JP5701444B1 - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持基板と燃料極との境界部分に介挿された中間層の界面の剥離の発生頻度を低減でき、且つ、高い限界燃料利用率下で稼働し得る燃料電池を提供すること。【解決手段】この燃料電池では、支持基板10が、酸化マグネシウムMgOと第1酸化物セラミックスとを含んで構成される。燃料極集電部21が、ニッケルNiと第2酸化物セラミックスとを含んで構成される。支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に中間層15が介在する。この中間層15は、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ニッケル(NiO)との固溶体である(Mg,Ni)Oと、第1酸化物セラミックスと、第2酸化物セラミックスと、を含む。還元処理後において、支持基板10及び燃料極集電部21と比べて、中間層15の気孔率が小さい。支持基板10の気孔率は25〜55%であり、燃料極集電部21の気孔率は25〜55%であり、中間層15の気孔率は10〜43%である。【選択図】図16

Description

本発明は、燃料電池に関する。
従来より、「ガス流路が内部に形成されるとともに、酸化マグネシウム(MgO)と第1酸化物セラミックスとを含んで構成された支持基板」と、「前記支持基板に設けられるとともに、ニッケル(Ni)と第2酸化物セラミックスとを含んで構成された燃料極と、固体電解質と、空気極とがこの順に積層されてなる発電素子部」と、を備えた固体酸化物形燃料電池が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
一般に、上述した燃料電池の各構成部材は、酸素含有雰囲気での焼成によって形成される。この酸素含有雰囲気での焼成によって、燃料極に含まれるNi成分は、NiOとなっている。NiOは電子伝導性を有さない。従って、燃料極の電子伝導性を獲得するため、燃料極(燃料電池)の焼成後、燃料極に対して「還元処理」がなされる。「還元処理」とは、還元雰囲気で行われる熱処理であり、具体的には、例えば、支持基板側から還元性の燃料ガスを流しながら、燃料極中のNiOを800〜1000℃程度の高温下にて還元する処理である。
上述した燃料電池では、焼成後の上記還元処理の際、支持基板と燃料極との境界部分にクラックが発生する場合があった。これは、以下の理由に基づくと考えられる。即ち、還元処理の際、燃料極中にはNiOが多量に含まれていることに起因して、このNiOがNiに還元されることによって燃料極が収縮する一方(還元収縮)、還元される物質の含有量の少ない支持基板の収縮量は小さい。従って、支持基板と燃料極との境界部分に、両者の収縮量の差に起因する過大な歪(従って、熱応力)が生じ得る。この過大な熱応力によって、支持基板と燃料極との境界部分にクラックが発生する、と考えられる。
特許4883733号公報
この問題に対処するため、本発明者は、支持基板と燃料極との境界部分に、支持基板及び燃料極より強度が高い中間層を介挿することによって、上述したクラックの発生頻度を小さくすることを考えている。具体的には、この中間層は、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ニッケル(NiO)との固溶体である(Mg,Ni)Oと、前記第1酸化物セラミックスと、前記第2酸化物セラミックスと、を含む。加えて、支持基板及び燃料極と比べて中間層の強度を高くするため、前記燃料電池が「上記還元処理が施された還元体」である状態において、前記中間層の気孔率が、前記支持基板の気孔率及び前記燃料極の気孔率より小さい。
ところで、このように中間層が介挿された燃料電池が熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、中間層と支持基板との界面、又は、中間層と燃料極との界面(以下、単に「中間層の界面」と呼ぶ)に剥離が発生する場合があった。加えて、このように中間層が介挿されると、燃料電池の限界燃料利用率が極端に低下する場合があった。上述した中間層の界面の剥離の発生頻度の低減、並びに、燃料電池の限界燃料利用率の低下の抑制が望まれてきたところである。
以上より、本発明は、支持基板と燃料極との境界部分に介挿された中間層の界面の剥離の発生頻度を低減でき、且つ、高い燃料利用率下で稼働し得る燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池は、上述と同じ支持基板と、上述と同じ発電素子部と、を備える前記支持基板は、平板状であっても、円筒状であってもよい。
本発明に係る燃料電池では、前記支持基板と前記燃料極との境界部分に中間層が介在し、前記中間層が、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ニッケル(NiO)との固溶体である(Mg,Ni)Oと、前記第1酸化物セラミックスと、前記第2酸化物セラミックスと、を含む。前記第1、第2酸化物セラミックスは、同じであっても異なっていてもよい。
本発明に係る燃料電池の特徴は、前記燃料電池が還元雰囲気で熱処理が施された還元体である状態において、前記中間層の気孔率が前記支持基板の気孔率及び前記燃料極の気孔率より小さく、前記支持基板の気孔率が25〜55%であり、前記燃料極の気孔率が25〜55%であり、前記中間層の気孔率が10〜43%である、ことにある。この場合、中間層の厚さが3〜100μmであると、好適である。
本発明者は、上記のように、支持基板の気孔率が25〜55%であり且つ燃料極の気孔率が25〜55%である場合において、支持基板及び燃料極と比べて気孔率が小さい中間層の気孔率が10〜43%であるとき、中間層の界面の剥離の発生頻度が低減され、且つ、燃料電池の限界燃料利用率が低下し難くなる、ことを見出した(この点については後に詳述する)。
