JP2006336219A - 地盤改良工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 注入ロッド1の先端部は、切削水および圧縮空気を噴射する上段部2と、硬化材および反応材を噴射する下段部3とを備えている。上段部2の側面には、切削水を噴射する第一噴射孔12aと、第一噴射孔12aの外周部に設けられ、圧縮空気を噴射する第二噴射孔12bとからなる上段噴射孔12が設けられており、圧縮空気に包囲された切削水が上段噴射孔12から噴射される。一方、下段部3の側面には、注入ロッド1の回転方向Rに対して、反応材噴射孔14が硬化材噴射孔13の下流側となるように、ほぼ同じ高さに硬化材噴射孔13と反応材噴射孔14が近接配置されており、硬化材と反応材は、それぞれ硬化材噴射孔13、反応材噴射孔14から同時に噴射される。
【選択図】 図1
Description
そこで、特許文献1では、注入ロッドを引き上げつつ、圧縮空気で包囲した水を上部側の噴射ノズルから噴射するとともに、下部側の噴射ノズルからセメントミルク等の硬化材を噴射しつつ、水ガラス等の反応材を別の噴射ノズルから噴射して、硬化材を早期に硬化させる技術が開示されている。具体的には、先ず圧縮空気を伴った水を高圧で噴射することによって地盤を切削する。水だけを噴射するため、基本的に排泥中に硬化材は混入しないのであるが、下部側の噴射ノズルから噴射した硬化材が硬化していなければ、上部側での混気ジェット現象により、硬化材が吸い上げられて排泥中に混入するおそれがある。そのため、硬化材とともに反応材を噴射して硬化材を早期に硬化させ、排泥中に硬化材が混入しないようにしている。
他方、硬化材と反応材の噴射に関する先行技術文献としては、特許文献2や特許文献3がある。
この原因としては以下のようなことが考えられる。
a.反応材噴射ノズルが硬化材噴射ノズルの下方に位置している(特許文献1の図7参照)。
引き上げ時における注入なので、噴射された硬化材に後から反応材を噴射することになるが、一般に反応材のほうが硬化材よりも量が少ないため、多量の硬化材中に少量の反応材を噴射しても混合が不均一となる。
b.硬化材噴射ノズルと反応材噴射ノズルが同じ高さでかつ注入ロッドの正反対の位置に設けられている(特許文献1の図2参照)。
注入ロッドの引き上げは、一般に1回転ごとのピッチ上昇(通常2.5cm)なので、1ピッチにおいて、硬化材噴射ノズルが反応材噴射ノズルよりも回転方向の下流側にあって、硬化材の噴射後に反応材を噴射するような場合には、前記と同様に、硬化材と反応材の混合が不均一となる。
また、特許文献3では、硬化材(反応材)を噴射する内部ノズルと、当該内部ノズルを同芯(偏芯していてもよい)状に包囲し、反応材(硬化材)を噴射する外周ノズルから、それぞれ硬化材と反応材を同時に噴射するようにしている。しかし、例えば、外周ノズルから反応材を噴射する場合、引き上げ噴射では、外周ノズルの下側部分から噴射される反応材が硬化材と混合しないおそれがある。また、内部ノズルよりも外周ノズルから噴射したほうが噴射抵抗が大きいので、同じ圧力で噴射した場合、内部ノズルから噴射したほうが遠くまでとぶことになる。そのため、外周ノズルから反応材を噴射した場合、前記と同様に、硬化材と反応材の混合が不均一となる。
本発明では、反応材噴射孔を硬化材噴射孔の下流側として、ほぼ同じ高さに近接配置するので、反応材の噴射後、ほぼ同じ位置で直ちに硬化材が噴射される。その結果、反応材を巻き込んだ硬化材が噴射されるようになり、硬化材と反応材が均一に混合される。
本発明では、硬化材噴射孔と反応材噴射孔の離間距離を注入ロッドの引上げピッチの整数倍としているので、反応材の噴出位置と硬化材の噴出位置が同一となり、硬化材と反応材の均一混合が可能となる。
反応材の噴射圧力を硬化材の噴射圧力より大きくすると、反応材を硬化材よりも遠くにとばすことになり、遠くにとんだ反応材を無駄にすることになる。そこで、本発明では、反応材の噴射圧力を硬化材の噴射圧力より小さくし、経済的かつ合理的に地盤改良体を造成するものである。
