JP6005455B2 - 繊維混入地盤改良体の造成方法及びこれに用いる造成管 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維混入地盤改良体の造成方法及びこれに用いる造成管に関し、特に、高圧噴射撹拌工法により、地盤に繊維、セメントミルク等の固化材を撹拌混合して、繊維混入地盤改良体を造成する繊維混入地盤改良体の造成方法及びこれに用いる造成管に関する。
地盤を改良する従来の高圧噴射撹拌工法では、地盤中に管を挿入し、その先端部から高圧のジェットでセメントミルク等の固化材を噴射しながら、管を動かし(管を回転させたり上下動させたりして)、地盤改良体を造成する。
しかし、このような従来工法による地盤改良体は、原位置土と固化材との混合体であるため、一般に軟弱な原地盤の圧縮強度やせん断強度を向上させることができるが、未改良部分の存在や強度のばらつきがあるので、引張強度の向上はほとんど期待できない。
そこで、この地盤改良体の引張強度の向上を図る方法として、地盤改良体に補強材として繊維材を混合する繊維混入地盤改良体の造成方法が提案されており、この種の造成方法として、機械式撹拌工法や高圧噴射撹拌工法が知られている。
機械式撹拌工法は、アースオーガーなどの大型の機械を用い、撹拌翼を有するロッドを軟弱地盤中に貫入しながら、ロッドの先端からセメントミルク等の固化材を吐出して、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合し、地盤中に靭性の高い地盤改良体を造成して、地盤の安定化を図るもので、この種の工法が例えば特許文献1などにより提案されている。
これに対して、高圧噴射撹拌工法は、地盤中に多重管ロッドを挿入し、このロッドを回転又は揺動させながら引き上げつつ、このロッドを通して送入した繊維を混入したセメントミルク等の固化材を先端(多重管ロッドの下端)の噴射ノズルから高圧噴射して、繊維、セメントミルク等の固化材、地盤を撹拌混合し、地盤中に円柱状又は扇形柱状の靭性の高い地盤改良体を造成して、地盤を安定化するもので、この種の工法が例えば特許文献2などにより提案されている。特に、この文献2の工法では、従来の高圧噴射撹拌工法の場合、直径が数mmの小型のノズルから高圧(数10MPa)のセメントミルク等の固化材を噴射するため、そのノズルを利用して繊維材を固化材と混合した状態で地盤中に噴射することは困難であることが指摘され、その解決策として、高圧噴射ノズルの直近の負圧領域に別配管で繊維材を送り込む方法が提案されている。
このような高圧噴射撹拌工法は、機械式撹拌工法に比べて、小型でコンパクトな機械を使用できるので、機械式撹拌工法では施工が困難な又は不可能な狭い作業ヤードや空頭制限のある場所でも施工ができる点で、大きなメリットがある。
特開2008−127863号公報 特許第3794913号公報
しかしながら、従来の繊維を用いた高圧噴射撹拌工法では、地盤中に多重管ロッドを挿入し、繊維をセメントミルク等の固化材に混入して、この固化材を、多重管ロッドを通し、先端の噴射ノズルから直接噴射するため、繊維が多重管ロッドや噴射ノズルに詰まったり、また、繊維が地盤改良域外に押しやられたり多重管ロッドと孔壁との間から排泥とともに流出したりすることが多く、また、施工中は地盤改良域内での繊維の混合状態を確認することができないことから、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合することが難しく、品質の高い地盤改良体を得難い、という問題がある。
また、特許文献2の工法にあっては、高圧噴射ノズルの直近の負圧領域に別配管で繊維材を送り込むようにしているが、負圧領域という地盤中の限られた範囲に対して高圧噴射撹拌工法の施工速度に合わせて適切な量の繊維材を安定して供給することが難しい、という問題がある。
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の繊維混入地盤改良体の造成方法において、繊維をセメントミルク等の固化材に混入しない新たな手法で、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合し、繊維が管やノズルに詰まることがなく、また、繊維が地盤改良域外に押しやられたり管と管孔壁との間から排泥とともに流出したりするのを可及的に少なくしつつ、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合して、引張強度を向上させ、品質の高い地盤改良体を造成すること、併せて設計上で必要な地盤改良体の厚みや本数等地盤改良の範囲を減少させて、コストの削減、工期の短縮、余剰汚泥の排出量の低減を図ること、を目的とする。
また、本発明は、この種の繊維混入地盤改良体の造成方法において、繊維、固化材、原地盤の撹拌混合を同時並行的に行え、コストの削減、工期の短縮を図ることのできる造成管を提供すること、を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、地盤改良域に、高圧噴射撹拌工法により、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合して、繊維混入地盤改良体を造成する繊維混入地盤改良体の造成方法において、中央に、繊維を通す繊維供給管を有し、前記繊維供給管の周囲に、固化材を通す固化材噴射管、水を含む流体を通す流体噴射管を有する多重管からなり、前記繊維供給管を前記他の噴射管よりも断面積の大きい管とする造成管を用い、地盤改良域に、前記造成管を挿入するための管孔を掘削した後、前記造成管を前記管孔に所定の深度まで挿入し、前記造成管を前記管孔内で回転方向に動かし徐々に引き上げながら、水を前記造成管の前記流体噴射管を通して前記管孔周囲の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域の地盤を下から上に向けて順次緩める地盤緩め工程、繊維を前記造成管中央の断面積の大きい前記繊維供給管を通して前記管孔周囲の地盤の緩み範囲に向けて吐出し、繊維を地盤の緩み範囲に下から上に向けて順次圧入する繊維圧入工程、及び固化材を前記造成管の前記固化材噴射管を通して前記管孔周囲の繊維圧入後の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域の地盤を下から上に向けて順次撹拌し、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する撹拌混合工程を同時並行的に行う、ことを要旨とする。
