電圧の改善効果が不十分の上、複合電解質からなるセルの抵抗が高いという問題がある。また、固溶体の組成の正確な制御が困難であるという問題もある。
また、非特許文献2に示すスピンコーティング法で作製した安定化ジルコニア層は、層の緻密化のために、1400℃付近の高い温度での熱処理を要する。このような高温熱処理によりセリア系固溶体と安定化ジルコニア層との間に元素の相互拡散が発生し、その結果、開回路電圧の改善効果が不十分となる問題がある。
さらに、非特許文献3に示すパルスレーザーデポジション法による積層電解質の作製では、加熱された基材に高エネルギーの粒子が衝突することで、粒子と基材との間に化学的結合が形成されるため、成膜過程中に電解質膜の中へ基材の成分が混入、拡散する問題がある。特に、安定化ジルコニア層にセリウムが侵入することにより、開回路電圧の改善効果が低下することと、電解質の抵抗率が高くなるという問題がある。
本発明の目的は、セリア系固溶体層と安定化ジルコニア層との複合化における元素拡散を抑制することにより、固体電解質の抵抗率の増加を抑制し、開回路電圧が高い固体電解質形燃料電池セルを提供することである。
本発明は、緻密質のセリア系固溶体層上に、厚みが1μm以上の安定化ジルコニア層が積層されてなる固体電解質層と、
前記固体電解質層の積層方向両側に設けられる一対の電極層とを備える固体電解質形燃料電池セルであって、
前記安定化ジルコニア層内において、前記セリア系固溶体層と前記安定化ジルコニア層との界面から深さ0.3μm未満の領域にのみセリウムが存在することを特徴とする固体電解質形燃料電池セルである。
本発明の固体電解質形燃料電池セルは、固体電解質層と一対の電極層とを備え、固体電解質層は、緻密質のセリア系固溶体層上に、厚みが1μm以上の安定化ジルコニア層が積層されてなる。一対の電極層は、前記固体電解質層の積層方向両側に設けられる。
前記安定化ジルコニア層内において、前記セリア系固溶体層と前記安定化ジルコニア層との界面から深さ0.3μm未満の領域にのみセリウムが存在することを特徴とする。
これにより、固体電解質層の抵抗率の増加を抑制するとともに、開回路電圧が高い固体電解質形燃料電池セルを実現することができる。
本発明の第1実施形態である固体電解質形燃料電池セル1の構成を示す断面図である。 本発明の第2実施形態である固体電解質形燃料電池セル10の構成を示す断面図である。
図1は、本発明の第1実施形態である固体電解質形燃料電池セル1の構成を示す断面図である。固体電解質形燃料電池セル(以下では単に「燃料電池セル」という)1は、固体電解質層2と、空気極3と、燃料極4とを備える。
固体電解質層2は、セリア系固溶体層2aと安定化ジルコニア層2bとが積層された複合材料で構成される。
セリア系固溶体層2aとして用いられる固溶体としては、酸化イットリウム(Y)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ガドリニウム(Gd)などを1種類以上固溶したセリア(CeO)が挙げられ、たとえば希土類固溶セリアであるGDC(Gd0.1Ce0.91.95)が好ましい。
安定化ジルコニア層2bとして用いられるジルコニアとしては、酸化イットリウム(Y)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化イッテルビウム(Yb)などを1種類以上固溶した立方晶ジルコニア(ZrO)が挙げられ、たとえばYSZ(ZrO−8mol%Y)が好ましい。
セリア系固溶体層2aと安定化ジルコニア層2bとは、酸素イオンの移動を促進するために立方晶格子に欠陥を有する結晶構造であれば、特に固溶する元素の種類と固溶量とは限定されない。セリア系固溶体層2aの厚みは、たとえば、0.01〜3mmであり、この範囲内では、燃料極4で生成した酸化物イオンの透過性が高く空気極3へと十分に移動する。
安定化ジルコニア層2bの厚みは、1μm以上とする。安定化ジルコニア層2bの厚さは、薄いほど固体電解質層2の電気伝導率が高くなるので好ましいが、製造工程または電池反応の過程において、表面部からの異物侵入などにより電子伝導性が発現し、開回路電圧(OCV)が低くなるおそれがある。
安定化ジルコニア層2bを一定の厚み以上、すなわち1μm以上に形成することにより、固体電解質層2の電気絶縁性を保持し、開回路電圧を高くすることができる。安定化ジルコニア層2bの厚みとしては、1μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上5.6μm以下である。
