JP5842299B2 - 芯材が配置された水硬性固化材液置換コラムの築造方法 - Google Patents
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Description
例えば、深層混合処理工法のように、セメントスラリーやセメント粉体を原地盤と攪拌混合して地盤中に円柱状のソイルセメント固化体を築造して、構造物の基礎としている(例えば特許文献1参照)。
なお、本発明で「無排土」とは、排土が全くないことは当然であるが、排土はあるもののその量が完全排土に較べて極めて少ない場合も包含する用語として使用している。
ブリーディング低減材としてのベントナイトは入手が容易でかつ比較的安価であるという利点はあるが、添加量を比較的多くしなければならないこと、およびミキシングプラントへの投入順序により吸水・膨潤効果が低下するという問題がある。炭酸マグネシウムは比較的高価であるが、比較的少量をセメントスラリーに混和してその粘性を高め、かつブリーディングを低減するのみならず、ベントナイトを使用する場合よりもブリーディングの終息時間を短縮することができる。なお、ここでいう炭酸マグネシウムは、塩基性炭酸マグネシウムを含むものとして定義している。
掘削オーガの外径が100mm未満だと築造されるコラムの外径も100mm未満となりコラムとしての鉛直支持力性能が小さく、また、その連続性に対する信頼性が低くなるため、上部構造の荷重を支持する基礎構造として不適である。掘削オーガの外径が300mmを超えると、掘削ロッドタイプを使用した場合は、無排土施工が困難となるのみならず、地盤を側方へ変位させる力が大きくなるため、隣接する周辺構造物を変状させたり、近傍の施工直後の置換コラムを変形させたり、孔壁崩壊させるという問題を生じさせる可能性が高くなる。掘削土の排出を伴うスクリューオーガタイプの場合は、掘削土砂の重量がオーガ引上げ時の負荷に加わるために、小型施工機には負担が増大する。
掘削爪の回転径が掘削オーガの回転径以上の場合は、掘削オーガの掘進性は向上するが、掘削オーガ周側面が掘削土を孔壁へ押し付ける効果が減少する。そのため、孔壁が強化されずに孔壁崩壊の可能性が高まる。また、該掘削オーガを回転(正回転または逆回転)させながら、または回転させないで引上げるときに、掘削爪のオーガ回転径よりはみ出ている部分が孔壁を削り取るため、置換コラム中にその削り取られた土塊が残存したり、コラム出来形径がばらつくなどコラムの品質が低下することになる。一方、掘削爪の回転径を掘削オーガの回転径より小さくしすぎると掘削オーガの掘進性が低下し、施工能率が低下する。したがって、掘削爪の回転径は掘削オーガの回転径以下であり、かつ掘削オーガの回転径と略同一のものが更に望ましい。
(a)通常スパイラルオーガ(図4(a)):スパイラルスクリュー翼の排土機構により、掘削土を積極的に地上に排出する機能を有する掘削オーガ。掘進掘削性は良いが、排土量が最も多い。また孔壁の強さは最も弱い。
(b)軸太スパイラルオーガ(図4(b)):オーガ軸径をスパイラルスクリュー翼の外径に対して相対的に大きくすることにより、スパイラルスクリュー翼の掘進性を保持しつつ、掘削土砂を孔壁側へ押し付ける機能を強化し、排土量は(a)より少なく、(c)より多い。孔壁の強さは(a)と(c)の中間である。
(c)円筒状掘削オーガ(図4(c)):スパイラルスクリュー翼を完全に除去し、掘削爪により掘削した土砂をほとんど総て孔壁側へ押し付けることにより、孔壁の強化と無排土の機能を有する掘削オーガ。掘進掘削性は掘削爪の機能のみであり、排土機能がないため、(a)、(b)より劣るが、排土量は最も少なく、かつ孔壁の強さは最も強い。掘削オーガの製作費が(a)、(b)、(c)の中では最も安価である。
(d)先端部スパイラル付き円筒状掘削オーガ(図4(d)):先端部にスパイラルスクリュー翼を配置することにより(c)の掘進掘削性を改善したもの。したがって、先端部は(a)の機能を、それ以外は(c)の機能を有する。排土量は(c)より多いが、(a)、(b)より少ない。孔壁の強さは、先端部のスパイラルスクリュー翼部分は相対的に弱いが、円筒部分は強い。したがって、強い部分と弱い部分が混在する。