この造成方法では、繊維供給管に通す繊維を砂等の粉粒体、又は流動性の高い流体や気泡等と混合して圧送することが好ましい。
この造成方法では、造成管の回転角度又は固化材の噴射圧を制御することにより、繊維混入地盤改良体の形状を円柱状又は半円柱状又は扇形柱状又は矩形柱状に造成することが好ましい。
また、本発明による造成管は、中央に、繊維を通す繊維供給管、前記繊維供給管の周囲に、固化材を通す固化材噴射管、水を含む流体を通す流体噴射管を有し、前記繊維供給管を前記他の噴射管よりも断面積の大きい管とする多重管からなり、前記多重管の最も外側の外周面で下部側の所定の位置に、上から順に、前記流体噴射管に連通し、流体を高圧で噴射させるための流体噴射ノズル、前記繊維供給管に連通し、繊維を吐出するための繊維吐出口、及び前記固化材噴射管に連通し、固化材を高圧で噴射させるための固化材噴射ノズルを有する、ことを要旨とする。
この場合、多重管は、多重管ロッドと、前記多重管ロッドの下端に連接される多重管からなる造成装置と、前記多重管ロッドの上部に連接される多重管からなるスイベルとを備えて構成されることが好ましい。
この場合、多重管は4重管からなり、中央に繊維を通す繊維供給管、前記繊維供給管の外側に固化材を通す固化材噴射管、前記固化材噴射管の外側に水を通す水噴射管、前記水噴射管の外側に圧縮空気を通す圧縮空気噴射管を備えることが好ましい。
この場合、多重管の下端に切削刃を併せて備えることが好ましい。
本発明の繊維混入地盤改良体の造成方法では、上記のとおり、中央に、繊維を通す繊維供給管を有し、この繊維供給管の周囲に、固化材を通す固化材噴射管、水を含む流体を通す流体噴射管を有する多重管からなり、繊維供給管を他の噴射管よりも断面積の大きい管とする造成管を用い、地盤改良域に、造成管を挿入するための管孔を掘削した後、造成管を管孔に所定の深度まで挿入し、造成管を管孔内で回転方向に動かし徐々に引き上げながら、水を造成管の流体噴射管を通して管孔周囲の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域の地盤を下から上に向けて順次緩める地盤緩め工程、繊維を造成管中央の断面積の大きい繊維供給管を通して管孔周囲の地盤の緩み範囲に向けて吐出し、繊維を地盤の緩み範囲に下から上に向けて順次圧入する繊維圧入工程、及び固化材を造成管の固化材噴射管を通して管孔周囲の繊維圧入後の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域の地盤を下から上に向けて順次撹拌し、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する撹拌混合工程を同時並行的に行うので、繊維が管やノズルに詰まることがなく、また、繊維が地盤改良域外に押しやられたり管と管孔壁との間から排泥とともに流出したりするのを可及的に少なくしつつ、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合して、引張強度や靭性を向上させた品質の高い地盤改良体を造成することができ、併せて設計上で必要な地盤改良体の厚みや本数等地盤改良の範囲を減少させて、コストの削減、工期の短縮、余剰汚泥の排出量の低減を図ることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
この場合、繊維供給管に通す繊維を砂等の粉粒体、又は流動性の高い流体や気泡等と混合して圧送することで、繊維供給管や繊維吐出口に繊維が詰まる可能性が極めて低くなり、繊維吐出口から繊維を高圧で円滑に吐出して、安定した施工を可能とし、繊維を地盤中の所定の深度の層の原地盤に確実に圧入することができる、という利点を有する。
また、本発明の造成管は、上記のとおり、中央に、繊維を通す繊維供給管、繊維供給管の周囲に、固化材を通す固化材噴射管、水を含む流体を通す流体噴射管を有し、繊維供給管を他の噴射管よりも断面積の大きい管とする多重管からなり、多重管の最も外側の外周面で下部側の所定の位置に、上から順に、流体噴射管に連通し、流体を高圧で噴射させるための流体噴射ノズル、繊維供給管に連通し、繊維を吐出するための繊維吐出口、及び固化材噴射管に連通し、固化材を高圧で噴射させるための固化材噴射ノズルを有するので、造成管を管孔内に挿入した後、この造成管を管孔内で回転方向に動かし徐々に引き抜きながら、造成管の下部側において上方位置の流体噴射ノズルから水を地盤改良域に向けて高圧噴射させ、中間位置の繊維吐出口から繊維を地盤改良域に圧入し、下方位置の固化材噴射ノズルから固化材を地盤改良域に向けて高圧噴射させることで、地盤改良域の地盤を緩める工程、地盤が緩められた範囲に繊維を圧入する工程、固化材を地盤改良域に向けて高圧噴射して繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する工程を同時並行的に行うことができ、コストの削減、工期の短縮を図ることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
また、この場合、多重管の下端に切削刃を併せて備えることにより、この造成管を用いて地盤改良域に管孔を掘削することができ、削孔工程から、地盤緩め工程、繊維圧入工程、及び撹拌混合工程をすべて1本の造成管で行うことができる、という利点を有する。