本実施形態の燃料電池セル1では、これらのセリア系固溶体層2aおよび安定化ジルコニア層2bを積層して固体電解質層2を得るが、その生成プロセスでは、予め準備したセリア系固溶体層2aの表面に安定化ジルコニア層2bを形成する。
セリア系固溶体層2aの形成方法は、従来公知の形成方法により形成することができ、たとえば、原料粉末をプレス成形し、焼結させることで緻密質のセリア系固溶体層2aが得られる。厚みを含めたセリア系固溶体層2aの外形寸法は、焼結による収縮を考慮してプレス成形時の外形寸法により調整可能である。
安定化ジルコニア層2bの形成方法は、安定化ジルコニア層2b内において、セリア系固溶体層2aと安定化ジルコニア層2bとの界面から深さが0.3μm未満の領域にのみセリウムが存在するように形成する。
安定化ジルコニア層2bを形成する各工程において、たとえば1400℃などの高温加熱を行ったり、粒子を基材に高速で衝突させるなどの膜形成を行った場合、安定化ジルコニア層2bの成分がセリア系固溶体層2aへと移動したり、セリア系固溶体層2aの成分が安定化ジルコニア層2bへと移動するなど組成の拡散が発生する。これにより、安定化ジルコニア層2b内部の所定の深さ以上にまでセリアが拡散してしまうと、低イオン伝導性の領域が形成されてしまい、安定化ジルコニア層2b全体の電子伝導率が増加することがある。電子伝導率が増加することにより、燃料電池セルの開回路電圧およびイオン伝導率を低下させてしまう。
このような安定化ジルコニア層2bの電子伝導率を増加させないために、本実施形態の燃料電池セル1における固体電解質層2では、上記のように、界面からの深さが0.3μm未満の領域にのみセリウムが存在するようにし、界面からの深さが0.3μm以上の深い領域には、セリウムが存在しないように形成する。
安定化ジルコニア層2bの形成方法は、上記の規定を満足するものであれば、種々の物理的、化学的成膜方法および積層方法を利用可能であって、特に限定されない。
たとえばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法などのPVD法(Physical Vapor Deposition:物理的気相成長法)、プラズマ溶射法、エアロゾルデポジション法、ガスデポジション法(Gas Deposition:GD法)、CVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)などが挙げられる。これらの形成方法のなかでも、エアロゾルデポジション法で形成することにより、本実施形態の燃料電池セル1は優れた特性を示す。
エアロゾルデポジション法は、たとえば、特許文献1にも示されているように、微小粉体を気体中に分散したエアロゾルを基材表面に吹き付けることで微小粉体からなる膜構造体を形成する成膜方法である。基材を加熱する必要がなく、原料の微小粉体が直接基材に衝突して成膜するため、基材と膜構造体との間に成分の拡散が生じ難い。
本実施形態においては、基材がセリア系固溶体層2aであり、安定化ジルコニアの微小粉体をセリア系固溶体層2aの表面に吹き付けることで、安定化ジルコニア層2bを形成する。
エアロゾルデポジション法を使用して安定化ジルコニア層2bを形成することにより、安定化ジルコニア層2bへのセリア成分の侵入を比較的容易に抑制することができ、安定化ジルコニア層2b内の界面からの深さが0.3μm以上の深い領域には、セリウムが存在しないように形成することができる。
エアロゾルデポジション法を使用して安定化ジルコニア層2bを形成したのち、加熱処理により安定化ジルコニア層2b中の欠陥を除去し、さらに特性を改善することができる。この場合、セリア系固溶体層2aと安定化ジルコニア層2bとの間の元素拡散を低く抑えるために、たとえば1200℃以下の温度で短時間加熱処理することが好ましく、特に1100℃以下で加熱処理することが好ましい。
空気極3と、燃料極4とは一対の電極層を構成して図示しない金属導体によって電気製品等の負荷に電気的に接続される。空気極3はセリア系固溶体層2aに隣接して設けられ、燃料極4は安定化ジルコニア層2bに隣接して設けられる。
空気極3には、酸素を含む空気が供給される。空気極3では、空気に含まれる酸素分子と、金属導体から供給される電子とが反応して酸化物イオン(O2−)が発生する。発生した酸化物イオンは、固体電解質層2を透過して燃料極4へと移動する。
燃料極4は、水素など燃料電池セルの燃料が供給される。供給される燃料が水素である場合、燃料極4では、水素分子と固体電解質層2を透過した酸化物イオンとが反応して水と電子とを生じる。生じた電子は、金属導体を通って負荷を介して空気極3へと移動する。
