JP7086017B2 - 水素極-固体電解質層複合体の製造方法、セル構造体の製造方法、及び、燃料電池の製造方法 - Google Patents
水素極-固体電解質層複合体の製造方法、セル構造体の製造方法、及び、燃料電池の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7086017B2 JP7086017B2 JP2019044069A JP2019044069A JP7086017B2 JP 7086017 B2 JP7086017 B2 JP 7086017B2 JP 2019044069 A JP2019044069 A JP 2019044069A JP 2019044069 A JP2019044069 A JP 2019044069A JP 7086017 B2 JP7086017 B2 JP 7086017B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solid electrolyte
- electrolyte layer
- hydrogen electrode
- manufacturing
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
Landscapes
- Fuel Cell (AREA)
- Inert Electrodes (AREA)
Description
例えば、一酸化ニッケル(NiO)と炭化ニッケル(Ni3C)とイットリア安定化ジルコニアを混合した粉末に、分散剤を加え、ボールミルで混合して造粒した後、プレス成形してグリーン基板を作製する。次いで、イットリア安定化ジルコニアに、有機溶媒、バインダ、分散剤を添加し、ボールミルで混合してスラリーを作製する。その後、このスラリーを用いてスクリーン印刷によりグリーン基板上に印刷した後、所定の条件で共焼結する方法が提案されている。ここで、共焼結の条件としては、1500℃で、3時間の熱処理が採用されている(特許文献1)。
本発明は、固体電解質層へのニッケルの拡散を抑制することができる水素層-固体電解質層複合体の製造方法を提供することを目的とする。
水素極と固体電解質層とが一体化された水素極-固体電解質層複合体を製造する方法であって、
(a)プロトン又は酸化物イオンが伝導する固体電解質層を作製する工程、
(c)上記固体電解質層の表面の一部に、Ni粒子を含有するペーストを塗布する工程、
(d)上記固体電解質層の上記ペーストを塗布した部分に、Ni多孔体を押し付けた状態で、非酸化性雰囲気下、400~1100℃で加熱し、上記固体電解質層に上記Ni多孔体を接合する工程、及び、
(e)上記固体電解質層を薄層化する工程、
を含む。
酸素極と、水素極と、上記酸素極および上記水素極の間に介在する固体電解質層とを備えたセル構造体の製造方法であって、
上記水素極-固体電解質層複合体の製造方法によって、水素極-固体電解質層複合体を製造し、
その後、上記固体電解質層の水素極を形成した側と反対側に、酸素極を接合する。
上記セル構造体の製造方法によって、セル構造体を製造する工程、及び
上記セル構造体の両側にセパレータを設ける工程、
を含む。
また、本発明によれば、上記水素層-固体電解質層複合体を備えた、セル構造体及び燃料電池を製造することができる。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(a)プロトン又は酸化物イオンが伝導する固体電解質層を作製する工程、
(c)上記固体電解質層の表面の一部に、Ni粒子を含有するペーストを塗布する工程、
(d)上記固体電解質層の上記ペーストを塗布した部分に、Ni多孔体を押し付けた状態で、非酸化性雰囲気下、400~1100℃で加熱し、上記固体電解質層に上記Ni多孔体を接合する工程、及び、
(e)上記固体電解質層を薄層化する工程。
また、この製造方法では、上記(a)、(c)及び(d)の工程を、固体電解質層で強度を確保しながら行い、固体電解質層とNi多孔体とを接合した後、固体電解質層の薄層化を行うことができる。
更に、この製造方法では、Ni多孔体を含む水素極を形成しているため、形成した水素極は、焼結体からなる水素極に比べて、衝撃に強く、破損しにくい電極層である。
ペロブスカイト型構造を有し、かつ下記式(1):
AxB1-yMyO3-δ (1)
(式中、元素Aは、Baであり、元素Bは、Zrであり、元素Mは、Y、Yb、Er、Ho、Tm、Gd、InおよびScよりなる群から選択される少なくとも一種であり、δは酸素欠損量であり、0.95≦x≦1、0<y≦0.5を満たす)
で表される金属酸化物を含むことが好ましい。