(e)短尺円筒状掘削オーガ(図4(e)):(c)の円筒状部分を短尺にし、その上方にオーガモータに接続可能な小径のロッドをレデューサーを介して接続したもの。太径の円筒部分を必要最小限の長さとし、施工時の取り扱いを容易にしたもの。(c)と同様に排土機能が無いため、排土量が少ない。
本発明で置換コラムを築造する上で根幹をなす技術は、置換コラムの出来形を制する孔壁の強さを確実に達成することである。孔壁の強さは(a)、(b)で示すスパイラルスクリュー翼を使用する場合より、(c)、(d)、(e)で示す円筒状掘削オーガを使用する場合の方が強い。
掘削爪としては、湾曲板状(図2(d))あるいはスパイラル状(図2(e))等のものを例示することができる。
掘削爪の掘削対象地盤と回転接面する底面が平坦な水平面を構成する湾曲板状またはスパイラル状であれば、掘進時の鉛直性が向上し、掘進速度を大きくしても鉛直度を確保しやすい。そのため、置換コラム1本当りの施工時間を短縮できる。
また、たとえ掘削土砂の一部がコラム底部に沈降し堆積したとしても、底面で分散されるため、先端支持力に与える悪影響を小さくすることが出来て好ましい。
また、掘削爪を湾曲板状やスパイラル状にすれば、掘削ロッドの引上げ時に掘削孔最深部で掘削爪によりほぐされた掘削土砂を地上まで持ち上げる効果があるので更に好ましい。
本発明に使用する水硬性固化材液は、我が国の建設工事で一般的に使用されているセメントを主成分とすればよく、また、その水セメント比は50〜150%で、材料強度の目安は3〜10N/mm2である。水セメント比が50%より小さいと、置換コラムの単位体積当りのセメント使用量が大きくなり不経済となるばかりか、施工時には小型施工機で使用する小型のミキシングプラントで混練するには、粘性が高くプラントに作用する負荷が大きくなり、好ましくない。一方、水セメント比が150%を超えると、置換コラムの打設終了後から生じる水硬性固化材液のブリーディング量が大きくなり出来形が不足するので、水硬性固化材液の注ぎ足し作業をしなければならないし、注ぎ足し量も極めて大きくなる。しかも、注ぎ足し作業はブリーディングが終了するまで待たねばならず、そのため施工の効率が大きく低下し、手間がかかるのみならず、注ぎ足した水硬性固化材液が許容できない程度のブリーディングを生じる場合もある。それらの対策を講じるために工期も延び、ひいてはコストアップの要因となる。しかしながら、ミキシングプラントの負荷やブリーディングの程度を考慮すれば、実用的には水セメント比は60%〜120%が好ましい。
また、炭酸マグネシウムの混和量は、セメント重量に対し1重量%〜4重量%と少量で済み、ブリーディングの終息時間を早めることができる。
(1)請求項1に示す水硬性固化材液置換コラムの築造方法は、水硬性固化材液と原地盤(原位置土)を攪拌混合しないため、従来技術である深層混合処理工法と異なり、有機質土のように地盤の土質の影響を受けることなく、常にミキシングプラントで作製した水硬性固化材液と同様乃至近い高品質のコラムを築造できる。
請求項1に示す水硬性固化材液置換コラムの製造方法は、水硬性固化材液置換コラムに芯材を配置することを特徴としている。これによりコラムに芯材を挿入(配置)することによって引抜き抵抗力を大幅に向上した水硬性固化材液置換コラムとすることができる。
また、請求項1に示す水硬性固化材液置換コラムの築造方法では、水硬性固化材液に炭酸マグネシウムを混和しているので、ブリーディング量を小さく抑え、かつブリーディングの終息時間を早めての置換コラムの築造ができる。炭酸マグネシウムは比較的高価であるが、ベントナイトと比べて比較的少量の混和量でブリーディング低減の効果を奏するのみならず、ブリーディングがベントナイトを使用する場合よりも比較的短時間で終息する。そのため、一日の作業時間内で、実働時間を大きく取ることができるという利点がある。