本発明の繊維混入地盤改良体の造成方法に係る実施の形態その1を示す図 同方法に使用する造成管の構成を示す図 同方法に採用する繊維を混入して作製したセメント改良土の一軸圧縮強度試験結果を示す図(繊維をセメント改良土との体積比で1%混入した場合) 同方法に採用する繊維を混入して作製したセメント改良土の一軸圧縮強度試験結果を示す図(繊維をセメント改良土との体積比で0.5%混入した場合) 同方法に採用する繊維を混入して作製したセメント改良土の圧裂試験結果を示す図(繊維をセメント改良土との体積比で0.5%混入した場合) 同方法に採用する繊維を混入して作製したセメント改良土に用いた土の粒度を示す図 本発明の繊維混入地盤改良体の造成方法に係る実施の形態その2を示す図 同方法に使用する既存の多孔管の構成を示す図 同方法による既存の多孔管を用いた施工例を示す図 同方法による既存の多孔管を用いた施工例での、地盤改良体のコアボーリングによる試料採取位置を示す図 同方法による既存の多孔管を用いた施工例での、採取した試料の一軸圧縮試験結果を示す図 同方法による既存の多孔管を用いた施工例での、採取した試料の圧裂試験結果を示す図
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1に繊維混入地盤改良体の造成方法を示している。図1に示すように、この地盤改良体の造成方法は、地盤改良域Pに、高圧噴射撹拌工法により、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合して、繊維混入地盤改良体P1を造成するものであり、
この造成方法では、特に、
(1)地盤改良域Pに、挿入方向先端に噴射ノズルを有し、水、固化材を含む流体を高圧のジェットで噴射する流体噴射管、挿入方向先端に吐出口を有し、繊維を吐出する繊維供給管、及び挿入方向先端に噴射ノズルを有し、固化材を高圧のジェットで噴射する固化材噴射管を挿入するための管孔P10を掘削する削孔工程と、
(2)管孔P10に流体噴射管を挿入し、流体噴射管を回転方向に動かし引き抜きながら、流体噴射管から流体を地盤改良域Pに向けて高圧噴射することにより地盤改良域Pの地盤を緩める地盤緩め工程と、
(3)管孔P10に繊維供給管を挿入し、繊維供給管を回転方向に動かし引き抜きながら、繊維供給管から繊維を地盤改良域Pの地盤が緩められた範囲に圧入する繊維圧入工程と、
(4)管孔P10に固化材噴射管を挿入し、固化材噴射管を回転方向に動かし引き抜きながら、固化材噴射管から固化材を地盤改良域Pに向けて高圧噴射することにより、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する撹拌混合工程と、
を有し、
これらの工程(1)−(4)により、地盤改良域Pの地盤中に繊維と固化材とを異なる供給経路で供給し、地盤改良域Pの地盤内で繊維と固化材を混合する。
この造成方法では、管孔P10の削孔方法は特に限定されない。この管孔P10は、ボーリングマシンなどの施工機Mによってあらかじめ削孔されてもよく、ケーシング掘りにしてから建て込みケーシング管を引き抜く方法で事前に削孔されてもよく、また、この管孔P10を自穿孔型とし、管孔P10の掘削とともに流体噴射管を地盤中に挿入するようにしてもよい。
また、この造成方法では、流体噴射管、繊維供給管、及び固化材噴射管をなす管路を一体的に備える多重管式又は多孔式の造成管1を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程のすべての工程を同時並行的に行う。また、この造成管1は下端に切削刃を併せて備え、地盤改良域Pでの管孔P10の掘削とこの造成管1の地盤改良域Pへの挿入を同時並行的に行うようにしてもよい。
図2にこの造成方法で使用する造成管1を示している。この造成管1は、1本の連続する管体又は複数本の管が連接される管体からなり、管体内に水、固化材を含む流体を通す流体噴射管路10、繊維を通す繊維供給管路20、及び固化材を通す固化材噴射管路30を備える多重管式又は多孔式に構成され、管体の周面で下部側の所定の位置に上から順に、流体噴射管路10に連通し、流体を高圧で噴射させるための流体噴射ノズル310、繊維供給管路20に連通し、繊維を吐出するための繊維吐出口322、及び固化材噴射管路30に連通し、固化材を高圧で噴射させるための固化材噴射ノズル332を備えている。また、この造成管1で直接管孔P10の掘削を行う場合は、管体の下端に切削刃を併せて備えてもよい。
図2に示すように、この場合、造成管1は、多重管ロッド2と、この多重管ロッド2の下端に連接される造成装置3とを備え、さらに、多重管ロッド2の上部にスイベル4を連接されて構成される。
多重管ロッド2は所定の長さを有する長い4重管からなり、中央に、上下両端を開口され、繊維を通す繊維供給路22(繊維供給管路20)、この繊維供給路22の外側に、上下両端を開口され、固化材を通す固化材噴射路23(固化材噴射管路30)、この固化材噴射路23の外側に、上下両端を開口され、水を通す水噴射路211(流体噴射管路10)、この水噴射路211の外側に、上下両端を開口され、圧縮空気を通す圧縮空気噴射路212(流体噴射管路10)をそれぞれ備えて構成される。
