JP2004257210A - 噴射攪拌工法 - Google Patents

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Yoshinobu Koiwa
儀信 小岩
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Abstract

【課題】地盤硬化材の硬化を促進し、地盤硬化材の流出を防ぎ所望の径の杭を構築することができる噴射攪拌工法を提供する。
【解決手段】地盤中に多重管ロッドを給進させ、該地盤中から該多重管ロッドを回転させながら引き上げると共に、該多重管ロッドに設けられた噴射ノズルから高圧でセメントを主成分とする地盤改良用媒体を地盤中に噴射させて地盤を攪拌し所定径の杭を構築して地盤を改良する工法において、上記多重管ロッド1の下端部に、それぞれノズルを設けた噴射部2,3を上下に設け、所定の造成長さの範囲内で、上段側の噴射部2からエアーと共に地盤改良用媒体を噴射して所定径の杭を構築するとともに、下段側の噴射部3から上記地盤改良用媒体に対して、セメントミルクを固める性質がある反応材を噴射して、上記地盤改良用媒体を早期に硬化させて所定径の杭を構築する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望の径の杭を構築することができる噴射攪拌工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設、土木工事では、対象地盤が軟弱な場合、本工事に先立って地盤の改良が行われる。地盤の改良としては、対象地盤を硬化させる地盤硬化材を地盤に含浸させるのが通常である。
【0003】
このような地盤の改良には、種々の方法が行われるが、作業性に優れ、かつ広範囲の改良を確実に行える利点から、噴射撹拌工法が広く採用されている。
噴射撹拌工法は、ボーリングマシンと呼ばれる噴射攪拌装置が用いられている。
一般に、ボーリングマシンは、スピンドルを昇降および回転させるボーリングマシン本体(給進装置とも呼ばれる)と、ボーリングマシン本体のスピンドルに支持された多重管ロッドと、ミキサーおよびアジテータで混合された地盤硬化材を高圧で圧送する高圧ポンプと、高圧ポンプを駆動する油圧ユニットと、高圧ポンプから圧送される地盤硬化材にエアーを混入させるコンプレッサーと、ポンプによりミキサーに水を供給する水タンクとで構成されている。
【0004】
ボーリングマシン本体は、多重管ロッドを回転させながら引き上げるとともに多重管ロッドの最下端のモニターに設けられた噴射ノズルから地盤硬化材とエアーの混合物を高圧で噴射するものである。
こうして、対象地盤中に、地盤と硬化材の柱状撹拌部を形成し、地盤硬化材の硬化によってパイル状の固形物を地盤中に造成し、杭を構築している。このとき、地盤硬化材と置換した土壌の一部が泥水としてエアーと共に外部に排出される。
【0005】
【特許文献1】特許第2717503号公報
【特許文献2】特許第2844184号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような噴射撹拌工法では、地盤中に噴射ノズルから地盤硬化材と共にエアーを噴射して土壌と地盤硬化材を撹拌する。このとき、エアージャンクション(混気ジェット現象)と呼ばれる現象により、地盤硬化材として用いられるセメントミルクが外部に吸い出される。こうして、地盤中の地盤硬化材の一部が硬化前に掘削孔から吸い出されて、外部に排出される。
このため、所望の径の杭を構築するために必要とする地盤硬化材の量が不足し、充分な距離まで地盤硬化材が含浸しない現象が生じ、実際に予定していた径よりも小径の杭となってしまう事態が発生していた。
【0007】
本発明は上記課題を解決し、地盤硬化材の硬化を促進し、地盤硬化材の流出を防ぎ所望の径の杭を構築することができる噴射攪拌工法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、地盤中に多重管ロッドを給進させ、該地盤中から該多重管ロッドを回転させながら引き上げると共に、該多重管ロッドに設けられた噴射ノズルから高圧でセメントを主成分とする地盤改良用媒体を地盤中に噴射させて地盤を攪拌し所定径の杭を構築して地盤を改良する工法において、上記多重管ロッドの下端部に、それぞれノズルを設けた噴射部を上下に設け、所定の造成長さの範囲内で、上段側の噴射部からエアーと共に地盤改良用媒体を噴射して所定径の杭を構築するとともに、下段側の噴射部から上記地盤改良用媒体に対して、セメントミルクを固める性質がある反応材を噴射して、上記地盤改良用媒体を早期に硬化させて所定径の杭を構築することにある。
また、上記上段側の噴射部から最初にエアーと共に地盤改良用媒体を噴射した位置に下段側の噴射部が達してから下段側の噴射部から反応材を噴射することにある。
さらに、本発明は、反応材として水ガラス系の珪酸ソーダを用いたことにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の噴射攪拌工法を示したものである。
図1において、1はボーリングマシンの多重管ロッドを示したもので、多重管ロッド1は、図示しないボーリングマシン本体により昇降操作されるものである。