なお、炭酸マグネシウムは、水硬性固化材液の増粘効果があるので、その使用にあたっては、ポンパビリティ等の施工性を勘案して、水硬性固化材液の水セメント比やブリーディング低減材の混和量等を定める必要がある。
(2)請求項2に示す水硬性固化材液置換コラムの築造方法は、掘削オーガの外径を100〜300mmの範囲にしたことで、貫入抵抗を低減し、小型施工機での掘削オーガの貫入を可能にした。また、掘削オーガ径を小さくしたことで、掘削オーガを無排土貫入した場合でも地中の地盤変位の影響が小さいために、隣接構造物の変状や近傍の築造コラムの変形や孔壁崩壊を防止できる。掘削オーガが径を100mm以上としたことで置換コラムの連続性を確実にし、支持コラムとしての信頼性が向上する。また、施工装置も小型のもので対応できるので狭隘地でも搬入・施工が可能となる。
(4)水硬性固化材液置換コラムの築造方法は、掘削オーガの全部の周側面が平坦な円筒状の掘削ロッドタイプのものを使用することにより、掘削土砂を孔壁側方に押出し、掘削土砂を地上へ排出する機構がないので、削孔による発生残土が無いか少ない。また、掘削ロッドの平坦な周側面によって孔壁面が側方に押し付けられるために、孔壁が強固になり、孔壁崩壊が起きにくいので、土塊混入の少ない高品質の置換コラムが築造できる。また、スパイラルスクリュー翼が必要ないので、掘削ロッドタイプは安価で製作できる。請求項2および3の水硬性固化材液置換コラム築造方法では、掘削オーガの全部の周側面が平坦な円筒状であるので、このような作用、効果も奏する。
さらに、掘削オーガの先端の掘削爪を湾曲させたり、スパイラル状に加工することで、先端部で掘削されほぐされた掘削土砂を掘削爪に抱き込み、該土砂を掘削オーガと共に地上に引上げられることにより、置換コラムの先端部の品質を向上させることができる。したがって、置換コラムのコラムとしての鉛直支持力を増大させることができる。
(6)請求項5に示す水硬性固化材液置換コラムの築造方法は、該水硬性固化材液はポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、セメント系固化材のいずれかを主成分とし、その水セメント比が50%〜150%であり、炭酸マグネシウムの混和量がセメント重量に対して1重量%〜4重量%であることを特徴とする。
水セメント比が50%未満であると、水硬性固化材液の粘度が高くなり、小型施工機用の比較的軽微なミキシングプラントでは、混練時の攪拌抵抗による負荷が大きくなるため、およびグラウトポンプの圧送抵抗が大きくなるため実施工では、使用することが困難である。また、実質的な固化材使用量が増大するため、コストアップになる。また、水セメント比が大きくなると置換コラム築造後には、水硬性固化材液はブリーディングするが、そのブリーディング量が大きくなり、出来形が所要の長さの許容差を満足できなくなると水硬性固化材液の追加填充等の補修を要する。水セメント比150%を超えると、許容できなくなる程のブリーディングが生じることは無論であるが、追加填充した水硬性固化液部分もまた、許容できなくなる程のブリーディングをするため、再度補修を要するという問題がある。その上、追加填充はブリーディングがほぼ終了した後でしか実施できないため、追加填充の補修に時間が掛かるのみならず、補修工程を翌日にせざるを得なくなれば、工期遅延となり、大幅な施工コスト上昇が発生する。本発明は、上記水硬性固化材液の水セメント比を50%〜150%にすることにより、上記問題を解決できる。しかしながら、ミキシングプラントの負荷やブリーディングの程度を考慮すれば、実用的には水セメント比は60%〜120%が好ましい。
また、炭酸マグネシウムは、セメント重量に対し1重量%〜4重量%と少量の混和でもブリーディングの終息時間を短くすることができる。
なお、図4(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示す掘削オーガ1の上方部が掘削オーガ外径より細く示している。これは、掘削オーガ外径はコラム径乃至施工性から決定されるのに対して、掘削オーガ1の上方部はオーガモータ8と接続される必要があるので、貫通タイプのオーガモータ8がチャックできる径を例示しているためである。