造成装置3は所定の長さを有する短い4重管からなり、中央に繊維を通す繊維供給通路32(繊維供給管路20)、この繊維供給通路32の外側に固化材を通す固化材噴射通路33(固化材噴射管路30)、この固化材噴射通路33の外側に水を通す水噴射通路311(流体噴射管路10)、この水噴射通路311の外側に圧縮空気を通す圧縮空気噴射通路312(流体噴射管路10)をそれぞれ備えて構成される。繊維供給通路32は、上端を多重管ロッド2の繊維供給路22との連結端として開口され、多重管ロッド2の繊維供給路22に連通して繊維を通す通路321と、この通路321から造成装置3の外周面(最も外側の外周面)に向けて延び、外周面の上下方向中間の所定の位置に開口され、繊維を吐出するための繊維吐出口322とを有する。固化材噴射通路33は、上端を多重管ロッド2の固化材噴射路23との連結端として開口され、多重管ロッド2の固化材噴射路23に連通して固化材を通す通路331と、この通路331から造成装置3の外周面(最も外側の外周面)に向けて延び、外周面の上下方向中間の所定の位置で繊維吐出口322に対して下部に開口され、固化材を高圧で噴射させるための固化材噴射ノズル332とを有する。この場合、固化材噴射ノズル332は、(1)セメントミルク等の固化材の噴射口を一側方に向けて有するもの、(2)セメントミルク等の固化材の噴射口を軸芯を挟んで相互に対称位置の二側方(180度反対方向)に向けて有するもの、(3)セメントミルク等の固化材の噴射口を相互に対称位置の二側方でかつ高さ位置が異なる段違いのものなどから、施工条件等に応じて適宜の形式が採用される。水噴射通路311は、上端を多重管ロッド2の水噴射路211の連結端として開口され、多重管ロッド2の水噴射路211に連通して水を通す通路3111と、この通路3111から造成装置3の外周面(最も外側の外周面)に向けて延び、外周面の上下方向中間の所定の位置で繊維吐出口322に対して上部に開口されて、水を高圧で噴射させるための水噴射ノズル3112(流体噴射ノズル310)とを有する。この場合、水噴射ノズル3112は、(1)水の噴射口を一側方に向けて有するもの、(2)水の噴射口を軸芯を挟んで相互に対称位置の二側方(180度反対方向)に向けて有するもの、(3)水の噴射口を相互に対称位置の二側方でかつ高さ位置が異なる段違いのものなどから、施工条件等に応じて適宜の形式が採用される。圧縮空気噴射通路312は、上端を多重管ロッド2の圧縮空気噴射路212の連結端として開口され、多重管ロッド2の圧縮空気噴射路212に連通して圧縮空気を通す通路3121と、この通路3121と連通し、造成装置3の外周面(最も外側の外周面)の固化材噴射ノズル332付近及び水噴射ノズル3112付近に開口され、圧縮空気を噴射させるための圧縮空気噴射口3122とを有する。
スイベル4は所定長さの短い4重管からなり、中央に多重管ロッド2の繊維供給路22に連通して繊維を供給するための繊維供給路42(繊維供給管路20)、この繊維供給路42の外側に多重管ロッド2の固化材噴射路23に連通して固化材を供給するための固化材供給路43(固化材噴射管路30)、この固化材供給路43の外側に多重管ロッド2の水噴射路211に連通して水を供給するための水供給路411(流体噴射管路10)、この水供給路411の外側に多重管ロッド2の圧縮空気噴射路212に連通して圧縮空気を供給するための圧縮空気供給路412(流体噴射管路10)をそれぞれ備えて構成される。繊維供給路42は、下端を多重管ロッド2の繊維供給路22との連結端として開口され、繊維を通す通路421と、この通路421に連結され、通路421に繊維を導入する繊維導入口422とを有する。固化材供給路43は、下端を多重管ロッド2の固化材噴射路23との連結端として開口され、固化材を通す通路431と、この通路431に連結され、通路431に固化材を導入する固化材導入口432とを有する。水供給路411は、下端を多重管ロッド2の水噴射管路211との連結端として開口され、水を通す通路4111と、この通路4111に連結され、通路4111に水を導入する水導入口4112とを有する。圧縮空気供給路412は、下端を多重管ロッド2の圧縮空気噴射路212との連結端として開口され、圧縮空気を通す通路4121と、この通路4121に連結され、通路4121に圧縮空気を導入する圧縮空気導入口4122をそれぞれ備えて構成される。
造成管1はかかる構成を備え、この場合、繊維の供給系が水、固化材、圧縮空気の供給系よりも断面積を適宜大きくして形成されることが望ましい。
このようにして水、圧縮空気、繊維、固化材がスイベル4の水導入口4112、圧縮空気導入口4122、繊維導入口422、固化材導入口432から導入され、スイベル4の水供給路411、圧縮空気供給路412、繊維供給路42、固化材供給路43、多重管ロッド2の水噴射路211、圧縮空気噴射路212、繊維供給路22、固化材噴射路23、造成装置3の水噴射通路311、圧縮空気噴射通路312、繊維供給通路32、固化材噴射通路33を通して、水が造成装置3の水噴射ノズル3112から高圧で噴射され、繊維が造成装置3の繊維吐出口322から吐出され、固化材が造成装置3の固化材噴射ノズル332から高圧で噴射されるようになっている。
なお、この造成管1を通して繊維を地盤が緩められた範囲内に圧入する方法としては、繊維と砂等の粉粒体を混入して吹付け工法と同様の圧送ポンプ(湿式吹付け機等)を用いて供給する方法や、繊維を流動性の高い流体や気泡等と混入して圧送ポンプ(グラウトポンプ等)で供給する方法等が、施工条件等に応じて適宜採用される。
このような造成管1を用いた繊維混入地盤改良体の造成方法の施工手順について図1を用いて説明する。
まず、図1(1)に示すように、地盤改良域Pに、造成管1を挿入するための管孔P10を所定の深度まで掘削する。この場合、管孔P10の削孔方法は特に限定されないことは既述のとおりである。
次に、図1(2)に示すように、ボーリングマシンなどの施工機Mを用いて、造成管1を地盤改良域Pの地盤中に掘削した管孔P10に所定の深度まで挿入する。
次いで、図1(3)に示すように、造成管1の水の供給系を通して高圧で送入する水を造成管1の下端側の水噴射ノズル3112、すなわち、造成装置3の繊維吐出口322に対して上部にある水噴射ノズル3112から高圧噴射し、造成管1の繊維の供給系を通して高圧で送入する繊維を造成管1の下端側の繊維吐出口322、すなわち、造成装置3の繊維吐出口322から高圧で吹き出すとともに、造成管1の固化材の供給系を通して高圧で送入する固化材を造成管1の下端側の固化材噴射ノズル332、すなわち、造成装置3の繊維吐出口322に対して下部にある固化材噴射ノズル332から高圧噴射する。
