JP4852732B2 - コラムの置換築造方法 - Google Patents
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Description
深層混合処理工法は、地盤中に掘削撹拌混合装置を挿入し、固化材を填充しながら同時に原地盤と撹拌混合することにより、地盤中に円柱状の地盤改良体を築造する工法(例えば、特許文献1参照)であり、掘削撹拌混合装置を地盤中に掘進させる時に固化材を填充する方法と、逆に上方へ引上げるときに固化材を填充する方法がある。また、固化材は水と撹拌混合してスラリー状にして使用する方法と、固化材を粉末状のまま使用する方法とがある。
PIP杭工法は、連続したフライトをもつオーガの中空のシャフトの頭部に駆動装置を取り付け、この装置全体を櫓に吊り下げ、地中に回転させながら所定の深さまで掘削し、所定の深さに達したら、シャフト先端部よりモルタルを圧入しながら徐々に引上げることによってモルタル杭を造成し、オーガ引上げ後ただちに鉄筋篭または形鋼をモルタル杭の中に建て込むものである(例えば、特許文献4および非特許文献1参照)。
(1)固化材を填充しながら同時に原地盤と撹拌混合することにより、地盤中に地盤改良体を築造する工法であるため、改良対象地盤の土質の物性が一定でないことに起因して、改良土の品質は特に一軸圧縮強度のバラツキが大きいという欠点がある。そのため、改良する目標強度をバラツキに相応する分だけ設計強度よりも大きくしなければならず、固化材添加量が増え、不経済であった。
(2)深層混合処理工法においては、粘着力の大きな粘性土地盤では共回り現象の発生により混合不良が発生し、目標とする品質を確保出来ないことが多かった。
(3)有機質土やピート等の有機質分が多量に含まれている土層やロームや赤ボク黒ボク等の火山灰質粘性土では地盤改良体の硬化不良が発生したりして、目標とする品質を確保出来ないことが多かった。
(4)有機質分が多量に含まれている地盤では、固化材添加量を多く必要とするため、不経済であった。
(5)地盤が複数の土層で構成されている場合は、強度発現が最も低い土層に必要な固化材添加量で全深度範囲に填充するため、他の土層部分には必要以上の量の固化材を添加しなければならず、不経済であった。また、その分だけ建設発生土(残土)量が増え、環境に対する負荷が大きかった。
(6)撹拌混合が確実に行われたとしても、ソイルセメントの発現強度は改良対象の土質に依存するため、事前に予想していない土質が出現した場合には改良土の一軸圧縮強度が目標値に達せず不良工事になる恐れがあった。
(7)深層混合処理工法では腐植土や有機質土などのように大量の固化材を添加しても発現強度が小さいことに起因して、同一荷重を支持するのにより広い面積を改良する必要があった。これに伴い、地盤改良に要する改良対象土量が増えるのみならず、基礎のフーチング体積も増えるため、建設コストが増大していた。
(1)地上のミキサーで現地の土砂と固化材を混合するため、現地発生土砂を使用するので、施工対象地盤の土質の物性や土質のバラツキに起因して、改良後の品質はバラツキが大きいという欠点がある。また、現地の土砂と固化材を混合するため、所要の一軸圧縮強度を得るために多量の固化材を必要とし、不経済となる場合がある。
(2)掘削土砂を地上へ排出し、それを地上のミキサーで固化材と混合してスラリー状の流動化処理土とし、再び元の位置へ戻す工程であるため、施工工程が増え、コストが高い。
(3)一時的とはいえ、改良すべき箇所の土砂を掘削し除去するため、それまでの上載荷重による応力バランスが崩れて支持地盤が緩む。そのため、掘削底地盤の支持力が低下する。
(4)土砂を除去した底面の処理を丁寧にしないと、構造物からの鉛直荷重が作用したときに場所打ち杭の先端スライムと同様な初期沈下の問題が発生する。
(1)モルタル製造に用いる細骨材の水分管理が必要であり、現実的に品質のバラツキが生ずる。
(2)モルタルは細骨材を含有しているため、モルタルはフロー値が18〜20秒の流動性の高いものを使用せざるを得なく、ブリージングが発生しやすくなるばかりか、モルタルの流動性が高いため、掘削土砂等がモルタル中に落ち込み、モルタル中に土砂等が混入される。