掘削オーガを図4に基づいて詳細に説明する。なお、本図に示す掘削オーガの爪は総て鏃状で回転体が逆円錐状になるものにしているが、単なる例示であり特に意味はない。
図4(a):通常スパイラルオーガ。スパイラルスクリュー翼の排土機構により、掘削土を積極的に地上に排出する機能を有する掘削オーガ。掘進掘削性は良いが、排土量が最も多い。また孔壁の強さは最も弱い。
図4(b):軸太スパイラルオーガ。軸をスパイラルスクリュー翼の外径に対して相対的に大きくすることにより、スパイラルスクリュー翼の掘進性を保持しつつ、掘削土砂を孔壁側へ押し付ける機能を強化している。排土量は図4(a)より少なく、図4(c)より多い。孔壁の強さは図4(a)と図4(c)の中間である。
図4(c):円筒状掘削オーガ。スパイラルスクリュー翼を完全に除去し、掘削爪により掘削した土砂をほとんど総て孔壁側へ押し付けることにより、孔壁の強化と無排土の機能を有する掘削オーガ。掘進掘削性は掘削爪の機能のみであるため、図4(a)図4(b)より劣るが、排土量は最も少なく、かつ孔壁の強さは最も強い。
図4(d):先端部スパイラル付き円筒状掘削オーガ。先端部にスパイラルスクリュー翼を配置することにより図4(c)の掘進掘削性を改善したもの。したがって、先端部は図4(a)の機能を、それ以外は図4(c)の機能を有する。排土量は図4(c)より多いが、図4(a)図4(b)より少ない。孔壁の強さは、先端部のスパイラルスクリュー翼部分は相対的に弱いが、円筒部分は強い。したがって、強い部分と弱い部分が混在する。
図4(e):短尺円筒状掘削オーガ。図4(c)の円筒状部分を短尺にし、その上方にオーガモータに接続可能な小径のロッドをレデューサーを介して接続したもの。太径の円筒部分を必要最小限の長さとし、施工時の取り扱いを容易にしたもの。図4(c)と同様に排土機能が無いため、排土量が少ない。孔壁の強さは図4(a)図4(b)で示すスパイラルスクリュー翼を使用する場合より強いが、図4(c)図4(d)で示す円筒状掘削オーガを使用する場合の方が強い。
なお、掘削オーガ1は、オーガモータ8を駆動させたり、停止させることで、回転させたり回転を停止させたりすることができるので、掘削オーガ1を回転させながら掘進または引き上げたり、回転させずに掘進または引き上げることを適宜選択して施工することができる。
図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および図3(f)に示す実施の形態の掘削オーガ1は、中空で、該中空内が水硬性固化材液の供給通路5となっている。掘削オーガの外径が比較的大きい場合は、図2(e)に示すように別途内管5aを配置して供給通路とする。この掘削オーガ1の先端には、掘削爪2と前記水硬性固化材液の供給通路5に連通する吐出口4が設けられている。吐出口4は、例えば図2(a)に示すように掘削オーガ1の先端部底面に円弧側が固設された2枚の半円形の合成ゴムシート14、14で閉塞され、この2枚の合成ゴムシート14、14が中央で接合14aし、合成ゴムシート14、14の可撓性による変形で開閉可能となっている。したがって、掘削オーガ掘進時、吐出口4は合成ゴムシート14、14で閉塞されているが、供給通路5より水硬性固化材液が供給され、加圧されると合成ゴムシート14、14が開いて水硬性固化材液が吐出されるようになっている。これにより水硬性固化材液は、吐出口4より吐出できるが、掘進時には吐出口4より掘削土砂が侵入することを防止できる。なお、掘進時の土砂侵入防止の効果を高めるために、半円形の合成ゴムシート14、14の接合部分を鋼材で当て木14bをして剛性を高めることが好ましい。
その方法によって、充填した水硬性固化材液に孔壁地盤土が落ち込むことを防止できるので、その結果、ミキシングプラントで作製した水硬性固化材液とほぼ同品質の置換コラムを築造でき、品質良好なコラムとなる。
