JP5758702B2 - 地盤改良体の造成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤改良体の造成方法に関し、特に、砂地盤や粘性土地盤などの軟弱地盤に、高圧噴射撹拌工法により、繊維、セメントミルク等の固化材、地盤を撹拌混合して、地盤改良体を造成する地盤改良体の造成方法に関する。
従来、砂地盤や粘性土地盤などの軟弱地盤を改良する方法のうち、繊維を混合した地盤改良体の造成方法として、機械式撹拌工法や高圧噴射撹拌工法が知られている。機械式撹拌工法は、アースオーガーなどの大型の機械を用い、撹拌翼を有するロッドを軟弱地盤中に貫入しながら、ロッドの先端からセメントミルク等の固化材を噴出させて、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合し、地盤中に靭性の高い地盤改良体を造成して、地盤の安定化を図るもので、この種の工法が例えば特許文献1などにより提案されている。これに対して、高圧噴射撹拌工法は、地盤中に多重管ロッドを挿入し、このロッドを回転又は揺動させながら引き上げつつ、このロッドを通して送入した繊維を混入したセメントミルク等の固化材を先端(多重管ロッドの下端)の噴射ノズルから高圧噴射して、繊維、セメントミルク等の固化材、地盤を撹拌混合し、地盤中に円柱状又は扇形柱状の靭性の高い地盤改良体を造成して、地盤を安定化するもので、この種の工法が例えば特許文献2などにより提案されている。この高圧噴射撹拌工法は、機械式撹拌工法に比べて、小型でコンパクトな機械を使用できるので、機械式撹拌工法では施工が困難な又は不可能な狭い作業ヤードや空頭制限のある場所でも施工ができる点で、大きなメリットがある。
特開2008−127863号公報 特許第3794913号公報
しかしながら、従来の繊維を用いた高圧噴射撹拌工法では、繊維をセメントミルク等の固化材に混入し、このセメントミルク等の固化材を、多重管ロッドに通し、先端の噴射ノズルから直接噴射するため、繊維が多重管ロッドや噴射ノズルに詰まったり、また、繊維が地盤改良域外に押しやられたり多重管ロッドと孔壁との間から排泥とともに流出したりすることが多く、また、施工中は地盤改良域内での繊維の混合状態を確認することができないことから、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合することが難しく、品質の高い地盤改良体を得難い、という問題がある。
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の地盤改良体の造成方法において、繊維をセメントミルク等の固化材に混入しない新たな手法で、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合し、繊維がロッドや噴射ノズルに詰まることがなく、また、繊維が地盤改良域外に押しやられたりロッドと孔壁との間から排泥とともに流出したりするのを可及的に少なくしつつ、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合することのできる品質の高い地盤改良体を造成すること、を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、地盤改良域に、高圧噴射撹拌工法により、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合して、地盤改良体を造成する地盤改良体の造成方法において、地盤改良域に、高圧噴射撹拌工法による噴射ノズルを有するロッドを挿入するためのロッド挿入孔と繊維を投入するための繊維投入孔各別に掘削し、前記繊維投入孔に前記繊維を埋設又は定置して、前記ロッド挿入孔に前記ロッドを挿入し記噴射ノズルにより前記セメントミルク等の固化材を地盤中に前記繊維投入孔に向けて高圧噴射することにより、前記繊維、前記セメントミルク等の固化材、前記原地盤を撹拌混合する、ことを要旨とする。