(3)砂質土層や礫質土層などでは、湧水、地下水圧に起因する孔壁崩壊が起り易いので、掘削に際しベントナイト泥水、またはこれに少量のセメントを混合したものを用いる必要がある。また、ベントナイトは汚泥となるため後の処理に莫大な費用が発生する。
(4)その結果、モルタル柱底面と支持地盤との間にスライム層が形成されるため、スライム処理工程が必要となる。
(6)また、PIP杭工法およびRGパイル工法では、孔壁崩壊を防ぐため、施工時に地表面までモルタルで充填する必要がある。また、モルタル充填後、鉄筋篭等を挿入するため、結果として根切り時の頭部整形が困難となる。
この発明の目的は、このような課題を解決することであり、対象地盤の性状に左右されず、安定した品質のコラムの置換築造方法を提供することである。
ただし、本発明のように、スクリューオーガ1のスパイラルスクリュー2のピッチをPとし、該スクリューオーガ1を正回転させながらの掘進時の回転数を毎分Re回転としたとき、該スクリューオーガ1を正回転させながらの掘進速度(毎分Ve)の値をPとReとの乗じた値に略等しくすると、掘削時に地盤土が殆ど地上に排出されないので、掘削時に孔内がスパイラルスクリュー2と該スパイラルスクリュー2間に残置された地盤土で満たされた状態になる。その結果、緩い細砂層や鋭敏比の高い粘性土層が存在する深度区間でも孔壁内外での応力バランスが保たれて孔壁面の崩壊が発生しなくなるのである。
なお、請求項1に記載したように、前記填充材は練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである必要がある。
また、練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーを、テーブルフロー値で150〜400mm、好ましくは150〜330mmに設定することで、掘削孔内における流動充填性を確保し、また孔壁崩壊を防ぎ、さらに置換範囲上方の土砂が置換されて填充材中に落ち込むことを防ぐことが出来る。
練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーを、テーブルフロー値で150mm〜400mmとするのは、150mm未満では、配管内の抵抗(摩擦力)が大きくなり施工時に時間がかかりすぎるか、施工(吐出)不能になり、400mmを超えるとコラム中に土砂が多く混入される可能性が多くなるためである。
なお、フライアシュまたは高炉スラグ粉体との配合比はセメント1重量部に対し、フライアシュまたは高炉スラグ粉体が3乃至20重量部であり、加水混合された状態で前記したテーブルフロー値のコンシステンシーを有する填充材とすることができる。一般的にこの場合、セメントとフライアシュまたは高炉スラグ粉体の合計重量に対し、含水量は30〜50%である。置換されたコラムの一軸圧縮強度を高めるには、高炉スラグ粉末を使用することが望ましい。
なお、スネーク式ポンプ(スクリュー式ポンプ)により填充材を該オーガ先端部に供給し、該填充材を該オーガ先端部から吐出するようにすると、練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーが低いものでも施工できるので特に好ましい。例えば練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜260mmのものでも施工できる。
図2(b)(c)に示すようなスパイラル翼2が断続スパイラルスクリュー2b、2cであるオーガ1b、1cによれば、砂質地盤や礫質地盤のような崩壊性の地盤では、連続スパイラルスクリューで掘進すると、必要以上に掘削土を排出する可能性があるので、断続スパイラルスクリューオーガ1b、1cを使用することにより、排土量を低下させ、周辺地盛の乱れによる緩みを少なくすることが出来る。その結果として支持地盤の乱れを少なくすることができる。また、断続スパイラルスクリュー2b、2cの外径は掘削翼径と同一であってもよいが、断続スパイラルスクリュー2b、2cの外径は掘削翼径より小径にすればさらに排土量を低下させることが可能になる。