掘削オーガ1の外径が100mm未満の場合は、築造される置換コラムの外径、断面積が小さいため、掘削孔の弾性もどりを考慮するとコラムとしての置換コラムの連続性に対する信頼性が低くなる。また、芯材を挿入しない置換コラムは無筋体であるため、外径が小さくなると径長さ比が大きくなり、コラムとしての信頼性が低くなる。また、外径が100mm未満の場合、同一構造物を支持させるためには相対的に多数の置換コラムを打設する必要があり、施工に手間がかかる。
掘削オーガ1の外径が300mmを超える場合は、掘進抵抗が増大するため小型施工機による周側面が平坦な掘削オーガを使用して無排土掘削することが困難となる。また、仮に無排土掘削が可能になったとしても、大量の土砂を側方に押し付けるため、周辺地盤を変位させ、擁壁等の周辺構造物を変状させる虞がある。
以上より、本発明の水硬性固化材液置換コラムの築造方法に使用する掘削オーガ1としては、外径が100mm〜300mmであるのが好ましい。
図2(a)では平板状の掘削爪2を示している。この掘削爪2の最下端部2aが回転して形成する掘削孔底面が、平坦な水平面を形成し、かつ掘削爪2の回転径が掘削オーガ1の回転径以下であり、掘削オーガ1の外径よりはみ出さない構成としている。図3(g)に示すように掘削爪2が掘削オーガ1より大径部分3を有し掘削オーガ1の外径よりはみ出すと、掘進時には掘削オーガ周側面による孔壁への押し付け効果が減少乃至消滅し、孔壁が強化されない。また、掘削オーガ引上げ時には掘削爪が孔壁を削り取り、削り取られた土砂が充填した水硬性固化材液中に残存し、置換コラムの品質が低下する。反対に、掘削爪2の回転径を掘削オーガ1の回転径より過小にすると、掘進性能が低下する。したがって、掘削爪2の周面方向の末端は、掘進性能を確保する意味からも掘削オーガ1本体の周面とほぼ一致させて配置することがより好ましい。
本例のように掘削爪2が湾曲板状あるいはスパイラル状であると、先端部でほぐされた掘削土砂を掘削爪に抱き込み、該掘削土砂が掘削オーガと共に地上に引き上げられることにより、置換コラムの先端部の土塊混入を防ぎ、品質を向上させることができる。したがって、置換コラムのコラムとしての鉛直支持力を向上させることができる利点があり好ましい。
まず、図5(a)に示すように施工装置6のオーガモータ8に掘削オーガ1を取り付け、掘削オーガ1をリーダ7に沿って鉛直に据え、掘削オーガ1の掘削爪中心と削孔位置(コラム心)が一致するように合わせてセットする。
次に図5(b)に示すように掘削オーガ1を回転(正回転または逆回転)させながら掘進する。これはオーガモータ8の駆動で回転させ、スライド板10(図1参照)をリーダ7に沿って下方向に移動させることで実施される。図5(b)に示すように掘進が所定深度に達したら、もしくは所定深度近傍から、水硬性固化材液を吐出口4より吐出を開始する。掘削オーガ1が所定の深度に達した時点で、吐出口4から水硬性固化材液が吐出されるのを確認するための間、掘削オーガ1の上下移動を停止して、回転のみ続けて孔壁の強化と先端部の置換を確実にさせることは好ましい。
前記図5(a)〜(d)に示す施工方法によって掘削部の所定区間を水硬性固化材液12で充填した後に、該水硬性固化材液12の置換コラムが未硬化の内に、図6(e)に示すように施工装置6を使用して該置換コラム(未硬化の水硬性固化材液12)に心材11を挿入して施工する。これにより図6(f)に示すように心材11を配置した置換コラムが築造できる。
地盤G3は、表土1mが粘性土による盛土で、その下方にはN値1〜4の粘土が約3mの層厚で堆積し、さらにその下方にはN値2〜3の砂が約2mの層厚で堆積している。
2.掘削オーガ:
掘削オーガは、図7、及び表1に示す円筒形掘削オーガを使用した。本オーガの円筒部直径は216.3mm、先端は鏃形状の掘削爪を取付けた。
3.水硬性固化材液
(a)使用材料
使用材料は、早強ポルトランドセメント(C)及び塩基性炭酸マグネシウム(M)とした。塩基性炭酸マグネシウムは、施工後の水硬性固化材液(スラリー)のブリーディングによる硬化体上面の沈降を防ぐ目的で混和している。
(b)配合
水硬性固化材液の配合は、表2に示すように、W/Cは80%、M/Cは2%とした。なお、Wは水を指す。
