JP6466101B2 - ソイルセメント地中連続壁施工法 - Google Patents

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Description

本発明は、ソイルセメント地中連続壁施工方法に関するものである。
従来より、土留壁や汚染物質拡散防止用止水壁の施工工法としてソイルセメント地中連続壁工法が知られている。
このソイルセメント地中連続壁工法は、ソイルセメント施工機としてオーガー撹拌方式の施工機械等を用いて施工され、その施工順序は、まず、掘削工程として、施工機械の移動、設置決めを行い、ソイルセメント施工機の先端部より掘削用注入材としてセメントミルクを添加しながら、掘削土とセメントミルクの混合土を造成し、混合土により溝壁の安定性を保ち、かつ、施工に必要な流動性を持たせつつ掘削底まで掘削を行う。
次に、固化工程として、さらに混合土に適量の固化材としてセメントミルクを添加し混合・撹拌しながら引き上げ、芯材の挿入性に適した軟らかさを持たせたソイルセメントを造成する。そして芯材挿入工程として、そのソイルセメント中にH鋼等の芯材を芯材クレーン(クローラークレーン等)を用いて挿入する。
このように、従来のソイルセメント地中連続壁工法の特長は、掘削工程、固化工程及び芯材挿入工程の3工程を1組とし、この順序で各工程間の間をおかずに繰り返し施工することにより連続した壁体を築造するところにある。
上記の、3工程を1組とする一連の作業として各工程間の間をおかずに施工する理由は、掘削工程において、掘削注入材としてセメントミルクを使用することにより、掘削開始からセメントの水和反応が始まるため、ソイルセメントが硬化するまでに芯材挿入を終了させる必要があることにある。言い換えれば、セメントの水和反応という時間的な制約があるために、1組ずつ作業を完了させなければならないことにある。
また、ソイルセメント地中連続壁が深い場合には、それに比例して掘削工程にかかる時間が長くなるため、芯材の挿入時にはソイルセメントの水和反応が進み、芯材の挿入が困難になることがある。また、掘削時に障害物等が存在した場合には、予定の掘削工程終了時間を超過し、芯材の挿入ができなくなるといった問題がある。
さらに、掘削工程と固化工程をソイルセメント施工機により行った後、芯材挿入工程を芯材クレーンを用いて行うが、このソイルセメント施工機及び芯材クレーンの2種類の施工機械を1組の編成とし使用することも、3工程を1組とする理由として挙げられる。掘削工程の作業中には、固化工程、芯材挿入工程の施工ができない状態であり、固化工程中には芯材挿入工程、掘削工程の施工ができず、芯材挿入工程中には掘削工程、固化工程の施工ができない。即ち、3工程中の1工程の施工中には他の2工程の施工はできないため、施工機械の稼働率が悪くなり、その結果、著しく施工効率が悪くなる。
さらに、1日の連続した作業時間(例えば、午前8:00〜12:00と午後13:00〜17:00の作業時間)での、掘削、固化及び芯材挿入工程からなる1組の施工所要時間の関係に注目すると、連続した作業時間が1組の施工所要時間より長くないと、次の1組の施工に着手することはできない。即ち、1日のタイムスケジュール中に、休憩等の時間が点在する場合には特に出来高を悪くし、かつ機械の稼働率を悪くする要因となっている。
従来の、具体的なソイルセメント地中連続壁の施工事例の作業工程グラフを図8に示す。図8に示す施工事例は、ソイルセメント地中連続壁(掘削長36m、芯材長26m、削孔径0.6m、芯材ピッチ0.45m)を5軸のオーガー削孔混練軸の施工機械で施工した実績に基づいたものである。
図8では、縦軸に施工深度を、横軸に施工経過時間を表しており、掘削工程は77分(施工機の移動・位置決めに10分、掘削速度0.7m/分、錐接続15分)、固化工程は43分(ターニング4分、引上げ速度1.5m/分、錐切断15分)及び芯材挿入工程は30分(クローラークレーン移動・位置決め10分、芯材挿入5分/本)を1連の作業として行っており、この施工時間の合計は150分である。
なお、掘削工程において図8にも示すように掘削深度が深い場合には、削孔混練機を継ぎ足す錘継ぎと呼ばれる作業が加わり、固化工程では掘削底付近のセメントミルクの混合性を良くするためにターニングと呼ばれる作業と継ぎ足し部を切り離す錘切と呼ばれる作業が加わる。
