JP2016113870A - 地盤改良工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業時間や作業環境に大きな制約がある場合に適する地盤改良工法を提供する。【解決手段】上段ノズル及び下段ノズルを有する多重管10を、軸心回りに回転し、かつ上段ノズルから切削液Sを噴射しつつ地盤Gに貫入する工程と、多重管10を、軸心回りに回転し、かつ上段ノズルから切削液S又は硬化材Cを噴射し、下段ノズルから硬化材Cを3〜7MPaの噴射圧で噴射しつつ引き上げる工程とを有するものとする。そして、切削液Sを噴射して地盤Gを切削土砂G2とし、この切削土砂G2と硬化材Cとを混合して改良体Rとする。【選択図】図1

Description

本発明は、切削水等の切削液を噴射して地盤を切削土砂とし、この切削土砂と硬化材とを混合して改良体とする地盤改良工法に関するものである。
現在、切削液や硬化材等の高圧液を噴射して地盤を改良する工法(以下、単に「高圧噴射地盤改良工法」ともいう。)としては、例えば、JSG工法やOPTジェット工法等が存在する(例えば、OPTジェット工法に関する特許文献1等参照。)。これらの工法は、既に実用化されおり、その効果については高い評価を受けている。
しかしながら、従来の高圧噴射地盤改良工法は、改良体の品質が重視されており、線路内で施工する場合のように、作業時間や作業環境に大きな制約がある場合に適した工法とはなっていない。
特許第3750066号公報
本発明の主たる課題は、作業時間や作業環境に大きな制約がある場合に適する地盤改良工法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の通りである。
(請求項1記載の発明)
次記(A)及び(B)の工程を有し、切削液を噴射して地盤を切削土砂とし、この切削土砂と硬化材とを混合して改良体とする、
ことを特徴とする地盤改良工法。
(A)上段ノズル及び下段ノズルを有する多重管を、軸心回りに回転し、かつ前記上段ノズルから切削液を噴射しつつ地盤に貫入する工程。
(B)前記多重管を、軸心回りに回転し、かつ前記上段ノズルから切削液又は硬化材を噴射し、前記下段ノズルから硬化材を3〜7MPaの噴射圧で噴射しつつ引き上げる工程。
(請求項2記載の発明)
前記引上げ工程における上段ノズルからの噴射を切削液とし、
前記貫入工程における切削液の噴射圧を、前記引上げ工程における切削液の噴射圧の1/5〜1/3とする、
請求項1記載の地盤改良工法。
(請求項3記載の発明)
前記貫入工程における切削液の噴射圧を3〜7MPaとし、
前記引上げ工程における切削液の噴射圧を18〜22MPaとする、
請求項2記載の地盤改良工法。
(請求項4記載の発明)
前記多重管の貫入速度を7分/mを超えるものとし、
前記多重管の引上げ速度を3〜7分/mとする、
請求項2又は請求項3記載の地盤改良工法。
(請求項5記載の発明)
前記引上げ工程における上段ノズルからの噴射を硬化材とし、
前記貫入工程における切削液の噴射圧を18〜22MPaとする、
請求項1記載の地盤改良工法。
(請求項6記載の発明)
前記引上げ工程における上段ノズルからの硬化材の噴射圧を8〜12MPaとする、
請求項5記載の地盤改良工法。
(請求項7記載の発明)
前記多重管の貫入速度を、当該多重管の引上げ速度の0.9〜1.2倍とする、
請求項5又は請求項6記載の地盤改良工法。
(請求項8記載の発明)
前記多重管を二重管とし、かつ直径を50mm以下とする、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の地盤改良工法。
本発明によると、作業時間や作業環境に大きな制約がある場合に適する地盤改良工法となる。
同時切削工法の概念図である。 先行切削工法の概念図である。
次に、発明を実施するための形態を、図1及び図2を参照しつつ、説明する。
本形態の地盤改良工法は、切削水等の切削液Sを噴射して地盤Gを切削土砂G2とし、この切削土砂G2と硬化材Cとを混合して、改良体Rを造成する、いわゆる高圧噴射型の地盤改良工法である。なお、この工法は、高圧噴射攪拌工法などとも言われる。機械攪拌を伴わないため、施工機材を小型化することができるとの特徴を有している。
本工法は、例えば、地盤Gに貫入し、引き上げる多重管10や、この多重管10を支持し、かつ軸心回りに回転するボーリングマシン20、切削液Sや硬化材C等を噴出するための図示しない高圧ポンプ等の機材を使用して施工する。
本工法は、迅速性を重視した工法(噴射技術の最適化)であるため、ボーリングマシン20を小型化、軽量化することができる。ボーリングマシン20を小型化、軽量化すると、施工を一段と迅速に行うことができるようになり、しかも作業スペース等の点で作業環境に大きな制約がある場合にも施工することができるようになる。なお、本発明者等が試算したところによると、1000kg以下のボーリングマシンを使用した施工も可能となる。