次いで、この造成管1を回転方向に動かし徐々に引き上げながら、図1(4)に示すように、水噴射ノズル3112から水を水噴射ノズル3112周囲の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域Pの地盤を下から上に向けて順次緩め(地盤緩め工程)、この高圧水の噴射に続いて、繊維吐出口322から繊維を繊維吐出口322周囲の地盤の緩み範囲に向けて吐出し、繊維を地盤の緩み範囲に下から上に向けて順次圧入し(繊維圧入工程)、さらに、この繊維の圧入に続いて、固化材噴射ノズル332からセメントミルク等の固化材を固化材噴射ノズル332周囲の繊維圧入後の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域Pの地盤を下から上に向けて順次撹拌し、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合する(撹拌混合工程)。
このようにして地盤改良域Pの削孔工程の後、地盤改良域Pに地盤緩め工程、繊維圧入工程、及び撹拌混合工程を同時並行的に行う。
このような施工による地盤緩め工程では、造成管1の水の供給系を通して高圧で送入する水を水噴射ノズル3112から高圧噴射するので、水噴射ノズル3112から高圧水が円滑にジェット噴射され、この高圧ジェット水が地盤中の所定の深度の層を確実に進行し、原地盤は確実に緩められる。この場合、高圧ジェット水の噴射圧を適宜調整することで、高圧ジェット水が適度の噴射圧で所定の深度の層を進行し、原地盤は管孔P10から外側方向所定の範囲全域に亘って適宜緩められる。
また、繊維圧入工程では、造成管1の繊維の供給系を水や固化材を送る別系統の管路とは比較的断面積の大きい管路とし、繊維を砂等の粉粒体、又は流動性の高い流体や気泡等と混合して圧送ポンプで圧送し、繊維吐出口322から、地盤改良域Pの緩み範囲に圧入するので、繊維の供給系の管内や繊維吐出口322に繊維が詰まる可能性は極めて低く、繊維吐出口322から繊維は高圧で円滑に吐出され、安定した施工が可能となり、この繊維は地盤中の所定の深度の層の原地盤に確実に圧入される。この場合、繊維の吐出圧を調整して圧入することで、繊維は適度の吐出圧で所定の深度の層の地盤に、管孔P10から外側方向に所定の範囲全域に亘って適宜圧入される。
さらに、固化材噴射工程では、造成管1の固化材の供給系を通して高圧で送入する繊維を混入していないセメントミルク等の固化材を固化材噴射ノズル332から高圧でジェット噴射するので、固化材の供給系の管内や固化材噴射ノズル332に繊維が詰まることがなく、固化材噴射ノズル332から固化材が円滑に高圧噴射され、このセメントミルク等の固化材が地盤中の所定の深度の層を原地盤を崩し撹拌しながら進行し、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤が確実に撹拌混合される。この場合、セメントミルク等の固化材の噴射圧を調整することで、セメントミルク等の固化材は適度の噴射圧で所定の深度の層の地盤を進行し、繊維は管孔P10から外側方向に所定の範囲全域に亘り所定の混合率で拡散し、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤が適宜撹拌混合される。
なお、この施工において、地盤内に高圧噴射した水や固化材等によって増えた体積に相当する泥水等は、管孔P10と造成管1との隙間を通って地上に排出される。
この造成方法の結果、図1(5)に示すように、地盤改良域Pの地盤中に例えば円柱状の地盤改良体P1が造成され、地盤改良域P全体に繊維が所定の均一の混合率で混合された品質の高い地盤改良体P1が得られる。
なお、この場合の繊維混入地盤改良体P1の造成径は、予め高圧ジェットで緩めた地盤の範囲と同じでもよいが、この地盤改良体P1の造成時において、固化材噴射圧力や噴射時間を調整することによって、予め高圧ジェットで緩めた地盤の範囲よりも大きな径で地盤改良体を造成してもよい。
また、この地盤改良体P1の形状は、施工機1により造成管1の回転角度等を制御したり固化材の噴射圧を制御したりすることによって、例えば、半円柱状、扇形柱状、矩形柱状等種々に変更することができる。この地盤改良体P1の形状は、地盤改良域P及びその周囲の状況に応じて決定される。
また、この造成方法では、固化材の配合と混入する繊維の種類や太さ、長さ及び量を適宜調節することにより、繊維材料で補強された所定強度の地盤改良体を造成することが可能である。
例えば、セメント改良土に混入した時に補強効果が得られることが確認されている繊維の種類としては、ビニロン繊維やポリプロピレン繊維等がある。セメント改良土に対する繊維混入による補強効果は原地盤の性状等によっても異なるが、例えばビニロン繊維の場合には、直径10〜50μm程度で長さ4〜20mm程度の範囲の繊維をセメント改良土との体積比で0.5〜1.5%混入することで、比較的良好な補強効果を得ることができる。
図3に、カオリン粘土に表1に示す配合でセメントと水とビニロン繊維を混合して作製した供試体(直径5cm、長さ10cm)に対して湿潤養生28日後に実施した一軸圧縮強度試験の結果を示している。なお、表2にこの試験に用いたビニロン繊維の物性を示している。
図3に示すように、繊維をセメント改良土との体積比で1%混入したケースC−4、ケースC−4&10、ケースC−10はいずれも繊維を混入していないケースC−nonと比べてピーク強度が大きくなるとともに、ピーク後の急な強度低下が抑えられており、顕著な補強効果が得られている。
図4及び図5に、図6の土に表3に示す配合でセメントと水とビニロン繊維を混合して作製した供試体(直径5cm、長さ10cm)に対して湿潤養生28日後に実施した一軸圧縮強度試験及び圧裂試験の結果を示している。なお、表4にこの試験に用いたビニロン繊維の物性を示している。
図4及び図5に示すように、繊維をセメント改良土との体積比で0.5%混入したケースBは繊維を混入していないケースAと比べてピーク強度が大きくなるとともに、ピーク後の急な強度低下が抑えられており、顕著な補強効果が得られている。