プラントから採取した水硬性固化材液(スラリー)のブリーディング量は、図8に示すように、混練から20時間後で0%であった。ブリーディング防止材を添加しない場合、W/C=80%のセメントスラリーでは20%程度のブリーディングが生じることから、塩基性炭酸マグネシウムがブリーディング防止材としての機能を十分に果たしていることがわかった。
(d)圧縮強度
水硬性固化材液(スラリー)の材齢28日の圧縮強度は、表3に示すとおり、プラント採取では13.5N/mm2、試験コラム採取では12.5N/mm2であり、両者はほとんど同じ強度を示した。この値はW/Cの違いはあるもののブリーディング低減材としてベントナイトを使用する場合よりも高強度であった。
試験コラムは、表4に示すように、コラム長3m、4mを各々2本、コラム長5.5m、6.5mを各々1本、計6本築造した。
コラム長3.0m、及び4.0mのものについては、コラム築造直後に、芯材としてコラム全長より若干長めの支圧板付き鋼棒(支圧板直径150mm、支圧板厚さ6mm、鋼棒直径35mm)をコラム下端まで人力で挿入した。
試験コラム築造は、図9に示すように、正回転させながら掘進速度2.0m/分で掘進し、所定深度に達したら水硬性固化材液を吐出しながら30秒間正回転のまま停止し、この後正回転させながら引上げ速度1.2m/分で水硬性固化材液を吐出しながら引上げた。水硬性固化材の吐出量は、45〜50l/分とした。これは孔体積に対し1.0〜1.1倍の吐出量である。地上まで掘削オーガを引上げ、完了した。
コラムの出来形として、築造したコラムを引抜き、その直径を計測して、コラム長毎に比較したものを図10、図11に示す。コラムには、引抜いて出来形調査を行うために、施工直後に異形棒鋼をコラム先端部まで挿入した。
いずれのコラムについても、地表(上端)部で径がやや大きくなる傾向があるが、それ以深では径のバラツキは小さく、「出来形径/施工径」は1.0に近い。安定した出来形のコラムが築造できる。
試験コラム引抜き時の引抜き荷重を表5に示す。コラム長3m、4mの場合、60〜70kN程度の引抜き荷重となった。
試験コラムの支持力性能把握のため、表4のコラム長5.5m、6.5mのものについて実施した押込み試験の結果を図12(A)(B)に示す。コラム頭部の変位量がコラム径(約200mm)の10%(20mm)に至るまでの最大荷重を極限支持力とすると、極限支持力はコラム長5.5mの場合174.1kN、コラム長6.5mの場合225.0kNとなった。
地盤G4は、N値3〜6のローム層が約5mの層厚で堆積し、その下方にはN値3〜4の砂層が続いている。
2.掘削オーガ:
掘削オーガは、実施例1と同じ円筒形掘削オーガを使用した。本オーガの円筒部直径は216.3mm、先端は鏃形状の掘削爪を取付けた。
3.水硬性固化材液
(a)使用材料
使用材料は、実施例1と同様に、早強ポルトランドセメント(C)及び塩基性炭酸マグネシウム(M)とした。塩基性炭酸マグネシウムは、施工後の水硬性固化材液(スラリー)のブリーディングによる硬化体上面の沈降を防ぐ目的で混和している。
(b)配合
水硬性固化材液の配合は、表6に示すように、W/Cは80%、M/Cは1%とした。なお、Wは水を指す。
プラントから採取した水硬性固化材液(スラリー)のブリーディング量は、図13に示すように、混練から20時間後でほぼ0%であった。ブリーディング防止材を添加しない場合、W/C=80%のセメントスラリーでは20%程度のブリーディングが生じることから、塩基性炭酸マグネシウムがブリーディング防止材としての機能を十分に果たしていることがわかった。
(d)圧縮強度
水硬性固化材液(スラリー)の材齢28日の圧縮強度は、表7に示すとおり、プラント採取では14.14N/mm2、試験コラム採取では14.08N/mm2であり、実施例と同様に両者はほとんど同じ強度を示した。この値は実施例1と同様にブリーディング低減材としてベントナイトを使用する場合よりも高強度であった。