本発明に係る燃料電池を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の2−2線に対応する断面図である。 図1に示す支持基板の凹部に埋設された燃料極及びインターコネクタの状態を示した平面図である。 図1に示す燃料電池の作動状態を説明するための図である。 図1に示す燃料電池の作動状態における電流の流れを説明するための図である。 図1に示す支持基板を示す斜視図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第1段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第2段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第3段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第4段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第5段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第6段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第7段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第8段階における図2に対応する断面図である。 図1に示す燃料電池の製造過程における第9段階における図2に対応する断面図である。 支持基板と燃料極集電部との境界部分に中間層が介在した構成を説明するための模式図である。 図16に示した中間層の具体的な構造を説明するための図である。 図16に示した中間層の変形例の図16に対応する模式図である。 本発明に係る燃料電池の変形例の図2に対応する断面図である。
(構成)
図1は、本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の構造体を示す。このSOFCは、長手方向(x軸方向)を有する平板状の支持基板10の上下面(互いに平行な両側の主面(平面))のそれぞれに、電気的に直列に接続された複数(本例では、4つ)の同形の発電素子部Aが長手方向において所定の間隔をおいて配置された、所謂「横縞型」と呼ばれる構成を有する。
このSOFCの全体を上方からみた形状は、例えば、長手方向の辺の長さが50〜500mmで長手方向に直交する幅方向(y軸方向)の長さが10〜100mmの長方形である。このSOFCの全体の厚さは、1〜5mmである。このSOFCの全体は、厚さ方向の中心を通り且つ支持基板10の主面に平行な面に対して上下対称の形状を有する。以下、図1に加えて、このSOFCの図1に示す2−2線に対応する部分断面図である図2を参照しながら、このSOFCの詳細について説明する。図2は、代表的な1組の隣り合う発電素子部A,Aのそれぞれの構成(の一部)、並びに、発電素子部A,A間の構成を示す部分断面図である。その他の組の隣り合う発電素子部A,A間の構成も、図2に示す構成と同様である。
支持基板10は、電子伝導性を有さない多孔質の材料からなる平板状の焼成体である。後述する図6に示すように、支持基板10の内部には、長手方向に延びる複数(本例では、6本)の燃料ガス流路11(貫通孔)が幅方向において所定の間隔をおいて形成されている。本例では、支持基板10の上下面における複数の発電素子部Aに対応する位置に、凹部12がそれぞれ形成されている。各凹部12は、支持基板10の材料からなる底壁と、全周に亘って支持基板10の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。各凹部12の長さ(x軸方向の寸法)は5〜50mmであり、幅(y軸方向の寸法)は2〜95mmであり、深さ(z軸方向の寸法)は0.03〜1.5mmである。
支持基板10は、MgO(酸化マグネシウム)と、第1酸化物セラミックスと、を含んで構成される。なお、支持基板10が第1酸化物セラミックスを含んでいるのは、MgO単独の熱膨張係数(約14ppm/K)が、通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて大きいことに起因して、支持基板10の等価熱膨張係数を通常の電極材料の熱膨張係数に近づけるため、である。従って、第1酸化物セラミックスとしては、熱膨張係数が通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて小さいものが好適である。具体的には、「第1酸化物セラミックス」としては、Y(イットリア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)等が好適である。支持基板10は、「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含んでいてもよい。「遷移金属酸化物又は遷移金属」としては、NiO(酸化ニッケル)又はNi(ニッケル)が好適である。遷移金属は、燃料ガスの改質反応を促す触媒(炭化水素系のガスの改質触媒)として機能し得る。
このように、支持基板10が「遷移金属酸化物又は遷移金属」を含むことによって、改質前の残存ガス成分を含んだガスが多孔質の支持基板10の内部の多数の気孔を介して燃料ガス流路11から燃料極に供給される過程において、上記触媒作用によって改質前の残存ガス成分の改質を促すことができる。加えて、支持基板10が絶縁性の酸化物セラミックスを含むことによって、支持基板10の絶縁性を確保することができる。この結果、隣り合う燃料極間における絶縁性が確保され得る。