また、既述のとおり、ロッド管等を通して繊維を地盤内に圧入する方法としては、繊維と砂等の粉粒体を混入して吹付け工法と同様の圧送ポンプ(湿式吹付け機等)を用いて供給する方法や、繊維を流動性の高い流体や気泡等と混入して圧送ポンプ(グラウトポンプ等)で供給する方法等を施工条件等に応じて適宜選択する。
表5に湿式吹付け機等で圧送する場合のビニロン繊維と砂との混合比率の例を示している。この場合、繊維を混合した砂の時間当たりの圧送量は地盤改良体の造成径と造成装置引き上げ速度及び目標とする繊維の混入率等から適切に設定する。
表6にロータリー式ポンプ等で圧送する場合のビニロン繊維と気泡との混合比率の例を示している。この場合、繊維を混合した気泡の時間当たりの圧送量は地盤改良体の造成径と造成装置引き上げ速度及び目標とする繊維の混入率等から適切に設定する。
以上説明したように、この繊維混入地盤改良体の造成方法では、上記施工試験及び品質確認試験からも明らかなように、地盤改良域に、流体噴射管、繊維供給管及び固化材噴射管を挿入するための管孔を掘削してから、地盤緩め工程で、管孔に流体噴射管を挿入し、流体を地盤改良域に向けて高圧噴射して地盤改良域の地盤を緩め、繊維圧入工程で、管孔に繊維供給管を挿入し、繊維を地盤改良域の地盤が緩められた範囲に圧入し、そして、撹拌混合工程で、管孔に流体噴射管を挿入し、固化材を地盤改良域に向けて高圧噴射して、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合し、これらの工程を通して、地盤改良域に繊維と固化材とを異なる供給経路で供給し、地盤改良域の地盤内で繊維と固化材を混合するようにしたので、繊維が管やノズルに詰まることがなく、また、繊維が地盤改良域外に押しやられたり管と管孔壁との間から排泥とともに流出したりするのを可及的に少なくしつつ、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合して、引張強度や靭性を向上させた品質の高い地盤改良体を造成することができ、併せて設計上で必要な地盤改良体の厚みや本数等地盤改良の範囲を減少させて、コストの削減、工期の短縮、余剰汚泥の排出量の低減を図ることができる。
この場合、水、固化材を含む流体を高圧で通す流体噴射管路、繊維を通す繊維供給管路、及び固化材を高圧で通す流体噴射管路を有する共通の造成管1を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程のすべての工程を同時並行的に行うので、コストのさらなる削減と工期のさらなる短縮を図ることができる。
また、この造成方法に用いる造成管1は、1本の連続する管体又は複数本の管が連接される管体からなり、管体内に水、固化材を含む流体を通す流体噴射管路10、繊維を通す繊維供給管路20、及び固化材を通す固化材噴射管路30を備える多重管式又は多孔式に構成され、管体の周面で下部側の所定の位置に上から順に、流体噴射管路10に連通し流体を高圧で噴射させるための流体噴射ノズル310、繊維供給管路20に連通し繊維を吐出するための繊維吐出口322、及び固化材噴射管路30に連通し固化材を高圧で噴射させるための固化材噴射ノズル332を備えているので、この造成管1を管孔P10内に挿入した後、この造成管1を回転方向に動かし徐々に引き上げながら、造成管1の下部側において上方位置の流体噴射ノズル310から水、固化材を含む流体を地盤改良域Pに向けて高圧噴射させ、中間位置の繊維吐出口322から繊維を地盤改良域Pに向けて吐出し、下方位置の固化材噴射ノズル332から固化材を地盤改良域Pに向けて高圧噴射させることで、地盤改良域Pの地盤を緩める工程、地盤が緩められた範囲に繊維を圧入する工程、固化材を地盤改良域に向けて高圧噴射して繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する工程の3工程をすべて同時並行的に行うことができ、コストのさらなる削減、工期のさらなる短縮を図ることができる。
この場合、管体の下端に切削刃を併せて備えることにより、この造成管1を用いて地盤改良域Pに管孔P10を掘削することができ、削孔工程から、地盤緩め工程、繊維圧入工程、及び撹拌混合工程をすべて1本の造成管1で行うことができる。
また、この造成方法は、水、固化材を含む流体を高圧で通す流体噴射管路、繊維を高圧で通す繊維供給管路を一体的に備える造成管を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程のうち、地盤緩め工程と繊維圧入工程の2工程、又は繊維圧入工程と撹拌混合工程の2工程を同時並行的に行ってもよい。
この場合、造成管は、一つの管体に流体噴射管路及び繊維供給管路を有する多重管又は多孔管として構成され、この管の周面の下部側に流体を噴射するための噴射ノズルと繊維を吐出するための吐出口が設けられる。
そして、この造成管の周面の下部側の所定の範囲において上方の位置に流体の噴射ノズルを設け、下方の位置に繊維の吐出口を設けることで、噴射ノズルから水、固化材を含む流体を噴射して地盤を緩めながら、この流体で緩められた地盤に向けて吐出口から繊維を吐出し圧入することができ、地盤緩め工程と繊維圧入工程の2工程を同時並行的に行うことができる。
また、この造成管の周面の下部側において上方の位置に繊維の吐出口を設け、下方の位置に流体の噴射ノズルを設けることで、水、固化材を含む流体で緩められた後の地盤に向けて吐出口から繊維を吐出し圧入しながら、この繊維が圧入された地盤に向けて噴射ノズルから固化材を噴射することができ、繊維圧入工程と撹拌混合工程の2工程を同時並行的に行うことができる。
図7にこのような流体噴射管路、繊維供給管路を有する造成管を用いて、繊維圧入工程と撹拌混合工程の2工程を同時並行的に行う施工例を示している。