空気極3および燃料極4を構成する材料としては、導電性セラミックスが主に用いられる。空気極3としては、たとえば、ぺロブスカイト型固溶体La(Sr)MnO、LSCF(La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2)などが用いられる。燃料極4としては、Ni−GDC(Gd0.1Ce0.91.95)、Ni−YSZ(ZrO−8mol%Y)、などが用いられる。
空気極3および燃料極4を形成する方法は、従来公知のセラミックス成膜方法を用いることができるが、安定化ジルコニア層2bと同様に、エアロゾルデポジション法を用いて形成することが好ましい。エアロゾルデポジション法は、微小粉体の原料の形態およびエアロゾルの流速を調節することで、緻密体も多孔質体も形成することができ、緻密体の緻密度も多孔質体の空隙率も、適宜制御することが可能である。また、エアロゾルデポジション法は加熱工程が不要なため、各層間の元素の拡散を殆どなくすことができる。
本実施形態の燃料電池セル1は、安定化ジルコニア層2b、空気極3および燃料極4をエアロゾルデポジション法によって形成する。
図2は、本発明の第2実施形態である燃料電池セル10の構成を示す断面図である。燃料電池セル10は、固体電解質層2と、空気極3と、燃料極4と、中間層5とを備える。第1実施形態の燃料電池セル1との構成の違いは、中間層5の有無のみであるので、中間層5以外の構成について、第1実施形態と同じ部位には、同じ参照符号を付して説明を省略する。
本実施形態の燃料電池セル10は、図2に示すように、固体電解質層2と燃料極4との間に、セリア系固溶体からなる中間層5を設けている。
安定化ジルコニアは、特に650℃以下のような温度域では、燃料極4での反応活性がセリア系固溶体よりも低く、また、安定化ジルコニアは空気極3に含まれるSr、Coなどと反応し、電極の反応活性を低下させる。これらの原因により、セリア系固溶体層2aと安定化ジルコニア層2bを積層した固体電解質層2を備える燃料電池セルでは、セリア系固溶体単体よりも電極反応の分極抵抗が大きくなる。
ここで、安定化ジルコニア層2bと燃料極4との間にセリア系固溶体からなる中間層5を設けることにより、電極反応における分極抵抗の上昇を防止することができる。中間層5を構成する材料としては、セリア系固溶体層2aと同様の材料を用いることができる。また、中間層5の形成方法は、従来公知のセラミックス成膜方法を用いることができるが、安定化ジルコニア層2bと同様に、エアロゾルデポジション法を用いて形成することが好ましい。本実施形態の燃料電池セル10は、安定化ジルコニア層2b、空気極3、燃料極4および中間層5をエアロゾルデポジション法によって形成する。
中間層5の厚さは、燃料電池特性への影響が小さいので特に限定されないが、たとえば0.1〜1μmで十分に分極抵抗の上昇防止効果を発揮する。なお、図2では、安定化ジルコニア層2bと燃料極4との間にセリア系固溶体からなる中間層5を設けたが、安定化ジルコニア層2b側に空気極3を設け、セリア系固溶体層2a側に燃料極4を設ける場合には、安定化ジルコニア層2bと空気極3との間にセリア系固溶体からなる中間層を設けることができる。この場合にも、図2の場合と同様に、電極反応における分極抵抗の上昇を防止することができる。
セリア系固溶体層2aと安定化ジルコニア層2bの原料は、市販のGDC(Gd0.1Ce0.91.95)とYSZ(ZrO−8mol%Y)をそれぞれ用いた。燃料極4の材料は、上記GDC原料粉末と市販のNiO原料粉末とをNi対GDCの体積比が1:1になるように混合したものを用いた。空気極3の材料は、市販のぺロブスカイト型固溶体LSCF(La0.6Sr0.4Co0.8Fe0.2)を用いた。中間層5の材料は、上記GDCを用いた。
(実施例1)
GDC原料粉末をプレス成形したのち、1300℃で焼成して緻密質のセリア系固溶体ペレット(直径20mm、厚み1.5mm)を作製した。作製したペレットをセリア系固溶体層2aとして一方面上にAD法により安定化ジルコニア層2bとなるYSZ層を形成した。一部の試料については、YSZ層形成後に、表1に示す温度で2時間加熱処理した。
さらにYSZ層の上に、AD法により燃料極4となるNiO−GDC層を厚み3μmで形成した。GDCペレットのYSZ層とは反対側の面に、空気極3となる多孔質LSCF電極層20μmを、AD法で形成した。また、一部の試料については、YSZ層の上に、AD法により中間層5となるGDC層を厚み0.2μmで形成し、このGDC層の上にAD法で燃料極4となるNiO−GDC層を形成した。
上記のような構成を基に、表1に示すようにYSZ層の厚み、加熱処理の温度および中間層の有無を種々変更して各サンプルを作製した。