試験コラムは、表8に示すように、コラム長4mを2本、コラム長4.2m、コラム長5m、コラム長8mを各々1本、計5本築造した。
コラム長4mのものについては、コラム築造直後に、芯材としてコラム全長より若干長めの支圧板付き鋼棒(支圧板直径150mm、支圧板厚さ6mm、鋼棒直径35mm)ををコラム下端まで人力で挿入した。
試験コラム築造は、実施例1と同様に、図9に示すように、正回転させながら掘進速度2.0m/分で掘進し、所定深度に達したら水硬性固化材液を吐出しながら30秒間正回転のまま停止し、この後正回転させながら引上げ速度1.2m/分で水硬性固化材液を吐出しながら引上げた。水硬性固化材の吐出量は、45〜50l/分とした。地上まで掘削オーガを引上げ、完了した。
コラムの出来形として、築造したコラムを引抜き、その直径を計測して、コラム長毎に比較したものを図14に示す。コラムには、引抜いて出来形調査を行うために、施工直後に異形棒鋼をコラム先端部まで挿入した。
いずれのコラムについても、地表(上端)部で径がやや大きくなる傾向があるが、それ以深では径のバラツキは小さく、「出来形径/施工径」は1.0に近い。安定した出来形のコラムが築造できる。
試験コラムの引抜き荷重は、コラム長4mのもので70.65kN、83.75kNとなった。
試験コラムの支持力性能把握のため、コラム長4.2m、5m、8mのものについて実施した押込み試験の結果を図15(A)(B)(C)に示す。コラム頭部の変位量がコラム径(約200mm)の10%(20mm)に至るまでの最大荷重を極限支持力とすると、極限支持力はコラム長4.2mの場合135.4kN、コラム長5mの場合190.3kN、コラム長8.0mの場合245.5kNとなった。
ブリーディング低減材としてベントナイトを使用した場合のブリーディング率は、W/C=60%、B/C=5%で4.1%、B/C=20%で0.0%であり、W/C=120%、B/C=5%で25.0%、B/C=20%で3.7%と、やはりW/Cが大きくなるにしたがってブリーディング率も大きくなっているが、その絶対値はプレーンに較べて大幅に低下している。図16にベントナイトの添加率とブリーディング率の関係を示している。
ブリーディング低減材として塩基性炭酸マグネシウムを使用した場合のブリーディング率は、W/C=60%、M/C=1%で2.2%、M/C=4%で0.0%であり、W/C=120%、M/C=1%で22.8%、M/C=4%で4.1%と、やはりW/Cが大きくなるにしたがってブリーディング率も大きくなっているが、その絶対値はプレーンに較べて大幅に低下している。図17に塩基性炭酸マグネシウムの添加率とブリーディング率の関係を示している。また、ベントナイトと塩基性炭酸マグネシウムでは添加率が5:1であるが、ブリーディング低減効果はほぼ同一である。言い換えれば、塩基性炭酸マグネシウムはベントナイトの5分の1の添加量で同等のブリーディング低減効果を発揮する。
プレーンは図18に示すように、W/Cが60%から120%までいづれのW/Cにおいても、水硬性固化材液混練後から直線的に増加して、ブリージングはほぼ3時間で終息している。
ベントナイト添加は図19に示すように、W/Cが60%及び80%の添加率20%を除いて、いづれのW/C、B/Cにおいても、水硬性固化材液混練後から増加してほぼ2時間半から3時間で終息する。プレーンの場合よりもブリージングの終息時間がやや短くなっているが、それほど終息時間の短縮は見込めない。W/Cが60%及び80%の添加率20%についてはブリーディングは発生しなかった。
塩基性炭酸マグネシウム添加は図20に示すように、W/Cが比較的大きく(100〜120%)、かつ添加率の小さい(1〜2%)ものは30分から1時間未満でブリーディングが終息する。それ以外のW/Cや添加率ではブリーディングが発生しないか、発生してもブリージング率は0.05(5%)程度以下の小さな値である。