この場合、繊維投入孔をロッド挿入孔の周囲に複数個所掘削することが好ましい。
また、繊維投入孔をロッド挿入孔に対して離間して掘削することが好ましい。
さらに、噴射ノズルによりセメントミルク等の固化材を噴射して、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合する間に、ノズル挿入孔内の排泥を適宜吸引し、当該ノズル挿入孔外に引き上げることが好ましい。
なお、ここで使用した「埋設」は繊維投入孔に繊維を投入した後、繊維投入孔を埋め戻して、繊維投入孔内に繊維を埋め込むことをいい、「定置」は繊維投入孔に繊維を投入し、繊維投入孔内に繊維を入れたままにする(繊維投入孔の埋戻しはしない)ことをいう。
本発明の地盤改良体の造成方法では、上記のとおり、地盤改良域に、高圧噴射撹拌工法による噴射ノズルを有するロッドを挿入するためのロッド挿入孔と繊維を投入するための繊維投入孔各別に掘削し、繊維投入孔に繊維を埋設又は定置して、ロッド挿入孔に挿入したロッドの噴射ノズルにより、セメントミルク等の固化材を地盤中に繊維投入孔に向けて高圧噴射することにより、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合するものとし、繊維をセメントミルク等の固化材に混入しないので、従来のように、セメントミルク等の固化材を通すロッドやセメントミルク等の固化材を高圧噴射する噴射ノズルに繊維が詰まることがなく、また、噴射ノズルのセメントミルク等の固化材の噴射地点から繊維投入孔内の繊維までに所定の距離があるので、これに応じて、セメントミルク等の固化材の噴射圧を調整することで、従来のように、繊維が地盤改良域外に押しやられたりロッドと孔壁との間から排泥とともに流出したりするのを可及的に少なくして、地盤改良域に繊維を所定の混合率で混合することのできる品質の高い地盤改良体を造成することができる、という効果を奏する。
本発明による地盤改良体の造成方法のイメージを示す図 同方法の施工試験の概要を示す図 同方法の施工試験の施工条件を示す図 同方法の施工試験における購入砂の粒度分布を示す図 同方法の施工試験における繊維混合ソイルセメントの一軸圧縮試験結果例を示す図 同方法の施工試験における改良体の出来型を示す図 同方法の施工試験における繊維混合率(体積比)と強熱減量測定結果の関係を示す図 同方法の施工試験における繊維混合率(体積比)の推定値のコンターを示す図 同方法の施工試験の概要を示す図 同方法の施工試験における繊維混合率(体積比)の推定値のコンターを示す図 同方法の施工試験における乾燥密度・一軸圧縮強度・変形係数のコンターを示す図 同方法の施工試験における繊維混合率(体積比)と一軸圧縮強度の関係を示す図 同方法の施工試験における繊維混合率(体積比)と変形係数の関係を示す図 同方法の施工試験における平均的な応力−ひずみ関係を示す図 同方法の施工試験における排泥に含まれる繊維混合率(体積比)の推定結果を示す図
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1に地盤改良体の造成方法のイメージを示している。図1に示すように、この地盤改良体の造成方法は、砂地盤や粘性土地盤などの軟弱地盤の地盤改良域Pに、高圧噴射撹拌工法により、繊維、セメントミルク等の固化材、原地盤を撹拌混合して、地盤改良体を造成する工法であるが、この工法では、一般に知られている高圧噴射撹拌工法のように、繊維をセメントミルク等の固化材に混入して、この繊維を含有するセメントミルク等の固化材を地盤中に挿入する多重管ロッド1下端側の噴射ノズル2から直接高圧噴射する方式を採らず、地盤改良域Pに、多重管ロッド1を挿入するためのロッド挿入孔11と、これとは別に、繊維を投入するための繊維投入孔12を掘削し、この繊維投入孔12に繊維3を埋設又は定置して、ロッド挿入孔11に挿入した多重管ロッド1の噴射ノズル2より、セメントミルク等の固化材4を地盤中に繊維投入孔12に向けて高圧噴射することにより、繊維3、セメントミルク等の固化材4、原地盤5を撹拌混合するものとする。