この固体電解質層は、Niの拡散によって性能の劣化しやすい固体電解質層である。そのため、本発明の製造方法によって製造する複合体を構成する固体電解質層として好適である。本発明の実施形態に係る製造方法によれば、複合体を製造した際の固体電解質層へのNiの拡散を、従来の共焼結法と比べて低減することができる。
この固体電解質層は、Niの拡散によって性能が劣化しやすい。そのため、本発明の実施形態で製造する複合体を構成する固体電解質層として特に好適である。
上記工程(a)の後で、上記工程(c)の前に行う、
(b)上記固体電解質層の表面の上記ペーストを塗布する部分をエッチングする工程、
を含むことが好ましい。
この場合、Ni粒子含有ペーストを用いて形成した層を介した固体電解質層とNi多孔体との接合力が向上するからである。
この場合、固体電解質層を構成する金属酸化物の粒界を穏やかにエッチングすることができるからである。
上記(1)~(5)のいずれかに記載の製造方法によって、水素極-固体電解質層複合体を製造し、
その後、上記固体電解質層の水素極を形成した側と反対側に、酸素極を接合する、
セル構造体の製造方法に関する。
この場合、ニッケル量が極めて少ないか、又はニッケルを含有しない固体電解質層を有し、イオン伝導率の高いセル構造体を製造することができる。
この場合、高効率な燃料電池を製造することができる。
本発明の実施形態の具体例を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
図1(A)~(D)は、本発明の実施形態に係る製造工程を模式的に示す図である。
本実施形態の製造方法では、
(a)プロトン又は酸化物イオンが伝導する固体電解質層を作製する工程、
(b)上記固体電解質層の表面の上記ペーストを塗布する部分をエッチングする工程(図1(A))、
(c)上記固体電解質層の表面の一部に、Ni粒子を含有するペーストを塗布する工程(図1(B))、
(d)上記固体電解質層の上記ペーストを塗布した部分に、Ni多孔体を押し付けた状態で、非酸化性雰囲気下、400~1100℃で加熱し、上記固体電解質層に上記Ni多孔体を接合する工程(図1(C))、及び、
(e)上記固体電解質層を薄層化する工程(図1(D))、
をこの順序で行う。
ここでは、プロトンが伝導する固体電解質層(以下、プロトン伝導体ともいう)、又は、酸化物イオンが伝導する固体電解質層(以下、酸化物イオン伝導体ともいう)、を作製する。いずれも燃料電池に用いられる固体電解質層である。
上記プロトン伝導体としては、従来公知のプロトン伝導体を採用することができる。
上記プロトン伝導体は、ペロブスカイト型構造(ABO3相)を有する金属酸化物であり、その組成としては、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
AxB1-yMyO3-δ (1)
(式中、元素Aは、Baであり、元素Bは、Zrであり、元素Mは、Y、Yb、Er、Ho、Tm、Gd、InおよびScよりなる群から選択される少なくとも一種であり、δは酸素欠損量であり、0.95≦x≦1、0<y≦0.5を満たす)。
元素Bおよび元素Mの合計に対する元素Aの比率xは、高いプロトン伝導性とイオン輸率を確保する観点から、0.95≦x≦1であることが好ましく、0.98≦x≦1であることがより好ましい。また、xが1を越えないことで、元素Aの析出が抑制され、水分の作用によりプロトン伝導体が腐食することを抑制できる。yは、プロトン伝導性を確保する観点から、0<y≦0.5であることが好ましく、0.1<y≦0.3がより好ましい。
元素Mは、Y(イットリウム)、Yb(イッテルビウム)、Er(エルビウム)、Ho(ホルミウム)、Tm(ツリウム)、Gd(ガドリニウム)、In(インジウム)およびSc(スカンジウム)よりなる群から選択される少なくとも一種である。元素Mはドーパントであって、これにより酸素欠陥が生じ、ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物はプロトン伝導性を発現する。
即ち、上記式(1)で表される上記金属酸化物の具体例としては、イットリウムがドープされたジルコン酸バリウム[BaxZr1-yYyO3-δ(以下、BZYと称する)]が好ましい。
上述した通り、本発明の実施形態に係る製造方法と組み合わせて採用する金属酸化物として好適だからである。
上記BZYとしては、BaZr0.8Y0.2O3-δ(以下、BZY20ともいう)が特に好適である。
上記酸化物イオン伝導体としては、従来公知の酸化物イオン伝導体を用いることができきる。
上記酸化物イオン伝導体の具体例としては、例えば、ランタンガレート系酸化物(LaGaO3を基本とするもの)、ランタンシリケート(La-Si-O)系酸化物、ランタンタングステート(La-W-O)系酸化物等が挙げられる。
