JP2004150073A - 高圧噴射撹拌工法 - Google Patents

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経 西尾
Toshiki Ishii
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Abstract

【課題】注入ロッドに設けた腕木形状の撹拌翼の噴射ノズルからの固化材液の噴射により地盤中に改良柱体を造成する工法において、撹拌翼の下部に形成される未改良部分の解消を目的とする。
【解決手段】先端に掘削刃を有する注入ロッド(1)の下部に腕木形状の主撹拌翼(6)と助撹拌翼(7)を上下二段に配設し、助撹拌翼(7)を主撹拌翼(6)の半径の1/2〜1/4の径を有する小径に形成し、固化材液の注入噴射時に、固化材液の吐出量を主撹拌翼(6)の噴射ノズル(8)より0.7〜0.9の固化材液流量とし、助撹拌翼(7)の噴射ノズル(9)の固化材液の吐出量を0.1〜0.3となるように、該ノズル径を調整し、該ノズル径を調整した主撹拌翼及び助撹拌翼の先端ノズルから固化材液を高圧噴射しながら注入ロッド(1)を回転上昇又は下降させ、排土せずにあるいは排土しながら改良予定地盤中に改良柱体を形成する高圧噴射撹拌工法である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良予定地盤中に貫入し所定深度の地盤中で、注入ロッドの先端部に水平方向に複数段突設した腕木形状の主撹拌翼及び助撹拌翼の先端から、固化材液をそれぞれ高圧噴射しつつ、注入ロッドを引き上げることにより、改良予定地盤中に未改良土のない均一の改良柱体を造成する地盤改良工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軟弱地盤中に注入ロッドを貫入し、ロッドの先端が所定深度まで達したら、地盤改良固化材液を高圧噴射し、土壌と固化材液とを撹拌混合して、改良柱体を造成して地盤を改良する地盤改良工法の一例として、図5に示す様にロッドの軸身にスクリューオーガー(図示せず)及び先端部において水平方向に張出した撹拌翼bを設けた注入ロッドaを、改良予定地盤中に貫入し、スクリューオーガーにより注入ロッドを引き上げる時に、コア部分を排土してコア空隙を形成しながら、撹拌翼bの先端部から固化材液を高圧噴射し、コア空隙部分に噴流した固化材液を回り込ませながら、大径の改良柱体を造成する地盤改良工法が知られている。(特公昭62−20329号)
【0003】
この工法では、コア空隙部分に噴流した固化材液の回り込みと撹拌翼bの撹拌による撹拌混合層d、及び固化材液の高圧噴射による拡大層eを形成する地盤の改良が行われるが、固化材液が高圧噴射された拡大層eの改良径D部分の強度に比べて、コア部分に噴流した固化材液の回り込みと撹拌翼bの撹拌による拡大混合層dの中心部Do部分はやや均一性に欠ける可能性がある。
そこで、中心部の未改良の空隙部の発生を解消するために、機械的撹拌を併用しての中心部の改良部の形成を行っている。
なお、図中DHは撹拌ヘッドである。
【0004】
また、高圧噴射工法において、単管工法でしかも大口径の改良体を造成する目的で削孔ロッド先端部に水平方向に延伸する腕木形状の撹拌翼を装着し、該腕木形状の撹拌翼の先端のノズルから固化材液を高圧で噴射する工法が知られている。(特公昭63−29050号)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公昭62−20329号、特公昭63−29050号の高圧噴射撹拌工法は、固化材液が腕木先端のノズルから噴射するため、ロッドの中心部にややもすると品質不良部分を残すことがあり、改良柱全体としての改良品質が全体に均一性を欠きやすいという欠点がある。
【0006】
この問題に対しては、ロッドを二重管にし、固化材液の噴射ノズルを2箇所設けることも考えられる。
しかし、この方法によればロッド内に固化材液の流路が2系路必要であることから高圧ポンプが大小2台必要になり、固化材液使用記録管理が複雑になる等の問題がある。
【0007】
他に、撹拌翼部(改良体中心部)に貫入時に予め必要固化材液を吐出しておく方法もあるが、変位対策を目的としてスクリュー等で排土する場合には、予め吐出した固化材液は地上に排出されることになり不経済である。
【0008】