また、本発明に係る地盤改良工法では、硬化材噴射孔と反応材噴射孔の離間距離を注入ロッドの引上げピッチの整数倍としているので、反応材の噴射位置と硬化材の噴射位置が同一となり、硬化材と反応材の均一混合が可能となる。
さらに、本発明に係る地盤改良工法では、反応材の噴射圧力を硬化材の噴射圧力より小さくすることにより、経済的かつ合理的に地盤改良体を造成することができる。
図1は、本発明に係る地盤改良工法において使用する注入ロッド先端部の一例を示したものである。
注入ロッド1は4本の筒体4、5、6、7から構成される四重管ロッドであり、その先端部は、切削水および圧縮空気を噴射する上段部2と、硬化材および反応材を噴射する下段部3とを備えている。
また、噴射時のバランスをとるため、硬化材噴射孔13および反応材噴射孔14は、上段噴射孔12に対して、平断面視で注入ロッド1の反対側に設けられている。
先ず、ボーリングマシン16を用いて注入ロッド1を回転させながら地盤内に挿入し、注入ロッド1の先端部に取り付けられた削孔ビット2a、3aで地盤を削孔することにより、所定深度までガイドホールを形成する(図2(a)参照)。
その後、切削水の噴射圧力を50〜60MPa、圧縮空気の噴射圧力を1MPa程度として、圧縮空気に包囲された切削水を上段噴射孔12から噴射しつつ、引上げ時間10〜15分/m、回転速度2.7〜4回転/分(2.5cmの引上げピッチで1回転する回転速度)として、注入ロッド1を引き上げながら地盤を切削する(図2(b)参照)。この時に、エアリフト効果で、切削水がガイドホールを通って地上に排出される。
圧縮空気に包囲された切削水を上段噴射孔12から噴射しつつ注入ロッド1を引き上げながら、下段部3の硬化材噴射孔13と反応材噴射孔14が切削地盤の下端部に達したら、硬化材の噴射圧力を50〜60MPa、反応材の噴射圧力を10MPa程度として切削地盤中に噴射する(図2(c)参照)。この時、反応材噴射孔14が硬化材噴射孔13よりも注入ロッド1の回転方向の下流側に近接配置されているので、反応材が硬化材と確実かつ速やかに混合され、硬化材は早期に硬化する。なお、ここでは、硬化材としてセメント系固化材スラリー、反応材として水ガラス系の珪酸ソーダなどを用いる。
以後、注入ロッド1を引き上げながら、圧縮空気に包囲された切削水を上段噴射孔12から噴射しつつ、下段部3の硬化材噴射孔13と反応材噴射孔14から硬化材と反応材をそれぞれ噴射して円柱状の地盤改良体15を造成していく(図2(d)参照)。
上段噴射孔12が地盤改良体15の上端部に達すると、切削水と圧縮空気の噴射を停止する。そして、硬化材噴射孔13と反応材噴射孔14が地盤改良体15の上端部に達するまで硬化材と反応材を噴射して地盤改良体15の造成を行う(図2(e)参照)。
図4は、硬化材の噴射圧力psと硬化材の単位深さ当たりの注入量Qsとの積で表わされる改良体造成能力ps×Qsと地盤改良体の径(直径)φとの相関関係を示したものである。なお、この時の実験条件としては、前記切削水の時と同様に、注入ロッド1の引上げ時間を10分/mと15分/mとし、注入ロッド1の回転速度は上昇ピッチ2.5cmで1回転するようにした。
図中の曲線(1)および(2)は、実験値をもとに回帰分析により求めた相関関係式であり、次式で示されるものである。
φc=1.973・ln(pw×qw)+13.6 (1)
φ =1.985・ln(ps×Qs)+4.24 (2)
但し、各パラメータの単位は以下の通りである。
pw,ps:MPa、qw:リットル/分、Qs:m3/m、φc,φ:m
pw×qw=exp((φc+13.6)/1.973) (3)
ps×Qs=exp((φ +4.24)/1.985) (4)
また、硬化材の単位時間当たりの吐出量qsは(5)式によって与えられる。
qs=1000・Qs/t (5)
ここで、tは注入ロッドの単位長さ当たりの引上げ時間(分/m)であり、(5)式の係数1000は、qsの単位がリットル/分、Qsの単位がm3/mであることによる。