これらの酸化物イオン伝導体は、Niの拡散によって性能の劣化しやすい酸化物イオン伝導体である。そのため、本発明の実施形態に係る製造方法と組み合わせて採用する酸化物イオン伝導体として好適である。
例えば、固体電解質層1を構成する金属酸化物の粉末を圧縮成形し、その後、所定の温度で熱処理を行えば良い。
固体電解質層1の厚さが、0.2mm未満では、強度不足のために後述する(b)~(d)の工程で固体電解質層1が破損するおそれがある。一方、上記厚さが1.0mmを超えると、強度がオーバースペックとなり、かつ後の工程(e)で固体電解質層1を薄層化する際に長時間を要することになる。
固体電解質層1の厚さは、0.4~0.6mmがより好ましい。
工程(b)は、必要に応じて行う任意工程である。
上記工程(b)を行うことにより、後工程を経て、固体電解質層とNi多孔体とを接合した際に、両者の接合力が向上する。
上記工程(b)では、固体電解質層1の表面1aのうち、少なくともNi粒子含有ペーストを塗布する部分をエッチングすれば良く、固体電解質層1の表面全体をエッチングしても良い。
上記エッチング液としては、例えば、弱酸溶液が挙げられ、好ましくはリン酸水溶液が挙げられる。リン酸水溶液によるエッチングでは、固体電解質層を構成する金属酸化物の粒界を穏やかにエッチングすることができる。
上記エッチングは、固体電解質層1を上記エッチング液に浸漬して行っても良いし、固体電解質層1に上記エッチング液を塗布して行っても良い。
また、上記エッチング処理を施す前には、表面粗さを大きくするために固体電解質層1の表面に研磨紙等による研磨処理を行っても良い。
Ni粒子含有ペースト2は、製造した上記複合体において、固体電解質層1とNi多孔体13との接合剤としての役割を果たすとともに、上記複合体を燃料電池に使用した際の触媒としての役割も果たす。
上記Ni粒子は、平均粒子径で、10~500nmが好ましい。
一方、上記平均粒子径が10nm未満では、Ni粒子が酸化するなどの劣化が生じやすい。また、上記平均粒子径が500nmを超えると、アンカー効果が小さく接合力が落ちることがある。上記平均粒子径は、50~200nmがより好ましい。
上記Ni粒子の平均粒子径は、TEM(透過電子顕微鏡)画像に基づいて200個のNi粒子のそれぞれの粒子径を抽出し、その平均値を算出した値である。ここで、Ni粒子のそれぞれの粒子径としては、フェレー径(一定方向の平行線で投影像を挟んだときの平行線間の距離)を測定した。
Ni粒子の形状は特に限定されないが、通常、球状のものを使用する。
上記樹脂成分としては、例えば、セルロース系樹脂等が挙げられる。上記樹脂成分は、バインダとして機能する配合物である。
上記溶剤としては、例えば、ブチルカルビトール等が挙げられる。
こられのなかでは、アプリケーターによる塗布が好ましい。
本工程(d)を行うことにより、固体電解質層1とNi多孔体13を接合することができる。
Ni多孔体13の気孔率は、例えば、30~98%が好ましい。この理由は、ガスの透過性を確保するのに適しているからである。上記気孔率は、50~95%がより好ましい。
Ni多孔体13としては、住友電気工業製のNiセルメット(登録商標)を好適に用いることができる。
上記Niセルメットは、三次元網目構造を有するNi多孔体であり、高気孔率を有しつつ、充分な強度と柔軟性を確保することができる部材である。上記Niセルメットは、厚さ方向に押しつぶして、厚さや気孔率を調整して使用しても良い。
Ni多孔体(Niセルメット)13を含む水素極15を備えた上記複合体は、水素極が焼結体で構成された複合体に比べて、耐衝撃性に優れ、製造時や使用時に極めて破損しにくくになる。
ここで、Ni多孔体13を固体電解質層1に押し付ける力(押付力)は、10~3000g/cm2が好ましい。
上記押付力が10g/cm2未満では、固体電解質層1とNi多孔体13とが充分に接合しないことがある。一方、上記押付力が3000g/cm2を超えると、固体電解質層1が割れてしまうことがある。
上記押付力は、20~200g/cm2がより好ましい。
上記押付力とは、本工程において、固体電解質層1がNi多孔体13から受ける力をいう。
本発明の実施形態に係る製造方法は、上記の温度で、固体電解質層1とNi多孔体13とを接合することができる。そのため、上述した共焼結法を採用した場合に比べて熱処理温度が低く、固体電解質層1へのNiの拡散を抑制することができる。また、省エネルギー、低コストで上記複合体を製造することができる。
上記加熱温度が400℃未満では、固体電解質層1とNi多孔体13とが接合しないことがある。一方、上記加熱温度が1100℃を超えると、多量のNiが固体電解質層1に拡散することがある。