この施工事例の作業の地盤を上から見た概略図を図9に示す。図9(A)は、掘削工程と固化工程を表しており、前日に掘削工程、固化工程及び芯材工程の施工が完了したエレメント0に引き続き、エレメント1の掘削工程及び固化工程の施工が完了した状態を示す。
図9(B)は、芯材挿入工程を表し、掘削工程、固化工程が終了したエレメント1に芯材を3本挿入した状態である。なお、エレメント1に引き続き施工するエレメント2はエレメント0と1との重複部(端部)を重複して施工することを表している。この工程を繰り返すことにより、ソイルセメント地中連続壁を完成させる。
さらに、作業時間と各施工行程の関係を図10に示す。この図10を見ると、掘削工程中は固化工程、芯材挿入工程の施工機械は遊休状態であり、さらに昼休み前に90分の時間があるにもかかわらず、次のエレメントの施工に取り掛かれないことがわかる(遊休)。
この施工事例に示すように、従来の施工方法では、1日当たりの施工エレメントは2エレメントであり、施工機械の稼働率(稼働時間/稼働可能時間×100)を計算すると、掘削工程では約32%、固化工程では約18%、芯材挿入工程では約13%となり、稼働率は悪い状態にある。
以上のように、従来のソイルセメント地中連続壁の施工は、セメントの水和反応という時間的制約のために、掘削工程、固化工程及び芯材挿入工程を1組として施工せざるを得ないために、出来高を向上させ、稼働率を向上させるための阻害要因となっていた。
一方、掘削工程に使用する掘削注入材としては、従来はセメントスラリーが使用されてきたが、本発明者らはこれまでに、非硬化性の気泡を掘削注入材として使用する気泡工法を提案している(例えば、特許文献1、2を参照)。この工法は、環境負荷を減少するだけでなく、経済性にも優れているため急速に普及しつつある。
さらに、本発明者らは、非硬化性の掘削注入材として、水を吸収し膨潤した膨潤ポリマーを提案しており、この膨潤性ポリマーを使用することにより、特徴ある構造物を構築する工法を提案している(例えば、特許文献3を参照)。ここで、非硬化性の掘削注入材とは、気泡あるいは水を吸収し膨潤したポリマーであり、これらはそれ自身でも硬化せず、かつ掘削土と混合した状態においても、それらの混合土が硬化しない掘削注入材を示す。
特許3725750号公報 特許4970547号公報 特願2013−056845号公報
本発明は、上記のような背景から、ソイルセメント地中連続壁の出来高の向上及び機械の稼働率の向上を図ることにより、施工費の大幅な削減と工期短縮を図ることができるソイルセメント地中連続壁工法を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下のことを特徴としている。
第1に、ソイルセメント地中連続壁工法において、非硬化性注入材を添加しつつ掘削を行い、掘削土と非硬化性注入材の混合土による壁体を造成する掘削・仮固化工程と、前記混合土による壁体に芯材を挿入する芯材挿入工程と、芯材を挿入させた前記混合土に固化材を添加・混練し、固化させる固化工程を有し、前記掘削・仮固化工程、前記芯材挿入工程及び前記固化工程をこの順で連続して行う施工を1エレメントとし、かつ、あるエレメントの前記芯材挿入工程の開始と同時に、次のエレメントの前記掘削・仮固化工程を開始することを特徴とする。
第2に、ソイルセメント地中連続壁工法において、非硬化性注入材を添加しつつ掘削を行い、掘削土と非硬化性注入材の混合土による壁体を造成する掘削・仮固化工程と、前記混合土に固化材を添加・混練しソイルセメントを造成する固化工程と、前記固化工程の完了したソイルセメントに芯材を挿入する芯材挿入工程を有し、前記掘削・仮固化工程前記固化工程と前記芯材挿入工程をこの順で連続して行う施工を1エレメントとして、かつ、あるエレメントの前記固化工程の開始と同時に、次のエレメントの前記掘削・仮固化工程を開始することを特徴とする。
第3に、前記第1又は第2の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記非硬化性注入材として気泡又は、気泡と水を使用することが好ましい。