また、特公昭63−29050号の高圧噴射撹拌工法では、地盤中に噴射注入される固化材液のボリューム分に当たる量の地盤の盛り上がりや、側方変位等を抑制することが求められている場合には、適用が難しいという欠点があった。
【0009】
本発明はそこで、改良径は従来のままの大口径を確保しつつ、改良体中心部の固化強度も改良体材外周部と同様に均一化さた改良柱体を造成すること、また、地盤の盛り上がりや側方変位等を抑制することが求められる場合にも適用でき、固化材管理も容易であるような高圧噴射撹拌工法を提案するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明上記の課題を解決するために、改良対象地盤中に注入ロッドを介して固化材液を注入し、当該地盤中に改良柱体を造成し地盤の改良を行う工法において、先端部に掘削刃を、また、注入ロッドの下端部に、固化材噴射ノズルを備えた腕木形状の撹拌翼を複数段突設し、上段に配設し腕木形状の助撹拌翼の半径を、下段に配設した腕木形状の主撹拌翼の半径より1/2〜1/4と小径に形成し、また、固化材液噴射ノズルから吐出される固化材液の全体量を1としたとき、主撹拌翼の噴射ノズルから0.7〜0.9の固化材液流量を、一方、助撹拌翼の噴射ノズルより0.1〜0.3の量の固化材液流量が噴射できるように両噴射ノズル径を調整し、該ノズル径を調整した主撹拌翼及び助撹拌翼の先端部に設けた噴射ノズルより固化材液を高圧噴射しながら、注入ロッドを回転上昇又は下降させて、また、排土しながら地盤中に大口径の改良柱体を造成する高圧噴射撹拌工法としたことである。
【0011】
また、前記腕木形状の主撹拌翼は、注入ロッドの先端部に設けた掘削刃により掘削され乱された領域外の地盤領域の改良を行い、一方、該主撹拌翼の上部に配設した腕木形状の主撹拌翼の1/2〜1/4の長さの小径に形成された助撹拌翼の改良領域を、すでに主撹拌翼で乱された部分の領域のみを分担改良することを特徴とする高圧噴射撹拌工法としたことである。
【0012】
さらに、前記注入ロッドを必要に応じ、軸身にスクリューを備えた注入ロッドとし、該スクリューにより注入した固化材液の全体の吐出量分に相当する量の土壌を排出させる高圧噴射撹拌工法としたことである。
【0013】
また、注入ロッドの固化材液の圧送路を一系統の単管とした高圧噴射撹拌工法としたことである。
【0014】
下部に大径の主撹拌翼と小径の助撹拌翼を上下二段に配設した注入ロッドの貫入と同時に掘削刃と主撹拌翼により形成された撹乱土壌に、注入ロッドの回転引き上げ時に助撹拌翼の噴射ノズルから固化材液を噴射注入し、主撹拌翼により予め撹乱された土壌を改良し、さらに、主撹拌翼の噴射ノズルから固化材液を噴射し、大径の改良層を造成することができ、従って、主撹拌翼により造成された改良体の外周部の改良層と改良体中心部の改良体の強度を均一に造成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、実施例に基づき以下図面及び試験施工例を参照して説明する。
図1は本発明の高圧噴射撹拌工法に用いる撹拌ヘッドの正面図、図2〜図4は本発明の地盤改良時の概念図であり、図2に示す様に固化材液の流通路を単管とした中空の注入ロッド1、又は、図3に示す様に軸身にスクリュー2を配設した注入ロッド1の先端部に取り付ける撹拌ヘッド3を以下の構成にする。
【0016】
基体4の先端に掘削刃5を設け、該掘削刃5の上部に腕木形状の主撹拌翼6及び助撹拌翼7からなる一対の撹拌翼を上下に設ける。掘削刃5の上方に配設する撹拌翼を、腕木状の主撹拌翼6及び助撹拌翼7に形成し、それぞれの撹拌翼は先端部に口径の異なる固化材液噴射ノズル8,9を有している。
上段に位置する助撹拌翼7は、下段に設けた主撹拌翼6の半径の1/2〜1/4小さく形成されている。
【0017】
この様に構成した撹拌ヘッド3を図2又は図3に示す様に注入ロッド1の先端に取り付け、改良予定地盤12中に駆動装置(図示せず)により所定深度まで貫入し、注入ロッド1の引き上げ時に掘削した地盤中に噴射混合する固化材液の全体の噴出量を1とした時に、下段に設けられた主撹拌翼6の噴射ノズル8からの固化材液の噴射量を0.7〜0.9とし、助撹拌翼7の噴射ノズル9から0.1〜0.3の量の固化材液噴射量に調整したそれぞれの噴射ノズルを有する注入ロッド1を回転上昇又は下降すると時に噴出し、その際、スクリュー2により排土13しながら改良地盤中に図4に示すとおり未改良部分のない改良体の中心部分16と周辺部分15,17が均一な大口径の改良柱体14を造成することである。