支持基板10の厚さは、1〜5mmである。支持基板10の気孔率は25〜55%である。なお、気孔率の値は、後述する還元処理後の値である(他の気孔率の値についても同様)。なお、気孔率の測定は,樹脂埋めしたサンプル(還元処理後)の断面を研磨し、同断面についてのSEM(走査型電子顕微鏡)による画像(2次電子像)を解析することによって行われた。具体的には、「断面の総面積」に対する「断面上にて樹脂埋めされた領域に対応する部分の面積の総和」の割合が、その断面の「気孔率」であると定義された。SEMの加速電圧は5kV、SEMの倍率は5000倍、又は10000倍に設定された。気孔率の測定は、サンプルの任意の10箇所の断面について行われ、それらの平均値が気孔率の値として採用された。
以下、この構造体の形状が上下対称となっていることを考慮し、説明の簡便化のため、支持基板10の上面側の構成についてのみ説明していく。支持基板10の下面側の構成についても同様である。
図2及び図3に示すように、支持基板10の上面(上側の主面)に形成された各凹部12には、燃料極集電部21の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極集電部21は直方体状を呈している。なお、後述するように、支持基板10と各燃料極集電部21との境界部分(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分)には、多孔質の焼成体である中間層15が介装されている。
各燃料極集電部21の上面(外側面)には、凹部21aが形成されている。各凹部21aは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
各凹部21aには、燃料極活性部22の全体が埋設(充填)されている。従って、各燃料極活性部22は直方体状を呈している。燃料極集電部21と燃料極活性部22とにより燃料極20が構成される。燃料極20(燃料極集電部21+燃料極活性部22)は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。各燃料極活性部22の4つの側面と底面とは、凹部21a内で燃料極集電部21と接触している。
各燃料極集電部21の上面(外側面)における凹部21aを除いた部分には、凹部21bが形成されている。各凹部21bは、燃料極集電部21の材料からなる底壁と、全周に亘って燃料極集電部21の材料からなる周方向に閉じた側壁(長手方向に沿う2つの側壁と、幅方向に沿う2つの側壁)と、で画定された直方体状の窪みである。
各凹部21bには、インターコネクタ30が埋設(充填)されている。従って、各インターコネクタ30は直方体状を呈している。インターコネクタ30は、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。各インターコネクタ30の4つの側面と底面とは、凹部21b内で燃料極集電部21と接触している。
燃料極20(燃料極集電部21及び燃料極活性部22)の上面(外側面)と、インターコネクタ30の上面(外側面)と、支持基板10の主面とにより、1つの平面(凹部12が形成されていない場合の支持基板10の主面と同じ平面)が構成されている。即ち、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で、段差が形成されていない。
燃料極集電部21は、NiO(酸化ニッケル)と、第2酸化物セラミックスと、を含んで構成される。なお、燃料極集電部21が第2酸化物セラミックスを含んでいるのは、NiO単独の熱膨張係数(約14ppm/K)が、通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて大きいことに起因して、燃料極集電部21の等価熱膨張係数を通常の電極材料の熱膨張係数に近づけるため、である。従って、第2酸化物セラミックスとしては、熱膨張係数が通常の電極材料の熱膨張係数(10〜13ppm/K)と比べて小さいものが好適である。具体的には、「第2酸化物セラミックス」としては、Y(イットリア)、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)等が好適である。燃料極集電部21の厚さ(即ち、凹部12の深さ)は、50〜500μmである。燃料極集電部21の気孔率は25〜55%である。
燃料極活性部22は、電子伝導性を有する物質と、酸素イオン伝導性を有する物質と、を含んで構成される。「電子伝導性を有する物質」としては、NiO(酸化ニッケル)が好適である。「酸素イオン伝導性を有する物質」としては、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)等が好適である。燃料極活性部22の厚さは、5〜30μmである。燃料極活性部22の気孔率は25〜55%である。
なお、燃料極集電部21内、並びに、燃料極活性部22内のNiOは、後述する還元処理によってNiに変化して、電子伝導性を獲得する。燃料極活性部22における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」は、燃料極集電部21における「気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合」よりも大きい。
インターコネクタ30は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ30の厚さは、10〜100μmである。
燃料極20及びインターコネクタ30がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタ30が形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面は、固体電解質膜40により覆われている。固体電解質膜40は、イオン伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。固体電解質膜40は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。固体電解質膜40の厚さは、3〜50μmである。