第4に、前記第1又は第2の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記非硬化性注入材として水を吸収し膨張した膨潤吸水ポリマー又は、水を吸収して膨潤した膨潤ポリマーに水を添加した膨潤吸水ポリマー分散液を使用することが好ましい。
第5に、前記第1から第4の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記固化工程において、スラリー状の固化材を高圧噴射により添加しつつ掘削土と非硬化性注入材の混合土を混合・撹拌し、ソイルセメントを造成することが好ましい。
第6に、前記第1から第4の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記固化工程において、スラリー状の固化材を添加しつつ混合翼により掘削土と非硬化性注入材の混合土と混合・撹拌し、ソイルセメントを造成することが好ましい。
第7に、前記第5又は第6の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記スラリー状の固化材中に消泡剤を配合したことが好ましい。
第8に、前記第1から第4の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記固化工程において、粉体状の固化材を空気と共に空気圧により注入しつつ、掘削土と非硬化性注入材の混合土と混合・撹拌することが好ましい。
第9に、前記第8の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記固化工程において、消泡剤を添加した粉体状の固化材を空気と共に空気圧により注入しつつ、掘削土と非硬化性注入材の混合土と混合・撹拌することが好ましい。
第10に、前記第1から第9の発明のソイルセメント地中連続壁工法において、前記固化工程において、前記固化材の注入量を改良層に応じて変化させることが好ましい。
本発明のソイルセメント地中連続壁工法によれば、ソイルセメント地中連続壁の出来高の向上及び機械の稼働率の向上を図ることにより、施工費の大幅な削減と工期短縮を図ることができるソイルセメント地中連続壁工法を提供することができる。
本発明の実施形態の施工作業の地盤を上から見た施工順序の説明概略図である。 本発明の実施形態の各施工作業時間と各施工行程の関係を示すタイムテーブルである。 本発明の他の実施形態の施工作業の地盤を上から見た施工順序の説明概略図である。 本発明の他の実施形態の各施工作業時間と各施工行程の関係を示すタイムテーブルである。 高圧噴射機に装着する注入管を示す概略図である。 混合土に180度に開いた噴射ノズルからセメントスラリーと圧縮空気を溝壁に並行に高圧噴射している状態を示す平面図である。 吊クレーンに吊り下げた高圧噴射機に装備した注入管の噴射ノズルから混合土にセメントスラリーと圧縮空気を高圧噴射し、混合土と混合・撹拌している状態を示す縦断面図である。 従来のソイルセメント地中連続壁の作業工程グラフである。 従来の施工作業の地盤を上から見た施工順序の説明概略図である。 従来の各施工作業時間と各施工行程の関係を示すタイムテーブルである。
本発明のソイルセメント地中連続壁工法は、非硬化性注入材を添加しつつ掘削を行い、掘削土と非硬化性注入材の混合土による壁体を造成する掘削・仮固化工程と、混合土による壁体に芯材を挿入する芯材挿入工程と、芯材の挿入された混合土に固化材を添加・混練し、固化させる固化工程を有し、掘削・仮固化工程、芯材挿入工程及び固化工程の各工程を任意のタイミングで行うソイルセメント地中連続壁工法である。
以下に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態の作業の地盤を上から見た施工順序の説明概略図である。
この実施形態では、ソイルセメント地中連続壁の造成において、掘削・仮固化工程、芯材挿入工程、固化工程により、掘削長36m、芯材長26m、削孔径0.6m、芯材ピッチ0.45mのソイルセメント地中連続壁の施工を行う。
図1(A)は掘削・仮固化工程であり、前日に終了したエレメント0に引き続きエレメント1、2の順序で掘削・仮固化工程が完了した状態である。