上記加熱温度は、600~1100℃が好ましい。
また、加熱時間は5分間以上5時間以下が良く、10分間以上3時間以下が好ましい。
Niペースト層12は、固体電解質層1の表面において不連続に形成された層であり、それによりガス透過性を確保している。
Niペースト層12の厚さは、10~20μmが好ましい。ガスの流れを確保するとともに、固体電解質層1とNi多孔体13との接合性を確保するのに適しているからである。
Niペースト層12の厚さは、Niペースト層の断面SEM画像を取得し、得られたSEM画像に基づいて測定する。
[評価試験1]
固相反応法により作製したBZY20粉末を圧縮成型し、O2雰囲気下で1600℃、24時間の熱処理を行いBZY20ペレット(固体電解質層:厚さ0.5mm)を作製した。
次に、このペレットをリン酸水溶液(濃度:85重量%、温度:25℃)に30分間浸漬して、表面を多孔質にエッチングした。その後、Ni粒子含有ペーストをエッチング処理したペレットの表面に塗り、Ni粒子含有ペースト中の溶媒を除去するためAr雰囲気下で600℃、1時間の熱処理を行った。
次に、Ni粒子含有ペーストを塗布したBZY20ペレットにNi多孔体(住友電気工業製、Niセルメット、♯8)を押し付け、荷重をかけながら、Ar雰囲気下で1100℃、1時間の熱処理を施し、BZY20ペレットとNi多孔体とのNiペースト層を介して接合した。
<Ni粒子含有ペーストの組成>
Niナノ粒子(d50=100nm):35.3重量%
分散剤(オレイン酸誘導体):1.8重量%
樹脂成分(セルロース系樹脂):2.1重量%
溶媒(ブチルカルビトール):60.8重量%
図2は、Ni多孔体を固体電解質層に押し付けた状態にする方法を説明するための模式図である。
評価試験1では、図2に示すように、Ni多孔体(Niセルメット)13上に、Ni粒子含有ペースト2を介して固体電解質層(BZY20のペレット)1を載置した。更に、固体電解質層1上にSUS製の錘5を載置し、固体電解質層1がNi多孔体13に押し付けられた状態とした。
図3は、評価試験1で作製した固体電解質層とNi多孔体との接合体の反射電子像である。
評価試験1では、図3に示したように、BZY20ペレットとNi多孔体とがNiペースト層を介して接合されていることが確認できた。
本工程(e)では、Ni多孔体13を接合した固体電解質層1を研磨し、その厚さを薄くする。
ここで、具体的な研磨方法としては、例えば、エメリー紙による研磨や、平面研磨などの機械研磨等が挙げられる。
固体電解質層11の厚さが10μm未満では、十分な絶縁性が確保できないことがある。一方、上記厚さが100μmを超えると、セル構造体としての抵抗が高くなりすぎることがある。
本実施形態では、このような工程を経ることにより、水素極-固体電解質層複合体を製造することができる。
上記セル構造体の製造方法では、上述した製造方法によって水素極-固体電解質層複合体を製造し、その後、上記固体電解質層の水素極(アノード)を設けた側と反対側に、酸素極(カソード)を接合する。
本実施形態で製造するセル構造体は、プロトン伝導型のものであっても良いし、酸化物イオン伝導型のものであっても良い。
以下、プロトン伝導型セル構造体を例に本発明の実施形態を説明する。
図4は、本発明の実施形態で製造するプロトン伝導型セル構造体を模式的に示す断面図である。
プロトン伝導型セル構造体10は、酸素極14と、水素極15(Ni多孔体13及びNiペースト層12)と、酸素極14および水素極15の間に介在し、プロトン伝導性を備える固体電解質層(プロトン伝導体)11と、を備える。プロトン伝導型セル構造体10において、固体電解質層11は、酸素極14と水素極15との間に挟持されており、固体電解質層11の一方の主面は、水素極15(Niペースト層12)に接触し、他方の主面は酸素極14と接触している。
ここで、水素極15および固体電解質層11は、上述した方法で製造された水素極-固体電解質層複合体である。
酸素極14は、プロトンと酸化物イオンとの反応を促進させる観点からPt等の触媒を含んでいてもよい。触媒を含む場合、酸素極14は、触媒と上記材料とを混合して、焼結することにより形成することができる。
また、酸素極14を形成するための材料は、必要に応じて、バインダ、添加剤および/または分散媒などを含んでいても良い。
酸素極14の厚みは、特に限定されないが、5~40μm程度であればよい。
[評価試験2]
評価試験1の方法で作製した水素極-固体電解質層複合体に対し、上記固体電解質層の上記水素極を形成した側と反対側の面に酸素極を形成し、プロトン伝導型セル構造体を作製した。