即ち、燃料極20がそれぞれの凹部12に埋設された状態の支持基板10における長手方向に延びる外周面の全面は、インターコネクタ30と固体電解質膜40とからなる緻密層により覆われている。この緻密層は、緻密層の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密層の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。なお、本願において「緻密」とは、「ガスが通過しない程度に高密度であること」を指し、具体的には、「気孔率が10%以下であること」を指す。
なお、図2に示すように、本例では、固体電解質膜40が、燃料極20の上面、インターコネクタ30の上面における長手方向の両側端部、及び支持基板10の主面を覆っている。ここで、上述したように、燃料極20の上面とインターコネクタ30の上面と支持基板10の主面との間で段差が形成されていない。従って、固体電解質膜40が平坦化されている。この結果、固体電解質膜40に段差が形成される場合に比して、応力集中に起因する固体電解質膜40でのクラックの発生が抑制され得、固体電解質膜40が有するガスシール機能の低下が抑制され得る。
固体電解質膜40における各燃料極活性部22と接している箇所の上面には、反応防止膜50を介して空気極60が形成されている。反応防止膜50は、緻密な材料からなる焼成体であり、空気極60は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。反応防止膜50及び空気極60を上方からみた形状は、燃料極活性部22と略同一の長方形である。
反応防止膜50は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜50の厚さは、3〜50μmである。空気極60は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、空気極60は、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極60の厚さは、10〜100μmである。
なお、反応防止膜50が介装されるのは、SOFC作製時又は作動中のSOFC内において固体電解質膜40内のYSZと空気極60内のSrとが反応して固体電解質膜40と空気極60との境界部分に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するためである。
ここで、燃料極20と、固体電解質膜40と、反応防止膜50と、空気極60とが積層されてなる積層体が、「発電素子部A」に対応する(図2を参照)。即ち、支持基板10の上面には、複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが、長手方向において所定の間隔をおいて配置されている。
各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aのインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極60、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の上面に、空気極集電膜70が形成されている。空気極集電膜70は、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。空気極集電膜70を上方からみた形状は、長方形である。
空気極集電膜70は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電膜70の厚さは、50〜500μmである。
このように各空気極集電膜70が形成されることにより、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、一方の(図2では、左側の)発電素子部Aの空気極60と、他方の(図2では、右側の)発電素子部Aの燃料極20(特に、燃料極集電部21)とが、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」を介して電気的に接続される。この結果、支持基板10の上面に配置されている複数(本例では、4つ)の発電素子部Aが電気的に直列に接続される。ここで、電子伝導性を有する「空気極集電膜70及びインターコネクタ30」が、「電気的接続部」に対応する。
なお、インターコネクタ30は、前記「電気的接続部」における「緻密な材料で構成された第1部分」に対応し、気孔率は10%以下である。空気極集電膜70は、前記「電気的接続部」における「多孔質の材料で構成された第2部分」に対応し、気孔率は20〜60%である。
以上、説明した「横縞型」のSOFCに対して、図4に示すように、支持基板10の燃料ガス流路11内に改質後の燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板10の上下面(特に、各空気極集電膜70)を「酸素を含むガス」(空気等)に曝す(或いは、支持基板10の上下面に沿って酸素を含むガスを流す)ことにより、固体電解質膜40の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。更に、この構造体を外部の負荷に接続すると、下記(1)、(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる(発電状態)。
(1/2)・O+2e→O2− (於:空気極60) …(1)
+O2−→HO+2e (於:燃料極20) …(2)
発電状態においては、図5に示すように、各組の隣り合う発電素子部A,Aについて、電流が、矢印で示すように流れる。この結果、図4に示すように、このSOFC全体から(具体的には、図4において最も手前側の発電素子部Aのインターコネクタ30と最も奥側の発電素子部Aの空気極60とを介して)電力が取り出される。
(製造方法)