掘削・仮固化工程では、非硬化性注入材を添加しつつ掘削を行い、掘削土と非硬化性注入材の混合土による壁体を造成する。
掘削を行うソイルセメント施工機械としては、5軸のオーガー削孔混練軸施工機械を用いて行っているが、このようなオーガー削孔混練軸施工機械の他、水平多軸方式の施工機械やカッターチェーン撹拌方式の施工機械を用いることもできる。
本発明で用いる非硬化性注入材としては、気泡又は、気泡と水を使用することができる。掘削土と、気泡又は気泡と水の混合比率は、掘削土の物性値と混合土の流動性の要求値により異なるが、一般的には混合土の流動性をテーブルフロー値(以下、TF値と略称する)で表した場合、芯材の挿入に必要なTF値は経験値として170mm以上であるので、掘削土が粘性土の場合は掘削土1m当たり、気泡が0.3m、水が0.1mの条件、また、砂質土の場合は気泡が0.2m、水が0.5m程度の条件が、施工性や経済性の面より好適である。
気泡の注入量を多くすると流動性は向上するが、混合土の比重は小さくなるので、溝壁の安定を保つためには比重を1.05以上にする必要があり、そのための気泡注入量は約0.8m/m以下に保つことが必要である。
また、所望の気泡を発生させるために起泡剤を用いることができる。起泡剤としては、通常公知の界面活性剤を用いることができるが、なかでも気泡そのもの、さらに、土と混合したときにも消泡し難く、かつ酸やアルカリ等の化学的安定性に優れ、かつ起泡能力に優れる起泡剤が望まれ、このような起泡剤として、アルキルサルフェート系界面活性剤を好適に用いることができる。
なお、アルキルサルフェート系界面活性剤のWTM起泡剤(フローリック社のWTM起泡剤原液を清浄な水で20倍に希釈したもの)を25倍に起泡し、比重0.04、最頻値が200μm程度の気泡を使用した場合の実績によると、1週間は気泡混合土の流動性等の変化がなく好適に使用できることが確認されている。このことより、掘削・仮固化工程後の芯材挿入工程、固化工程は掘削・仮固化工程が終了して1週間以内に施工することが望ましい。
また、非硬化性注入材として、水を吸収して膨潤した膨潤ポリマー又は、水を吸収して膨潤した膨潤ポリマーに水を添加した膨潤ポリマー分散液を使用することもできる。膨潤ポリマー分散液を非硬化性注入材とする場合には、芯材挿入に必要なTF値を170mm以上とすると、掘削土1m当たり粘性土では膨潤ポリマー分散液を0.3m、砂質土では0.2mを用いるのが好ましい。
膨潤性ポリマーの種類は、デンプン系、セルロース系及びポリマー系統があるが合成ポリマー系の膨潤ポリマー(三洋化成社のGEOSAP)では、清浄な水1m当たりGEOSAPを0.5〜1.5kg、好ましくは水1m当たり1kgを添加し、十分吸水した分散液を掘削注入材として使用することが好ましい。
上記の非硬化性注入材を添加しつつ施工深度まで掘削を行い、オーガー削孔混練軸を引き上げることにより、掘削土と非硬化性注入材の混合土による壁体を造成することができる。この混合土による壁体は、1週間は溝壁の安定を保ち施工に必要な流動性を保つことができるため、時間を置いても次工程の芯材挿入工程を行うことが可能となる。即ち、掘削工程の直後に芯材挿入工程を行う必要がなくなる。
図1(B)は掘削・仮固化工程に引き続き行う芯材挿入工程を表し、エレメント0、1の芯材挿入工程が終了した状態を表している。
芯材挿入工程では、図1(A)の掘削・仮固化工程で造成した混合土による壁体に対して、芯材クレーンとしてクローラークレーンを用いて芯材の挿入を行う。
先にも説明した通り、本発明の掘削・仮固化工程で造成した混合土による壁体は溝壁の安定性や流動性が安定しているため、芯材の自重により、容易に芯材の挿入を行うことができる。
図1(C)は芯材挿入工程に引き続き行う固化工程を表し、エレメント0の固化工程が終了した状態を表している。
固化工程はクローラークレーンに吊り下げた高圧噴射機を用いた高圧噴射工法により固化剤を噴射し、挿入した芯材により区切られた区画毎に固化させる。
一般に行われている高圧噴射工法は、掘削専用マシンに取り付けたボーリングロッドを回転させつつ、所定の深度まで掘削を行う。次に、ボーリングロッドを回転させつつ、ボーリングロッドの先端部よりセメントミルクを所定の高圧力で噴射し、改良対象土を掘削・粉砕し、セメントミルクと混合しながらボーリングロッドを引上げ、固化体を造成する工法であり、地盤のN値が100程度までの硬質な地盤までの施工が可能である。