多重管10の先端部には、当該多重管10内を通った切削液Sや硬化材C等を側方へ噴射するための上段ノズル及び下段ノズルが備わる。本形態においては、多重管10として二重管を使用する。二重管を使用すると、貫入速度や引上げ速度を速めることができ、施工をより迅速に行うことができる。二重管は、直径50mm以下、特に直径30〜40mmであると好適である。二重管の直径が30〜50mmであると、改良体Rの品質を何ら損なうことなく施工を迅速に行うことができるようになる。
本形態の工法は、改良域全域(改良体Rの造成域)における地盤Gの切削を硬化材Cの噴射と同時に行う「同時切削工法」と、当該改良域全域における地盤Gの切削を硬化材Cの噴射に先立って行う「先行切削工法」とに分類することができる。以下、この順に説明する。なお、以下では、改良域全域の切削を「切削土砂化」と言い、符号G2で示す。これに対し、多重管10周りのみの切削を「補助切削」と言い、符号G1で示す。
(同時切削工法)
図1に同時切削工法を示した。
本工法は、多重管10を、軸心回りに回転し、かつ上段ノズルから切削液Sを噴射しつつ地盤に貫入する工程(貫入工程)と、多重管10を、軸心回りに回転し、かつ上段ノズルから切削液Sを噴射し、下段ノズルから硬化材Cを噴射しつつ引き上げる工程(引上げ工程)とを有する。
なお、貫入工程においては、図示例のように、多重管10の先端部から削孔水等の削孔液Dを吐出することができる。この削孔液Dは、当該削孔液D専用のノズルから吐出することもできるが、下段ノズルから吐出するものとすると、多重管10が簡素化されて好適である。下段ノズルを利用する場合は、当該下段ノズルに、例えば、差圧弁やボール弁等を備えて、削孔液Dの吐出方向が下方となるようにすると好適である。
本工法においては、切削土砂化を硬化材Cの噴射と同時に行うため、硬化材Cの噴射圧を好ましくは3〜7MPa、より好ましくは5MPaに抑えることができる。硬化材Cの噴射圧を低く抑えると、硬化材噴射のための設備を小型化、軽量化することができ、機材の搬入等も容易となる。結果、作業環境に大きな制約がある場合にも施工することができるようになる。また、切削土砂化と硬化材Cの噴射とを同時に行うと、切削土砂G2をすぐに改良することになるため、地盤沈下を抑制することができる。
なお、本工法と後述する先行切削工法との差異が明らかになるように、表1に両工法の対比を示した。同表には、参考のために、切削液Sや硬化材Cの噴出量も示している。
Figure 2016113870
本工法においては、貫入工程においても切削液Sを噴射するが、この切削液Sの噴射は、切削土砂化を意図するものではなく、多重管10周りのみを切削土砂G1としておき(補助切削)、引上げ工程における切削土砂化や排泥処理を効率的に行うことを意図する。
貫入工程における切削液Sの噴射圧は、引上げ工程における切削液Sの噴射圧の1/5〜1/3とするのが好ましく、貫入工程における切削液Sの噴射圧を3〜7MPa(好適には5MPa)とし、引上げ工程における切削液Sの噴射圧を18〜22MPa(好適には20MPa)とするのがより好ましい。このように貫入工程における切削液Sの噴射圧を低く抑えることで、多重管10の貫入速度を速めることができ、施工を迅速に行うことができる。また、多重管10の周りを切削土砂G1とすることで、排泥の通り路が確保され、地盤の隆起を抑制することができる。
多重管10は、貫入速度を7分/mを超えるものとし、引上げ速度を3〜7分/mとするのが好ましい。このように貫入速度を高速としても、改良体Rの品質を何ら損なうことがないため、施工が迅速化される。ただし、多重管10の貫入速度は、ボーリングマシン20を大型化させないために、15分/m以下とするのが好ましい。また、貫入速度は同一としつつも、引上げ速度は、作業時間、改良体Rの品質要求等に応じて高速化(例えば、4分/m。)、あるいは低速化(例えば、6分/m。)と切り替えることもできる。引上げ速度を高速化すれば作業時間(施工時間)を短縮することができ、引上げ速度を低速化すれば改良体Rの品質をより向上することができる。
(先行切削工法)
図2に先行切削工法を示した。
本工法は、多重管10を、軸心回りに回転し、かつ上段ノズルから切削液Sを噴射圧18〜22MPa、好ましくは20MPaで噴射しつつ地盤に貫入する工程(貫入工程)と、多重管10を、軸心回りに回転し、かつ上段ノズル及び下段ノズルの両方から硬化材Cを噴射しつつ引き上げる工程(引上げ工程)とを有する。
なお、貫入工程における削孔液Dの吐出は、前述した同時切削工法におけるのと同様である。