次に、図1に示した「横縞型」のSOFCの製造方法の一例について図6〜図15を参照しながら簡単に説明する。図6〜図15において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が「焼成前」であることを表す。
先ず、図6に示す形状を有する支持基板の成形体10gが作製される。この支持基板の成形体10gは、例えば、支持基板10の材料(例えば、MgOとY)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、押し出し成形、切削等の手法を利用して作製され得る。以下、図6に示す7−7線に対応する部分断面を表す図7〜図15を参照しながら説明を続ける。
図7に示すように、支持基板の成形体10gが作製されると、次に、図8に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された各凹部12の底面及び側面に、中間層の成形膜15gがそれぞれ形成される。この中間層の成形膜15gの形成については後述する。
次に、図9に示すように、支持基板の成形体10gの上下面に形成された「中間層の成形膜15gが形成された各凹部12」に、燃料極集電部の成形体21gがそれぞれ埋設・形成される。次いで、図10に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面に形成された各凹部に、燃料極活性部の成形体22gがそれぞれ埋設・形成される。各燃料極集電部の成形体21g、及び各燃料極活性部22gは、例えば、燃料極20の材料(例えば、NiとY)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
続いて、図11に示すように、各燃料極集電部の成形体21gの外側面における「燃料極活性部の成形体22gが埋設された部分を除いた部分」に形成された各凹部に、インターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成される。各インターコネクタの成形体30gは、例えば、インターコネクタ30の材料(例えば、LaCrO)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して埋設・形成される。
次に、図12に示すように、複数の燃料極の成形体(21g+22g)及び複数のインターコネクタの成形体30gがそれぞれ埋設・形成された状態の支持基板の成形体10gにおける長手方向に延びる外周面において複数のインターコネクタの成形体30gが形成されたそれぞれの部分の長手方向中央部を除いた全面に、固体電解質膜の成形膜40gが形成される。固体電解質膜の成形膜40gは、例えば、固体電解質膜40の材料(例えば、YSZ)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法、ディッピング法等を利用して形成される。
次に、図13に示すように、固体電解質膜の成形体40gにおける各燃料極の成形体22gと接している箇所の外側面に、反応防止膜の成形膜50gが形成される。各反応防止膜の成形膜50gは、例えば、反応防止膜50の材料(例えば、GDC)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体10gが、空気中にて1500℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCにおいて空気極60及び空気極集電膜70が形成されていない状態の構造体が得られる。
次に、図14に示すように、各反応防止膜50の外側面に、空気極の成形膜60gが形成される。各空気極の成形膜60gは、例えば、空気極60の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
次に、図15に示すように、各組の隣り合う発電素子部について、一方の発電素子部の空気極の成形膜60gと、他方の発電素子部のインターコネクタ30とを跨ぐように、空気極の成形膜60g、固体電解質膜40、及び、インターコネクタ30の外側面に、空気極集電膜の成形膜70gが形成される。各空気極集電膜の成形膜70gは、例えば、空気極集電膜70の材料(例えば、LSCF)の粉末にバインダー等が添加されて得られるスラリーを用いて、印刷法等を利用して形成される。
そして、このように成形膜60g、70gが形成された状態の支持基板10が、空気中にて1050℃で3時間焼成される。これにより、図1に示したSOFCが得られる。なお、この時点では、酸素含有雰囲気での焼成により、燃料極20(集電部21+活性部22)中のNi成分が、NiOとなっている。従って、燃料極20(集電部21+活性部22)の電子伝導性を獲得するため、その後、支持基板10側から還元性の燃料ガスが流され、NiOが800〜1000℃で1〜10時間に亘って還元処理される。なお、この還元処理は発電時に行われてもよい。以上、図1に示したSOFCの製造方法の一例について説明した。
(中間層の介在)
上記実施形態では、図16に示すように、支持基板10と各燃料極20(集電部21)との境界部分(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分)に、中間層15が介在している。この中間層15は、支持基板10と各燃料極集電部21との境界部分の全域(即ち、各凹部12の底壁及び側壁に対応する部分の全域)に亘って設けられていても、前記境界部分の一部のみに設けられていてもよい。中間層15の厚さ(図16のT、後述する図18のT(=Ta+Tb)を参照)は、3〜100μmである。支持基板10と中間層15との境界の定義、並びに、中間層15と燃料極集電部21との境界の定義(従って、中間層15の厚さの定義)については後述する。