固化工程における高圧噴射機を用いた具体的な施工方法としては、注入管の先端に噴射ノズルを備えたモニターを装着した、1本あるいは複数本の注入管を取り付けた高圧噴射機をクレーンに吊り下げ、掘削底まで下ろす。そして、セメントスラリーと圧縮空気を噴射しつつ高圧噴射機を引き揚げ、掘削土と非硬化性注入材の混合土とセメントスラリーの混合・混練を行う。
なお、セメントスラリーの混合範囲をより広げるために圧縮空気を併用する。また消泡剤を添加したセメントスラリーと圧縮空気を噴射し混合土と混合・混練を行うと、混合土中の気泡は消泡し圧縮空気と共に地上部に排出する。
引上げ速度は、所定の強度を得るために必要なセメントスラリー量が室内混合試験により定められるので、予めセメントスラリー量を求めて、その量を吐出しつつ引き上げる。なお、混合土とセメントスラリーの混合性は混合エネルギーを考慮して圧力等を定める。高圧噴射機を挿入する混合土のTF値は170mm程度の軟弱状態であるので、高圧噴射機の重量を芯材程度の重量、即ち1m当たり50〜100kgの重量を持たせておくことにより、容易に自重で挿入することができる。
さらに、一般的に使用されているジェットグラウト工法での高圧噴射圧は20〜40MPaであるが、混合土のTF値は170mm程度と流動性があり軟弱状態であるため、セメントスラリーを広げる範囲を勘案し、高圧噴射圧を定める。さらにセメントスラリーの水セメント比は、混合性、施工性、排泥土量の低減の観点から150〜40%、好ましくは80%程度が好ましい。
なお、基本的にはセメントスラリーは掘削底から吐出しながら引き揚げることが好ましいが、地表面から掘削底に向けて吐出しながら混合することもできるし、地表面から掘削底に向けて吐出しながら混合し、さらに引き揚げつつ吐出し混合することもできる。
図5に注入管の概略図を示す。高圧噴射機に装着する注入管は、内部にモニターを備えた二重管が取り付けられ、固化材と圧縮空気をモニターのノズルから混合土に高圧で吐出し、混合土との混合・混練を行う。高圧ノズルは180度の角度で、かつ地盤に水平方向の吐出をするように取り付けてある。即ち、固化材と圧縮空気は溝壁と並行方向に吐出する。固化材の吐出条件としては、吐出圧力20〜40MPa、圧縮空気0.7MPaが好適な条件として考慮される。
図6は、3本の注入管1〜3を装備した高圧噴射機を示し、混合土に対して噴射ノズルからセメントスラリーと圧縮空気を溝壁に並行方向に高圧噴射し混合・混練を行っている状態を示している。
また、図7は、掘削底まで下ろした高圧噴射機を徐々に引き上げつつ、噴射ノズルからセメントスラリーと圧縮空気を混合土に吐出し、混合・混練をしている状態を示している。
固化工程に用いる施工機械としては、上記の高圧噴射機のほか、セメントスラリーの供給が可能な混合翼の付いた撹拌装置を用いることもできる。この撹拌装置により混合土にセメントスラリーを供給し、混合撹拌して固化させる。
このようにして固化工程を行い、所定の時間を置くことにより、ソイルセメント地中連続壁を構築することができる。
上記の説明からも明らかなように、本発明の最も重要な点は、掘削工程でセメントを用いず、非硬化性注入材を吐出する掘削・仮固化工程を行うことにある。これにより、掘削・仮固化工程、芯材挿入工程、固化工程の各工程間の時間や順序を気にすることなく、工程スケジュールを適宜設定することが可能となる。
図2は、上記実施形態の作業時間と施工工程をより具体的に表したタイムテーブルである。このタイムテーブルでは各施工工程を並行状態で進行させている。
即ち、EL.1(エレメント1)の掘削・仮固化工程の施工と同時に、EL.0(エレメント0)の芯材挿入工程の施工を行う。同様にEL.2(エレメント2)の掘削・仮固化工程の施工中にEL.1(エレメント1)の芯材挿入工程と、EL.0(エレメント0)の固化工程を施工する。以下同様に、1エレメンずつずらして、掘削・仮固化工程、芯材挿入工程及び固化工程を並行作業で施工する。