本工法においては、切削土砂化を、貫入工程で、つまり硬化材Cの噴射に先立って行うため、排泥の回収効率がより向上する。排泥の回収効率の向上は、地盤Gの隆起抑制につながる。また、引上げ工程においては、上段ノズル及び下段ノズルの両方から硬化材Cを噴射するため、改良体Rの均質性が向上する。
本工法においては、引上げ工程における上段ノズルからの硬化材の噴射圧を8〜12MPaとするのが好ましく、10MPaとするのがより好ましい。このような噴射圧であると、硬化材Cを噴射するための高圧ポンプ等を大型化する必要がなく、しかも下段ノズルからの硬化材Cの噴射圧を、好ましくは3〜7MPa、より好ましくは5MPaに抑えることができる。また、両方のノズルから硬化材Cを噴出することで、特に上段ノズルからの噴出圧を下段ノズルからの噴射圧よりも強くすることで、改良体Rをより均質化することができる。
多重管10は、貫入速度を、当該多重管10の引上げ速度の0.9〜1.2倍とするのが好ましく、貫入速度及び引上げ速度を、いずれも3〜7分/mとするのが好ましい。本工法においては、貫入工程において切削土砂化を行うため、前述した同時切削工法のように貫入速度を著しく高速とすることができず、作業時間(施工時間)の点では劣るものとなる。しかるに、本工法においては、排泥効率が向上するため、地盤Gの隆起等を抑制するには好ましく、線路内等のように地盤Gのわずかな隆起もが問題となる場合は、作業時間が許す限り、本工法を採用するのが好ましい。
なお、貫入速度及び引上げ速度は、作業時間、改良体Rの品質要求等に応じて高速化(例えば、4分/m。)、あるいは低速化(例えば、6分/m。)と切り替えることもできる。貫入速度及び引上げ速度を高速化すれば作業時間(施工時間)を短縮することができ、貫入速度及び引上げ速度を低速化すれば改良体Rの品質をより向上することができる。
(その他)
以上の同時切削工法及び先行切削工法によると、例えば、改良径0.6〜1.0m(好適には0.8m)で、強度1N/mm2以上の改良体Rを造成することができる。しかも、このような改良体Rを、例えば、線路閉鎖時間内で1本造成することができ、実施化容易である。
なお、以上のいずれの形態においても、硬化材Cの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、セメント760kg、混和剤12kg、W/C=100%の硬化材(JG−1号)等を使用することができる。
本発明は、切削水等の切削液を噴射して地盤を切削土砂とし、この切削土砂と硬化材とを混合して改良体とする地盤改良工法として適用可能である。
10…多重管、20…ボーリングマシン、C…硬化材、D…削孔液、G…地盤、G1…切削土砂(管周り域)、G2…切削土砂(全域、硬化材未混入)、G3…切削土砂(全域、硬化材混入)、S…切削液、R…改良体。

Claims (8)

  1. 次記(A)及び(B)の工程を有し、切削液を噴射して地盤を切削土砂とし、この切削土砂と硬化材とを混合して改良体とする、
    ことを特徴とする地盤改良工法。
    (A)上段ノズル及び下段ノズルを有する多重管を、軸心回りに回転し、かつ前記上段ノズルから切削液を噴射しつつ地盤に貫入する工程。
    (B)前記多重管を、軸心回りに回転し、かつ前記上段ノズルから切削液又は硬化材を噴射し、前記下段ノズルから硬化材を3〜7MPaの噴射圧で噴射しつつ引き上げる工程。
  2. 前記引上げ工程における上段ノズルからの噴射を切削液とし、
    前記貫入工程における切削液の噴射圧を、前記引上げ工程における切削液の噴射圧の1/5〜1/3とする、
    請求項1記載の地盤改良工法。
  3. 前記貫入工程における切削液の噴射圧を3〜7MPaとし、
    前記引上げ工程における切削液の噴射圧を18〜22MPaとする、
    請求項2記載の地盤改良工法。
  4. 前記多重管の貫入速度を7分/mを超えるものとし、
    前記多重管の引上げ速度を3〜7分/mとする、
    請求項2又は請求項3記載の地盤改良工法。
  5. 前記引上げ工程における上段ノズルからの噴射を硬化材とし、
    前記貫入工程における切削液の噴射圧を18〜22MPaとする、
    請求項1記載の地盤改良工法。
  6. 前記引上げ工程における上段ノズルからの硬化材の噴射圧を8〜12MPaとする、
    請求項5記載の地盤改良工法。
  7. 前記多重管の貫入速度を、当該多重管の引上げ速度の0.9〜1.2倍とする、
    請求項5又は請求項6記載の地盤改良工法。
  8. 前記多重管を二重管とし、かつ直径を50mm以下とする、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の地盤改良工法。
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