この施工方法では、まず、図7(1)に示すように、造成管5で地盤を所定の深度まで削孔し、造成管5を地盤に挿入した後、図7(2)、(3)に示すように、造成管5の流体噴射管路に高圧水を通し、下端の噴射ノズルから高圧のジェット水を噴射させ、造成管5を回転しながら所定の深度まで引き上げて地盤を緩める。次に、造成管5を削孔下端まで下げ、図7(4)に示すように、造成管5の繊維供給管路に繊維を通し、下端の繊維の吐出口から繊維を吐出するとともに、造成管5の流体噴射管路に固化材(セメントミルク)を通し、下端の繊維の吐出口に対して下方の噴射ノズルから高圧で固化材をジェット噴射させる。なお、この場合、繊維を発泡機で製造した微細な気泡と事前に混合し、この繊維をグラウトポンプを用いて造成管5の内空断面積の大きな管路を通して吐出することが好ましい。そして、造成管5を回転しながら所定の深度まで引き上げて、繊維を地盤の緩み範囲に吐出して繊維を地盤に圧入するとともに、固化材を繊維が圧入された地盤に向けて噴射させ、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する。このようにして、図7(5)に示すように、地盤改良域に繊維を混入した地盤改良体を造成する。そして、固化材の高圧噴射を止め、造成管5を地上に引抜く。
この造成方法の結果、地盤改良域の地盤中に例えば円柱状の地盤改良体が造成され、地盤改良域全体に繊維が所定の均一の混合率で混合された品質の高い地盤改良体が得られる。
なお、この地盤改良体の形状は、造成管の動きや固化材の噴射圧を制御することによって、例えば、半円柱状、扇形柱状、矩形柱状等種々に変更可能である。この形状は地盤改良域及びその周囲の状況に応じて決定される。
(繊維混入地盤改良体の造成試験)
本願出願人は、このような造成方法について、造成管として既存の多孔管を利用し、この造成方法に基づく施工手順で地盤改良体の造成試験を行った結果、繊維が略均一に混入された地盤改良体を造成できることを確認した。
図8にこの試験に用いた既存の多孔管を示し、図9にこの多孔管を用いた施工例を示す。図8、図9に示すように、この多孔管5は、通常の地盤改良体の造成に使用される既存の多孔管で、大径の排泥排出管、高圧ジェット管、固化材管、圧縮空気管、地盤内圧力検出ケーブル管などを備える。この試験では、このような多孔管5を用い、この多孔管5の排泥排出管50(内径65mm)とこの排出管50の排泥吸引口51を繊維を圧送する繊維供給管路として利用する。
表7に繊維の仕様を示す。この試験では、繊維を発泡機で製造した微細な気泡と表6に示す配合で混合し、ロータリー式ポンプを用いて多孔管5の中の内空断面積の最も大きい管、すなわち排泥排出管50を通して、地盤内に圧入する。この繊維の圧入量は地盤改良体への繊維の混入量が施工完了時に体積比で0.5%となるようにする。
表8に固化材の配合を示す。
表9に地盤改良体の仕様を示す。
表10に主な施工仕様を示す。
図9に示すように、この造成試験では、まず、多孔管5で地盤を4mまで削孔し、図7に示す手順の要領で、多孔管5を毎分5回転で回転しながら20MPaの高圧のジェット水を噴出させて10分/mの速度で2m引き上げて地盤を緩めた。次に、多孔管5を削孔下端まで再び挿入し、この多孔管5を回転して繊維を圧入しながら2m引き上げた。そして再び多孔管5を削孔下端まで挿入し、多孔管5を回転しながら高圧で固化材(セメントミルク)を噴出させて2m引き上げて地盤改良体を造成し、高圧噴射を止めて多孔管5を引き抜いた。
施工完了後、約2週間の養生期間をおいて、図10に示すように、地盤改良体をコアボーリングして試料(直径5cm、長さ10cm)を採取し、材令31日又は32日で一軸圧縮試験及び圧裂試験を実施したところ、図11、図12に示すように、いずれもピーク後の急な強度低下が抑えられており、繊維混入による顕著な地盤補強効果が確認された。
以上説明したように、この繊維混入地盤改良体の造成方法では、上記施工試験及び品質確認試験からも明らかなように、地盤改良域に、造成管を挿入するための管孔を掘削してから、地盤緩め工程で、管孔に造成管を挿入し、流体を地盤改良域に向けて高圧噴射して地盤改良域の地盤を緩め、繊維圧入工程で、管孔に造成管を挿入し、繊維を地盤改良域の地盤が緩められた範囲に圧入し、そして、撹拌混合工程で、管孔に造成管を挿入し、固化材を地盤改良域に向けて高圧噴射して、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合し、これらの工程を通し、地盤改良域に繊維と固化材とを異なる供給経路で供給し、地盤改良域の地盤内で繊維と固化材を混合するようにしたので、繊維が管やノズルに詰まることがなく、また、繊維が地盤改良域外に押しやられたり管と管孔壁との間から排泥とともに流出したりするのを可及的に少なくしつつ、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合して、引張強度や靭性を向上させた品質の高い地盤改良体を造成することができ、併せて設計上で必要な地盤改良体の厚みや本数等地盤改良の範囲を減少させて、コストの削減、工期の短縮、余剰汚泥の排出量の低減を図ることができる。
この場合、繊維圧入工程で繊維を地盤改良域の地盤が緩められた範囲に圧入する前に、地盤緩め工程で水又は固化材の高圧噴射により増加した体積の泥土を管孔の外に予め排出するようにすることで、その後に圧入する繊維が排泥に混入して地上に排出される量が少なくなるので、使用する繊維を効率よく地盤改良体に残存させることができる。
また、この場合、流体噴射管及び繊維供給管をなす管路を一体的に備える多重管式又は多孔式の造成管を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程のうち、地盤緩め工程と繊維圧入工程の2工程、又は繊維圧入工程と撹拌混合工程の2工程を同時並行的に行うことで、コストのさらなる削減、工期のさらなる短縮を図ることができる。
以上、この実施の形態では、流体噴射管、繊維供給管、及び固化材噴射管をなす管路を一体的に備える多重管式又は多孔式の造成管を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程のすべての工程を同時並行的に行う場合、流体噴射管及び繊維供給管をなす管路を一体的に備える多重管式又は多孔式の造成管を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程のうち、地盤緩め工程と繊維圧入工程の2工程、又は繊維圧入工程と撹拌混合工程の2工程を同時並行的に行う場合、併せて、一般の地盤改良体の造成方法に使用する多孔管を用いた造成試験の結果を例示したが、この造成方法は、流体噴射管及び固化材噴射管を共通の管とし、この共通の管とこの管とは別の専用の繊維供給管を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程を順次行ってもよく、さらに、各別の流体噴射管、繊維供給管、固化材噴射管を用いて、地盤緩め工程、繊維圧入工程、撹拌混合工程を順次行ってもよい。
また、この実施の形態では、撹拌混合工程で、管孔に固化材噴射管を挿入し、固化材噴射管を回転方向に動かし引き抜きながら、固化材噴射管から固化材を地盤改良域に向けて高圧噴射することにより、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合するものとしたが、この撹拌混合工程を他の工程と別の工程で行う場合は、固化材噴射管を管孔に固化材噴射管を回転方向に動かしながら押し込み、固化材噴射管から固化材を地盤改良域に向けて高圧噴射することによって、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合するようにしてもよい。
このようにしても、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
P 地盤改良域
P1 繊維混入地盤改良体
P10 管孔
M 施工機
1 造成管
10 流体噴射管路
20 繊維供給管路
30 固化材噴射管路
2 多重管ロッド
211 水噴射路
212 圧縮空気噴射路
22 繊維供給路
23 固化材噴射路
3 造成装置
310 流体噴射ノズル
311 水噴射通路
3111 通路
3112 水噴射ノズル
312 圧縮空気噴射通路
3121 通路
3122 圧縮空気噴射口
32 繊維供給通路
321 通路
322 繊維吐出口
33 固化材噴射通路
331 通路
332 固化材噴射ノズル
4 スイベル
411 水供給路
4111 通路
4112 水導入口
412 圧縮空気供給路
4121 通路
4122 圧縮空気導入口
42 繊維供給路
421 通路
422 繊維導入口
43 固化材供給路
431 通路
432 固化材導入口
5 造成管
50 排泥排出管
51 排泥吸引口

Claims (7)

  1. 地盤改良域に、高圧噴射撹拌工法により、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合して、繊維混入地盤改良体を造成する繊維混入地盤改良体の造成方法において、
    中央に、繊維を通す繊維供給管を有し、前記繊維供給管の周囲に、固化材を通す固化材噴射管、水を含む流体を通す流体噴射管を有する多重管からなり、前記繊維供給管を前記他の噴射管よりも断面積の大きい管とする造成管を用い、
    地盤改良域に、前記造成管を挿入するための管孔を掘削した後、
    前記造成管を前記管孔に所定の深度まで挿入し、前記造成管を前記管孔内で回転方向に動かし徐々に引き上げながら、水を前記造成管の前記流体噴射管を通して前記管孔周囲の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域の地盤を下から上に向けて順次緩める地盤緩め工程、繊維を前記造成管中央の断面積の大きい前記繊維供給管を通して前記管孔周囲の地盤の緩み範囲に向けて吐出し、繊維を地盤の緩み範囲に下から上に向けて順次圧入する繊維圧入工程、及び固化材を前記造成管の前記固化材噴射管を通して前記管孔周囲の繊維圧入後の地盤に向けて高圧噴射し、地盤改良域の地盤を下から上に向けて順次撹拌し、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する撹拌混合工程を同時並行的に行う、
    ことを特徴とする繊維混入地盤改良体の造成方法。
  2. 繊維供給管に通す繊維を砂等の粉粒体、又は流動性の高い流体や気泡等と混合して圧送する請求項1に記載の繊維混入地盤改良体の造成方法。
  3. 造成管の回転角度又は固化材の噴射圧を制御することにより、繊維混入地盤改良体の形状を円柱状又は半円柱状又は扇形柱状又は矩形柱状に造成する請求項1又は2に記載の繊維混入地盤改良体の造成方法。
  4. 中央に、繊維を通す繊維供給管、前記繊維供給管の周囲に、固化材を通す固化材噴射管、水を含む流体を通す流体噴射管を有し、前記繊維供給管を前記他の噴射管よりも断面積の大きい管とする多重管からなり、
    前記多重管の最も外側の外周面で下部側の所定の位置に、上から順に、前記流体噴射管に連通し、流体を高圧で噴射させるための流体噴射ノズル、前記繊維供給管に連通し、繊維を吐出するための繊維吐出口、及び前記固化材噴射管に連通し、固化材を高圧で噴射させるための固化材噴射ノズルを有する、
    ことを特徴とする造成管。
  5. 多重管は、多重管ロッドと、前記多重管ロッドの下端に連接される多重管からなる造成装置と、前記多重管ロッドの上部に連接される多重管からなるスイベルとを備えて構成される請求項4に記載の造成管。
  6. 多重管は4重管からなり、中央に繊維を通す繊維供給管、前記繊維供給管の外側に固化材を通す固化材噴射管、前記固化材噴射管の外側に水を通す水噴射管、前記水噴射管の外側に圧縮空気を通す圧縮空気噴射管を備える請求項4又は5に記載の造成管。
  7. 多重管の下端に切削刃を併せて備える請求項4乃至のいずれかに記載の造成管。
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