図17に示すように、この中間層15は、上記還元処理後において、「MgOを含む粒子」(第1粒子。典型的には、固溶体(Mg,Ni)Oの粒子)と、「第1酸化物セラミックスを含む粒子及び第2酸化物セラミックスを含む粒子」(第2粒子。典型的には、Y粒子)と、「Niを含む金属微粒子」(第3粒子。典型的には、Ni粒子)と、を含む。この中間層15内では、第1粒子の表面に第3粒子が固着している。そして、隣接する第1粒子同士、及び、隣接する第1粒子及び第2粒子が、第3粒子を介して結合されている。なお、この第3粒子(固着したNi粒子)の存在によって、燃料ガスの「メタン(CH)→水素(H)の改質反応」が促進され得る。中間層15の気孔率は、支持基板10の気孔率、及び燃料極集電部21の気孔率より小さい。中間層15の気孔率の適正範囲については後述する。
換言すれば、この中間層15は、MgOとNiOとの固溶体である(Mg,Ni)Oと、「第1酸化物セラミックス」と、「第2酸化物セラミックス」と、Niと、を含む。加えて、中間層15における(中間層15の厚さ方向において)燃料極集電部21に近い部分(近い側)では、中間層15における(中間層15の厚さ方向において)支持基板10に近い部分(近い側)と比べて、「Niの含有モル比率」及び「第2酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に大きく、且つ、「Mgの含有モル比率」及び「第1酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に小さい。
この中間層15は、以下のように形成される。先ず、中間層15の原料粉末としてのMgO粉末とNiO粉末がモル比で1:1になるように秤量された。次いで、これらの混合物が大気雰囲気1400℃で5時間焼成された。これにより、MgOとNiOの固溶体((Mg,Ni)O)が作製された。この固溶体は、還元雰囲気において非常に還元され難い性質を有する。なお、完全に固溶が完了していることは、粉末X線回折等によって確認された。この固溶体がポットミルで粉砕され、D50=0.52μmの粉末が得られた。得られた粉末に溶剤、バインダーを添加してスラリーが作製された。このスラリーがスプレーコート法によって、上述した支持基板の成形体10g(図6を参照)の各凹部にそれぞれ塗布されて、中間層の成形膜15gが形成された(図8を参照)。その後、上述のように、中間層の成形膜15gが、支持基板の成形体10g、及び燃料極集電層の成形体21gと、共焼成される(図13→図14を参照)。この共焼成の際、支持基板10内の「MgO、及び、第1酸化物セラミックス」、並びに、燃料極集電部21内の「NiO、及び、第2酸化物セラミックス」が、中間層15内に拡散により進入してくる。この結果、「中間層15における燃料極集電部21に近い側」では、「中間層15における支持基板10に近い側」と比べて、「Niの含有モル比率」及び「第2酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に大きく、且つ、「Mgの含有モル比率」及び「第1酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に小さくなる。なお、拡散によって中間層15の内部に侵入してきたNiOとMgOとが反応して固溶体((Mg,Ni)O)が新たに形成され得る。その後、上述した還元処理等の実行により、固溶体(Mg,Ni)Oの還元が進行すると、図17に示すように、(Mg,Ni)Oの粒子の表面に、Niの微粒子が析出してくる。このNi微粒子の析出に伴い、隣接する(Mg,Ni)O粒子同士、及び、隣接する(Mg,Ni)O粒子及びY粒子が、Niの微粒子を介して固着・結合される。この結果、図17に示す構造を有する中間層15が得られる。
なお、支持基板の成形体10gと燃料極集電部の成形体21gとの境界部分に上述した中間層の成形膜15gが介在しない状態で、支持基板の成形体10gと燃料極集電部の成形体21gとが共焼成された場合においても、支持基板10内のMgO、及び、燃料極集電部21内のNiOが中間層15内に拡散することに起因して、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に固溶体(Mg,Ni)Oが自然に生成され得る。このように自然に生成された固溶体(Mg,Ni)Oが、上述した還元処理等の実行により還元された場合においても、上述と同様、(Mg,Ni)Oの粒子の表面に、Niの微粒子が析出してくる。このNi微粒子の析出に伴い、隣接する(Mg,Ni)O粒子同士、及び、隣接する(Mg,Ni)O粒子及びY粒子が、Niの微粒子を介して固着・結合される。即ち、この場合も、図17に示す構造を有する中間層15が得られる。
上述のように、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に図16に示す中間層15が介在することによって、以下の作用・効果が奏される。即ち、上記還元処理の際、燃料極20中にはNiOが多量に含まれていることに起因して、このNiOがNiに還元されることによって燃料極20が収縮する(還元収縮)。一方、還元される物質の含有量の少ない支持基板10の収縮量は小さい。従って、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に中間層15が介在しない場合、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に、両者の収縮量の差に起因する過大な歪(従って、熱応力)が生じ得る。この過大な熱応力によって、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分にクラックが発生する場合があった。これに対し、上記実施形態に係るSOFCでは、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分に、支持基板10及び燃料極集電部21と比べて気孔率が小さい中間層15が介在している。換言すれば、支持基板10及び燃料極集電部21の境界部分に、支持基板10及び燃料極集電部21と比べて強度が高い中間層15が介在している。この結果、上述したクラックが発生し難くなる、と考えられる。