掘削・仮固化工程、芯材挿入工程の所要時間は、図8で示した作業工程グラフと同様に、各々77分、30分とする。固化工程は図1に示すように、エレメントにより3本と5本のエレメントがあるが、平均するとエレメント当たり4本となる。固化工程はクローラークレーンに吊り下げた高圧噴射機により芯材により区切られた区画を各々施工すると、4区画を施工する時間は54分となる(高圧噴射機の移動・位置決めに10分、(挿入時間を3.6分+引上げに7.4分)×4区間)。
この施工順序を採用すると、1日当たりの施工エレメント数は6エレメントとなり、従来の施工方法の3倍の出来高の施工ができる。また、機械の稼働率が高いことは、図2に示すように遊休時間が少ないことより明らかである。
表1に、従来の工法と本発明の工法の1エレメント当たりの機械損料の計算表を示す。
本発明の施工方法によれば、施工機械の損料は、固化工程のためにクローラークレーンと高圧噴射機を追加して使用するので1日当たりの機械損料は高くなる。
しかしながら、上記で説明した通り、本発明の1日当たりの施工エレメント数が、従来の工法の3倍となるので、従来の工法の1エレメント当たりの機械損料が110,950円であるのに対し、本発明の機械損料は51,850円となり約53%低減する。なお、機械損料は建設機械化協会発行の平成25年度版の機械損料表より抜粋した。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記の実施形態では、掘削・仮固化工程、芯材挿入工程及び固化工程を並行施工するに際し、施工順序として掘削・仮固化工程の終了したエレメントに芯材挿入工程を施工し、さらに固化工程を施工する順序とした。
以下に、他の実施形態として、掘削・仮固化工程の終了したエレメントに固化工程を施工し、引き続き芯材挿入工程を施工する並行作業の施工方法を説明する。図3は、施工作業の地盤を上から見た施工順序の説明概略図である。
図3(A)は掘削・仮固化工程であり、前日に終了したエレメント0に引き続きエレメント1、2、3、4の順序で掘削・仮固化工程を行った状態を表している。図3(B)は掘削・仮固化工程に引き続き行う固化工程を表し、エレメント0、1、2、3の固化工程が終了した状態を表している。なお、この実施形態における固化工程では、1エレメント当たり1回の固化工程となるが、施工幅が広くなるため、高圧噴射機の噴射ノズルからのセメントスラリーと圧縮空気の吐出条件を大きく設定したり、高圧噴射機を移動させながら吐出することが考慮される。
図3(C)は固化工程に引き続き行う芯材挿入工程を表し、固化工程の終了したエレメント0、1、2の芯材挿入工程が終了した状態を表している。
図4はこれらの並行施工状況と作業時間との関係を示したものである。図4によると、EL.1(エレメント1)の掘削・仮固化工程を施工中にEL.0(エレメント0)の固化工程、引き続き芯材挿入工程の施工を行う。同様にEL.2(エレメント2)の掘削・仮固化工程を施工中にEL.1(エレメント1)の固化工程、それに引き続き芯材挿入工程を施工する。
ここで、固化工程と芯材挿入工程は並行作業となっていないが、固化工程と芯材挿入工程の合計の施工時間は掘削・仮固化工程の施工時間より少ないこと及び、固化工程に使用する高圧噴射機を吊り下げるクローラークレーンは、芯材挿入にも使用できるので、機械損料を減少させるために固化工程で使用したクローラークレーを芯材挿入工程でも使用することができる。なお、芯材挿入工程は1エレメント分を一時に施工するので施工時間は50分(移動・位置決め10分、固化40分)である。
このような施工順序を採用すると、1日当たりの施工エレメントは6エレメントとなり、従前の3倍の出来高が施工できる。また、機械の稼働率が高いことは、図4に示すように遊休時間が少ないことより明らかである。
実際の作業は施工機械の輻輳を避けるために掘削・仮固化工程を2〜3エレメント先行させることにより、並行作業は問題なく進行する。
表2に、従来の工法と本発明の他の実施形態の工法の1エレメント当たりの機械損料の計算表を示す。
表2から、機械損料は従来の工法では1エレメント当たり110,950円であるが、本発明の他の実施形態の工法では45,367円となり、約59%低減できることがわかる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。