多重管ロッド1には、最下端部に互いに逆向きに噴射ノズル(噴射部)2,3が上下に設けられており、これら噴射ノズル2,3は、上下に所定の間隔で設けられている。上記上部側の噴射ノズル2からは、エアーと共にセメントを主成分とする地盤改良用媒体を噴射し、下部側の噴射ノズル3からは、地盤改良用媒体の主成分であるセメントミルクを固める性質のある反応材を噴射するように構成されている。セメントミルクを固める性質のある反応材としては、水ガラス系の珪酸ソーダが用いられる。珪酸ソーダの割合は、水に対して30ないし50%の割合で溶液が作られている。
【0010】
次に、噴射撹拌工法を用いて杭を構築する場合を説明する。
多重管ロッド1を地盤4中に給進させ、多重管ロッド1を回転させながら所定の速度で引き上げる。そして、上部側の噴射ノズル2からエアーと共にセメントを主成分とする地盤改良用媒体を噴射する。この段階では、下部側の噴射ノズル3からはまだ反応材は噴射しない。そして、上部側の噴射ノズル2が噴射を開始した地盤の深さに、下部側の噴射ノズル3が達したとき、下部側の噴射ノズル3から噴射を開始する。下部側の噴射ノズル3からは、反応材として水ガラス系の珪酸ソーダを噴射する。下部側の噴射ノズル3からは、反応材を連続または間歇的に地盤中に噴射する。こうして、地盤改良用媒体のセメントミルクを反応材によって早期に硬化させる。
【0011】
図2は、本発明の噴射撹拌工法のフローチャートを示したものである。
まず、地盤の施工位置にボーリングマシンを設置する(a1)。次に、ボーリングマシンにより計画深度まで、削孔する(a2)。そして、多重管ロッド1を回転させながら上部の噴射口(噴射ノズル2)よりセメントミルクとエアーを高圧で噴射する(a3)。
次に、所定の速度で多重管ロッド1を引き上げる(a4)。下部の噴射口(噴射ノズル3)が、最初に上部の噴射口(噴射ノズル2)からセメントミルクとエアーを噴出した位置に達した所より、下部の噴射口(噴射ノズル3)から反応材(溶液)を高圧で噴射する(a5)。そして、上部の噴射口(噴射ノズル2)からセメントミルクとエアーを、下部の噴射口(噴射ノズル3)から反応材を計画造成長まで噴射して造成する(a6)。最後に、ロッドを引き抜いて、造成を完了する(a7)。
【0012】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、上記実施の形態では、セメントミルクを固める性質のある反応材として、水ガラス系の珪酸ソーダを用いたが、他の反応材を用いることができる等、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し得ることは言うまでもない。
【0013】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による噴射攪拌工法によれば次のような効果を奏することができる。
地盤中に多重管ロッドを給進させ、該地盤中から該多重管ロッドを回転させながら引き上げると共に、該多重管ロッドに設けられた噴射ノズルから高圧でセメントを主成分とする地盤改良用媒体を地盤中に噴射させて地盤を攪拌し所定径の杭を構築して地盤を改良する工法において、上記多重管ロッドの下端部に、それぞれノズルを設けた噴射部を上下に設け、所定の造成長さの範囲内で、上段側の噴射部からエアーと共に地盤改良用媒体を噴射して所定径の杭を構築するとともに、下段側の噴射部から上記地盤改良用媒体に対して、セメントミルクを固める性質がある反応材を噴射して、上記地盤改良用媒体を早期に硬化させて所定径の杭を構築するので、セメントミルクの流出を防ぎ、所定径の杭を構築することができる。セメントミルクの流出を防ぐことができるので、セメントミルクが充分に含浸した杭を構築することができる。
また、本発明は、上記上段側の噴射部から最初にエアーと共に地盤改良用媒体を噴射した位置に下段側の噴射部が達してから下段側の噴射部から反応材を噴射するので、地盤改良用媒体を噴射した範囲内のセメントミルクを早期に硬化させることができる。
さらに、本発明は、反応材として水ガラス系の珪酸ソーダを用いたので、セメントミルクを早期に硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による噴射攪拌工法の実施の形態を示す概念図である。
【図2】本発明の噴射撹拌工法のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 多重管ロッド
2,3 噴射ノズル(噴射部)
4 地盤

Claims (3)

  1. 地盤中に多重管ロッドを給進させ、該地盤中から該多重管ロッドを回転させながら引き上げると共に、該多重管ロッドに設けられた噴射ノズルから高圧でセメントを主成分とする地盤改良用媒体を地盤中に噴射させて地盤を攪拌し所定径の杭を構築して地盤を改良する工法において、上記多重管ロッドの下端部に、それぞれノズルを設けた噴射部を上下に設け、所定の造成長さの範囲内で、上段側の噴射部からエアーと共に地盤改良用媒体を噴射して所定径の杭を構築するとともに、下段側の噴射部から上記地盤改良用媒体に対して、セメントミルクを固める性質がある反応材を噴射して、上記地盤改良用媒体を早期に硬化させて所定径の杭を構築することを特徴とする噴射攪拌工法。
  2. 上記上段側の噴射部から最初にエアーと共に地盤改良用媒体を噴射した位置に下段側の噴射部が達してから下段側の噴射部から反応材を噴射することを特徴とする請求項1に記載の噴射攪拌工法。
  3. 上記反応材として水ガラス系の珪酸ソーダを用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の噴射攪拌工法。
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