<評価方法>
得られた各サンプルを650℃で、空気側は空気を流し、燃料側は3%Oを混合したHガスを流して24時間発電試験を行い、開回路電圧(OCV)を測定した。OCVは、空気極と燃料極との間を、GRAPHTEC社製のクイックスタート(GL200−UM−801)により測定して求めた。
電気化学測定装置(ECO CHEMIE社製 AUTLAB PGSTAT302)を用いて、各サンプルのインピーダンスを測定し、コール・コールプロットからセルの実抵抗率、分極抵抗率を測定した。
YSZ層の厚み測定およびYSZ層中のセリウムの存在深さは、発電試験後に透過型電子顕微鏡観察およびEDS(エネルギー分散型X線分析)による組成分析により測定した。GDC層とYSZ層の界面付近の組成分析は、GDC層の影響を受けやすいため、界面から100nmの範囲以内でCeを検出した試料と検出していない試料と合わせて、Ceの存在深さを<0.1μmとした。
これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2011181262
(実施例2)
実施例1のGDCペレットの一方面上に、LSCFを含有するペーストを印刷して1000℃で焼き付け、厚み200μmの空気極3としたのち、GDCペレットの反対面にAD法により安定化ジルコニア層2bとなるYSZ層、中間層5となる0.2μmのGDC層、燃料極4となる3μmのNiO−GDC電極層を順に形成した。一部のサンプルは、YSZ層形成後に1000℃で2時間加熱処理を施した。
上記のような構成を基に、表2に示すようにYSZ層の厚み、加熱処理の有無を種々変更して各サンプルを作製した。
実施例1と同じ評価方法により評価し、得られた評価結果を表2に示す。
Figure 2011181262
(実施例3)
燃料極4となるNiO−GDC電極材料の1200℃仮焼体に、スラリーディッピングによりGDCをコーティングし、1350℃で同時焼結した。セリア系固溶体層2aとなるGDC層の厚みは約50μmであった。そして、GDC層にADにより安定化ジルコニア層2bとなるYSZ層、中間層5となるGDC層(厚み0.5μm)、空気極3となるLSCF層(厚み20μm)の順で成膜した。一部のサンプルは、YSZ層形成後に表3に示す温度で2時間加熱処理を施した。
上記のような構成を基に、表3に示すようにYSZ層の厚み、加熱処理の温度および中間層の有無を種々変更して各サンプルを作製した。
実施例1と同じ評価方法により評価し、得られた評価結果を表3に示す。
Figure 2011181262
表1〜3において、サンプルNo.2〜6,9〜12,16〜29は、本発明の実施例であり、サンプルNo.1,7,8,13〜15は、比較例である。
本発明の実施例となる各サンプルは、実抵抗および分極抵抗がセリア系固溶体単体電解質セルより大幅な上昇が見られず、OCVが1.01〜1.12Vに上昇していることがわかる。しかし、比較例の試料No.1は安定化ジルコニア層がないので、OCVが0.9Vと低かった。また比較例の試料No.7,8は、YSZ層の厚みが1μm未満と薄いため、OCVが1Vよりも低かった。また比較例の試料No,13〜15は、加熱処理温度が1200℃を超える高温であったため、安定化ジルコニア層中のセリウムの存在深さが0.3以上と大きくなり、実抵抗率が大幅に上昇した。
1,10 固体電解質形燃料電池セル
2 固体電解質層
2a セリア系固溶体層
2b 安定化ジルコニア層
3 空気極
4 燃料極
5 中間層

Claims (4)

  1. 緻密質のセリア系固溶体層上に、厚みが1μm以上の安定化ジルコニア層が積層されてなる固体電解質層と、
    前記固体電解質層の積層方向の両側に設けられる一対の電極層とを備える固体電解質形燃料電池セルであって、
    前記安定化ジルコニア層内において、前記セリア系固溶体層と前記安定化ジルコニア層との界面から深さ0.3μm未満の領域にのみセリウムが存在することを特徴とする固体電解質形燃料電池セル。
  2. 前記安定化ジルコニア層と前記電極層との間に、セリア系固溶体からなる中間層を備えることを特徴とする請求項1記載の固体電解質形燃料電池セル。
  3. 前記安定化ジルコニア層は、エアロゾルデポジション法により成膜されたことを特徴とする請求項1または2記載の固体電解質形燃料電池セル。
  4. 前記前記中間層および前記電極層は、エアロゾルデポジション法により成膜されたことを特徴とする請求項2記載の固体電解質形燃料電池セル。
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