例えば、これまでの説明では、芯材として最も使用例の多いH型鋼を用いて説明したが、芯材としてはプレキャスト製のコンクリート壁体あるいは鋼製の壁体を使用することもできる。
以上の説明のとおり、本発明のソイルセメント地中連続壁工法によれば、これまで切り離しができなかった、掘削工程、固化工程及び芯材挿入工程を分離し、さらに各工程の施工機械の編成を見直すことにより、各工程を並行作業ができるようにし、出来高を向上させ、施工機械の稼働率を向上させ、それにより施工費用と工期短縮を可能とすることができる。

Claims (10)

  1. ソイルセメント地中連続壁工法において、
    非硬化性注入材を添加しつつ掘削を行い、掘削土と非硬化性注入材の混合土による壁体を造成する掘削・仮固化工程と、
    前記混合土による壁体に芯材を挿入する芯材挿入工程と、
    芯材を挿入させた前記混合土に固化材を添加・混練し、固化させる固化工程を有し、
    前記掘削・仮固化工程、前記芯材挿入工程及び前記固化工程をこの順で連続して行う施工を1エレメントとし、
    かつ、あるエレメントの前記芯材挿入工程の開始と同時に、次のエレメントの前記掘削・仮固化工程を開始することを特徴とするソイルセメント地中連続壁工法。
  2. ソイルセメント地中連続壁工法において、
    非硬化性注入材を添加しつつ掘削を行い、掘削土と非硬化性注入材の混合土による壁体を造成する掘削・仮固化工程と、
    前記混合土に固化材を添加・混練しソイルセメントを造成する固化工程と、
    前記固化工程の完了したソイルセメントに芯材を挿入する芯材挿入工程を有し、
    前記掘削・仮固化工程前記固化工程と前記芯材挿入工程をこの順で連続して行う施工を1エレメントとして、
    かつ、あるエレメントの前記固化工程の開始と同時に、次のエレメントの前記掘削・仮固化工程を開始することを特徴とするソイルセメント地中連続壁工法。
  3. 前記非硬化性注入材として気泡、又は、気泡と水を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
  4. 前記非硬化性注入材として水を吸収し膨張した膨潤吸水ポリマー又は、水を吸収して膨潤した膨潤ポリマーに水を添加した膨潤吸水ポリマー分散液を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
  5. 前記固化工程において、スラリー状の固化材を高圧噴射により添加しつつ掘削土と非硬化性注入材の混合土を混合・撹拌し、ソイルセメントを造成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
  6. 前記固化工程において、スラリー状の固化材を添加しつつ混合翼により掘削土と非硬化性注入材の混合土と混合・撹拌し、ソイルセメントを造成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
  7. 前記スラリー状の固化材中に消泡剤を配合したことを特徴とする請求項5又は6に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
  8. 前記固化工程において、粉体状の固化材を空気と共に空気圧により注入しつつ、掘削土と非硬化性注入材の混合土と混合・撹拌することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
  9. 前記固化工程において、消泡剤を添加した粉体状の固化材を空気と共に空気圧により注入しつつ、掘削土と非硬化性注入材の混合土と混合・撹拌することを特徴とする請求項8に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
  10. 前記固化工程において、前記固化材の注入量を改良層に応じて変化させることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のソイルセメント地中連続壁施工法。
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