この地盤改良体の造成方法は、上記の記載から明らかなように、地盤改良域Pに、ロッド挿入孔11と、これとは別に、繊維投入孔12を掘削する掘削工程と、繊維投入孔12に繊維3を投入する繊維投入工程と、高圧噴射撹拌工法により、ロッド挿入孔11に多重管ロッド1を挿入し、噴射ノズル2からセメントミルク等の固化材4を噴射する固化材噴射工程とに分けられる。
削孔工程では、図1(1)に示すように、地盤改良域Pに、多重管ロッド1を挿入するためのロッド挿入孔11(図1(2)参照)と、繊維3を投入するための繊維投入孔12とを各別に所定の深度まで掘削する。
この場合、ロッド挿入孔11、繊維投入孔12のいずれも、削孔方法は特に限定されない。ロッド挿入孔11は、ボーリングマシンなどの削孔機によってあらかじめ(ロッド挿入孔11に多重管ロッド1を挿入し、噴射ノズル2からセメントミルク等の固化材4を高圧噴射する前に)削孔してもよく、ケーシング掘りにしてから建て込みケーシング管を引き抜く方法で事前(ロッド挿入孔11に多重管ロッド1を挿入し、噴射ノズル2からセメントミルク等の固化材4を高圧噴射する前)に削孔してもよく、また、このロッド挿入孔11を自穿孔型とし、ロッド挿入孔11の掘削とともに多重管ロッド1を地盤中に挿入するようにしてもよい。一方、繊維投入孔12は、あらかじめ(ロッド挿入孔11に多重管ロッド1を挿入し、噴射ノズル2からセメントミルク等の固化材4を高圧噴射する前に)、ボーリングマシンなどの削孔機によって削孔する方法、又はケーシング掘りにしてから建て込みケーシング管を引き抜く方法などにより削孔しておく。
また、この削孔においては、繊維投入孔12をロッド挿入孔11の周囲の複数個所にロッド挿入孔11に対して所定の距離だけ離間して掘削することとする。なお、地盤中に円柱状の地盤改良体を造成する場合は、複数の繊維投入孔12をロッド挿入孔11の周囲に略円形の配列で形成すればよく、地盤中に扇形柱状の地盤改良体を造成する場合は、複数の繊維投入孔12をロッド挿入孔11の周囲に略円弧状の配列で形成すればよい。
繊維投入工程では、図1(1)に示すように、次の固化材噴射工程に入る前に、繊維投入孔12に所定量の繊維3を所定の厚さ(地盤中の地盤改良体Pの深度に相当)まで投入して、埋設又は定置する。また、この場合、繊維投入孔12に入れる繊維3を所定の大きさの塊り(ブロック)として形成し、この繊維ブロックを繊維投入孔12に投入してもよい。この繊維3の投入方法は特に限定されない。
なお、ここで「埋設」は繊維投入孔12に繊維3を投入した後、繊維投入孔12を埋め戻して、繊維投入孔12内に繊維を埋め込むことをいう。「定置」は繊維投入孔12に繊維3を投入し、繊維投入孔12内に繊維3を入れたままにする(繊維投入孔12の埋戻しはしない)ことをいう。
固化材噴射工程では、図1(2)に示すように、地盤中に掘削したロッド挿入孔11に多重管ロッド1を挿入し、このロッド1を回転又は揺動させながら引き上げつつ、このロッド1を通して送入したセメントミルク等の固化材4を、先端(多重管ロッド1の下端)の噴射ノズル2から、地盤中に、事前に繊維3を埋設又は定置した繊維投入孔12に向けて高圧噴射して、繊維3、セメントミルク等の固化材4、原地盤5を撹拌混合し、地盤中に地盤改良体P1を造成する。
この場合、多重管ロッド1の基端部にセメントミルク等の固化材を圧送するための圧送ホース及び圧縮エアを圧送するための圧送ホースをそれぞれ接続し、先端部にセメントミルク等の固化材を高圧噴射するための噴射ノズルを取り付ける。なお、噴射ノズル2には、(1)セメントミルク等の固化材の噴射口を一側方に向けて有するもの、(2)セメントミルク等の固化材の噴射口を軸芯を挟んで相互に対称位置の二側方(180度反対方向)に向けて有するもの、(3)セメントミルク等の固化材の噴射口を相互に対称位置の二側方でかつ高さ位置が異なる段違いのものなどがある。