このとき、上記酸素極としては、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3-δ(LSCF6428)からなる酸素極を焼き付けなしで形成した。
上記プロトン伝導型セル構造体のI-V測定の結果を図5に示した。
図5は、評価試験2で作製したセル構造体のI-V測定の結果である。
図5に示したように、本評価で作製したプロトン伝導型セル構造体は、OCV(Open Circuit Voltage)が1.04Vであり、最大の出力密度は、9.68mWcm-2であった。
上記燃料電池の製造方法は、上述した方法でセル構造体を製造する工程、及び
上記セル構造体の両側にセパレータを設ける工程、を含む。
上記燃料電池の製造方法では、例えば、複数のセル構造体を作製した後、各セル構造体の間に、セパレータや必要に応じて集電体等を配設し、従来公知の手法で組み立てることで燃料電池を製造すれば良い。
図6は、本発明の実施形態で製造するプロトン伝導セラミック型燃料電池の基本構成を模式的に示す断面図である。
プロトン伝導セラミック型燃料電池20は、プロトン伝導体11、酸素極14及び水素極15(Ni多孔体13及びNiペースト層12)を備えるプロトン伝導型セル構造体10と、セパレータ16と集電体18とを備える。
セパレータ16の材料としては、プロトン伝導性および耐熱性の観点から、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の耐熱合金が挙げられる。なかでも、プロトン伝導セラミック型燃料電池20に用いるセパレータ16の材料としては、安価である点で、ステンレス鋼が好ましい。プロトン伝導セラミック型燃料電池20は、動作温度が400~600℃程度であるため、ステンレス鋼をセパレータ16の材料として用いることができる。
集電体18に用いられる構造体としては、例えば、銀、銀合金、ニッケル、ニッケル合金等を含む金属多孔体、金属メッシュ、パンチングメタル、エキスパンドメタル等が挙げられる。
集電体18は、必要に応じて設ければ良い。
水素極15とセパレータ16aとの間に集電体が配置されても良い。
上記一単位を積層し、複数のセル構造体10を含む燃料電池を組み立てる方法としては、従来公知の方法を採用すれば良い。
また、上記燃料電池の製造方法によれば、プロトン伝導セラミック型燃料電池だけでなく、酸化物イオンを伝導する固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid oxide fuel cell)も製造することができる。
プロトン伝導型セル構造体10は、ガス分解性能を備えており、このプロトン伝導型セル構造体10をガス分解装置に用いることも可能である。
また、プロトン伝導型セル構造体10は、水蒸気電解セルにも用いることができる。
従って、本発明の実施形態に係る水素極-固体電解質層複合体の製造方法や、セル構造体の製造方法は、ガス分解装置の製造や、水蒸気電解セルの製造にも用いることができる。
2:Ni粒子含有ペースト
5:錘
10:プロトン伝導型セル構造体
12:Niペースト層
13:Ni多孔体
14:酸素極
15:水素極
16、16a、16c:セパレータ
18:集電体
20:プロトン伝導セラミック型燃料電池
Claims (7)
- 水素極と固体電解質層とが一体化された水素極-固体電解質層複合体を製造する方法であって、
(a)プロトン又は酸化物イオンが伝導する固体電解質層を作製する工程、
(c)前記固体電解質層の表面の一部に、Ni粒子を含有するペーストを塗布する工程、
(d)前記固体電解質層の前記ペーストを塗布した部分に、Ni多孔体を押し付けた状態で、非酸化性雰囲気下、400~1100℃で加熱し、前記固体電解質層に前記Ni多孔体を接合する工程、及び、
(e)前記固体電解質層を薄層化する工程、
を含む水素極-固体電解質層複合体の製造方法。 - 前記固体電解質層は、
ペロブスカイト型構造を有し、かつ下記式(1):
AxB1-yMyO3-δ (1)
(式中、
元素Aは、Baであり、
元素Bは、Zrであり、
元素Mは、Y、Yb、Er、Ho、Tm、Gd、InおよびScよりなる群から選択される少なくとも一種であり、
δは酸素欠損量であり、0.95≦x≦1、0<y≦0.5を満たす)
で表される金属酸化物を含む請求項1に記載の水素極-固体電解質層複合体の製造方法。 - 前記式(1)において、元素MはYである、請求項2に記載の水素極-固体電解質層複合体の製造方法。
- 前記工程(a)の後で、前記工程(c)の前に行う、
(b)前記固体電解質層の表面の前記ペーストを塗布する部分をエッチングする工程、