また、断続スパイラルスクリュー2b、2cの外径は掘削翼と同一であってもよいが、断続スパイラルスクリュー2b、2cの外径を掘削翼より小径にすれば、地盤の掘進抵抗が更に緩和される。
掘削部6の存在で掘削効率が向上する。また、置換コラム築造終了後に掘削爪8を突設した掘削翼で填充材置換上端部を整形すると、上端部は爪の形状通りに整形されるため、填充材が固結したときに凹凸ができる。したがって、後工程で置換コラム上端面の再整形作業が必要となる。平爪を用いることにより、置換工程で平面状に仕上げることが出来るので再整形作業が不要となる。
逆に、地盤が軟弱な場合で回転数が極めて少ないかほぼ無回転になる場合、スパイラルスクリュー2を地盤中に押込むことになるため、周辺地盤を変位させてしまい、近接構造物に悪影響を及ぼす。
(1)緩い細砂層や鋭敏比の高い粘性土層が存在する地盤でも、孔壁崩壊に伴って生じる孔径の部分的な拡径現象や、この現象に伴って生じるコラム中へ多量の土砂の混入現象を防ぐことができる。この結果、築造された置換コラムには土砂が混合されておらず、所望した形状寸法が確保され、特に掘削土が混入しない状態でコラムの置換が確実に行えて、地上のミキサーで混練したときとほぼ同じ状態の品質で、一軸圧縮強度のバラツキの小さい置換コラムの築造ができる。
(5)また、同様の理由から、置換コラムの強度を任意に設定し、それを実現することが容易に出来る。
(6)填充材の配合を調整することにより、任意の強度を発現するようにすることが可能になる。
(7)安価なフライアッシュや高炉スラグ粉体を混和材として填充材に使用した場合は、填充材のコストを下げることが出来る。
先ず、実施例1として、地表(GL)から2.5mの深度までN値5の粘性土の盛土があり、その下層に地表(GL)からの深度4.0mまでN値10の緩い細砂層があり、その下層に地表(GL)からの深度5.0mまでN値2のシルト層があり、その下方に地表(GL)からの深度6.5mまでN値40の中砂層が存在する地盤Gに、置換コラムを築造した。この地盤Gは、図4および図5に断面で示されている。置換コラムは直径600mm、置換予定上端位置は地表(GL)からの深度1.0mとし、予定置換底位置は地表(GL)からの深度で5.3mとし、置換コラム長は4.3mとした。
また、置換コラムの築造から21日後に全長コアボーリングを実施し、深度区間1m当たり3〜4供試体を、全長4.3mで合計15供試体を採り、この15供試体を対象とし材令28日で一軸圧縮試験を実施した。一軸圧縮強度の平均値は8.2N/mm2、最小値は7.4N/mm2、最大値は9.2N/mm2と高強度であり、一軸圧縮強度の変動係数(V)は8%と、極めてバラツキが少なかった。
また、その後に、このコラムを掘り起こし、置換コラムの直径とコラム断面内の土塊混入率を調査した結果、表1に示すように、実施例1の置換コラムの直径は全長に亘り600mm〜630mmと設計径と同等であり、コラム断面内に残存する土塊混入率は極めて少なかった。
また、置換コラムの築造から21日後に全長コアボーリングを実施し、深度区間1m当たり、3〜4供試体を、全長3.8mで合計12供試体を採り、この12供試体を対象とし、材令28日で一軸圧縮試験を実施した。一軸圧縮強度の平均値は、3.2N/mm2、最小値は0.9N/mm2、最大値は8.5N/mm2と品質が安定しておらず、一軸圧縮強度の変動係数(V)は76%と、極めてバラツキが大きかった。
更にその後に、置換コラムを掘り起こし、置換コラムの直径とコラム断面内の土塊の混入率を調査した結果、表1に示すように、比較例1の置換コラムの直径は拡径部で860mmと設計径を上回り、コラム断面内には極めて多くの土塊が残存していた。
なお、掘進時の条件は、スクリューオーガ1のスパイラルスクリュー2のピッチをPとし、該スクリューオーガ1を正回転させながらの掘進時の回転数を毎分Re回転としたとき、該スクリューオーガ1を正回転させながらの掘進速度(毎分Ve)の値をPとReとの乗じた値に略等しくした。なお、使用したスパイラルスクリューオーガ1の径は1000mmであり、直径1000mmの掘削孔を造ることができるオーガ1である。施工設備はベースマシンとして80トン級の三点支持式杭打ち機、ミキサーはコンクリート用の二軸強制練りミキサー、ポンプはスネーク式ポンプ(スクリュー式ポンプ)を使用した。