そして、この多重管ロッド1を、ボーリングマシンなどの削孔機を用いて、地盤改良域Pの地盤中に所定の深度まで挿入し、軸回りに回転(又は揺動)させながら、この多重管ロッド1を通して送入したセメントミルク等の固化材4を先端の噴射ノズル2から噴射ノズル2周囲の地盤中に、ロッド挿入孔11の回りに略円形(又は略円弧状)に配列して形成され、事前に繊維3を埋設又は定置した繊維投入孔12に向けて高圧噴射して、繊維3、セメントミルク等の固化材4、原地盤5を撹拌混合する。この場合、既述のとおり、繊維3を混入していないセメントミルク等の固化材4を多重管ロッド1に通し、噴射ノズル2から高圧噴射するので、多重管ロッド1や噴射ノズル2に繊維3が詰まることがなく、セメントミルク等の固化材4は円滑に高圧噴射され、このセメントミルク等の固化材4が地盤中の所定の深度の層を原地盤5を崩し撹拌しながら確実に進行する。また、この場合、噴射ノズル2のセメントミルク等の固化材4の噴射地点から繊維投入孔12内の繊維3までに所定の距離があり、これに応じて、セメントミルク等の固化材4の噴射圧を調整し高圧噴射するので、セメントミルク等の固化材4が適度の噴射圧で所定の深度の層を進行して、各繊維投入孔12から繊維3を外側方向に所定の範囲全域に亘り所定の混合率で拡散し、繊維3、セメントミルク等の固化材4、原地盤5が撹拌混合される。
また、この噴射ノズル2によりセメントミルク等の固化材4を噴射して、繊維3、セメントミルク等の固化材4、原地盤5を撹拌混合する間に、併せてバキューム装置などを使い、ノズル挿入孔11内の排泥を適宜吸引し、当該ノズル挿入孔11外に引き上げることが好ましい。これにより、セメントミルク等の固化材4の高圧噴射に伴って多重管ロッド1とロッド挿入孔11の孔壁との間から流出される排泥の排出量が大きく低減され、また、セメントミルク等の固化材4の高圧噴射によって上昇するロッド挿入孔11内の内部圧力が低下され、繊維投入孔12に繊維3を定置した場合に内部圧力の上昇によって繊維投入孔12内の繊維3が地上に噴き上げられるのを防止される。
このようなセメントミルク等の固化材4の高圧噴射作業を、多重管ロッド1を所定の高さ寸法ずつ段階的に引き上げながら、地盤改良域Pの所定の厚さ(深度)に亘って繰り返し行う。
このような工法の結果、図1(3)に示すように、地盤改良域Pの地盤中に円柱状(又は扇形柱状)の地盤改良体P1が造成され、地盤改良域P全体に繊維3が所定の混合率で混合された品質の高い地盤改良体P1が得られる。
本願出願人は以上の地盤改良体の造成方法について施工試験を行った。この施工試験の概要、地盤改良体の出来形確認結果及び繊維混合エリア内の繊維の混合状況は次のとおりである。
(1)施工試験の概要
図2に施工試験の概要を示し、施工条件を図3に整理した。施工試験は購入砂による模擬地盤を対象に行った。模擬地盤は、比較的地下水が高く粘性土が主体の原地盤を1.5m程度掘削し、図3に示すような物理条件の砂層を1m程度転圧して造成した。初期含水比や密度条件は施工前にシンウォールサンプリングを行って計測した。最大・最小密度試験によって換算した模擬地盤の相対密度は56〜85%程度であった。図4に購入砂の粒度分布を示す。
高圧噴射撹拌に混合したのはビニロン繊維(長さ10mm・直径16μm)で、改良エリア内が所定の混合率となるように、噴射ロッドから0.5m程度離れた位置に事前に購入砂と混合した状態で埋設した。繊維の混合率は、これまでに実施した室内試験結果や短繊維混合補強土工法技術マニュアル(繊維の混合率は乾燥質量比で0.1〜数%の範囲を推奨している。)などを参考に、体積比0.5%(0.5vol%)に設定した。なお、地中に噴射したグラウト(セメントミルク)と等量の排泥が発生し、その排泥中にも改良域と同じ割合の繊維が混合すると想定して埋設繊維量を決めた。