同様に、(4)および(5)式を用いて、地盤改良体の径φを3.0〜5.0mの範囲で変化させた際の硬化材の噴射圧力ps(図では、硬化材圧力と記す。)と硬化材の単位時間当たりの吐出量qsとの相関関係を図6に示す。ここで、図6(a)は注入ロッド1の引上げ速度が10分/mの場合、図6(b)は15分/mの場合である。図5と同様に、地盤改良体の径φを大きくするためには、硬化材の噴射圧力psや硬化材の単位深さ当たりの吐出量qsを大きくする必要があることがわかる。
同図より、硬化材注入率αsを30%に設定する場合には、硬化材の噴射圧力psが約20MPaでよいことがわかる。切削水についても同様に仕様を設定することができる。
図7より、切削水および硬化材の噴射圧力pw、psを上げれば、切削水および硬化材の注入率αw、αsが減少する、つまりコスト的に安価になる傾向が示されている。一方、60MPa以上の噴射圧力pw、psになると、注入率αw、αsの低下がさほど見られなくなる傾向にある。そのため、実用的で効果的な切削水および硬化材の噴射圧力pw、psは50〜60MPaと設定できる。ここでは、切削水の噴射圧力pwを60MPa、硬化材の噴射圧力psを50MPaとする。このときの切削水および硬化材の注入率αw、αsは、注入ロッド1の引上げ時間を10分/mとすると10%である。この設定値を図5および図6(a)に当てはめると、各改良径ごとの施工仕様は表1のようになる。
また、本実施形態による地盤改良工法では、切削水の噴射圧力および硬化材の噴射圧力を50〜60MPaとすることにより、大径の地盤改良体15を経済的かつ合理的に造成することができる。
本実施形態では、硬化材噴射孔23と反応材噴射孔24の位置を平断面視でほぼ同じ位置とし、硬化材噴射孔23の上方に、注入ロッド1の引上げピッチの整数倍の距離をおいて反応材噴射孔24を設けている。即ち、硬化材噴射孔23と反応材噴射孔24の離間距離を、注入ロッド1の引上げピッチの整数倍の距離としている。硬化材噴射孔23、反応材噴射孔24は、先の実施形態と同様に、それぞれ第一の流路8、第二の流路9と連通しており、硬化材と反応材は、それぞれ第一の流路8、第二の流路9を経由して、硬化材噴射孔23、反応材噴射孔24から同時に噴射される。
2 上段部
3 下段部
4、5、6、7 筒体
8、9、10、11 流路
12 上段噴射孔
12a 第一噴射孔
12b 第二噴射孔
13、23 硬化材噴射孔
14、24 反応材噴射孔
15 地盤改良体
16 ボーリングマシン
R 回転方向
Claims (3)
- 先端部に上下二段の噴射孔を備えた注入ロッドを地盤に挿入し、当該注入ロッドを回転させながら引き上げる際に、上段側の噴射孔から圧縮空気とともに切削水を噴射して地盤を切削しつつ、下段側の一方の噴射孔から硬化材を噴射するとともに、下段側の他方の噴射孔から反応材を噴射して、地盤中に柱状の地盤改良体を造成する地盤改良工法において、
前記注入ロッドの回転時に、前記反応材を噴射する噴射孔(以下、反応材噴射孔と称す)が前記硬化材を噴射する噴射孔(以下、硬化材噴射孔と称す)の下流側となるように、ほぼ同じ高さに硬化材噴射孔と反応材噴射孔を近接配置し、前記硬化材と前記反応材を同時に噴射することを特徴とする地盤改良工法。 - 先端部に上下二段の噴射孔を備えた注入ロッドを地盤に挿入し、当該注入ロッドを回転させながら引き上げる際に、上段側の噴射孔から圧縮空気とともに切削水を噴射して地盤を切削し、下段側の一方の噴射孔から硬化材を噴射しつつ、下段側の他方の噴射孔から反応材を噴射して、地盤中に柱状の地盤改良体を造成する地盤改良工法において、
硬化材噴射孔と反応材噴射孔の位置を平断面視でほぼ同じ位置とし、前記硬化材噴射孔の上方に、前記注入ロッドの引上げピッチの整数倍の距離をおいて前記反応材噴射孔を配し、前記硬化材と前記反応材を同時に噴射することを特徴とする地盤改良工法。 - 前記反応材の噴射圧力は、前記硬化材の噴射圧力より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
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