また、置換コラムの築造から14日後に全長コアボーリングを実施し、深度区間1m当たり3〜4供試体を、全長で合計21供試体をとり、この21供試体を対象として材令28日で一軸圧縮試験を実施した。一軸圧縮強度の平均値は7.9N/mm2で、表2に示すように、一軸圧縮強度の最小値は6.8N/mm2、最大値は9.0N/mm2と高強度であり、一軸圧縮強度の変動係数(V)は9.2%と極めてバラツキが小さかった。
更にその後に、置換コラムを掘り起こし、置換コラムの直径とコラム断面内の土塊の混入量を調査した結果、表2に示すように、実施例2の置換コラムの直径は1000〜1050mmと設計径1000mmと同等であり、コラム断面内に残存する土塊混入量は極めて少なかった。
更にその後に、置換コラムを掘り起こし、置換コラムの直径とコラム断面内の土塊の混入率を調査した結果、表2に示すように、比較例2の置換コラムの直径は拡径部で1250mmと設計径を上回り、縮径部で720mmと設計径を下回っており、コラム断面内には極めて多くの土塊が残存していた。
1a〜1f スクリューオーガ
2 スパイラルスクリュー(スパイラル翼)
2a 連続スクリューオーガ
2b 断続スクリューオーガ
2c 2枚羽根のスパイラルスクリュー
3 円筒状のリング
4 縁板
5 オーガ軸
6 掘削部
7 オーガ軸先端の掘削爪
8 掘削翼の掘削爪
9 オーガ軸の先端
10 孔壁
11 崩壊
12 拡径
13 置換コラム
14 空堀部
G 地盤
P スパイラルスクリューのピッチ
Claims (3)
- 少なくとも先端にスパイラルスクリュー状の掘削部を有するスクリューオーガを正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に達した後、そのままの状態で暫くスクリューオーガの回転を続けた後、土砂や骨材を含まず、混和材としてフライアッシュおよび/または高炉スラグ粉体を使用し、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を所望のタイミングで該スクリューオーガの先端部から吐出しつつスクリューオーガを引き上げることによりコラムの置換底位置から上方の地盤土が填充材で置換されたコラムを築造する方法であって、該スクリューオーガのスパイラルスクリューのピッチをPとし、該スクリューオーガを正回転させながらの掘進時の回転数を毎分Re回転としたとき、該スクリューオーガを正回転させながらの掘進速度(毎分Ve)の値をPとReとの乗じた値に略等しくすることを特徴とするコラムの置換築造方法。
- 少なくとも先端にスパイラルスクリュー状の掘削部を有するスクリューオーガを正回転させながら掘進し、コラムの置換底位置に到達したら、スクリューオーガ先端部から土砂や骨材を含まず、混和材としてフライアッシュおよび/または高炉スラグ粉体を使用し、かつ練り上がり時乃至施工時の填充材のコンシステンシーがテーブルフロー値で150〜400mmである填充材を吐出し始め、そのままの状態でスクリューオーガを引き上げることなく暫くスクリューオーガの回転を続けた後、填充材を吐出しつつスクリューオーガを引き上げることによりコラムの置換底位置から上方の地盤土が填充材で置換されたコラムを築造する方法であって、該スクリューオーガのスパイラルスクリューのピッチをPとし、該スクリューオーガを正回転させながらの掘進時の回転数を毎分Re回転としたとき、該スクリューオーガを正回転させながらの掘進速度(毎分Ve)の値をPとReとの乗じた値に略等しくすることを特徴とするコラムの置換築造方法。
- 填充材をスクリューオーガ先端部から吐出しつつ、該スクリューオーガを正回転で引上げ、コラムの置換予定上端位置に達したら、該填充材の吐出を停止させ、その後該スクリューオーガを正回転乃至逆回転させながら引上げることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のコラムの置換築造方法。
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