参考までに、シルト質粘性土のセメント安定処理土に対してビニロン繊維を最大2vol%まで配合した既往の室内試験結果の例を図5に示す。繊維混合率が0.6vol%までは一軸圧縮強度や変形係数(グラフの傾き)が増加し、繊維混合による高強度化・高剛性化の傾向が表れている。それを超える繊維混合率になると強度が低下するが、靭性は大幅に向上している。なお、軸ひずみが2%以上の残留強度は、繊維混合率が0.6〜2.0vol%ではほぼ同等である。
高圧噴射撹拌は角度60°の揺動施工(反復施工)によって、厚さ50cmの比較的薄い改良体を造成した。グラウトには高炉セメントB種とメラニン系混和剤を使用し、水セメント比は100%とした。なお、揺動施工の片側60°には、繊維を混合しない通常の改良体を造成し、施工後にコア採取などを行って繊維混合地盤改良による強度改善効果を確認する計画とした(図2参照)
(2)改良体の出来形確認及び一軸圧縮試験
施工後1週間程度の養生期間を経た後、改良体の出来形確認を行った。図6に改良体円周方向の出来形(目標厚50cm)及び繊維混合エリアの改良体の写真を示すが、繊維混合エリアについても所定の寸法が確保されており、噴射距離2mの地点においても改良体内への繊維混入を目視確認した。また、噴射距離2m程度までを対象に図2に示す位置でコア採取を行い、品質確認試験として実施した室内試験に供した。コア採取率は繊維の有無に関わらずほぼ100%を満足した。
また、室内で所定の繊維量を配合した試料の強熱減量試験結果(図7)を用いて、繊維ありエリア内のサンプリングコア内の繊維混合率(体積比)を推定した。図8に繊維混合率(体積比)の推定値のコンター(センターラインの縦断面)を示すが、噴射ロッド近傍1m程度の範囲かつ改良体厚の中間位置において比較的高い混合率であることが推定された。
(3)まとめ
高圧噴射撹拌による繊維混合改良体を施工試験により造成したところ、繊維混合エリアについても噴射距離2m程度までは所定の厚さの改良体が造成できており、距離1.5m程度までは繊維混合できていることを確認できた。
また、本願出願人は、上記の施工試験で得られたサンプリングコアに対して強度特性に着目した品質確認試験を行った。
(1)改良体の品質確認
高圧噴射撹拌工法を用いて造成した繊維混合地盤改良体に対して、強度試験に着目した品質確認試験を実施した。図9の改良体平面図に示すように、噴射距離2.0mまでを対象に0.5m毎のコアサンプリングを実施し、試験に供した。品質確認試験として、28日間湿潤養生したコア供試体に対して一軸圧縮試験(繊維なし:8本、繊維あり:25本)を実施した。なお、繊維ありエリアは図10のような繊維混合率(体積比)を示していることが推定されている。
図11に一軸圧縮試験結果の空間分布を示す。繊維ありエリアは繊維なしエリアに比べて図9の繊維混合量に応じて一軸圧縮強度や変形係数が高く分布される傾向にあり、1.5m程度の範囲内で繊維混合による強度特性の向上が見られる。図12に繊維混合率(体積比)と一軸圧縮強度との関係を、図13に繊維混合率(体積比)と変形係数との関係を示すが、今回の施工試験では最大1.5vol%程度までの繊維混合が確認され、強度特性は繊維量とほぼ線形的な増加関係にあり、繊維混合の有意性(一軸圧縮強度:最大約2倍、変形係数:最大約4倍)が確認された。図14には各コアの繊維量を目安に0.3vol%毎の5グループに分類し、それぞれの平均的な応力−ひずみ関係を描いたが、繊維混合による高強度化・高剛性化が明確に現れている。ただし、図11に示すように、繊維混合量が多いと推定されたエリアでは、乾燥密度も比較的大きくなっているため、セメント混合量も多い可能性がある。したがって、図12、図13の結果には繊維とセメントの混合量の両方の効果が含まれている可能性があることにも十分留意する必要がある。
排泥に含まれる繊維量についても推定した。排泥は比較的均質な混合条件であると仮定し、繊維なしエリアの排泥に所定量の繊維を混合した強度試験結果を用いて、繊維ありエリアの排泥の強度と比較して推定した。排泥は噴射初期と噴射終了時の2種類を採取した。図15に推定結果を示すが、噴射終了時には設計した繊維混合率(体積比)と同じ0.5vol%程度の繊維が排泥中にも含まれていたことが示唆された。