を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水素極-固体電解質層複合体の製造方法。 - 前記エッチングは、リン酸水溶液により行う請求項4に記載の水素極-固体電解質層複合体の製造方法。
- 酸素極と、水素極と、前記酸素極および前記水素極の間に介在する固体電解質層とを備えたセル構造体の製造方法であって、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法によって、水素極-固体電解質層複合体を製造し、
その後、前記固体電解質層の水素極を形成した側と反対側に、酸素極を接合する、
セル構造体の製造方法。 - 請求項6に記載の製造方法によって、セル構造体を製造する工程、及び
前記セル構造体の両側にセパレータを設ける工程、
を含む、燃料電池の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019044069A JP7086017B2 (ja) | 2019-03-11 | 2019-03-11 | 水素極-固体電解質層複合体の製造方法、セル構造体の製造方法、及び、燃料電池の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019044069A JP7086017B2 (ja) | 2019-03-11 | 2019-03-11 | 水素極-固体電解質層複合体の製造方法、セル構造体の製造方法、及び、燃料電池の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020149796A JP2020149796A (ja) | 2020-09-17 |
JP7086017B2 true JP7086017B2 (ja) | 2022-06-17 |
Family
ID=72429799
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019044069A Active JP7086017B2 (ja) | 2019-03-11 | 2019-03-11 | 水素極-固体電解質層複合体の製造方法、セル構造体の製造方法、及び、燃料電池の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7086017B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007213891A (ja) | 2006-02-08 | 2007-08-23 | Mitsubishi Materials Corp | 固体電解質形燃料電池用発電セル |
JP2016105375A (ja) | 2014-12-01 | 2016-06-09 | 住友電気工業株式会社 | セル構造体、電解質膜−電極接合体、および、燃料電池 |
JP2018174117A (ja) | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 大阪瓦斯株式会社 | 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および電気化学素子の製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4919480B2 (ja) * | 2006-08-02 | 2012-04-18 | 三菱マテリアル株式会社 | 発電セルおよびその発電セルを組み込んだ固体電解質形燃料電池 |
JP6783042B2 (ja) * | 2015-08-17 | 2020-11-11 | 住友電気工業株式会社 | セル構造体の製造方法 |
-
2019
- 2019-03-11 JP JP2019044069A patent/JP7086017B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007213891A (ja) | 2006-02-08 | 2007-08-23 | Mitsubishi Materials Corp | 固体電解質形燃料電池用発電セル |
JP2016105375A (ja) | 2014-12-01 | 2016-06-09 | 住友電気工業株式会社 | セル構造体、電解質膜−電極接合体、および、燃料電池 |