なお、図1中10、11は撹拌爪である。
【0018】
上記の撹拌装置を用いての試験施工を以下のとおり行った。
N値0〜1、原地盤粘着力C=20〜25kN/mの沖積粘土地盤を対象とした試験施工を行った。
改良仕様については、固化材液はセメント系固化材(ρ=3.1)、水:固化材比(W/C)=1.5、噴射圧力(P)40MPa、噴射流量はトータルで300リットル/分(腕木形状の助撹拌翼の噴射ノズルから30リットル/分、腕木形状の主撹拌翼の噴射ノズルから270リットル/分となるようノズル断面積を調整)、下部の腕木形状の主撹拌翼の半径(ロッド中心から)50cm、上部の腕木形状の助撹拌翼腕の半径20cm、削孔長は5m、改良長4m、ロッド引き上げ時間は3分/mとした。
【0019】
試験結果としては、改良径φ2.8mの改良体が得られ、ロッド中心部に全く未改良土のない均一改良体が造成できた。
【0020】
【発明の効果】
本発明の高圧噴射撹拌工法によれば、腕木のついたロッドヘッドを有する高圧噴射撹拌工法において、改良体の中心部分と周辺部分が均一な改良体が得られるとともに、変位等による周辺地盤への悪影響もなく、ロッドの構造も簡単で固化材スラリーの使用量の管理も容易な地盤改良施工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地盤改良工法に用いるロッドヘッドの正面図である。
【図2】本発明の一地盤改良時の概念図である。
【図3】この発明の他の地盤改良時の概念図である
【図4】この発明による地盤改良の断面図である。
【図5】従来技術の改良断面及び平面図である。
【符号の説明】
1 注入ロッド
2 スクリュー
3 撹拌ヘッド
4 基体
5 掘削刃
6 主撹拌翼
7 助撹拌翼
8 噴射ノズル
9 噴射ノズル
10 撹拌爪
11 撹拌爪
12 地盤
13 排土
14 改良柱体

Claims (4)

  1. 改良対象地盤中に注入ロッドを介して固化材液を注入し、当該地盤中に改良柱体を造成して地盤の改良を行う工法において、先端部に掘削刃を備えた注入ロッドの下部に、固化材液噴射ノズルを備えた腕木形状の撹拌翼を上下に複数段突設し、該突設した上段の腕木形状の撹拌翼を、半径が下段に突設した主撹拌翼の半径の1/2〜1/4と小さい助撹拌翼に形成し、また、改良時の固化材液噴射ノズルから吐出される固化材液の全体量を1としたとき、主撹拌翼の噴射ノズルより0.7〜0.9の固化材液流量を、一方、助撹拌翼の固化材液噴射ノズルより0.1〜0.3の量の固化材液流量を噴射できるように噴射ノズルの径を調整し、該ノズル径を調整した主撹拌翼及び助撹拌翼の先端部の噴射ノズルより固化材液を高圧噴射しながら注入ロッドを回転上昇又は下降させて改良予定地盤中に大口径の改良柱体を造成することを特徴とする高圧噴射撹拌工法。
  2. 前記、主撹拌翼の地盤改良領域が、掘削刃により形成された掘削孔部より拡大域の地盤部分の改良を、一方、主撹拌翼の半径の1/2〜1/4の大きさであって、主撹拌翼の上部に設けらてた助撹拌翼の地盤改良領域を、主撹拌翼で乱された部分の改良のみを改良領域とすることを特徴とする請求項1記載の高圧噴射撹拌工法。
  3. 前記、注入ロッドの軸身にスクリューを設け、該スクリューにより、改良地盤中に注入した全体吐出固化液材に相当する土量を排出させることを特徴とする請求項1記載の高圧噴射撹拌工法。
  4. 注入ロッドの固化材液の圧送流路を一系統の単管とすることを特徴とする請求項1記載の高圧噴射工法。
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JP2007132073A (ja) * 2005-11-10 2007-05-31 Onoda Chemico Co Ltd 高圧噴射攪拌装置
JP2010275712A (ja) * 2009-05-26 2010-12-09 Ohbayashi Corp 地盤改良工法及び地盤改良装置
JP6072949B1 (ja) * 2016-02-08 2017-02-01 あおみ建設株式会社 深層混合処理装置
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