(2)まとめ
高圧噴射撹拌による繊維混合改良の施工試験によって、噴射距離1.5m程度までは繊維混合できており、強度試験から繊維混合による高強度化・高剛性化、引張強度の改善が示された。また、噴射撹拌で使用する際には排泥中にも設計繊維量と等量の繊維が混合されることも示唆された。
以上説明した地盤改良体の造成方法では、上記施工試験及び品質確認試験から明らかなように、地盤改良域Pに、高圧噴射撹拌工法による噴射ノズル2を有する多重管ロッド1を挿入するためのロッド挿入孔11とは別に、繊維3を投入するための繊維投入孔12を当該ロッド挿入孔11の周囲の複数個所に当該ロッド挿入孔11に対して所定の距離だけ離間して掘削し、この繊維投入孔12に繊維3を埋設又は定置して、ロッド挿入孔11に挿入した多重管ロッド1の噴射ノズル2により、セメントミルク等の固化材4を地盤中に事前に繊維3を入れた繊維投入孔12に向けて高圧噴射することにより、繊維3、セメントミルク等の固化材4、原地盤5を撹拌混合するものとし、繊維3をセメントミルク等の固化材4に混入しないので、従来のように、セメントミルク等の固化材4を通す多重管ロッド1やセメントミルク等の固化材4を高圧噴射する噴射ノズル2に繊維3が詰まることがなく、セメントミルク等の固化材4を円滑に高圧噴射することができ、また、噴射ノズル2のセメントミルク等の固化材4の噴射地点から繊維投入孔12内の繊維3までに所定の距離があるので、これに応じて、セメントミルク等の固化材4の噴射圧を調整することで、従来のように、繊維3が地盤改良域P外に押しやられたり多重管ロッド1と孔壁との間から排泥とともに流出したりするのを可及的に少なくして、地盤改良域Pに繊維3を所定の混合率で混合する品質の高い地盤改良体P1を造成することができる。
また、この方法では、噴射ノズル2によりセメントミルク等の固化材4を噴射して、繊維3、セメントミルク等の固化材4、原地盤5を撹拌混合する間に、併せてバキューム装置などを使い、ノズル挿入孔11内の排泥を適宜吸引し、当該ノズル挿入孔11外に引き上げるので、セメントミルク等の固化材4の高圧噴射に伴って多重管ロッド1とロッド挿入孔11の孔壁との間から流出する排泥の排出量を大きく低減することができ、また、セメントミルク等の固化材4の高圧噴射によって上昇するロッド挿入孔11内の内部圧力を低下して、繊維投入孔12に繊維3を定置した場合に内部圧力の上昇によって繊維投入孔12内の繊維3が地上に噴き上げられるのを防止することができる。
P 地盤改良域
P1 地盤改良体
1 多重管ロッド
2 噴射ノズル
3 繊維
4 セメントミルク等の固化材
5 原地盤
11 ロッド挿入孔
12 繊維投入孔

Claims (4)

  1. 地盤改良域に、高圧噴射撹拌工法により、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合して、地盤改良体を造成する地盤改良体の造成方法において、
    地盤改良域に、高圧噴射撹拌工法による噴射ノズルを有するロッドを挿入するためのロッド挿入孔と繊維を投入するための繊維投入孔各別に掘削し、
    前記繊維投入孔に前記繊維を埋設又は定置して、
    前記ロッド挿入孔に前記ロッドを挿入し記噴射ノズルにより前記固化材を地盤中に前記繊維投入孔に向けて高圧噴射することにより、前記繊維、前記固化材、前記原地盤を撹拌混合する、
    ことを特徴とする地盤改良体の造成方法。
  2. 繊維投入孔をロッド挿入孔の周囲に複数個所掘削する請求項1に記載の地盤改良体の造成方法。
  3. 繊維投入孔をロッド挿入孔に対して離間して掘削する請求項1又は2に記載の地盤改良体の造成方法。
  4. 噴射ノズルにより固化材を噴射して、繊維、固化材、原地盤を撹拌混合する間に、ノズル挿入孔内の排泥を適宜吸引し、当該ノズル挿入孔外に引き上げる請求項1乃至3のいずれかに記載の地盤改良体の造成方法。
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