水硬性固化材液にブリーディング低減材を添加しない場合は、ブリーディング率はW/Cと共に増加し、その値は0.1(10%)〜0.45(45%)と非常に大きなブリーディングが発生する。そのため、置換コラム打設終了後に水硬性固化材液の固化面がブリーディングにより低下するので、水硬性固化材液の追加補充が必要となり、手間が増える。また、ブリーディングが終息するのに3時間程度の時間を要するため、補充作業を翌日に行わなければならなく、工期が延び、ひいては工事費のコストアップ等の問題が生じる。さらに、ブリーディング率が大きな水硬性固化材液の場合は、補充した水硬性固化材液そのものが再びブリーディングを生じるという問題もある。
ブリーディング低減材としてベントナイトを使用する場合は、W/Cを比較的小さくし、添加率を10〜20%とすれば、水硬性固化材液の追加補充が不要なブリーディング率に抑えることが可能となる。添加量が塩基性炭酸マグネシウムに較べて多いため、施工現場での取扱いに手間がかかる等の問題もある。また、ベントナイトはミキシングプラントでのセメントとの混合順序によりブリーディング低減効果にばらつきが生じたり、ブリーディング終息時間が長いため、1日の作業終了間際に施工した置換コラムが翌日にブリーディングが大きく発生していることが判明して、追加補充しなければならないという問題もある。
ブリーディング低減材として塩基性炭酸マグネシウムを使用する場合は、W/Cを比較的小さくし、添加率を1〜2%とすれば、水硬性固化材液の追加補充が不要なブリーディング率に抑えることが可能となる。ベントナイトに較べて、添加量が少量で済むため、施工現場での取扱いが簡単であるという利点がある。また、ブリーディングの終息時間が短いため、ベントナイトで記述したような種々の問題が生じないという利点もある。
2 掘削爪
3 突起
4 吐出口
5 供給通路
5a 内管
6 施工装置
7 リーダ
8 オーガモータ
9 スイベル
10 スライド板
11 芯材
12 充填した水硬性固化材液
14 ゴムシート
Claims (5)
- 内部に水硬性固化材液の供給通路を有する掘削オーガの先端部に、少なくとも掘削爪と該水硬性固化材液の吐出口を備え、該掘削オーガをオーガモータを備えた施工装置で回転(正回転または逆回転)させながら所定深度まで掘進し、水硬性固化材液を該吐出口から吐出しつつ、該掘削オーガを回転(正回転または逆回転)させながら、または回転させないで引上げ、掘削部の所定区間を水硬性固化材液で充填して水硬性固化材液置換コラムを築造し、その後該水硬性固化材液置換コラムに芯材を配置する水硬性固化材液置換コラムの築造方法において、水硬性固化材液にブリーディングの終息時間を早めるために炭酸マグネシウムを混和させ、そのブリーディング終息時間を早めたことを特徴とする芯材が配置された水硬性固化材液置換コラムの築造方法。
- 掘削オーガは全部の周側面が平坦な円筒状であり、その外径が100mm〜300mmであることを特徴とする請求項1記載の芯材が配置された水硬性固化材液置換コラムの築造方法。
- 掘削オーガは全部の周側面が平坦な円筒状であり、掘削爪の回転径が該掘削オーガの回転径以下であり、該掘削オーガの外径よりはみ出さないことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の芯材が配置された水硬性固化材液置換コラムの築造方法。
- 掘削爪は、掘削爪の掘削対象地盤と回転接面する底面が平坦な水平面を構成する湾曲板状またはスパイラル状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の芯材が配置された水硬性固化材液置換コラムの築造方法。
- 水硬性固化材液はポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、セメント系固化材のいずれかを主成分とし、その水セメント比が50〜150%であり、炭酸マグネシウムの混和量がセメント重量に対して1重量%〜4重量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の芯材が配置された水硬性固化材液置換コラムの築造方法。
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