JP2018174117A (ja) | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 大阪瓦斯株式会社 | 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および電気化学素子の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020149796A (ja) | 2020-09-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2061108B1 (en) | Fuel battery cell, fuel battery cell stack, and fuel battery | |
JP5192944B2 (ja) | セリア及びステンレス鋼に基づく電極 | |
WO2016157566A1 (ja) | プロトン伝導体、燃料電池用固体電解質層、セル構造体およびそれを備える燃料電池 | |
JP2008529226A (ja) | 可逆式固体酸化物型燃料電池を製造する方法 | |
KR20130099704A (ko) | 고체산화물 연료전지용 기능층 소재, 및 상기 소재를 이용하여 제조된 기능층과 상기 기능층을 포함하는 고체산화물 연료전지 | |
JP5225336B2 (ja) | 燃料電池セル及び燃料電池 | |
EP2244322A1 (en) | Composite oxygen electrode and method for preparing same | |
JP6370696B2 (ja) | セル構造体、電解質膜−電極接合体、および、燃料電池 | |
KR20140057080A (ko) | 고체산화물 연료전지용 양극, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 고체산화물 연료전지 | |
JP5415994B2 (ja) | 固体電解質形燃料電池セル | |
KR101734854B1 (ko) | 고체산화물 연료전지 층의 분말 혼합물 | |
US20200203747A1 (en) | Laminate structure of mixed ionic-electronic conductive electrolyte and electrode, and method for manufacturing same | |
JP2011142042A (ja) | 固体酸化物形燃料電池用発電セル及びその製造方法 | |
US10511033B2 (en) | Solid oxide fuel cell | |
KR101421245B1 (ko) | 금속지지형 고체산화물 연료전지의 제조방법 및 이에 의해 제조되는 금속지지형 고체산화물 연료전지 | |
KR102111859B1 (ko) | 고체산화물 연료 전지 및 이를 포함하는 전지 모듈 | |
US10483578B2 (en) | Method for manufacturing anode support of solid oxide fuel cell, and anode support of solid oxide fuel cell | |
JP5422414B2 (ja) | 固体酸化物形燃料電池のセル | |
JP2017157553A (ja) | 燃料電池 | |
JP7086017B2 (ja) | 水素極-固体電解質層複合体の製造方法、セル構造体の製造方法、及び、燃料電池の製造方法 | |
KR101218602B1 (ko) | 은 나노입자를 포함하는 저온 작동 고체산화물 연료전지 제조방법 및 이에 의해 제조된 고체산화물 연료전지 | |
JP4913257B1 (ja) | 固体酸化物形燃料電池 | |
JP2016085921A (ja) | セル支持体および固体酸化物形燃料電池 | |
JP7136185B2 (ja) | セル構造体 | |
WO2021256221A1 (ja) | プロトン伝導型セル構造体、プロトン伝導体、電気化学デバイス、及びプロトン伝導体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210826 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220517 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220518 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220607 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7086017 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |