JP3737016B2 - 混合攪拌による地盤改良工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、深層混合処理工法などの混合攪拌による地盤の改良工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟弱地盤の改良方法には,種々の工法が開発され,実用に供用されている。このような地盤改良の一種として、セメントや石灰などのセメント系固化材を改良対象地盤にスラリーとして供給し、攪拌翼などにより、原位置で地盤土砂と固化材とを機械的に混合攪拌して、軟弱土を固化させて、地盤中に所定形状の改良体を造成する深層混合処理工法が知られている。
【0003】
このような地盤改良工法において、地盤中に造成される改良体の強度特性は、現地盤の土質性状に大きく依存することも知られている。一般に、砂〜砂質シルト〜シルト〜粘土〜関東ローム〜有機質土の順に強度発現が小さくなる傾向が認められる。
【0004】
ところで、深層混合処理工法で造成される改良体の強度は、土質の違いによる差が大きく、現位置土を排出,置換する高圧噴射攪拌工法に比べて、1/5〜1/10程度と低い値になっており、さらに強度を高くしようとする場合に、以下に説明するような技術的な課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、深層混合処理工法により、腐植土などの有機質土を除く砂,シルト,粘土,関東ロームにおいて高い強度発現を実現しようとすると、例えば、セメントやセメント系固化材の添加量を多くすることが考えられるが、固化材の量を多くすると、スラリーの粘性が増加して、施工性が悪化し、場合によっては、混合攪拌が困難になったり、所定の混練ができないため、強度発現が不十分で、しかも不均一となるという別の問題が発生する。
【0006】
このため、従来の深層混合処理工法においては、使用する固化材量を1.0KN〜3.0KN/m3とし、かつ、ワーカビリティー確保のために水セメント比を60〜120%程度としていた。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、施工性の低下を回避しつつ、従来低強度の改良効果しか確保できなかった地層に対して、十分な改良効果を確保することができる混合攪拌による地盤改良工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、現地盤土砂と、セメントなどの固化材を含むスラリーとを現位置で混合攪拌して、地盤中で前記現地盤土砂を前記スラリーにより固化させて、所定形状の改良体を造成する地盤改良工法において、前記スラリーは、水セメント比が60%未満であって、粘性低減剤を0.05〜0.10KN/m 3 添加し、かつ、前記固化材を単位体積当たり4KN以上添加するようにした。
このように構成した混合攪拌による地盤改良工法によれば、スラリーの水セメント比を60%未満にするとともに、かつ、固化材を単位体積当たり4KN以上添加するので、地盤中に造成される改良体の強度は、高圧噴射攪拌工法に比べても大きくなる。
この場合、スラリーの水セメント比を60%未満にすると、スラリーの粘性が大きくなって施工性の低下が懸念されるが、本発明では、スラリーに粘性低減材を0.05〜0.10KN/m 3 添加するので、固化材の増加に伴なう、粘性増加による施工性の低下を回避することができる。
前記スラリーの水セメント比は、より具体的には、60%未満の40%に設定することができる。
前記粘性低減剤は、後述する図4に示すように、放置時間が1時間前後において、前記スラリーの粘性が2000CP以下になるようにその添加量を設定することができる。
この構成によれば、スラリーの水セメント比が40%程度であっても、水セメント比を60%以上とする従来工法と同等の施工性を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明にかかる混合攪拌による地盤改良工法の一実施例を示している。
【0010】
同図に示した地盤改良工法は、本発明を深層混合処理工法に適用した場合を例示している。深層混合処理工法により地盤10の改良を行う際には、先端側に攪拌混合翼28が設けられた攪拌軸30を備えた地盤改良装置32が用いられる。
【0011】
攪拌軸30は、リーダ34に上下移動自在に支持される駆動機構部36に装着されているとともに、内部にセメントを含むスラリーの供給通路が設けられている。改良体20を造成する際には、まず、図1(A)に示すように、攪拌軸30の位置決めが行われる。
【0012】
攪拌軸30が位置決めされ、その鉛直度が確認されると、攪拌軸30を回転させながら、攪拌軸30を地盤改良をする深度まで貫入させる(図1(B)参照)。
【0013】
この攪拌軸30の貫入の際には、固化材は、噴射させないが、圧縮空気を攪拌混合翼28に設けられている噴射口から噴射させて、噴射口の詰まりを防ぐ。そして、攪拌軸30が改良深度まで到達すると、攪拌軸30の貫入を終了させて、引き抜き始める(図1(C),(D)参照)。
【0014】
この攪拌軸30の引き抜きの際には、攪拌混合翼28を回転させながら、地盤10中にセメントなどの固化材を含むスラリーを噴射供給し、現地盤土砂とスラリーとを混合攪拌する。
【0015】
そして、現地盤土砂に混合攪拌されたスラリーに含まれている固化材が時間の経過と共に固化すると、現地盤土砂を固化させた柱状の改良体20が造成される(図1(D)参照)。
【0016】
なお、深層混合処理工法には、攪拌軸30の貫入時に固化材を噴射するタイプと、引き上げ時に噴射するタイプとがあり、本実施例では、後者を例示したが、前者のタイプであっても何ら問題はない。
【0017】
以上のような深層混合処理工法としての基本的な構成は、従来のこの種の工法と同じであるが、本実施例の工法には、以下の点に顕著な特徴がある。すなわち、本実施例の場合には、現地盤土砂と混合攪拌させるセメントなどの固化材を含むスラリーは、水セメント比が60%未満になっているとともに、粘性低減剤が添加され、かつ、固化材を単位体積当たり4KN以上添加している。
【0018】
このような構成のスラリーを用いると、水セメント比を60%未満にするので、水分量が同じであれば、添加するセメントやセメント系固化材の量が多くなり、その結果、地盤中に造成される改良体20の強度が大きくなる。
【0019】
この場合、スラリーの水セメント比を60%未満にすると、スラリーの粘性が大きくなって施工性の低下が懸念されるが、本実施例では、スラリーに粘性低減剤を添加するので、粘性増加に伴なう施工性の低下を回避することができる。
【0020】
粘性低減剤は、例えば、スラリーの粘性が、放置時間1時間前後において、2000CP以下になるようにその添加量を設定することができ、この粘性値は、スラリーの水セメント比を60〜120%とする従来工法と同等の施工性に相当している。
【0021】
図2〜図4は、本発明の作用効果を確認するために行なった実験の結果を示している。図2および図3は、本発明にかかる水セメント比が40%以下のスラリーを用いた場合の改良体の強度試験の結果を示しており、図2が材齢28日で、図3が材齢90日一軸圧縮強度の測定結果である。
【0022】
改良体の強度試験では、固化材として、▲1▼.JIS R5210普通ポルトランドセメント(Nと称する)、▲2▼.JIS R5211高炉セメントB種(BBと称する)、▲3▼.セメント系固化材1(住友大阪セメント株式会社製、タフロックB、商品名、TLBと称する)、▲4▼.セメント系固化材2(太平洋セメント株式会社製、ジオセット23、商品名、GS23と称する)、▲5▼.セメント系固化材3(太平洋セメント株式会社製、ジオセット新、商品名、GS新と称する)、▲6▼.セメント系固化材4(宇部三菱セメント株式会社製、ユースタビラー30、商品名、US30と称する)、▲7▼.セメント系固化材5(太平洋セメント株式会社製、ジオセットA、商品名、GSAと称する)、▲8▼.セメント系固化材6(太平洋セメント株式会社製、ジオセットB、商品名、GSBと称する)の8種類を準備した。
【0023】
なお、本実施例でセメント系固化材と示称しているものは、セメントと、スラグ,フライアッシュなどのポゾラン物質と、硫酸,塩化カルシウムなどの無機質化合物とを含むこれらの混合物の総称である。
【0024】
現地盤土砂に対応させた土質材は、▲1▼.砂、▲2▼.シルト、▲3▼.粘土、▲4▼.ロームの4種類を準備した。
【0025】
各固化材の添加量は、5.0KN/m3とし、水セメント比は、40%になるようにした。そして、スラリーに18Nの粘性低減剤(プロトパウダー、三菱レイヨン株式会社製、商品名)を添加した。
【0026】
供試体の作製は、JGS T821「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」に準拠し、強度試験は、JIS A1216「土の一軸圧縮試験方法」に準拠して行なった。
【0027】
図2,3に示した強度試験結果から明らかなように、改良すべき土質がロームを除いて、砂,シルト,粘土のそれぞれに対して、固化材を選択することにより、10N/mm2以上の一軸圧縮強度が得られることが確認された。
【0028】
この一軸圧縮強度の大きさは、従来の深層混合処理工法では、陸上施工で0.1〜0.4N/mm2、海上施工で0.5〜2.5N/mm2となっていた設計基準強度の2倍以上の値であり、また、高圧噴射攪拌工法での設計強度基準、砂質土の1.0〜3.0N/mm2、粘性土の1.0N/mm2よりも、いずれも大きな値になることが確認された。
【0029】
図4は、本発明のセメントなどの固化材を含むスラリーに、粘性低減剤を添加した場合の粘性の経時的な変化を測定した際の測定結果を示している。この粘性試験では、粘性低減剤として、プロトパウダー(三菱レイヨン株式会社製、商品名)を使用した。
【0030】
スラリ−の固化材として普通ポルトランドセメントを用い、水セメント比を40%に設定した。粘性低減剤の添加量は、以下の表に示すように設定した。また、この粘性試験では、比較のために、粘性低減剤を添加しないスラリーの粘度も合わせて測定した。
【0031】
【表1】
【0032】
各スラリーは、セメントミキサーを用いて、表1に示した配合で作製し、攪拌時間は3分とした。そして、時間の経過に従って、B型粘度計で粘度を測定した。
【0033】
図4は、粘性低減剤にプロトパウダーを用いた場合の粘性試験の結果を示している。図4に示した結果から、明らかなように、プロトパウダーを0.05〜0.10KN/m3の範囲内で添加すると、水セメント比が40%であっても、放置時間1時間前後において、スラリーの粘度が約2000CP程度になることが判った。
【0034】
この約2000CP程度の粘度は、図4に示した、粘性低減剤を添加しない水セメント比が60%のスラリーと同等であり、従来の深層混合処理工法の室内配合試験標準仕様で、水セメント比が60から120%に設定されている範囲内にも合致しており、粘度を約2000CP程度にすると、水セメント比を60%にした場合と同等の施工性を確保することができることが確認された。
【0035】
なお、上記実施例では、地盤10中に柱状の改良体20を造成する場合を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、柱状の改良体20を隣接造成することなどにより、壁状,格子状,ブロック状など他の形状の改良体を造成する地盤改良工法にも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる混合攪拌による地盤改良工法によれば、施工性の低下を回避しつつ、従来低強度の改良効果しか確保できなかった地層に対しても、十分な改良効果を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる混合攪拌による地盤改良工法の一実施例を示す施工工程の説明図である。
【図2】本発明にかかる地盤改良工法で用いるスラリーを各種土質に適用した際の材齢28日における一軸圧縮強度の測定値を示すグラフである。
【図3】本発明にかかる地盤改良工法で用いるスラリーを各種土質に適用した際の材齢90日における一軸圧縮強度の測定値を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる地盤改良工法で用いるスラリーに粘性低減剤を添加した際の粘度の経時的な変化の測定値を示すグラフである。
【符号の説明】
10 地盤
20 改良体
32 地盤改良装置
Claims (3)
- 現地盤土砂と、セメントなどの固化材を含むスラリーとを現位置で混合攪拌して、地盤中で前記現地盤土砂を前記スラリーにより固化させて、所定形状の改良体を造成する地盤改良工法において、
前記スラリーは、水セメント比が60%未満であって、粘性低減剤を0.05〜0.10KN/m 3 添加し、かつ、前記固化材を単位体積当たり4KN以上添加することを特徴とする混合攪拌による地盤改良工法。 - 前記スラリーは、水セメント比を40%に設定することを特徴とする請求項1記載の混合攪拌による地盤改良工法。
- 前記粘性低減剤は、前記スラリーの粘性が2000CP以下になるようにその添加量を設定することを特徴とする請求項1記載の混合攪拌による地盤改良工法。
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