なお、図16に示す中間層15では、中間層15が1層で構成され、「中間層15における燃料極集電部21に近い側」と、「中間層15における支持基板10に近い側」との間では、明確な境界は存在しない。これに対し、図18に示すように、中間層15が2層(又は、3層以上)で構成され、「中間層15における支持基板10に近い側」の層15aと、「中間層15における燃料極集電部21に近い側」の層15bと、の間で明確な境界が存在していてもよい。層15aは、層15bと比べて、Mgの含有モル比率が相対的に大きく、且つ、Niの含有モル比率が相対的に小さい。図18に示す構成は、例えば、以下のように作成される。即ち、上述した支持基板の成形体10g(図6を参照)の各凹部に中間層の成形膜15gが形成される際、成形膜15gが、「支持基板10に近い側の膜」と、「燃料極集電部21に近い側の膜」、との2層で構成される。「支持基板10に近い側の膜」用のスラリー((Mg,Ni)Oを含む)では、「燃料極集電部21に近い側の膜」用のスラリー((Mg,Ni)Oを含む)と比べて、「Mgの含有モル比率」及び「第1酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に大きく、且つ、「Niの含有モル比率」及び「第2酸化物セラミックスの含有モル比率」が相対的に小さい。この2層からなる「中間層の成形膜15g」が、支持基板の成形体10g、及び燃料極集電層の成形体21gと、共焼成される。その後、これらの焼成体が上述した還元処理に供される。この結果、図18に示した中間層15(=層15a+層15b)が得られる。層15a、及び層15b共に、図17に示す構造を有する。
(中間層の気孔率の適正範囲)
上記実施形態に係るSOFCでは、通常の環境下で稼働される場合には、中間層15と支持基板10との界面、又は、中間層15と燃料極集電部21との界面(以下、単に「中間層15の界面」と呼ぶ)に剥離が発生しない。しかしながら、このSOFCが熱応力的に過酷な環境下で稼働されると、中間層15の界面に剥離が発生する場合があった。加えて、このように中間層15が介挿されると、SOFCの限界燃料利用率が極端に低下する場合があった。本発明者は、中間層15の界面の剥離の発生、及び、SOFCの限界燃料利用率の低下が、中間層15の気孔率と強い相関があることを見出した。以下、このことを確認した試験について説明する。
(試験)
この試験では、図1に示したSOFCについて、支持基板10の気孔率、燃料極集電部21の気孔率、及び、中間層15の気孔率の組み合わせが異なる複数のサンプルが作製された。具体的には、表1に示すように、8種類の水準(組み合わせ)が準備された。各水準に対して10個のサンプル(N=10)が作製された。各サンプルについて、中間層15の境界は、以下のように定義された。先ず、サンプルの断面におけるEDS(エネルギー分散型X線分析)を用いたNiとMgについての元素定量分析(ライン分析)を、支持基板側から燃料極集電部側に向けて積層方向に関して連続的に行う。前記断面について、モル比で「Ni/(Ni+Mg)」の値が0.30を超えた位置を「中間層と支持基板との界面」と定義し、モル比で「Ni/(Ni+Mg)」の値が0.90を超えた位置を「中間層と燃料極集電部との界面」と定義する。中間層15の厚さとしては、前記断面の任意の10箇所でそれぞれ測定された「両界面間の距離」の平均値を採用する。
Figure 0005701444
各サンプル(図1に示すSOFC)にて、中間層15は、支持基板10と燃料極集電部21との境界部分の全域(即ち、各凹部12の底壁及び側壁の全域)に亘って形成された。中間層15は、「中間層の成形膜15g」が支持基板の成形体10g及び燃料極集電層の成形体21gと共焼成され、その後、その焼成体に対して還元処理が施されることよって形成された。各サンプルについて、支持基板10の材料としてはMgO−Y、NiO/Ni-MgO−Y、MgO−MgAl、NiO/Ni-MgO−MgAl等が使用された。燃料極集電部21の材料としてはNiO/Ni-YSZ、NiO/Ni-CSZ、NiO/Ni-Y等が使用された。中間層15の材料としてはNiO/Ni-MgO−YSZ−Y、NiO/Ni-MgO−YSZ−MgAl、NiO/Ni-MgO−CSZ−MgAl等が使用された。中間層15の厚さは3〜100μmであった。支持基板10、燃料極集電部21、及び中間層15のそれぞれの気孔率の調整は、対応する成形体の作製に使用されるスラリー内に含まれる造孔材の量及び径を調整すること等によってなされた。表1に示すように、支持基板の気孔率は25〜55%であり、燃料極の気孔率は25〜55%であった。
この試験では、先ず、上記還元処理後の各サンプル(図1に示すSOFC)について、SOFCの限界燃料利用率が計測された。この計測は、「温度が800℃、電流密度が0.2A/cm」という条件下にて行われた。この計測の結果は表1に示すとおりである。
その後、各サンプルについて、「燃料極20に還元性の燃料ガスを流通させながら、雰囲気温度を常温から750℃まで2時間で上げた後に750℃から常温まで4時間で下げるパターン」を10回繰り返す熱サイクル試験を行った。そして、各サンプルについて、中間層15の界面の剥離の発生の有無が確認された。この確認は、目視、並びに、顕微鏡を使用した観察によってなされた。この結果は表1に示すとおりである。
表1から理解できるように、支持基板10の気孔率が25〜55%であり且つ燃料極集電部21の気孔率が25〜55%である場合において、中間層15の気孔率が10%未満であると、中間層15の気孔率が10%以上の場合と比べて、SOFCの限界燃料利用率特性が極端に低下する。これは以下の理由に基づく、と考えられる。即ち、支持基板10の燃料ガス流路11を流れる燃料ガスは、支持基板10の内部の気孔、中間層15の内部の気孔、及び、燃料極集電部21の内部の気孔を順に通過して、燃料極活性部22に到達する。この過程において、中間層15の気孔率が小さ過ぎると、燃料ガスが中間層15の内部の気孔を極端に通過し難くなり、燃料ガスが燃料極活性部22に極端に到達し難くなる。この結果、燃料極活性部22(より正確には、燃料極活性部22と固体電解質膜40との界面近傍)にて酸素と反応し得る燃料ガスの量が極端に減少し、SOFCの限界燃料利用率が極端に低下する。
また、表1から理解できるように、支持基板10の気孔率が25〜55%であり且つ燃料極集電部21の気孔率が25〜55%である場合において、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、中間層15の気孔率が43%より大きいと、中間層15の気孔率が43%以下の場合と比べて、中間層15の界面に剥離が発生し易い。これは以下の理由に基づく、と考えられる。即ち、通常の環境下でSOFCが稼働される場合には、「支持基板10及び燃料極集電部21と比べて中間層15の気孔率が小さい」という気孔率の相対的な大小関係が成立することによって、中間層15の界面の剥離が発生しない程度の十分な中間層15の強度が確保され得る。一方、熱応力的に過酷な上記熱サイクル試験を行った後では、上記の気孔率の相対的な大小関係が成立していても、中間層15の気孔率が大き過ぎると、中間層15の界面の剥離が発生しない程度の十分な中間層15の強度が確保され得ない。この結果、中間層15の界面に剥離が発生する。
以上より、中間層15の気孔率が10〜43%の範囲内であると、中間層15の界面の剥離の発生頻度が低減され、且つ、SOFCの限界燃料利用率が低下し難い、ということができる。
なお、本発明者は、通常の条件・環境下(例えば、常温から750℃まで4時間で上げた後に750℃から常温まで12時間で下げるパターン)にて上記実施形態が使用される場合、中間層15の気孔率が43%より大きくても、中間層15の界面の剥離が発生しないことを別途確認している。また、中間層15の気孔率は、中間層15の内部に亘って均一でなくてもよい。具体的には、「中間層15における燃料極集電部21に近い側」の気孔率が「中間層15における支持基板10に近い側」の気孔率より大きくてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、図6等に示すように、支持基板10に形成された凹部12の平面形状(支持基板10の主面に垂直の方向からみた場合の形状)が、長方形になっているが、例えば、正方形、円形、楕円形、長穴形状等であってもよい。また、支持基板10は平板状を呈しているが、円筒状であってもよい。
また、上記実施形態においては、平板状の支持基板10の上下面のそれぞれに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられているが、支持基板10の片側面のみに複数の凹部12が形成され且つ複数の発電素子部Aが設けられていてもよい。また、上記実施形態においては、支持基板10の一つの主面上に、電気的に直列に接続された複数の発電素子部Aが配置された所謂「横縞型」と呼ばれる構成が採用されているが、支持基板10の一つの主面上に一つの発電素子部Aが配置される構成(所謂「縦縞型」)が採用されてもよい。
また、上記実施形態においては、燃料極20が燃料極集電部21と燃料極活性部22との2層で構成されているが、燃料極20が燃料極活性部22に相当する1層(Ni+酸化物セラミックス)で構成されてもよい。また、上記実施形態においては、支持基板10の主面に複数の凹部12が形成され、各凹部12に燃料極20がそれぞれ埋設されているが、図22に示すように、支持基板10の主面上に燃料極20がそれぞれ積層されていてもよい。この場合、図22に示すように、中間層15は、支持基板10の主面上における、支持基板10と燃料極20との境界部分に形成される。
加えて、上記実施形態においては、各燃料極20(集電部21及び活性部22)が支持基板の主面に形成された凹部12に埋設されているが、図19に示すように、支持基板の主面に凹部が形成されず、各燃料極20(集電部21及び活性部22)が支持基板の主面から突出するように形成されていてもよい。この場合、図19に示すように、中間層15に段差が形成されない。
10…支持基板、11…燃料ガス流路、12…凹部、15…中間層、20…燃料極、21…燃料極集電部、21a、21b…凹部、22…燃料極活性部、30…インターコネクタ、40…固体電解質膜、50…反応防止膜、60…空気極、70…空気極集電膜、A…発電素子部

Claims (2)

  1. ガス流路が内部に形成されるとともに、酸化マグネシウム(MgO)と、酸化物を含むセラミックスであり且つ酸化マグネシウムと比べて熱膨張係数が小さい第1酸化物セラミックスと、を含んで構成された支持基板と、
    前記支持基板に設けられるとともに、ニッケル(Ni)と、酸化物を含むセラミックスであり且つニッケルと比べて熱膨張係数が小さい第2酸化物セラミックスと、を含んで構成された燃料極と、固体電解質と、空気極とがこの順に積層されてなる発電素子部と、
    を備えた燃料電池であって、
    前記支持基板と前記燃料極との境界部分に中間層が介在し、
    前記中間層は、
    酸化マグネシウム(MgO)と酸化ニッケル(NiO)との固溶体である(Mg,Ni)Oと、前記第1酸化物セラミックスと、前記第2酸化物セラミックスと、を含み、
    前記燃料電池が還元雰囲気で熱処理が施された還元体である状態において、
    前記中間層の気孔率は前記支持基板の気孔率及び前記燃料極の気孔率より小さく、前記支持基板の気孔率は25〜55%であり、前記燃料極の気孔率は25〜55%であり、前記中間層の気孔率は10〜43%である、燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池において、
    前記中間層の厚さは、3〜100μmである、燃料電池。
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